肉眼で見るのと違った世界が垣間見られる交換レンズが「マクロレンズ」。一般的なレンズと比べて近接距離から被写体をより大きく写し出せるため、テーブルフォトやネイチャーフォトの撮影にも重宝します。

そこで今回は、おすすめのマクロレンズをご紹介。マクロレンズの特徴や選び方も解説するので、購入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

マクロレンズとは?

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マクロレンズとは、被写体を大きく撮影するのを得意とする特殊な交換レンズのこと。イメージセンサー上で被写体を実寸以上のサイズで記録できるのが特徴です。花弁など植物の一部や、昆虫など小さな生物を画面一杯に写し出したい場合に重宝します。

優れた接写性能を備えているのもマクロレンズの魅力。一般的な交換レンズと違って、至近距離まで被写体に近づいてもピントを合わせられます。卓上に置いた料理や雑貨も席を立ち上がらずに撮影できるので、テーブルフォトの撮影にもおすすめです。

汎用性が高いのもマクロレンズの人気ポイント。通常時は標準や望遠の単焦点レンズとしても使えるため、マクロ撮影や接写以外にもスナップ・風景・ポートレートなど多彩なジャンルの撮影に活用できます。

マクロレンズの選び方

最短撮影距離をチェック

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最短撮影距離とは、被写体に合焦できる最も近い距離のこと。指定された距離よりも被写体に接近するとピントが合わせられなくなるため、接写を行う際は常に最短撮影距離を保った状態で撮影を進める必要があります。

マクロレンズの長所は最短撮影距離が特に短いこと。一般的な単焦点レンズは40cm程度なのに対し、標準から中望遠のマクロレンズは10〜20cm以下と短く設計されています。至近距離からでも被写体にしっかりピントを合わせたい場合におすすめです。

最短撮影距離は厳密には、カメラ上部にある距離基準マークが示すイメージセンサーの位置から被写体までの距離になるので、接写時に距離を測る場合は注意。なお、レンズ先端から被写体までの距離は「ワーキングディスタンス」と呼んで区別します。

撮影倍率をチェック

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撮影倍率とは、実物の被写体とイメージセンサー上に写した像とのサイズ比のこと。撮影倍率が高い交換レンズほど、被写体をより実寸に近い大きさで記録可能です。なお、最短撮影距離で最も大きく撮影できる場合の撮影倍率を「最大撮影倍率」と呼びます。

一般的な交換レンズの最大撮影倍率は高くても0.2倍程度。対して、マクロレンズは最低でも1倍(等倍)になるように設計されているため、昆虫などの小さな被写体もイメージセンサー上で実寸と同じ大きさで写し出せます。

最近は、等倍を超える最大撮影倍率に対応したスーパーマクロレンズも人気。実寸よりも大きく記録できる拡大撮影が可能なので、顕微鏡に近い感覚でミクロの世界を体感したい方にもおすすめです。

焦点距離をチェック

初心者向けの標準マクロレンズ

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フルサイズ換算で焦点距離50mm前後に相当する画角を採用しているのが標準マクロレンズです。普段人間が対象物を見るときの視野に近い範囲を撮影でき、前景から背景にかけての遠近感も見たまま自然に再現しやすいのが特徴。クセがない描写で扱いやすく、小型軽量で持ち運びも簡単なため、マクロレンズが初めての方におすすめです。

長焦点のマクロレンズと比べて、接写時に背景を広く取り込めるのも標準マクロレンズのポイント。卓上に置いた料理・花・雑貨を接写すれば、部屋やお店などその場の状況や雰囲気も共有が可能です。テーブルフォト撮影に重宝するのはもちろん、日常のスナップ撮影に使う常用レンズとしても人気があります。

ポートレート撮影をするなら中望遠マクロレンズ

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換算70〜135mm相当の画角を採用するのが中望遠マクロレンズです。1m程度離れた中距離からでも被写体を大きく写せるのが特徴。標準マクロレンズほど被写体に大きく近づく必要がないため、植物園で柵を隔てて草花を記録する場合などにも重宝します。

ポートレート撮影用として使いやすいのも中望遠マクロレンズのポイント。特に85mm前後のマクロレンズは、被写体と会話しながら撮影を進めるのに適度な距離を維持しやすく、胸から上を写すバストアップ構図で撮影するのに適しています。家族やペットの撮影はもちろん、モデルの個撮に活用したい方にもおすすめです。

