ヘッドホンで音楽を楽しみたい。でも、ものすごい数のヘッドホンが売られていて、どれを買えばいいのやら。値段に差があるし、機能もいろいろあってよくわからない…。そんな方には1万円前後のヘッドホンをおすすめします。
この価格帯は売れ筋であり、どのメーカーも力を入れているんです。低価格機に比べて、基本的な音質、性能が高いのも見逃せません。今回は、コスパ面でも最適な1万円前後のヘッドホンをご紹介します。
1万円以内のおすすめヘッドホン10選
ソニー(SONY) 密閉型ヘッドホン EXTRA BASS MDR-XB950

ソニーによる本格的な大型ヘッドホンです。オーバーイヤー密閉型を採用した音質重視タイプ。重低音再生を強化したEXTRA BASSシリーズに属します。
独自のベースブースターにより、量感の多い、豊かな重低音を響かせますよ。ハウジングには高剛性のアルミニウムプレートを採用。不要な共振を抑制し、キレがありクリアな中高音域を響かせます。価格を超えた高音質機としておすすめできる製品です。
厚みのある低反発ウレタンフォームと、立体縫製を採用したイヤーパッドの装着性のよさもポイント。ロック、ポップスをゆったりと室内で楽しみたい方に向いています。
パナソニック(Panasonic) ハイレゾ対応密閉型ヘッドホン RP-HD5

手頃なハイレゾ対応ヘッドホンです。新開発の40mm径ダイナミック型HDドライバーを搭載することにより、再生周波数帯域4Hz~40kHzの超ワイドレンジを実現しています。この価格帯では出色の存在です。振動板形状を最適化することで、応答性に優れているのもポイント。
高音域の豊富な情報量と繊細な表現力も特徴です。とかく、低音重視になりやすい1万円以内のヘッドホンにあって、高音を中心にした煌びやかなサウンドでハイレゾの高音質を再現できるのが魅力。独自のHSアジャスト機構によるフィット性のよさと、スイーベル機構による携帯性も見逃せません。
パイオニア(Pioneer) 密閉型オーバーイヤーヘッドホン SE-M531

とにかくハイコスパなヘッドホンです。本格的なオーバーイヤー密閉型機で、なおかつハイレゾ対応のハイスペック。それでこの価格は驚きです。コスパに優れる大手メーカーにあっても飛び抜けた存在。
強磁力マグネットを採用した40mm径のドライバーユニットと、CCAWボイスコイルの組み合わせにより、広帯域でクリアな高音質を備えます。装着感のソフトな、ベロアタイプイヤーパッドも見逃せません。
重低音ヘッドホンを謳っていますが、本質的な良さを備えているので、幅広いジャンルの音楽をうまくこなせます。予算を抑えながらも、できるだけ高音質なヘッドホンが欲しい方におすすめです。
コス(KOSS) オープン型オーバーヘッドヘッドホン PORTAPRO KTC

携帯性に優れた開放型ヘッドホンです。1万円以内では開放型自体少なく、しかも、携帯にも使えるようなコンパクト機となるとほとんどありません。本機はなんと1984年発売の超ロングセラー。オンイヤー型の開放型で、小型、しかも60gの軽量です。コンパクトに折り畳めるのもポイント。外でも使えます。
明るく、空間性の広い、開放型ならではの高音質をいつでもどこでも楽しめますよ。低音がしっかり出ているのも長年の人気の秘密です。スマホ用マイクリモコン付きモデルもあり、現代化にも対応。一つ持っておくことをおすすめしたい、孤高の定番機です。
アーカーゲー(AKG) 密閉型オンイヤーヘッドホン Y50

高音質なポータブルヘッドホンです。折り畳みに対応した、小型、軽量のヘッドホンは数多くありますが、この価格帯で、高音質も両立したものはわずかです。本機は例外的存在。オンイヤー密閉型のコンパクトボディながら、大型ヘッドホンに迫る高音質を備えています。
独自の高品位40mm径ドライバーを採用することにより達成。高剛性のアルミ製イヤーカップ、外観の品位感と耐久性を高めているのもポイントです。スマホ用マイク付きリモコンも便利。ポップなデザインとカラーリングは、女性にもおすすめです。
オーディオテクニカ(audio-technica) オープン型ヘッドホン ATH-AD500X

