長きにわたり、包丁などの刃物文化を支えてきた「天然砥石」。現代では人造砥石の使用が主流となっているものの、天然砥石ならではの長所も多く備えており、種類や特徴などを把握したうえで用途に応じて使い分けるのがポイントです。

そこで今回は、天然砥石について解説するとともに、おすすめの製品もご紹介します。各製品の特徴も解説するので、ぜひお気に入りの天然砥石を見つけるための参考にしてみてください。

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天然砥石とは?

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天然砥石とは、文字通り自然環境から採取された石が使われた天然の砥石のことです。刃物などの金属を研ぐための道具として使用するケースが多い砥石ですが、日本では鉄が伝来したとされている弥生期以前から、石器などを加工するために用いられてきました。

現在では、採掘量の減少や人造砥石のシェア拡大に伴い、天然砥石の需要は減少傾向にあります。しかし、自然素材を用いた独特の優しく美しい仕上がりに魅了され、天然砥石にこだわりを持って愛用している方も少なくありません。

天然砥石と人造砥石の違い

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自然から採取された素材を用いた天然砥石に対し、人造砥石は主に炭化ケイ素・酸化アルミニウム・ダイヤモンドといった鉱物の砥粒を人工的に固めた砥石です。天然砥石の砥粒に使われているのは石英という鉱物で、水晶やメノウとも呼ばれ数千年前もの古代より宝飾品に用いられてきました。

それぞれの鉱物を使用した、砥石としての性能的な違いには硬度が挙げられます。硬度の指標であるモース硬度の修正版である修正モース硬度の数値では、石英は8、酸化アルミニウムは12、炭化ケイ素は13、ダイヤモンドは15。数値が低いほど軟らかく、高いほど硬いということです。

修正モース硬度の数値から、天然砥石は比較的軟らかく、人造砥石は硬い鉱物を使用しているのがわかります。硬めの人造砥石は幅広い材質の刃物が研ぎやすい一方、軟らかめの天然砥石は、形を整えやすくきれいに仕上げやすいのが特徴です。

天然砥石の種類

荒砥石

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削る性能が高く、刃先の形状を修正する場合などに使用されます。主に刃が大きく欠けたときの修復で使われる砥石で、刃の減りも早いため、基本的には通常でのメンテナンスに用いるのには適していません。

そのため、刃物を専門的に扱う職人の方が製造された包丁の刃付けを行ったり、刃こぼれなどで形を変更したりする際に使用されるケースが多い種類です。

中砥石

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包丁やナイフなどのメンテナンスで、一般的に使用される頻度の高い種類が中砥石。家庭用にも多く使用されており、日常的に使っている刃物の切れ味が落ちてきた際の研ぎ直しに適した種類です。

刃先を研いで微調整を行ったり、荒砥石で研いだ刃物に残っている傷を消すために使ったりするのにも用いられています。仕上がりのクオリティに強いこだわりがなく、刃物の切れ味を通常の状態に保つために使いたい方におすすめの砥石です。

仕上げ砥石

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最終的な仕上げに使われる砥石。削る性能は低いものの、細かい粒度により研磨できます。中砥石を使って研いだ小さな傷を消し、美しく仕上げられるのが特徴。また、刃先がより鋭く研げるので、切れ味を一層よくできます。

さらに、仕上げ砥石を使って研ぐことにより、高い精度で刃先が仕上がり、強度や耐久性の向上に繋がるのもポイント。鋭い切れ味で刃持ちがよくなる点もメリットです。

天然砥石の選び方

番手をチェック

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砥石は粒度の粗さが「#」記号のあとに付いた数値の番手によって表記されています。番手は、数値が小さいモノほど粒度は粗く削る性能が高くなり、数値が大きくなるほど削る性能が低くなる半面、粒度は細かく仕上がりを滑らかにできるのが特徴です。

基本的には、荒砥石で#100~600前後・中砥石で#1000前後・仕上げ砥石で#3000以上が大まかな目安。種類が同じでも粒度の粗さが違うので、番手の数値をチェックして、研ぐ刃物の材質や求める仕上がりの精度に合ったタイプを選ぶのがポイントです。

価格をチェック

大量生産が可能で価格も安い製品が多い人造砥石とは異なり、天然砥石は希少価値の高さもあり比較的価格が高めのモノが多く展開されています。ただし、製品によって価格も幅広いため、使用頻度やどの程度の仕上がりにしたいかで選びましょう。

使用する機会が少なく、高いレベルの仕上がりを求めないのであれば、安価なタイプでも充分。一方、日常でメンテナンスをこまめに行い、高い切れ味を維持したい場合には、価格が高く品質にも優れた砥石を選ぶのがおすすめです。

天然砥石のおすすめ

小林商事 天然本荒砥石 平島砥 10型

小林商事 天然本荒砥石 平島砥 10型
刃こぼれや錆びついた刃のメンテナスにぴったり

平島砥を採用した荒砥石。粒度は#60~120程度で、非常に粗く削る性能が高いため、刃こぼれや錆びついた刃の修正などに使える砥石です。打ち刃物やステンレス刃物などの包丁のほか、鎌や刈り込みバサミなどのメンテナンスを行うのに適しています。

