土鍋は、卓上で楽しむ鍋料理に使うだけでなく、炊飯や蒸し料理、おでんなどを作るときにも役立つ調理器具。しかし、購入するとなると、どんな土鍋を選べばいいのか迷ってしまう方も少なくありません。土鍋なんてどれも同じと思いがちですが、その素材や形状はさまざま。用途や家族の人数に合わせて、適切な土鍋を選ぶことが大切です。

そこで今回は、土鍋を選ぶ際にこだわるべきポイントや、国産土鍋の人気ブランドについて詳しく解説します。おすすめの土鍋も紹介するので、ベストな土鍋選びに役立ててみてください。

日本製の土鍋の魅力

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土鍋とは、土を材料にして作られる素焼き鍋のことで、日本が誇る伝統工芸として広く知られています。土鍋を使った料理の魅力はなんといっても調理が簡単なこと。切った食材と調味料を入れて火にかけておくだけで料理が完成します。

また、金属製の鍋と比べて加熱スピードが緩やかなので、お米や根菜類はふっくら甘く、肉類はやわらかく仕上げられるのもメリット。さらに土鍋は保温効果にも優れているので、沸騰後は弱火調理や余熱調理といったエコな使い方も可能です。

近年は、昔ながらの素焼きの土鍋のほか、IH対応のものやセラミック加工されたもの、レンジやオーブンに入れられるものなど、さまざまなタイプがあります。ライフスタイルに合わせて使勝手のよい土鍋を選びましょう。

土鍋の選び方

1.産地や加工で選ぶ

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国産の土鍋であればどれを選んでもいいというわけではありません。どんな土が使われているか、どんな窯元で焼かれているかによって、土鍋の特徴は異なります。最近は、素焼きの土鍋にセラミック加工を施した製品も登場。デザインやサイズだけで選んでしまいがちな土鍋ですが、産地や加工もチェックしてみましょう。

萬古焼

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三重県の四日市市と菰野町を中心とした窯元で製造される「萬古焼(ばんこやき)」。その発祥は江戸時代中期で、伊賀焼と並んで国の伝統工芸品に指定されています。萬古焼の土鍋は国内シェア80~90%。近年は土鍋の製造技術を活かし、IH土鍋やタジン鍋、ごはん釜などさまざまな製品が開発されています。

萬古焼の特徴は、リチウム鉱石を含んだ陶土。リチウム鉱石の働きによって、ガスレンジや炭火・空焚きにも耐える丈夫な土鍋が作られています。また、陶土は目の細かい土なので、萬古焼の土鍋は表面がなめらかで美しい仕上がり。ニオイが移りにくく、お手入れのしやすさも魅力です。

伊賀焼

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三重県伊賀市で製造されている「伊賀焼」も国が指定する伝統工芸品のひとつ。桃山時代に茶道用の陶器を焼き始め、江戸時代になってから土鍋や椀・皿といった日常雑器が作られるようになりました。

伊賀焼の優れた耐火性と蓄熱性を支えている陶土は、およそ400万年前の花崗岩(かこうがん)が風化して琵琶湖湖底に堆積したもので、亜炭などを含んでいるのが特徴です。この土を高温で焼くことで、薪の灰が緑がかったガラス質に変化。また窯内で起きた灰かぶりや焦げ・割れも、伊賀焼特有の意匠につながっています。

伊賀焼の土鍋は、粗めの土を感じさせる肌合いと、自然を感じさせる渋い色使い、どっしりとした形状が魅力。土鍋らしい土鍋を探している方におすすめです。

信楽焼

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約750年もの長い歴史を誇る、滋賀県甲賀市の「信楽焼」。聖武天皇が造った紫香楽宮(しがらきのみや)のための瓦を焼いたのが始まりといわれ、国の伝統工芸品に指定されているほか、「日本六古窯」として日本遺産にも認定されています。

