音楽を鑑賞する際に欠かせない「イヤホン」。有線で接続するモデルやワイヤレス接続に対応するモデル、周囲の雑音を軽減するノイズキャンセリング機能を搭載したモデルなど、多種多様な製品が発売されています。
各製品ごとに備えている機能や音質が異なるだけでなく、価格もさまざま。そこで今回は、失敗しないイヤホンの選び方をご紹介します。初めてイヤホンを購入する方も参考にしてみてください。
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接続方法の違い
有線接続
フォーンプラグ
「フォーンプラグ」は、スタンダードな有線接続タイプです。多くの有線接続イヤホンに採用されている3.5mmミニプラグのほか、3.5mm4極プラグや6.3mm標準プラグなどを搭載しているモデルも存在します。
3.5mmミニプラグは一般的に3極プラグのことを指し、ステレオ形式で音声を入出力できるタイプ。絶縁リングが2本付いており、金属の端子部分が3分割されているのが特徴です。
3.5mm4極プラグは、3.5mmミニプラグの3極にマイク1極が加えられたタイプ。金属の端子部分に絶縁リングが3本付いているのが特徴です。
また、6.3mm標準プラグは電子楽器などに多く採用されているプラグ。端子部の直径が6.3mmとサイズが大きいので気を付ける必要がありますが、ステレオ形式で音声を入出力できる点は3.5mmミニプラグと同じです。
USB Type-C
「USB Type-C」は、USB 3.1で制定された有線接続タイプ。USB 3.1とUSB 3.2に準拠している規格です。ハイエンドモデルのAndroidスマホにはイヤホンジャックが搭載されておらず、3.5mmミニプラグを接続できないモデルが増えています。
イヤホンジャックのないAndroidスマホ用イヤホンの選び方として重要なのは、USB Type-Cへの対応有無を確認すること。USB Type-Cを採用したイヤホンはハイレゾに対応しているモデルも多く、高音質なサウンドで音楽を鑑賞したい場合にも適しています。
また、音質にこだわる場合には、DACを内蔵している製品がおすすめ。デジタルの音声信号をアナログに変換するDACがイヤホンに内蔵されていれば、パソコンやスマホで音楽を鑑賞する際に音質を保持しやすくなります。
Lightning
「Lightning」は、アップルが独自に開発した有線接続タイプ。iPhoneやiPadなどアップルが製造する機器に採用されている端子で、USB Type-Cと同じく上下の向きに関係なく差し込めるのが特徴です。
Lightningに対応しているイヤホンはフォーンプラグやUSB Type-C対応のイヤホンと同じく有線接続なので、ワイヤレスタイプのイヤホンに比べて音声の遅延や劣化が少ないのが魅力です。
また、アップルが定める性能基準を満たしている場合には「MFi認証」が付いています。安心して購入できるLightningイヤホンを求める場合には、MFi認証の有無を確認するのが選び方のコツです。
ワイヤレス接続(Bluetooth)
完全ワイヤレスイヤホン
「完全ワイヤレスイヤホン」とは、イヤホン左右の筐体が完全に分離しているタイプ。接続にはBluetooth通信を利用するのが一般的です。スマホやタブレットなどのモバイル端末と手軽に接続できます。
Bluetooth対応のイヤホンは、音声データを圧縮して伝送するのが特徴。圧縮する際の変換方式「コーデック」にはいくつかの種類が存在します。選び方としては対応するコーデックを確認しておくのが重要なポイントです。
コーデックには、SBC・AAC・aptX・aptX HD・aptX LLなどが存在。SBCは音質が標準的なコーデックで、iPhoneやiPadなどのアップル製品に採用されているのがAAC、CD相当の音質を備えているのがaptXです。
また、高音質を求める場合にはハイレゾ音源に対応するaptX HD、音声遅延を抑えたい場合にはaptX LLコーデックに対応しているモデルが適しています。
左右一体型イヤホン
「左右一体型イヤホン」は、左右のイヤホン筐体がケーブルで繋がっているタイプ。ケーブルを首の後ろに回して使用するのでタッチノイズに気を付ける必要はありますが、イヤホンが耳から外れた際に落下しにくいのが特徴です。
