習字や書道などで使用される「墨汁」。種類によって書き心地や色合いが異なるほか、混ぜて使用できるため、幅広い表現が可能です。しかし、各メーカーからさまざまな製品が展開されており、どれを選べばよいか悩む方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、おすすめの墨汁をご紹介。選び方についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
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墨汁の選び方
書き味や使用頻度に適した原材料をチェック
固形墨に似たサラッとした書き心地の「天然膠性」
固形墨に似たさらっとした書き心地が好みなら、天然膠性の墨汁がおすすめです。天然膠性とは、動物や魚の骨および皮などから抽出した膠を使用したモノのこと。書き心地だけでなく、伸び方も固形の墨に近いのが特徴です。
ただし、ほかの原材料と比較して乾きにくい点に注意。膠が固まらないように塩分が含まれているため、乾くまで時間がかかります。
粘りがあり劣化しにくい「合成樹脂系」
合成樹脂系を原材料に採用した墨汁は、粘りがあり劣化しにくいのが特徴です。合成樹脂系とは、膠の代わりに樹脂を採用したモノのこと。長持ちするため、たまにしか習字や書道を行わない場合におすすめです。
また、膠性の墨汁と比較して用紙に滲みにくく、習字や書道で大切な「はね」「はらい」をより明確に行えます。リーズナブルな製品が多いのも魅力です。
墨の味わいを変える煤(すす)の種類をチェック
コスパ重視ならカーボンブラック
コスパを重視したいなら、カーボンブラックを採用した墨汁がおすすめです。炭素からできた原材料で、油やガスを不完全燃焼させて作られます。ほかの煤を採用したモノより、比較的安いモノを多くラインナップ。これから習字や書道を始める初心者の方に適しています。
ただし、経年変化しやすい点は留意しておきましょう。完成した作品を額縁などに入れて長期保存したい場合には不向きです。
深く重みのある味わいの松煙墨
松煙墨を採用した墨汁は、深く重みのある味わいを表現したい場合におすすめ。松煙墨とは、松の枝や皮を燃やしてできる煤を採煙し、膠や水、香料などを配合して作られる墨のことです。
薄めて使用すれば青みのある色合いに変化するため「青墨」とも呼ばれています。経年変化で青墨化が進んでいくため、また違った味わいを楽しめるのも魅力です。
つやのある濃い墨色の油煙墨
つやのある濃い墨色が好みなら、油煙墨を採用した墨汁がおすすめです。油煙墨とは、油を燃焼してできる煤を採煙し、膠や水、香料などを配合して作られる墨のこと。煤の粒子が細かいうえ、均一であることから、光沢と深みが生み出されるのが特徴です。
薄めると茶色味が感じられるため、「茶墨」とも呼ばれています。茶色味のある味わいが好みな場合にもおすすめです。使用する油の種類によって色合いが若干異なるのもポイント。複数の製品を試しながら好みのモノを探してみてください。
子供用には洗濯で落とせるタイプをチェック
洗濯で落とせると謳う墨汁なら、子供にも安心して使用させられます。万が一、衣服に墨汁が付いてしまった場合でも、きれいに落とせる可能性が高いのがメリット。ただし、時間が経過すると跡が落ちにくくなるため、できるだけ早く洗うようにしましょう。
なお、通常の墨汁よりも薄いため、作品として保存したい場合には不向きです。学校で行われる習字・書道の授業や個人の練習用として使用するのがおすすめです。
用途に合わせて容量で選ぼう
用途に適した容量を選ぶことも大切です。多すぎると余ってしまって勿体ないのはもちろん、少なすぎると必要なときに残量が切れていたり、頻繁に購入する手間がかかったりします。
学校の授業で使用するだけなら180ml、書道教室に通ったり自宅で練習したりするなら500ml、書道教室で複数人で使用するなら1000ml以上入った墨汁がおすすめです。
ただし、天然膠性を採用した墨汁は長持ちしにくいため、約2年で使い切れる容量かどうかを確認してから購入するようにしましょう。
墨汁のおすすめ
