フィルムカメラ時代に使われていた古い交換レンズがオールドレンズです。最近のシャープな交換レンズと違い、光を柔らかく表現したレトロな描写が味わえます。
そこで今回は、オールドレンズのおすすめをご紹介。選び方や購入時の注意点についても詳しく解説するので、目的のオールドレンズを探す際の手引きとして活用してみてください。
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オールドレンズとは?
オールドレンズとは、フィルムカメラが普及していた時代に製造・発売された古い交換レンズのこと。特に、大量生産が主流となるよりも古い時代のオールドレンズは、金属鏡筒を採用した高品質なモデルも多く、独特な描写を可能とします。
当時の描写を現代のデジタル一眼カメラでも手軽に楽しめるのがオールドレンズのおすすめポイント。対応するマウントアダプターを介することで、手持ちのデジタル一眼レフやミラーレス一眼にも装着して撮影できます。
オールドレンズは大半がマニュアルフォーカス専用。ピント合わせや露出も含めて全て手動で撮影を楽しみたい方にもおすすめです。
オールドレンズの魅力
レトロで味のある描写が楽しめるのがオールドレンズの魅力です。最近の交換レンズと比べて彩度やコントラストが弱めなのが特徴。特に、絞り開放時は光が柔らかく表現された幻想的な描写になります。
印象的な演出効果が使えるのもオールドレンズの人気ポイント。最近のレンズよりもフレアやゴーストが写り込みやすく、画像の周辺部が暗くなる周辺減光も目立ちやすくなっています。再現性を重視するときはなるべく避けたい描写のクセですが、作品にうまく取り込むことで芸術的な効果として活用可能です。
価格の安いモデルが多いのもオールドレンズのメリット。高価で高性能な現代の交換レンズと違って、大半のオールドレンズはわずか数千〜数万円で入手できます。少ない予算で作品に個性的な彩りを加えたい方にもおすすめです。
オールドレンズを購入する際の注意点
オールドレンズの購入時は現行品の交換レンズを買うとき以上に注意が必要です。原則的にオールドレンズは生産完了から数十年が経ったモノになるため、大半のモデルは中古での取り扱いが基本。現行品の中古以上に状態の悪いモデルもあります。
購入時に確認したい項目は傷・汚れ・チリやカビの混入など。特に注意が必要なのがカビで、カビが広がると完全には除去するのが困難になる場合もあります。
オールドレンズの画質や保管に大きな悪影響を及ぼすので、取り扱い店舗で念入りに確認してもらうなど、事前に状態をチェックするようにしましょう。
一部のオールドレンズは価格にも注意。独特なボケ描写が得られるモデルや、製造本数の少ないモデルは価格にプレミアが付く場合があります。
オールドレンズの選び方
カメラのセンサーサイズとマウントに合わせて選ぶ
オールドレンズを選ぶ際は使用するカメラのセンサーサイズに注意。大半のオールドレンズは35mm判フィルムに対応したカメラ向けに作られており、カメラのセンサーサイズによって画角が変わります。35mm換算の焦点距離を計算する際の倍数は、APS-Cセンサーを採用するカメラでは焦点距離の1.5倍、マイクロフォーサーズ機では2倍です。
例えば、24mmのオールドレンズを装着する場合、35mmで換算するとAPS-C機では36mm相当に、マイクロフォーサーズ機では48mm相当の焦点距離になります。オールドレンズ本来の画角を生かしたい場合は、フルサイズ機で使うのがおすすめです。
マウント規格の確認も必須。手持ちカメラとオールドレンズの双方に適合するマウントアダプターがないと装着できないため注意しましょう。なお、ミラーレス一眼は構造上の特性で取り付けの調節がしやすいため、マウントアダプターの選択肢も一眼レフより豊富に用意されています。
焦点距離で選ぶ
広角レンズ
広角レンズとは、35mm以下の焦点距離を採用する交換レンズのことです。肉眼で周囲を見渡しているときの視野と同等以上の広い画角が得られるのが特徴。画面内に広範囲を記録できるため、広大な風景や巨大な建築物などを撮影する場合にもおすすめです。
