音楽を空間に響かせて聴く道具として、必要不可欠なのがスピーカー。レコードの登場以来、100年以上の歴史があります。目の前で本当に演奏が展開されているようなリアリティーは、スピーカーならでは。イヤホン、ヘッドホンでは得難い世界です。

ただ、スピーカー選びには、多少なりとも初心者には難しい面があるのも事実。今回は、ステレオ再生用(2本使用)向けの、知っておきたいスピーカーの選び方とおすすめ機を紹介します。音楽鑑賞の醍醐味を堪能しましょう。

スピーカーの基礎知識
インピーダンス

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電気抵抗の大きさを表す数値で、単位はΩ(オーム)です。スピーカーではこの値が小さいと、大きな電流が流れやすくなります。つまり、アンプの出力が大きくなるということです。

一般的に、インピーダンスが低いほど大出力を入力しやすいですが、アンプへの負担は増加します。多くのスピーカーは4~8Ωの範囲です。選ぶ際に注意しなければいけないのが4Ωのスピーカー。安価なアンプやAVアンプの一部では、4Ωに対応しません。

非対応のアンプに4Ωのスピーカーを使うと、壊れる場合もあるので、注意してください。

スピーカーの基礎知識
出力音圧レベル

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スピーカーにアンプから入力される電力を、音に変換する効率が出力音圧レベル。能率とも言います。標準的な数値は、85dB~90dB程度です。この数値が高いほど、少ない出力で大きな音を出せます。

具体的には、3dB下がると同じ大きさの音を出すのに、2倍の出力がかかる原理です。大きなスピーカーほど低そうな気がしますが、実際は逆。太鼓と同じです(大きな太鼓ほど軽い力で大きな音が出ます)。

小さなスピーカーで、より低い音を出そうとするほど、能率が犠牲になります。そのため、高性能な小型スピーカーはその代償としてかなり能率が低いです(80dB程度)。

選び方としては、大きな部屋で大音量を出したいなら、85dB以上のスピーカーが最適。低能率スピーカーには、50W以上のアンプを使うのをおすすめします。デスクトップでの近接聴取なら、あまり気にすることはありません。

スピーカーの基礎知識
ユニット構成

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大抵のスピーカーは、音が出る部分=ユニットが複数あります。これは、担当音域を分けて出音するのが目的。人間の可聴帯域(20Hz-20kHz)を1つのユニットで歪みなく再生するのは困難だからです。一般的には、2、3の帯域に分けます。

細かく分けるほど、帯域が重なる部分(クロスオーバー部)でのつながりの不自然さが生じるのが弱点。また、出音場所の分散によって、定位(音の位置情報)も悪くなります。

これらの弱点を嫌い、あえて1個で再生するフルレンジスピーカーもありますよ。音域は狭いですが、自然な音質と定位のよさは、複数ユニット機には得難い魅力です。選び方は個人の好みによりますが、主流は複数ユニットタイプであるのが実情。

スピーカーの選び方

大きさ、基本形状での選び方

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スピーカーは、基本的に箱型。その形状と大きさにより、大きく3つに分けられます。

1つ目は、ブックシェルフ型。本棚に入る程度のスピーカーという意味です。幅20cmくらいまで、高さは30cmくらいまでの長方体。

いわゆる小型スピーカーで、デスクトップでの近接試聴にも向いています。置台を使って、ユニットを耳の高さに持ってくるのが基本の使い方。低音再生能力と能率が低いですが、音の出所が小さい分、緻密で立体感に優れた再生が持ち味です。

2つ目はフロア型。床に直置きする中型以上のタイプを指します。ブックシェルフが大きくなったような長方体が基本の形です。場所を取りますが、低音側はワイドレンジ。能率も高いです。

3つ目に、フロア型の中でも縦長の棒状に近いのがトールボーイ型。小型スピーカー並みの置き場所の自由さが魅力です。フロア型のレンジと能率を備えた、いいとこ取りのタイプとして、近年人気です。

構成ユニットが多いと、近くで聴いたときに定位が悪くなるのが弱点なので注意しましょう。

再生周波数範囲(ハイレゾ対応の有無)での選び方

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スピーカーを選ぶとき、インピーダンス、能率と並んで重要なのが再生周波数範囲。スピーカーによってかなり違うのが実情です。

低音側は、大きさで大体想像がつきます。小型機ではせいぜい40Hzまで。これがトールボーイ型だと、大体30Hz台、もっと大きいと20Hz台まで下がります。ピアノの最低音(25Hz)を再生するのはかなり難しいことがわかりますね。

実際には、コントラバスの最低音41.2Hzまであれば、オーケストラ再生は十分。低音専用のスピーカーであるサブウーファーを追加すれば、容易に低音レンジを拡大できます。主たるスピーカーで低音を追求するのは、ほどほどにするのが一般的です。

最近話題のハイレゾ音源への対応は、高域40kHz再生可能が要件。ハイレゾ音源は、可聴帯域内(20kHz以下)の情報量の拡大も含んでいます。対応していなくても、ハイレゾ音源を聴けないわけでも、違いを聴き取れないわけでもありません。

