富士フイルムがAPS-Cミラーレス一眼向けに開発しているのが「富士フイルムのレンズ」。優れた画質と色再現が堪能できるため、仕上がりに強いこだわりのある多くのプロやベテランユーザーにも愛用されています。
そこで今回は、初〜中級者向けのモデルを中心に、富士フイルムのXマウントでおすすめの交換レンズをご紹介。選び方も解説するので、レンズ選びの参考にしてみてください。
富士フイルムのレンズの魅力

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高画質を実現しているのが富士フイルムのレンズの魅力です。富士フイルムが独自開発したイメージセンサー「X-Trans CMOS」の性能を最大限に発揮できるよう設計されており、APS-Cミラーレス用ながらフルサイズに匹敵する高解像度が得られます。
優れた色再現性もXマウントレンズのメリット。画像処理エンジンが出力する色彩を忠実に再現できるように、各レンズでカラーバランスが細かく調節されています。印象強く記憶に残る「記憶色」や、往年のフィルムを再現した「フィルムシミュレーション」など、富士フイルム独自の色彩表現を存分に堪能したい方にもおすすめです。
小型軽量で持ち運びやすいモデルが多いのもXマウントレンズの人気ポイント。撮影へ気軽に持ち出せるのはもちろん、プロユースの高画質を軽快なフットワークで楽しめるため、旅行など移動量の多いシーンにも重宝します。
マウントごとの特徴

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富士フイルムでは開発した全ての交換レンズを総称して「FUJINON」というブランド名を使用。また、FUJINONブランドのミラーレス一眼用レンズには、主流である「Xマウント」のほか、「Gマウント」を採用したモノも提供されています。
Gマウントレンズは、フルサイズよりも大きなラージフォーマット(中判)のイメージセンサーを採用するミラーレス一眼「GFXシリーズ」専用に開発されたモノ。富士フイルムで最高峰の画質を実現しているのが特徴で、第一線で活躍する風景写真家やファッションカメラマンなどに愛用されています。
Xマウントレンズは、APS-Cミラーレス一眼「Xシリーズ」専用に開発されたモノ。高画質と携帯性を両立しているのが特徴で、初心者からプロまで幅広いユーザーにおすすめです。なお、本記事ではXマウントレンズについて詳しく紹介します。
富士フイルムのレンズの選び方
ズームレンズか単焦点レンズかで選ぶ

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交換レンズ選びでまず決める必要があるのがレンズのタイプです。ズーム機構を搭載するズームレンズと、搭載しない単焦点レンズの2種類に分かれており、それぞれに一長一短があります。自分の撮影目的により適した交換レンズを選びましょう。
ズームレンズの特徴は、ズーム操作によって画角(写る範囲)を変更できること。画質や表現力では単焦点レンズには敵いませんが、撮影場所に制限がある場合でも被写体の写る大きさや取り込む背景の範囲を柔軟に調節できます。
一方で、単焦点レンズはワンランク上の画質と豊かな表現力が味わえるのが特徴。明るく設計されているため暗いシーンでも鮮明に記録でき、背景や前景をぼかした表現も簡単に楽しめます。使いこなしには慣れが必要なので、撮影スキルを上達させたい方にもおすすめです。
被写体を大きく写すならマクロレンズを選ぶ

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画面一杯に被写体を大きく写し出したい場合は「マクロレンズ」を選ぶのがおすすめです。実物の被写体とイメージセンサー上に写る像のサイズ比を「撮影倍率」と呼びますが、マクロレンズでは最大時の撮影倍率が等倍(1倍)になるよう設計されています。
センサー上でも実寸大で表示できるため、花や料理の一部を大きく写したり、小さな昆虫などを記録したりする場合にも便利。なお、富士フイルムのXマウントでは標準から中望遠まで3種類のマクロレンズが用意されており、目的に応じた使い分けも可能です。
合焦可能な「撮影距離」が短く設計されているのもマクロレンズの重要ポイント。至近距離まで被写体に近づいてもAFでピントを合わせられるので、レストランなどで席から立ち上がらずに料理を撮影したい場合にも重宝します。
レンズの機能や表記を確認して選ぶ