遠近感が誇張されるのも広角レンズのポイント。近くの被写体が肉眼で見た場合よりも大きく、遠くの背景が小さく写るので、ダイナミックな表現が可能です。後ろに下がれない状況で部屋を実際よりも広く写す際にも重宝します。
広角のオールドレンズは小型センサー搭載のデジタル一眼で使用する場合にも活躍。APS-C機やマイクロフォーサーズ機に装着しても比較的広い画角を維持できるため、フルサイズ機以外のユーザーにも人気があります。
標準レンズ
標準レンズは、50mm前後の焦点距離を採用する交換レンズのことです。人の視野に近い画角が得られるのが特徴。主題を明確に強調できるため、スナップやテーブルフォトなど多彩なジャンルの撮影に活用できます。
自然な遠近感で描写できるのも標準レンズのポイント。近くの被写体も遠くの背景も肉眼で見たときに近いサイズ感で記録できます。描写特性にクセがなく、初心者でも扱いやすいので、オールドレンズでも初めての1本としておすすめです。
標準のオールドレンズは選択肢が豊富。各メーカーがさまざまなバリエーションを販売していたこともあり、中古市場でも多彩な標準レンズが流通されているため、自分の好みに合う1本が見つけやすくなっています。
望遠レンズ
望遠レンズは、70mm以上の焦点距離を採用する交換レンズのことです。対象物を凝視したときの視野よりも狭い画角が得られるのが特徴。遠くの被写体を引き寄せて大きく写すのに長けているため、遠くの風景や人物などの撮影に重宝します。
遠近感が圧縮されるのも望遠レンズのポイント。焦点距離が長くなるほど、被写体と背景との距離感が消失してサイズ差がなくなり、迫力のある一枚が撮影できます。大きなボケ味も得やすくなるので、ポートレート撮影にもおすすめです。
なお、原則手ブレ補正機構は非搭載のため、解像感を重視するならボディ内補正に対応するカメラや三脚と併用しましょう。
種類の多さを重視するなら「単焦点レンズ」を選ぶ
オールドレンズを探すなら単焦点レンズから選ぶのがおすすめです。中古市場でも豊富なラインナップを用意。自分の撮影する被写体や使いたい表現に適した焦点距離を持つオールドレンズがより見つけやすくなっています。
ズームレンズと比べて軽量コンパクトで扱いやすいのが単焦点レンズの魅力。また、開放F値の小さいモデルも多いため、オールドレンズ特有の柔らかな描写もより楽しみやすくなっています。
ただし、画角を変えられないのが難点。シーンに応じてレンズを交換する必要はありますが、オールドレンズでの撮影の醍醐味をより強く実感できます。
オールドレンズのおすすめメーカー
ニコン(Nikon)
ニコンは東京の港区に本社を置く1917年創業の老舗光学機器メーカーです。フィルム時代はレンジファインダーカメラや一眼レフ向けの交換レンズを積極的に開発。LIFE誌の専属だったデビット・ダグラス・ダンカン氏から品質を高く評価されたことをきっかけに、世界に認知されました。
現行のデジタル一眼レフでも使えるモデルが多いのがニコンのオールドレンズが持つ特徴です。1959年登場のニコンF以降に発売された一眼レフ用の交換レンズは、現在も続く「Fマウント」を採用。大半がマウントアダプター不要でDシリーズのデジタル一眼レフに直接装着できるため、オールドレンズを手軽に活用したい方にもおすすめです。
ライカ(LEICA)
ライカはドイツのヴェッツラーに本社を置く光学機器メーカーです。1954年に現在まで続くM-Systemの元祖となる「ライカM3」を開発したことでも有名。画質と機動力を両立したレンジファインダーカメラの理想系として、数多くの著名な写真家などに愛用されてきました。
高級感あふれる画質と外観が手軽に味わえるのがライカのオールドレンズが持つ特徴です。現行のMレンズは50〜100万円以上する高価なモノが多いのに対し、同じMマウントのオールドレンズは数万円程度で購入できる場合もあります。コストをできるだけ抑えつつ、オールドライカの魅力を堪能したい方におすすめです。
キヤノン(Canon)
キヤノンは東京の大田区に本社を置く1937年創業の大手精密機器メーカーです。FDマウントのオールドレンズを多くラインナップしており、キヤノンユーザーを中心に人気を集めています。
