包丁の切れ味を保つために欠かせない「砥石」。天然砥石と人造砥石があり、製品ごとに硬さや粒度の細かさが異なります。刃の素材や状態に合った砥石を使うことで、より効果的に切れ味を高めることが可能です。
しかし、種類が多く、どれを使うべきか迷う方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、選び方のポイントとあわせて、おすすめの砥石をご紹介します。
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砥石とは?
砥石とは、刃の切れ味をよくするために使われる石です。刃こぼれしてしまったり、切れ味が鈍くなった際に、砥石を用いて表面を削り、鋭くすることができます。料理の際の切れ味にこだわる場合や、包丁を長く使いたい場合に便利です。
砥石には、天然の石材でできた天然砥石と、砥粒(とりゅう)と呼ばれる研磨材を結合剤で固めた人造砥石があり、素材や製造方法によって質感や硬さが異なります。また、製品ごとに表面の粒度の細かさが違い、「荒砥石」「中砥石」「仕上げ砥石」に分類されるのが特徴です。
さまざまな種類が存在しますが、刃の状態に合わせて砥石を使い分けることで、より効果的に刃を整えられます。ただし、非常に硬いセラミック刃などの場合は、専用の砥石が必要です。刃の状態と素材に適した砥石を使用することが大切です。
砥石の選び方
番手の種類で選ぶ
刃こぼれや刃の形を修正するなら「荒砥石」
砥石の粒度の細かさは「番手(#数字)」で表され、数字が小さいほど、粒度が大きく粗いことを示します。#80~400前後のモノは「荒砥石」と呼ばれており、削る力が強く、刃の表面を効率よく削り取れるのが特徴です。一般的に、刃こぼれや形の修正に使われます。
しかし、荒砥石は粒度が粗く、刃の表面をなめらかに削るのは至難の業です。刃を鋭く整える用途には向きません。刃の形を修正し、切れ味をよくするためには、ほかの種類の砥石と併用する必要があります。
切れ味を復活させたいなら初心者にもおすすめの「中砥石」
番手が#1000前後の砥石は「中砥石」に分類されます。粒度が細かすぎず粗すぎないため、刃の表面を少しずつ削りやすいのが特徴です。大きな刃こぼれの修正には力不足ですが、刃先を鋭く整えることができます。落ちた切れ味を復活させるために使われるのが一般的です。
また、削る力がひかえめなので、刃を削りすぎる失敗が少なく、荒砥石に比べて簡単に使用できます。初心者の方は、最初に中砥石を使って、包丁を研ぐ練習をするのがおすすめです。
中砥石を使うと、多くの食材を問題なく切れるほどに刃の切れ味を回復させられます。そのため、中砥石だけで包丁のメンテナンスを終えることも可能です。ただし、刃の表面に細かなキズが残る点には留意しましょう。
より繊細な切れ味にしたいなら「仕上げ用砥石」
「仕上げ用砥石」は、番手が#3000~6000前後のモノを指します。粒度が非常に細かいので、刃の表面をなめらかに磨き上げられるのが特徴です。中砥石で刃に付いた細かなキズを取り除き、刃先をより鋭利に整えるのに役立ちます。
仕上げ用砥石は、より繊細な切れ味を追及したい場合におすすめです。また、#6000以上の仕上げ用砥石を使用すれば、ピカピカとした美しい見た目の鏡面仕上げにすることもできます。
包丁の素材に合わせて硬さを選ぶ
ステンレス包丁にはやわらかい砥石
鉄とクロムの合金であるステンレスの包丁は、錆びにくくお手入れしやすいのが特徴です。その反面、高い耐摩耗性と強い粘りがあり、砥石が密着しにくく砥粒が食い込みにくいため、ほかの包丁に比べて研ぎにくいといわれています。
ステンレス包丁の場合は、やわらかい砥石を使うとよりスムーズに刃を整えられます。硬い砥石よりも砥石に刃が密着しやすいので、均一に削りやすいのがメリットです。加えて、研ぎ汁も出やすいため、より効率的に刃を研げます。
「ステンレス刃物用」と表示された砥石もあるので、選ぶ際には製品の仕様書や説明書を確認してみてください。
鋼包丁には硬い砥石
日本伝統の和包丁などに使われる鋼(はがね)は、鉄と炭素をベースにした合金です。包丁のなかでは研ぎやすいといわれています。しかし、刃が削られやすい分、砥石も摩耗しやすいのが難点です。
表面が削られて凹凸になった砥石を使うと、刃を均一に研ぐことが難しいため、面直しを行い、砥石を平面に整える必要があります。鋼包丁の場合、やわらかい砥石を使うと面直しの頻度が高くなるため、硬い砥石を使うのがおすすめです。
セラミック包丁にはダイヤモンド砥石
