長きにわたり、包丁などの刃物文化を支えてきた「天然砥石」。現代では人造砥石の使用が主流となっているものの、天然砥石ならではの長所も多く備えており、種類や特徴などを把握したうえで用途に応じて使い分けるのがポイントです。
そこで今回は、天然砥石について解説するとともに、おすすめの製品もご紹介します。各製品の特徴も解説するので、ぜひお気に入りの天然砥石を見つけるための参考にしてみてください。
※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。
天然砥石とは?
天然砥石とは、文字通り自然環境から採取された石が使われた天然の砥石のことです。刃物などの金属を研ぐための道具として使用するケースが多い砥石ですが、日本では鉄が伝来したとされている弥生期以前から、石器などを加工するために用いられてきました。
現在では、採掘量の減少や人造砥石のシェア拡大に伴い、天然砥石の需要は減少傾向にあります。しかし、自然素材を用いた独特の優しく美しい仕上がりに魅了され、天然砥石にこだわりを持って愛用している方も少なくありません。
天然砥石と人造砥石の違い
自然から採取された素材を用いた天然砥石に対し、人造砥石は主に炭化ケイ素・酸化アルミニウム・ダイヤモンドといった鉱物の砥粒を人工的に固めた砥石です。天然砥石の砥粒に使われているのは石英という鉱物で、水晶やメノウとも呼ばれ数千年前もの古代より宝飾品に用いられてきました。
それぞれの鉱物を使用した、砥石としての性能的な違いには硬度が挙げられます。硬度の指標であるモース硬度の修正版である修正モース硬度の数値では、石英は8、酸化アルミニウムは12、炭化ケイ素は13、ダイヤモンドは15。数値が低いほど軟らかく、高いほど硬いということです。
修正モース硬度の数値から、天然砥石は比較的軟らかく、人造砥石は硬い鉱物を使用しているのがわかります。硬めの人造砥石は幅広い材質の刃物が研ぎやすい一方、軟らかめの天然砥石は、形を整えやすくきれいに仕上げやすいのが特徴です。
天然砥石の種類
荒砥石
削る性能が高く、刃先の形状を修正する場合などに使用されます。主に刃が大きく欠けたときの修復で使われる砥石で、刃の減りも早いため、基本的には通常でのメンテナンスに用いるのには適していません。
そのため、刃物を専門的に扱う職人の方が製造された包丁の刃付けを行ったり、刃こぼれなどで形を変更したりする際に使用されるケースが多い種類です。
中砥石
包丁やナイフなどのメンテナンスで、一般的に使用される頻度の高い種類が中砥石。家庭用にも多く使用されており、日常的に使っている刃物の切れ味が落ちてきた際の研ぎ直しに適した種類です。
刃先を研いで微調整を行ったり、荒砥石で研いだ刃物に残っている傷を消すために使ったりするのにも用いられています。仕上がりのクオリティに強いこだわりがなく、刃物の切れ味を通常の状態に保つために使いたい方におすすめの砥石です。
仕上げ砥石
最終的な仕上げに使われる砥石。削る性能は低いものの、細かい粒度により研磨できます。中砥石を使って研いだ小さな傷を消し、美しく仕上げられるのが特徴。また、刃先がより鋭く研げるので、切れ味を一層よくできます。
さらに、仕上げ砥石を使って研ぐことにより、高い精度で刃先が仕上がり、強度や耐久性の向上に繋がるのもポイント。鋭い切れ味で刃持ちがよくなる点もメリットです。
天然砥石の選び方
番手をチェック
砥石は粒度の粗さが「#」記号のあとに付いた数値の番手によって表記されています。番手は、数値が小さいモノほど粒度は粗く削る性能が高くなり、数値が大きくなるほど削る性能が低くなる半面、粒度は細かく仕上がりを滑らかにできるのが特徴です。
