丹精込めて作られた米を原料としたお酒、米焼酎。米の甘みとコクが口に広がり、芳醇な香りと洗練された味わいが魅力です。辛口淡麗で和食にピッタリのものから、甘くフルーティーなものまで種類は豊富。

そこで今回は、米焼酎の選び方とおすすめの銘柄をご紹介します。日本酒とは一味違う透き通ったうまみを、ぜひ体験してみてください。

米焼酎とは?

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米を原料としたお酒で、熊本県南部の人吉盆地で多く作られています。米焼酎でおなじみの「白岳(はくたけ)」や「鳥飼(とりかい)」は人吉で生まれたもの。古くより豊富な米が作られた人吉では、幕末に向けて藩を上げて米焼酎造がさかんに行われていた歴史があります。

現代でもその名残は続いており、産地表示の保護指定を受け人吉で作られる米焼酎は「球磨焼酎」と呼ばれ高い人気があるお酒です。また、知名度の高い日本酒、新潟の「八海山」や山形の「十四代」の酒造も米焼酎造りを手掛けています。酒造が変われば米も変わり、さらに違った味わいの米焼酎が楽しめるのが魅力です。

芋や麦はその独特の香りや癖が人気ですが、米焼酎には癖がほとんどありません。日本酒と間違えてしまうような透き通った味で、食事にもとてもよく合います。米が主食の日本人の舌にピッタリのお酒です。

米焼酎と日本酒の違いは?

米焼酎は蒸留酒、日本酒は醸造酒です。酒を作り出すためには、原料である米の糖を酵母菌に食べさせてアルコールに変え、もろみと呼ばれる原料になります。

このもろみを絞って、水を加えてろ過したものが日本酒で醸造酒の一種です。日本酒のほか、ビールやワインも醸造酒。日本酒の場合は米そのものをさらに磨いてから作ります。

一方、もろみをそのまま温め、沸点の低いアルコールを含んだ水分を上部で集めて冷やしたものが米焼酎です。蒸留作業を行うお酒を蒸留酒と呼び、焼酎やウイスキーなどが蒸留酒にあたります。アルコール度は高く、糖分がほぼ含まれないためとてもすっきりした味わいが特徴です。

つまり日本酒と米焼酎の原料は全く同じ。製造過程が違うだけで、味わいも大きく変わります。なお、日本酒のアルコール度は15度前後に対し、米焼酎は25~40度と高めです。

米焼酎の選び方

お米の品種で選ぶ

米焼酎は原料とするお米の品種によって味わいも変わってきます。お米の品種は数多く存在しますが、日本酒や米焼酎に適しているお米は一般的なお米よりも粒の大きい酒造好適米です。特に、有名な山田錦や五百万石などがあげられます。

ほかにも新潟や秋田などの米産地の品種から選んだり、好きな米品種から米焼酎を選んだりするのもおすすめです。

麹で選ぶ

米をでんぷんから糖に変えるときに使う麹菌は、大きく3種に分けられます。まず、日本酒によく使われる「黄麹」はでんぷんを分解し糖にする力に優れ、低い気温でもよく働くのが特徴。寒い地方での酒造りに不可欠で、雑味のない味に仕上がります。

「白麹」は米焼酎によく使われる麹。でんぷんの分解力は黄麹に比べて弱いものの、同時にクエン酸も作り出すので雑菌の繁殖を防ぎます。九州など暖かい地方では栄養たっぷりのもろみに雑菌が繁殖しやすいので米焼酎造りに白麹は不可欠です。

「黒麹」は白麹とほぼ同じ働き。米焼酎は蒸留してしまうので大きくは影響しませんが少なからず味は変わってくるので、麹で米焼酎を選んでみるのもおすすめです。

産地で選ぶ

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米焼酎を選ぶなら、産地も重要。最も有名なのが米焼酎の本場熊本の球磨焼酎。球磨焼酎は言わばブランド米焼酎で、球磨郡か人吉市の地下水を仕込みに使い、その地域で製造を行ったものしか球磨焼酎とは表記できません。

また、米どころの米焼酎や、さらに暖かい地方の米焼酎もまた違った味わいを楽しめるので、産地にこだわって選ぶのもおすすめです。

蒸留の方法で選ぶ

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基本的な蒸留方法は「常圧蒸留」と呼ばれるもの。窯の中でもろみを温めることで、沸点の低いアルコールが先に蒸発するのでこれを集めて冷やす方法のことです。古くからおこなわれる伝統的な方式で、沸点の高い水分も含まれるため原料の風味がよく引き出されます。

もう一つが「減圧蒸留」と呼ばれるもの。気圧が高い場所では水の沸点が下がるので、窯の気圧を下げ50℃前後で沸騰するようにします。そうすることでアルコールをより効率的に集めやすくなり、クリアで雑味のない軽い味の米焼酎ができる方式。

深みのある味わいや、ロックで飲むのが好きな方は常圧蒸留、クリアで癖のない味が好きで、お茶などで割りたい方は減圧蒸留で作られた米焼酎がおすすめです。

米焼酎のおすすめ銘柄

高橋酒造 白岳しろ

5年連続モンドセレクション受賞、確かなうまさが人気を集める熊本の本格米焼酎。本格米焼酎とは混ぜ物なしのことで、米のおいしさをじっくり味わえる印です。

髙橋酒造は明治33年に創業以来、熊本のミネラルを豊富に含む人吉盆地の水を使い、丁寧に米焼酎を作り続けています。もちろん本製品は産地表示保護指定を受けている球磨焼酎の1つ。