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機能も交換レンズを選ぶ際に確認したいポイントです。焦点距離や開放F値に加えて、搭載する機能もレンズ名に記載されているのが富士フイルムのXマウントレンズの特徴。表記を見るだけで交換レンズの基本情報が把握できるため、必要な機能を搭載するレンズを探す際に役立ちます。
富士フイルムで基本的な機能の表記はR・LM・OIS・WRの4種類。「R」は絞りリングを鏡筒に搭載していることを示しており、昔ながらのクラシックな操作スタイルで撮影が楽しめます。「LM」記載のレンズはリニアモーターを内蔵しているので、高速かつ静かなAF駆動が可能です。
「OIS」表記のあるモデルは、光学式手ブレ補正機構を搭載。暗いシーンでの手持ち撮影でもシャープで安定した描写が得られます。「WR」は防塵・防滴構造を採用したレンズのこと。アウトドアでも積極的に使用したい方におすすめです。
F値で選ぶ

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交換レンズの性能を決める重要な項目が「F値」です。F値とは、レンズの明るさを示す指標に使われている数値のこと。また、レンズで使用中の焦点距離で設定できる最も小さいF値のことを「開放F値」と呼び、レンズ性能を把握する際の参考にします。
同じ焦点距離でも開放F値が小さいレンズほど、より多くの光量を取り込めるのがポイント。暗いシーンの撮影に有利なほか、ボケで被写体を立体的に浮かび上がらせた表現や、高速シャッターで被写体の動きを止めた表現も楽しめます。
初心者からのステップアップには、ズーム全域で開放F4通しのズームレンズや、開放F2前後の単焦点レンズがおすすめ。カメラに付属するキットズームと比べて明るく設計されているため、さまざまなシーンの撮影により柔軟に対応しやすくなります。
焦点距離で選ぶ

