広い画角が必要なシーンの撮影で欠かせないのが「広角レンズ」です。キットズームの広角側よりも広い範囲を切り取れるので、広大な風景をダイナミックに表現したり、テーブルフォトを楽な姿勢で撮影したりする場合にも重宝します。

そこで今回は、広角レンズの特徴や選び方を解説。初心者から中級者向けのモノを中心に各メーカーでおすすめの広角レンズもご紹介していくので、初めての広角レンズを選ぶ際の参考にもしてみてください。

広角レンズとは?焦点距離は何ミリから?

広角レンズとは、標準レンズよりも広い範囲を撮影できるカメラレンズのこと。標準レンズでは人間が普段見ている視野に近い画角(撮影範囲)が得られる50mm前後の焦点距離が採用されていますが、広角レンズでは焦点距離がより短く設計されています。

具体的には、フルサイズ換算の焦点距離が35mm以下のカメラレンズが広角レンズに該当。ちなみに、焦点距離が20mm以下のモノを超広角レンズと呼び、人間の視野を遥かに超える広い範囲が撮影できます。

カメラ購入時に付属するキットズームの広角側でも基本的な広角撮影は可能です。しかし、広角レンズは焦点距離を広角側により拡張した設計が採用されているので、キットズームよりも自由度の高い広角撮影が楽しめます。

広角レンズはどのようなシーンの撮影におすすめ?

壮大な風景

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広角レンズが特に活躍する用途が風景撮影です。普段の視野よりも広い範囲を画像に収められるのが広角レンズの特徴。キットズームでは撮影が難しかった広大な風景もより広範囲を切り取ることが可能です。風景・夜景・星空風景などの画角の広さが重要になる撮影で重宝します。より充実した風景撮影を楽しみたい方におすすめです。

遠近感が誇張されるのも広角レンズのポイント。近くのモノを実際よりも大きく、遠くのモノを小さく描写できるので、眼前に広がる風景をよりダイナミックに表現可能です。また、広角レンズは広範囲にピントが合いやすい性質も備えているため、画面の手前から奥までピントを合わせた「パンフォーカス撮影」も行いやすくなっています。

狭い空間

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広角レンズは室内の撮影にも適しています。広範囲を切り取れるので、部屋の隅々まで画像に収められるのが広角レンズの特徴。また、部屋が狭く、撮影スペースを確保するために後ろに下がれる余裕がない場合でも、画角の広さでカバーできるため、狭い空間で撮影を行う場合にも重宝します。

遠近感の誇張効果も狭い空間の撮影には有効。手前の柱を大きく、奥の柱を小さく描写する性質を利用することで、部屋などの空間を実物よりも広く表現できます。空間が持つ開放的な雰囲気をより強調できるので、ライブ会場や不動産の物件などをより魅力的に見せたい場合などにもおすすめです。

テーブルフォト

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テーブルフォトの撮影にも広角レンズは便利。大半の広角レンズは被写体にピントを合わせられる最も近い距離である「最短撮影距離」が短く設計されています。卓上に置かれた被写体にも、席に座ったままで体をのけぞることなく焦点を合わせられるため、訪れたカフェやレストランで料理を撮影する場合などにもおすすめです。

広角レンズは画角が広いので、卓上の一面に並べられた豪華なコース料理も簡単に画像に収められるのもポイント。また、キットズームの広角側よりも背景を広く取り込めるため、背景を意識しつつ料理に近づいた状態で撮影すれば、料理を食べたカフェやレストランの雰囲気もより鮮明に記録できます。

広角レンズの選び方

焦点距離をチェック

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広角レンズを選ぶ際に最初に確認したいのが焦点距離です。標準レンズや望遠レンズと異なり、広角レンズではたった1mmの違いで画角や遠近感の出方が大きく変化するのが特徴。同じ被写体でも写り方が変わるため、目的に応じて焦点距離を選びましょう。

初めて広角レンズを購入する方には、スマホのメインカメラにもよく採用されている焦点距離35mmや28mmが使えるモノがおすすめです。焦点距離35mmは片目で眺めたのとほぼ同じ画角で、28mmは両目で見渡したのとほぼ同じ画角で撮影可能。風景・スナップ・テーブルフォトなどのさまざまな撮影に活用できます。

より広範囲をダイナミックに写したい場合は、焦点距離20mm以下をカバーする超広角レンズの出番。人間の視野よりも遥かに広い画角で切り取れるので、世界遺産の絶景撮影はもちろん、巨大な建築物や広大な星空風景などを撮影する場合にも重宝します。

