犯罪や事件の謎を解いていく「ミステリー小説」。伏線が回収されていったり、どんでん返しがあったりと、読みがいがあり面白い作品が多数あります。

今回は、ミステリー小説のおすすめ作品を新刊・初心者向け・どんでん返し系・海外ミステリーに分けてランキング形式でご紹介。読みやすい名作をピックアップしたので、ぜひ参考にしてみてください。

※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。

ミステリー小説とは?

ミステリー小説とは、殺人・詐欺・誘拐・盗難など、何かしらの犯罪や事件の謎を、論理的に解決していく小説ジャンルのひとつ。推理小説や探偵小説などともいわれるジャンルです。

小説家のエドガー・アラン・ポーが、1841年に刊行した『モルグ街の殺人』が、ミステリー小説の始まりとされています。

読者も一緒に犯人や動機、犯行方法など事件の謎を推理できる作品も多いのが魅力。また、物語が進むごとに伏線が回収されていく様子が、ワクワク感やドキドキ感を呼ぶと人気の高いジャンルです。

ミステリー小説のなかにも後味の悪さがやみつきになる「イヤミス」、物語を読者の先入観によってミスリードする「叙述トリック」、滑稽で笑いを誘う「バカミス」などさまざまな種類があります。

新刊ミステリー小説のおすすめランキング

第1位 ファラオの密室

宝島社 著者:白川尚史

ファラオの密室

古代エジプトを舞台に、主人公のミイラが自分が亡くなった理由を解き明かしていくミステリー小説。2024年にこのミステリーがすごい!大賞で大賞を受賞しました。著者は起業家・弁理士・上場企業役員など数々の肩書を持つ白川尚史です。

紀元前1300年代後半の古代エジプト。死んでミイラにされてしまった神官・セティは、心臓に欠けがあり、冥界の審判を受けられません。欠けた心臓を取り戻すためにミイラとして地上に舞い戻りますが、与えられたのは3日間でした。

セティは自分が死んだ事件の捜査を進めていくうちに、もうひとつの大きな謎に直面。棺に収められた先王のミイラが、密室状態だったピラミッドの玄室から消え、外の大神殿で発見されたと言い……。

斬新な設定かつ壮大な物語でありながら、物語をきれいに着地させています。スピーディーな展開で、古代エジプトに興味がない方でも一気読みできるのも魅力。面白い設定のミステリーを読みたい方におすすめの野心作です。

第2位 変な家2 ~11の間取り図~

飛鳥新社 著者:雨穴

変な家2 ~11の間取り図~

大ヒットを記録した不動産ミステリー小説の続編です。奇妙な間取りの謎11編と、推理編が収録されているのが特徴。著者の雨穴が、14万文字超えの内容を完全書下ろししています。

間取りの謎に挑むのは、前作に続きフリーライターの筆者と、設計士・栗原。『行先のない廊下』『闇をはぐくむ家』『林の中の水車小屋』など、中部地方に建つ11の奇妙な家が登場します。

それぞれの謎を探っていくうちに見えてくる、ある共通点。長い歴史の闇に埋もれた、悪意の正体とは何なのでしょうか。

すべての謎がつながったとき、戦慄するといわれています。図解とともに物語が描かれており、読みやすいのもポイント。不穏な雰囲気が漂う、おすすめのミステリー小説です。

第3位 人間標本

KADOKAWA 著者:湊かなえ


人間標本

美少年たちを蝶に見立て標本にした、異常殺人犯の手記形式で描かれたミステリー小説。人気ミステリー作家・湊かなえの、作家生活15周年記念書き下ろし作品です。タイトルは江戸川乱歩の『人間椅子』をオマージュしています。

犯人・榊史朗博士の手記形式で犯行の一部始終や、SNS上でのざわめきがつづられた作品。”蝶が恋しい。蝶のことだけを考えながら生きていきたい。”と、蝶の目に映る世界を欲した榊博士は、ある日天啓を受けます。

彼にとって美しい少年たちは蝶であり、その輝きは標本になっても色あせることはありません。5体目の標本を完成させ大きな達成感を得ますが、再び榊博士の飢餓感は膨れ上がります。今こそ最高傑作を完成すべきだと、彼の目が蝶として捉えたのは、幼いときから成長を目に焼き付けてきた息子の姿で……。

物語が二転三転し、一気読みする読者が多数。”イヤミスの女王、さらなる覚醒”といわれており、湊かなえの原点ともなる「イヤミス」の真髄に触れたい方におすすめです。

第4位 名探偵じゃなくても

宝島社 著者:小西マサテル

名探偵じゃなくても

小学校教師の主人公が持ち込む謎を、レビー小体型認知症を患う祖父が安楽椅子探偵として活躍するミステリー小説。2023年にこのミステリーがすごい!大賞で大賞を受賞した人気作品の続編です。