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「焦点距離」とは、合焦時のレンズ中心からイメージセンサーまでの距離のこと。設定した焦点距離によって画角が決まります。なお、富士フイルムのXマウントレンズでは、レンズ名に表記された焦点距離の約1.5倍に相当する画角で撮影可能です。
採用する焦点距離によって、レンズが主に標準・広角・望遠の3種類に分かれるのもポイント。「標準レンズ」はAPS-CサイズのXマウントでは焦点距離35mm前後のレンズが該当しており、人間が普段見ている視野に近い範囲を自然な遠近感で切り取れます。描写に癖がなく、扱いやすいため、多彩なシーンの撮影で活躍が可能です。
「広角レンズ」は23mm以下のレンズが該当。見わたした以上の広範囲をダイナミックに記録できるので、広大な風景や巨大な建築物などの撮影におすすめです。「望遠レンズ」は50mm以上のレンズが該当。凝視した以上に狭い範囲を引き寄せて大きく写せるため、ポートレートや動く被写体などの撮影で多用されています。
富士フイルムのレンズのおすすめ
富士フイルム(FUJIFILM) FUJINON XF27mmF2.8 R WR
携帯性に優れた富士フイルムXマウントの薄型標準単焦点レンズです。重さ約84g、全長約23mmと軽量スリムに設計されているのが特徴。カメラに装着してもかさばりにくいので、コンデジ感覚でスナップ撮影を楽しみたい方にもおすすめです。
広角域と標準域の中間に位置する換算41mm相当の画角を採用しているのもポイント。やや広めの範囲を自然な描写で直感的に記録可能です。また、周辺部の歪曲を抑えつつ、高精度なAFが使えるため、建築や人物などの撮影にも活用できます。
F値指標付きの絞りリングを鏡筒に搭載しているのも便利。電源オフ時でも設定中のF値を目視できるので、急なシャッターチャンスにも適切なピント範囲で素早く対応できます。さらに、「Aポジションロック」も備えており、不意の誤操作も防止可能です。
富士フイルム(FUJIFILM) FUJINON XF16mmF1.4 R WR
臨場感を伝えやすい富士フイルムXマウントの大口径超広角単焦点レンズです。肉眼の視野よりもわずかに広い範囲を写し取る換算24mm相当の画角を採用。また、開放F1.4と光量の乏しい暗所でも鮮明に記録しやすいので、夜景や星空の作品撮りにもおすすめです。
優れた逆光耐性を備えた反射防止技術「ナノGIコート」が施されているのもポイント。光量の強い街灯や夕陽が画面内に入っても抜けのよい描写が得られます。さらに、最短撮影距離15cmと接写性能に優れており、被写体に接近すれば、広角マクロ風の表現を楽しめるのもメリットです。
ピントリングを手前に引くことで、AFからMFへ素早く移行できる「クラッチフォーカス」を搭載しているのも魅力。加えて、DCコアレスモーターを採用し、近距離でも瞬時にAFでのピント合わせも可能です。
富士フイルム(FUJIFILM) FUJINON XF23mmF1.4 R LM WR
富士フイルムXマウントの大口径広角単焦点レンズです。自然体で眺めたときの視野に最も近い範囲を切り取れる換算35mm相当の画角に対応。開放F1.4による明るさも備えているので、日没後のスナップ撮影にもおすすめです。
最短撮影距離19cm、最大撮影倍率0.2倍と優れた接写性能を備えているのもポイント。被写体に接近すれば、背景を広く取り込みつつボカした構図も可能です。
重さ約375g、全長約77.8mmと持ち運びやすいのもメリット。また、防塵・防滴構造を採用しているため、雨の日ならではの光景も記録できます。
富士フイルム(FUJIFILM) FUJINON XF33mmF1.4 R LM WR
富士フイルムXマウントの大口径標準単焦点レンズです。普段の視野を自然な描写で切り取れる換算50mm相当の標準画角を採用。加えて、開放F1.4と明るいので、暗所にも強く、豊かで美しいボケ表現も手軽に楽しめます。
光学系に補正レンズを採用しているのもポイント。細部まで色にじみや歪曲を抑えたクリアな高画質を実現しています。また、リニアモーターによってAFは高速かつ静か。最短撮影距離は30cmと短く、テーブルフォトなどの撮影にも重宝します。
重さ約360g、全長約73.5mmと軽量かつコンパクトで携帯しやすいのも魅力。さらに、防塵・防滴構造によってアウトドアでも活用できます。
富士フイルム(FUJIFILM) FUJINON XF16-80mmF4 R OIS WR
汎用性に優れた富士フイルムXマウントの標準ズームレンズです。広角24〜中望遠122mm相当の広い画角をカバーしながら、ズーム全域で開放F4を実現。ワンランク上の画質が得られるので、初心者からのステップアップにもおすすめです。