セラミック包丁の刃は、主にジルコニアと呼ばれる非金属を使用し、高温で焼いて作られています。焼き物の一種であり、金属よりも硬いのが特徴です。そのため、一般的な硬さの砥石では研ぐことができません。
セラミック包丁を研ぐ場合は、ジルコニアに劣らない優れた硬度を有する「ダイヤモンド砥石」を使用しましょう。セラミック包丁だけではなく、通常の砥石では研ぎにくい高硬度の包丁の研ぎ直しにも活用できます。
製造方法をチェック
天然砥石は天然石を切り取って作られますが、人造砥石のさまざまな結合剤を使用して製造されます。製造方法によっても使用感が変わるので、事前に確認しておきましょう。
化学反応により製造する「マグネシア製法」はなめらかな研ぎ味、樹脂を低温で焼き固める「レジノイド製法」はキメの細かい仕上がりになるのが魅力。どちらの砥石も吸水性が低いため、事前の浸水が不要で、そのまま研げるのが特徴です。
「ビトリファイド製法」は、高温で焼き固めて硬い砥石を作ります。陶器のように多孔質なので、目詰まりが抑えられよりスムーズに研ぐことが可能です。
また、ダイヤモンド砥石には、砥粒を結合材で焼き固めた焼結タイプと、砥粒をメッキした電着タイプがあります。焼結タイプは高耐久で、長く使えるのが魅力です。電着タイプは価格が安い反面、メッキ層がはがれると再利用できないため、一時的な使用に向いています。
砥石台があると安定して研ぎやすくなりおすすめ
砥石をのせて固定できる砥石台があると、より安定した状態で刃を研げます。底に滑り止めが加工されている場合が多いため、使用中にズレにくいのがメリットです。また、砥石の位置が高くなるので、砥石が摩耗して薄くなっても、手が作業台に触れずに済みます。
なかには、フチに溝があり、水や研ぎ汁を受けられる砥石台がセットになった砥石も販売されています。周囲をなるべく汚さずに刃を研ぎたい場合におすすめです。
砥石のおすすめ
フチオカ(FUCHIOKA) 亀印 天然合砥石 100型 プラ台付
目が細く最終仕上げにおすすめの天然砥石です。研ぎ感がなめらかなので、スムーズに作業が進みます。砥石台が付いているため、安定して研ぎやすいのがメリットです。
包丁だけではなく、カミソリや大工道具などさまざまな刃物に使用できます。1つ持っておくと、複数の刃物をメンテナンスできるので、汎用性を求める方にもおすすめです。
スエヒロ(Suehiro) 舞砥 MG60000-1
マグネシア製法で作られた人造砥石です。製造後に15~20年間の常温保管でエイジングを行い、独自の加工を施して仕上げています。硬く引き締まった表面が大きな特徴。研ぎ味がなめらかなので、気持ちよく刃を研げます。
本製品は、#6000の仕上げ用砥石。刃の表面を少しずつ繊細に研げるため、刃先をより鋭く整えたい場合や、刃の細かなキズを取り除いて美しく仕上げたい場合におすすめです。#1000の中砥石も展開されているので、用途に合わせてチェックしてみてください。
松永トイシ(MATSUNAGA STONE) キングデラックス No.1000
鈍くなった切れ味を復活させたい場合におすすめの中砥石です。番手は#1000で、刃をシャープに整えられるのが特徴。サイズは207×66×34mmです。
包丁・ハサミ・彫刻刀・精密刃物・かんななど、さまざまな刃物に使用できます。比較的安い価格で購入できるのも魅力。コスパに優れた砥石を探している方はチェックしてみてください。
一文字厨器 堺一文字光秀 特撰砥石 煌シリーズ 中砥石 軟口 #1000
さまざまな包丁を研げる人造砥石。レジノイド製法で作られた、やわらかめの製品です。柔軟性があり、ハマグリ刃のように断面が丸い刃や、両刃包丁とも相性が良好。和包丁も洋包丁も研ぎやすいので、幅広く活躍します。
番手は#1000です。中砥石のなかでは粒度が粗めで、研削力が高いため、効率よく刃の表面を削れるのが特徴。刃物の切れ味を復活させたい場合に適しています。
砥石に水をかけるだけで、すぐに研ぎ始められるので、手軽に使いたい方にもおすすめです。さらに、砥石台付きで、砥石が安定しやすいため、より快適に研ぎ作業を行えます。
松永トイシ(MATSUNAGA STONE) トイシの王様 PB-04
1つで刃付けと超仕上げができる、両面タイプの人造砥石。#800の中砥石と#6000の仕上げ用砥石が、上下に重なって一体化しています。切れ味を復活させるなら中砥石、切れ味の追及や鏡面仕上げをするなら仕上げ用砥石というように、両面を使い分けることが可能です。
ステンレス包丁用としても使用できるのもポイント。ステンレス包丁を普段使用している方にもおすすめの砥石です。
ALTSTONE 深 荒砥石 #120