呉竹(Kuretake) 書芸呉竹 紫紺 500ml BB1-50
純油煙を原料に採用し、独自の製法で作り上げた墨汁です。紫紺系の色合いが特徴で、深い味わいを楽しめます。天然膠を使用しているので、固形墨に近い表現が可能。本格的な作品を制作したい場合におすすめです。
容量のラインナップが豊富で、用途に応じて選びやすいのもメリット。180ml・250ml・500ml・1000ml・1800mlの5種類を用意しています。
呉竹(Kuretake) 油煙磨墨液 天衣無縫 500ml BB11-50
特殊な製法により、最適濃度に磨った固形墨の味わいを再現した墨汁です。固形墨のような濃淡を表現できるおすすめの製品です。独特な形状の容器を用いているのも特徴。本格的に書道をたしなむ方へのプレゼントにも適しています。
容量は500ml。濃墨ではつやのある純黒、淡墨では赤紫系の墨色を表現できます。
呉竹(Kuretake) 玄徳 濃墨 1.8L BB33-180
つややかな黒味にこだわった墨汁です。原料には膠の代わりに樹脂を使用。樹脂のなかでも筆を痛めにくい種類を採用しています。加えて、経時変化によって起こる墨汁の粘度増加を最小限に抑えた配合により、優れた安定性も実現しています。
墨汁の濃度は濃墨のほか、普通濃度・中濃度・超濃墨もラインナップ。作品の内容に合わせて濃度を細かく選べる点もおすすめです。容量は1.8L以外に、200ml・500mlも用意されています。
呉竹(Kuretake) 古心 500ml BB10-50
紫紺色を追求して作り上げられた墨汁です。原料にはゴマ油煙のほか、上質な膠を使用。墨色・書き味ともにクオリティが高く、幅広い内容の作品制作をはじめ、半紙や画仙紙を用いた漢字練習用としてもおすすめです。
墨汁の使用範囲は淡墨から濃墨まで対応。10~20倍に薄めた淡墨では立体感を引き出す茶紫系の墨色に、原液または2倍に薄めた濃墨では奥深い味わいの紫紺系の墨色になります。薄め方によって異なる表情を楽しめる点も大きな魅力です。
呉竹(Kuretake) 洗って落ちる書道液 練習用 180ml BA14-18
誤って衣服に付いても洗濯で落とせると謳う練習用の墨汁です。ぬるま湯に10分ほどつけ置きして軽く汚れを落とした後に、洗濯機に衣料用漂白剤と洗剤を入れて一緒に洗うだけと簡単。子供や初心者の方におすすめの製品です。
なお、繊維の種類によっては落ちにくい場合があるほか、ほかの墨や書道液を混ぜると洗濯では落とせない点は留意しておきましょう。
墨運堂 玄宗 濃墨液 500ml 12006
鉱物性直火焚松煙と合成のりを使用した固形分18.5%の墨汁。墨運堂がラインナップする玄宗シリーズのなかで、最も一般的で使いやすいと謳われています。
本製品は、紫紺系の純黒を楽しめる濃墨タイプ。低温下での粘度変化が少なく、安定した伸びおよび紙への染み込みを実現します。墨汁が穂からバランスよく広がるのもポイント。点やかすれなどの筆のタッチを細部までしっかりと表現できます。
墨運堂 特選書法一品 濃墨 500ml 12910
固形墨以上の運筆の軽さを実現した墨汁です。原料にはコラーゲンなどを豊潤に含んだ天然膠を使用。初筆のにじみを抑えられ、画仙紙にもよく浸透する特性ながら、筆の開閉が滑らかで書きやすさを持たせた仕上がりが魅力です。
本製品は濃墨タイプで、品のよい紫紺系の墨色が特徴。天然膠性のため、固形墨と磨り合わせて使いたい方にもおすすめです。容量は500mlのほか、小ぶりで使い勝手のよい200ml、大容量でたっぷり使える2000mlもラインナップしています。
墨運堂 桐華 純桐油煙 中濃墨 500ml 11821
平均粒子径が30mμ以下と極微粒の純桐油煙を原料に使用した墨汁です。コク深い書き味や、墨色の厚み・強さなどをしっかり実感できる高品質な仕上がり。茶紫系の反射色の墨色が特徴です。
固形墨と同様に、紙への浸透性や表具性を併せ持っているのがポイント。半紙や画仙紙を使った漢字練習のほか、作品制作にも適しています。本製品は中濃墨タイプで、原液か少し薄めて使うのがおすすめ。淡墨でも味わい深い色調を表現できます。
墨運堂 羽衣 墨液 500ml 11812
