読むことで物語の世界に没頭できる「小説」。しかし、ひとくちに小説といっても、世に出ている作品はごまんとあります。ジャンルも恋愛・ミステリー・ホラー・SF・ファンタジー・歴史・時代などさまざま。一体どんな作品を選んだらよいか、悩む方が多いのではないでしょうか。

そこで今回は、小説のおすすめ人気作品をジャンル別にご紹介します。何度も重版されている人気作品もピックアップしているので、ぜひチェックしてみてください。

新刊小説のおすすめ作品

夢をかなえるゾウ0(ゼロ)

文響社 著者:水野敬也

夢を叶えたい主人公が、ゾウの頭を持ち関西弁で話す神様・ガネーシャの課題に挑む自己啓発小説。ドラマ化もされ、累計460万部を突破しているベストセラーシリーズ待望の新作です。

「夢は本当に必要なのか?」を説き明かす、シリーズの原点ともされる本作品。上司のパワハラに苦しむ平凡な会社員の前に現れたガネーシャは、“お前を宇宙一の偉人に育てる”と宣言します。しかし、彼には叶えたい夢がなかったのです…。

バクや、ガネーシャの父・シヴァ神など新しいキャラクターが登場するのもポイント。エンターテインメント性も高く、自己啓発本を初めて読む方にもおすすめです。

夜に星を放つ

文藝春秋 著者:窪美澄

2022年7月に直木賞を受賞した話題の新刊小説。かけがえのない人間関係を失い傷ついた人々が、再び誰かと心を通わせられるのかを問いかけた、5編の短編集です。

収録作品のひとつ『真夜中のアボカド』では、コロナ渦に婚活アプリで出会った恋人との関係や、30歳を前に亡くなった双子の妹の彼氏との交流を通じ、人間同士が別れる哀しみを描いています。

近年の社会現象や用語が出てくるのがポイントです。少し切ないながらも、心あたたまる作品。人間関係を見つめなおしたい方におすすめです。

紙の梟 ハーシュソサエティ

文藝春秋 著者:貫井徳郎

人間1人を殺すと死刑になる世界を描いた、極限のミステリー小説です。着手から10年以上といわれる、貫井徳郎衝撃の最新作。5編からなる短編集です。

一度道を踏み外すと、二度と普通の生活を送れなくなるのではないかという緊張感と、過剰なまでの「正しさ」を要求される社会。心の自由を奪っていく社会のいびつさを拡大し、白日のもとにさらす物語とされています。

本作品で貫井徳郎が描いた、「厳しい社会」が身近に迫ってくるような恐怖を味わえるのがポイント。社会問題を見つめなおしたい方におすすめのミステリーです。

ギフテッド

文藝春秋 著者:鈴木涼美

異色の経歴を持つ鈴木涼美の、衝撃的なデビュー中編小説。「夜の街」の住人たちをリアルに、端正な文章で描き、“新世代の日本文学が誕生した”と謳われています。芥川賞にノミネートされました。

主人公は、歓楽街の片隅に暮らす、ホステスの「私」。秋が本格的に深まる少し前、病に胃を侵された母の“あと一編だけ、詩をかき上げたいの”という願いを聞いて引き取り、看病し始めます。

シングルの母は私を育てるかたわらで、詩集を数冊出しますが、成功を収めることはありませんでした。死の匂いが濃厚に立ち込めるなか、私の脳裏には、少し前に自殺した女友達のことがよぎるのです…。

私と母の微妙な関係性や、人々の描写が淡々と描かれているのがポイント。新しい純文学作品が気になる方におすすめです。

蹴れ、彦五郎

祥伝社 著者:今村翔吾

直木賞作家・今村翔吾のすごみにあふれた、歴史短編小説。表題作は、戦国武将・今川氏真の人生を描いた短編です。伊豆文学賞の小説・随筆・紀行文部門最優秀賞を受賞しています。

今川義元の嫡男・今川彦五郎氏真。彼は桶狭間での父の急死を受けて、駿河今川氏の当主となりました。しかし、彼の落日はすぐそこにあり…。

ほかにも、小田原征伐で活躍した北条氏規の物語や、武田信玄が廃嫡した武田義信の苦悩を描いた物語など、さまざまな武将の物語を描いた珠玉の8編を収録しています。マイナーな歴史の人物の物語を読みたい方におすすめです。

今夜、世界からこの涙が消えても

KADOKAWA 著者:一条岬

世界で50万人が涙したと謳われており、2022年に映画化もされた小説『今夜、世界からこの恋が消えても』待望の続編。前作で鍵を握る登場人物・綿矢泉を中心に「もうひとつの切ない恋」を描いたスピンオフ作品です。

“綿矢先輩って大恋愛とかしたことなさそうですよね”“君が知らないだけだよ”という会話から始まった、勢い任せの告白。泉は、“私を本気で好きにならないこと”を条件に、後輩・成瀬の告白を受け入れます。しかし、彼はやがて泉が「忘れられない恋」を抱えていることを知るのです…。

泉を幸せにしたいと願い行動する成瀬の気持ちに、心揺さぶられる感動作。『今夜、世界からこの恋が消えても』と併せて読むのがおすすめです。

ある日、僕が死にました

KADOKAWA 著者:イ・ギョンヘ

韓国発で、“涙がとまらない”と話題になり、5か国で累計40万部を突破しベストセラーになった新刊小説。BTS(防弾少年団)のRMが推薦した本として、ファンに愛されている作品です。

親友を亡くした少女が、遺品の日記を手にしたことから始まる、喪失や再生を描いた作品。死と喪失をどうにか耐えながら生きなければならない、人生の物語とされています。

ある日、主人公・ユミの親友で、中学3年生のジェジュンがバイクの事故で亡くなります。ユミは“ある日、僕が死にました。僕の死は何を意味するのだろうか?”と冒頭に書かれた日記帳を、彼の母から代わりに読んでくれと頼まれました。

ジェジュンの死の意味を理解しようとするユミの、切実でストレートな思いが胸を打つ1冊。韓国の若者の間で人気の感動小説に触れたい方におすすめです。

恋愛小説のおすすめ作品

世界の中心で、愛をさけぶ

小学館 著者:片山恭一

「セカチューブーム」という社会現象を巻き起こした小説。多くの人々を涙させた、珠玉のラブストーリーです。ドラマ化や映画化もされ、累計発行部数は320万部を超える空前のベストセラーとなりました。

高校2年生の朔太郎と、恋人・アキの物語で、彼女の死から物語がスタート。2人の出会いから無人島への旅行、アキが発病して入院し、お別れするところまでを描いています。

最愛の人を失うことや、生と死についてなども考えさせられる内容。大切な存在がいる方や、感動する恋愛小説を読みたい方におすすめです。

君の膵臓をたべたい

双葉社 著者:住野よる

住野よるのデビュー作でありながら、発行部数が280万部を超える、大ベストセラー青春恋愛小説です。2017年の文庫年間ベストセラーや、本屋大賞2位など、さまざまな賞やランキングを受賞しています。アニメ・実写で映画化もされました。

物語はある日、高校生の僕が病院で「共病文庫」と書かれた1冊の文庫本を拾うところから始まります。文庫本の持ち主はクラスメイトの山内桜良。日記には彼女が膵臓の病気で、余命が少ないという内容が書かれていました。

クラスメイトのなかで唯一、山内桜良が病気であるという秘密を知った僕と、彼女との心の交流を描いています。主人公である僕が成長していく様子や、想像がつかない衝撃的なラストも見どころ。読後、タイトルの意味に感動する方も多いおすすめの小説です。

いま、会いにゆきます

小学館 著者:市川拓司

“愛してる”という言葉の本当の意味を、静かな物語として描いた感動小説。映画化・ドラマ化され、海外でもリメイクされているベストセラー作品です。

主な登場人物は、身体にさまざまな不具合を抱えながら司法書士事務所で働く父・巧と、6歳になる1人息子の佑司。巧の最愛の妻・澪が亡くなって1年経った雨の季節、週末に散歩に出かけた町はずれの森で父と子に奇跡が起こる物語です。

“おはよう”や“おやすみ”などを言える、ささやかな日常に幸福がある、“愛してる”をいえる人がいるだけで幸福になれるということが、ストーリー仕立てで書かれています。

シンプルな真実を描きながら、ファンタジックな要素があるのもポイント。“感涙度100%”とも評されており、泣ける恋愛小説を求める方におすすめです。

ノルウェイの森 上

講談社 著者:村上春樹

日本を代表するベストセラー作家・村上春樹による、100%の長編恋愛小説。世界中で親しまれており、上下巻累計1000万部を突破している不朽の名作です。2010年には映画化もされました。

暗く重い雨雲をくぐり抜けて、主人公・ワタナベが乗った飛行機がハンブルク空港に着陸。すると、天井のスピーカーから小さい音でビートルズの曲『ノルウェイの森』が流れ出します。それを聴いたワタナベは、1969年、もうすぐ20歳になろうとする秋の出来事を思い出して激しく動揺、混乱していました。

愛することや生きることの意味を、静かな一方で激しく、美しく描いています。愛や性、生死、男女、動と静などさまざまなテーマにあふれているのもポイント。恋愛小説に興味のある方は必読の、おすすめ作品です。

マチネの終わりに

文藝春秋 著者:平野啓一郎

大人同士の切なく美しい恋の物語を描いた、ロングセラー恋愛小説。映画化もされ、累計発行部数は50万部を突破しています。

天才ギタリスト・蒔野聡史と、国際ジャーナリスト・小峰洋子。2人は40代という「人生の暗い森」を前に出会います。初めて出会ったときから強く惹かれ合っていた2人ですが、洋子には婚約者がいました。

やがて、彼女と蒔野との間にはすれ違いが生まれ、関係が途絶えてしまいます。お互いへの思いを断ち切れないまま、別の道を歩く2人の運命が再び交わる日は来るのでしょうか。

文明・文化、生と死、喧噪と静寂など、さまざまなテーマが折り重なった重層的な作りの小説。“40代をどう生きるか?”を読者に問いかける作品とも謳われており、20~40代の大人におすすめです。

