重厚感ある風合いやツヤのある色彩が特徴的な「油絵の具」。水彩絵の具と比べて扱いが難しい一方、初めての方でも趣のある絵を描けるのが魅力です。しかし、画材屋には数え切れないほどの油絵の具が並んでいるため、どれを選べばよいのか迷ってしまう方も少なくありません。

そこで、今回は初心者の方にもわかりやすく、油絵の具の選び方やメーカーごとの特徴を解説します。おすすめの油絵の具セットもご紹介するので、ぜひこの機に油絵の世界に踏み出してみてください。

油絵の具とは?

油絵の具とは、色の元となる「顔料」と色を固着させる「乾性油」を練り混ぜた絵の具のことです。他の絵の具と比べて油分を多く含むため、ツヤがあるのが特徴。絵の具を盛るように塗ったり、削ったり、筆跡をつけたりと表現の自由度が高いところが魅力です。

油絵の具に用いられる顔料は、大きく分けると「無機顔料」と「有機顔料」の2種類に分けられます。無機顔料とは鉱物や金属などの無機物を用いたもので、重ね塗りをしても下地の影響を受けにくいのが特徴です。一方、有機顔料は石油などを合成したもので、発色性や透明性に優れています。

また、水彩絵の具やアクリル絵の具と比べて、固まる速度が遅いのも特徴のひとつ。作品を仕上げるまでに時間がかかってしまいますが、油絵の具ならではの重厚感のある絵を描くことができます。上級者はもちろん、これから絵画の勉強をしたいと考えている初心者の方にもおすすめの画材です。

油絵の具の選び方

初心者はセットがおすすめ

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油絵の具は、一色ずつチューブを買う方法と、基本色をまとめたセットを買う方法があります。油絵の具はメーカーごとに100種類以上もの色が販売されているため、慣れていない内に自分で選ぶのは困難です。まずは必要な色が一通り揃っている10〜20色のセットを買うのがおすすめ。描きながら欲しいと感じた色を買い足していくのがよいでしょう。

個別に購入する場合は基本カラーを抑える

油絵の具を個別に購入する場合、まずは基本カラーを揃えましょう。混ぜることでさまざまな色を作れる原色をはじめ、絵を描く上でよく使われる色があれば安心です。基本カラーの選び方についてご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

赤系

赤系の代表的な色として「カドミウムレッド」「クリムソンレーキ」「バーミリオン」などが挙げられます。カドミウムレッドは鮮やかな不透明色で、3つの中では一般的に想像される赤色に最も近いといえるでしょう。クリムソンレーキは赤ワインのような深みのある赤色です。

バーミリオンは重厚な朱色の絵の具ですが、原料に貴金属を使用しているため、高額な絵の具となっています。まず1色購入するならカドミウムレッドかクリムソンレーキがおすすめです。

青系

青系の基本カラーには「ウルトラマリン」「コバルトブルー」「セルリアンブルー」などが挙げられます。ウルトラマリンは濃く深みのある透明色のブルー。昔は高価でしたが現在は安価に入手可能です。コバルトブルーは彩度の高い鮮やかなブルーで、半透明色。セルリアンブルーはコバルトブルーよりもやや明るい青色です。

黄系

黄系の代表的な色は「カドミウムイエロー」「イエローオーカー」です。カドミウムイエローは発色がよく、鮮やかな不透明のイエロー。中でもペール、ライト、ディープなどトーンの異なる色が販売されています。イエローオーカーはいわゆる黄土色で、他の色と混ぜて彩度を調整するときに便利。リーズナブルなところも魅力です。

緑系

緑系は、「ビリジャン」や「コバルトグリーン」などがよく使われます。ビリジャンは濃く透明度のあるグリーン。コバルトグリーンは若干青みを含んでいます。ビリジャンの価格を抑えた「ビリジャンヒュー」もおすすめです。

褐色系

褐色系でよく使われる色には、「ローアンバー」「ローシェンナ」「バーントアンバー」「バーントシェンナ」などが挙げられます。

色名のローは”熟成していない”という意味。ローアンバーはやや明るい褐色であり、ローシェンナはそれよりもやや赤みのある褐色です。バーントは”焼いた”という意味で、「バーントアンバー」はローアンバーよりも濃い褐色です。

ただし、どの色に関してもいえることですが、同じ色名でもメーカーによって色味は異なります。褐色系は全て揃える必要はなく、自分好みの色を選ぶのがおすすめです。

ホワイト

ホワイトは代表的なものとして「ジンクホワイト」「シルバーホワイト」「チタニウムホワイト」の3種類が挙げられます。ホワイトは各メーカーから他の名前でも販売されていますが、多くは3種類のどれかに当てはまるか、またはこれらを混ぜたモノです。

ジンクホワイトは、着色力や下の色を覆い隠す隠蔽力が最も弱く、微妙な明度の調整に向いています。白さが弱めであり、明部に使うと沈み込んだような明るさを表現できるのが特徴です。