クリスマス直前に、居酒屋で「サンタクロース消失事件」について議論していた楓たち。すると、紳士然とした我妻に声をかけられました。彼は元小学校校長だった楓の祖父の教え子だと言います。

「連続殺人未遂事件」や「泣いている死体」など、楓や我妻が持ち込んでくる謎の数々を、レビー小体型認知症の祖父が解決していく本作品。しかし、彼の症状は一進一退を繰り返しており……。

祖父と楓の会話にほっこりさせられ、心あたたまる作品。海外ミステリーの古典のオマージュなども含まれ、マニアでも楽しめます。連作短編形式で読みやすく、日常系の謎が好きな方におすすめのタイトルです。

初心者向けミステリー小説のおすすめランキング

第1位 容疑者Xの献身

文藝春秋 著者:東野圭吾

容疑者Xの献身

東野圭吾による人気ミステリーシリーズ「ガリレオシリーズ」の第3作品目。発行部数はシリーズ累計で1500万部を突破しています。単行本刊行時に、ミステリベスト1や直木賞のほか、さまざまな賞を総なめにした名作。映画化や舞台化もされています。

不遇な日々を送っていた天才数学者の高校教師・石神は、1人娘と暮らす隣人・靖子に想いを寄せていました。しかし、ある日靖子は、彼女の元夫・富樫に付きまとわれ、とっさに自室で彼を殺害してしまいます。彼女の犯行に気付いた石神は、靖子を救うために完全犯罪を企てるのです……。

本作品では、命がけの純愛が生んだ犯罪を描いています。天才物理学者の主人公・湯川学が事件の謎に挑み、最後までハラハラする展開がポイント。推理ものが好きな方はもちろん、愛の物語を読みたい方にもおすすめです。

第2位 告白

双葉社 著者:湊かなえ


告白

我が子を校内で亡くした教師の告白から始まる、ベストセラーミステリー小説。”イヤミスの女王”と評される湊かなえのデビュー作です。本屋大賞を受賞し、英訳版は全米図書館協会のアレックス賞を受賞しています。松たか子主演で映画化されており、2022年には文庫本単体で300万部を突破しました。

娘の愛美を校内で亡くしたS中学校の女性教師・森口悠子。彼女は終業式の日にホームルームで”愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです”と告白します。

語り手がクラスメイトから犯人の家族、犯人へと変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りになっていく物語構成です。さまざまな伏線や衝撃的なラストも見どころ。イヤミスに興味がある方は触れておきたい、おすすめの名作です。

第3位 謎解きはディナーのあとで

小学館 著者:東川篤哉

謎解きはディナーのあとで

2011年に本屋大賞を受賞し、年間ベストセラー1位も記録したミステリー小説です。ドラマ化・映画化もされた人気作品。「宝生グループ」の令嬢であり、国立署の新米刑事・宝生麗子と、毒舌な執事兼運転手・影山が難事件に挑戦する物語です。

数々の事件に奮闘する麗子が、家に帰りディナーを楽しみながら、難解な事件のことを影山に相談します。すると、影山は”お嬢様の目は節穴でございますか?”と毒舌で麗子に指摘しつつ、鮮やかに謎を解いていくのです……。

本作品には合計で6つの難事件が収録されています。ユーモアがたっぷり含まれており、笑える要素も多いのがポイント。コメディー色が強いため、学生やミステリー初心者でもおもしろく読みやすい、おすすめの1冊です。

第4位 氷菓

KADOKAWA 著者:米澤穂信

氷菓

米澤穂信のデビュー作でもある青春ミステリー小説です。高校の古典部員たちがさまざまな謎を推理し、解決していく人気の「古典部シリーズ」第1作品目。映画化・マンガ化・漫画化されており、シリーズ累計発行部数は290万部を突破しています。

主人公は、何事にも積極的にかかわらない、省エネ主義をモットーとする折木奉太郎。入学した高校で、姉・供恵の命令により部員0の古典部に入部します。そこで出会った少女・千反田えるの一言で、彼の伯父が関わったとされる、33年前の事件の真相を推理することになったのです……。

気になったことには猪突猛進するえると、真反対な性格の奉太郎の掛け合いもポイント。高校生ならではのビターな青春を描いています。学園ものや、読みやすいミステリー小説を求める方におすすめです。