固形墨が持つ条件を備えた墨汁として開発された製品です。書き味や伸び、紙への浸透性や表具性など、細部までこだわって作られているのが魅力。低温時の粘度変化も抑えられ、年間を通して安定して使えるのもおすすめのポイントです。
鉱物性直火焚松煙の茶味を活かした墨色で、やわらかい線質が特徴。漢字や調和体の練習をはじめ、作品制作など幅広く使えます。容量は500mlのほか、200ml・2000mlもラインナップ。濃墨タイプも販売されており、好みの濃度を選べます。
墨運堂 玄宗 中濃墨液 2000ml 11810
固形墨に近い書き味や伸び、紙への浸透性を備えたおすすめの墨汁。中濃タイプでそのまま使用できるのはもちろん、普通濃度の墨で薄めることも可能です。
本製品は、気温の変化で粘度が変わりにくいのも魅力。1年を通して安定した流動性を実現し、使いやすさに優れています。容量が豊富にラインナップされているのもポイント。200ml・500ml・2000mlの3種類が展開されており、用途に合わせて選びやすいのもメリットです。
墨運堂 墨の精 墨液 12207
大容量ながら価格が抑えられており、コスパを重視する方にぴったりな墨汁。使用頻度が高かったり、書道教室などで複数人で使用したりする場合におすすめです。
取っ手を備えているのもポイント。重量があるものの、安定して注げます。本製品は、半紙向けに開発された練習用の墨汁。乾きが速いほか、表具性に優れています。
本製品は、普通濃度に調整されているため薄める必要がなく、そのまま使用可能。初心者の方でも使いやすく便利です。
開明 花仙 400ml SU2106
古墨調の奥深い墨色を巧みに再現した墨汁です。墨色は紫紺系の色味でにじみが美しく、非常に滑らかな書き味が特徴。とくに淡墨は墨痕が鮮やかで、立体感に富んだ力強い墨色を表現できます。
濃度は濃い目に調節してあるため、2~3割の水で薄めると漢字・かな作品の制作にぴったりで、20~30倍に薄めると色調豊かな水墨画の制作も可能。また、固形墨と併用すればより個性的な墨色を出せるなど、さまざまな工夫を楽しめる点がおすすめです。
開明 にゅーしょえき すみっコぐらし SY4028
子供に人気のキャラクター「すみっコぐらし」のデザインを採用した墨汁です。すみっコぐらしが好きな方はもちろん、かわいい見た目の墨汁が欲しい方にぴったり。習字・書道の時間が楽しくなるおすすめの製品です。
滲みにくく、発墨がよいのもメリット。筆が固まっても戻りやすいため、筆のお手入れを忘れがちな方にも適しています。
開明 まんが墨汁 純黒 30ml SE0044
漫画制作に特化した墨汁として、特殊樹脂を用いて特別な製法で作られた製品です。伸びがよくにじみにくい特性を持ち、美しいシャープな線を引きやすいのが特徴。適度な濃さで乾きが早く、消しゴムかけに強いのもおすすめのポイントです。
乾くと耐水・耐アルコール性になるため、白黒原稿のほか、マーカーやカラーインクを使用したカラー原稿に使える点も魅力。ベタ塗りにも対応しており、ムラなくマットに仕上がります。汎用性が高く、多くの著名漫画家から高い支持を得ている墨汁です。
開明 金墨汁 BO8201
金色顔料を使用して作られた墨汁です。鮮明かつ光沢のある金色を楽しめます。作品制作や写経におすすめです。
また、書き味が滑らかなのも魅力。スムーズに筆が動くため、自分の思い通りに書きやすい製品です。有機溶剤を使用していないのもポイント。環境に優しい墨汁です。
開明 木簡墨 SE1601
木に書くための墨汁です。木肌に染み込まず、漆黒の墨色が鮮明に入ります。表札や塔婆に文字やデザインなどを入れたい場合におすすめです。
容量は200ml・400mlをラインナップ。用途に応じて選べます。なお、合成樹脂が多く含まれているため、筆への負担が大きい点には注意が必要。使用後はしっかりと水で墨を落とし、洗い残しのないようにしましょう
あかしや(AKASHIYA) 清書用 書写楽墨液 180mL AB-07
半透明のボトルを採用し、残量が容器から透けて見える墨汁。買い足しのタイミングをはかりやすいおすすめの製品です。