効率よく刃こぼれや刃の形を修正したい方におすすめの荒砥石。番手が#120と粒度が粗いため、ガリガリと1度に多く削ることが可能です。さらに、WA(ホワイトアランダム)と呼ばれる、白色アルミナ研磨材が高濃度で含まれているので、高い研削力を発揮します。
ステンレス包丁から鋼包丁まで幅広く使えます。滑り止めマットが付属するため、安定して研ぎやすいのも嬉しいポイントです。
荒砥石のほかに、中砥石や仕上げ砥石も展開されています。刃物のメンテナンスに必要な砥石を一式揃えたい方は、あわせてチェックしてみてください。
貝印 コンビ砥石セット 表面/荒砥石 裏面/中砥石 AP0305
便利な受け皿がセットになった砥石です。受け皿のフチに溝があり、砥石から流れ落ちた研ぎ汁を受け止めるので、周囲を汚さずに作業をしたい方におすすめ。さらに、底には滑りにくい合成ゴムのリブが付いているため、安定して研ぎやすいのもメリットです。
表面・裏面の粒度が異なるのも特徴。表面は#400相当の荒砥石、裏面は#1000相当の中砥石として使えます。最初に荒砥石で刃先の形を修正し、次に中砥石で刃先を鋭利に整えるというように、刃の状態に合わせて使い分けることが可能です。
ツヴィリング(Zwilling) ツインストンプロ 両面砥石 32505-100-0
ドイツ発の刃物ブランド「ツヴィリング」が手がけた砥石です。ケース付きで、収納に便利。使う際はそのまま砥石台になるので、手軽に研げます。底のラバーが滑り止めとして機能するため、安定して研ぎやすいのも魅力です。
本製品は、用途に合わせて2種類の砥石を使い分けられる両面タイプ。粒度250の荒砥石で刃こぼれや刃の形を修復し、粒度1000の中砥石で落ちた切れ味を回復できます。CM60以上の高硬度の包丁に対応しているので、こだわりの包丁を使用する料理好きの方にもおすすめです。
シャプトン(SHAPTON) 刃の黒幕 中砥 #1000 K0702
#1000の中砥石ながら、高い研削力をもつ砥石。効率よく研ぎたい方におすすめです。切れ味の回復だけではなく、刃こぼれなどの修正に対応しやすいのも特徴。1つの砥石で包丁をメンテナンスしたい方にも向いています。
また、砥石台としても使える収納ケースがセットになっています。同シリーズで合計10種類の番手が展開されており、番手ごとにケースの色が異なるのがポイント。番手違いで砥石を揃えた場合に、色で簡単に見分けられるのがメリットです。
ツボ万(TSUBOMAN) アトマエコノミー本体 中目 ATM75-4E
替刃方式を採用した電着タイプのダイヤモンド砥石です。研げなくなったら、替刃のみを交換可能。替刃は比較的安く購入できるため、経済的に使い続けたい方にもおすすめです。
研削力が高いので、効率よく研げるのが魅力。砥粒サイズは#400の中目で、出刃包丁のような高硬度の包丁をメンテナンスする場合に適しています。そのほか、#140の粗目、#600の細目、#1200の極細も展開しているので、用途に合わせてチェックしてみてください。
ナニワ研磨工業(NANIWA) エビ印 ダイヤモンド角砥石 #1000 DR-7510
耐久性に優れたダイヤモンド砥石です。焼結式製法を用いて作られた、厚さ1mmのダイヤ層が搭載されています。研磨中にダイヤモンド層がはがれる心配がほとんどないうえ、長時間使用しても平面を保ちやすいのが特徴。安定した研ぎ心地が長く持続します。
超硬度のダイヤモンド研材を使用しているため、セラミック包丁などの硬い刃物を研ぐのにもおすすめ。#1000の中砥石なので、日常的な刃物のメンテナンスや、切れ味を復活させたい場合にぴったりです。
#400~#6000までさまざまな番手が展開されています。用途に合った粒度の砥石をチェックしてみてください。
藤原産業(Fujiwara Sangyo) SK11 両面ダイヤモンド砥石 #400/#1000
両面を使い分けられるダイヤモンド砥石です。#400の荒砥石で傷んだ刃の形を修正したり、#1000の中砥石で刃先を鋭く整えたりできます。セラミック包丁や超硬金属の研ぎにおすすめ。滑り止めとして機能する下敷き付きなので、安定して研ぎやすいのが魅力です。
ダイヤモンド砥石のなかでは比較的安価で、手軽に購入できるのも特徴。コスパ重視の方は、チェックしてみてください。
砥石の売れ筋ランキングをチェック
砥石のランキングをチェックしたい方はこちら。
さまざまな砥石が販売されており、それぞれ粒度・硬さ・研磨力などが異なります。刃の素材や求める仕上がりに合わせて、適切な砥石を選ぶことが大切です。また、高頻度で使う場合や、長く使えるモノが欲しい方は、耐久性も要チェック。使いやすい1点をぜひ見つけてみてください。