第5位 #真相をお話しします

新潮社 著者:結城真一郎

第1位 #真相をお話しします

日本の現代的なテーマと本格ミステリーが融合した、人気のミステリー小説です。5つの短編を収録しており、収録作品のひとつ『#拡散希望』は日本推理作家協会賞の短編部門を受賞。また、2023年に本屋大賞にもノミネートされました。

2022年6月末に出版され、約4ヵ月で13万部超えと新人作家としては異例の大ヒットを記録。オーディオブック化もされました。

家庭教師の派遣サービス業に従事する大学生が訪問した奇妙な家庭の話や、不妊に悩みながらようやく子を授かったものの別の「娘」が現れ予想外の真実が明らかになる話、子供が4人しかいない島を舞台に「YouTuber」になることにした子供たちを描いた話などが収録されています。

緻密かつ大胆な構成が話題を呼んだ作品。”切れ味最凶、二度読み不可避”とも謳われており、次々に襲い来るどんでん返しを楽しめます。ミステリー小説が初めての方にもおすすめです。

第6位 屍人荘の殺人

東京創元社 著者:今村昌弘

屍人荘の殺人

今村昌弘のデビュー作で、「屍人荘の殺人シリーズ」第1作品目です。多くの人気作家が大絶賛している、本格ミステリー小説。鮎川哲也賞や第18回本格ミステリ大賞を受賞しているほか、さまざまなランキングで1位を獲得しています。

主な登場人物は、神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長・明智恭介に加え、同じ大学の名探偵・剣崎比留子です。

3人はいわくつきといわれる映研の夏合宿に参加するため、ペンション「紫湛荘」を訪問。初日の夜に皆で肝試しに出かけると、想像しえない事態に巻き込まれ、紫湛荘へ立てこもらざるを得ない状況になります。

緊張と混乱の夜が明けると、部員1名が密室で惨殺死体となって発見。しかし、それは連続殺人の幕開けに過ぎなかったのです……。3人が生き残り、謎を解き明かせるかどうかが見どころ。奇想と本格が融合した、おすすめのミステリー小説です。

第7位 青の炎

KADOKAWA 著者:貴志祐介

青の炎

ホラーをはじめとして、SF・ミステリーで数々のヒット作を生み出してきた貴志祐介による、切ない青春ミステリー小説。2003年には二宮和也主演で映画化され、2022年には舞台化もされた人気作品です。

湘南の高校に通う17歳の少年・秀一は、女手1つで家計を担う母、素直で明るい妹と3人で平和に暮らしていました。

しかし、3人の前に現れたのは、母が10年前に別れた元夫・曾根。彼は家に居座ると傍若無人に振る舞い、母や妹の体に手を出そうとします。警察も法律も守ってくれず、話し合いも成立しないため、秀一は曾根を殺害することを決意するのです……。

犯罪に手を染めてしまった秀一の哀切な心情が、リアルに描かれているのがポイント。貴志祐介ミステリーが初めての方にもおすすめの作品です。

第8位 かがみの孤城

ポプラ社 著者:辻村深月

かがみの孤城

ファンタジー仕立てで描かれたミステリー小説。2018年の本屋大賞のほか、さまざまな賞で9冠を達成しました。発行部数が累計160万部を突破したミリオンセラー作品で、2022年には映画化もされています。

主人公は、同級生の発言がきっかけで、学校での居場所をなくしてしまった中学1年生の少女・こころ。ある日突然、閉じこもっていた彼女の部屋の鏡が輝きだします。

鏡をくぐり抜けると先にあったのは、城のような建物。そこには、こころと似た境遇の7人の子供が集められていたのです……。

すべての謎が明らかになるとき、驚きだけでなく感動するのもポイント。中学生ごろから大人まで、”生きづらさを感じているすべての人に贈る物語”とされているおすすめの小説です。

第9位 すべてがFになる

講談社 著者:森博嗣

すべてがFになる

理系ミステリーを定着させたとされる「S&Mシリーズ」の第1作品目。講談社のエンターテインメント作品に贈られる、第1回メフィスト賞を受賞した森博嗣のデビュー作です。発行部数はシリーズ累計で390万部を突破し、アニメ化・ゲーム化・ドラマ化もされました。

孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全隔離の生活を送る天才工学博士・真賀田四季。N大の助教授・犀川創平と女子学生・西之園萌絵が孤島に訪れていた最中、真賀田博士の部屋からウエディングドレスをまとった死体が発見されます。

犀川と萌絵が不可解な密室殺人に挑む本格ミステリー小説です。物語に騙され、衝撃を受ける読者も多いのがポイント。密室ものや、孤島サスペンスものが好きな方におすすめの作品です。