センセイの鞄

文藝春秋 著者:川上弘美

谷崎潤一郎賞を受賞作で、年齢が離れた男女の恋愛事情が描かれた名作恋愛小説。ドラマや舞台など、さまざまなメディアミックス展開がされています。発行部数は純文学作品では異例といわれる、15万部を突破しています。

主人公で37歳のツキコさんは、ひとり通いの居酒屋で、たまたま学生時代の国語教師・センセイと隣り合います。カウンターで交わした世間話から始まった彼との日々。露店巡りや花見、ときにはケンカもはさみながら四季をめぐっていきます。

切なさや、おかしさ、哀しさもあり、穏やかであたたかい気持ちになれる1冊。恋愛の純文学に触れたい方におすすめの小説です。

図書館戦争 図書館戦争シリーズ 1

KADOKAWA 著者:有川浩

恋愛小説とSF小説の要素を持ち合わせた人気シリーズ「図書館戦争シリーズ」の第1作品目。実写映画・アニメ・マンガなどメディアミックス作品も多数展開されました。シリーズ累計640万部を突破したベストセラー小説です。

舞台は、公序良俗を乱す表現を過剰に取り締まる「メディア良化法」が成立している架空の日本。行き過ぎた検閲から本を守るための組織「図書隊」に1人の女の子が入隊します。

彼女は、高校時代にピンチを助けてくれた図書隊員に憧れて、図書隊を志望した笠原郁。本作品では、彼女が新設の図書特殊部隊に配属され、成長していく様子や恋愛模様を描いています。

登場人物のたちの個性が際立っているのが魅力です。また、郁と上官・堂上篤とのおもしろい掛け合いもポイント。2人の関係に目が離せない、おすすめの作品です。

植物図鑑

幻冬舎 著者:有川浩

植物オタクの男子と会社員の主人公の恋愛を描いた、とびきりおいしく、少しほろ苦い「道草」恋愛小説。2016年には映画化もされ、累計80万部を超えるベストセラーとなりました。

主人公は会社員をしているさやか。ある日家の近くで行き倒れているイケメンに“よかったら俺を拾ってくれませんか。”とお願いされ、思わず拾ってしまうところから話は始まります。

イケメンの男・イツキは家事が万能な植物オタクでした。週末には一緒に近所で野草の「狩り」をする、さやかとイツキのほのぼのとした同居生活を描いています。

また、さやかとイツキの恋愛事情はもちろん、イツキの作るおいしそうな野草料理のシーンも見どころ。野草料理を使ったレシピもついています。心がほっこりする恋愛小説が好きな方におすすめの作品です。

阪急電車

幻冬舎 著者:有川浩

累計100万部を突破したベストセラー長編恋愛小説。兵庫県にある阪急今津線を舞台に描かれる、乗客たちの人生の物語。2011年に映画化もされました。

隣に座った女性がよく行く図書館で見かける、ちょっと気になる人だったなど、阪急電車に偶然居合わせた人たちの人生が交差し、希望へと変わっていく様子を丁寧に描いています。

恋の始まりや分かれの兆しなど、さまざまなドラマが見られるのがポイント。読後はあたたかい気持ちになり、ほっこりする方も多いおすすめの恋愛小説です。

恋愛中毒

KADOKAWA 著者:山本文緒

恋愛感情の極限をえぐり出すと謳われている、戦慄の恋愛小説です。直木賞作家・山本文緒の原点とされ、吉川英治文学新人賞を受賞。2000年にはドラマ化もされました。

主人公の水無月は、“どうか、どうか、私。これから先の人生、他人を愛しすぎないように。他人を愛するぐらいなら、自分自身を愛するように。”と、心を堅く閉ざしていました。

しかし、彼女の心に強引に踏み込んできたのが小説家・創路。水無月は彼にどんどんのめり込んでいった結果、恋が水無月のすべてをしばりつけ、狂わせていきます。

“ラスト40ページで世界が暗転する”とされているのがポイント。衝撃的な恋愛小説を読みたい方におすすめです。

時をかける少女 新装版

KADOKAWA 著者:筒井康隆

世代を超えて愛される、不朽のSF恋愛小説。映画やアニメなどで何度も映像化され、マンガ・絵本などにもなっている人気作品です。累計発行部数は250万部を超えています。

主人公は思春期の少女・芳山和子。放課後の誰もいない理科実験室で、ガラスの割れる音がしました。すると、壊れた試験管の液体からただよう甘い香り。“このにおいを私は知っている”と感じたとき、和子は意識を失い、床に倒れてしまいます。

そして、目を覚ました和子の周囲で次々と起こる、時間と記憶をめぐる奇妙な出来事を描いた物語。小学生ごろから大人まで読みやすく、多くの方をときめかせてきたおすすめの小説です。

小説 君の名は。

KADOKAWA 著者:新海誠

夢のなかで入れ替わる、少年と少女の恋や奇跡を描いた恋愛小説。大ヒットを記録した映画『君の名は。』の原作で、新海誠監督自らが執筆しています。累計発行部数は170万部を突破しているベストセラーです。

主な登場人物は、山深い田舎町に住む女子高校生・宮水三葉と、東京で暮らす男子高校生・立花瀧。2人は何度も見る夢のなかで、お互いが入れ替わっていることに気づきます。

出会うはずのない2人の出会いから、運命の歯車が動き出す物語。人気映画の原作が読みたい方や、ファンタジックな世界観の恋愛小説を読みたい方におすすめです。

夜は短し歩けよ乙女

KADOKAWA 著者:森見登美彦

京都を舞台に描かれる、青春恋愛ファンタジーの大傑作ともいわれる小説。山本周五郎賞を受賞し、映画化やアニメ化もされている人気作品です。累計売上は160万部を突破しています。

「黒髪の乙女」に想いを寄せる先輩は、京都のさまざまな場所で彼女の目に止まるよう心がけており、「偶然の」出逢いが頻発。2人を待ち受ける珍事件の数々や、運命の「大転回」が見どころです。

本作品は、ポップで華やかな雰囲気があるのもポイント。奇想的な世界観にのめり込む方も多く、中学生ごろから大人まで楽しめるおすすめの恋愛小説です。

桜のような僕の恋人

集英社 著者:宇山佳佑

TikTokを中心としたSNSで話題を呼び、累計発行部数が70万部を突破した人気の恋愛小説です。難病のヒロインとカメラマン見習いの青年が出会い、愛し、駆け抜けた日々を描いたはかなく美しい感動作。2022年にはNetflixで映画化されました。

人の何十倍も早く老いてしまう難病を発症した美咲と、カメラマン見習い・晴人の恋の物語です。次の春を迎えられないという診断を受け、1人だけ老婆になっていく美咲。そんな姿を晴人に見せたくないと悩む美咲は、どうするのでしょうか。

愛することの喜びや痛み、強さなどが伝わってくる1冊。SNSで「泣ける小説」「感動」と多数の投稿がされました。泣ける恋愛小説を求める方におすすめです。

ツ、イ、ラ、ク

KADOKAWA 著者:姫野カオルコ

直木賞作家・姫野カオルコが恋の極みを描き切り、恋愛小説の金字塔ともされる作品。直木賞候補にもなりました。児童文学・青春小説・恋愛小説ともとらえられる小説です。

14歳の中学生・森本隼子が、地方の小さい町で国語教師・河村と恋に落ちるというあらすじ。少女の早熟な体験が生き生きと描かれています。

本作品は、恋愛小説に笑いを持ち込んだとされるのもポイント。消し去れない痛みを抱えた大人におすすめのピュアロマン小説です。

サヨナライツカ

幻冬舎 著者:辻仁成

“愛に生きるすべての人に捧げる”と謳われている、切なくはかない大人の恋愛を描いた感動小説。映画化・マンガ化もされ、100万部を突破した人気作品です。

主人公は“好青年”と呼ばれ、仕事でバンコクに赴任してきた豊。結婚を控えた婚約者もいる彼ですが、バンコクで謎の美女・沓子と出会い、燃えるような恋をします。その後、2人は別れを選択し、25年後に再会しますが…。

愛し合いながらも別れなければならなかった2人の切なく熱い想いが、多くの読者の心を震わせた1冊。本気の恋をしたことがある方や、してみたい方におすすめです。

おいしいコーヒーのいれ方 1 キスまでの距離

集英社 著者:村山由佳

直木賞作家・村山由佳の代表作であり、恋愛小説の傑作です。1994~2020年まで続き、“おいコー”と呼ばれ愛され続けている人気シリーズ第1作品目。シリーズ累計550万部を突破しています。

高校3年生になる春、年上のいとこ・花村かれんと同居することになった主人公・和泉勝利。彼はかれんの秘密を知り、強く惹かれていきますが…。

切なく純粋な、青春恋愛物語が描かれています。また、かれんと勝利を見守る周囲の人々も魅力的。ゆっくりと進むじれったい恋愛を覗きたい方や、長編シリーズものを読み進めたい方におすすめです。

百瀬、こっちを向いて。

祥伝社 著者:中田永一

ビターでみずみずしさのある恋愛小説。乙一名義が有名な安達寛高が、中田永一名義で描き、映画化・舞台化された人気作品です。

主人公は「人間レベル2」で、クラス内で薄暗い電球のような存在の相原ノボル。ある日、野良猫のような鋭い目つきの美少女・百瀬陽が彼女になったことから、ノボルは変わっていきます。しかし、その裏には彼にとって残酷すぎる仕掛けがあったのです…。

“こんなに苦しい気持ちは、最初から知らなければよかった…!”というノボルの切ない想いが伝わってくる1冊。思春期の恋愛に、ノスタルジーも感じられるおすすめの小説です。

試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。

幻冬舎 著者:尾形真理子

コピーライター・尾形真理子による短編恋愛小説です。表題作のほか、『脱皮したら、春。』『悪い女ほど、清楚な服がよく似合う。』など、ルミネの広告キャッチコピーをタイトルにした5編を収録。20万部超えのロングセラー作品となっています。

普段はキャッチコピー1行に凝縮している女性たちの物語を、凝縮せずにそのまま再現した本作品。年下に片思いする文系女子や、不倫に悩む美容マニアなど、恋愛下手な女性たちが主人公です。

