ライブ・録音・音楽制作・ゲーム配信などでクリアな音を届けるのに必要不可欠なマイク。しかし、ダイナミックマイクとコンデンサーマイクといった種類があり、どれが何の用途に適しているか、分からない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、ダイナミックマイクとコンデンサーマイクの違いを初心者にも分かりやすくご紹介。それぞれの特徴に加え、ライブ配信やボーカル録音など適した用途についても解説します。

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ダイナミックマイクとコンデンサーマイクの違い

ダイナミックマイクの特徴

雑音・環境音を拾いにくい

ダイナミックマイクは環境音や周囲の雑音を拾いにくい特性が最大の魅力です。これは主に、単一指向性(カーディオイドパターン)を採用し、マイク正面からの音を優先的に集音する構造のため。左右や後方からの音は大幅に減衰させるので、目的の音源だけを収音できます。

感度が低く設計されているため、コンデンサーマイクと比較して音をキャッチする感度が控えめで、マイクから離れた場所の音や小さな環境音を拾いません。振動板とコイル、磁石だけで構成されているシンプルな構造で、予期せぬノイズが発生しにくいのも特徴です。

ライブパフォーマンスや騒がしい環境での収録に適しており、PA機器と組み合わせても扱いやすいのが魅力。マイクとスピーカー間で起こる不快なハウリングの発生にも強く、ステージ上での使用に適しています。高い音圧にも耐えられ、大音量の楽器やボーカルの収録にも安心して使用できます。

衝撃や温度・湿度変化に強く頑丈

By: shure.com

繊細な電子回路を持たないシンプルな構造により、高い耐久性を備えているのもダイナミックマイクの特徴。振動板とコイル、磁石という基本的な部品だけで構成されているため、衝撃や振動、落下などに強く壊れにくい特性があります。

また、温度変化や湿度の影響も受けにくいのもポイントです。コンデンサーマイクと違い、静電気を利用した繊細な部品がなく、急激な気温の変化や湿度の高い環境でも安定して動作。屋外ライブやフィールドレコーディングなど、環境が変化しやすい場所でも性能を維持することが可能です。

コンデンサーマイクよりも価格は安い

ダイナミックマイクは、コンデンサーマイクと比べ価格が安いのが特徴。一般的に5,000未満~30,000円程度で、中には1,000円台で購入できるモノもあります。

構造がシンプルなゆえに、製造コストを抑えられるのが大きな理由。また、外部電源も必要としないため、部品点数が少なく生産効率にも優れています。

初心者や趣味の範囲で使いたい方にとってもハードルが低く、配信やカラオケ練習、バンド活動の入門用としても適しているのが魅力です。

コンデンサーマイクの特徴

周波数特性が広く高音質

コンデンサーマイクは一般的に、20~20000Hzという人間の可聴域全体をカバーする、広い周波数特性を持っています。

ダイナミックマイクと比較して高音域と低音域の両方を優れた感度で収音できるため、音楽制作や放送など高品質な音声が求められる場面で重宝されます。繊細な音の変化も逃さず捉えられる点が魅力です。

金属製の振動板と背極板による、静電容量の変化で音を捉える構造で、高音質を実現。振動板が非常に薄く軽量で、微細な空気の振動にも敏感に反応します。音の立ち上がりが鋭く、自然で透明感のある音質が魅力です。

スタジオレコーディングでは、楽器の倍音やボーカルの息遣いまで精密に再現。特にピアノやギターの弦の響き、シンバルなど、豊かな表現力を必要とする楽器の録音で真価を発揮します。高い解像度で音を捉えるため、後処理での音質調整の幅も広がり、プロフェッショナルな音楽制作にもおすすめです。

使用にはファンタム電源が必要

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コンデンサーマイクは、ダイナミックマイクとは異なり、電気信号を発生させるために常に「ファンタム電源」からの電源供給が必要。内部の金属膜振動板を動作させ、内蔵プリアンプを駆動させるための電力供給システムです。

ファンタム電源は通常48Vの直流電圧で、一部の機器では12V・18V・24Vの低電圧タイプも存在します。マイクケーブル(XLRケーブル)を通じて電力を供給。ミキサーやオーディオインターフェースに装備されているファンタム電源スイッチをオンにすると、マイクに電力が送られて使えるようになります。

