皆さん、ライカをご存知ですか? 往年のカメラマニアから賞賛され、名玉と絶賛されるような製品がライカからでてくるのはなぜでしょうか? 熟練の職人による手作りであること、35mレンジファインダーカメラとしてのクオリティの高さなど、特徴はいくつかありますが、ライカの本当の凄さは、その「歴史」にあると思います。CHANELにしろヴィトンにしろ、単にブランド名だけでのし上がって来たわけではありませんよね。今回はそんなライカの魅力に迫ります!
他のメーカーには真似できない、レンジファインダーカメラ
ライカの原点はこの35mレンジファインダーカメラ、つまり”レンズ交換式距離計連動式カメラ(Rangefinder = レンジファインダー)”にあります。今は一眼レフが当たり前の時代になりましたが、ライカはこの別ファインダーから覗いた映像に、まるで人間の目で見た様な映像を切り取る、当時としては革新的な技術を盛り込んだのです。この技術は他のメーカーが真似したくてもできない、高い工作精度によって作られていました。
「ライカが凄い」と言われるワケ
信者までいると言われるライカのカメラは、一体何がそんなに凄いのでしょうか? その答えは、レンズの工作精度にありました。ニコンやキヤノンでも十分精密なのですが、ライカのそれは次元が違うと言われています。工場生産品と熟練の職人による手作りでは、品質の違いは歴然。車が買えるお金を出してでもライカが売れる理由は、他では得られないの「写り」からくるのでしょう。
S型ライカの登場
さて、抜群の描写力を誇った35mレンジファインダーカメラですが、このことが当時主流になりつつあった一眼レフへの参入をためらわせることになります。時代と共に経営が怪しくなってきたライカは、当時一眼レフで大ヒットしていたミノルタと技術提携を結びました。ほとんどの工程をミノルタで生産したSL2で巻き返しを図りましたが、経営はうまくいかず、1975年には倒産と言っていい状況にまで追い込まれてしまいました。
ライカの復活
1980年ごろには、ライカにとって信じれない様な不良品が出荷されるなど、品質と信頼を大きく失いかけていました。しかし、1985年にはライカの復活を支えた「M6」を発売し、1990年代になるとエルメスからの融資を受け小さなカメラメーカーとして再出発。その後は、富士フイルムやパナソニックの協力を得てデジタル化に取り組み、黒字収支化に成功。特にデジタルの分野においてはパナソニックとの技術提携を受けて、評価を回復し得るカメラを作り上げました。
ライカ(LEICA) X1 の登場
それまでパナソニックのコピー品にしか見えないカメラ作りをしてきたライカですが、2010年にはライカの原点回帰とも言うべきモデル「x1」を発売します。「O型ライカ」という過去の人気モデルを再現し、当時のコンパクトデジタルカメラではあり得なかったAPSC-CMOSセンサーを搭載しました。24mエルマリートレンズはフィルム換算で36mになりますから35mのファインダーを流用できます。
ライカ(LEICA) ライカX Typ 113
2014年には、ライカの真骨頂ともいえる製品「ライカX Typ 113」が発売されました。レンズにはライカの最高級レンズであるズミルックスのf1.7が付けられています。肝心の写りに関しては文句なしの一級品! シャープな所は追い込みが良くふわりと美しい、ブランドの名に恥じない一品です。
ミラーレスに参戦!ライカM9
同じく2014年には、ミラーレスにライカが参戦しました。当時、世界最高峰の技術でレンジファインダーカメラを引っぱってきたライカが、一眼レフですらないミラーレス路線に参入してくるとは、何か時代の流れを感じる物がありますね。肝心のカメラはアルミの削りだしで素晴らしい仕上がりになりました。アウディのデザインチームがデザインしたといわれるおしゃれな外観に、APSCサイズのレンズ交換式カメラです。
レンズとセットで車が余裕で買えるとか、このデジタルの時代に今更銀塩カメラ? と思われる方もいるかもしれません。ですが、すべてはライカで撮った写真を見れば分かります。カメラレンズには光軸ずれという問題が普遍的にあり、工場生産品ではどうしてもその精度に限界があります。やはりそういった部分は、熟練職人の勘には到底及ばないものです。まさに看板に歴史あり、ですね。