彼女たちは路地裏のセレクトショップに入り、不思議な魅力があるオーナーと自分を変える運命の一着を探すうちに、自分の素直な気持ちと向き合っていきます。

服を通じたかわいらしい恋の物語で、爽やかな読後感を味わえるのが魅力。また、尾形真理子の秀逸なコピーライティング術も垣間見えます。気軽に読める短編小説を求める方におすすめです。

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。

スターツ出版 著者:汐見夏衛

戦争をテーマに描かれた恋愛小説。特に若者から絶大な指示を受けている、汐見夏衛の著書です。TikTokをはじめとしたSNSで“大号泣する”と話題になり、マンガ化もされています。

親や学校など、すべてにイライラした毎日を送っている中学2年生の加納百合。ある日、母親とケンカして家を飛び出した彼女が寝床を探していると、防空壕を見つけます。そして、防空壕の中で眠り目を覚ますと、そこは70年前、戦時中の日本だったのです。

のども乾き、途方に暮れていたところ、偶然通りかかった青年・彰に助けられました。彼と日々を過ごすうち、百合は彰に惹かれていきます。しかし、彼は特攻隊員でほどなく命を懸け、戦地に飛び立つ運命にあったのです…。

涙なくしては読めないといわれる、怒涛のラストが見どころ。戦争というものを見つめなおすきっかけにもなる、おすすめの1冊です。

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ミステリー小説のおすすめ作品

容疑者Xの献身

文藝春秋 著者:東野圭吾

人気ミステリー作家・東野圭吾による、直木賞受賞の最高傑作。命がけの純愛が生んでしまった犯罪を描いたミステリー小説です。ドラマ化・映画化で人気を博し、累計1500万部を突破している「ガリレオシリーズ」の第3作品目です。

天才数学者でありながら、不遇の日々を送っていた高校教師・石神。彼は一人娘・美里と暮らす隣人の花岡靖子に、密かに思いを寄せていました。ある日、石神は彼女たちが靖子の元夫を殺害したことを知り、2人を救うための完全犯罪を企てます。

皮肉にもその謎に挑むことになったのは、石神のかつての親友で、帝都大学理工学部物理学科の准教授・湯川学だったのです…。

秀逸なトリックや大どんでん返しの結末に、東野圭吾氏の手腕を感じられます。切なく、涙する方も多いおすすめの恋愛ミステリー小説です。

十角館の殺人

講談社 著者:綾辻行人

現代本格ミステリー小説の金字塔ともいわれる、「館シリーズ」の長編ミステリー第1作品目。推理小説家・綾辻行人のデビュー作です。建築家の中村青司が建てた館で起こる惨劇を描いています。

本作品は、十角形の奇妙な館が舞台。館が建つ孤島・角島に大学ミステリ研究会の7人が訪れますが、メンバーが何者かに次々と殺されていきます。

見どころは作者自身も発言している、終盤近くの“あの1行”。1987年の刊行以来、多くの読者に衝撃を与えて続けています。どんでん返しや本格派ミステリーが好きな方におすすめの小説です。

そして誰もいなくなった

早川書房 著者:アガサ・クリスティー

海外ミステリーの女王として知られる、アガサ・クリスティーの代表作のひとつ。初版は1939年ですが、今なお世界各国で愛され続けています。見立て殺人や、外部との接触ができない状態で起こる「クローズドサークル」など、さまざまなミステリー要素が含まれる作品です。

あらすじは孤島「兵隊島」に集められた10人の男女が、マザーグースの童謡の歌詞にある通り、1人1人殺されていくというもの。登場人物たちは生存者のなかに殺人犯がいて、再び攻撃する準備をしていることに気づき、緊張感が高まります。

本作品は、自分も登場人物の1人になったかのような没入体験できるのが魅力。小学生からでも読みやすく、初めてミステリー小説に触れる方にもおすすめです。

告白

双葉社 著者:湊かなえ

“イヤミスの女王”と呼ばれる湊かなえのデビュー作であり、ベストセラーのミステリー小説。イヤミスとは読後「嫌な気持ちになるミステリー小説」のことを指し、本作品もイヤミスです。映画化もされており、累計発行部数は360万部を突破しています。

S中学校のあるクラスの担任・森口悠子が、娘の愛美をクラスの誰かに殺されたと告白するところから始まる復讐劇。後味の悪さがありながらも、読者を惹きつけます。

また、本作品は全6章構成で、章ごとに登場人物の視点が変わるのもポイント。さまざまな視点で物語を読み解けます。飽きずに読みやすく、ミステリー小説を初めて読む方にもおすすめの傑作です。

かがみの孤城

ポプラ社 著者:辻村深月

ファンタジーミステリーの最高傑作といわれる小説。本屋大賞を受賞したほか、ブクログ大賞の小説部門や、王様のブランチブック大賞などで9冠を獲得した話題作です。2022年冬には劇場アニメ化も決定しており、累計130万部を突破しています。

主人公は、学校で居場所をなくし、部屋に閉じこもっていた少女・こころ。ある日突然、彼女の部屋の鏡が光り出します。鏡をくぐり抜けていくと先には不思議な城があり、こころと似た境遇の7人が集められていたのです…。

なぜこの場所にこの7人が集められたのか、すべてが明らかになるときに、驚きとともに大きな感動を味わえるのがポイント。生きにくさを感じている方に贈るといわれており、中学生ごろから大人までおすすめの小説です。

medium 霊媒探偵 城塚翡翠

講談社 著者:相沢沙呼

“すべてが、伏線。”といわれ、読了後に読者を絶叫させた、驚愕のミステリー小説。本格ミステリ大賞を受賞しています。また、このミステリーがすごい、本格ミステリ・ベスト10などさまざまなランキングで1位に輝き、ミステリーランキングで5冠を達成。ミステリー界から大絶賛を浴びました。

難事件を解決してきた推理作家・香月史郎は、心に傷を負った霊媒師の女性・城塚翡翠と出会います。彼女は死者の言葉を伝えられるものの証拠能力はありません。そのため、香月は霊視と論理を組み合わせ、事件に立ち向かわなくてはならないのです。

世間を騒がす連続死体遺棄事件に立ち向かうこととなった2人。証拠を残さない、姿ない連続殺人鬼にたどりつけるのは翡翠の力のみでした。しかし、魔の手は彼女へと迫っていくのです…。

ミステリー界で随一のマジシャンともいわれる、特殊な物語に翻弄されるのがポイント。少し変わった設定の、おすすめ本格ミステリー作品です。

すべてがFになる

講談社 著者:森博嗣

密室殺人をテーマにした、理系ミステリーの名作です。「S&Mシリーズ」の第1作品目。ドラマ化やアニメ化もされ、シリーズ累計390万部を突破している人気作品です。

天才工学博士・真賀田四季は、孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全隔離の生活を送ってきました。ある日、彼女の部屋からウエディングドレスをまとい、両手両足が切断された死体が出現します。

偶然島を訪れていた、N大の助教授・犀川創平と女子大生の西之園萌絵が不可思議な密室殺人に挑むのです…。

多数出てくる登場人物や、犀川・萌絵の掛け合いが魅力の作品。ミステリーファンや、プログラミングが好きな方などにおすすめの1冊です。

シャーロック・ホームズの冒険

新潮社 著者:コナン・ドイル

近代探偵小説を確立したとされる名作「シャーロック・ホームズの冒険シリーズ」の第1作品目。ホームズは名探偵の代名詞的存在ともされており、“シャーロキアン”と呼ばれるファンが大勢います。シリーズはアメリカで映画化されているほか、日本では本作品を原案としたアニメも制作されました。

ホームズと友人・ワトスン博士を主人公とする物語。ホームズはロンドンで起こる奇怪な事件を追い、神出鬼没していました。本作品ではそんな彼が、赤毛の男が加入したという奇妙な組合の謎を追う『赤髪組合』など10編を収録しています。

風変わりでユーモアのある、ホームズの天才的な推理力に多くのファンが魅力されてきました。また、常識人のワトスンが彼の天才性を際立たせているのもポイント。世界的に有名な探偵ものに触れたい方へおすすめです。

氷菓

KADOKAWA 著者:米澤穂信

本格学園ミステリー小説で、人気の高い「古典部シリーズ」の第1作品目。映画化・アニメ化・マンガ化されており、シリーズ累計290万部を突破しています。

省エネ主義の少年・折木奉太郎が、姉・供恵の命令で部員0の古典部に入部させられるところから話が始まります。そして、出会った古典部の仲間・千反田えるに依頼されて、33年前の事件の真相を解き明かしていくという話です。

“やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことは手短に”という省エネ主義な奉太郎と、好奇心旺盛で気になることには猪突猛進してしまう、えるのやり取りも見どころ。中学生ごろから大人まで、さまざまな世代が楽しめるおすすめの小説です。

イニシエーション・ラブ

文藝春秋 著者:乾くるみ

“必ず2回読みたくなる”と評され、最後でどんでん返しが起きる驚愕のミステリー小説。2015年には映画化もされ、累計発行部数は180万部を超えている人気作品です。

大学生の僕(たっくん)は代打で出た合コンでマユと出会い、やがて2人は恋に落ちていきます。付き合うようになった2人は、夏休みやクリスマス、学生時代最後の年をともに過ごしました。

マユのために東京の大企業を蹴り、たっくんは地元静岡の会社に就職しますが、いきなり東京勤務を命じられてしまい…。

甘く、ほろ苦い恋愛小説の要素もありますが、最後から2行目で異なる物語に変貌するのが見どころ。叙述トリックが好きな方や、普段小説をあまり読まない方にもおすすめです。

火車

新潮社 著者:宮部みゆき

現代ミステリーの金字塔TOP3に入り、ミステリー史に残る傑作小説。カード社会の犠牲ともいわれる、自己破産者の悲惨な現実を描いた名作です。山本周五郎賞を受賞したほか、ドラマ化・映画化もされました。

休職中の刑事・本間俊介は、遠縁の男性に頼まれて、彼の婚約者・関根彰子の行方を捜すことになります。しかし、彼女は自ら失踪し、徹底的に足取りまで消していたのです。なぜ、彼女は自分の存在を消さねばならなかったのでしょうか。そして、彼女は何者なのでしょうか。