発色のよさで定評があるのがキヤノンのオールドレンズが持つ特徴です。レトロながらもモダンレンズに近い鮮やかな色彩描写が楽しめます。さらに、レンズ交換をしても色味がほぼ一定に保たれているのも魅力。組写真や動画の作品撮りにもおすすめです。
オリンパス(OLYMPUS)
オリンパスは東京の新宿区に本社を置く1919年創業の光学・電子機器メーカーです。OM SYSTEMブランドでミラーレス一眼を手掛けるOMデジタルソリューションズは同社の映像事業部が前身。OM-1やオリンパスペンFなどの人気一眼レフを数多く手掛けてきました。
軽量コンパクトなモデルが多いのがオリンパスのオールドレンズが持つ特徴です。OMマウントを採用するOMシリーズ向けの交換レンズは、35mm判フィルムに対応しながら携帯性も重視して設計されています。小型のミラーレス一眼とも相性が良好なので、現行のOMシリーズやPENシリーズを愛用している方にもおすすめです。
ペンタックス(PENTAX)
ペンタックスは光学電子機器メーカーのリコーが展開するカメラブランドです。1919年の創業当初は旭光学工業という社名で活動しており、1952年に日本初の一眼レフカメラを開発したことでも有名。現代に至るまで一眼レフやレンズの開発に積極的に携わっています。
優れたコスパで人気があるのがペンタックスのオールドレンズが持つ特徴です。スクリュー式のM42マウントを採用するモデルは、安く購入できるモノも多いので初心者にもおすすめ。また、等倍撮影が可能なレンズも出回っており、花や料理などのテーブルフォト撮影に重宝します。
富士フイルム(FUJIFILM)
富士フイルムは東京の港区に本社を置く精密化学メーカーです。1970年代はフィルム一眼レフのフジカSTシリーズ向けにM42マウントをベースに採用した交換レンズを開発。上質な描写力が魅力です。
柔らかで美しいボケ味が楽しめるのが富士フイルムのオールドレンズが持つ特徴です。なかには、輪郭に縁取りがあるショボン玉のような形状のバブルボケを作れるモノも存在するので、個性的なボケ表現を追求したい方にもおすすめです。
カール・ツァイス(Carl Zeiss)
カール・ツァイスはドイツのオーバーコッヘンに本社を置く光学機器メーカーです。PlanarやDistagonなどを開発したことでも有名。1970年代はヤシカが製造したCONTAX向けに専用レンズを提供しており、描写力の高さは今も根強い人気があります。
多くのファンを魅了する上質な写りが堪能できるのがカール・ツァイスのオールドレンズが持つ特徴です。名玉と呼ばれるモデルが多く、中古市場では今もやや高値で取引されています。スナップやポートレートなどの本格的な作品撮りにもおすすめです。
オールドレンズのおすすめ
ニコン(Nikon) Ai Nikkor 35mm F2.8
1977年にニコンが発売した広角単焦点オールドレンズです。片目の視野に近い画角が得られる焦点距離35mmを採用。APS-C機では53mm相当の標準レンズとしても使えます。
ニコンの現行デジタル一眼レフと同じFマウントを採用しているのもポイント。Ai化以後のモデルなので、Dシリーズの一眼レフならマウントアダプター不要で直接装着できます。手軽にオールドレンズを活用したいニコンユーザーにもおすすめです。高コントラストでシャープな描写が楽しめます。
ライカ(LEICA) Summicron 5cm F2
ライカM3と同じ1954年発売の標準単焦点オールドレンズです。「初代沈胴式ズミクロン 5cm」として、現代まで続くズミクロンの元祖となった名玉。かつて有名写真家アンリ・カルティエ・ブレッソンが愛用したともいわれています。
「空気まで写る」といわれた優れた描写性能もポイント。絞り開放付近では柔らかなボケと色滲みが現れ、F5.6以上に絞るとシャープな写りが得られます。オールドレンズ特有の多彩な描写を楽しみたい方にもおすすめです。
沈胴構造を採用しているのも魅力。高品位な金属鏡胴は撮影を終えたらコンパクトに収納できるので、簡単に持ち運びや収納が可能です。取り付け部はスクリュー式のL39マウントを採用。M-SystemにはL/M変換リングを使えば装着できます。
キヤノン(Canon) FD 50mm F1.4 S.S.C.
