中華料理店などのアルコールドリンクとして見かけることの多い「紹興酒」。宅飲みとしてはあまり馴染みがありませんが、華やかな香りと熟成されたコクが楽しめ、アルコール度数もそれほど高くないので飲みやすいお酒です。
そこで今回は紹興酒とは何かをはじめ、おすすめの紹興酒をご紹介します。飲み方のアレンジも多数あるので初心者やお酒が弱い方も試してみてください。
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紹興酒とは中国の紹興市でつくられる熟成された黄酒(ホアンチュウ)のことです。黄酒とは醸造酒のことで、米などの原料を酵母によりアルコール発酵させて作られています。アルコール度数は一般的に14~18%くらいであまり高くないのが特徴ですが、製法の違いによって20%くらいの高めのものもあります。
中国の紹興酒は、飲用としてだけではなく調味料としても日常的に使用され、暮らしに深く根付いているお酒です。ちなみに、日本では紹興酒に氷砂糖やザラメを入れて飲むこともありますが、上質な紹興酒はストレートで飲んでこそ美味しく本質が味わえます。
老酒・花彫・陳年の違い
「老酒(ラオチュウ)」とは長期間熟成した黄酒のことです。厳密には、老酒のなかでも紹興市でつくられたものだけが「紹興酒」と呼ばれます。
紹興では昔、女の子が生まれた際に紹興酒のカメを庭に埋め、その子の婚礼の際に掘り出してカメに装飾を施し、宴の席で飲むという習慣がありました。「花彫」とはその振る舞い酒のことを指しますが、現代では単に長期熟成させた黄酒や、美しい装飾のカメに入った黄酒のことを指します。
「陳年」は、台湾において長期熟成させた黄酒ですが、日本では紹興酒と呼ぶのがメジャーです。ここでは陳年や台湾生まれの紹興酒なども含めてご紹介します。
紹興酒の種類
元紅酒
元紅酒は紹興酒の基本的な製法で、もち米に酒母や水、麹を加えた後に発酵させてつくります。中国では最も一般的に飲まれる紹興酒で、糖類がいちばん少なく辛口です。古来、朱紅色のカメで貯蔵していたことがその名の由来で、1~2年の熟成期間を経て出荷されます。
加飯酒
元紅酒から、もち米と麹の割合を1割ほど多くしたものが加飯酒です。日本で飲まれる紹興酒のほとんどがこの加飯酒で、3年以上熟成させて出荷されます。
善醸酒
善醸酒は、製造過程で用いる水の代わりに元紅酒を使ってつくられた贅沢な紹興酒です。アルコール度数が上がり、甘みがやや強く、濃厚で芳醇な風味が楽しめます。
香雪酒
元紅酒の製造工程で麹を追加して糖類を増し、水の一部に代えて紹興酒の粕から取った焼酎を使ってつくられた紹興酒です。アルコール度数は高めの約20%で、最も甘みが強く感じられます。
紹興酒のおすすめメーカー
王宝和(ワンバオフー)
紹興市にあり、紹興酒造メーカーのなかでも6大メーカーのひとつとして挙げられます。200年以上の歴史がある老舗で、品質管理を重視しながら新標品の開発にも力を注ぐメーカーです。本場中国でも人気があり、芳醇で濃厚な本物の紹興酒が味わえます。
古越龍山(こえつりゅうざん)
紹興酒のなかではトップの生産量を誇るメーカーです。同社の紹興酒は国賓接待酒指定銘柄として中国外交部より証明書を交付されており、200か国以上の中国大使館や領事館で提供されています。
国家級黄酒評価委員と呼ばれる中国政府に認められたブレンダーが多数在籍していることでも有名。世界16か国で広く愛飲されています。
塔牌(トウハイ)
浙江省の六和塔をモチーフにした塔のマークをシンボルマークに掲げ、伝統的な製法に基づいた紹興酒つくりを行うメーカーです。中国政府による「中華人民共和国原産地域産品」マークを取得しており、確かな品質を認められています。日本での販売の歴史は古く、日中の国交が正常化した1970年代から「宝酒造」が行っています。
紹興酒のおすすめ銘柄
王宝和 紹興酒 老酒 皇 20年
紹興酒6大メーカーのひとつである王宝和の紹興酒です。200年以上の歴史ある王宝和の紹興酒は本場中国でも人気が高く、本格的なお店で出されることが多い製品。20年もの長期熟成された紹興酒で、本場でも高価な値段で販売されています。
最高ランクに位置づけられる高級な紹興酒なので、こだわりがある方に人気。まろやかな味わいと奥深い香りが感じられます。メタリックなロゴや、おしゃれなボトルデザインも高級感がありおすすめです。
