まったりとした口当たりと力強い味わいが魅力のにごり酒。さらりと透明な清酒に対し、白濁した色と独特のクセが特徴で「普段の日本酒では飽き足らない」という日本酒通はもちろん、海外の日本酒ファンからも注目を集めています。

そこで今回は、米本来の旨みを存分に楽しめる、おすすめのにごり酒をご紹介。製法や選び方についても解説するので、気になっている方はぜひチェックしてみてください。

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にごり酒とは?

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にごり酒とは、一般的に「白く濁った日本酒」のこと。日本酒を造る工程のなかに、もろみを搾り日本酒と酒粕に分ける「上槽」と呼ばれる作業があります。法令上の日本酒(清酒)と名乗るには、この工程が不可欠です。

目の細かい酒袋で圧搾すれば、透明な清酒となりますが、にごり酒はあえて粗目の酒袋で圧搾し、原料の残りかすである「おり」を多く残すことで、白濁した清酒に仕上がります。

似ている酒にどぶろくがありますが、もろみを圧搾せずにそのまま瓶詰めしているため、法令上「清酒」には分類されません。

おりには米の旨みがぎゅっと濃縮されているため、にごり酒は透明な清酒に比べ、米本来の旨みや甘味が強いのが特徴です。火入れを行わずそのまま瓶詰めしたモノは瓶の中でも発酵が進むため、わずかな発泡感があります。

にごり酒の選び方

製法で選ぶ

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にごり酒には2通りの製法があります。ひとつは、火入れを行わずそのまま瓶詰めする方法です。別名「活性原酒」とも呼ばれ、瓶に詰めた後も酵母菌が生き続け、二次発酵します。

わずかな発泡感があり、口に含むとシュワっとした微炭酸を楽しめるのがポイント。加熱殺菌していない日本酒は、一般的な清酒に比べデリケートなため、長期保存ができません。とはいえ、常に発酵し続けることで、飲むタイミングによって絶妙な味の変化を楽しめるのも魅力です。

もうひとつは、火入れを行う方法。加熱殺菌することで発泡感はなくなるものの、濃厚でよりまろやかな味わいに仕上がります。品質も安定することから常温保存も可能です。すぐに飲みきれないのが心配な方は、火入れを行った無炭酸のにごり酒を選んでみてください。

アルコール度数で選ぶ

にごり酒は、おりが残って白濁しているだけで、原料や製法は一般的な透明の日本酒と変わりません。アルコール度数も同じく「22%未満」と定められています。

にごり酒のアルコール度数も平均して15%前後と、一般的な日本酒とほぼ同じ。一方、焼酎などは20〜25%前後とやや高め、ワインは日本酒と同じく15%前後です。

とはいえ、同じにごり酒でも、アルコール度数が20%以上と高いモノや、10%前後の低アルコール度数のモノなどさまざま。アルコールがあまり強くない方なら、低アルコール度数のにごり酒からはじめてみるのがおすすめです。

白濁の濃淡で選ぶ

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にごり酒と一口にいっても、にごり度合いによって味わいも異なります。「おり酒」と呼ばれる、おりが多く沈殿したにごり酒は、酵母菌も多く含まれているため、酸味が強いのが特徴。ややクセは強いものの、クリーミーで濃厚な米の旨みが味わえます。

一般的には沈殿したおりと上澄みをゆっくりと混ぜてから飲みますが、上澄みと沈殿したおりを別々に味わう「通」な飲み方もおすすめです。

また、「ささにごり」と呼ばれるにごりの少ないものは、ややすっきりとした味わいが特徴。クセも少なく甘い口当たりでにごり酒初心者の方にも好まれます。

さらに、にごりの少ない「うすにごり」は、より透明で日本酒に近い味わいが魅力。さらりとした口当たりで、まったり感が苦手な方でも飲みやすく楽しめます。

にごり酒のおすすめ銘柄

獺祭(DASSAI) 獺祭 純米大吟醸 スパークリング45


獺祭(DASSAI) 獺祭 純米大吟醸 スパークリング45

多くの日本酒ファンを魅了し続けている、有名銘柄「獺祭」のスパークリングにごり酒。45%まで磨き上げた「山田錦」をじっくりと仕込み、粗ごししたもろみを火入れせずに瓶詰めした上質な1本です。

口に含めば、純米大吟醸ならではの華やかでフルーティーな香りが立ち上がり、山田錦の上品な甘みが広がります。炭酸による、すっきりと爽快な後口も魅力。アルコール度数が14%と控えめで飲みやすいため、にごり酒初心者の方にもぴったりです。