遠くの風景を撮るなら望遠マクロレンズ

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換算150mm以上に相当する画角を採用しているのが望遠マクロレンズです。最短撮影距離やワーキングディスタンスが長めに設計されているのが特徴。遠距離からでも被写体を大きく写せるため、近づくと逃げてしまう昆虫や警戒心の強い小動物などの野生生物を記録する場合におすすめです。

使い方次第で風景を印象的に描写しやすいのも望遠マクロレンズのポイント。画面の手前から奥にかけての距離感が強く圧縮されるので、遠くの風景も画面内に凝縮して臨場感のある表現が可能です。

手ブレ補正機能をチェック

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接写やマクロ撮影の成功率を高めるのに有効なのが「手ブレ補正機能」です。手ブレとは、手首や体の揺れがカメラに伝わり、画面全体がぼけたように不明瞭に写る現象のこと。撮影の失敗に繋がる要因の1つですが、手ブレ補正機能で軽減・防止できます。

中望遠以上の長焦点撮影では、できるだけ手ブレ補正機能を内蔵したマクロレンズを選ぶのがおすすめ。望遠になるほど手ブレの影響は強く現れるため、カメラのボディ内補正よりも望遠撮影に有利なレンズ内補正に対応したモデルが重宝します。

上下・左右方向に並行に揺れるシフトブレに対する補正能力も重要なポイント。なお、主に等倍以上で撮影したい場合は、シフトブレにも対応したレンズ内補正搭載のマクロレンズがおすすめです。

ぼけ感を出したいなら開放F値をチェック

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ボケ表現を活用するうえで重要なのが「開放F値」です。F値とは、交換レンズの明るさを決める指標で、数値が低いほどカメラ内に多くの光量を取り込めるのが特徴。使用中の焦点距離で設定できる最も明るい最小のF値を開放F値と呼びます。

開放F値の小さい交換レンズほど、ピントが合った部分以外をより簡単に大きくぼかせるのがポイント。マクロレンズの開放F値はF2.8〜3.5で、一般的なズームレンズと比べて明るいため、より効果的にボケ味を使った演出が楽しめます。

マクロレンズはマクロ撮影時に鏡筒先端が前へ繰り出す設計の都合上、実際のF値が開放F値よりも暗くなるのが難点。ただし、ボケ感は被写体に接近することでも強くなるため、マクロ撮影時でもボケ味への影響は低く抑えられています。

対応マウントをチェック

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対応マウントもマクロレンズ選びで重要な項目です。マウントとは、一眼カメラと交換レンズを装着する接合部のこと。マウントの規格ごとに異なる形状や通信方式が採用されており、双方で一致しないと基本的に装着・使用できないので注意しましょう。

規格が異なる組み合わせでもマウントアダプターで装着できる場合もありますが、AFや手ブレ補正などの機能が制限されることが多いのが難点。撮影の成功率を重視するなら、カメラ側と同じマウント規格が採用されたマクロレンズを選ぶのがおすすめです。

使用している一眼カメラと同じメーカーのマクロレンズを選ぶ場合でも注意が必要。一眼レフ用とミラーレス一眼用で、別々のマウント規格が採用されていることがほとんど。また、規格は同じでも対応するセンサーサイズが異なると、画角が変わったり、記録画素数が減ったりする場合もあります。

マクロレンズのおすすめメーカー

ニコン(Nikon)

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ニコンは、東京に本社を置く1917年設立の光学機器メーカーです。最近は2018年から始めた高性能ミラーレス一眼「Zシリーズ」用のZマウントレンズに注力。一眼レフ時代と同様、ミラーレス一眼でもマクロレンズを積極的に開発しています。

描写力に優れているのがニコンのマクロレンズの特徴。Zマウントの特性を生かすことで至近から無限遠まで撮影距離を問わない高い解像性能を実現しているため、画質にこだわりのある方におすすめです。

キヤノン(Canon)

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キヤノンは東京に本社を構えている1937年設立の精密機器メーカーです。拡大撮影が楽しめるのがキヤノンのマクロレンズの特徴。最大撮影倍率が1倍よりも高く設定されているため、被写体を実寸よりも大きく写し出せます。

ボケ味を自在に調節できる独自機能を搭載しているのも魅力。リングの操作で前ボケの輪郭と背景ボケの輪郭を別々に変えられるので、テーブルフォトや物撮りなどで自分好みのボケ表現を追求できます。

ソニー(SONY)

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ソニーは、1946年創業の総合電機メーカーです。豊富なラインナップがソニーのマクロレンズの特徴。APS-C用とフルサイズ用の両方に専用設計のマクロレンズが用意されているため、自分が使用しているカメラのセンサーサイズに応じて選びやすいのがメリットです。