自家製培養酵母を使用し、蒸留方法は減圧蒸留法を採用しています。本銘柄は上品な香りと軽い口当たりが特徴で、アルコール度25度です。食事と一緒に楽しむ米焼酎にピッタリ。非常に飲みやすく、米焼酎初心者の方にもおすすめです。

鳥飼酒造 吟香鳥飼

熊本県の球磨焼酎を代表する銘柄の1つ。一般的に米焼酎では日本酒ほど米を磨かず、85~90%の精米歩合で造られますが、本銘柄は山田錦と五百万石を50~60%まで精米したものが原料に使われています。

精米歩合が下がるほどよく磨かれ、雑味やえぐみのない米焼酎に仕上がるのが特徴。米焼酎でここまで磨かれた原料は珍しく、とても贅沢に造られています。

本銘柄は黄麹を採用し、低温発酵で作られたもろみを減圧蒸留しているため、香りがとてもフルーティーで芳醇なのが特徴です。米焼酎のすっきりとした味わいを持ちながら華やかな香りが広がり、食前酒にピッタリ。味わいもとても柔らかいため、女性にもおすすめの米焼酎です。

木下醸造所 文蔵

1862年創業の木下醸造所が丹精込めて造る本格米焼酎。熊本の球磨焼酎の銘柄の1つです。手作りの麹を使い、かめのなかでじっくり発酵。蒸留方法は昔ながらの常圧蒸留を採用しています。

1本1本大切に作られ、味も香りもとても濃く米の味がよくわかる米焼酎です。そのままゆっくり飲めば、ふんわりと米の甘みが鼻から抜け、米焼酎の風味を存分に楽しめます。価格も1本1,000円前後とリーズナブル。濃厚な米の味わいが好きな方におすすめの米焼酎です。

八海山 宜有千萬

新潟を代表する日本酒の銘柄、八海山の本格米焼酎です。宜有千萬と書いて「よろしくせんまんあるべし」と読み、「千も万もの幸福が得られますように」と願う中国に古くからある言葉が書かれており、古酒風なデザインが目を引きます。

上質で鮮度に優れた清酒粕のみを使用し、減圧蒸留で取り出すことによりすっきりと雑味のない口当たりです。よく磨かれた米で作られているため、吟醸酒のようなバナナやリンゴを思わせるフルーティーな香りが感じられます。また、3年以上じっくり熟成して作られているのも特徴です。

アルコール度は40度と高め。720ml入り1本4,000円前後と米焼酎としてはかなり高級品ですが、こだわりのある銘柄です。

旭酒造 耶馬美人

日本を代表するほど知名度の高い日本酒、獺祭を造った大分県旭酒造の本格米焼酎。1年のうち寒さが最も厳しい時期に仕込みを始め、丹念に醸した米のコクが後を引く味わいです。

獺祭でも人気の高い、おいしい米と磨かれた水を使い、やや甘みを感じるまろやかな仕上がり。複雑かつ芳醇な香りと品のある口当たりは、「ライス・ブランデー」と言われるほど高い評価を得ています。

非常に飲みやすいため、ストレートで味わうのがおすすめ。一升瓶で4,000円前後と高級米焼酎の部類ですが、1年でたった6万本しか生産されない希少銘柄。獺祭好きな方におすすめです。

番外編:米焼酎のおすすめの飲み方

ストレート

米焼酎本来のうまさをそのまま味わうなら、「ストレート」がおすすめ。20度前後の常温が雑味を感じにくいため焼酎の品評会で採用される温度です。丁寧に作られた米焼酎ほどクリアなうまさを実感できます。

米焼酎を数時間冷やして飲めば、飲み口が引き締まり飲みやすさがアップ。鼻からとろけるように抜ける香りが心地よい飲み方です。保存はおよそ5~10度前後、冷蔵庫なら通常の冷蔵室ではなく野菜室がおすすめ。

もし冷やしすぎてしまったら、口で溶かすようにゆっくり飲んでみてください。香りや味がふわりとほどけて一層味わい深くなります。ストレートで飲むならばアルコール度は25度くらいの米焼酎がよいでしょう。

ロック

大きめの氷に米焼酎を注ぎ入れるロック。飲み始めはストレートのように、飲み終わりは水割りのように違った味わいが楽しめます。ロックの場合米焼酎をたっぷり注ぐのではなく、氷の半分程度がおすすめです。

水割り

米焼酎のアルコール度は25~40度と高いため、ストレートでは飲めない方には水割りがおすすめ。アルコールのきつさが抑えられますが、香りや味わいは存分に楽しめます。

25度の米焼酎の場合、米焼酎:水=1:1ならアルコール度は12.5度でワインと同程度、1:4ならアルコール度は5度になり、ビールと同程度のアルコール度数まで落とせます。せっかくなのでおいしい水で割って味わいましょう。

ソーダ割り

楽しくワイワイ飲みたいときや、米焼酎が初めての方にはソーダ割がおすすめ。いわゆるチューハイと同じ感覚で飲め、すっきり爽快な飲み心地です。ライムやレモンを添えると、さらにフレッシュ感がアップします。

お湯割り

寒い日にぽかぽかのぬくもりをくれるのがお湯割り。アルコールのきつさをやわらかくしてくれる上、香りがよく立ち、米の甘みもより感じやすい飲み方です。温めたお酒は吸収がよくなり酔いが回りやすくなるのでゆっくり味わってください。