1万円以下では、存在自体貴重な大型開放型ヘッドホンです。国内大手メーカーでは随一の開放型を得意にするオーディオテクニカならではの逸品。独自の大口径53mm径ダイナミック型ユニットにCCAWボイスコイルを採用しています。
また、アルミニウム製ハニカムパンチングケースを採用したハウジングもポイント。高品位な素材を生かした、上質な高音質を堪能できます。開放型ならではの空気感、楽器の質感はクラシック音楽にもぴったりです。1万円以内で自宅用の本格的ヘッドホンならこれ、というほどのおすすめヘッドホンです。
シュア(SHURE) 密閉型プロフェッショナル・スタジオ・ヘッドホン SRH440

正確な音が特徴のヘッドホンです。録音、制作した音源をチェックするために必要なモニターヘッドホン。原音に忠実な正確性と、豊富な情報量が必要です。プロも使うような定番機は、少なくとも1万円以上するものばかり。基本性能を確保するためのコストがかかるからです。
本機は例外的なハイコスパ機。この価格にして、モニターに必要な音質をしっかり備えています。プロ用機に定評のあるシュアが、部品のコストを抑えながら、巧みな音質チューニングを施すことで実現しました。上位機同様のデザインと使い勝手なのも見逃せません。
1万円以下で、原音にこだわるならこれ、というおすすめ機です。
ビーツ(Beats) 密閉型オンイヤーヘッドホン Beats EP

おしゃれなデザインとカラーリングが特徴のヘッドホンです。ビーツは、クールでスタイリッシュなデザインにより、世界的に人気のヘッドホンメーカー。重低音を強めたサウンドデザインも人気です。ただ、1万円以上が中心で、手が届きにくいユーザーがいたことも事実。
そこへ本機が2016年9月に登場。リーズナブルな価格ながら、ビーツらしさを存分に備えた魅力機です。コンパクトなオンイヤー密閉型で、携帯にも便利。iOS対応のマイク付きリモコンも備えます。ステンレススチールを使用したフレームは、耐久性と品位感を実現。
デノン(DENON) 密閉型オーバーヘッドヘッドホン AH-D1100

ハイコスパな密閉型ヘッドホンです。高級オーディオで有名なデノンの技術と音質を実現しながら、この価格なのが魅力。1万円以内の密閉型ではなかなか難しい、アコースティック楽器の豊かで艶やかな質感をうまく描写してくれます。陰影感を持った深みのある表現力も素晴らしいものです。
大型のオーバーイヤー設計による、余裕のある再生能力が背景にあります。クラシック音楽や映画を、スケール感豊かに楽しみたい方におすすめします。
アーカーゲー(AKG) 密閉型ヘッドホン スタジオモニター K240

世界の放送局、録音スタジオで使われている定番のモニターヘッドホンです。開放感と空気感の再現に優れたセミオープン型。モニタリングに必要な正確でリアルな音と、音楽鑑賞にも向いた暖かみのあるナチュラルサウンドを両立しています。幅広い適応性から長年の人気につながっているんです。
自動的に最適な装着感になるセルフアジャスト機構、着脱式ケーブルなど使い勝手もプロ仕様。何よりこの価格でこの高音質、というのが最大の魅力です。ハイコスパなモニターヘッドホンとしてイチオシ。
1万円台のおすすめヘッドホン10選
ソニー(SONY) ステレオヘッドホン MDR-100A

1万円台では最高の高域再生スペックを誇るヘッドホンです。40mm径のドライバーユニットに、チタンコーティングを施したドーム部を持つ振動板を採用しています。これにより、なんと60kHzまでの再生を実現。192kHzや、DSDといった、よりハイスペックなハイレゾ音源にも余裕を持って対応できます。
本格的なオーバーイヤー型ながら、携帯しやすい折り畳み機構も便利です。シンプルなデザインと印象的なカラーリングもポイント。見た目にもこだわる方にもおすすめです。
ジェイビーエル(JBL) オーバーイヤーワイヤレスヘッドホン Synchros E50BT

ハイコスパなBluetooth対応ヘッドホンです。この価格帯のBluetooth対応機というと、どうしても有線専用機よりも音質が劣りがち。ところが、本機は違います。
業務用音響機器に長年の歴史と伝統のあるジェイビーエル。この技術により、高音質とワイヤレスの便利さを両立しました。大型50mm径ダイナミックドライバーと大型ハウジングの組み合わせにより、ワイドレンジで力感あふれるサウンドを聴かせます。
有線接続時も、同価格帯の通常タイプと同等以上の高音質です。特にロック、ポップスをノリよく聴きたい方にはおすすめ。
パナソニック(Panasonic) ハイレゾ対応密閉型ヘッドホン RP-HD10

