代表的なデザートワインのひとつ「アイスワイン」。凍らせた完熟ブドウで造られるワインは、果汁が凝縮されて糖度が高まり、芳醇な極甘口の味わいに仕上がります。
今回は、食前酒や食後酒、デザートなどと一緒に楽しみたいおすすめのアイスワインをピックアップ。アイスワインの由来や選ぶ際のポイントもご紹介します。お気に入りの銘柄を見つけて、とろけるような甘みを味わってみてください。
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アイスワインとは?
アイスワインの特徴や由来
アイスワインとは、貴腐ワインと並ぶ、希少な甘口タイプのデザートワインのことです。自然凍結したブドウで造られており、凝縮された果実由来の濃厚な甘みや心地よい酸味、豊かな香りが魅力。貴腐ワインと比べて、さっぱりとした飲み口も特徴です。
アイスワインは、18世紀末のドイツで誕生したワイン。当時、バイエルン北部のフランコニア地方を強烈な寒波が襲い、収穫できなかった完熟ブドウが樹上に実ったまま凍りついてしまう災難に見舞われました。
通常凍ったブドウは廃棄されるものの、「あまりにももったいない」と凍ったままのブドウで醸造してみると、奇跡的においしい甘口ワインができあがったといわれています。芳醇な味わいが評判となり、意図的に製造されるようになりました。
ただし、凍ったブドウ一房から採れる果汁は、スプーン1杯程度とごくわずか。また、気象条件や野生動物の食害などによっては十分な量を収穫できない年もあります。厳しい条件のもと手間ひまをかけて造られるため、アイスワインの希少性は高まっています。
貴腐ワインも詳しく知りたい方はこちら
アイスワインを名乗れる条件は?
「アイスワイン」の名称は国際的な登録商標で、ドイツ・オーストリア・カナダの3ヵ国で生産されたワインにのみ使用が許可されています。たとえほかの国で同じ製法でワインを造っても、アイスワインの名称は使えません。
また、生産地域によってはアイスワインを造る際の温度や収穫方法、果汁の糖度などについて厳格な基準も定められています。
アイスワインの産地
ドイツ
ドイツでは、国内最大級の栽培面積を有する白ブドウ品種「リースリング」を使用したアイスワインが主流。青リンゴを思わせるフルーティーな甘みに、キリっと引き締まる豊かな酸味や、スパイシーなミネラル感のある優雅な味わいを楽しめます。
また、ドイツ産アイスワインはアルコール度数が比較的低めで、カナダやオーストリア産のモノより飲みやすいのも魅力。200年の歴史ある醸造所、ドクター・ローゼンが造る「リースリング・アイスヴァイン」は世界的にも高い評価を得ています。
なお、ドイツにはブドウの糖度によってワインを評価する独自の格付けが存在。アイスワインは、上から2番目に位置しています。
オーストリア
ドイツの隣国オーストリアでも、古くからアイスワインが製造されてきました。主要なブドウ品種は、「リースリング」や「グリューナー・フェルトリーナー」など。ハチミツを思わせる芳醇な甘みにスパイシーなアクセントを楽しめるのが特徴です。
ドイツと同じような品種が使われているものの、ドイツと比べると温暖な気候のため、味わいはより濃厚で力強い印象。オーストリア最古のワイナリーのひとつ、シュロス・ゴベルスブルクが造る「グリューナー・フェルトリーナー・アイスワイン」などが有名です。
なお、オーストリアのワインにもブドウの糖度によって独自の格付けが存在しており、アイスワインは上から3番目に位置しています。
カナダ
世界最大のアイスワイン生産国のカナダ。なかでも、ナイアガラの滝で有名なオンタリオ州は、栄養豊富な土壌と恵まれた自然環境がブドウ栽培に適しており、カナダ産アイスワインの主要産地として知られています。
主に使用されているブドウ品種は「ヴィダル」。トロピカルフルーツのような華やかな香りに、アプリコットのような果実味、心地よい酸味も感じられる複雑な味わいが特徴です。
ドイツ産のアイスワインと比べると、酸味がマイルドで飲みやすい印象。イニスキリンが造る「アイスワイン・ゴールド・ヴィダル」などが代表的な銘柄です。
なお、カナダではワイン卸商品質同盟「VQA」により、アイスワインの製造について厳格な基準が設けられています。基準をクリアした良質なカナダ産アイスワインにはVQAの品質保証ラベルが貼られているので、購入の際にチェックしておきましょう。
アイスワインの選び方
赤か白かで選ぶ
アイスワインは、白ワインが主流です。赤ワイン特有の渋みがアイスワインの甘みとアンバランスになってしまうと考えられていたため、長年白のアイスワインのみが製造されていました。
