ドラム演奏での効果音として、軽やかな音色を奏でたい場合に重宝する「スプラッシュシンバル」。厚みや表面に施された加工によっても表現したい音質が変わるため、演奏スタイルや曲の雰囲気などに適したタイプを選ぶのがポイントです。
今回はスプラッシュシンバルの選び方やおすすめのモデルをご紹介します。各製品の特徴も解説するので、ぜひ自分に合ったスプラッシュシンバルを選ぶための参考にしてみてください。
スプラッシュシンバルとは?

By: amazon.co.jp
クラッシュ・ハイド・チャイナ・ハイハット・スプラッシュといった種類があるドラム用シンバル。そのなかでもスプラッシュシンバルは、小型で甲高い「カッシャン」という軽快で弾けるような音を表現できるのが特徴です。音の余韻(サスティン)が短く、ドラム・打楽器演奏での幅を広げるためのエフェクト音を生み出すのに有効です。
スプラッシュシンバルは、曲調が静かなシーンでのアクセントを軽く奏でたい場合などに用いられることがあります。また、カホンと呼ばれる打楽器と一緒に使用するケースも存在。カホンは手で演奏するため、スプラッシュシンバルを叩く場合もスティックではなく手で叩きます。
スプラッシュシンバルの選び方
厚みをチェック

By: amazon.co.jp
シンバルは、厚みによって奏でたい音のボリューム感が異なります。厚みが増すほど重量も大きくなり、音量が大きくなり安定感が高くなるのが特徴。基本的に、シンバルの厚みはウェイトで表記されています。シン(Thin)・ミディアムシン(Medium Thin)・ミディアム(Medium)といった表記の順で厚くなりボリューム感も増していくのがポイントです。
主に軽めのエフェクト音を出すのに用いられるスプラッシュシンバルのウェイトは、シンタイプを多く展開。メーカーによって、シンよりもさらに薄いタイプのウェイトとして「ペーパーシン(Paper Thin)」や「エクストラシン(Extra Thin)」と表記されている場合もあります。
より薄く繊細なニュアンスでエフェクト音を表現したい場合には、ペーパーシンやエクストラシンといった表記もチェックしてみてください。
ハンマリングの有無をチェック

