特有のデフォルメ効果で一風変わった表現が楽しめる「魚眼レンズ」。肉眼を超える広範囲を大きく歪ませながら丸ごと記録できるため、スナップや星空などの撮影で非現実感を演出したい場合にも重宝します。
今回は、魚眼レンズのおすすめ製品をご紹介。初心者の方向けに魚眼レンズの選び方も詳しく解説するので、ぜひ魚眼レンズを選ぶ際の参考にしてみてください。
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魚眼レンズとは?
魚眼レンズとは、画面全体が大きく歪んで写る特性を持つ交換レンズのこと。英語では「フィッシュアイレンズ(Fisheye Lens)」と呼ばれており、魚の目を通して水中から地上を見たような描写が得られることが名称の由来になっています。
画面の周辺部になるほど直線や被写体が大きく歪むのが魚眼レンズの特徴。広大な画角と強烈な遠近感との相乗効果によって、通常のカメラレンズとは一風変わった非現実感のある演出が楽しめます。個性的な写りを楽しみたい方におすすめです。
魚眼レンズと広角レンズの違いとは?
魚眼レンズも厳密には広角レンズの一種に含まれます。ただし、画角と歪みの2点で通常の広角レンズとは異なる特性を持っていることに留意しておきましょう。
魚眼レンズは広角レンズよりも画角が広いのが特徴。一般的な魚眼レンズは180°以上の画角があるので、広角レンズで収めきれない広大な風景や星空も余裕を持って画面内に記録可能です。
描写に歪みを活かせるのも魚眼レンズのポイント。広角レンズと違って歪みをあえて補正しない特殊な設計を採用しているため、魚眼レンズでは画面の中央から離れた位置にある直線や被写体ほど大きく歪んで写ります。地平線を歪めて空の広さを強調したり、壁や柱を歪めて異世界感を演出したりなどの用途にも有効です。
魚眼レンズの選び方
魚眼レンズの種類をチェック
対角線魚眼レンズ
対角線魚眼レンズとは、対角線方向で測る画角が180°前後ある魚眼レンズのこと。現在入手できる大半のモデルが該当しており、魚眼レンズの主流になっています。
画面の中心から外れるほど、デフォルメ効果が強くなるのが対角線魚眼レンズの特徴。上下や左右の端に配置した地平線や柱が歪む代わりに広範囲を記録しやすいため、風景や星空などをダイナミックに描写したい場合におすすめです。
一般的なレンズと同じように、画面全体を使って画像を記録できるのも対角線魚眼レンズのポイント。初心者でも比較的扱いやすいですが、画面の端まで構図を意識していないと自分の足や指が写り込んでしまうことがあるので注意しましょう。
全周魚眼レンズ(円周魚眼レンズ)
全周魚眼レンズとは、レンズ内のイメージサークルごとくり抜いて円形に写せる魚眼レンズのこと。ラインナップは少ないですが、180°を超える画角で記録できます。
イメージサークルの外側が黒い影(ケラレ)となって写るのが全周魚眼レンズの特徴。デフォルメ効果で歪んだ光景を水滴やガラス玉のなかに閉じ込めたような箱庭的表現が楽しめます。
全周魚眼レンズは対角線魚眼レンズ以上に画角が広いので、自分の体の写り込みには注意が必要。また、カメラと魚眼レンズ両方の対応センサーサイズが合わないと、イメージサークルの端が切れて真円にならない点も留意しておきましょう。
センサーサイズとマウントの互換性をチェック
本来の描写を楽しみたいなら、カメラ対応のセンサーサイズと一致する魚眼レンズを選ぶのがおすすめです。フルサイズ用の魚眼レンズは、搭載するイメージセンサーのサイズがより小さいマイクロフォーサーズ(M4/3)機やAPS-C機では画角が狭くなります。
例えば、対角線魚眼レンズの場合は画角180°での記録ができなくなるのが難点。また、全周魚眼レンズの場合も対角線魚眼レンズのような描写に変化します。
レンズマウントの互換性も魚眼レンズ選びで重要。マウントとはカメラとレンズとの装着部のことで、両方の規格が一致しないと原則装着できません。同じメーカーでも一眼レフ用とミラーレス一眼用とで異なるマウント規格が採用されている場合が大半のため、購入時は間違えないように注意しましょう。
最短撮影距離をチェック
魚眼レンズは「最短撮影距離」が短いモデルを選ぶと表現の幅がより広がります。最短撮影距離とは、被写体にピントを合わせられる最も近い距離のこと。最短撮影距離よりも内側に接近するとAFでもMFでも合焦できなくなるので注意しましょう。
被写体の寸前まで接近することで、デフォルメ効果をより強められるのが最短撮影距離が短い魚眼レンズの特徴。遠近感の誇張によって画面中央に置いた被写体が特に大きく写るため、ペットの鼻デカ写真などのインパクトのある画像も撮影できます。
至近距離からの撮影には最短撮影距離が15cm以下の魚眼レンズを選ぶのがおすすめ。レンズ先端からわずか数cmまで被写体に接近できます。しかし、レンズ先端が接触してしまう恐れもあるので、接写時の取り扱いには注意しましょう。