基本的には、荒砥石で#100~600前後・中砥石で#1000前後・仕上げ砥石で#3000以上が大まかな目安。種類が同じでも粒度の粗さが違うので、番手の数値をチェックして、研ぐ刃物の材質や求める仕上がりの精度に合ったタイプを選ぶのがポイントです。
価格をチェック
大量生産が可能で価格も安い製品が多い人造砥石とは異なり、天然砥石は希少価値の高さもあり比較的価格が高めのモノが多く展開されています。ただし、製品によって価格も幅広いため、使用頻度やどの程度の仕上がりにしたいかで選びましょう。
使用する機会が少なく、高いレベルの仕上がりを求めないのであれば、安価なタイプでも充分。一方、日常でメンテナンスをこまめに行い、高い切れ味を維持したい場合には、価格が高く品質にも優れた砥石を選ぶのがおすすめです。
天然砥石のおすすめ
ピーピグ(Pipig) Tocyhf 天然砥石
山から採取された稀少価値が高い青砥石を用いた天然砥石。吸水性に優れており、水に浸しておく必要もないため、使用前に水洗いして濡らすだけで刃が研げます。軟らかい材質で研ぎ汁の出がよいのもポイント。研ぎやすくスッキリと仕上げられるのが魅力です。
また、粒度は#4000で、セラミック製以外の家庭用包丁をはじめ幅広い種類の刃物をメンテナンスするのに使えます。サイズは、幅5×長さ20×厚さ2.5cmとコンパクトなため、狭いスペースでも収納しやすくて便利。汎用性と利便性に優れた天然砥石としておすすめの製品です。
ファーステック(FASTEK) ブラックハードアルカンサス 極細目 BAP-14-T
アメリカのアーカンソー州で採取されたオイルストーンを採用した天然砥石。硬質で高密度な材質で、包丁やナイフなどの精密な研磨が可能です。粒度は#1200以上で程よく削りやすく、悪くなった切れ味を取り戻したい場合の使用にも適しています。
サイズは、幅25×長さ100×厚さ9.5~12.7mmとコンパクトで収納にも便利。また、油が浸透しやすい微孔を備えたオイルストーンなので、油を使用して研ぐのにもおすすめの天然砥石です。
フチオカ(FUCHIOKA) 亀印 天然合砥石 正本山合砥 100型 プラ台付
高品質な砥石の鉱石が産出される有数の名所である、京都で採取された天然砥石。月間で100丁程度という採掘量の、非常に希少価値が高い原石を用いた砥石です。天然素材のため誤差があるものの、粒度は#3000以上で仕上げ砥石として使えます。
切れ味を保つための日常的なメンテナンスから、しっかりとした仕上げにも使える汎用性の高さが特徴。また、プラスチック製の台座が設置されているため、刃物を研ぐときの安定感にも優れています。高品質で利便性も高いうえ価格が安いのも魅力で、手軽に天然砥石を愛用したい方にもおすすめです。
フチオカ(FUCHIOKA) 亀印 天然砥石 雲仙砥 K-0980
石材を使用している天然砥石。中仕上げから仕上げまで対応する万能タイプです。普段使っている刃物の切れ味が落ちてきたときの研ぎ直しに適しています。
また、比較的リーズナブルな価格なのも魅力。購入しやすいため、初めて天然砥石を使用する方や、予備用として複数所有したい方にもおすすめです。
フチオカ(FUCHIOKA) 亀印 天然合砥石 80型 箱入
京都で採掘される天然石を使用した天然砥石。3000番以上の粒度で目が細かいため、きめの細かい滑らかな刃先に仕上げられるのが魅力です。
採掘量の少ない素材なので、ひと月に100丁程度しか作れないと謳われている希少なアイテム。箱入りなので、料理好きの方や職人へのプレゼントとしてもおすすめの製品です。
モノパ!(monopa!) アルカンサス砥石
高密度で高高度なアルカンサスストーンを採用した天然砥石。粒度は#6000ときめ細かく、刃物をはじめ時計や精密機器などの幅広い材質の仕上げ用の砥石として使えます。