徐々に明らかになっていく人間ドラマに、読む手が止まらない魅力があります。考えさせられる、社会派ミステリー小説に触れたい方におすすめです。

占星術殺人事件 改訂完全版

講談社 著者:島田荘司

本格ミステリーの巨匠と評される、島田荘司によるロングセラー小説です。天才探偵・御手洗潔が活躍する「御手洗潔シリーズ」の第1作品目。彼は和製シャーロック・ホームズともいわれ、ほかのミステリー作品にも大きな影響を与えました。

東西ミステリーベスト100では、日本ミステリー部門第3位に選出。国内外で高い評価を受けています。シリーズは映画化もされ、累計550万部を突破しています。

密室殺人が起き、殺された画家が残した手記にあったのは、6人の処女の肉体から完璧な女「アゾート」を創る計画。彼の死後、6人の若い女性が肉体の一部を切り取られた姿で、日本各地で発見されます。事件から40数年、御手洗潔が未解決となった猟奇殺人のトリックを解いていくのです…。

巧みなトリックや、きれいな伏線回収など、多くの読者が舌を巻いた傑作。本格ミステリーを読み進めるなら触れておきたい、おすすめの1冊です。

屍人荘の殺人

東京創元社 著者:今村昌弘

今村昌弘のデビュー作であり、「屍人荘の殺人シリーズ」の第1作品目です。鮎川哲也賞と本格ミステリ大賞を受賞しているほか、数々のミステリーランキングで1位を獲得。2019年には映画化もされ、シリーズ累計100万部を突破しています。

神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長・明智恭介は、同じ大学の名探偵・剣崎比留子といわくつきの映研の夏合宿に参加するため、ペンション「紫湛荘」を訪問。しかし、初日の夜に想定外の事態に見舞われ、籠城を余儀なくされます。それは、連続殺人の幕開けに過ぎなかったのです。

本作品は、多くのミステリー作家が大絶賛しているのもポイント。クローズドサークルものが好きな方や、本格ミステリー小説を楽しみたい方におすすめです。

八つ墓村

KADOKAWA 著者:横溝正史

日本の3大名探偵の1人・金田一耕助が事件を解決する「金田一耕助シリーズ」の長編ミステリー小説。過去には何度も映画化・ドラマ化・マンガ化されている名作です。

戦国時代、鳥取と岡山の県境の村に大金を抱えた8人の武士が落ちのびてきました。しかし、欲に目がくらんだ村人たちが8人を惨殺。以来、村は“八つ墓村”と呼ばれるようになります。怪奇が相次ぐ村で巻き起こる、おどろおどろしいストーリーです。

ただ恐ろしいだけでなく、冒険要素もあり一気に読み進めやすい1冊。活字慣れしている方や、「金田一耕助シリーズ」に興味がある方におすすめの小説です。

アヒルと鴨のコインロッカー

東京創元社 著者:伊坂幸太郎

吉川英治文学新人賞を受賞した、人気の青春ミステリー小説。本屋大賞3位や、このミステリーがすごい!2位も獲得しています。若者たちの友情や恋愛を、ミステリー仕立てでコミカルに描いた作品。映画化や舞台化もされています。

大学入学を間近に控えた椎名は、仙台のアパートに引っ越してきました。すると、いきなり出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年で隣の住人・河崎。初対面にもかかわらず、彼は椎名に“一緒に本屋を襲わないか”と持ち掛けてきます。

椎名はおかしな話に乗る気などなかったはずでしたが、決行日の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまっていたのです…。伊坂幸太郎ミステリー特有の、伏線回収に驚く読者も多い作品。ミステリー初心者にもおすすめです。

謎解きはディナーのあとで

小学館 著者:東川篤哉

2011年に本屋大賞を受賞し、同年のベストセラーで第1位を獲得したミステリー小説。ドラマ化もされ、シリーズ累計420万部を突破した人気作品です。国立署の新米刑事で「宝生グループ」の令嬢・宝生麗子と、毒舌な執事兼運転手・影山のコンビが事件の謎解きをする、全6編の短編が収録されています。

仕事で難事件に直面するたび、麗子は影山に一部始終を相談していました。すると、彼は“お嬢様の目は節穴でございますか?”などと麗子を指摘しつつ、鮮やかに事件を解き明かしていくのです…。

麗子と影山のかけ合いなどユーモアが含まれており、おもしろく読みやすい作品。小学生ごろから、読書初心者の方までおすすめの小説です。

葉桜の季節に君を想うということ

文藝春秋 著者:歌野晶午

“最後の1ページまで目が離せない恋愛活劇ミステリー”と称賛された小説。日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞をダブル受賞しました。また、このミステリーがすごい!と本格ミステリベスト10で1位も獲得しています。

主人公は、自称“何でもやってやろう屋”の元私立探偵・成瀬将虎。ある日、同じフィットネスクラブに通う久高愛子から、悪質な霊感商法に関する調査を依頼されます。そんな折に、自殺を図ろうとしていた女性・麻宮さくらを救ったことにより、運命の歯車が回り始めるのです…。

叙述トリックや最後のどんでん返し、一気に回収されていく伏線などにより読む手が止まらない1冊。恋愛小説の要素も楽しめ、究極の徹夜本ともいわれるおすすめのミステリーです。

ビブリア古書堂の事件手帖~栞子さんと奇妙な客人たち~

アスキー・メディアワークス 著者:三上延

古本屋店主・栞子が古書に関する謎や秘密を解き明かす、連作短編形式の古書ミステリー小説。シリーズ累計700万部を突破している人気作品です。ドラマ化、実写映画化されるなどメディアミックス作品も人気を博しました。

無職の五浦大輔は祖母の古書を持って、鎌倉でひっそりと営業している古本屋「ビブリア古書堂」を訪れます。そこで出会ったのは、店主の若くきれいな女性。彼女は初対面の人間とは口もきけない人見知りでしたが、古書を前にすると話が止まりません。

そんな彼女の前には、いわくつきの古書が持ち込まれることもあります。そんな古書にまつわる謎や秘密を、まるで見てきたかのように説き明かしていくのです…。

作中で実際に存在する文学作品が出てくるのがポイント。大輔が栞子に淡い想いを抱いている様子に、恋愛小説の要素も感じられます。日常の謎系の読みやすい推理ミステリー作品を求める方や、本好きな方におすすめです。

元彼の遺言状

宝島社 著者:新川帆立

遺産相続をめぐるミステリー小説です。最終選考委員の満場一致で、このミステリーがすごい!大賞を受賞。テレビやラジオなどで話題を呼び、シリーズ累計80万部を突破しています。2022年はドラマ化もされました。

主人公は弁護士の剣持麗子。彼女は“僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る”と、元彼・森川栄治が残した奇妙な遺言状に導かれ、「犯人選考会」に代理人として参加することになります。

数百億ともいわれる遺産の分け前を勝ち取るため、麗子は自分の依頼人を犯人に仕立て上げようと奔走。しかし、その最中に次々と事件が起きるのです…。

受賞当時、現役弁護士だった新川帆立による、法律を熟知しているからこそ描ける緻密なシナリオが魅力。法律に興味がある方や、話題のミステリー小説に触れたい方におすすめです。

GOTH 夜の章

KADOKAWA 著者:乙一

本格ミステリ大賞を受賞した、乙一の出世作ともいわれるミステリー小説。人の残酷な面を覗きたがる「GOTH」という者を描いている作品です。累計発行部数は100万部を超えており、映画化もされています。

話はクラスメイト・森野夜が連続殺人犯の日記を拾い、中に書いてある未発見の死体を見に行こうと「僕」を誘うところから始まります。

描写は恐ろしいものの、短編のため読み進めやすいのがポイント。ほかにも、「夜」をめぐる短編作品を3編収録しています。ライトなダークミステリーが好きな方におすすめの作品です。

ミステリー小説をもっと読みたい方はこちら

ホラー小説のおすすめ作品

黒い家

KADOKAWA 著者:貴志祐介

保険金殺人をテーマに描かれたホラー小説。日本ホラー小説大賞を受賞し、累計130万部を突破している名作です。日韓で映画化もされました。

主人公は生命保険会社で働いている若槻慎二。物語は、岩槻が顧客の家に呼び出された際に、子供の首吊り死体の第1発見者になってしまうところから始まります。

その後、死亡保険金の請求をされますが、顧客の不審な態度に他殺を確信する若槻。信じられない悪夢が待ち受けていることも知らず、独自調査に乗り出します。

恐怖が何度も襲いかかり、読者を戦慄させるとされる衝撃作。ホラーの名作を読みたい方や、サスペンスが好きな方におすすめです。

リング

KADOKAWA 著者:鈴木光司

オカルトホラーの金字塔であり、ジャパニーズホラーの傑作ともされる小説。「リングシリーズ」の第1作品目で、日本や海外で映画化・ドラマ化・ゲーム化・マンガ化されている大ヒット作品です。

観ると死んでしまうという、1本の呪いのビデオテープをめぐる話。ビデオテープを観た少年少女が、同日同時刻に亡くなります。

忌まわしいビデオテープに、どんな謎があるのかが見どころ。忘れがたい怖さのホラー小説を求める方や、映画などで『リング』や『貞子』を観たことがある方におすすめの作品です。

夜市

KADOKAWA 著者:恒川光太郎

ファンタジー要素もある和風ホラー小説。日本ホラー小説大賞受賞作で、直木賞にもノミネートされました。表題作と『風の古道』が収録された中編です。

夜市とは何でも手に入る、この世のものならぬ不思議な市場のこと。話は大学生のいずみが高校の同級生・裕司から誘われ、夜市に訪れるところから始まります。

幼いころ夜市に迷い込んだ裕司は、弟と引き換えに「野球選手の才能」を手に入れました。野球部のエースとして成長したものの、弟を売ったことにずっと罪悪感を抱いていた裕司。今回の夜市への訪問は、弟を買い戻すためだと言います。

短編の2本立てなので、読みやすいのがポイント。怖さと哀しみ両方をたたえた、ライトなホラーを求める方におすすめの1冊です。

Another 上

KADOKAWA 著者:綾辻行人

人気の学園ホラー&ミステリー小説です。本格ホラーとミステリーを融合した傑作だと、絶賛を浴びました。アニメ化や実写映画化もされ、累計発行部数は110万部を突破しています。