1万円台ではハイコスパなハイレゾ対応ヘッドホンです。超多層フィルム(MLF)振動板を採用した、大口径50mmのHDドライバーユニットにより、50kHzまでの高域の伸びを誇ります。豊富な情報量を背景に、素直で自然な高音質です。多くの要素をさりげなく再現する能力は価格を大きく超えたもの。
室内向けの大型オーバーイヤー型に特化した潔い設計もコスパにつながっています。大手メーカー製では音質と価格のバランスの取れたヘッドホンとして注目できますよ。
フィリップス(Philips) ノイズキャンセリングヘッドホン Fidelio NC1

ハイコスパなノイズキャンセリング(NC)機能付きヘッドホンです。フィリップスはコスパの高い製品作りに定評があります。本機も同様。通常、NC機能付きヘッドホンは安価だと音が悪く、NC性能も低いもの。ところが、本機は高性能ハイブリッドノイズキャンセリング方式を採用。
高級機同様の25dBものノイズ低減力を持ちます。
それでいて高音質。40mm径高性能ネオジウムマグネットドライバーと、アコースティックチャンバーが、自然で繊細なサウンドを響かせます。コンパクトに折り畳めるオンイヤー型もポイント。NC機能抜きでも良質なポータブルヘッドホンとしておすすめです。
サトレックス(SATOLEX) ハイレゾ対応ヘッドホン DH297-A1DR

純国産が特徴のヘッドホンです。国内大手メーカーであっても、この価格帯では海外生産が普通です。ところが、本機は完全メイドインジャパン。聴いたことがないメーカーかもしれませんが、れっきとした国内メーカーで、しかも長年他社にOEM供給をしてきた実力派です。
本機は180gの軽量ながら、ハイレゾ対応の高性能も備えます。コンパクトながらも、オーバーイヤー密閉型タイプとして、スケール感のある高音質を志向。プラムの本体カラーはシックで個性的です。一味違うヘッドホンが欲しい方におすすめ。
スカルキャンディー(Skullcandy) 密閉型ヘッドホン CRUSHER J6SCDZ-003

重低音を格別に楽しめるヘッドホンです。55Hz以下の低域を人間が体感できる振動に変換するデュアルドライバーシステムを搭載しています。文字通り、重低音を体で楽しめます。振動の強さは自由に調整できるのも便利です。
デザインとカラーリングに凝っているのも魅力。これまでにない音楽の聴き方ができる点でおすすめです。
フォステクス(FOSTEX) ヘッドホン T50RPmk3n

平面型振動板の採用が特徴のヘッドホンです。独自開発のRP(Regular Phase)振動板を搭載しています。平面型ならではの音の立ち上がりのよさを堪能できますよ。弦を弾く瞬間のような、楽器音のリアルな鳴り方は、他では得難いメリットです。
音質に優れる平面型を1万円台で販売できるのも、世界的な振動板供給メーカーだからこそ。業務用モニターヘッドホンにも使われるだけに、幅広い音域で誇張の少ない高音質であることもポイントです。
ソニー(SONY) ステレオヘッドホン MDR-7506

同社のMDR-CD900STと並んで、プロ用モニターヘッドホンの世界的定番機です。この価格のオーバイヤー密閉型機として基準となる、正確でリアルな音質、豊富な情報力を備えます。色付けや音作りの演出を排除しながらも、音楽それ自体をしっかり楽しめる高音質が魅力です。
本体はコンパクトに折りたためるので、携帯使用も可能。幅広いジャンルをしっかりと聴き込みたい方におすすめです。
エレコム(ELECOM) ハイレゾ対応ヘッドホン EHP-R/OH2000MBK