永昌源 古越龍山 銀龍
1954年に中国紹興黄酒集団会社の代表ブランドとして国から認証を受けた古越龍山の製品。3年貯蔵品を中心とした原酒で、甘みと酸味のバランスが整っているのが特徴です。口当たりが柔らかく、芳醇で深みのある味わいが高く評価されています。
酒造元の古越龍山では、雄大な敷地に24Lカメを常時500万本以上貯蔵しているのも特徴。契約した農家から取り寄せたもち米だけを使用しており、近代的な機械設備の力と伝統的な手法を駆使したこだわりの紹興酒をつくっています。
永昌源 古越龍山 景徳鎮 15年
適切な管理の下で15年間貯蔵されており、非常に風味が豊かでクセがないのが特徴の製品です。広大な敷地に建てられた倉庫に丁寧にカメが並べられており、最終工程では、国家級黄酒評酒委員による卓越したブレンドが行われます。
長期熟成の紹興酒は独特のクセが抑えられるのが魅力。紹興酒が苦手な方にも飲みやすく仕上がっています。中国の代表的な陶磁器名産品である景徳鎮ボトルに入れられているのもポイント。見た目にも高級感があるため、プレゼントや手土産にもおすすめです。
永昌源 古越龍山 善醸仕込み
仕込みの際に使う水の代わりとして、元紅酒を使った善醸仕込みの紹興酒。中国政府から国賓接待酒に指定されている中国を代表するメーカーの古越龍山が製造しており、国家級黄酒評価委員による高いブレンド技術が魅力です。
本製品は、華やかな香りと濃厚な甘さが特徴で、ロックや炭酸割りにすると爽やかでより飲みやすくなるのがポイント。濃厚な甘みを生かして、デザート感覚で杏仁豆腐やアイスクリームにかけるという、ちょっと変わった楽しみ方もできる製品です。
宝酒造 塔牌 紹興酒 花彫 陳五年
紹興酒6大メーカーのひとつである塔牌の伝統製法によってつくられた製品です。カメでの仕込みや貯蔵を行う酒造が少なくなるなか、昔ながらの製法を続けているのが特徴。良質な原料を用いて作り、5年間熟成されたものだけが製品化されます。
ステンレスタンクによる醸造と比べて、2倍の年月をかけてカメの中でゆっくり自然発酵。冬のみ仕込みを行う「一季醸造」を採用し、ろ過を繰り返しながらカメで貯蔵されます。華やかな香りと酸味と甘みのバランスのよさが人気。一般的な600mlの瓶サイズ以外にも、小瓶や紙パックなどバリエーションが豊富なため、お試しや調味料用として紹興酒が欲しい方にもおすすめです。
永昌源 老酒
中国由来の製法を元に、日本人が親しみやすいよう香りやうまみを改良してつくられた製品です。まろやかな口当たりと香ばしい香りを生かしつつ、飲みやすいのがポイント。アルコール度数は15%とそこまで高くなく、紹興酒を初めて飲む方にも向いています。
また、晩酌で飲む以外にも料理に使用するのもおすすめ。料理に使用すると、コクのある仕上がりになります。1800mlと大容量なため、たっぷり使いたい方にも向いている製品です。
永昌源 陳年 紹興貴酒 8年
中国でも指折りの黄酒博士である黄洪才氏が製造する紹興酒です。機械による近代化された製法が進むなかで、伝統製法にこだわってつくられているのが特徴。鑑湖(かんこ)の水を使用することに加え、鮮度の高い地元産の原料を厳選し、ほとんどの工程を手作業で行っています。
冬場に仕込みを行う「寒仕込み」を採用しており、長い年月を費やして熟成された本製品は、芳醇な香りと独特のコクのある味わいが特徴。口当たりがよく、まろやかな深みを味わうことが可能です。
紹興酒は別名「お米のワイン」とも呼ばれており、味と香りを堪能するには常温のストレートで飲むのがおすすめですが、寒い冬場は人肌くらいの温度で楽しむのも人気。ベーシックな紹興酒らしさが感じられるので、紹興酒デビューする方や、紹興酒が好きな方への手土産にもぴったりな製品です。
サントリー(SUNTORY) 紹興酒 会稽山 陳三年
サントリーが輸入販売している会稽山は、260年の歴史を持つ紹興市のメーカーです。東風を代表するブランドでもあり、中国浙江省の名水、鑑湖のなかでも特に優れた中心部の水を使用した紹興酒を製造しています。
3年という短期熟成にもかかわらず、長期熟成したような口当たりのよい味わいに仕上がっているのが特徴。家庭で中華料理を作る際の調味料としても、気軽に使えるリーズナブルな価格帯もポイントです。熟成が若い紹興酒は、甘酸っぱい干し梅の中華梅干しと相性がいいため、一緒に楽しむのもおすすめ。梅のフルーティーな甘さと塩加減で紹興酒の風味をより楽しむことが可能です。