夜間の撮影には明るいレンズを選ぼう
夜間の撮影にも使う場合は「開放F値」の小さい魚眼レンズを選びましょう。開放F値とは、レンズの明るさを示す指標にも使われている数値のこと。開放F値が小さいレンズほど一度に多くの光量を取り込めるため、暗所でも鮮明に記録できます。
夜景や星空など暗いシーンの撮影には、開放F値がF2.8以下の明るい魚眼レンズがおすすめ。ISO感度をあまり上げなくても撮影に十分なシャッター速度を確保できるので、暗所でもノイズを抑えつつ全体に光の回った高画質な撮影が楽しめます。
魚眼レンズのおすすめ
オーエムシステム(OM SYSTEM) フィッシュアイボディーキャップレンズ BCL-0980
マイクロフォーサーズ専用の対角線魚眼レンズです。ボディーキャップに魚眼レンズの光学系を搭載した個性的なコンセプトが魅力。対角線画角は約140°と控えめながら、価格が安く、特有のデフォルメ効果が気軽に楽しめます。魚眼レンズを試しに使ってみたい方にもおすすめです。
撮影時のピント合わせはマニュアルフォーカス(MF)。レバーを使って、パンフォーカス・最至近20cmの近接撮影に切り替えられます。開放F値はF8固定ですが、明るい日中での風景やスナップの撮影なら十分に実用的な画質が得られます。
厚さわずか約12.8mmとスリム設計なのもポイント。重量も約30gと軽く、携帯や収納が苦になりません。撮影後は通常のボディーキャップと同じように、カメラ本体の保護にも活用可能です。
オーエムシステム(OM SYSTEM) M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
プロからも高い評価を得ているM.ZUIOKO PROシリーズの対角線魚眼レンズです。対角線画角180°で開放F1.8の明るさを実現しており、暗いシーンでも優れた描写を発揮。街灯や星などの点光源を点のまま写す点像再現性も良好なので、夜景や星空の作品撮りにもおすすめです。
重さ315g、全長80mmと軽量コンパクトなのもポイント。IP53の防塵・防滴性能のほか耐低温性能も備えているため、登山などのアウトドア撮影にも有効です。別売りの防水レンズポートを併用すれば、魚眼レンズを使った水中写真の撮影も楽しめます。
最短撮影距離が12cmと短いのも魅力。花や昆虫などの接写にも活用できます。さらに、 「フィッシュアイ補正」にも対応。本機能に対応したカメラを使えば、歪みを補正した状態で換算11mm・14mm・18mm相当の超広角撮影が可能です。
サムヤン(SAMYANG) 7.5mm F3.5 FISH-EYE
サードパーティーが提供するマイクロフォーサーズ専用の対角線魚眼レンズです。カメラメーカーの純正レンズと比べて安い価格で入手できるのが魅力。対角線画角180°の本格的な魚眼撮影が手軽に楽しめるので、コスパを重視する方にもおすすめです。
先端には固定式の花形レンズフードを搭載。前玉を傷や衝撃から保護しつつ、魚眼レンズの大敵となるフレアやゴーストの低減が可能です。最短撮影距離は9cmと短めに設計されており、高い接写性能も備えています。
重さ190g、サイズは48.3×直径60mmと小型軽量で持ち運びやすいのも便利。+αのレンズとして手軽に持っていけます。しかし、オートフォーカス(AF)には非対応なので、撮影時のピント合わせがMFになる点は留意しておきましょう。
ラオワ(LAOWA) 4mm F2.8 Fisheye
マイクロフォーサーズ向けに設計された全周魚眼レンズです。210°の広大な画角を採用しており、真円に近いイメージサークルに周囲の全景を写し込む箱庭的な演出が可能。開放F値がF2.8と明るいため、夜景や星空の写真撮影にもおすすめです。
最短撮影距離が8cmと短いのも特徴。花の接写や、ペットの顔を大きく写す写真などの撮影にも有効です。加えて、重さ約135g、サイズ45.2×25.5mmと軽量コンパクト。ジンバルとの相性も良好なので、VR映像などの動画制作にも活躍します。
ソニーE・富士フイルムX・キヤノンRF・ニコンZなどを多彩なマウントに対応するのもポイント。ケラレる範囲は少し増えるものの、全周魚眼レンズでの撮影が手軽に楽しめます。
ペンタックス(PENTAX) HD PENTAX-DA FISH-EYE10-17mmF3.5-4.5ED
多彩な表現が楽しめる魚眼ズームレンズです。ペンタックスAPS-C一眼レフに装着した際、ズーム機能で画角を100〜180°の範囲で調節可能。ピントの深さや遠近感を変えつつ、魚眼レンズ特有の歪みを写真に活かせます。