ウォーキングやランニング時に利用するイヤホンとしても便利。使用しない際には首にかけておけます。ケーブルにはリモコンやマイクが搭載されているのが一般的。手元で再生や停止、ボリュームの操作が行えるほか、スマホと接続すればハンズフリー通話にも使用できます。
完全ワイヤレスイヤホンに比べるとリーズナブルな価格で購入できるモデルが多め。予算が限られている場合はもちろん、コスパを重視している場合には、左右一体型イヤホンを候補に入れるのが選び方のコツです。
ネックバンド型イヤホン
「ネックバンド型イヤホン」は、イヤホンの左右筐体が形状記憶素材を使ったネックバンドで繋がっているタイプです。左右一体型イヤホンに比べて首にフィットしやすく、装着感に優れているのが魅力。ランニングやスポーツなど、比較的激しい運動をする際に利用するイヤホンとしても便利です。
また、ネックバンドの部分に大容量のバッテリーを内蔵している製品が多く、連続再生可能時間が長いのもポイント。屋外でイヤホンを使用する頻度が多い方は、ネックバンド型イヤホンを選択肢に入れてみてください。
完全ワイヤレスイヤホンや左右一体型イヤホンに比べて重量がありますが、ネックバンド部がケーブルより堅牢性に優れているのもメリット。断線が気になる場合にもネックバンド型イヤホンを候補に入れるのが選び方のコツです。
装着方法の種類と特徴
カナル型
「カナル型」は、耳の奥に差し込んで装着するタイプのイヤホンです。耳栓のような構造を採用しており、密閉性や遮音性に優れているのが特徴。周囲の雑音が混入しにくいだけでなく、音漏れを軽減できるのがメリットです。また、イヤーピースが数種類付属しているモデルであれば、装着感を調節できます。
音質は低音域の表現に優れており、パワフルな重低音を再生できるモデルが多め。開放感はインナーイヤータイプが優れていますが、迫力のある音でロックやダンスミュージックを楽しみたい方におすすめです。
また、ラインナップが豊富な点もカナル型イヤホンの魅力。多種多様な製品の中から好みに合うモデルを見つけたい場合には、カナル型を選択するのが選び方のコツです。
インナーイヤー型
「インナーイヤー型」は、耳の入り口に引っ掛けて装着するタイプのイヤホンです。カナル型に比べると圧迫感が少なく、付け心地が軽いのが魅力。落下しやすい点や音漏れに気を付ける必要はありますが、周囲の音を取り込みやすく比較的安全に使えるのもメリットです。
音質は各帯域のバランスがよいモデルや高音域の再生に優れたモデルが多め。迫力とともに繊細なサウンドを求める場合に適しており、長時間音楽を鑑賞した際に聴き疲れしにくいのもポイントです。
また、音の広がりがよいのもインナーイヤー型の特徴。開放的なサウンドが再生できるイヤホンを求める場合には、インナーイヤー型を候補に入れるのが選び方のコツです。
ドライバーの種類
ダイナミック型
「ダイナミック型」はボイスコイルに音楽信号を流して振動板(ダイヤフラム)を振動させ、音を再生するタイプのイヤホン。低音域の再生能力に優れており、しっかりとした音圧を感じられるモデルが多いのが魅力です。
イヤホンに採用されているドライバーの種類としてはスタンダードなモデル。ラインナップが豊富で多種多様な製品から好みのモデルを選択したい場合にはダイナミック型のイヤホンを候補に入れるのが選び方のコツです。
製品によってはドライバーを2基搭載したモデルも存在。デュアルダイナミックイヤホンと呼ばれており、よりハイパワーなサウンドが期待できます。
バランスド・アーマチュア(BA)型
「バランスド・アーマチュア(BA)型」はボイスコイルに音楽信号を流してアーマチュアと呼ばれる鉄板を振動させ、振動板に伝えることで音を再生するタイプのイヤホンです。
低音域の再生はダイナミック型が優れていますが、クリアかつ伸びやかな中高音域を再生できるのが魅力。繊細なサウンドの表現ができ、フラットで原音により忠実な音の再現ができる製品が揃っています。
また、バランスド・アーマチュア(BA)型のドライバーは、サイズがコンパクトな点も特徴。イヤホンの筐体内に各帯域ごとのドライバーを搭載しているモデルが多く、苦手な低音域の表現力を補っている製品も存在します。
