「麦焼酎」は芋焼酎に比べても飲みやすく、焼酎初心者にも親しみやすい酒です。全体としてアルコール度数は高めですが、度数を感じさせないような軽やかさやクセのないシンプルな味わいが特徴で多くの人に愛されています。

そこで今回は麦焼酎における甲類・乙類の違いやそれぞれの特徴をお伝えしながら、選び方のコツやおすすめの銘柄をご紹介。麦焼酎はプレゼントにも喜ばれる酒なので、ぜひ参考にしてみてください。

麦焼酎とは?

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焼酎は、ウイスキーやウォッカなどと同じ蒸留酒に分類されます。蒸留酒は、原料を発酵させて造る醸造酒をさらに蒸留し、アルコール度数を高めたモノです。そのため、焼酎の平均アルコール度数はおよそ25度前後と高めです。

麦焼酎は焼酎のなかでも香りにクセがなく焼酎初心者でも飲みやすい種類。麦を原料に用いることで、比較的クセのない味わいが多い傾向にあります。また、蒸留の仕方によって銘柄の特徴が現れるので、マイルドでフルーティーなタイプや後味がすっきりとしたモノなど好みや気分で選んでみるのもひとつの楽しみ方です。

甲類と乙類の違いは?

焼酎甲類

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焼酎甲類は、連続式蒸留器で蒸留を行っているモノです。蒸留酒は、醸造した酒を加熱し、気化したアルコール分を冷やして液体にします。これをひとつの機械で連続して行う製法が連続式蒸留で、より高純度のアルコールが抽出可能です。

蒸留を繰り返す過程で、原料由来の雑味や香りが飛ぶため、焼酎甲類は無色透明でピュアなクセのない味わいが特徴。クセのなさゆえに、飲み方も酎ハイやサワー、お湯割からカクテルまで幅広く万能で、アルコール度数は36度未満に規定されています。

焼酎乙類

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焼酎乙類は、単式蒸留器で蒸留され、度数は45度以下と規定されています。単式蒸留は、連続式蒸留に比べて蒸留の回数が少ない方式。アルコールだけでなく香りの成分も一緒に抽出されるため、出来上がった焼酎にも原料独特の風味や味わいが感じられるのが特徴です。

原料は米や麦だけでなく、さつまいもやそば、黒糖などがあり、原料の風味が生かされるので、焼酎乙類は本格焼酎とも呼ばれます。香りや風味を存分に楽しむには、ロックやお湯割がおすすめ。焼酎甲類に比べてクセが強い焼酎です。

麦焼酎の選び方

味と香りで選ぶ

原料である麦本来の香りや風味を楽しみたい方は、乙類の本格麦焼酎がおすすめです。なかでも甘みやコクが強いモノ、口当たりがマイルドなモノやすっきりとキレのよいモノなど、銘柄や品種によってさまざまな味わいが楽しめます。

初めて麦焼酎を飲む方には、クセの少ない麦焼酎がおすすめです。香りや味の違いを楽しみながら、お気に入りの1本を見つけてみましょう。

麦の品種で選ぶ

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麦焼酎の原料には大麦が使われているため、現在は収穫量の多い二条大麦を使ったものが主流となっています。しかし、なかには六条大麦を原料として使用した麦焼酎も造られており、より麦らしさを感じられる味わいのモノもあります。麦の種類が異なる麦焼酎で、味や香りの違いを楽しむのもひとつです。

麹で選ぶ

焼酎にかぎらず、日本酒などの酒を造る上で欠かすことのできないモノが麹。使われる麹の種類によっても味や香りに違いが生まれるので、麹の違いで銘柄を選ぶのもおすすめです。

黒麹を使った焼酎はガツンとインパクトのある重厚な味わいのモノが多く、コクがありキレのある焼酎を造り出します。白麹は黒麹に比べてマイルドで飲みやすいモノが多く、麦の風味を生かしつつやさしい味わいが特徴です。

また、最近では主に日本酒造りに使用される、黄麹を使った焼酎も増えています。黒麹と正反対で、フルーティーな香りと軽やかな飲み口がポイント。飲みやすい銘柄が多く、焼酎が苦手な方や女性にも人気があります。