反射低減技術「HDコーティング」の採用も魅力。逆光のシーンでもゴーストやフレアの発生を抑えてクリアに撮影できます。最短撮影距離14cmと接写性能も優秀。前玉に防汚効果のある「SPコーティング」が施されており、油汚れや花粉が付着しても簡単に落とせるので、花の撮影にもおすすめです。
レンズフードを取り外せるのもポイント。魚眼レンズをフルサイズ一眼レフに装着して、クロップ機能「FF」を有効にすると、円形に近い構図で全周魚眼撮影が楽しめます。フードを含む総重量は約323gで、携帯性や取り回しも良好です。
サムヤン(SAMYANG) 8mm F3.5 UMC FISH-EYE CSII
APS-C一眼レフ向けに設計された対角線魚眼レンズです。対応マウントをキヤノンEF・ニコンF・ペンタックスK・ソニーAから選択できるのが特徴。使用カメラに対応する純正の魚眼レンズが生産完了になって困っていた方にもおすすめです。
撮影時の画角は180°。キヤノンEF用のみ167°と若干狭くなるものの、歪みを活かした対角線魚眼撮影が可能です。フレアやゴーストを低減する「ウルトラマルチコーティング」も採用されており、安い魚眼レンズながら十分な高画質が得られます。
七工匠 7Artisans 7.5mm F2.8 FISH-EYE II ED
コスパに優れたAPS-Cミラーレス用の対角線魚眼レンズです。メガネやコンタクトレンズも手掛ける日本メーカー「HOYA」が製造したレンズを光学設計に採用。高画質な魚眼描写が手頃な価格で楽しめるので、初心者にもおすすめです。
上質なアルミニウム合金を使った高品位な外観も魅力。絞りリングは操作時にクリック音が鳴らないため、動画撮影にも有効です。重さ約265g、全長53mmと軽量コンパクトで持ち運びも簡単。先端には一体型のレンズフードを備えています。
撮影時の対角線画角は190°。最短撮影距離15cmと、低価格帯の魚眼レンズながら高い接写性能も備えています。対応マウントも複数用意されており、ソニーE・富士フイルムX・ニコンZなどから選択可能です。
銘匠光学 TTArtisan 7.5mm f/2 C Fisheye
多彩な表現が楽しめるAPS-Cミラーレス向けの対角線魚眼レンズです。暗いシーンに有利な開放F2の明るさを持ちながら、手頃な価格で入手できるのが特徴。対角線画角も180°と広いため、夜景や星空を撮影する場合にも重宝します。
対応マウントが豊富なのもポイント。ソニーE・富士フイルムX・ニコンZに加えて、キヤノンRFやライカLなどもサポートしています。大口径の魚眼レンズながら、重さ345〜375g、マウント部を除くサイズが約直径72×58mmと小型軽量なので、軽快に持ち運びが可能です。
最短撮影距離12.5cmと接写性能も良好。さらに、35mmフルサイズカメラに付属のアクセサリーを取り付ければ、全周魚眼レンズに早変わり。真円のなかに周囲の風景を閉じ込めて記録できます。
銘匠光学 TTArtisan 11mm f/2.8 Fisheye
フルサイズミラーレス向けに開発された画角180°の対角線魚眼レンズです。対応マウントをソニーE・ニコンZ・キヤノンRFなどから選択できます。純正レンズのラインナップに魚眼レンズがなく、代替品を探していた方にもおすすめです。
開放F2.8と比較的明るく、暗いシーンでも鮮明に描写可能。手頃な価格の魚眼レンズながら、画面の周辺部まで高画質な描写が得られるのが魅力です。
重量は約490〜510g、全長は85〜89mm。クオリティの高い写真や動画を撮影したい方はチェックしてみてください。
シグマ(SIGMA) 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE Art
星景写真撮影におすすめのフルサイズミラーレス対応の大口径対角線魚眼レンズです。180°の広大な画角と開放F1.4の明るさを実現。絞り開放から優れた描写力と点像再現性を発揮できるため、地上の夜景と星空を同時に写す星景写真の作品撮りにもおすすめです。
星景撮影向けの機能も充実。星に合焦した後の意図しないピントずれを防ぐ「MFLスイッチ」や、結露を防止するレンズ用ヒーターを固定できる「レンズヒーターリテーナー」を備えています。さらに、後部にはシートタイプのフィルターが取り付け可能。ソフトフィルターを使えば、星座の星々を印象的に強調できます。
光学設計にこだわっており、基本的な画質や操作性もハイレベル。防塵・防滴設計と撥水・防汚コートが施されているので、アウトドアでも積極的に使えます。対応マウントはソニーEマウントとLマウントの2種類から選択可能です。
非現実感のあるユニークな画像を撮影できるのが魚眼レンズの魅力です。最近はフィッシュアイ補正機能を搭載したカメラや画像編集ソフトも増えており、通常の超広角レンズとしても使いやすくなっています。一昔前と比べて初心者でも導入のハードルが下がっているので、ぜひ気になった魚眼レンズを気軽に試してみてください。