食事の味を引き立てる食中酒にはもちろん、フルーツなどと合わせて食後酒として楽しむのもおすすめ。さわやかな味わいをぜひじっくりと堪能してみてください。

八海醸造 八海山 発泡にごり酒


八海醸造 八海山 発泡にごり酒

新潟銘酒「八海山」の蔵元である「八海醸造」が手がける、スパークリングタイプのにごり酒。選りすぐりの酒米と上質な麹を、八海山系の清冽な伏流水「雷電様の清水」で丹念に仕込んだ1本です。

華やかな香りに心地よい酸味とやさしい甘みが織りなす、すっきりと淡麗な味わいが特徴。濃い味付けの料理やスパイシーな料理、食後にはフルーツなどと合わせて飲むのがおすすめです。

シャンパンを思わせる上品な佇まいは、記念日やパーティーなどの乾杯酒にもぴったり。炭酸の泡がはじける爽快な口あたりをぜひ楽しんでみてください。

仁井田本家 しぜんしゅ にごり

仁井田本家 しぜんしゅ にごり

福島県郡山市で300年以上も続く老舗、「仁井田本家」が醸す純白のにごり酒です。原材料には、完全有機栽培の自然米と良質な天然水を使用。日本酒の伝統製法「生もと造り」で仕込んだもろみを石臼で丹念にすりつぶし、とろりと濃厚に仕上げた銘柄です。

瓶のほぼ半分を占めるほどたっぷりのおりが含まれているため、まろやかでやさしい舌触りを堪能できるのが魅力。口に含めば、糀の香りとともに、自然米の力強い旨みと穏やかな甘み、心地よい酸味が広がります。

アルコール度数は16%。夏にはキリッと冷やして、冬にはお燗で飲むのがおすすめです。

三輪酒造 白川郷 純米にごり酒


三輪酒造 白川郷 純米にごり酒

岐阜県の世界遺産「白川郷」の名を冠した「白川郷 純米にごり酒」。どぶろくの製法を活かしてもろみを残しているため、白濁した濃い液色に、とろりと濃厚な口あたりが特徴の銘柄です。

酒米をふんだんに使用し、揖斐川をルーツとする軟水で仕込んでいるのもポイント。お米本来の甘みと旨みをじっくりと引き出した濃淳甘口タイプです。しっかりと冷やして、焼き肉やウナギ、焼き鳥などのこってりとした料理にぴったり。飲み方はロックやストレートがおすすめです。サイダーで割るなど、一風変わった味わい方も楽しめます。

朝日酒造 久保田 純米吟醸 にごり

朝日酒造 久保田 純米吟醸 にごり

「久保田」で知られる新潟県長岡市の「朝日酒造」が手がけるにごり酒です。朝日酒造は、地元新潟産の酒米と軟水を使い、淡麗辛口の酒質を追求しています。食事と合わせやすい穏やかな香りとすっきりした味わいの日本酒をラインナップし、多くのファンに支持されている蔵元です。

本銘柄は、きめ細かいおりによるさらっとなめらかな口当たりと、純米吟醸ならではのフルーティーで華やかな吟醸香が特徴。シャープな甘味とふくらみのある味わいが調和し、後味にはすっきりとしたキレがあります。

よく冷やして飲むのがおすすめで、いちごなどのフルーツやスパイスを使ったアレンジも楽しめます。鶏のから揚げや鰆の西京焼きなど、旨みのある肉料理や香辛料の効いた料理との相性がよく、食中酒としても活躍。数あるにごり酒のなかでも飲みやすい銘柄のため、初心者にもおすすめの1本です。

酒田酒造 上喜元 純米吟醸 酒和地 活性生酒

酒田酒造 上喜元 純米吟醸 酒和地 活性生酒

山形県酒田市の「酒田酒造」が手がける活性にごり生酒です。同蔵は昭和21年に5つの蔵が合併して誕生し、酒田の市街地に残る唯一の蔵元として歴史を紡いでいます。数十種類の酒米を使い分け、生もと仕込みや速醸仕込みなど多様な製法に取り組む研究熱心な蔵として知られています。

酒和地は、瓶内二次発酵によるシュワシュワとした発泡感が特徴。フレッシュなメロンを思わせる華やかな吟醸香に、ジューシーな甘みとすっきりした酸味がバランスよく調和しています。軽快な旨みと爽やかな飲み口で、飲み飽きない味わいです。

花冷えや涼冷えでキンキンに冷やして楽しむのがおすすめ。和食全般と相性がよく、特に魚介料理や夏野菜を使った料理とよく合います。爽快な発泡感とフルーティーな香りで飲みやすいため、微発泡の日本酒を試してみたい方にもぴったりの1本です。