最近のオーディオインターフェースは、ファンタム電源内蔵の機器が増えていますが、対応していない場合はファンタム電源ユニットを別途購入して接続する方法もあります。

また、USB接続タイプやエレクトレット型といった一部タイプのコンデンサーマイクは、ファンタム電源がいらず、別の電源方式で動作します。

平均的な価格は高め

By: audio-technica.co.jp

コンデンサーマイクは一般的に、ダイナミックマイクよりも価格が高めに設定されています。入門機は5,000円前後から始まり、プロフェッショナル向けのモデルになると数十万円に達することも珍しくありません。用途や求める音質によって、価格帯は大きく変動します。

価格帯によって性能と特性が明確に分かれており、10,000円以下は入門レベル、10,000~30,000円は趣味の本格化に適したモデルが中心です。

30,000~50,000円がアマチュアとプロの境界線とされ、多くのユーザーに選ばれる人気ゾーン。自分のレベルや用途にあわせて選んでみてください。

ダイナミックマイクに適した用途

ダイナミックマイクは、特にライブパフォーマンスやステージでの使用がおすすめ。頑丈な構造で、落下や衝撃、湿度や温度など環境変化に強いので、現場でのハードな使用にも耐久。また、大音量環境でも音割れしにくく、ボーカルマイクとしてライブハウスやコンサート会場で広く活用されています。

また、エレキギターやベースのアンプ、ドラムのキックやスネア、サックスといった音圧の高い楽器の収音にもおすすめ。単一指向性を持つモデルが多く、目的の音源以外の音を拾いにくいため、バンド演奏のようにさまざまな音が混在する環境で使用しやすいのがポイントです。

ほかにも、特にコントローラーの操作音や、タイピング音を入れたくないゲーム実況やボイスチャットなどではダイナミックマイクがおすすめ。さらに、電源不要かつ接続が簡単なので、初心者でも扱いやすく、部屋の音響環境が整っていない自宅での録音にも向いています。

コンデンサーマイクに適した用途

By: audio-technica.co.jp

コンデンサーマイクは、スタジオレコーディングに特に適しています。高感度と広い周波数特性により、微細な音の変化まで捉えられるため、プロフェッショナルな音楽制作現場で重宝。静かな環境では繊細な音も逃さず、クリアな音質で録音可能です。

ボーカル録音においても優れた性能を発揮。歌手の息遣いやささやき声などの繊細なニュアンスも正確に捉え、表現力豊かな録音ができます。

また、アコースティックギターやピアノなど倍音が豊かな楽器の録音にも適しており、楽器本来の響きを忠実に再現できるのが魅力です。

近年ではYouTubeやポッドキャスト配信など、高音質な音声が求められる場面での需要も増加。自宅での配信環境でも、ナレーションや朗読など明瞭さが必要な用途に向いています。音質にこだわった配信をしたい場合に、クリアな音声を届けられる点が魅力です。

ダイナミックマイクのおすすめモデル

シュア(SHURE) ボーカルマイクロホン SM58

シュア(SHURE) ボーカルマイクロホン SM58 2006

50年以上、世界で愛され続けるプロフェッショナル仕様のダイナミックマイク。クラブのDJやライブでよく用いられるモデルです。

人の声を美しく引き立てる周波数特性が特徴です。中音域を強調し、クリアなボーカルサウンドを実現。さらに、内蔵の球形「ポップ・フィルタ」が息や風によるノイズを効果的に抑制し、高音質を維持します。

堅牢なメタルボディとスチールメッシュグリルを備えているのがポイント。落下や衝撃に強く、過酷なステージ環境でも安定したパフォーマンスを発揮します。

XLR接続で簡単にPAシステムと連携でき、安定した音声伝送が可能。初心者からプロまで、信頼性の高いマイクを求める方におすすめのスタンダードモデルです。

アーカーゲー(AKG) ステージ用スーパーカーディオイドダイナミック型マイクロホン D5

アーカーゲー(AKG) ステージ用スーパーカーディオイドダイナミック型マイクロホン D5 2007

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高音域が伸びて中低域に芯のある音質を実現する、ボーカル仕様のダイナミックマイク。独自の「積層バリモーション・ダイヤフラム」が透き通るようなクリアな高域と迫力ある低域を両立し、繊細な表現もしっかりと捉えます。

スーパーカーディオイド指向特性により、正面の音を確実に拾いながら左右からのノイズを効果的にカット。騒がしいステージ環境でもクリアな音質を維持します。

さらに、特許取得の「フレックス・ショックマウント」を内蔵し、ハンドリングノイズを大幅に低減しているのもポイント。最大音圧レベル156dBに耐える設計で、大音量の音源でも歪みなく収音可能。ラフな扱いにも耐える頑丈なボディも魅力です。