開放F値をチェック

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開放F値も広角レンズ選びで重要なポイントです。開放F値とは、カメラレンズの明るさを示すのに使われている指標のこと。開放F値が小さいカメラレンズほど多くの光量を取り込めるので、暗いシーンでも鮮明に美しく撮影できるほか、背景や前景を大きくぼかしたボケ表現も手軽に楽しめます。

開放F値が焦点距離に応じて変わる広角ズームレンズは、小型・軽量で価格も安いため初心者におすすめ。ただし、画質を重視するのであれば、F4以下で固定された開放F値を採用する広角ズームレンズがおすすめです。望遠側でも開放F値が一定のため、さまざまなシーンで高画質かつ豊かな表現の広角撮影が楽しめます。

単焦点レンズの場合はF2以下の開放F値を採用する広角レンズがおすすめ。ほかのカメラレンズと比べてボケにくい性質を持つ広角レンズでも大きなボケ味が味わえます。

レンズのサイズと重量をチェック

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広角レンズを選ぶ際はサイズと重量も大事なポイントです。より短い焦点距離やより小さい開放F値を持つ広角レンズほど、広範囲を撮影でき、画質も向上しますが、大きく重くなってしまうのが難点。持ち運びにくいと出番が減り、宝の持ち腐れになってしまうので、携帯性も考慮して広角レンズを選びましょう。

移動が多く、手持ち撮影がメインになる場合は、使用するカメラとの合計重量ができれば1kg以下、重くても1.5kg以下になる広角レンズがおすすめ。長時間持ち歩いても重量が負担になりにくいため、旅行や登山などにも重宝します。

また、付属のレンズフードが大きく広がりがちな点にも注意が必要。カメラバッグへの収納がしやすいように、着脱式のレンズフードを採用しているかも確認しましょう。

フィルターを装着できるかチェック

フィルターの装着に対応しているかも広角レンズ選びでは重要です。超広角域や開放F2.8以下を採用する広角レンズの一部には、大きく出っ張った前玉を搭載したモノもあり、フィルターの装着に対応していない場合もあります。

フィルター装着が可能な広角レンズであれば、先端にレンズプロテクターを取り付けられるのが特徴。傷付きやすい前玉を不意の事故から保護できるため、アクティブな用途にも広角レンズを気兼ねなく使用可能です。

多彩なフィルター効果を活用できるのも魅力。水面や青空の反射を抑えるPLフィルターや、低速シャッター表現に欠かせないNDフィルター、光を柔らかく滲ませるソフトフィルターなどが装着できます。風景・夜景・星空の撮影におすすめです。

ズームリングの回転方向をチェック

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操作性にこだわるならズームリングの回転方向も広角レンズ選びで確認しておきたいポイントです。カメラレンズを製造するメーカーによってズームリングの回転方向が異なるので、使用カメラとは違うメーカーの広角レンズを購入する場合は注意しましょう。

ズームリングの回転方向に時計回りを採用しているのは、主要メーカーだとニコン・ソニー・リコー・パナソニック・富士フイルム・タムロン・トキナーの7社。キヤノン・OMシステム・シグマの3社は反時計回りを採用しています。

普段慣れている回転方向とは逆回転のズームリングを搭載する広角レンズを使うと、操作に混乱してしまう場合があるのが難点。スムーズな取り回しを重視するのであれば、なるべく同じ回転方向に対応する広角レンズを選ぶのがおすすめです。

広角レンズのおすすめメーカー

キヤノン(Canon)

キヤノンは東京の大田区に本社を置く1937年設立の精密機器メーカーです。カメラやプリンターなどの製品を幅広く展開。新しいRFレンズマウントを採用する高性能ミラーレス一眼の「EOS R」シリーズも販売しています。

広角レンズのラインナップが充実しているのが、キヤノンのRFマウントの特徴。広角ズームレンズに3種類のグレードがあり、コスパの高い広角単焦点レンズも用意されているので、予算や目的に合わせて選べます。また、ハーフマクロ撮影が可能な広角レンズも人気。テーブルフォト撮影を楽しみたい方にもおすすめです。

ソニー(SONY)

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ソニーは東京の港区に本社を置く1946年創業の総合電機メーカーです。コンデジ・ビデオカメラ・ミラーレス一眼などの映像事業も積極的に展開。フルサイズミラーレスの「α7」シリーズや、最近ではVlog撮影に特化した「VLOGCAM」でも人気を集めています。

個性的な広角レンズが多く用意されているのが、ソニーのEマウントの特徴。APS-C・フルサイズともにラインナップが豊富なのはもちろん、一般的な超広角ズームレンズよりも短い焦点距離をカバーしたモノもあります。また、動画性能に重視した広角レンズが多いのも魅力。動画クリエイターにもおすすめです。