シルバーホワイトは、着色力と隠蔽力に優れ、浮きだしたような明るさを表現可能。チタニウムホワイトは、着色力と隠蔽力共に3つの中で最も強く、シャープな白を表現できるのが特徴です。強い白なので明度の微調整には不向きといえます。

ブラック

ブラックの代表的なカラーは、「ピーチブラック」「アイボリーブラック」「ランプブラック」です。これらの色調の違いは、油で薄くのばしたときや淡い色と混色した際に感じられます。

ピーチブラックは植物の種子を焼いて作ったブラックであり、やや青みのある色。着色力は3種類の中で最も弱く、控えめなブラックです。アイボリーブラックは動物の骨を焼いて作った色であり、赤みを感じられます。

ランプブラックはススから作ったブラックで、粒子が細かく青みのある黒。3種類の中で最も着色力が強いのが特徴です。

メーカーで選ぶ

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油絵の具は、色の名前が同じであっても色合いが微妙に異なります。メーカーによって原料の配合バランスや製造方法などが違うためです。他社との差別化を図るためにあえて色味を少し変えているケースもあります。

例えば、クサカベは落ち着いたグレートーンの色が豊富。マツダは赤系や緑系に個性的な色が多いと評判です。どのメーカーが優れているというわけではなく、好みの問題なので、実際に使ってみながら好きな色を探してみてください。

油絵の世界では、複数ブランドの絵の具を組み合わせて使うのは珍しいことではありません。各メーカーの絵の具を混ぜて使うのもおすすめです。無理にメーカーで揃えようとはせずに、色々な絵の具を使ってみましょう。

油絵の具のおすすめメーカー

ホルベイン(holbein)

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「ホルベイン」は油絵の具をはじめとする、多種多様な絵の具を製造している色材の総合メーカーです。100年以上の歴史を持つ安心の国内メーカーであり、業界では最大手。大抵の画材屋で扱っており入手が容易なため、初心者の方が最初に購入することも多い油絵の具です。

ホルベインの油絵の具は品質が高く、色の種類も豊富なところも魅力。値段もお手頃なので、初めて油絵の具を購入する方にもおすすめです。

クサカベ

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「クサカベ」は1928年創業の老舗人気メーカー。創設者の「よい絵具を作る」という意向を引き継ぎ、選りすぐられた材料を使用して高品質な油絵の具を製造しています。160種類以上の豊富な色数があり、特に中間色の幅が広いのが特徴です。

他メーカーよりグレイッシュなトーンの色が多いのもポイント。全体的に落ち着いた優しい発色を持つ傾向があり、強い発色よりも穏やかな発色を好む方におすすめです。

大手国内メーカーの中では、比較的価格が手頃なのもメリット。とりあえず色数を豊富に揃えたい、と考えている方にもピッタリのメーカーです。

マツダ

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「マツダ」は歴史ある日本の画材メーカーです。戦前、日本の油絵の具は画家から評判が悪く、マツダは油絵の大家と共に研究を重ねることでハイクオリティな油絵の具を開発してきました。

マツダの油絵の具は顔料濃度が高く、発色に優れているのが特徴。上位モデルでは高品質な乾性油を使用し、黄変と呼ばれる色の経年変化を抑えています。初心者からプロまで幅広い層に愛用者のいるメーカーです。

マイメリ(MAIMERI)

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「マイメリ」はイタリア発の画材メーカー。画家であった創業者のジアンニ・マイメリが、1923年イタリア・ミラノに絵の具工場を設立したことが始まりです。

マイメリの油絵の具は「顔料と溶剤以外は何も入れない」という信念に基づいて製造されており、優れた色彩と高い耐候性から多くのプロが愛用しています。リーズナブルではありませんが、油絵を描くなら一度は使ってみたい油絵の具です。

油絵の具のおすすめ製品

ホルベイン(holbein) 油絵具12色セット H905

愛用者の多い国内メーカー「ホルベイン」の油絵の具12色セットです。ホルベインは手頃な価格でありながら品質のよさに定評があり、幅広い層から人気があります。

同シリーズの油絵の具は160色以上の豊富なラインナップがあるため、色を買い足したいときに選択肢が多いのもメリット。油絵の具への導入としておすすめのセットです。

ホルベイン(holbein) 高品位油絵具ヴェルネ12色セット V192

ホルベインが提供する高級ラインの油絵の具です。歴史ある色材メーカーのノウハウと最新テクノロジーを駆使して開発された、評価の高い製品。鮮やかな発色と、表現の幅を広げる優れた透明性が魅力です。

混色しても濁りにくく、高い彩度と強い着色力があります。扱いやすい硬さと絶妙なツヤがあり、繊細な表現も可能。最上位モデルにふさわしいハイクオリティな油絵の具です。油絵を始めるにあたってよいモノを使いたい、と考えている方におすすめします。

