近年、日本酒は国内だけでなく、海外でも人気を博していますが、なかでも香り高くクリアな味わいを楽しめるのが大吟醸です。大吟醸は作るのに時間も手間もかかるため、高価なものが多い傾向にあります。
今回は購入しやすい価格帯の大吟醸を、その特徴とともに紹介します。覚えておくと役に立つ大吟醸とほかの日本酒との違いや、大吟醸の選び方のポイントも紹介するので参考にしてみてください。
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大吟醸の原料と精米歩合
大吟醸とは、原料に米・米麹・水・醸造アルコールを使った日本酒のことを指します。大吟醸のうち、原料に醸造アルコールを加えずに作ったものが、純米大吟醸です。
また、大吟醸を名乗るために必要なもう一つの条件として、米の精米歩合が50%以下であることが挙げられます。精米歩合とは、米をどれだけ削っているかを表す数値のこと。精米歩合40%の場合は、米を60%削って作っているということです。
日本酒では米を削ることを「磨く」と表現することもあり、一般的に精米歩合が低いほど(たくさん磨いたお酒ほど)、香り高く、高価になる傾向があります。
大吟醸の特徴
精米歩合が低い大吟醸は、米を多く削ることで雑味のないすっきりとした味わいになるのが特徴です。また低温で長時間発酵すること、醸造アルコールを加えることで、フルーティーで華やかな「吟醸香」と呼ばれる香りが強くなります。
対して、純米大吟醸は醸造アルコールをプラスしていないので、米本来の旨みやコクが感じられ、ずっしりとした味わいになるのが特徴です。
本醸造酒や吟醸酒との違いは?
本醸造酒や吟醸酒と大吟醸の違いは、精米歩合の度合いで区分されます。本醸造酒は精米歩合が70%以下の米で造られた酒。吟醸酒は、精米歩合が60%以下の米を使い、さらに低温で長期間発酵させる「吟醸造り」という製法を用います。大吟醸は、最も精米歩合の低い50%以下の米で吟醸造りを用いて造られた日本酒です。
一般的に精米歩合が低くなるにつれ、雑味が取り除かれた香り高い日本酒となります。ただし、これらの基準は、製法によって日本酒を区分しているだけなので、必ずしも酒の味わいのグレードを決めるものではないので注意が必要です。
大吟醸の選び方
味で選ぶ
日本酒には、「日本酒度」と呼ばれる指標があり、甘口か辛口かを判断する一つの判断軸になります。基本的には、各ボトルのラベルにその銘柄の日本酒度が記載されているため、銘柄の予備知識がなくても傾向を捉えることが可能です。
甘口
甘口の基準は、日本酒度の表示が「-」となっているものです。マイナスの数値が高いほど甘口になります。甘口の大吟醸はまろやかで濃厚な味わいで、お酒が弱い方でも飲みやすいのが特徴。特に醸造アルコールを加えていない純米大吟醸に甘口の銘柄が揃っています。
辛口
辛口の基準は、日本酒度の表示が「+」となっているもので判断できます。プラスの数値が高いほど辛口で、通好みのスッキリとしたキレのある味わいが特徴です。甘口とは違い、醸造アルコールを加えて作る大吟醸が、辛口となりやすい傾向にあります。
原料米で選ぶ
「コシヒカリ」などの食用米とは異なり、日本酒の原料となるのは「酒米」という米です。その中でも特に日本酒造りに適した米を酒造好適米と呼び、全国に80品種以上の品種があります。山田錦が特に有名ですが、ほかにも美山錦、五百万石、雄町といった酒造好適米も人気です。
大吟醸はいくつかの酒造好適米をブレンドして作られることもありますが、どの米を使うかによって、香りやキレが変化します。好きな風味の日本酒があれば、同じ原料米を使った大吟醸を探すという選び方もおすすめです。
度数で選ぶ
日本酒のアルコール度数は15%前後のものが多く、ワインより高めで、焼酎よりも低め。アルコール度数は高い部類に入るため、お酒が弱い方は、できるだけ度数の低い大吟醸がおすすめです。一般的には甘口のお酒に、度数が低いものが多い傾向があります。
また、原酒の大吟醸は、加水して度数を調整しないのでアルコール度数が高いため、お酒が強い方におすすめです。
大吟醸のおすすめ銘柄
北鹿 大吟醸 北秋田
秋田県で有名な酒蔵、北鹿の大吟醸です。原料米に山田錦を使用し、精米歩合は50%。やや辛口ですっきり飲みやすく、フルーティーな吟醸香が特徴です。「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2018」で金賞受賞するなど、高い評価も受けています。
北秋田はスーパーでも見かけることの多い大吟醸酒です。瓶が不織毛に包まれていて高級感があるのにも関わらず、720mlで1000円以下のお手頃価格。安いので、毎日の晩酌で気軽に飲める大吟醸としておすすめです。
八海山 大吟醸
米どころ新潟県南魚沼の八海山の看板銘柄です。原料米は山田錦と美山錦で、精米歩合は40%まで磨かれています。雑味のないすっきりとした淡麗辛口の仕上がりです。
穏やかで香り高い吟醸香と、透明感のある味わいは大吟醸ならではの特徴。冷やで飲むのはもちろん、温かい料理に合わせる場合は熱くしすぎない燗酒もおすすめです。冷やとは違った香りが楽しめます。高級品なので、日本酒好きな方への贈り物にすると喜ばれる一品です。