信楽焼の陶土は、信楽周辺で採れる数種類の粘土を混ぜ合わせたもの。コシのある、肉厚な焼き物に適した土質なので、土鍋など大物がよく作られます。また、焼いている最中に温かみのある緋色が表れるほか、灰かぶりや焦げによって焼き物の表面に変化が出るのも信楽焼の魅力。素朴な土の味わいが感じられる、耐火性の高い土鍋をお探しの方におすすめです。

セラミック

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セラミックの土鍋は、土っぽさを感じさせない洗練されたデザインが特徴。IH対応のものが多いので、現代のライフスタイルに合わせやすい土鍋です。セラミックの土鍋は目の細かい土を材料にしているので、料理のニオイが移りにくく、お手入れしやすいのも魅力。日常的に土鍋を使いたいという方におすすめです。

セラミック土鍋のデメリットは、国産のものが少ないこと。しかし最近は、伝統的な土鍋の表面にセラミック加工をした製品も販売されています。

2.作る料理の種類や用途で選ぶ

土鍋は鍋料理だけでなく、さまざまな調理に使える便利なアイテム。土鍋で何を作りたいか、どんなときに土鍋を使いたいかを考えながら、サイズや形状を選びましょう。

ちなみに土鍋のサイズは3号が口径約13cm、10号が口径約30cm。単品料理に使うなら3号、1人鍋用は4~6号、2~3人鍋用は7~8号、4人以上で鍋をするなら9号以上を目安にしてみてください。

炊飯用ならご飯鍋

おいしくご飯を炊きたいなら、厚みのある深型の土鍋がおすすめ。ゆっくり加熱することで、お米の甘さを引き出してくれます。基本的にどんな土鍋でもご飯を炊くことはできますが、ほぼ毎日使いたいという方はご飯鍋を検討してみてください。

炊飯専用に作られているご飯鍋は、一般的な土鍋よりも深さがあり、底が丸くなっているのが特徴。鍋全体からじっくりと加熱してお米の旨みを引き出し、かまどで炊いたようなおいしさを実現します。さらに、保温性が高く適度に蒸気を逃す形状なので、水っぽくなりにくいのも魅力。

土鍋での炊飯は火加減が難しいといわれていますが、ご飯鍋はおいしく炊飯できるよう工夫が施されているので、初心者でも簡単に使いこなせます。

おでんなどの汁気が多い料理なら浅型

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おでんやポトフのように、具材が大きく汁気の多い料理には、深型の土鍋が最適。吹きこぼれにくいので、長時間じっくり煮込んで味をしみ込ませることができます。また、1人用の土鍋としても深型がおすすめ。煮込みうどんやスープパスタ、土鍋プリンなど幅広い調理に使えます。

ただし、深さがあるため鍋料理をする際に食材が取りづらいのがデメリット。しかし、容量の大きさに対して口径が狭いため、収納スペースが少なく済むのは深型土鍋の利点です。

大人数での鍋なら深型

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友人を招いて鍋パーティーをしたい方や、家族の人数が多い方には、浅型の土鍋をおすすめします。浅型の土鍋は口径が広く、大勢で鍋を囲んだときに取り分けやすいのが魅力。実際に鍋料理を出すお店でも多く使われているように、卓上で使用するなら浅型が最適です。ただし、深さがないため吹きこぼれやすいので調理中は注意しましょう。

浅型の土鍋は、大勢で楽しむ鍋料理のほか、蒸し料理や煮込みハンバーグ、ロールキャベツといった汁気の少ない調理にも使えます。

IH対応の有無で選ぶ

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IHコンロは、IHから発生した磁界に鍋やフライパンが反応して加熱する仕組み。土から作られる昔ながらの土鍋はIHで使えませんが、近年、IH対応の国産土鍋も増えてきています。

IH対応の土鍋は、セラミック仕様のものと、鍋底に発熱版を敷いて使うタイプの2種類。セラミックの土鍋がすべてIH対応ではないので注意してください。また、IH対応の土鍋であっても、底面がザラついているものだとIHコンロを傷つけてしまう恐れがあるので購入前に確認しましょう。