1973年にキヤノンが発売した標準単焦点オールドレンズです。取り付け部はFDマウントを採用しており、FD→RF変換アダプターでEOS Rシリーズでも使えます。
発色が良好なのもポイント。オールドレンズながらきれいな色乗りで撮影できます。また、同シリーズの交換レンズは色合いが統一されているため、組写真や動画の制作用としてもおすすめです。鏡胴には金属が使われており、重厚な仕上がりの外観と操作性も楽しめます。
オリンパス(OLYMPUS) ZUIKO AUTO-W 28mm F2.8
オリンパスが発売した広角単焦点オールドレンズです。両目で見渡したときの視野に近い画角が得られる焦点距離28mmを採用。マイクロフォーサーズのミラーレス一眼に装着しても56mm相当の標準レンズとして使えます。
携帯性が優れているのもポイント。取り付け部にOMマウントを採用することで、開放F2.8の明るさを持ちながら、重さ約170g、全長約32mmと軽量コンパクトに作られています。軽快に街中でのスナップ撮影を楽しみたい方にもおすすめです。絞り開放からコントラストが高く、クリアな発色とシャープな描写が楽しめます。
ペンタックス(PENTAX) Super Macro Takumar 50mm F4
1964年にペンタックスが発売した標準マクロのオールドレンズです。取り付け部にはM42マウントを採用しており、現行のペンタックス一眼レフには変換アダプターを使えば装着可能。価格がリーズナブルなので、コスパ重視の方にもおすすめです。
ヘリコイドを回転して鏡筒を繰り出します。等倍撮影に対応するのもポイント。小さな花や料理の一部を大きく写すのに長けているため、テーブルフォト撮影にも重宝します。
焦点距離は汎用性の高い50mmで、APS-C機では75mm相当の中望遠レンズとしても使用可能。絞り開放時は周辺減光がややあるものの、発色や解像感は良好です。
富士フイルム(FUJIFILM) FUJINON 55mm F2.2
1970年代に富士フイルムが発売した標準単焦点オールドレンズです。当時、標準レンズキットとして付属していたモデル。エントリーレンズながら独特な描写性能を持つことで注目を集めています。
絞り開放付近で玉ボケの輪郭にはっきりとした縁取りが現れるバブルボケが楽しめるのがポイント。夜景のイルミネーションなどを幻想的に演出したい方にもおすすめです。また、逆光ではフレアが出やすいため、あたたかみのある柔らかな描写も味わえます。
焦点距離は普段の視野に近い55mmで、APS-C機では82.5mm相当の中望遠レンズとして使用可能。ポートレートなどにも重宝します。
カール・ツァイス(Carl Zeiss) Planar T* 85mm F1.4
1975年にカール・ツァイスが発売した中望遠単焦点オールドレンズです。数多くの写真家を魅了したポートレートレンズで、マウント規格にはYashica/CONTAXを採用。作りの完成度が高く、人物写真の作品撮りなどに活用できます。
F値によって多彩な描写が楽しめるのもポイント。絞り開放付近では上質なボケ味によって淡く柔らかな印象になり、F5.6程度まで絞ると高コントラストでシャープな描写へと変わります。目的に応じて異なる描写を使い分けたい方にもおすすめです。
オールドレンズとしては価格がやや高価ですが、写りだけではなく高品位な佇まいを堪能できるのも魅力。焦点距離は対象を凝視したときの視野に近い画角が得られる85mmで、APS-C機では127.5mm相当とより長めの中望遠レンズとしても使えます。
ミノルタ(MINOLTA) MC ROKKOR-PF 55mm F1.7
ミノルタが1966年に発売した標準単焦点オールドレンズです。取り付け部はSRマウントを採用しており、Eマウントのミラーレス一眼にはSR/E変換アダプタで装着できます。
手頃な価格ながらオールドレンズならではの上質な描写が味わえるのもポイント。全体的に柔らかく、逆光ではゴーストやフレアがきれいに現れます。どこか懐かしさを感じさせるレトロな雰囲気で作品撮りを楽しみたい方にもおすすめです。
本オールドレンズは美しいコーティングが施されていることでも有名。「緑のロッコール」という異名でも知られており、レンズを光にかざすと表面がエメラルドグリーン色に反射します。
ヘリオス(Helios) Helios-44 58mm F2
ロシアで製造された標準単焦点オールドレンズです。良質な描写が手軽に楽しめることから根強い人気を有しています。
ボケの輪郭が渦巻き状に変形する「ぐるぐるボケ」が楽しめるのもポイント。絞り開放時に小さな光源を背景に置いてぼかすと、独特な描写になります。木漏れ日やイルミネーションを背にポートレートを撮影する場合などにおすすめです。
対応するマウントアダプターが豊富に用意されているM42マウントを採用しているのも魅力。焦点距離は58mmで、APS-C機では87mm相当の中望遠レンズとなり、よりポートレート撮影に活用しやすくなります。
ジュピター(JUPITER) JUPITER-37A 135mm
ロシアで作られた望遠単焦点オールドレンズです。戦前に使われていたオールドレンズの描写が手頃な価格で楽しめるので、コスパ重視の方にもおすすめです。
数m離れた被写体をドラマチックに浮かび上がらせるのに長けた焦点距離135mmを採用しているのもポイント。街角で市井の人々を記録するスナップポートレートなどに重宝します。コントラストは低めで、逆光時はフレアの影響も強め。オールドレンズならではのレトロな描写が楽しめます。
現代レンズでは得られないあたたかみのあるレトロな描写が手頃な価格で楽しめるのがオールドレンズの魅力です。また、バブルボケやぐるぐるボケなど個性的なボケ表現が可能なモノも存在します。ぜひ気になったオールドレンズを入手して、懐かしくも新鮮な写りを体感してみてください。