物語の主人公は、東京から夜見山北中学校3年3組に転入してきた榊原恒一。しかし、クラスメイトが何かにおびえていることから、恒一は違和感に気づきます。

また、クラスメイトからいないものとして扱われている美少女・見崎鳴の存在など、謎は深まるばかり。そんななか、クラスの委員長・桜木が凄惨な死を遂げます。一体何が起きているのでしょうか。

本作品は、独創的なアイデアやリアリティのある設定がポイント。物語に恐怖やサスペンス性をもたらしています。また、中学生活最後の生徒たちの姿を繊細に描いており、哀切な青春小説の要素があるのも魅力。学園ものや推理ものが好きな方におすすめの小説です。

残穢

新潮社 著者:小野不由美

山本周五郎賞を受賞した、ドキュメント・ホラー小説。2016年には映画化もされました。引っ越してきたばかりのマンションで、次々と起こる怪異現象を調べるうちに、ある因縁が浮かび上がってくる話です。

かつてこの地で最期を迎えた人の怨みを伴う死が「穢れ」となり、感染が拡大していく恐怖が、リアルに感じられる作品。本から染み出してくるような、じっとりとした怖さが描かれています。リアリティを感じられるようなホラー小説が好きな方におすすめです。

シャイニング 上

文藝春秋 著者:スティーヴン・キング

20世紀ホラー小説の金字塔ともいわれる名作です。上下巻でひとつの物語になっています。スタンリー・キューブリック監督が映画化したことでも有名になりました。

物語の舞台は、コロラド山中にあり、美しいたたずまいのリゾートホテル「オーバールックホテル」です。しかし、冬季は-25℃の極寒と積雪により、外から完全に隔離される場所。冬のオーバールックホテルに管理人として住み込む作家と妻、息子を、ホテルに住む悪霊が襲う話です。

本作品は、スティーヴン・キングの圧倒的筆力で描き出された恐怖に引き込まれるのがポイント。幽霊屋敷ものが好きな方や、海外ホラーの名作に触れたい方におすすめの小説です。

天使の囀り

KADOKAWA 著者:貴志祐介

グロテスクな描写も多く、前人未踏といわれる恐怖感のドキドキを味わいたい方におすすめのホラー小説。マンガ化もされています。

精神科医・北島早苗の恋人・高梨は新聞社主催のアマゾン調査隊に参加。その後、人格が変わり、死恐怖症だったはずの彼は「死」に魅せられたように自殺してしまいます。

また、ほかの調査隊メンバーも、異様な方法で次々と自殺していることが判明。アマゾンで一体何が起きたのか、高梨が死の直前に残した“天使の囀りが聞こえる”という言葉の意味は何なのか、謎が徐々に解き明かされていくのが見どころです。

ぼっけえ、きょうてえ

KADOKAWA 著者:岩井志麻子

日本ホラー小説大賞を受賞し、日本屈指のレジェントホラー小説ともいわれる作品。2006年には「マスターズ・オブ・ホラー」の1作品として、映像化されました。

タイトルの意味は岡山弁で“とても、怖い”。本作は明治時代、岡山の遊郭で醜い女郎が、自分の身の上を語る話です。妖しく、おぞましい物語が4編収録されています。じっとりとした、和風のホラー小説が好きな方におすすめです。

ぼぎわんが、来る

KADOKAWA 著者:澤村伊智

日本ホラー小説大賞受賞作で、新人デビュー作としては異例のヒットを記録したホラー小説。映画化・マンガ化もされました。霊媒師の姉妹がさまざまな怪異に立ち向かう「比嘉姉妹シリーズ」の第1作品目です。

主人公・田原秀樹は幸せな結婚生活を営んでいました。しかし、ある日彼の会社に、生誕を目前にした娘・知紗のことで用があるという客が来訪。その客を取り次ぎ、謎の噛み傷を負った後輩は入院先で憔悴していきます。

その後も、秀樹の周囲では不審なメールが来たり電話がかかってきたりと怪異が発生。一連の出来事は、秀樹の亡き父が恐れていた化け物・ぼぎわんの仕業なのでしょうか。そして、彼は家族を守るために女性霊能者・比嘉真琴を頼ります。

本作品は、怪談・都市伝説・民俗学などさまざまな要素を含んでいるのがポイント。ホラー小説大賞の全選考委員が絶賛したというおすすめの作品です。

パラサイト・イヴ

新潮社 著者:瀬名秀明

バイオ・ホラー小説の傑作といわれ、日本ホラー小説大賞を受賞した作品。映画化やゲーム化もされている名作です。

科学者・利明は、事故で亡くなった妻の肝細胞に「Eve1」と名づけ密かに培養します。しかし、「Eve1」は恐ろしい未知の生命体へと変わり、利明を求めて暴走を始めるという話です。

話は恐ろしい内容ですが、迫力ある描写でどんどん惹きつけられるのがポイント。ホラーが好きな方はもちろん、バイオサスペンスが好きな方にもおすすめです。

殺戮にいたる病

講談社 著者:我孫子武丸

叙述ミステリーの極致ともいわれるサイコホラー小説。1992年に刊行されてから、30年近く読まれ続けているロングセラー作品です。

主人公は、東京の繁華街で猟奇的殺人を重ねてきたサイコキラー・蒲生稔。凌辱の果てに殺人を繰り返した彼が、逮捕されるところから物語は始まります。

物語のスタートからラストまで、恐ろしい殺人者の行動や魂の軌跡をたどった衝撃的な内容です。ラストのどんでん返しも見どころ。サイコパスを題材にした小説や、グロテスクなホラーを読みたい方におすすめです。

夏と花火と私の死体

集英社 著者:乙一

乙一のデビュー作で、少女の死体をめぐる物語のホラー小説。ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞しています。

“九歳の夏休み、私は殺されてしまったのです…。”と、少女の死体目線という斬新な語り口で、ホラー界を驚愕させた本作品。幼い兄妹の悪夢のような、4日間の冒険が描かれています。

次々と兄妹に襲いかかる出来事に、ハラハラドキドキしながら読み進められるスリリングな1冊。中高生ごろから、大人までおすすめのホラー小説です。

親指さがし

幻冬舎 著者:山田悠介

女性のバラバラ殺人事件をきっかけに始まった、呪いと恐怖のノンストップホラー小説。映画化やマンガ化もされている名作です。

沢武たち、小学生5人は由美が聞きつけてきた噂話をもとに、死のゲーム「親指さがし」を始めます。しかし、ゲームの終了後そこに由美の姿はありませんでした。それから7年経ち、武たち4人は過去を清算するため、事件の真相を求めるため、再び親指探しを行いますが…。

臨場感のある描写力があり、背筋がゾッとするような恐怖が連続して襲いかかります。中学生ごろの年代の方にも読みやすいおすすめの1冊です。

夜行

小学館 著者:森見登美彦

累計32万部を突破した、話題のファンタジーホラー小説。直木賞と本屋大賞にWノミネートされました。10年前に起きた失踪事件の鍵を握る、謎の絵画連作『夜行』をめぐる物語です。

私たち6人は、京都で学生時代を過ごした仲間でした。しかし、皆で訪れた鞍馬の火祭のなか、仲間の1人である長谷川さんが突然姿を消します。それから10年経ち、残された5人は祭で再会。夜が更けていくなか、それぞれが旅先で出会った謎の銅版画について語り出します。

怪談・青春・ファンタジーとさまざまな要素が詰まっているのが魅力。静かで不気味な雰囲気がただよう、おすすめのホラー小説です。

クリムゾンの迷宮

KADOKAWA 著者:貴志祐介

凄惨なゼロサム・ゲームを描いた傑作ホラー小説です。綿密な取材や斬新な着想から、日本ホラー界の新しい地平を切り拓くといわれる作品。マンガ化もされました。

主人公・藤木芳彦が、この世のものとは思えない異様な場所で目を覚ますところから、物語が始まります。そこは、雨に濡れ、視界一面が鮮やかな深紅色に染まった世界でした。

彼のそばに置いてあった携帯ゲーム機の電源を入れてみると“火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された。”という文字が映し出されます。藤木含めゲームの参加者9人は、携帯ゲーム機に導かれ、生き残りをかけた凄惨な世界へいざなわれるのです…。

人間の恐さを感じられ、ハラハラドキドキ感からページをめくる手が止まらない1冊。ゲーム・SFホラー・サバイバルホラーが好きな方におすすめです。

墓地を見おろす家

KADOKAWA 著者:小池真理子

直木賞作家・小池真理子による、衝撃と戦慄の名作モダンホラー小説。タイトル通り、墓地に囲まれた家に次々と襲いかかる恐怖を描いています。

都心に位置する新築で格安マンションという、抜群な条件のしゃれたマンションに移り住んだ哲平一家。しかし、そこは広大な墓地に囲まれていたのです…。

全身が凍り付くような、ゾッとする得体の知れない恐怖が次々と襲いかかります。怪異ものが好きな方や、とにかく恐ろしい王道ホラー小説を読みたい方におすすめです。

よもつひらさか

集英社 著者:今邑彩

奇妙な味わいのある全12編の短編ホラー小説。戦慄・恐怖の異世界を繊細に描いた1冊です。ミステリーやサスペンス要素もあります。

表題の『よもつひらさか』とは、1人で歩くと死者に会うことがあると言い伝えられている不気味な坂。なだらかな坂を登る私に、青年が声をかけてきます。ちょうど立ちくらみを起こした私は、青年の差し出すなまぬるい水を飲み干しますが…。

人間の怖さや怪奇現象など、ゾワゾワ感のあるさまざまな恐怖を味わえるのがポイント。サクッと読める短編ホラー小説を読みたい方におすすめです。

異端の祝祭

KADOKAWA 著者:芦花公園

民俗学を扱ったオカルトホラー小説。ポップでありながら、ねっとりした不気味な物語が癖になるといわれている話題作です。マンガ化もされています。

主人公は、失敗続きの就職浪人生・島本笑美。就職できない原因は、彼女は物心がついたときから、人間とそうでないものの区別がつかないことでした。

ある日、ダメ元で受けた大手食品会社「モリヤ食品」の面接で、青年社長・ヤンと出会います。出会った瞬間から自分に惚れ込んでいるヤンに心奪われ、笑美はモリヤ食品への就職を決定。しかし、「研修」といわれ、ヤンに伴われた笑美が見たのは、奇声を上げながら這いまわる人々だったのです…。