越後桜 大吟醸
新潟県の越後桜酒造の大吟醸です。国内有数の白鳥飛来地として知られる瓢湖の近くに蔵を構え、自然豊かな土地で作られています。越後桜は山田錦などの原料米を使用し、精米歩合は50%。淡麗辛口で、キレのよい爽やかな後味が特徴です。
「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2015」で金賞を受賞しており、ワイングラスで華やかな吟醸香を楽しみながら飲むのがおすすめ。和食はもちろん、洋食や中華との相性も抜群です。大吟醸の中では比較的安いので、家飲み用や手土産にも向いています。
黒龍 大吟醸
福井県の黒龍酒造でロングセラーを続ける大吟醸酒です。原料米に山田錦を使い、精米歩合は50%。ふくらみのある芳醇な香りと爽やかな飲み心地が特徴で、上品な喉越しには定評があります。
冷蔵庫で軽く冷やして飲むのがおすすめ。高価な大吟醸酒ですが、ラベルもシックで高級感があり、風味も納得の高品質さが感じられるお酒です。お祝いの席のお供や、大事な方への贈答品としても向いています。
北雪 大吟醸 YK35
新潟県佐渡の北雪酒造で作られる大吟醸です。品名の「YK35」とは山田錦(Y)を精米歩合35%(35)まで磨き上げ、熊本酵母(K)を用いて発酵させていることを表しています。コクがありながらもすっきりとした喉越しのまろやかな辛口で、立ちのぼる芳醇な果実に似た香りが特徴です。
全米日本酒鑑評会2013で金賞受賞するなど、海外でも高く評価されています。ワイン連想させるスカイブルーの瓶に、ゴールドがあしらわれたラベルとキャップシールが華やかな見た目なので、贈り物にもおすすめです。
吉田蔵 大吟醸
「手取川」の銘柄で有名な石川県の吉田酒造店の若手杜氏が心血を注いで作った大吟醸です。
原料米に五百万石を使い、精米歩合45%で作られています。すっきりとした味わいと、清涼感のある落ち着いた香りは食中酒にもぴったり。2000円台で買えるお手頃な大吟醸なので、ホームパーティーの手土産や、自分へのご褒美酒としてもおすすめです。
月桂冠 大吟醸
京都府産の酒造好適米「京の輝き」を使用した大吟醸です。大手酒造メーカーのひとつである月桂冠が作っていて、コスパのよさで評価が高い大吟醸。安くても、フルーティーな吟醸香がしっかり感じられ、すっきりとした喉越しはどんな料理ともマッチします。
安いので家飲みで毎日気軽に楽しむのがおすすめです。また、黒いボトルに金のキャップシールとロゴが施されたパッケージはとてもスタイリッシュで、手土産にも向いています。まろやかな辛口で飲みやすい大吟醸酒です。
中尾醸造 幻 赤箱 純米大吟醸
昭和23年に全国品評会で第1位を受賞し、皇室に献上された日本酒を忠実に再現した純米大吟醸です。「誠鏡」の銘柄でも知られる広島県の中尾醸造が作っていて、原料米には山田錦を使い、精米歩合は45%。
磨き抜いた山田錦の濃厚な旨みと、リンゴ酵母を使ったフルーティーで華やかな香りが感じられます。醸造アルコールを使用していないので、日本酒度は±0。ほんのり甘口に感じられる飲みやすい純米大吟醸です。
平和酒造 紀土 純米大吟醸
和歌山の平和酒造が若い世代に楽しんでもらいたいと造った純米大吟醸です。価格も安く抑えられていて、飲みごたえよりも飲みやすさを重視して作られています。優しいマンゴーのような香りと、深みがある旨み、やわらかい酸を感じる甘口な味わいが特徴です。
山田錦を50%まで磨いて使用し、低価格ながらしっかりした吟醸香と旨みを感じることができます。蔵元の願いどおり、日本酒を敬遠しがちな若い世代や女性に飲んでいただきたい一品。日本酒とは思えない可愛いピンクのパッケージもポイントです。
楯の川酒造 楯野川 清流 純米大吟醸
山形の老舗、楯の川酒造の看板銘柄です。山形県オリジナルの酒造好適米、出羽燦々を精米歩合50%で造った純米大吟醸。中でも清流は、爽やかで軽やかな飲み心地を目指して造られています。
14%という低めのアルコール度数で、酸味が穏やかに抑えられた甘口なので、お酒が弱い方や女性にもおすすめ。「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2017」で最高金賞受賞、フランスで開催の「KURA MASTER」で2017年と2018年の2年連続金賞受賞するなど、世界で認められた味です。
山﨑合資会社 夢山水浪漫 奥 純米大吟醸 原酒
愛知県の酒造好適米、夢山水を精米歩合50%まで磨き上げた甘口の純米大吟醸原酒です。原酒のためアルコール度数は17.5%と高めですが、独特のとろみとなめらかさが楽しめます。華やかな香りとふくらみのある旨みが感じられるお酒です。
漆黒の瓶に洞窟の奥を連想させるパッケージは、まるで夢山水浪漫の味わいの奥深さを表しているよう。濃厚な味わいの中にしなやかさも併せ持つため、冷やしてじっくり味わうのがおすすめです。
香り高い吟醸香とすっきりした飲み口が特徴の大吟醸。日本酒のなかでも高価なイメージがありますが、比較的安価に手に入る極上の大吟醸をご紹介しました。それぞれに蔵元の情熱が感じられる一品です。香りを楽しむためには、まずは冷やで試してみてください。