しかし、最近では一部の生産地で赤のアイスワインも造られており、人気を集めています。すっきりとフルーティーな味わいの白と、エレガントなコクを楽しめる赤の、味わいの違いを楽しんでみてください。
アイスワイン初心者の方は、まずは定番の白から飲んでみるのがおすすめです。
ブドウの品種で選ぶ
アイスワインで使用されているブドウ品種は、「リースリング」「ヴィダル」「シャルドネ」「グリューナー・フェルトリーナー」などの白ブドウが主流です。品種ごとの特徴を押さえて、アイスワインを選ぶ楽しみを広げましょう。
「リースリング」は、甘美な香りにしっかりとした酸味のある繊細な味わいが特徴。「ヴィダル」は、トロピカルフルーツのような豊かな香りとキレのある酸味で、複雑な味わいを生み出します。
「シャルドネ」は、白ワイン用ブドウ品種の代表格。寒い地域で栽培されたモノは、すっきりと上品な味わいにリンゴのような華やかな香りがあります。オーストリア原産の「グリューナー・フェルトリーナー」は、スパイシーな香りとミネラル感が魅力です。
また、赤ワイン用には、カシスのような果実味あふれる香りとコクが人気の「カベルネ・ソーヴィニヨン」や、程よい渋みと酸味を持つ「カベルネ・フラン」などが使われています。
甘さで選ぶ
一口にアイスワインといっても、甘口タイプと極甘口タイプのモノがあり、表記によって甘さの度合いが異なります。アイスワインを初めて飲む方は甘口からはじめてみるのがおすすめ。クセがなく飲みやすいのが魅力です。
好みはもちろん、一緒に楽しむデザートやフルーツの種類を考慮して、甘さからアイスワインを選ぶのもおすすめです。
アイスワインのおすすめ
ザ・アイス・ハウス・ワイナリー(The Ice House Winery) ノーザンアイス ヴィダル 2019 アイスワイン
カナダ・オンタリオ州のアイスワイン専業ワイナリー「ザ・アイス・ハウス・ワイナリー」のアイスワイン。カナダでのアイスワイン醸造のパイオニアである、ジェイミー・マクファーレン氏が手掛けており、その品質はカナダ最高峰とも謳われています。
本銘柄は「ヴィダル」を100%使用した極甘口タイプです。色味は黄金がかった琥珀色をしており、なめらかな舌触りが特徴。マンゴーやアプリコットなどの濃密な果実香のほか、バニラやハチミツなどのニュアンスも加わった濃厚な味わいが魅力です。
ボトルのラベルには北極星をモチーフにした白クマを採用。北極星は古来より旅人の道しるべとされてきた星座であることから、「大切な人のもとに迷わずたどり着く」というロマンティックなメッセージが込められています。
ドクター・ローゼン(Dr.Loosen) リースリング 2016 アイスヴァイン
ドイツ・モーゼル地方の老舗ワイナリー「ドクター・ローゼン」のアイスワインです。当主はエルンスト・ローゼン。古樹の使用にこだわり、最上級の畑を所有するなど、ドイツワイン市場に数々の革命を起こした人物です。
ブドウ品種は「リースリング」を100%使用しています。白桃やハチミツ、柑橘のコンポートなどの濃厚な香りが際立つ、エレガントな味わいが特徴。極甘口タイプながら、高い酸味があるため余韻はすっきりとしており、アイスワイン初心者の方にもおすすめです。
食後のデザートワインとしてはもちろん、ワイン会の締めの1杯やリラックスタイムのお供などにもぴったり。好みのシーンでじっくり楽しめます。
ハインフリート・デクスハイマー(HEINFRIED DEXHEIMER) ハイマースハイマー ゾンネンベルク ジョイレーベ 2018 アイスヴァイン
ドイツ最大のワイン生産地として知られる、ラインヘッセン地方で造られているアイスワイン。アイスワインのスペシャリストとして名高い「ハインフリート・デクスハイマー」渾身の銘柄です。
ブドウ品種は、ワイン愛好家から注目を浴びる「ショイレーベ」を使用しています。香り高い酸味があり、白桃やアプリコット、メロンやマンゴーなど、フルーティーな風味を余韻までじっくり楽しめます。
色味は黄金色で、高級感のあるゴールドのラベルデザインが特徴です。アイスワインの銘柄のなかでは、コストパフォーマンスに優れているのもポイント。自分へのご褒美のほか、プレゼントにもおすすめです。
ルドルフ・ファウス(Rudolf Fauth) ウーデンハイマー ゾンネンベルク リースリング 2018 アイスヴァイン
ドイツ・ラインヘッセン地方で300年以上続く、由緒ある生産者が造るアイスワインです。ウーデンハイムをはじめ、所有する広大な畑で収穫されるブドウの75%が白ワイン用。とりわけ、アイスワイン造りにこだわっているのが特徴です。