小林酒造 鳳凰美田 ミクマリ ~FLY HIGH~ CLOUDY special edition 純米大吟醸 にごり酒

小林酒造 鳳凰美田 ミクマリ ~FLY HIGH~ CLOUDY special edition 純米大吟醸 にごり酒

栃木県小山市で明治5年に創業した「小林酒造」が手がける純米大吟醸のにごり酒です。小林酒造は日光山系の豊富な伏流水と美しい田園風景に恵まれた土地で、150年以上にわたり酒造りを続けてきた蔵元。日光の二社一寺と深い縁があり、本銘柄には「水を司る神様」である水分神にちなんだ名前が冠されています。

華やかで心地よい吟醸香と発酵由来のシュワっとしたガス感が特徴。やわらかい旨みが口に広がり、柔らかな風味のある余韻が続きます。繊細でモダンな酒質に仕上がっており、軽やかな飲み口が魅力的です。

よく冷やして飲むのがおすすめ。微発泡の爽やかさと繊細な味わいは、アペリティフや軽食、フレンチなど繊細な料理とも好相性です。特別な日の乾杯酒としても適している洗練された1本です。

菊姫 にごり酒

菊姫 にごり酒

霊峰白山の麓に蔵を構える老舗「菊姫」が醸す、贅沢なにごり酒です。上質な酒米を栽培している特A地区のひとつ、兵庫県吉川町産の山田錦を100%使用した1本。栓を開ければ、甘栗やクリームチーズを思わせる、甘く膨らみのある吟醸香が立ち上ります。

発酵完了直前のもろみを練り挽き、荒濾で仕上げた味わいは、やわらかくクリーミー。口に含めば、お米の自然な旨みと甘みが広がりながらも、さっぱりとキレのある後口を堪能できます。

夏には冷や・ロック・炭酸割り、冬にはお燗などと、シーンに合わせてさまざまな飲み方を楽しめるのも魅力。辛口のお酒が苦手な方におすすめです。

五町田酒造 東一 純米大吟醸 うすにごり 生酒

五町田酒造 東一 純米大吟醸 うすにごり 生酒

佐賀県嬉野市の「五町田酒造」が手がける純米大吟醸の生酒です。同蔵は大正11年創業で、東洋一の酒を目指すという思いを込めて「東一」と命名。米から育てる酒造りをモットーに、昭和63年から自社栽培の山田錦に取り組み、米の旨みを最大限に引き出す酒造りを実践しています。

本銘柄は、山田錦を39%まで磨き上げた純米大吟醸のうすにごり生酒で、南国フルーツやパッションフルーツを思わせる華やかな香りが特徴。口に含むとふくよかな甘味と旨味が広がり、うすにごりならではの柔らかい飲み口とフレッシュな味わいを楽しめます。

冷やして飲むのがおすすめで、雪冷えから花冷えの温度帯で香りと味わいをより堪能できます。和食全般と相性がよく、白身魚の刺身や天ぷらなどと特によく合います。にごり酒らしく、上澄みとおりを混ぜた状態それぞれで味わいの変化を楽しめるのも魅力です。フルーティーで華やかなお酒が好みの方におすすめの1本です。

菊水酒造 にごり酒 五郎八

菊水酒造 にごり酒 五郎八

お米の旨みが詰まったにごり酒。新潟の越後民話に登場する山賊頭領から名付けられたユニークな銘柄で、口に含むとお米のつぶつぶとした舌触りに素朴な甘さとコクが広がる、濃淳甘口タイプの1本です。

濃厚な味わいは、料理の味を引き立てる食中酒にぴったり。旬の食材を使った鍋料理や濃いめに味付けをした肴に合わせて、ロックや冷やで飲むのがおすすめです。

アルコール度数が21%と高めなので、カクテルのベースとして活用するのもぴったり。炭酸水や牛乳、フルーツジュースや梅酒など好みのドリンクで割れば、豊潤な和カクテルを楽しめます。

高木酒造 土佐の地酒 豊の梅 おり酒

高木酒造 土佐の地酒 豊の梅 おり酒

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高知県の蔵元「高木酒造」が醸す、濃淳甘口タイプのにごり酒です。やさしい口あたりが魅力。口に含めば、クリーミーなにごりとともに、米の甘みと旨みがとろりと広がります。

冷や・常温・ロック・炭酸割りなど、好みや季節、肴に合わせてさまざまな飲み方で楽しめるのも魅力。アルコール度数は18%とやや高めです。料理やおつまみと一緒に、ゆっくりと味わいながら楽しんでみてください。