ハイブリッド型
「ハイブリッド型」は、低音域再生に優れたダイナミック型と中高音域の表現力が高いバランスド・アーマチュア(BA)型両方のドライバーを搭載しているタイプのイヤホンです。
2種類以上のドライバーを備えているので各帯域のバランスがよく、フラットなサウンドを再生しやすいのが特徴。パワフルなだけでなく繊細な音を表現できるため、幅広い音楽ジャンルに対応できるのも魅力です。
高価格なモデルが多いタイプですが、音質を重視する方はハイブリッド型イヤホンを候補に入れるのが選び方のコツです。
コンデンサー型
「コンデンサー型」は静電型イヤホンとも呼ばれ、2枚の固定された電極板の間に振動板を備えた構造が採用されているタイプです。振動板の重量がゼロに近く、静電気の力で精細な振動をするのが特徴。ダイナミック型やバランスド・アーマチュア(BA)型に比べると原音により忠実なサウンドが再生できます。
音質は歪みが少なくクリア。小さな音や低音域もしっかりとキレイに表現できます。価格はハイブリッド型よりも高価なモデルが多くラインナップも少なめですが、音質にこだわりたい方におすすめ。ハイグレードなモニターイヤホンを求めている場合には、コンデンサー型イヤホンを候補に入れるのが選び方のコツです。
イヤホンのスペックの見方と意味
再生周波数帯域
「再生周波数帯域」とは、イヤホンやヘッドホン、スピーカーが再生できる音の広さを表すスペックです。周波数は「Hz(ヘルツ)」という単位で表記され、1秒間に繰り返す音の波の数を表します。
バスドラムやベースなどの低音域は150Hz以下、ギターやピアノでコードを弾く場合やボーカルなどの中音域は150~4000Hz、ハイハットやシンバルなどの高音域は4000Hz以上の周波数で再生。一般的には人が聴き取れる20~20000Hzに対応したイヤホンが多数発売されています。再生周波数帯域が違うと、サウンドの傾向も異なるので注意しましょう。
また、CD以上の情報量を備えたハイレゾ音源が再生できるイヤホンは、40000Hz以上の再生周波数帯域に対応しているのが条件。高音質なイヤホンを求めている方は、40000Hz以上の再生周波数帯域に対応しているイヤホンを候補に入れるのが選び方のコツです。
インピーダンス
「インピーダンス」とは、電流の抵抗値を表すスペックのこと。「Ω(オーム)」という単位で表記されており、数値が高いほど抵抗が大きく、流れる電流の量が減少します。イヤホンのインピーダンスの数値が大きければアンプにかかる負荷が小さいので、クリアなサウンドを再生可能。音楽鑑賞の際にノイズを抑えたい場合におすすめです。
一方で、インピーダンスの数値が小さい場合は抵抗が少なく電流が流れやすいので、大きな音を再生可能。アンプへの負荷が大きい点やノイズが発生しやすい点には注意しましょう。
スピーカーで音楽を再生する際はインピーダンスが音質へ与える影響は少なめですが、イヤホンではサウンドに大きく影響する場合があります。イヤホン購入の際は、スペック表でインピーダンスの数値を事前に確認しておくのも選び方のコツです。
感度
「感度」とは、1mWの音声信号入力があった際にイヤホンで再生できる音の大きさを表すスペックです。出力音圧レベルと呼ばれる場合もあり、スペック表では「dB/mW」という単位で表記。感度の数値が大きいほど、一定のボリュームで再生できる音量が大きいことを示します。
音質に関与するスペックではありませんが、大きな音量で音楽を鑑賞する方は感度を事前に確認しておくのが、イヤホンの選び方のコツです。
知っておきたいイヤホンの基礎知識
リケーブル
有線接続タイプのイヤホンで購入時から付いていたケーブルを取り外し、新しいモノに変更することを「リケーブル」と呼びます。イヤホン本体とケーブルとの組み合わせによって音質は変化するので、一般的にリケーブルは音質を向上させたい場合に行う作業です。
ただし、リケーブルに対応しているイヤホンであれば、付属していたケーブルが断線した場合にも自分で簡単に交換可能。リペア目的でケーブルを交換できるので、長期間使用するイヤホンを求める場合にリケーブル対応モデルを候補に入れるのも選び方のコツです。