それでも実際に超高域が再生されているかにこだわるなら、こちらもチェックすべき項目です。

エンクロージャー素材、仕上げ、形状での選び方

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スピーカーは、筐体(エンクロージャー)の素材の響きも加わって鳴っています。そのような点では、楽器のようなもの。音質的に優れた素材であることが大事です。大体のものは木材を使用しています。

安価機では、MDFといった成型材が多く、高級機では無垢材が多いです。表面がピアノや木目などの仕上げは、見た目にも音質にも影響します。

なお、音響上の理想では、スピーカーは真四角よりも台形や湾曲していた形の方がいいんです。そのため、湾曲処理した木材を使用するメーカーもあります。ほかにも、金属や樹脂を使った湾曲、球形エンクロージャーを使用したものもありますよ。

なお、エンクロージャーに穴を空けて、そこから低音を放射するものをバスレフ型と呼びます。密閉するのが密閉型です。低音の量感を増やしやすいため、バスレフ型が主流。一方、密閉型は低音の質感が高いというメリットがあります。

おすすめのスピーカー5選

ソニー(SONY) 3ウェイ・スピーカーシステム SS-CS5

商品価格 ¥ 18,069

お手頃価格で高性能なブックシェルフ型スピーカーです。バスレフ型の3ウェイ3スピーカー構成。一般的な高域用のツイーターに加えて、超高域を再生するスーパーツイーターを加えているのが特徴です。

これにより、ハイレゾ対応50kHz再生の高域特性と、広がりのある表現力を実現しています。87dBと小型機にしては鳴らしやすいスペックも魅力。何より、ソニーブランドのプレミアム感がこの価格で手に入るのも驚きです。低音側は53Hzと控えめ。

低音を充実させたいのなら、同社のサブウーファー・SA-CS9との組み合わせがおすすめです。選び方としては、ハイレゾ対応をリーズナブルに狙いたい方におすすめ。

ヤマハ(YAMAHA) フロア型ピュアオーディオスピーカー ハイレゾ音源対応 NS-F500

商品価格 ¥ 32,680

ピアノ仕上げが美しいトールボーイ型スピーカー。バスレフ型の3ウェイ3スピーカー構成です。専用設計の新型A-PMDウーファー、新型DC-ダイヤフラム方式ドームツイーターを搭載。

それにより、40Hz~100KHzというハイレゾ対応ワイドレンジ再生を実現しています。フルオケからハイレゾまで、全て再生可能です。音を汚す定在波と回折を防ぐための、平行面を少なくした台形デザインも特徴。

音響上のメリットと、スタイリッシュなインテリア性を両立しています。ヤマハのピアノと同様の表面仕上げは美麗です。もちろん、音にも効果的。選び方として、ピアノをメインに聴く方にも大いにおすすめです。

ジェイビーエル(JBL) フロアスタンディング・スピーカー S4700

商品価格 ¥ 466,560

堂々たる大型フロア型スピーカーです。ジェイビーエルは、劇場用やスタジオ用など業務用を中心に、本格的なフロア型の代名詞機的存在。大口径38cmウーファーもジェイビーエルの象徴です。幅50cm、高さ約1mの外観は壮観。

大型機でなければ得られない風圧を感じるような低音と、等身大で迫ってくるような演奏家の有様は圧巻。伝統のコンプレッション・ドライバーとホーンによる目の覚めるような高音も見事。これぞオーディオの醍醐味、ロマンです。

置き場所から使いこなしまで、相応の覚悟と技量を要しますが、挑戦したい方にはおすすめ。

オンキヨー(Onkyo) スピーカー D-77NE

商品価格 ¥ 289,800

かつて隆盛を誇った、中型ブックシェルフ機の最新版です。1980年代は、オーディオブーム時でした。オンキヨーはじめ国内メーカーはこぞって、30cmウーファーを備えた3ウェイ・フロア型機を発売。本機はその流れを汲む、なんと11代目の機種です。

アルミマグネシウム合金ドームと、バイオクロスコーンを組み合わせた、複合型コンビネーションツイーター。これを搭載することで、50kHzもの高域再生対応を実現しています。往年の豊かなスケール感に、現代的な高域の伸びと緻密な表現力が加わりました。

当時を知る方にも、これからフロア型に挑戦したい方にもおすすめです。

イクリプス(ECLIPSE) 8cm口径フルレンジスピーカー TD508MK3

商品価格 ¥ 57,000

独特な卵型球形エンクロージャーに、8cmフルレンジ1発という個性的なスピーカー。いずれも、独自のタイムドメイン理論に基づく理想を追求した結果です。従来型のスピーカーの欠点への、アンチテーゼとしての存在でもあります。

生音の発音原理に着目し、たどり着いた1つの回答です。生楽器、生声さながらの音の立ち上がりの自然さは、他のスピーカーを圧倒。そこに人がいるような錯覚を覚えます。立体感も特筆もの。ミュージシャン、録音関係者に愛用者が多いのも頷けます。

しかも、52Hz~27kHzと、フルレンジでは驚異的なワイドレンジも実現。欲張らなければ低音も十分聴こえます。82dBという低能率がその代償。大入力もできないので、比較的近くで聴いて生かしたい逸品です。

一味ちがうスピーカーの選び方としてもおすすめ。