軽量コンパクトで持ち運びやすいのも魅力。軽快なフットワークで撮影が楽しめます。持ち運びやすさを重視する方におすすめです。

マクロレンズのおすすめモデル

ニコン(Nikon) NIKKOR Z MC 50mm f/2.8

本格的なマクロ撮影が軽快に楽しめるニコンZマウント用の標準マクロレンズです。最短撮影距離16cmで等倍撮影に対応しながら、重さ約260g、全長約66mmと軽量コンパクト。普段から常用しやすいマクロレンズを探している方におすすめです。

特殊な補正レンズを組み込むことで、色にじみや歪曲を抑えた上質な描写を実現しているのもポイント。加えて、反射による画質劣化も低減されているので、逆光を使って卓上の料理・花・雑貨を芸術的に切り取るテーブルフォト撮影にも重宝します。

AF中でもそのままMFでピントを追い込める「コントロールリング」も便利。また、鏡筒の繰り出し部には設定中の撮影倍率と撮影距離を一目で把握できる「撮影倍率表示」を備えており、接写時でも狙い通りの表現が可能です。

▼撮影イメージ

ニコン(Nikon) NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S

プロユースの高画質にこだわったニコンZマウント用の中望遠マクロレンズです。最短撮影距離29cmで等倍撮影が可能。また、開放F2.8による豊かで美しいボケ味も楽しめるので、物撮りやポートレート撮影にも重宝します。

新AFシステム「マルチフォーカス方式」によって、至近距離でも高い解像力を発揮できるのもポイント。さらに、優れた逆光耐性を持つ「ナノクリスタルコート」と「アルネオコート」を併用しているため、野外で自然の草花を撮影する場合にもおすすめです。

シャッター速度換算で、最高4.5段分の補正効果が得られる光学式手ブレ補正「VR」を内蔵しているのも魅力。加えて、鏡筒にはアウトドアでも安心な防塵・防滴構造と防汚コートも採用されています。

▼撮影イメージ

キヤノン(Canon) RF100mm F2.8 L MACRO IS USM

拡大撮影と自由なボケ描写が楽しめるキヤノンRFマウント用の中望遠マクロレンズです。最短撮影距離26cmで最大撮影倍率1.4倍に対応。被写体を実寸よりも大きく写し出せるので、小さなアクセサリーや昆虫などの撮影にも重宝します。

背景ボケと前ボケの輪郭描写を別々に調節できる独自機構「SAコントロールリング」を採用しているのもポイント。輪郭調整によってボケ味を自分好みにカスタマイズできるため、草花や小物の撮影でボケ表現にこだわりたい方におすすめです。

高級シリーズ「Lレンズ」の1本として、上質な描写と優れた機能性を両立しているのも魅力。シフトブレの補正にも対応する「ハイブリッドIS」や、滑らかなAF駆動で動画撮影にも積極的に活用できる「ナノUSM」などの機構も備えています。

▼撮影イメージ

ソニー(SONY) E 30mm F3.5 Macro

優れたコスパで初心者にも人気のあるソニーEマウント用の標準マクロレンズです。APS-Cミラーレス一眼専用に設計されており、換算で45mm相当の画角に対応。価格が安いので、入門用のマクロレンズとしてもおすすめです。

最短撮影距離9.5cmで最大撮影倍率が1倍になるのもポイント。また、レンズ内モーターによってAF駆動がスムーズかつ静かなのも魅力です。子供やペットの寝顔などを撮影する場合にも重宝します。

外装には高品位なアルミ合金を採用しており、重さ約138g、全長約55.5mmと軽量コンパクト。キットズームと一緒でも持ち運びやすいため、普段のスナップ撮影でも軽快に常用できます。

▼撮影イメージ

ソニー(SONY) FE 50mm F2.8 Macro

小型軽量で日常使いにも適したソニーEマウント用の標準マクロレンズです。フルサイズ対応ながら重さ約236g、全長71mmと携帯性が良好。常用レンズとして、テーブルフォトやスナップをはじめとした多彩なジャンルの撮影に活用できます。

7枚羽根の円形絞りと開放F2.8による、大きなボケを生かした表現が手軽に楽占めるのもポイント。また、最短撮影距離16cmで等倍に対応しており、背景を広く取り込んだ接写も可能です。

比較的手頃な価格ながら便利な機構が充実しているのも魅力。押下中にピント位置を固定できる「フォーカスホールドボタン」や、合焦範囲を限定することでピント操作の効率を高められる「フォーカスレンジリミッター」などを搭載しています。