日本製土鍋のおすすめブランド

長谷園

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伊賀焼を代表するブランド「長谷園」。天保3年(1832年)の発祥以来、伝統と技術を守り続け、「登り窯」や「大正館」などが国の登録有形文化財になっています。長谷園が目指しているのは、土鍋製品を通して”おいしいものを楽しく食べたい”という人びとの想いに応えること。

近年は、土鍋の技術を応用した炊飯専用の土鍋「かまどさん」が話題を集めています。そのほかにも、「みそしる鍋」「ヘルシー蒸し鍋」燻製が作れる「いぶしぎん」、洋風のオーブン料理も作れる「ビストロ鍋」など多種多様な土鍋を開発しているブランドです。

三鈴陶器

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萬古焼の有名ブランドといえば四日市の「三鈴陶器」。昭和40年の創業以来、ご飯鍋・蒸し鍋・燻製鍋・パエリア鍋など、幅広い料理に使えるオリジナル製品を多数作り続けています。

三鈴陶器の耐熱陶器に対するこだわりは高く、厳選した6種類の耐熱陶土と、20種類以上の釉薬を組み合わせることでさまざまな質感の焼き物を表現。土の管理から焼き上げ過程に至るまで、熟練した職人の技術によって高品質なもの作りが保たれています。

ハリオ(HARIO)

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「ハリオ」は1921年に創業した耐熱ガラスメーカー。ガラス製のコーヒードリッパーやサーバーで有名ですが、近年、耐熱ガラス加工の技術を活かして開発した「ガラス製のフタのある土鍋」が注目を集めています。

なかでもおすすめは炊飯用の土鍋。ご飯の炊き具合が見えるほか、炊飯が終わったらホイッスルが鳴る仕組みなので、簡単においしいご飯が炊けると好評です。社名がアルファベットなので外国製ように思われがちですが、安心の日本製。ガラスフタはハリオの国内工場で製造されたもの、土鍋本体は三重県産の萬古焼です。

日本製土鍋のおすすめ

長谷園 かまどさん一合炊き CT-02

伊賀焼窯元「長谷園」のごはん炊き用土鍋。ガスの直火専用ですが、面倒な火加減なしで、かまどで炊いたかのようなふっくらとしたご飯が炊きあがると人気です。二重蓋が圧力釜のような働きを果たし、炊飯中の吹きこぼれを防止。

また、目の粗い土を使う伊賀焼の土鍋は、木製のおひつのように呼吸をするので、ご飯がベタつかないのも魅力です。白米だけでなく、炊き込みご飯や玄米も調理可能。サイズは1・2・3・5号炊きがあります。

銀峯陶器 花三島5号 21051

側面に大きな花模様があしらわれた萬古焼窯元「銀峯陶器」の花三島シリーズ。古くから家庭用のみならず業務用としても広く重用されているスタンダードな土鍋です。

出汁や食材をたっぷり入れられる深さがあり、料理を引き立ててくれるシンプルで素朴な風合いも魅力。直火はもちろん、電子レンジ・オーブンにも対応しているので、さまざまな料理に活用できます。1人用から大人数用までサイズ展開も豊富です。

長谷園 いぶしぎんミニ CK-10

手軽に燻製作りを楽しみたい方におすすめの土鍋。気になる煙や香りを外に漏らさない仕組みなので、家のキッチンで簡単に燻製が作れます。伊賀焼の陶土がもつ遠赤外線効果によって、いぶしぎんミニなら約10分で燻製が完成。

燻製に必要なチップや金網、レシピがセットになっているので、購入後すぐに燻製作りを楽しめるのも魅力です。サイズはミニ、大、小の3種類が用意されています。

ハリオ(HARIO) フタがガラスの土鍋6号 MNN-165-B

透明の耐熱ガラス製フタが付いている萬古焼の土鍋。フタをしたままでも中の様子が見えるので、焦げつきや煮え過ぎといった失敗を軽減できます。また、ベーシックなろくろ目があしらわれたシンプルモダンなデザインは、どんなインテリアにもマッチ。キッチンで調理した土鍋をそのまま食卓に置いて、大皿感覚で使うのもおすすめです。