モリヤ食品の謎が解けた瞬間、かつてない戦慄が訪れるのが見どころ。不気味なゾワゾワ感や、異様で独特な世界観により、読む手が止まらない魅力のあるおすすめ小説です。

禁じられた楽園 新装版

徳間書店 著者:恩田陸

直木賞受賞作家・恩田陸による幻想ホラー小説です。建築学部に通い平凡な生活を送る大学生・平口捷の前に現れた、若き天才美術家・烏山響一。ある日、捷は烏山から熊野の大自然のなかに作られた野外美術館へと招待を受けます。

訪れるとそこには奇妙な芸術作品や、得体のしれない恐怖に満ちていました。奇怪な芸術作品が見る者を悪夢に引きずり込みます。

本作品は、烏山の仕掛けた罠が何なのかも見どころ。ダークファンタジー要素のあるホラー小説が好きな方におすすめの作品です。

ON 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子

KADOKAWA 著者:内藤了

新しいタイプのホラーミステリー・警察小説の誕生といわれる作品。日本ホラー大賞の読者賞を受賞しています。シリーズは13冊刊行され、ドラマ化もされました。

かつて自分が犯した殺人と同じ手口で、自ら命を絶つという、奇妙で凄惨な自死事件が続きます。新人刑事・藤堂比奈子たちは事件を追いますが、捜査中に自死映像の画像がネットに流出。やがて、未解決の少女惨殺事件が浮かんできます。

スピード感にあふれ、読み進めやすい作品です。おぞましくグロテスクな描写が詳細に描かれている一方で、ほのぼのとしたシーンもあるのがポイント。サスペンス性の高いホラーに触れたい方におすすめです。

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SF・ファンタジー小説のおすすめ作品

アルジャーノンに花束を 新版

早川書房 著者:ダニエル・キイス

1959年に刊行されて以来、全世界に感動を与えてきた不朽のSF小説。日本だけで300万部を超える名作です。各国で映画化され、日本では2度ドラマ化されています。

32歳になっても幼児並みの知能しかない、パン屋の青年チャーリイ・ゴードンが主人公。そんな彼に、大学の先生が頭をよくしてくれるという夢のような話が舞い込んできました。

チャーリイは話に飛びつき、白ネズミ・アルジャーノンを競争相手に検査を受けます。やがて、手術によって彼の知能は向上。天才に変貌した彼が愛や憎しみ、喜び、孤独などを通じて人の心の真実を知っていく物語です。

チャーリイを通して描かれた、人間の本質や心理描写が秀逸な1冊。世界の名作に触れたい方や、感動する小説を読みたい方におすすめです。

一九八四年 新訳版

早川書房 著者:ジョージ・オーウェル

20世紀世界文学の最高傑作といわれ、初版以来の発行部数は3000万部超えのディストピア小説。2021年には大学入学共通テストで本作品が取り上げられました。世代を超えて愛され続けている名作です。

1949年に発表され、監視社会や絶対的統治の恐怖を描いています。物語の舞台は、1984年「ビッグ・ブラザー」が率いる党が支配する、全体主義的な近未来。党員のウィンストン・スミスは、完璧な服従を強いる政治体制に、不満を抱いていました。

あるとき、彼は奔放な美女のジュリアと恋に落ちたことをきっかけに、反政府地下活動に惹かれるようになっていきますが…。

芸術・思想など各分野に、大きな影響を与えた作品。世界の今を予言し“この本が現実になる”とも評されています。世界的名作に触れたい方におすすめです。

夏への扉 新版

早川書房 著者:ロバート・A・ハインライン

1956年にアメリカで刊行された古典SF小説。世界中で半世紀以上愛され続けている名作で、タイムトラベルものという小説のジャンルを確立させた作品ともいわれています。日本では2021年に映画化もされました。

主人公は天才発明家・ダニエルと、彼の愛猫・ピート。冬になるとピートは、家のドアのうちのひとつが夏に通じていると信じて「夏への扉」を探し始めます。親友と恋人に裏切られたダニエルも同様でした。

その後、彼は冷凍睡眠で1970年から、30年後の2000年に送り込まれてしまいます。ダニエルは失ったものを取り戻せるのでしょうか。

1956年当時から見た近未来表現の鮮やかさや、ダンの愛くるしさが魅力。中学生・高校生頃の年代の方にも読みやすく、SFファンから恋愛小説好きの方までさまざまな層におすすめです。

われはロボット 決定版

早川書房 著者:アイザック・アシモフ

1940年代の「SF黄金時代」の立役者の1人である巨匠アイザック・アシモフのSF小説。1950年に刊行されてから、今なおロボットSFの古典として親しまれている名作です。2004年公開のSF映画『アイ,ロボット』の原典でもあります。

“ロボットは人間に危害を加えてはならない”という、ロボット工学三原則の第1条を改変した事件に、ロボット心理学者・キャルヴィンが挑む『迷子のロボット』をはじめ、さまざまなロボット開発史が描かれた連作短編集です。

本作品は、SFのなかに推理小説の要素もあるのがポイント。ロボット工学に興味のある方はもちろん、推理小説が好きな方にもおすすめです。

三体

早川書房 著者:劉慈欣

全世界でシリーズ累計2900万部を突破しており、現代中国最大のヒット作ともいわれるSF小説。3部作の第1作品目です。本作品は、SF界で名誉ある賞とされているヒューゴー賞の長編小説部門を、アジア人で初めて受賞しました。

主人公は中国人のエリート科学者・葉文潔。尊敬していた物理化学者の父・哲泰を「文化大革命」で亡くし、人類に絶望します。そして、彼女は宇宙に向けて、秘密裏に電波を発信。電波は惑星「三体」の異星人に届き、驚くべき結果をもたらします。

本作品は壮大なスケールで話が繰り広げられるのがポイント。宇宙をテーマにしたSFに興味がある方におすすめです。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

早川書房 著者:フィリップ・K・ディック

現代SFの旗手ともいわれる、フィリップ・K・ディックのSF小説。斬新な着想で「悪夢の未来世界」を描いている作品です。名作映画『ブレードランナー』の原作としても知られています。

物語の舞台は第三次大戦後の世界。放射能灰で汚れた地球では、生きた動物を持っているかが地位の象徴になっていました。人工の電気羊しか持っていないリックは、火星から逃亡した「奴隷」つまりアンドロイド8人の首にかかった賞金を目当てに、狩りを始めます。

アンドロイドが持つ「人間らしさ」を通して、人間とは何なのかを考えさせられる1冊。SFが初めての方にもおすすめの小説です。

ボッコちゃん

新潮社 著者:星新一

日本のSF作家の第一人者である、星新一の王道SF小説。作者が傑作50編を自選した作品集です。ショートショートで読みやすいのがポイント。舞台化やテレビ化もされています。

表題の『ボッコちゃん』はバーで人気の美人店員。そんな彼女には大きな秘密があったのです…。ほかにも、『おーい でてこーい』『殺し屋ですのよ』『月の光』『暑さ』など、楽しくスリリングな物語を楽しめます。

着想がユニークでユーモアがあったり、シャープな風刺があったりと、さまざまな表現にあふれているのがポイント。SF小説の初心者や、星新一作品を初めて読む方にもおすすめです。

新世界より

講談社 著者:貴志祐介

日本SF大賞で第1位に輝き、マンガ化・アニメ化もされたSFファンタジー小説。“21世紀SF最高傑作”とも評されています。

舞台は1000年後の日本、豊かな自然に囲まれた集落・神栖66町です。神の力である念動力を得た人類は平和に暮らしていました。野心と希望に燃えている、念動力の技を磨く子供たち。しかし、隠された先史文明の一端を知ってしまいます。

本作品は、上・中・下の3冊で構成されている物語なので、まとめて読むのがおすすめ。ダークファンタジーが好きな方に向いている小説です。

星を継ぐもの

東京創元社 著者:ジェイムズ・P・ホーガン

宇宙を舞台にした、本格ミステリーの要素もあるSF小説。ハードSFの巨星ともいわれるジェイムズ・P・ホーガンのデビュー作で、星雲賞を受賞しました。日本ではマンガ化もされています。

月で月面調査員が、深紅の服をまとった死体を発見するところから物語はスタート。調査の結果、死体は死後5万年が経過していることが判明します。果たして、現生人類とはつながりがあるのでしょうか。一方で、木星の衛星・ガニメデでは地球のモノではない、宇宙船の残骸が発見されたのです…。

謎が謎を呼ぶ展開や、宇宙かつ5万年という壮大な規模のアリバイ崩しや謎解きにより、読み応えがある1冊。推理小説やミステリー小説が好きな方にもおすすめです。

同志少女よ、敵を撃て

早川書房 著者:逢坂冬馬

アガサ・クリスティー賞を受賞したSF小説です。逢坂冬馬のデビュー作でありながら筆力が高く、史上初めて選考委員全員が5点満点を付けたという作品。発売前からSNS上で話題になっていた小説で、直木賞にもノミネートされました。

本作品の舞台は1942年の独ソ戦。女性のみの狙撃小隊を描いた物語です。モスクワ近郊の農村に暮らす少女・セラフィマの日常は、ドイツ軍の急襲によって奪われます。彼女の母親・エカチェリーナや村人たちが惨殺。セラフィマも射殺の寸前で、赤軍の女性兵士・イリーナに救われます。

そして、彼女は日常と家族を奪った敵に復讐をすべく、訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意。やがて、訓練を重ねたセラフィマはスターリングラードの前線に向かいます。おびただしい死の果てに、彼女が目にした「真の敵」とは誰なのでしょうか。

アクションの臨場感や緊迫感、巧みな構成など完成度の高い1冊。戦争を描いた衝撃的な話題作に触れたい方におすすめです。

星の王子さま

新潮社 著者:サン=テグジュペリ

一度読んだら宝物にしたくなるといわれる名作小説です。ファンタジックで詩情にあふれているのが特徴。300以上の国と地域で訳され、総販売部数が2億部を超えた、時代を超えて愛されるロングベストセラー作品です。