ニコン(Nikon)

ニコンは東京の港区に本社を置く1917年設立の光学機器メーカーです。Zレンズマウントの高性能ミラーレス一眼「Z」シリーズを手掛けており、最近はクラシックデザインやVlog機能を採用する小型ミラーレス一眼も展開しています。

画質を重視した広角レンズが多いのがニコンのZマウントの特徴。特に高級グレード「S-Line」はワンランク上の画質が期待できるので、高画質を求める方におすすめです。また、コスパの高い広角レンズも用意。他社では価格が2倍近くするスペックのモノがリーズナブルな価格で入手できます。

広角レンズのおすすめモデル

キヤノン(Canon) RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM RF15-30ISSTM

初心者でも手が出しやすい、キヤノンRFマウント用の超広角ズームレンズです。超広角15〜広角30mmをカバーしながら、重さ約390g、全長約88.4mmと軽量でコンパクト。持ち運びやすく、価格も安いので、初めての広角レンズとしてもおすすめです。

マニュアルフォーカス時にハーフマクロ撮影が可能なのもポイント。広角端の15mmでは最短撮距離12.8cm、最大撮影倍率0.52倍になるため、自然の草花や卓上の料理・花・雑貨に近寄って、画面一杯に大きく撮影したい場合にも重宝します。

強力な光学式手ブレ補正機構を内蔵しているのも魅力。シャッター速度に換算すると広角レンズ単体で5.5段分、カメラとの協調で最高7段分の補正効果が得られるので、薄暗いシーンを手持ちで撮影する場合でも手ブレの影響をしっかり軽減できます。

キヤノン(Canon) RF14-35mm F4 L IS USM RF14354LIS

高画質と携帯性を兼ね備えた、キヤノンRFマウント用の超広角ズームレンズです。描写性能・操作性・堅牢性を追求した高級レンズ「L」シリーズの1本。Lレンズならではの高画質で超広角14mmの画角と遠近感を生かした撮影が楽しめます。

広角レンズ特有の歪みや色にじみを補正する特殊レンズが多く搭載されており、画面周辺部まで違和感のない描写が得られるのも魅力。加えて、レンズ単体で約5.5段分、最高約7段分の効果が期待できる手ブレ補正機構も備えています。

高性能ながら全長約99.8mm、重さ約540gと小型かつ軽量なので、機動性を重視する方にもおすすめです。

キヤノン(Canon) RF35mm F1.8 MACRO IS STM RF3518MISSTM

初心者でも扱いやすい、キヤノンRFマウント用の大口径広角単焦点レンズです。スマホカメラでも馴染みのある焦点距離35mmを採用しており、初めての方でも扱いやすいのが特徴。価格も安いので、入門用の広角レンズとしてもおすすめです。

開放F値がF1.8と明るいのもポイント。暗所でも鮮明で美しい写真が撮影できるほか、大きなボケ味も手軽に楽しめます。また、重さ約305g、全長約62.8mmと軽量でコンパクトなため、キットズームと一緒に散歩や旅行に持って行く場合にもおすすめです。

最大撮影倍率0.5倍のハーフマクロ撮影に対応しているのも魅力。さらに、近距離撮影で顕著に発生する角度ブレにも対応した「ハイブリッドIS」を搭載しているので、スナップやテーブルフォトの撮影時でも手持ちで高精細な接写が楽しめます。

ソニー(SONY) E PZ 10-20mm F4 G SELP1020G

動画撮影にも重宝するソニーEマウント用の電動超広角ズームレンズです。ボケ味にこだわった上位レンズ「G」シリーズの1本。APS-Cに対応しており、フルサイズ換算15〜30mmのズーム全域で高画質が味わえます。

無段階変速によるズーム操作が可能なパワーズーム機構を搭載しているのもポイント。手動では難しい速度を一定に保った滑らかなズームが簡単に行えます。遠隔操作もできるため、自撮りやVlog用の広角レンズとしてもおすすめです。

滑らかで静かなAF動作や、ズームやピント移動に伴う画面の揺れを低減するブリージング補正など、高品質な動画撮影に欠かせない機能が充実しているのも魅力。重量約178gと軽く、防塵・防滴に配慮した設計も採用されており、野外撮影にも活躍できます。

ソニー(SONY) FE 12-24mm F4 G SEL1224G

迫力の空間表現が楽しめるソニーEマウント用の超広角ズームレンズです。Eマウントで最広角となる焦点距離12mmをカバー。一般的な超広角ズームを超えた広大な画角と遠近感が味わえるため、風景をよりダイナミックに撮影したい方にもおすすめです。