重さ約440g、全長約88.9mmと小型かつ軽量なのもメリット。また、防塵・防滴構造や最高6段分の手ブレ補正も搭載しており、雨の日や暗いシーンでの撮影にも活用できます。
ピント合わせ可能な最短撮影距離が35cmと短いのもポイント。加えて、望遠端で最大撮影倍率0.25倍のクアッドマクロ撮影にも対応します。
富士フイルム(FUJIFILM) FUJINON XF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WR
1本で多彩なシーンに対応できる富士フイルムXマウントの高倍率ズームレンズです。7.5倍のズーム比に対応しており、フルサイズ換算で広角27〜望遠206mm相当の幅広い画角が使用可能。旅行など荷物をできるだけ少なくしたい場合におすすめです。
最高5段分の補正効果が得られる、光学式手ブレ補正機構「OIS」を内蔵しているのもポイント。三脚が使えない観光地でも手持ちで安定した撮影が可能です。また、リニアモーターも採用しているため、駆動音を抑えたい動画撮影にも活用できます。
高倍率ながら重さ約490g、収納時の全長約97.8mmと軽量かつコンパクトなのも魅力。加えて、レンズ鏡筒の各部にシーリングによる防塵・防滴構造も施されています。
富士フイルム(FUJIFILM) FUJINON XF10-24mmF4 R OIS WR
広範囲をダイナミックに切り取れる富士フイルムXマウントの超広角ズームレンズです。超広角15〜準広角36mm相当をカバーしながら、ズーム全域で開放F4を実現。多彩な広角表現が高画質で楽しめるので、風景や夜景の作品撮りにもおすすめです。
防塵・防滴構造によってアウトドアでも使用可能。また、レンズ単体で3.5段分、補正機構を搭載するカメラとの協働で最高6.5段分まで効果を向上できる手ブレ補正機構も搭載しています。
動画撮影時にも起こりがちな絞りリングの誤操作を防げる「Aポジションロック機構」も便利。加えて、ピント位置を変更した際に画角が小刻みに変動するフォーカスブリージング現象も抑えられており、録画中のピント送りも自然に演出できます。
富士フイルム(FUJIFILM) FUJINON XF60mmF2.4 R Macro
多目的に活用できる富士フイルムXマウントの中望遠マクロレンズです。最短撮影距離26.7cmで、最大撮影倍率0.5倍のハーフマクロ撮影に対応。被写体を実寸の半分で記録できます。
換算91mm相当の画角に対応する中望遠単焦点レンズとして使えるのもポイント。被写体のモデルと会話しながら撮影を進めるのに程よい距離感を確保でき、バストアップ構図で記録するのに適しているため、ポートレートの作品撮りにもおすすめです。
富士フイルム(FUJIFILM) FUJINON XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macro
風景撮影に重宝する富士フイルムXマウントの中望遠マクロレンズです。最短撮影距離25cmで最大撮影倍率1倍のマクロ撮影に対応。やや離れた位置からでも小さな被写体を大きく写せるので、昆虫や動物などの撮影にもおすすめです。
さまざまな補正レンズを贅沢に採用したレンズ構成によって、近接距離でも細部まで色にじみを抑えたシャープな描写が得られるのもポイント。また、AFシステムも近接撮影に最適化されており、ピント合わせで鏡筒の全長が変わらないため、接写時にレンズ先端が被写体に接触するリスクを減らせます。
5段分の手ブレ補正機構を内蔵しているのも魅力。マクロ撮影でより顕著になるシフトブレも検出できるので、三脚が使えないシーンでも高精度な構図決めが可能です。
富士フイルム(FUJIFILM) FUJINON XF70-300mmF4-5.6 R LM OIS WR
遠くの被写体を大迫力で切り取れる富士フイルムXマウントの超望遠ズームレンズです。重さ約580g、全長約132.5mmの小型軽量ボディで、中望遠107〜超望遠457mm相当の画角に対応。スポーツ・鉄道・動物などの動体撮影にもおすすめです。
別売りテレコンとの併用で最長914mm相当まで延長できるのもポイント。本来は巨大なレンズが必要な野鳥や飛行機の撮影にも活用できます。さらに、全域で最短撮影距離83cmの近接撮影も可能。最大撮影倍率0.5倍のハーフマクロ撮影にも対応するので、昆虫や小動物を撮影する際には望遠マクロレンズの代わりにもなります。
アウトドアでの撮影に欠かせない防塵・防滴構造も採用。リニアモーターによる高速・静音のAF駆動や、最高5.5段分の手ブレ補正機構も備えています。
富士フイルムのレンズは2012年にスタートしており、10年以上が経った現在では多数の製品をラインナップしています。加えて、国産ならではの高品質なものづくりを堪能できることでも人気。ぜひ気になったXマウントレンズを入手して、さらなる撮影の楽しみを体感してみてください。