サントリー(SUNTORY) 蘭亭 国宴酒
北京で外国使節や賓客をもてなすときに使われる北京人民大会堂で、唯一公式に指定された紹興酒です。厳選されたもち米と鑒湖の名水でつくられており、10年以上熟成された長期熟成製品。まろやかな味わいと豊かな香りの余韻が長く続くのが特徴です。
深みのある風味で中華料理のおいしさを引き出すのが魅力。上品な味わいの紹興酒を本格的に楽しみたい方におすすめの製品です。
興南貿易 紹興酒 クリアー 老酒 8年
古くから伝わる伝統製法で丁寧に手づくりされた8年熟成の製品です。紹興酒は複数年の熟成酒をブレンドするのが基本的な製法ですが、約8割に単一年の原酒を使用しているのがポイント。雑味やえぐみのないピュアな口当たりに仕上がっているのが特徴です。
そのまま飲む以外に調味料として使うのもおすすめ。常温でもストレートでもおいしく楽しめます。ワイングラスを使って飲むとより香りを堪能できるので試してみてください。
陳年 紹興酒 花彫 ひょうたん 10年
重厚感のあるひょうたんの容器に入れられた紹興酒です。10年熟成の紹興酒がリーズナブルな価格で購入できるのが特徴。長期熟成された紹興酒を手軽に試してみたい方にもおすすめです。箱入りで発売されているため、プレゼントや手土産にも向いています。
10年熟成の製品は酸味と甘みのバランスがよく、味の濃い料理との相性がよいのが特徴。晩酌で飲む際には、ストレートで楽しむ以外にも、炭酸割りやレモン、中華梅干しを入れてアレンジするのも人気があります。
大洋物産 台湾陳年 紹興酒 8年
台湾で紹興の伝統を再現する形で生まれた「台湾紹興酒」と呼ばれる製品もあります。元祖紹興酒とは少し異なる味わいがあり、甘みの添加や年数の違う酒のブレンドなどを一切行わず、原酒のみが瓶詰めされているのが特徴です。
8年の熟成製品で、独特の香りとコクが際立つのがポイント。常温のストレートでも比較的飲みやすいですが、ロックで飲んだり、炭酸水で割ったドラゴン・ハイボールなどのカクテルにしたりするのもおすすめ。価格が手頃なため、料理用などでたっぷり使いたい方にも向いています。
三洋堂 陳年 精醸紹興酒 窖蔵 10年
10年熟成された台湾紹興酒です。埔里の中央山脈から湧き出る名水「愛蘭甘泉水」を使用し、昔ながらの製法でつくられているのが特徴。紹興酒の玉露ともいわれている、深く芳醇な香りとまろやかなのど越しが人気の製品です。
初めて紹興酒を飲む方でも飲みやすいのが魅力。世界的な評価も高く、幅広い世代に好まれています。長期熟成の紹興酒は常温のストレートで飲むと、香りを感じられますが、ロックや炭酸割りもおすすめ。少しあたためて飲むと、また違った風味が楽しめます。
越王台 陳年 花彫酒 青磁 20年
紹興市内にある越王・勾践(こうせん)が築いた都の跡地のことで、紹興市内の観光名所として有名な越王台をイメージしてつくられた製品です。城をイメージした化粧箱は重厚感があり、有名な景徳鎮産の青磁の壺に入れられたボトルはお城の城壁を思わせます。
20年の長期熟成された紹興酒で、芳醇な香りと気品ある味わいが人気。本格的な紹興酒を楽しみたい方にもおすすめです。インテリアとしておしゃれなのもポイント。贈り物にも喜ばれる製品です。
日和商事 女児紅酒(ニュウアーホンチュウ)
女の子が生まれたときに、地下に埋めて貯蔵し、嫁入りする際に飲むことから名前が付いた紹興酒です。縁起のよい紹興酒で、お祝いの席やプレゼントにもぴったりの製品。かわいらしい丸みのある壺形の容器には赤いリボンがかけられており、特別な雰囲気を演出できます。
鑑湖の水と高品質のもち米を使用し、良質な麹を用いてつくられているのが特徴。アルコール度数は16%でストレートでも飲みやすい紹興酒です。女の子が生まれた際の出産祝いとしても向いています。
飲食店や店頭でもあまり馴染みがない紹興酒ですが、アルコール度数も高くなく独特のうまみがあるので、一度挑戦してみてほしいお酒のひとつです。飲み方のアレンジも各種あり、熟成年数によっても風味が違ってくるので、過去に口に合わなかった経験がある方も今回の記事を参考に美味しい紹興酒を選んでみてください。