砂漠に飛行機で不時着した僕は、ある男の子に出会います。それは、小さな小さな自分の星を後にして、いくつもの星をめぐったのち、7番目の星・地球にたどり着いた王子さまだったのです…。

王子さまが、行く先々で出会った人々の会話から「本当に大切なこと」を見つけていきます。子供から大人まで、普段あまり本を読んだことがない方にもおすすめの小説です。

モモ

岩波書店 著者:ミヒャエル・エンデ

ドイツの作家、ミヒャエル・エンデの名作ファンタジー小説。日本だけで341万部を突破しています。本作品は、町外れの円形劇場跡に迷い込んだ少女・モモの不思議な物語。モモは「時間どろぼう」から、盗まれた時間を人間に取り返そうとします。

人間本来の生き方を忘れてしまっている現代の人々に、時間の「真の意味」を教えてくれるのがポイント。メッセージ性があるため、児童書でありながら大人にもおすすめの小説です。

はてしない物語

岩波書店 著者:ミヒャエル・エンデ

児童向けの名作大長編ファンタジー小説です。『ネバーエンディング・ストーリー』として映画化もされました。10歳の少年・バスチアンが国の滅亡と再生を体験する壮大な物語です。

バスチアンはあかがね色の本を読んでいました。物語のなかのファンタージエン国は、正体不明の「虚無」に侵されて滅亡寸前。国を救うには人間界から子供を連れてくるほかありません。

そして、物語からの呼びかけに応えて本の世界に入ったバスチアンは、ファンタージエン国の将来を担うことになりますが…。

彼の体験を通して、友情や愛など大切なものについて考えさせられる1冊。子供から大人までおすすめの小説です。

ハリー・ポッターと賢者の石

静山社 著者:J.K.ローリング

全世界で大ヒットを記録し、映画化もされた名作ファンタジー小説の第1作品目。主人公のハリー・ポッターと、闇の魔法使いであるヴォルデモートとの因縁をめぐる物語です。

赤ん坊のころにヴォルデモートに両親を奪われたハリーは、何も知らずに平凡な家庭のおじとおばに育てられます。11歳の誕生日、ハリーのもとに突然届いたのは「ホグワーツ魔法魔術学校」への入学許可証でした。

彼はキングズ・クロス駅の、魔法使いしか入れない「9と4分の3番線」から出ている汽車でホグワーツに行き、さまざまな冒険を繰り広げます。

本作品ではハリーが学園生活で友情をはぐくむ様子や生い立ち、バトルシーンなどを描いており、読みごたえがあるのがポイント。「ハリー・ポッターシリーズ」の映画を観たことがある方や、ファンタジー小説が初めての方などにもおすすめの小説です。

指輪物語1 旅の仲間 上1

評論社 著者:J.R.R.トールキン

全世界に1億人のファンを持つといわれる、不朽のハイファンタジー小説。三部作からなる「指輪物語シリーズ」の第1作品目です。『ロード・オブ・ザ・リング』として映画化され、全世界で1億5000万部を突破。小説と映画ともに世界的大ヒットを記録しました。

ホビット族・フロドと仲間たちの冒険や、友情を描いた物語です。遠い昔、冥府の魔王・サウロンは自分の持つ悪しき力をすべて注ぎ込んで、指輪を作りました。そして、5000年後フロドが偶然指輪の持ち主になったことから物語は始まります。

魔法使い・ガンダルフから恐ろしい指輪の正体を知らされたフロド。仲間とともに、指輪を火の山に棄てるための旅に出ます。一体、彼らにはどんな危機が待ち構えているのでしょうか。

綿密に構成された壮大な世界観や、細かい描写が魅力。冒険ファンタジーを読みたい方や、歴史的な大ヒット作に触れたい方におすすめです。

精霊の守り人

新潮社 著者:上橋菜穂子

文化人類学者でもある作家・上橋菜穂子の長編ファンタジー小説。数々の賞を受賞したロングセラー作品です。舞台は人の世と精霊の世が混在する世界。女用心棒・バルサの活躍を描いた「守り人シリーズ」の第1作品目です。

物語は、異界の精霊の卵を体に宿したことで、王である父から命を狙われている「新ヨゴ皇国」の第2皇子・チャグムが川に転落し、バルサに救われるところから始まります。2人がほかの人々の助けを借りながら、さまざまな困難に立ち向かう話。チャグムが成長していく様子が見どころです。

本作品は、物語の世界観をリアルに情景描写しており、本の世界に引き込まれやすいのもポイント。大規模な冒険ファンタジー小説に興味がある方におすすめです。

鹿の王 1

KADOKAWA 著者:上橋菜穂子

綿密な医療サスペンスにして、壮大な冒険ファンタジー小説。本屋大賞や日本医療小説大賞を受賞しました。2022年には映画化もされ、シリーズ累計250万部を突破しています。

強大な帝国・東乎瑠(ツオル)から故郷を守るために戦う戦士団「独角」。妻と子を病で失い、絶望の底にあった独角の頭・ヴァンは戦いますが、奴隷に落とされて岩塩鉱に囚われていました。

ある夜、不気味な犬の群れが岩塩鉱を襲ったことにより、謎の病が発生。そこから生き延びたヴァンは、同じく病から逃れた幼子に、ユナと名付け育てますが…。2人生き残った父と子が、未曾有の危機に立ち向かっていきます。

ファンタジーでありながら優れた描写力があり、物語に引き込まれるのが魅力。壮大でリアルな医療ファンタジー小説に触れたい方におすすめです。

月の影 影の海 上 十二国記

新潮社 著者:小野不由美

異世界「十二国」で繰り広げられる、壮大なファンタジー小説です。小野不由美の代表作であり、シリーズ累計1280万部を突破している「十二国記シリーズ」の第1作品目。上下巻で構成されています。過去にはアニメ化やゲーム化などもされている人気作です。

平凡な毎日を過ごしていた女子高生・陽子はある日突然、金髪の髪の男・ケイキに異界へ連れ去られます。ケイキとはぐれ、異界で裏切りや飢餓、帰れない恐怖など試練の数々が陽子に待ち受けていますが、過酷な世界のなかでも気高く生きていく物語です。

細かく作りこまれた世界観や、陽子が成長していく様子を見られるのがポイント。本作品は吉川英治文庫賞も受賞しています。中学生ごろから大人までおすすめの小説です。

ナミヤ雑貨店の奇蹟

KADOKAWA 著者:東野圭吾

タイムトラベル・ファンタジー小説であり、伏線を回収していくミステリー小説でもある作品。東野圭吾の作品史上、もっとも泣けると謳われています。中央公論文芸賞受賞作で、映画化や舞台化もされ、世界累計1300万部を突破したベストセラーです。

舞台は、あらゆる悩み相談を請け負っていた「ナミヤ雑貨店」。廃業しているその雑貨店に、悪事を働いた3人の若者が逃げ込みます。すると、突然シャッターの郵便口から店内に、悩み相談の手紙が落ちてきました。

時空を超えて過去から手紙が投函されたのでしょうか。3人は戸惑いながらも、当時の店主・浪矢雄治に代わって返事を書きますが…。

次第に明らかになる雑貨店の秘密や、ある児童養護施設との関係が見どころ。心あたたまる感動のファンタジーを読みたい方におすすめです。

空色勾玉

徳間書店 著者:荻原規子

地上に神が歩いていた時代である古代日本の「豊葦原」が舞台のファンタジー小説。荻原規子のデビュー作で、1998年の初版から今なお親しまれている「勾玉シリーズ」三部作の第1作品目です。

空色勾玉を持ち、光に憧れる少女・狭也と、大蛇の剣を持ち、闇を夢見る少年・稚羽矢。2人の出会いが、豊葦原の世界を変えていく物語です。狭也の冒険のほか、恋愛要素もあります。

学生から大人まで読みやすい作品。日本を舞台にしたファンタジー小説が好きな方や、神話が好きな方などにおすすめです。

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歴史・時代小説のおすすめ作品

燃えよ剣 上

新潮社 著者:司馬遼太郎

幕末の動乱期に活躍した新選組副隊長・土方歳三の生涯を描いた歴史小説。『竜馬がゆく』と並び幕末ものの頂点をなすといわれる、司馬遼太郎の代表作のひとつです。映画・ドラマなどでたびたび映像化され、新選組ブームを巻き起こしました。累計500万部を超える国民的ベストセラーです。

武州石田村の百姓の子「バラガキのトシ」は、近藤勇や沖田総司らとともに、京都で新選組を始動させます。浪人や百姓上がりの寄せ集めにすぎなかった新選組を、当時最強といわれた軍事集団へと作り上げました。

池田屋事件などで、世にその名をとどろかせていきますが、薩長同盟が成立したことで、時流は一気に倒幕の方向へ向かっていき…。

壮絶な戦闘シーンがある一方で、近藤・沖田とのほほ笑ましいやり取りや、お雪との恋愛模様も見どころ。新選組が好きな方はもちろん、歴史小説初心者にもおすすめの作品です。

竜馬がゆく 一

文藝春秋 著者:司馬遼太郎

維新回天の立役者・坂本竜馬の生涯を、多数の青春群像とともに描いた歴史小説。“日本文学の金字塔”ともいわれています。文庫は全8巻で、総発行部数は2500万部超え。NHKで大河ドラマ化されたほか、たびたびドラマ化されています。2022年にはマンガ化もされました。

竜馬の幼年時代から、江戸での剣術修行の様子、青年時代、人斬り以蔵や桂小五郎との出会いまでを描いた1巻。竜馬は弱虫の末っ子で、12歳になっても寝小便をし、近所の子から、からかわれて帰ってきていました。そんな彼でしたが、14歳のときに小栗流の道場に通い始めてから、顔つきまでも変わっていきます。

現在の一般的な坂本竜馬像を形作ったともされる名作です。竜馬の力強い生きざまが、大きな活力を与えてくれるような魅力があります。幕末ものが気になる方におすすめの作品です。