ロックやポップスなど幅広いジャンルのライブパフォーマンスでの使用に向いています。クリアで伸びのあるボーカルサウンドを追求する方におすすめのマイクです。

シュア(SHURE) ボーカルマイクロホン SM7dB

シュア(SHURE) ボーカルマイクロホン SM7bB 2023

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伝説的な「SM7B」の音質を受け継ぎ、音質はそのままで内蔵プリアンプを搭載したダイナミックマイクです。自然であたたかみのあるボーカルサウンドが特徴。ボーカルの質を高めたい方におすすめのモデルです。

独自設計の内蔵プリアンプにより、+48Vのファンタム電源を供給するオーディオインターフェースを揃えれば使用可能。デスク周りもすっきり整理できるほか、さまざまなXLRインターフェースに対応しています。

背面のスイッチで低域ロールオフやプレゼンスブーストを調整でき、声質や用途に合わせて音色をカスタマイズ可能。プリアンプバイパス機能も備え、状況に応じた柔軟な使用が可能です。

電磁ハムノイズを効果的に遮断する設計と内蔵の「エア・サスペンション式」ショックマウントにより、クリアで安定した録音環境を提供。カーディオイド指向性と、50~20000Hzの均一な周波数特性により、高いディテールで収音します。

コンデンサーマイクのおすすめモデル

オーディオテクニカ(audio-technica) バックエレクトレット・コンデンサー・マイクロホン AT2020

オーディオテクニカ(audio-technica) バックエレクトレット・コンデンサー・マイクロホン AT2020

エントリーモデルでありながらも、スタジオ品質の原音に忠実な収音が叶う、コスパに優れたコンデンサーマイクです。低音から高音までバランスのとれたフラットなサウンド特性を持ち、自然なスタジオクオリティの音質を実現できます。

カーディオイド指向性により正面からの音をしっかりと拾いながら周囲の不要な音を効果的に抑制。クリアな録音環境を提供します。

オンライン配信や会議、歌唱や楽器の録音まで幅広いシーンで活躍。日本特有の湿度環境でも壊れにくい設計で、長期間安定して使えます。コンパクトながら高い音響性能を備え、デスクスペースを有効活用できるのも魅力です。

スタンダードなXLR接続により、さまざまなオーディオインターフェースと組み合わせて使用できます。配信や「歌ってみた」系の動画制作、ポッドキャスト収録など、音質にこだわりたい初心者から中級者の方におすすめのマイクです。

アーカーゲー(AKG) プロフェッショナル 大型ダイアフラム コンデンサーマイクロホン C214

アーカーゲー(AKG) C214

1インチの大型ダイアフラムを搭載した、プロ仕様のコンデンサーマイク。AKGを代表する「C414 XLII」と同等のダイアフラムにより、歪みの少ない高音質を実現しています。

また、なめらかな周波数応答と高いダイナミックレンジにより、リードボーカル、アコースティックギター、パーカッションなど、幅広い楽器の本来の音色を忠実に再現。カーディオイド指向性により、目的の音源を明瞭に収録しながら周囲の不要なノイズを効果的に抑制し、クリアな録音を実現します。

「20dB減衰パッド」を内蔵し、最大入力音圧は156dBと大音量にも対応可能。選択可能な低音カットフィルターにより、空調システムや床振動などの低周波ノイズを効果的に除去します。

さらに、付属のショックマウントがハンドリングノイズを低減し、安定した録音環境を提供。プロ品質のサウンドを追求する音楽制作者やレコーディングエンジニアの方におすすめです。

ノイマン(NEUMANN) スタジオマイク TLM 102 Studio Set

ノイマン(NEUMANN) マイク TLM102

コンパクトボディに高性能を凝縮したコンデンサーマイク。ノイマンの「ラージダイアフラム・コンデンサー・カプセル」により、クリアで明瞭な音質特性を備えているのがポイントです。ボーカルやアコースティック楽器の繊細なニュアンスまで忠実に再現します。

特に6kHz以上の周波数がわずかにブーストされているのが特徴。ボーカルの存在感を際立たせながら自然な音色を保ち、プロフェッショナルなレコーディング品質を提供します。

最大入力音圧レベルは144dBで、大音量の楽器録音にも対応可能。一体型のポップスクリーンを内蔵しているため、別途ポップガードを用意する手間が省け、セッティングがシンプルになるのも魅力です。

ボーカル録音はもちろん、アコースティックギターやドラムなどさまざまな楽器の録音でも活躍。プロフェッショナルなサウンドクオリティを求める方や、ホームスタジオで自宅録音をする方におすすめのマイクです。