サイズは6・8・9号の3種類。普段の炊飯はもちろん、鍋料理や煮物、リゾット作りなどさまざまな料理に使えるおすすめの土鍋です。

三鈴陶器 ごはん鍋三合炊き mis1001

簡単においしいごはんが炊ける、使い勝手のよい3合炊きの萬古焼土鍋。初めて土鍋でごはんを炊くという方におすすめです。鍋底が羽釜のように丸くなっているデザインが特徴で、あらゆる方向からお米を加熱でき、かまどで炊いたようにふっくらと炊き上がります。

冷めにくいので炊飯後はおひつ代わりに使えるほか、冷蔵庫保存や、電子レンジやオーブンでの温め直しも可能。炊飯だけでなく、みそ汁・スープなどの汁物や、煮物作りなどにも使えます。ガス直火専用である点には注意してください。

イセトー IH対応炊飯鍋2合炊 763740382

IHコンロでもガス直火でも使える、萬古焼の炊飯土鍋。IH対応セラミック(マグマテック)を土鍋の底面に焼き付けているので、土鍋自体が発熱し、食材をじっくりと加熱します。

土鍋での炊飯は難しいと思われがちですが、本製品ならかまどで炊いたようなふっくらおいしいごはんが炊飯可能。1~2分長めに炊飯すれば、香ばしいおこげも楽しめます。口径19cmと小ぶりな土鍋なので、1人鍋や煮込みうどん・雑炊・リゾットなど炊飯以外の料理にもおすすめです。

長谷園 ビストロ土鍋(2~3人用) CK-02

おしゃれな国産土鍋を探している方におすすめしたいのが本製品。無駄を削ぎ落としたシンプルなデザインなので料理が引き立ちます。直火だけでなくオーブンにも対応。2~3人分の鍋料理のほか、煮込み料理や蒸し焼き料理、パエリアや蒸しケーキなどさまざまな料理が作れます。

深さ10cmの浅型タイプなので、ホームパーティーのときには大皿代わりにも使用可能。レシピ付きなので、気軽にビストロメニューを楽しめるのも魅力です。

丸伊製陶 へちもん土鍋10号 3-1526

大人数で鍋を囲む機会が多いご家庭には、どっしりとした本製品がおすすめ。口径30cmを超える10号サイズなので、5~6人でゆったりと水炊きやしゃぶしゃぶを楽しめます。

鍋料理だけでなく、おでんや季節の炊き込みご飯を作るのにも最適。信楽焼らしい赤みがかった色や、素朴な土を感じさせる質感も人気があります。ちなみに、「へちもん」とは信楽の職人の言葉で「風変わりなもの」という意味。個性的で風変わりな信楽焼の魅力を実感できる土鍋です。

ambai 土鍋

一見土鍋とは思えない見た目が特徴の萬古焼の土鍋です。美しいデザインは、日本を代表する家具デザイナー小泉誠氏によるもの。外見だけでなく機能性も十分で、IH・ガス直火・電子レンジ・オーブン・食器洗浄機に対応しています。

蓄熱性と保温性に優れているのも魅力のひとつ。鍋全体を温めて調理できるので、炊飯や煮込み料理などもおいしく仕上がります。ごはんが炊き上がったあと、フタを付属の木蓋に変えれば、おひつとしても使用可能です。

銀峯陶器 菊花土鍋6号 mhi920614

菊の花をデザインしたフタと、黒い鍋のコントラストが印象的な萬古焼の窯元「銀峯陶器」。”エコ・ラク・安全”をキーワードに機能とデザインにこだわった土鍋です。

短時間で沸騰しますが冷めにくいので家計に優しく、ニオイ・汚れが付きにくい仕様なのでお手入れも簡単。さらに、同社従来品より軽量化することで、女性でも扱いやすいのが魅力です。直火・オーブン・電子レンジに対応し、用途や好みに合わせてサイズやフタのカラーを選べます。