By: amazon.co.jp
シンバルの製造工程では「ハンマリング」という、シンバル表面にハンマーで凹凸を付ける工程が存在します。ハンマリングは、職人による手作業やマシンによって行われるのが特徴。ハンマリング加工の有無により音色の深みに差が生まれます。
そして、均等にハンマリングされているタイプは明るい音が出しやすく、ランダムに施されているタイプは、より深みのある奥行きを感じる音色を奏でやすいのが特徴。音楽のジャンルや演奏する曲調など、表現したい雰囲気に応じて選ぶのがポイントです。
スプラッシュシンバルのおすすめ
ジルジャン(Zildjian) A ZILDJIAN SPLASH 8 A0210
シンバルの老舗ブランド「ジルジャン」が展開するスプラッシュシンバルです。サイズは8インチと小さく、サスティンは非常に短いのが特徴。手を使って抑えるとすぐに音が止まります。
また、均等に施されたハンマリング加工により、明るく鮮やかな音が出しやすいのもポイント。ジャズ・ポップス・ロックなど幅広いジャンルの音楽に効果的なアクセントとして使いやすいのが魅力です。
直径20.3cmとコンパクトなので持ち運びにも便利。また、ウェイトはペーパーシンと表記されており、繊細でキレのよいタッチでのドラムプレイを実現します。強調しすぎない軽めのエフェクト音で、汎用的に使えるスプラッシュシンバルを求める方におすすめのモデルです。
ジルジャン(Zildjian) A CUSTOM SPLASH 10 A20542
サイズが10インチと、スプラッシュシンバルのなかでは大きめのモデル。レスポンスが速く、長めのサスティンで、表情豊かな響きが特徴です。曲中で効果的なアクセントを使いたい場合に適したスプラッシュシンバルです。
ウェイトはペーパーシンで非常に薄いのも特徴。存在感を持ちつつも軽めで繊細なタッチの音で、幅広い曲調の雰囲気に合わせて使いやすいのもポイントです。ほどよい力強さと繊細さを持ちあわせたスプラッシュシンバルを愛用したい方におすすめします。
小出シンバル(KOIDE CYMBALS) HAND Series Splash 8 HD-8SP
日本では唯一となるシンバルメーカーが展開するモデル。ハンドパーカッショニスト用に開発された、素手で音を奏でるスプラッシュシンバルです。スティックで叩くと割れてしまう可能性があることに留意しておきましょう。コンガ・ボンゴ・カホンなどの、手で音を出す楽器との演奏でも活躍します。
また、わずかに谷間が設けられた形状により、繊細なタッチでも確かなレスポンスが得られるのも特徴。スピーディでリズミカルな曲調にも俊敏に対応します。また、同モデルは8~12インチのサイズまで幅広く展開。サスティンの長さなどで曲調に合わせて選びたい方にもおすすめのスプラッシュシンバルです。
パイステ(PAISTE) PST5N Splash 8
「ジルジャン」や「セイビアン」と並び、世界3大シンバルメーカーと称されるスイスの「パイステ」が展開するスプラッシュシンバル。2014年に現代音楽の傾向に合わせて開発しリニューアルされ、2005年の登場以来多くの支持を集めている人気シリーズです。
ブロンズ合金素材が採用されており、深みのある明るいサウンドを実現。レスポンスもよく幅広いジャンルの音楽シーンに対応しやすいのも魅力です。
ウェイトはシンで、繊細さと音量や安定感のバランスにも優れています。汎用性の高さを重視する方におすすめのスプラッシュシンバルです。
セイビアン(SABIAN) HH SPLASH 10 HH-10SP
世界3大シンバルメーカーとして称される、カナダの「セイビアン」が展開するモデル。熟練の職人によって仕上げられた逸品で、渋く味わいのある質感が魅力のスプラッシュシンバルです。
多くのランダムなハンマリング加工が施されているのも特徴。ヴィンテージ感があり、ダークで深みのある柔らかいサウンドを奏でます。また、レスポンスも速いうえ、エクストラシンの非常に薄いウェイトにより、繊細なタッチによるスムーズな表現が可能です。
10インチと大きめで、程よい長さのサスティンとのバランスにも優れています。暗めで奥行きを感じるサウンドを求める方におすすめのスプラッシュシンバルです。
セイビアン(SABIAN) AA SPLASH 10 AA-10SP
キメの細かいマシンハンマリングと、きつめにカーブを描いたアーチ形状のスプラッシュシンバル。サイズも10インチと大きめで、明るくパワフルなサウンドを奏でるのがポイントです。
また、ウェイトはエクストラシンで、キレがよく弾けるようなクラッシュ音を発するのも特徴。レスポンスも速く、スムーズで繊細なタッチでの演奏をサポートします。
幅広いジャンルにはもちろん、リズミカルでパワー感のある曲調に合わせたエフェクト音として用いるのにもおすすめのスプラッシュシンバルです。
マイネル(MEINL) Classics Custom Dark Splash 10 CC10DAS

バラエティ豊かなシンバルなどの打楽器を取り扱う、ドイツの老舗ブランド「マイネル」が展開するスプラッシュシンバル。錫を多く含む「B20ブロンズ合金」素材の採用により、パワフルでシャープな音を生み出します。
ハンマリングはコンピュータ制御で精密に施されており、ダークかつあたたかさを感じるサウンドを奏でるのも特徴。明るくアグレッシブでありながら、落ち着きのあるトーンを持ち合わせます。
ロックやヘヴィーメタルなどハードなシーンでのアクセントで用いるのにおすすめのスプラッシュシンバルです。
マイネル(MEINL) Byzance Brilliant Splash 6 B6S-B

最大6回の研磨によって、美しく輝く鏡面のような質感に仕上げられたスプラッシュシンバル。ライブやステージなどのドラム演奏シーンで、かっこよく使いこなしたい方にもおすすめのおしゃれなモデルです。
素材には「B20ブロンズ合金」を採用。さらに、手作業によってレイジングやハンマリング加工が施されており、明るく鮮やかなサウンドを実現します。
フュージョンやファンク、R&Bなどリッチできらびやかなイメージのアクセントを求める方に適したスプラッシュシンバルです。
スプラッシュシンバルは、厚みや表面の加工などにより表現できる音も異なります。そのため、各製品に備わっている特徴をチェックし、用いる音楽ジャンルや曲調をはじめ、演奏スタイルに適したタイプを選ぶのがポイントです。今回の記事を参考に、ぜひ自分に合ったスプラッシュシンバルを選ぶための参考にしてみてください。