いくつもの世界遺産を擁する芸術の都、トスカーナ州。中世の面影が色濃く残るフィレンツェを州都とし、一度は訪れたい観光地として人気です。ワインにおいても歴史が深く、豊かな土壌で育った良質なブドウから、さまざまなワインが誕生しています。

そこで今回は、おすすめの「トスカーナワイン」を厳選してご紹介。生産地区やブドウ品種の特色についても解説するので、ぜひワイン選びの参考にしてみてください。

トスカーナワインとは?

イタリア屈指のワイン生産地として知られる、トスカーナ州。ブドウ栽培に適した気候と土壌に恵まれ、歴史あるワイナリーによって個性豊かなワインが生み出されています。

イタリアには、「土着品種」と呼ばれるその土地で育った固有のブドウ品種が豊富。トスカーナワインの場合は、赤ワインなら「サンジョベーゼ」、白ワインなら「ヴェルナッチャ」や「トレッビアーノ」などの品種が有名です。一方で、土着品種にこだわらず、優れた外来品種のブドウを使用した「スーパータスカン」と呼ばれるワインもあります。自由な発想で醸造されたトスカーナワインとして人気です。

また、イタリアワインの格付けは、法律により上位から「D.O.P.」「I.G.P.」「Vino」の3つに分類されます。最上位のD.O.P.に分類されるワインは、かつての法律では「D.O.C.G.」と「D.O.C.」にあたるモノ。トスカーナ州では、厳しい基準をクリアしたさまざまなワインが生産されています。

トスカーナワインの選び方

産地と格付けで選ぶ

キャンティD.O.C.G.

By: amazon.co.jp

トスカーナ州中央部に位置するキャンティ地方を中心に、広域で生産されている「キャンティD.O.C.G.」。キャンティは、リーズナブルなワインから高級ワインまでさまざまなタイプがあり、世界中で親しまれている銘柄です。なかでも、最上位の格付けであるD.O.C.G.に分類されるタイプは、使用できる品種や最低熟成期間などが細かく規定されています。

原料となるブドウ品種は、全体の70%以上がサンジョベーゼ。そのほかに使用できる品種は、白ブドウで10%、サンジョベーゼ以外の黒ブドウで15%までと定められています。深いルビー色が美しく、まろやかな口当たりと、豊かな果実味が魅力。赤ワインを飲み慣れていない方にもおすすめです。

キャンティ・クラシコD.O.C.G.

By: amazon.co.jp

「キャンティ・クラシコD.O.C.G.」は、フィレンツェとシエナの間に位置する、特定の地域で醸造された赤ワイン。トスカーナ州広域で造られるキャンティとは区別され、さらに厳しい条件のもとに生産されています。サンジョベーゼの割合は全体の80%以上と規定され、熟成期間がキャンティよりも長いことが特徴。凝縮された果実味と、複雑で豊かな香りが楽しめます。

キャンティ・クラシコは、一般的にキャンティよりも上質なワインとされていますが、近年、その頂点として注目されているのが「キャンティ・クラシコ グラン・セレツィオーネ」。ブドウはすべて自社畑のもので、熟成期間は30ヶ月以上などの規定があり、濃厚な味わいと心地よい余韻が楽しめる高級ワインです。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノD.O.C.G.

By: amazon.co.jp

モンタルチーノ地区で醸造される「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノD.O.C.G.」は、力強いタンニンと重厚な味わいが特徴。バローロ、バルバレスコと並び、イタリア3大赤ワインと称される高級赤ワインです。

原料となるブルネッロ種は、イタリアワインに多く使用されるサンジョベーゼ種が変異したもの。比較的粒が大きく、長期熟成に耐えられるブドウです。また、出荷までに4年以上の熟成が必要で、そのうち最低でも2年は木樽で行うことが規定されています。芳醇で濃厚な味わいと、深みのある美しいガーネット色が魅力で、特別な日の1本としておすすめの赤ワインです。

ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノD.O.C.G.