価格は天然砥石のなかでは比較的安いので、家庭用として手軽に使いやすいのもポイント。家庭で刃の修正ができる荒砥石を探している方におすすめの天然砥石です。

ピーピグ(Pipig) Tocyhf 天然砥石

ピーピグ(Pipig) Tocyhf 天然砥石
濡らすだけで刃が研げて収納もしやすい砥石

山から採取された稀少価値が高い青砥石を用いた天然砥石。吸水性に優れており、水に浸しておく必要もないため、使用前に水洗いして濡らすだけで刃が研げます。軟らかい材質で研ぎ汁の出がよいのもポイント。研ぎやすくスッキリと仕上げられるのが魅力です。

また、粒度は#4000で、セラミック製以外の家庭用包丁をはじめ幅広い種類の刃物をメンテナンスするのに使えます。サイズは、幅5×長さ20×厚さ2.5cmとコンパクトなため、狭いスペースでも収納しやすくて便利。汎用性と利便性に優れた天然砥石としておすすめの製品です。

ファーステック(FASTEK) ブラックハードアルカンサス 極細目 BAP-14-T

ファーステック(FASTEK) ブラックハードアルカンサス 極細目 BAP-14-T
悪くなった切れ味を取り戻すのにおすすめ

アメリカのアーカンソー州で採取されたオイルストーンを採用した天然砥石。硬質で高密度な材質で、包丁やナイフなどの精密な研磨が可能です。粒度は#1200以上で程よく削りやすく、悪くなった切れ味を取り戻したい場合の使用にも適しています。

サイズは、幅25×長さ100×厚さ9.5~12.7mmとコンパクトで収納にも便利。また、油が浸透しやすい微孔を備えたオイルストーンなので、油を使用して研ぐのにもおすすめの天然砥石です。

刃物フルタ(HAMONO FURUTA) 馬路 巣板

刃物フルタ(HAMONO FURUTA) 馬路 巣板
ガタツキが少なく研ぎやすい砥石

京都の丹波地方に位置する山から採取された、馬路産の天然砥石。軟らかい材質で、研ぎ汁の出も多く心地よく滑らかに研ぎやすいのが特徴です。サイズは、約幅4.3×長さ20.1×厚さ4.3cm。細長い形状ですが厚みがあるため、ガタツキも少なく安定感に優れています。

表面にあるスジやカケ崩れなども、長い時間をかけて地球に育まれた天然素材の魅力。研ぎやすさはもちろん、自然から採取された巣板層の質感にこだわりたい方にもおすすめの天然砥石です。

刃物フルタ(HAMONO FURUTA) 大平 からす

刃物フルタ(HAMONO FURUTA) 大平 からす
長持ちしやすく幅広い種類の刃物に対応

京都でもレベルの高い鉱石の採取地である、大平産の天然砥石。表面から底面にかけて自然がもたらしたカラス層が散りばめられているのが特徴です。硬めの材質で慣れるまでは研ぐのが難しい面はあるものの、滑りやすくスムーズに研げます。

また、硬質ながら研ぎ汁の量が多く粘り気もあるため、比較的幅広い種類の刃物が研ぎやすいのもポイントです。砥石が減りにくいので、長持ちしやすいのも魅力。サイズは、約幅7.8×長さ21×厚さ2.2cmと、幅広の形状で安定感を求める方にもおすすめの天然砥石です。

フチオカ(FUCHIOKA) 亀印 天然合砥石 正本山合砥 100型 プラ台付

フチオカ(FUCHIOKA) 亀印 天然合砥石 正本山合砥 100型 プラ台付
台座付きで刃物を研ぐときの安定感に優れた砥石

高品質な砥石の鉱石が産出される有数の名所である、京都で採取された天然砥石。月間で100丁程度という採掘量の、非常に希少価値が高い原石を用いた砥石です。天然素材のため誤差があるものの、粒度は#3000以上で仕上げ砥石として使えます。

切れ味を保つための日常的なメンテナンスから、しっかりとした仕上げにも使える汎用性の高さが特徴。また、プラスチック製の台座が設置されているため、刃物を研ぐときの安定感にも優れています。高品質で利便性も高いうえ価格が安いのも魅力で、手軽に天然砥石を愛用したい方にもおすすめです。

モノパ!(monopa!) アルカンサス砥石

モノパ!(monopa!) アルカンサス砥石
コンパクトサイズで小型の刃物におすすめ

高密度で高高度なアルカンサスストーンを採用した天然砥石。粒度は#6000ときめ細かく、刃物をはじめ時計や精密機器などの幅広い材質の仕上げ用の砥石として使えます。

また、サイズが幅2.5×長さ10×厚さ1.3cmと非常にコンパクトで、小型のナイフやハサミなどの刃物が研ぎやすいのも特徴です。幅をとりにくいため収納しやすく、携帯しながら使用する場合にも便利。アウトドアシーンなどでも使える、持ち運びに便利なおすすめの天然砥石です。