用途で選ぶ

自分用に麦焼酎を選ぶのであれば、まずは自分の好みを見つけましょう。高価で評価が高いモノのなかには、クセが強い銘柄もあり、好みに合わないこともあるので要注意。

最近では居酒屋でも麦焼酎を数多く取り揃えているお店もあるので、飲み比べてみて、自分の好みの味や香りを覚えておくと、好みの銘柄を見つけやすくなります。また、銘柄によっては少量の小瓶や量り売りをしている場合もあるので、少しずつ色々な種類の麦焼酎を試してみるのもおすすめです。

また、贈り物として選ぶのであれば、相手の味の好みはもちろんですが、ボトルのデザインやパッケージにも注目して選んでみましょう。お洒落なデザインや、昔ながらの陶器のモノなど、見た目でも焼酎を楽しむことができます。タイプの違う焼酎を2〜3本セットにしてプレゼントするのもおすすめです。

麦焼酎のおすすめ銘柄

二階堂酒造 二階堂

原料が麹を含めて麦100%で造られた麦焼酎です。スーパーでも手に入りやすく、価格もリーズナブル。クセのない飲みやすさは初心者にもおすすめです。

飲み手の健康を考え、すべての原料に一貫して麦を使用しており、その芳醇な香りとまろやかな舌ざわりは「一度飲んだら忘れられない」とまで言われています。華やかな香りと麦の甘みが程よく感じられる銘柄です。

佐藤酒造 佐藤

佐藤黒や佐藤白などの芋焼酎が有名な佐藤酒造が手掛ける麦焼酎。2007年に発売され、芋焼酎に比べて歴史は浅いですが、麦らしい香ばしさとチョコレートのような甘みが特徴です。飲み口もすっきりとしており、今では定番の人気焼酎となっています。

これぞ麦焼酎と言える味わいで、麦の旨味や香りがストレートに感じられ、初心者から玄人まで満足できる1本です。

四ッ谷酒造 兼八

大分県では人気No.1とも名高い麦焼酎。「幻の麦焼酎」とも言われ、大分県宇佐市に蔵を構える老舗の酒蔵「四ッ谷酒造」が造っています。

麦本来の味や香りが存分に引き出されており、味わいは麦チョコのような強いロースト感と甘みのある香りが特徴的で、口当たりは柔らかくなめらか。麦の風味を心ゆくまで楽しみたい方におすすめです。

三和酒類 いいちこ

麦焼酎の定番で、「下町のナポレオン」というキャッチフレーズが有名な銘柄です。スーパーやコンビニなどでも入手しやすいので、特に焼酎初心者におすすめ。軽やかな風味なので飽きが来ず、価格も手頃なので、家飲み用としても活躍します。

国内にとどまらず海外にもファンが多く、世界30カ国以上で愛され続けているロングセラー本格焼酎です。

ニッカ・ザ・麦焼酎

2018年6月に発売になったばかりの銘柄。洋酒のプロ「ニッカウヰスキー」が、新たに造り上げた麦焼酎です。ウイスキーで培った蒸留・ブレンド技術や樽貯蔵手法を余すことなく生かしているので、麦焼酎らしいすっきりとした飲み口はそのままに、ウイスキーのようにスモーキーな香りが楽しめます。

好みによってロックでさらに甘さを引き立たせたり、水割りで軽くすっきりとした味わいを楽しんだりするのもおすすめ。麦焼酎としては珍しい樽の香りが特徴的なので、そのまま常温ストレートで飲んでも美味しいのがポイントです。

玄海酒造 むぎ焼酎 壱岐

麦焼酎を代表する1本。地理的表示制度の指定されている長崎の「壱岐」が銘打たれている通り、産地とのつながりが堅固で、甘みがしっかりと感じられるのが特徴です。

約500年の歴史があると言われる伝統製法で醸造しているのもポイント。大麦2に対して米1の割合で仕込み、単式蒸留機によって蒸留しています。さらに、酒質を安定させるために熟成しまろやかな味わいを生み出している銘柄です。

飲み方としてはストレートやロック、水割りなどオールマイティーですが、特にお湯割りとの相性がよいと言われているので、興味がある方はぜひ試してみてください。

玄海酒造 壱岐スーパーゴールド22

伝統的な製法により、麦と米麹の自然な甘みが引き出された1本。ホワイトオーク樽で貯蔵・熟成させることにより、華やかな香りと、まろやかな口当たり、そして芳醇な旨みが感じられるのも特徴です。