By: amazon.co.jp

フィレンツェの南東に位置する小さな町、モンテプルチアーノで造られている「ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノD.O.C.G.」。1980年にD.O.C.G.の認定を受けた歴史ある赤ワインで、酸と渋みのバランスに優れた力強い味わいと、エレガントな果実味が特徴です。

ブドウ品種は、サンジョベーゼ種が70%以上と規定されています。そのほかにブレンドできるのは、トスカーナ州で栽培できる黒ブドウ品種を30%までと、一部の白ブドウを5%までです。さらに、厳選されたブドウで醸造したワインは、最低でも2年以上の熟成が必要。力強さのなかにも、繊細で上品な味わいが感じられるフルボディの赤ワインです。

カルミニャーノD.O.C.G.

By: rakuten.co.jp

「カルミニャーノD.O.C.G.」は、フィレンツェから20kmほど西に位置するカルミニャーノ地区で醸造されています。山に囲まれた丘陵地帯で、日中の寒暖差があるカルミニャーノ地区は、ブドウの生育に最適のエリア。D.O.C.G.に認定されたワインの産地としては小さく、10社ほどの少ない生産者によって造られています。

本銘柄は、サンジョベーゼ種を主体とする赤ワイン。ブレンドできるブドウ品種として、フランス原産のカベルネ種が指定されています。フルーティーな香りを含み、滑らかな飲み口のカルミニャーノは、肉料理やブルーチーズなどと合わせるのがおすすめ。鮮やかなルビー色も美しく、テーブルをエレガントに彩ります。

ボルゲリD.O.C.やボルゲリ・サッシカイアD.O.C

By: rakuten.co.jp

海沿いの丘陵地、ボルゲリ地区で造られているのが「ボルゲリD.O.C.」。カベルネ・ソーヴィニョンなどの外来品種がブレンドされたワインで、赤・白・ロゼワインなど複数の種類が生産されています。

また、ボルゲリD.O.C.と同じボルゲリ地区で生産されていますが、特定の赤ワインとして認定されているのが「ボルゲリ・サッシカイアD.O.C.」。外来品種を使用しているため、法律の規定上はD.O.C.G.を名乗れませんが、匹敵するクオリティのワインとして人気があります。土壌に適したカベルネ種やメルローなどを使用しており、スーパータスカンのパイオニアとしても有名なトスカーナワインです。

ブドウの品種で選ぶ

サンジョベーゼ

サンジョベーゼは、トスカーナ地方を原産とする赤ワイン用のブドウ品種。イタリア全土で栽培されており、大きく分けてピッコロ種とグロッソ種の2つがあります。キャンティやキャンティ・クラシコに使われているのはピッコロ種。また、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノやヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノなどには、グロッソ種が使われています。

サンジョベーゼは突然変異しやすく、多くのクローンが存在する品種。色合いは明るいルビー色から深みのあるガーネット色までさまざまですが、一般的に、しっかりとした酸とタンニンが特徴の、重厚感ある味わいに仕上がります。

トレッビアーノ

主にイタリアやフランスで栽培される、白ワイン用のブドウ品種です。イタリアではトスカーナ州やウンブリア州などを中心として広く普及されています。また、フランスでは「ユニ・ブラン」と呼ばれ、ブランデーのコニャックにブレンドする品種としても有名です。

トレッビアーノは比較的リーズナブルなワインに使われており、デイリーワインとしてカジュアルに楽しめるのが魅力。豊かな酸味とフルーティーで爽やかな味わいが楽しめます。軽快な口当たりで飲みやすく、パスタやピザなどはもちろん、鶏の唐揚げや魚のフライと合わせて楽しむのもおすすめです。

ヴェルナッチャ

トスカーナ州で古くから栽培されてきた、伝統的な白ワイン用のブドウ品種です。D.O.C.G.のトスカーナワイン「ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ」の主要なブドウ品種としても有名。花のような甘くエレガントな香りに、スパイスやハーブのような風味が調和した、バランスのよい味わいが魅力です。