また、サイズが幅2.5×長さ10×厚さ1.3cmと非常にコンパクトで、小型のナイフやハサミなどの刃物が研ぎやすいのも特徴です。幅をとりにくいため収納しやすく、携帯しながら使用する場合にも便利。アウトドアシーンなどでも使える、持ち運びに便利なおすすめの天然砥石です。
与板利器(Yoita) 天然砥石 天草砥 T-12
堆積岩・凝灰岩を使用した中研ぎ用の天然砥石。粒度は500番と少し目が粗いため、高い研削力を備えています。
刃こぼれしたときの荒砥としても使用可能。一般的な包丁だけでなく、鎌・ナタ・厚刃物などにも使用できます。汎用性の高い天然砥石が欲しい方におすすめの製品です。
Hilitand 天然砥石 排水ベース付き
素材に天然グリーンジェイドを採用した天然砥石。きれいなグリーンカラーが目を引く、美しい見た目が魅力です。粒度は10000番で、細かく滑らかな仕様。小さな傷を消して美しく仕上げたい方に適しています。刃先をより鋭く仕上げられるため、切れ味の落ちた包丁を復活させたい方にもおすすめの製品です。
また、排水ベースが付属しているのもポイント。砥石面に水を流しながらでもスムーズに研磨作業を行えます。滑り止めを備えているので、研ぐ際に砥石を安定させ、安全に使用できるのもメリット。効率的に刃物を研げる天然砥石が欲しい方におすすめです。
bilaida 天然砥石 2枚セット
荒砥石と中砥石がセットになった天然砥石。粒度は荒砥石が600番、中砥石が3000番です。刃が大きく欠けたときの修復から、切れ味が落ちてきた包丁の研ぎ直しまで、さまざまな状態の刃物に対応します。
軟らかく、水の吸い込みがよいのも魅力。砥粒が含まれている研ぎ汁も出やすく、研磨力が上がるので、しっかりと研げます
素材にそれぞれ青砥石と青岩石を使用しているのもポイント。水に蒸らすときれいな青色に変わります。おしゃれな天然砥石が欲しい方にもおすすめです。
松永トイシ(Matsunaga-toishi) 天然砥石 天草砥石
天草砥石を採用した天然砥石です。美しい模様が入っており、天然物の風合いを楽しめるのが特徴。見た目を重視する方にもおすすめの製品です。
粒度は500番の中仕上げ用で、切れ味が落ちてきた包丁の研ぎ直しに使えます。 サイズは長さ21.3x幅6.2x高さ6.2cmで、大きめの包丁にも使用可能。鎌・ナタ・厚刃物などに対応するため、複数の刃物で使いたい方にもおすすめです。
Zhi Jin 天然砥石 砥石台セット
粒度15000番の仕上げ用天然砥石。高品質な素材を使用しており、研磨効率が高いのが特徴です。研磨後は、表面に光沢のある状態に仕上げられます。研磨時間を短縮できる天然砥石が欲しい方におすすめ。砥石台がセットになっているのもポイントです。
また、耐久性に優れているので、繰り返し使用しても研磨効率が落ちにくいのもメリット。長期的に愛用したい方にもおすすめの製品です。
Belgischer Brocken 天然砥石 両面砥石
砥石専門のドイツメーカーが展開している天然砥石です。中砥石と仕上げ砥石を備えた両面仕様。中砥石にはフランス産の天然石、仕上げ砥石にはベルギー産の天然石を使用しています。
粒度は中砥石が1200番、仕上げ砥石が6000番のため、ひとつで刃付けから仕上げまで行える万能モデルです。仕上げ砥石は滑らかな形状のガーネットを含んでいるため、きれいに仕上げられます。
縦15×横4×高さ2.2cmの小型タイプのため、ペティナイフや小型ナイフに使用しやすいのもポイント。使い勝手のよい天然砥石が欲しい方におすすめの製品です。
長い歴史と文化のある天然砥石は、主流となっている人造砥石にはない魅力があり、繊細な仕上がりを求める方におすすめの砥石です。産地や種類などによっても性能が異なるため、各製品の特徴をチェックして用途に適した天然砥石を選びましょう。今回の記事を参考に、ぜひ自分に合った天然砥石を見つけてみてください。