村上海賊の娘 一

新潮社 著者:和田竜

戦国時代に起こった毛利と織田の戦い「木津川合戦」の史実に基づいて描かれた壮大な歴史小説。本屋大賞1位と吉川英治文学新人賞をW受賞しています。和田竜が4年の歳月をかけて執筆した最高傑作です。

和睦が崩れ、信長に攻められる本願寺。にらみ合いが続く乱世に「村上海賊」が名をとどろかせていました。当主・村上武吉の剛勇や荒々しさを継いだのは、娘の景。彼女は海賊働きに明け暮れ、地元では嫁の貰い手がいない醜女でした。そんな彼女が合戦前夜の難波へ向かうとき、物語が始まるのです…。

迫力にあふれる合戦の様子や、景が徐々に成長していく様子に、ドキドキワクワクしながら読み進められます。痛快爽快でエンターテインメント性が高い、おすすめの作品です。

坂の上の雲 1

文藝春秋 著者:司馬遼太郎

日露戦争で活躍した秋山好古・真之兄弟と、俳人・正岡子規を中心に、明治時代の明暗や近代国家誕生にかけた人々の姿を描いた歴史小説。文庫全8巻の累計発行部数は2000万部を突破している、不朽の国民文学です。ドラマ化もされています。

伊予松山に住む、貧乏士族の秋山兄弟と、彼らの竹馬の友・正岡子規。3人はやがて、それぞれ学問・天下を目指して東京へ向かいます。

司馬遼太郎が構想期間も含め、10年間を費やした大作。現代人に大きな大勢の登場人物の物語を読めます。同氏の大河小説のなかでも、特に高評価を受けているおすすめの作品です。

天地明察 上

KADOKAWA 著者:冲方丁

江戸時代に実在し、日本初の暦を作った渋川春海の半生を描いた時代小説。本屋大賞・吉川英治文学新人賞など、さまざまな賞を受賞しています。映画化やマンガ化もされ、読書界で話題沸騰のベストセラーとなりました。

4代将軍・徳川家綱の治世に、暦にずれが生じ始めていたため、日本独自の暦を作る大事業が立ち上がります。改暦の実行者として選ばれたのは、碁打ちにして数学者の渋川春海。彼の奮闘や挫折、喜び、恋などを通して成長していく様子をみずみずしく重厚に描いています。

春海がひたむきに事業に挑戦する姿や、人柄のよさに胸を打たれる作品。算術や天文学といった難しいテーマを扱いながら、読みやすくおもしろく描かれています。巧みな心理描写やエンターテインメント性の高さが魅力のおすすめ作品です。

アマテラスの暗号

廣済堂出版 著者:伊勢谷武

神道や天皇家の正当性、日本人はどこから来たのかなど、タブーとされてきた古代史究極の謎を照らす、新感覚の歴史ミステリー小説。写真挿絵・図・地図・系図など300点以上の資料を用いているのが特徴です。AmazonのKindle版有料コンテンツで、常時ベストセラーの話題作です。

元ゴールドマン・サックスの賢司は、日本人の父と40数年ぶりに再会する日、父がホテルで殺害されたとの連絡を受けます。父は、日本で長い歴史を誇る丹後の籠神社、第82代目宮司でした。

籠神社は伊勢神宮の内宮と外宮の両主祭神(アマテラスと豊受大神)がもともと鎮座していた日本唯一の場所。父の死を探るために、賢司は元ゴールドマン・サックス天才チームの友人らと日本へ乗り込みますが…。

数々の資料により臨場感にあふれ、大作ながら読み進めやすいのがポイント。日本のルーツが気になる方や、謎が多く詰まった歴史ミステリーに触れたい方におすすめです。

塞王の楯

集英社 著者:今村翔吾

「絶対に破られない石垣」と「どんな城をも落とす鉄砲」の、誇りをかけた職人同士の対決を描いた戦国歴史小説。2022年に直木賞を受賞しています。

越前の一乗谷城が織田信長に落とされたとき、幼い匡介は父母と妹を喪い、逃げる途中で石垣職人の源斎に助けられました。石垣作りの職人集団「飛田屋」で育てられ、後継者と目されるようになった匡介。彼は絶対に破られない「最強の楯」の石垣を作れば、戦をなくせると考えていました。

秀吉が病死し、戦乱の気配が近づくなか、匡介は琵琶湖畔にある大津城の石垣改修を任されます。一方で、そこを攻めようとしている毛利元康は、国友衆に鉄砲作りを依頼。国友衆の次期頭目・彦九郎は「至高の矛」の鉄砲を作り恐怖を植え付けることで、戦の抑止力になると思い、“飛田屋を叩き潰す”と宣言するのです…。

何重もの伏線、手に汗握るような戦いに、読む手が止まらない魅力があります。熱い戦いを描いた戦国ものが気になる方におすすめです。

蒼穹の昴 1

講談社 著者:浅田次郎

19世紀末の清朝末期の中国にあった紫禁城が舞台の、壮大な歴史小説。浅田次郎の大ベストセラー作品で、シリーズ累計590万部を突破しています。ドラマ化されたほか、2022年に宝塚歌劇団で初めて舞台化される予定です。

貧しい糞拾いの少年・春児は“汝は必ずや、あまねく天下の財宝を手中に収むるであろう”という予言を受けます。その予言を信じ、科挙の試験を受ける幼なじみで兄貴分の文秀とともに、都へ上りました。都で別れ、それぞれの志を胸に歩み始めた、2人の宿命を描いています。

春児が自らの生きる道を探す姿に、生き抜くことの尊さを感じられ、胸を打たれるような魅力がある作品。中国史を扱った歴史小説に初めて触れる方にもおすすめです。

蜩ノ記

祥伝社 著者:葉室麟

日本人の凛とした覚悟や矜持を描いた、感動の歴史小説。満票で直木賞を受賞しました。映画化もされ、累計75万部を突破しているベストセラーです。

前藩主の側室との密通をしたため、幽閉先で家譜編纂と10年後の切腹を命ぜられた、豊後羽根藩の元郡奉行・戸田秋谷。編纂補助と監視、密通事件の真相追求のため、不始末を犯した豊後羽根藩の檀野庄三郎は、彼のもとへ遣わされます。しかし、秋谷との清廉さに触れるうちに、檀野は彼の無実を信じるようになっていき…。

秋谷の気高い生きざまや、人間愛・家族愛などが感じられ、胸を打たれます。重々しさや哀しさがある一方で、爽やかさも感じられるのがポイント。感動の歴史小説に触れたい方におすすめです。

影法師

講談社 著者:百田尚樹

不遇の死を遂げた友と、2人の絆、そして友情を描いた感動の時代小説。『永遠の0』で有名な百田尚樹の、代表作のひとつです。

頭脳明晰で剣の達人だった磯貝彦四郎。将来を期待された彼は、なぜ不遇の死を遂げたのでしょうか。下級武士から筆頭家老に上り詰めた勘一は、生涯の契りを誓った彦四郎の死の真相を追います。

2人の運命を変えた20年前の事件や、確かな腕を持つ彦四郎が「卑怯傷」を追った理由の真相が、彼の生きざまを映し出すのです…。

切なさや美しさのある、彦四郎と勘一の友情に、涙を流す読者も多いおすすめの傑作。文庫版には、単行本には未収録の『もう一つの結末』が収録されています。

おそろし 三島屋変調百物語事始

KADOKAWA 著者:宮部みゆき

宮部みゆきが精力的に書き継いでいる人気の時代小説シリーズです。少女・おちかのもとに寄せられる、数々の怪異や不思議な話が詰まった連作短編集。ドラマ化もされています。

江戸で人気の袋物屋「三島屋」を営む叔父夫婦のもとで暮らす17歳のおちか。実家で起きたある事件をきっかけに心を閉ざしていましたが、三島屋を訪れる人々の不思議な話が、彼女の心を溶かし始めるのです…。

本作品には、曼珠沙華の花を恐れる建具商の話や、錠前屋が語る怪しい空き屋敷の話のほか、おちか自身の告白も収録されています。

ただ恐ろしいだけでなく、哀しさや心あたたまるような美しさも感じられる作品。宮部みゆきの秀逸な構成力やストーリーにより、引き込まれるように読み進められます。人情ものや怪談などの要素が詰まったおすすめの作品です。

黒牢城

KADOKAWA 著者:米澤穂信

“ミステリの精髄と歴史小説の王道”と評されている作品。直木賞と山田風太郎賞を受賞しています。ほかにも、ミステリが読みたい!や、このミステリーがすごい!などの4大ミステリランキングで、史上初めて1位に輝いた傑作です。

物語の舞台は、本能寺の変より4年前、天正6年冬の有岡城。織田信長に反旗を翻して、城に立てこもった荒木村重は、城内で多発する事件に翻弄されていました。動揺する人々を落ち着かせるべく、地下牢に捕まえていた織田方の軍師・黒田官兵衛に謎を解くよう求めます。

織田軍に包囲されている密室状態の有岡城で起こる奇怪な事件の謎、憎み合いながらともに謎解きを重ねていく村重と官兵衛の関係性など、見どころが多いのがポイント。心理戦・推理戦が好きな方や、歴史小説初心者にもおすすめの小説です。

八朔の雪 みをつくし料理帖

角川春樹事務所 著者:髙田郁

料理人として研鑽を重ねる主人公・澪の奮闘や、周りの人々の人情が織りなす連作時代小説です。映画やドラマなど、メディアミックス作品も多いベストセラー作品。シリーズは全10巻で完結しています。

神田御台所町にある「つる家」は、江戸の人々にはなじみの薄い上方料理を出している店。故郷・大坂で幼少期に両親を失い、天涯孤独の澪は、店を任され調理場で腕を振るっていました。

大坂と江戸の味の違いに戸惑いながらも、彼女は天性の味覚や負けん気で日々研鑽を重ねます。そんなある日、澪の腕を妬んだ名料理屋「登龍楼」が、妨害をしかけてきますが…。

どんな困難にも、前を向いて立ち向かう澪の強さに心打たれ、応援したくなるような魅力があります。また、周りの人々の優しさにも心あたたまるのもポイント。食べ物をテーマにした小説が気になる方や、人情ものが好きな方にもおすすめです。

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