ブドウ品種は「リースリング」を使用。ハチミツやトロピカルフルーツのような濃厚な香りがあります。極甘口の味わいと高い酸度がマッチしており、飲み口はすっきり。「リースリング」ならではのエレガントな余韻がポイントです。
2018年ヴィンテージの本銘柄は、香りや味わいがとくにしっかりしていると好評。集約した果実味を味わいたい方におすすめです。
クラッハー(KRACHER) 2018 アイスワイン
世界有数の天然甘口ワインの生産者として知られる「クラッハー」のアイスワインです。ひとつのブドウ品種だけでなく、「グリューナー・フェルトリーナー」を40%、「リースリング」を30%、「シャルドネ」を30%使用して造られています。
ワイナリーの現当主は3代目のゲオハルト・クラッハー氏。若くして高い醸造技術と栽培技術を持つ、世界中のワイン業界で認知される実力者です。ワインコンペティションでは数多くの受賞実績を持ち、その品質は国内外を問わず認められています。
本銘柄の色味はゴールデンイエローで、ハーブやライチなどの繊細な香りが特徴。口に含むとフレッシュな味わいが広がり、濃厚な甘みの余韻までじっくりと楽しめます。
ハーフナー(HAFNER) フルミント 2020 アイスワイン
家族経営の小さい生産者ながら、世界中の愛好家から支持されているアイスワイン。オーストリア・メンヒホーフでワイナリーを営む「ハーフナー」は、1217年よりワイン造りに携わる老舗。また、オーストリア初のワイン生産者としても知られています。
本銘柄では「フルミント」を100%使用。凝縮したハチミツのニュアンスを感じられる、エキゾチックな甘みのある味わいが広がります。厳しいワイン法をクリアしたオーガニック認証を受けているため、オーガニックワイン好きの方にもおすすめです。
「ハーフナー」のアイスワインは、「フルミント」のほかに「ショイレーベ」を使用したモノなども造られています。品種によって異なる味わいを楽しめるのも人気のポイントです。
ペーター・メルテス(Peter Mertes) ナクトゥ・ゴールド 2018 アイスワイン
手頃な価格ながら本格的な味わいが楽しめるアイスワインです。ドイツ・ラインヘッセン地方で造られており、「オルテガ」「フクセルレーベ」「ショイレーベ」の3種類のブドウ品種が原料に使用されています。
温暖化の影響により生産量が減少していたものの、本銘柄の2018年ヴィンテージから復活。唯一無二とも謳われる濃厚な甘みがあり、白桃や柑橘類、パイナップルなど、さまざまな果実香を楽しめます。
ワイン名は和訳すると「夜に輝く金色の雫」の意味を持ち、黒いボトルに金色のラベルが映えるデザインが特徴。食前酒をはじめ、アイスクリームなどデザートのトッピングとしてもおすすめです。
イニスキリン(Inniskillin) ヴィダル 2018 アイスワイン
アイスワインの先駆者ともいわれる、カナダ・オンタリオ州を代表するワイナリー「イニスキリン」の高級アイスワイン。カナダ初となる、栽培から醸造までを一貫製造する醸造元で、現在は70ヵ国以上で販売する世界有数のブランドとして地位を確立しました。
マンゴーやオレンジなど、トロピカルフルーツのアロマが際立ち、レモンのようなさわやかな酸味とのバランスがとれた味わいが特徴。フルーツをベースにしたデザートのトッピングをはじめ、さまざまな料理とのペアリングも楽しめます。
高品質を証明するVQAのラベルも取得。特別な日の贅沢にはもちろん、ワインファンの方へのプレゼントとしてもおすすめです。
ザ・アイス・ハウス・ワイナリー(The Ice House Winery) ノーザンアイス シグネチャーシリーズ カベルネ・フラン 2019 アイスワイン
赤ワイン用ブドウ品種「カベルネ・フラン」を100%使用した、希少なアイスワイン。アイスワイン造りの主流の白ブドウではなく、黒ブドウを原料に造られているため、鮮やかなルビーのような色味がポイントです。
使用されるブドウは糖度を高めるため、樹のうえで何度も凍結と解凍が繰り返されます。この工程により味わいを凝縮させ、収穫後は氷結状態のブドウを時間をかけて圧搾。その結果極めて糖度の高い原液ができあがります。
香りは白ブドウのアイスワインとは異なり、チェリーやカシス、ラズベリーなどの果実香が特徴です。甘く濃密な味わいと豊かな酸度のバランスがよく、極甘口タイプでもすっきりとした飲み口を実現。アイスワイン専業のワイナリーならではの技術が光る1本です。
アイスワインは貴族のワインとも呼ばれるほど、希少で贅沢な味わいが魅力です。使用しているブドウ品種の違いはもちろん、ドイツ・カナダ・オーストリアと生産国でも風味が変わるので、飲み比べしてみるのもおすすめ。とろけるような極上の甘みを堪能しながら、至福のひとときを過ごしてみてください。