南部酒造場 花垣 純米 にごり

南部酒造場 花垣 純米 にごり

どぶろくを思わせる、つややかで真っ白な色味が印象的な純米にごり酒です。お米と米麹のみで醸して、ふくよかな香りとお米本来の旨みを引き出した1本。口に含めば、まろやかでクリーミーな甘みがとろりと膨らみ、お米の心地よい余韻が残ります。

夏にはロックや冷やで、冬には常温やぬる燗でと、季節ごとに多彩な飲み方で楽しめるのも魅力。すっきりと飲みやすい、甘口タイプのにごり酒を探している方におすすめです。

濵川商店 美丈夫 舞 うすにごり

濵川商店 美丈夫 舞 うすにごり

高知県の蔵元「濵川商店」が手がける、瓶内二次発酵の活性うすにごり酒です。生きた酵母が生み出す、シャンパンのようにきめの細かい泡立ちと爽快感が魅力。栓を開ければ華やかかつ上品な吟醸香が立ち上がり、口に含めば純米大吟醸ならではのコクと旨み、柑橘系の心地よい酸味が広がります。

辛口ながらもほのかに甘みを感じるフルーティーな味わいは、食中酒にはもちろん、パーティーなどの乾杯酒にもおすすめ。アルコール度数14%程度と控えめで、比較的飲みやすいのもポイントです。

北鹿 北あきた にごり酒

北鹿 北あきた にごり酒

酒どころ秋田の有名蔵元「北鹿」が醸すにごり酒です。秋田産の上質なお米を天然水で仕込み、お米本来の旨みをじっくりと引き出した1本。まろやかな口あたりと、心地よい甘みを堪能できるのが特徴です。

常温、または10~15℃程度に冷やして飲むのがおすすめ。価格が比較的安いので毎日の晩酌にもぴったりです。濃厚な口あたりを好む方やコスパに優れたにごり酒を探している方は、ぜひチェックしてみてください。

中埜酒造 國盛 にごり酒

中埜酒造 國盛 にごり酒

もろみの素朴な香りにまろやかな口あたり、さらりとした飲み心地が特徴のにごり酒。造り手は、300余年の歴史を誇る銘醸地であり、愛知県半田市に蔵を構える「中埜酒造」です。

こしたもろみを瞬間加熱し、急冷処理を施してから瓶詰めしているため、蔵出しのフレッシュな香味にお米の凝縮した旨みを味わえるのが特徴。アルコール度数が14%と控えめなうえ、端麗甘口で飲みやすいので、にごり酒初心者の方にもぴったりです。

濃い味付けの料理に合わせて、10℃前後に冷やした花冷え、またはロックで飲んでみてください。

酒千蔵野 純米 にごり酒 川中島

酒千蔵野 純米 にごり酒 川中島

にごり酒通の間で注目を集めている銘柄。長野県産の酒米「美山錦」を65%まで磨き、醸造アルコールを一切使用せずに仕上げたこだわりの純米にごり酒です。

もろみを丹念に裏ごししているため、舌触りはとろりとしておりクリーミー。飲み進めるほどに、お米の繊細な旨みと上品な甘み、心地よい酸味が織りなす奥深い味わいを堪能できます。

おすすめの飲み方は、ロック・冷や・常温など。食中酒として飲めば、和・洋・中と幅広く料理の味を引き立てます。武田信玄や上杉謙信など、名だたる武将を癒してきたとされるやさしい風味を、ぜひじっくりと味わってみてください。

八鹿酒造 八鹿 にごり酒

八鹿酒造 八鹿 にごり酒

香り高い芳醇旨口タイプのにごり酒です。発酵が終わる直前のもろみを丁寧に粗ごししています。液色は純白、飲み口はとろりとしておりクリーミーなのが特徴。口に含めば、フルーティーな香りに、お米本来の旨みとやさしい甘みを堪能できます。

常温または冷やで、もろみを撹拌するようにボトルを軽く振ってから飲むのがおすすめ。お手頃価格でコスパも良好です。甘口の飲みやすいにごり酒を探している方は、ぜひチェックしてみてください。

千曲錦酒造 純米 藤村のにごり酒

千曲錦酒造 純米 藤村のにごり酒

文豪、島崎藤村の名詩「千曲川旅情のうた」より名付けられた「藤村のにごり酒」。浅間山系の伏流水と信州産の「美山錦」を用いて醸した、濃淳甘口タイプの銘柄です。

液色は濃く白濁しており、舌触りはなめらかでクリーミー。純米酒ならではの上品な甘みにふくよかな旨みが広がりつつ、後味はすっきりとして飲みやすいのが特徴です。

とろりと濃厚な味わいは、チーズ・アボカド・塩辛など、とろけるような食感の食材やこってりとした料理と好相性。飲み方は冷や、または常温がおすすめです。