意外性満載の高音質ヘッドホンです。まず、エレコム製というところが意外。PC周辺機器のイメージが強いですが、実は近年、本格的にヘッドホン業界に進出しているんです。しかも予想を上回る高音質。メーカー自身、「意外にいい音、エレコム」というキャッチフレーズなのも面白いですね。
本機は、日本製の液晶ポリマーフィルム振動板を使用しているのが特徴。ソニーでは高級機にしか使われない高品位素材です。これを活かして、40kHz再生のハイレゾ対応をクリア。その上で、ナチュラルでリアルな高精細サウンドを聴かせます。
折り畳み可能と、肌触りのよいイヤーパッドも見逃せません。何より、実売価格の安さ。この価格ではナンバーワンの実力機と断言できます。ブランド名よりも実力にこだりたい方におすすめです。
ゼンハイザー(SENNHEISER) オープン型ヘッドホン HD 598 Special Edition

開放型の高音質ヘッドホン。開放型ヘッドホンの元祖メーカーによる実力機HD 598のブラックバージョンです。実売価格が1万円台でお得なのがポイント。HD 598より5千円ほども安いんです。独特のカラーリングで人気のHD 598よりシンプルな色使いもおすすめできます。
高性能な機能も魅力。Advanced Duofolダイヤフラム採用により、空間性の広い、穏やかな再現性を堪能できます。特に、アコースティック楽器の再生では1万円台トップクラス。頭の外に音が広がるような開放感も格別です。音の陰影感、デリカシーが欲しい方にもおすすめ。
1万円前後のヘッドホンを選ぶ際の注意点
音質重視か機能重視か

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1万円前後のヘッドホンでは、音質を重視するか、機能を重視するかは大きなポイント。より高額なクラスと違って、製品に投入できるコストが限られているだけに、音質も機能も両立する、というのはなかなか難しいからです。
最近では多機能ヘッドホンが増え、Bluetoothワイヤレスに加えて、ノイズキャンセリング(NC)機能まで備えるものもあるほど。ただ、音質だけで見ると、同じ価格の単機能有線ヘッドホンと比べて、こうした多機能機は多少劣る点は否めません。
一方、最近の製品に多いスマホ対応のマイクリモコン機能については、あまりコストがかからないためか、この有無による音質の明確な違いはありません。
自宅中心かモバイル中心か

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これも機能面の一つですが、自宅(室内)中心に使うか、ポータブル機、DAPなどと合わせてモバイルで使うかでも選択は変わります。室内用は、ポータビリティーは考慮せず音質最優先設計。そのため、大型ハウジングと、耳を覆うオーバーイヤータイプが多数です。
一方、モバイル対応ヘッドホンではポータビリティーを優先すると、本体の軽量化、小型化を重視します。そのため、折り畳み可能で、小型ハウジング、耳乗せ形のオンイヤーの小型パッドになります。ただ、音質的には同価格の大型機より劣ることは否めません。
高価格機ですと、モバイル対応ながら折り畳み対応の大型機もありますが、この価格ですとどちらか一方しか取れない機種が多いです。自分のスタイルに合ったタイプに絞ることがより効率的なヘッドホンの選択につながりますよ。
音楽ジャンル、好きな音質に合わせた選択

ヘッドホンには発音部の周囲との密閉度の違いによって2つの種類があります。それぞれの音に傾向があるので、聴きたいジャンルによって選び分けるのがおすすめです。
一般的なのは密閉型。遮音性が高く、低音再生能力が高いのがメリット。反面、場の空気感や空間の広がりの表現は苦手です。電子楽器に向いた、クリアで締まりのある音になりやすく、ロック、ポップス全般におすすめできます。
次は開放型。遮音性が低く、音漏れも盛大です。演奏の場の雰囲気や空間性の表現が得意。やや柔らかめの質感表現で、アコースティック楽器の再生に向きます。クラシック、ジャズにおすすめ。ただし、音漏れがあるので、屋内専用と考えてください。
おすすめメーカー

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1万円前後で高音質かつハイコスパなヘッドホンを発売しているメーカーとしては、世界的な規模のメーカーであること、業務用機での実績が高いことの2つがポイント。コスト面、ノウハウ面でのアドバンテージがあるからです。
具体的に、国内ではソニー、パイオニア、海外ではフィリップス、ゼンハイザー、シュア、アーカーゲーなどが挙げられます。
個性豊かなヘッドホンばかりでした。少しでも高ければいいのでもなく、自分の好みとのマッチングが大事です。1台で全てをまかなおうとするのではなく、複数台使い分けて楽しむのもいいかもしれません。
音がよくても装着感が合わないと疲れてしまうので、購入前に試聴することも忘れないでくださいね。