特殊レンズや反射防止コーティングを贅沢に施すことで、広角端12mmでもGレンズにふさわしい上質な描写が得られるのもポイント。夜景や室内などの暗いシーンでも高画質で撮影できます。

フルサイズ用の超広角レンズながら、重量約565g・全長約117.4mmと軽量かつコンパクトで持ち運びやすいのも魅力。防塵・防滴に配慮した設計も採用されているほか、任意の機能を割り当て可能な「フォーカスホールドボタン」も備えています。

ソニー(SONY) FE 28mm F2 SEL28F20

コスパに優れたソニーEマウント用の大口径広角単焦点レンズです。スマホのメインカメラにも多く採用されている焦点距離28mmを採用。初心者でも簡単に使いこなしやすく価格も安いので、単焦点の広角レンズが初めての方にもおすすめです。

フルサイズ対応レンズながら、全長約60mm・重さ約200gと小型かつ軽量で持ち歩きやすいのもポイント。加えて、開放F2と明るく、高画質な暗所撮影や大きなボケ味も手軽に楽しめるため、街歩きや旅行でのスナップ撮影にも重宝します。

ニコン(Nikon) NIKKOR Z 17-28mm f/2.8

高性能がリーズナブルに入手できるニコンZマウント用の大口径超広角ズームレンズです。焦点距離17〜28mmのズーム全域で開放F2.8通しを採用。プロモデルに迫る高性能が比較的安い価格で味わえるため、コスパ重視の方にもおすすめです。

開放F4通しの広角レンズと比べてより多くの光量を取り込めるのもポイント。夜景や星空などを撮影する場合にも重宝します。また、ズーム操作で鏡筒の全長が変わらず、画角変動が抑えられているのも特徴。動画撮影用としても快適に使用できます。

大口径ズームながら重さ約450g、全長約101mmと軽量かつコンパクトなのも魅力。加えて、レンズ先端に67mm径のフィルターアタッチメントを備えているので、レンズフィルターを活用した多彩な表現も楽しめます。

ニコン(Nikon) NIKKOR Z 24mm f/1.8 S

優れた描写力を持つ高性能なニコンZマウント用の大口径広角単焦点レンズです。高画質を重視した高級レンズ「S-Line」シリーズの1本。肉眼よりわずかに広い画角が得られる広角24mmを採用しており、風景や室内などを広く表現するのに重宝します。

開放F1.8の明るさによる優れた暗所画質と美しいボケ味が楽しめるのもポイント。また、逆光に強く、画面周辺部でも街灯や星などの点光源も円形のまま忠実に再現できるので、夜景や星空をテーマにした作品撮りにもおすすめです。

クリックレスなピントリングやブリージング補正など動画撮影時に役立つ機能が充実しているのも魅力。重さ約450g、全長約96.5mmと持ち運びやすく、防塵・防滴に配慮した設計も採用されているため、アウトドアシーンでも活躍できます。

タムロン(TAMRON) 11-20mm F/2.8 DiⅢ-A RXD Model B060

小型・軽量でコスパ良好なソニーEマウント用の大口径超広角ズームレンズです。APS-C機用に設計されており、フルサイズ換算16.5〜30mmのズーム全域で開放F2.8通しを実現。純正レンズのラインナップには存在しない性能が手頃な価格で入手できます。

開放F2.8通しながら、全長約86.2mm・重さ約335gと小型かつ軽量なので、高性能を手軽に持ち歩けるのもポイント。小型三脚やジンバルと組み合わせても快適に取り回せるため、自撮りスタイルでVlogなどの動画撮影を行う場合にもおすすめです。

最短撮影距離が広角側で15cm、望遠側で24cmと短く、最大撮影倍率も最大0.25倍と大きく、優秀な接写性能を備えているのも魅力。また、ズームリングはソニーと同じ時計回りの回転方向を採用しています。

シグマ(SIGMA) 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary

高性能をコンパクトボディに凝縮したソニーE/ライカLマウント用の大口径超広角ズームレンズです。超広角16mmと開放F2.8通しを実現しながら、重さ約450gと軽量。フットワークの軽さが要求される旅行や登山などの撮影で高性能な広角レンズを活用したい方にもおすすめです。

特殊レンズによって画面周辺部の歪みが重点的に補正されているため、風景や建築物を違和感のない形状で描写できるのもポイント。超広角レンズで特に問題となる色にじみもしっかり抑えられており、逆光にも強いので、上質な超広角撮影が楽しめます。

レンズ先端に72mm径のフィルターアタッチメントを備えているのも魅力。加えて、焦点距離を変えてもレンズの全長が変わらない「インナーズーム」機構を採用しているため、ジンバルを使ってVlogなどの動画撮影を行う場合にも快適に使用可能です。