クサカベ クサカベ油絵具セット A-12

老舗国内メーカーによる12色セットです。クサカベの油絵の具は落ち着いた優しい発色が魅力。やや固練りなので、厚塗り表現などの質量感を活かした表現ができるのも特徴です。

同シリーズは全168色の豊富なラインナップがあるのも魅力。クサカベは中間色や落ち着いた色が他社よりも多く、このような色味を好む方に向いています。また、価格が比較的リーズナブルなので、油絵の具を試しにやってみたいという方にもおすすめです。

クサカベ GUILD 12色セット

「GUILD」はクサカベの高級ライン。発色が素晴らしく、評価の高い油絵の具です。色数はセットにある12色のみで、それぞれのカラーにゴヤやルーベンスなどの巨匠の名前を冠した色名がつけられています。

特に、ウルトラマリン(ピサネルロブルー)は発色がよいと評判の色です。クサカベの油絵の具に共通する、固練りである点が特徴で、質量感ある表現が可能。透明色と不透明色、共に強い存在感を出せます。

値段はやや高めですが、プロの画家からの評価も高いおすすめの油絵の具です。ハイクオリティな油絵の具を探している方はぜひチェックしてみてください。

マツダ 専門家用油絵具12色セット

国内大手メーカーの「マツダ」による12色セットです。マツダの油絵の具はポップで強い発色が特徴。そのため、絵の仕上げ用として愛用する方もいます。

「専門家用油絵具」は、顔料濃度が高いので伸びがよく、初心者にも使いやすいシリーズ。色数が全143色と豊富な点もおすすめする理由のひとつです。価格もお手頃なので、エントリーモデルとしてぜひ検討してみてください。

マツダ スーパー油絵具12色セット

マツダによる最上位シリーズの油絵の具です。厳選した高級顔料を使用しており、発色が優れているのが特徴。高級乾性油のポピーオイルを用いて手間と時間をかけて練り上げることで、黄変と呼ばれる色の変色を防ぎ、半永久的に鮮やかな色を保ちます。

耐久性や発色、色の深みなどにファンの多いハイグレードな油絵の具。プロ仕様の油絵の具を探している方にもおすすめです。

マイメリ(MAIMERI) CLASSICO クラシコ油絵具 13色セット

プロの画家も愛用する人気メーカー「マイメリ」の13色セットです。「クラシコ」はマイメリの中でもエントリー用に最適なシリーズであり、初心者からプロまで幅広く使用できます。

最新技術によって実現された、優れた耐候性と鮮やかな発色が特徴。合成顔料と天然顔料をバランスよく配合することで、リーズナブルな価格と使いやすさを両立しています。品質のよさから混色制限がなく、シリーズ全72色どのカラーでも混色が可能です。

世界中で多くのアーティストに愛されているおすすめの油絵の具セット。ハイクオリティな画材を探している方は、ぜひ検討してみてください。

ロイヤルターレンス(ROYAL TALENS) レンブラント油絵具10色セット T01C310

オランダを代表する絵の具メーカーの「ターレンス」。中でも巨匠の名を冠した「レンブラント」シリーズは、 ヨーロッパで長年ベストセラーを記録している最高級油絵の具です。伝統的な製法による高い品質が魅力で、多くの画家が愛用しています。

ホワイトや明るい中間色には、黄変と呼ばれる色の変化を防ぐために、サフラワーオイルを使用。変色や劣化が少なく、厚塗りをしても乾燥時にシワができにくいのが魅力です。顔料濃度が高く着色力がよいため、深みのある表現ができます。

混色しても濁りにくく、評価の高い油絵の具です。色数も全120色と豊富。美しい発色が楽しめるので幅広い方におすすめです。

ロイヤルターレンス(ROYAL TALENS) ヴァンゴッホ油絵具10色セット T02C410


オランダの人気絵の具メーカー「ターレンス」による10色セット。リーズナブルな価格でありながら、巨匠の名に恥じない優れた品質です。

良質のリンシードオイルを使用することで、高品質と経済性を両立。ホワイトには、黄変と呼ばれる色の変化を防ぐサフラワーオイルを用いています。信頼の大手メーカーによる油絵の具を手軽に試せるおすすめのセットです。

ウィンザー&ニュートン(Winsor&Newton) アーティスト・オイルカラー 21mlチューブ12色

1832年イギリスで創立された「ウィンザー&ニュートン」。科学者のウィンザーとアーティストのニュートンによって生み出された油絵の具は、画家のニーズに応える幅広い色数と高い耐久性が特徴。信頼性の高さから、世界中に愛用者のいる人気メーカーです。

「アーティスト・オイルカラー」シリーズは全120色の多彩なラインナップを持つ、最高グレードの油絵の具。顔料濃度が高く、優れた着色力を持つため、多くの色が専門家用堅牢色としてランクされています。

プロにも愛用者がいるほど高品質でありながら、価格がお手頃なのもポイント。初心者の方も安心して使えるおすすめの油絵の具です。