ヴェルナッチャ種の起源は13世紀に遡り、メディチ家などの王侯貴族にも好まれたと言われています。また、キャンティなどの赤ワインが主流のトスカーナワインにおいて、最上位の格付け白ワインに使用されるヴェルナッチャは貴重な品種。生産量も比較的少なく、栽培のほとんどがトスカーナ州のシエナで行われています。

ヴェルメンティーノ

フランスのコルシカ島やイタリアのサルデーニャ島などの、リゾート地で主に生産されているヴェルメンティーノ。トスカーナ州では、ティレニア海沿岸の地域で栽培されています。特に、赤ワインのサッシカイアで有名なボルゲリ地区は、良質なヴェルメンティーノの産地。ほのかな黄色をおびた薄い色調の白ワインに仕上がり、フレッシュな酸味と柑橘系の香りが楽しめます。

産地によって味わいはさまざまですが、トスカーナワインでは、すっきりとした酸とみずみずしい果実味の飲みやすいタイプが豊富。シーフードとの相性がよく、お寿司などと一緒に味わうのもおすすめです。

価格で選ぶ

カジュアルに楽しめるリーズナブルなワインから、熟成を経た高級ワインまで幅広く揃うトスカーナワイン。一般的に、格付けが上位であればあるほど高価になる傾向があります。

ただし、格付けと価格のバランスはワイン選びの1つの基準。1万円以上の高級ワインの宝庫として知られるトスカーナワインですが、3000円以下のリーズナブルで良質なワインも揃っています。ぜひ飲み比べを楽しみながら、お気に入りの1本を探してみてください。

トスカーナワインのおすすめ|赤ワイン

パスクア キャンティ

スタイリッシュな黒のラベルが印象的な、ミディアムボディのキャンティ。熟したブドウを最適な状態で収穫し、伝統的な製法で醸造されたD.O.C.G.のトスカーナワインです。フレッシュな口当たりとソフトなタンニンが特徴で、花やフルーツの華やかな甘い香りが楽しめます。比較的リーズナブルに購入できる、コストパフォーマンスの高さも魅力です。

カステッロ・ディ・フォンテルートリ キャンティ・クラシコ グラン セレツィオーネ

「グラン セレツィオーネ」は、キャンティ・クラシコD.O.C.G.のなかでも高品質なワインの呼称。自社畑の良質なブドウを使用し、フレンチオーク樽で20ヶ月熟成するなど、厳しい規定をクリアしたキャンティ・クラシコのみが名乗れます。

複雑な香りと凝縮された果実味あり、きめの細かいタンニンでエレガントな味わいが魅力。キャンティ地区でもっとも歴史のあるワイナリーのひとつ、カステッロ・ディ・フォンテルートリが醸造する、ミディアムフルボディのトスカーナワインです。

ビオンディ・サンティ ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの生みの親と言われているビオンディ・サンティ。サンジョベーゼ種から派生したブルネッロ種を誕生させたワイナリーとして有名です。

スラヴォニア産オークの大樽で3年以上熟成されており、繊細で優雅な香りと重厚感のあるエレガントな味わいが魅力。D.O.C.G.に格付けされる高価なワインで、特別な日の1本としてプレゼントにもおすすめです。

アヴィニョネージ ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ

サンジョベーゼ種を100%使用したトスカーナワイン、ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ。18ヶ月熟成されたワインは、スミレやプラムの香りと、滑らかなタンニンが調和し、バランスのよい味わいに仕上がっています。

肉料理やコクのあるチーズなどと合わせて楽しむのがおすすめの赤ワインです。

テヌータ・ディ・カッペツアーナ ヴィッラ・ディ・カペッツァーナ カルミニャーノ

サンジョベーゼ種80%、カベルネ・ソーヴィニョン種20%で醸造されたトスカーナワインです。トスカーナ州のD.O.C.G.のなかではもっとも小さいエリアと言われる、カルミニャーノ地区で造られたフルボディの赤ワイン。