バランス接続
一般的な有線イヤホンに採用されている3.5mmミニプラグは、左右のチャンネルと全体を鳴らすGNDの3極に分かれています。一方で「バランス接続」に対応しているイヤホンでは、左右のチャンネルをより細かく分離することが可能。ノイズが少なくクリアなサウンドを再生できるのが魅力です。
バランス接続に対応している端子には、「2.5mm4極プラグ」や「4.4mm5極プラグ」などが存在。2.5mm4極プラグは3本の絶縁リングを備えており、金属端子部分がR-・R+・L+・L-に分かれています。また、4.4mm5極プラグは、R-・R+・L+・L-の4極にGND1極を追加したタイプ。原音に忠実なサウンドが再生できるイヤホンを求める場合には、候補に入れて選んでみてください。
モニターイヤホン
「モニターイヤホン」とは、制作した楽曲や自分が演奏している音を確認する際に使用するイヤホンのこと。ミュージシャンやサウンドエンジニアなどが使用するイメージが強いですが、ステージやスタジオでのモニタリングのほか、DTMで使用するイヤホンとしても便利です。
モニターイヤホンを購入する際は、原音により忠実なサウンドを実現するための再現性や、遮音性の高さをチェックしておくのが選び方のコツ。周囲の雑音が入り込むと、正確なサウンドチェックを妨げる可能性があるので注意しましょう。
用途別に適したイヤホンを解説
高音質で音楽を聴きたいなら「ハイレゾ対応イヤホン」
音楽鑑賞の際に音質にこだわる場合には、ハイレゾ対応のイヤホンを候補に入れてみてください。「ハイレゾ」とはハイレゾリューションの略称で、CD以上の情報量を備えており、ミュージシャンの息遣いや空気感なども繊細に表現できるのが魅力です。
ハイレゾ対応のイヤホンを購入する際は、40000Hz以上の高音域再生が可能なモデルを選択するのが重要なポイント。解像度が高く、臨場感あふれるサウンドを楽しめます。
通勤・通学で使うなら「ノイズキャンセリング」搭載モデル
通勤や通学の際に毎日音楽を楽しみたい場合には、「ノイズキャンセリング」機能を搭載しているイヤホンを候補に入れるのもおすすめ。イヤホン本体に搭載されているマイクで周囲の雑音をキャッチし、逆位相の音を出力してノイズを軽減する機能です。
遮音性の高さを考慮して選ぶのも重要なポイント。カナル型はインナーイヤー型に比べて密閉性が高く、周囲の雑音を軽減しやすいほか、比較的音漏れを気にせず使用できます。
また、製品によっては、サイズや種類の異なるイヤーチップが複数付属しているモデルも存在。フィット感を高めれば、周囲の雑音や音漏れを軽減できる効果が期待できます。
ランニングやスポーツ用なら「防水機能」と「外音取り込み」があると便利
ランニングやウォーキング、スポーツをする際に音楽を楽しみたい場合は、「防水機能」や「外音取り込み機能」の有無を確認するのが選び方のコツです。防水機能を備えているイヤホンであれば、屋外で急な雨に降られた場合でも安心して使用可能。イヤホン内部に汗が入り込んで故障してしまうトラブルを防ぎやすい点も魅力です。
また、外音取り込み機能を搭載している製品であれば、イヤホンを装着したままで駅や空港でアナウンスを聴き取れます。屋外で周囲の音を聴きながら使用したい場合にもおすすめです。
リモートワークや通話で使うなら「マイク付き」のモデルを
リモートワークやハンズフリー通話にイヤホンを使用する場合は、「マイク付き」の製品を選ぶのがおすすめです。スマホを持つ必要がなく、ポケットや鞄にスマホを入れたままでも通話が可能。両手が空くので、通話しながらキーボードやマウスを操作して作業を行う場合にも便利です。
また、リモートワークでイヤホンを使用する場合には、長時間使用しやすいモデルを候補に入れるのも選び方のコツ。圧迫感の少ないインナーイヤー型の製品であれば、耳にかかる負担を軽減できます。
イヤホンは、製品によって音質はもちろん、接続方式やフィット感、機能などが異なります。購入する際は、有線タイプやワイヤレスタイプなどの接続方式を確認するほか、タイプごとのサウンド傾向をチェックし、好みに合うモデルを選択するのがおすすめです。