本銘柄はさらに樫樽で熟成させることで、より味わいに深みをもたせているのもポイント。さまざまな飲み方を楽しめますが、焼酎そのものの風味を味わいたい方はロックやストレートで飲むのがおすすめです。

黒木本店 百年の孤独

黒木本店 百年の孤独

ネーミングにインパクトがある麦焼酎。著名な作家の小説が名前の由来となっており、知名度の高い1本です。

蒸留後にそのまま瓶詰めして出荷される一般的な焼酎とは異なり、ウイスキーと同様に蒸留した焼酎をホワイトオークの樽で熟成させているのが特徴。淡い琥珀色に仕上がり、上品な香りと深みのある味わいを堪能できます。

アルコール度数は40度と高いのもポイント。飲み方としては豊かな香りとコクを楽しめるお湯割りや、スッキリと飲める水割りがおすすめです。

黒木本店 中々

同蔵元の「百年の孤独」の原酒として知られている麦焼酎。コクがありつつも、程よく軽やかで上品な味わいを堪能できるのが特徴です。

本銘柄は、原料に手造りの麦麹と厳選された大麦を採用。減圧蒸留によって飲み口は柔らかく、後味がスッキリしているのがポイントで、麦のほのかな余韻を感じられるのも魅力です。

尾鈴山蒸留所 山猿

地元宮崎で栽培した大麦を原料とした麦焼酎。手造りの仕込みと伝統の常圧蒸留・貯蔵・熟成を経て、造られている1本です。

香ばしさが感じられるほか、なめらかさや柔らかな甘みが堪能できるのもポイント。味わいを楽しみたい方はロック、料理に合わせるのであれば水割りで飲むのがおすすめです。

すき酒造 麦山猪

100年を超える歴史ある甕で全量仕込みした麦焼酎。本来長期貯蔵によって生み出される香りや旨みを1年半の短期熟成で再現しています。

テイストとしてはやさしい麦の香りが感じられるのが特徴。口当たりはライトで、余韻がしっかりと残るのも魅力です。飲み方はぜひロックで味わいを堪能してみてください。

老松酒造 閻魔 樽

「赤閻魔」の愛称で親しまれている麦焼酎。地元大分の麦と麦麹を原材料としているほか、ホワイトオーク樽のなかでじっくりと寝かせているのが特徴で、淡麗かつまろやかな味わいを楽しめるのが特徴です。減圧蒸留による上品さのある味わいが感じられるのもポイント。木樽熟成によるナッツやバニラの香りなども印象的です。

なお、同シリーズには一次仕込みから二次仕込みまで、すべて黒麹を使用した全量麹仕込みの「黒閻魔」もラインナップされているので、気になる方は併せてチェックしておきましょう。

八丈興発 情け嶋

八丈島の蔵元が手がける麦焼酎。白麹で仕込んだ麦麹をベースにしているほか、減圧蒸留を採用しているのが特徴で、クセのないクリアな味わいを楽しめます。

爽やかな香りが感じられるほか、飲み口が軽やかなのもポイント。幅広い飲み方で楽しめますが、特に水割りがおすすめです。

重家酒造 ちんぐ 黒麹

麦の香ばしさが前面に出ている麦焼酎。二条大麦と六条大麦を使用し、黒麹で仕込み、常圧蒸留で仕上げることで、濃厚な味わいを堪能できるのが特徴です。

また、銘柄名の「ちんぐ」は壱岐の方言で「親友」という意味。蔵元とその仲間たちが意見を出し合って出来上がったという経緯が由来となっています。

なお、同シリーズには白麹仕込みや、爽やかに飲める夏季限定品の「夏上々」、燗付けして楽しむ冬季限定品の「燗酎」などもラインナップされているので、気になる方は併せてチェックしてみてください。

壱岐の蔵酒造 無一物

芳醇な香りと薄いレモン色が特徴的な麦焼酎。銘柄名の無一物(むいちぶつ)とは禅の言葉で、一切の煩悩から離脱した境地を指しています。

味わいとしてはマイルドさが感じられ、奥深い旨みとコクも兼ね備えているのが魅力。厳選した原材料を使い、スペインのシェリー酒の古樽で5年以上熟成させているのもポイントです。