ソニー(SONY) FE 90mm F2.8 Macro G OSS

上質な仕上がりを堪能できるソニーEマウント用の中望遠マクロレンズです。最短撮影距離28cmで等倍撮影に対応。加えて、高級シリーズ「Gレンズ」ならではの美しいボケ味と高解像度を両立しています。

フォーカス方式に「フローティング機構」を搭載しているのもおすすめポイント。至近距離から遠距離まで撮影距離にかかわらず、ピント位置をシャープに解像可能です。また、反射防止技術「ナノARコーティング」によって、優れた逆光耐性も実現しています。

レンズ先端の繰り出しがない「インターナルフォーカシング」の採用も魅力。全長約130.5mmのまま固定されるため、接写時でも被写体との接触を気にせず使用可能です。さらに、手ブレ補正機構や、防塵・防滴に配慮した設計も施されています。

▼撮影イメージ

オーエムシステム(OM SYSTEM) M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro

拡大撮影が手軽に楽しめるマイクロフォーサーズ用の標準マクロレンズです。最短撮影距離9.5cmで、換算2.5倍の最大撮影倍率に対応。手頃な価格ながら被写体を実寸以上の大きさで記録できるため、初心者にもおすすめです。

換算60mm相当の画角を採用しているのもポイント。普段は標準レンズとして、スナップ・ポートレート・テーブルフォトなどの撮影にも活用できます。

重さ約128g、全長約60mmと小型軽量なので持ち運びも簡単。加えて、OM-D/OMシリーズのカメラが搭載する「フォーカスブラケット」や「深度合成」などの機能にも対応しており、図鑑のように昆虫の標本写真を記録する場合にも重宝します。

▼撮影イメージ

オーエムシステム(OM SYSTEM) M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro

描写性能にこだわったマイクロフォーサーズ用の中望遠マクロレンズです。最短撮影距離19cmで換算2倍の最大撮影倍率に対応。撮影距離に関係なく色にじみを抑えたシャープな画像が撮影できるため、マクロ撮影でもワンランク上の画質が得られます。

画角は換算120mm相当で、自然の草花から地域猫の撮影までマルチに活用できるのもポイント。また、反射防止技術「ZEROコーティング」によって、マクロレンズで発生しやすいスポットフレアも低減されているので、小物やオークションの撮影にもおすすめです。

アウトドアでも安心して使用できる高い防塵・防滴性能を持つのも魅力。重さ約185g、全長約82mmと携帯や取り回しやすいのもメリットです。

▼撮影イメージ

オーエムシステム(OM SYSTEM) M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO

超高倍率撮影が体感できるマイクロフォーサーズ用の望遠マクロレンズです。高級シリーズ「PROレンズ」の1本で、最短撮影距離22.4cmで換算4倍の最大撮影倍率に対応できます。

全ての撮影倍率で高速AFや深度合成が使用できるのもポイント。加えて、画角が換算180mm相当と狭く、ワーキングディスタンスも9.3cmと長いため、警戒心の強い昆虫や小動物を離れた位置から狙う場合におすすめです。

シフトブレ対策も強化された高性能な「5軸シンクロ手ぶれ補正」を内蔵しているのも魅力。対応カメラと協働で最高7段分の補正効果を発揮可能です。

重さ約453gと軽量なので、片手での手持ち撮影を快適に行いやすいのもメリット。交換レンズとしては、最高クラスとなるIP53相当の防塵・防滴性能も実現しています。

▼撮影イメージ

シグマ(SIGMA) 105mm F2.8 DG DN MACRO Art

フルサイズミラーレス用の中望遠マクロレンズです。光学性能最優先の基本コンセプトで設計された「Artライン」のアイテム。プロユースの高画質がリーズナブルな価格で堪能できるので、コスパ重視の中・上級者におすすめです。

対応マウントはソニーEとライカLの2種類で、使用カメラのマウントに応じて選択できるのもポイント。顔・瞳優先AFなどの先進機能も使用可能です。また、最短撮影距離29.5cmで等倍撮影に対応しており、至近距離からでも高い解像性能を発揮できます。

野外撮影に役立つ防塵・防滴構造や撥水防汚コートが施されているのも魅力。さらに、機能割り当てが可能な「AFLボタン」や、フォーカスリミッタースイッチに加えて、マクロ撮影や動画撮影に欠かせない絞りリングの無音化スイッチも搭載しています。

▼撮影イメージ

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