重厚感のある味わいとスパイシーな香り、甘みと酸味のバランスに優れた味わいが特徴です。熟成されたチーズやジビエ料理との相性がよく、長い余韻が楽しめます。

テヌータ サン グイド サッシカイア

世界的に有名なスーパータスカンのワイン、サッシカイア。ブドウ品種は、土壌に適したカベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フランがブレンドされています。濃厚な果実と、繊細なハーブやスパイスなどの香り、滑らかなタンニンが特徴のトスカーナワイン。飲みごたえのある力強い味わいながら、エレガントな香りを楽しめます。

ボルゲリ地区で長い歴史をもつ「テヌータ サン グイド」は、スーパータスカンの元祖として知られるワイナリー。優雅で深みのある味わいで、特別な日のワインとしておすすめです。

トスカーナワインのおすすめ|白ワイン

マレンキーニ トスカーナ・ビアンコ

トスカーナの伝統的なブドウ品種であるトレッビアーノと、フランス原産の品種であるシャルドネがブレンドされたトスカーナワイン。醸造する「マレンキーニ」は、トスカーナで100年以上にわたってワインを造り続けています。

厳選された原料と確かな技術で醸されており、完熟したフルーツと、花の優しい香りが感じられるエレガントな味わいが特徴。魚介を使った料理や、鶏肉料理と合わせて楽しむのがおすすめです。

ファルキーニ ヴェルナッチャ ディ サンジミニャーノ ソラティオ

トスカーナ州の伝統的なブドウ品種、ヴェルナッチャ種100%で造られた白ワインです。D.O.C.G.に格付けされたトスカーナワインで、爽やかでフレッシュな果実味が感じられます。軽快な口当たりで飲みやすく、パスタや魚介料理はもちろん、和食と一緒に楽しむのもおすすめです。

醸造するのは、サン・ジャミーノ地区で古くから本銘柄を造り続けているファルキーニ社。エレガントで洗練された味わいのワインは、国内外で毎年高い評価を得ています。

ガヤ カ・マルカンダ ヴィスタマーレ

イタリアワインの帝王と称される生産者「ガヤ」が、トスカーナ州のボルゲリ地区に設立したワイナリー、カ・マルカンダ。限られた区画のブドウのみを使用した、希少価値の高いトスカーナワインです。

ブドウ品種は、ヴェルメンティーノ種と南フランスが原産のヴィオニエ種が主体。さらにイタリア産のフィアーノ種がブレンドされており、華やかな香りと芳醇な果実味が引き出されています。エレガントな味わいとスタイリッシュなラベルで高級感があり、プレゼントとしてもおすすめです。

マルケージ・デ・フレスコバルディ ポミーノ・ビアンコ

700年以上の歴史をもつフレスコバルディ家が醸造する、トスカーナワインです。トスカーナ州のなかで、白ワインの生産にもっとも適した地域のひとつと言われる、ポミーノで生産されています。ブドウ品種は良質なシャルドネとピノ・ビアンコが使われており、柑橘系フルーツの爽やかな香りと滑らかな口当たりが魅力。

心地よい余韻が長く楽しめる辛口の白ワインで、野菜を使った前菜や、サーモンなどの魚料理と一緒に楽しむのがおすすめです。

ラ・スピネッタ カサノーヴァ ヴェルメンティーノ トスカーナ

サイが描かれたラベルが印象的な、ヴェルメンティーノ種100%のトスカーナワインです。醸造するのはイタリア屈指のワイナリー、ラ・スピネッタ社。伝統的なブドウ品種を栽培し、土壌の特性と個性が生かされた、さまざまなワインを生み出しています。

明るい麦わら色の辛口白ワインで、みずみずしい果実味と滑らかな口当たりが魅力。魚介類との相性がよく、お寿司などと一緒に味わうのもおすすめです。