なお、本銘柄はアルコール度数25度ですが、同シリーズにはアルコール度数42度の「無一物 原酒」もラインナップ。こちらはウイスキーのようにまろやかな風味をより濃厚に感じられる1本です。興味がある方はぜひ飲み比べてみてください。

柳田酒造 赤鹿毛

柳田酒造の5代目が平成16年に生み出した麦焼酎。5代目の、前職がエンジニアだったという経緯や生来の機械好きが高じてできた1本で、話題性のある銘柄として知られています。

もろみの沸点と蒸留器を調整し、素朴で柔らかい味わいに仕上がっているのが特徴。口当たりもよく、麦本来のほんのりとした甘さも感じられます。

なお、同シリーズとしては年に2回、4月と10月に出荷される「青鹿毛」も人気。こちらは麦の香りがしっかりと立った力強いタイプで、奥深いコクと風味を堪能できます。購入を検討する際は、併せてチェックしてみてください。

番外編:麦焼酎のおすすめの飲み方

ストレート

焼酎本来の香りや味を存分に楽しみたいなら、水やお湯を足さずにストレートがおすすめ。香りを飛ばさないために、小さめのおちょこやショットグラスで飲みましょう。

また、温度によっても味の違いが楽しめます。品評会などでは常温(18〜20℃)でテイスティングされるように、焼酎それぞれの香りや味の特徴を感じやすい温度が常温です。冷蔵庫で数時間冷やした冷酒の状態では、味が引き締まり飲みやすくなります。

ロック

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グラスに大きめの氷を入れ、焼酎を注ぎ入れるロック。氷で冷やすことで香りが引き締まり、スッキリと飲みやすくなります。また、初めはストレートに近い状態で焼酎本来の味わいを楽しみ、氷が溶け出してからは、水割りのようなやさしい味わいを楽しむことができるのも、ロックのおすすめポイント。時間の経過とともに味の変化を楽しむことができます。

また、ロックで飲むときに使用する氷は、純度が高くて大きめのロックアイスがおすすめです。空気の入っていない大きめの氷は、ゆっくりと溶けていくので、すぐに水っぽくならず、ゆっくりと味わいの変化を楽しむことができます。

水割り

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水割りは香りと風味を残しながら、焼酎をよりマイルドに楽しむことが可能。氷を入れたグラスに焼酎を注ぎ、好みの濃さになるまで水を加えます。水で割ることで口当たりがまろやかになり、飲みやすくなるため、焼酎の飲み方のなかでも最も一般的な飲み方です。

レモンやライムなどの柑橘類を添えると、より爽やかな風味になるので、興味がある方は試してみてください。

ソーダ割り

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氷を入れたグラスに焼酎を注ぎ、よく冷えた炭酸水を加え、軽く混ぜます。炭酸のシュワシュワとした爽やかさと、華やかに香る焼酎の風味が楽しめる飲み方です。暑い季節には特におすすめで、水割りと同じく柑橘類との相性もよく、さっぱりした飲み口で焼酎を楽しめます。

ソーダ割りを作る際に、気をつけたいのが炭酸の注ぎ方と混ぜ方。炭酸が抜けてしまわないようにゆっくりとグラスに注ぎ、混ぜるときもグラスの底から氷を持ち上げるように、1、2回程度そっと混ぜます。ぐるぐるとかき混ぜてしまうと、せっかくの炭酸が抜けてしまうので注意しましょう。

お湯割り

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湯気とともに麦の香りが立ち上がり、華やかな風味を楽しむことができるのがお湯割りです。本格麦焼酎の場合には、焼酎6割、お湯4割のお湯割りにすると、日本酒の熱燗と同じくらいの温度になり、旨みや甘みが引き立ち、飲み口もソフトになります。

お湯割りのポイントは、焼酎より先にお湯を入れることです。温度の高いお湯を先に入れることで、焼酎とうまく混ざり合います。また、焼酎が温まることで香りが立ち昇り、焼酎の風味を引き立たせることが可能です。お湯の温度によっても違いが出てくるので、好みの温度や濃さで楽しみましょう。