粒子が細かいため光沢のあるきれいな筆跡を実現できるのに加えて、滲みにくく、黒さが引き立ちやすいのが特徴。速乾性を有しており、表具性が高いのもポイントです。
そのほか、名前を書き込めるスペースを用意。子供が学校の授業で使用する場合にもおすすめです。フラップ付きのキャップを用いているのもメリット。開け閉めしやすいのはもちろん、机の上で転がりにくいのも魅力です。
古梅園 古墨の味 龍雲 53503055
1577年創業の墨製造会社「古梅園」か手がける墨汁。固形墨に近い品位ある書き味を楽しめます。また、超微粒子の油煙墨を採用。光沢と色の深みが現れるのに加えて、薄めると茶色味が感じられるため、幅広い作品で活躍します。
昔ながらの製法を現在も守り抜く、老舗メーカーの高級な墨汁を使ってみたい方にもおすすめです。
日本製墨 楽雅 濃墨 1800cc
漢字作品の制作におすすめの樹脂系墨汁です。墨の広がりが抑えられているのに加えて、高い速乾性を有しているため、はね・はらいをより明確に行えます。とくに、胡粉が特徴の台湾系画仙紙と好相性です。
開封しなければ約5年ほど保存できると謳っているのもポイント。大容量ながら、外箱をなくすことで低価格を実現しており、コスパを重視する場合にもおすすめです。
祥碩堂 良寛 中濃タイプ 500ml
超微粒子菜種油煙を原料に、上質な膠と香料を加えて作り上げられた墨汁です。墨色はつやと伸びのある深い純黒で、天然膠ならではの固形墨に近い書き味が魅力。運筆は軽く滑らかで、漢字やかな、調和体などさまざまな書体を繊細に表現します。
本製品は中濃タイプで、原液のまま使えるほか、淡墨作品にも応用可能。温湯で薄めれば、深い純黒から赤みのある茶系の黒へと変わります。にじみや渇筆も立体的に表現でき、美しい基線を実現できる点がおすすめです。
より高濃度を求める場合、固形墨と磨り合わせて使えるのもポイント。表具性にも優れており、幅広い用途で使えます。容量は500mlのほか、200mlと1.8Lもラインナップ。使用シーンに合う製品を選べます。
サクラクレパス 洗濯で落ちる墨液 180ml JW
子供の習字・書道の練習用にぴったりな洗濯で落ちるタイプの墨汁です。ウールやナイロン、絹など染着が起こりやすい生地以外であれば、衣類に付いた墨汁を落とす効果が期待できます。また、本体は横口容器のため、使用時の墨汁の飛び散りも防げる設計です。
衣料用漂白剤と洗剤を溶かしたぬるま湯でつけ置きした後、洗濯機で本洗いすれば、より効率的に汚れを除去できます。ただし、ほかの墨汁と混ざると洗濯では落とせなくなるので、使用の際は注意しましょう。
トラスコ中山(TRUSCO) 墨汁 180cc 黒 TKE-180
墨付きに優れており、雨でも流れにくい墨汁。木材などに直線を引くための道具「墨つぼ」に入れる墨汁として使用したり、店の看板の文字を描いたりするのにおすすめです。
また、比較的リーズナブルな価格で購入できるのもポイント。容量は180mlです。
エスコ(ESCO) 雨の日墨汁 180ml EA581DA-71
濡れた面でもにじまず墨を打てる建築用墨汁です。墨打ち時の墨汁の飛び散りを抑え、シャープな線を引きやすいのがポイント。乾燥しても固まりにくい性質に加え、凍結もしにくいので、寒冷地での作業も楽に行える点がおすすめです。
竹や金属、樹脂など、さまざまな素材の墨差しにも対応。原料にはカーボンブラックを採用しており、塩分は含まれていません。同シリーズでは墨汁のほか、朱液・白液もラインナップ。用途に合わせて色の使い分けも可能です。
墨汁の落とし方
衣類などに付いた墨汁の落とし方は、主に2種類あります。ティースプーンにのる程度のご飯粒に洗剤を数滴加えて汚れの裏側から擦り込む方法と、研磨成分の入った歯磨き粉を付けて擦る方法です。
ただし、一度衣類などに付着した墨汁を完全に落とすのは難しい点には留意しておきましょう。洗濯で落ちると謳う製品もラインナップされているので、ぜひチェックしてみてください。
習字や書道などで使用される墨汁。墨汁を選ぶ際には、書き心地や色味にかかわる原材料や煤の種類のほか、洗濯で落とせるタイプかどうかなどを確認することが大切です。本記事を参考に、用途に合ったモノを選んでみてください。