第10位 占星術殺人事件 改訂完全版

講談社 著者:島田荘司

占星術殺人事件 改訂完全版

本格ミステリーの旗手として知られる、島田荘司のデビュー作。名探偵・御手洗潔が事件を解決していく「御手洗潔シリーズ」の第1作品目で、1981年に刊行されてから長年愛され続けるロングセラー小説です。東西ミステリーベスト100では、日本ミステリー部門第3位に選出されました。

密室で殺された画家が残した手記に書かれていたのは、6人の処女の肉体から完璧な女性「アゾート」を創る計画。彼の死後、実際に6人の若い女性が行方不明になりました。

そして、肉体の一部を切り取られた状態で、日本各地で発見されます。事件から40数年経ち、未解決である猟奇殺人のトリックを御手洗潔が解いていく物語です。推理小説の名作を読みたい方や、衝撃的なトリックに興味がある方におすすめです。

第11位 火車

新潮社 著者:宮部みゆき

火車

数々の賞を受賞し、ヒット作を生み出している宮部みゆきによるミステリー小説です。山本周五郎賞を受賞し、ミステリー史に残る傑作とされています。2011年にはドラマ化もされました。

物語の主人公は、休職中の刑事・本間俊介。彼は、遠縁の男性の婚約者・関根彰子の行方を探すことになります。彼女は自らの意思で失踪、足取りを消していました。

なぜ彰子は、自分の存在を消さなければならなかったのか、彼女は何者なのかという謎を解いていく物語。謎を解く鍵は、クレジットカード社会の犠牲になった、自己破産者の凄惨な人生に隠されていたのです……。

お金に関する社会問題を描いたミステリーで、ハラハラドキドキするストーリー展開が魅力。宮部みゆき作品を初めて読む方にもおすすめです。

第12位 三毛猫ホームズの推理

KADOKAWA 著者:赤川次郎

三毛猫ホームズの推理

刑事・片山と猫の探偵・ホームズの活躍を描いた、ユーモア・ミステリーの代表作ともいわれる小説。赤川次郎の代表作でもある人気長寿シリーズ「三毛猫ホームズシリーズ」の第1作品目です。2012年には相葉雅紀主演でドラマ化されたほか、漫画やゲームなどメディアミックス作品が多数展開されています。

刑事であるものの血・アルコール・女性が苦手な独身の片山。そして、ときどき物思いに耽るクセのある猫・ホームズ、2人の周りには事件があふれています。

コミカルでライトな雰囲気が人気を博しているシリーズ。気軽に読みやすいミステリーで、初心者や中高生にもおすすめの作品です。

第13位 白夜行

集英社 著者:東野圭吾

白夜行

殺人事件の被害者の息子と、容疑者とされる娘の軌跡を描いた長編ミステリー小説。舞台化・ドラマ化・映画化された人気作品で、累計発行部数は200万部を突破しています。

1973年、質屋を経営する男が、大阪の廃墟ビルで殺されるところから始まる物語。容疑者は浮上するものの、事件は迷宮入りしてしまいます。

暗い目をした被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の美しい娘・西本雪穂。別々の道を歩むことになった2人の周囲には、いくつもの犯罪の形跡が見え隠れします。そして、19年の歳月が流れますが……。

心を失った彼らの悲劇を、緻密な構成で描いた1冊です。大スケールで叙情的につづられているのがポイント。大ボリュームながら、一気読みしやすいおすすめの作品です。

第14位 六人の嘘つきな大学生

KADOKAWA 著者:浅倉秋成

六人の嘘つきな大学生

IT企業での就活をテーマにし、話題沸騰したミステリー小説です。本屋大賞やミステリが読みたい!、週刊文春ミステリーベスト10などさまざまなランキングにノミネート。映画・漫画・舞台などメディアミックス化も決定している人気作品です。

成長の著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて新卒採用を行います。最終選考に残った就活生6人に与えられたのは、1ヵ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションするという課題でした。

波多野祥吾は、ほかの5人とともに内定を取るため交流を深めていきますが、本番直前に”6人の中から1人の内定者を決める”と通達されます。仲間だったはずの6人はライバルとなり、議論を交わすなか、6通の封筒が発見され……。

6人の大学生の嘘や罪などが書かれた作品。多数の伏線やどんでん返しに次ぐどんでん返しが楽しめます。就活をしている方だけでなく、人間の心理戦を描いた作品を読みたい方におすすめです。

第15位 孤狼の血

KADOKAWA 著者:柚月裕子


孤狼の血

マル暴の刑事と極道の戦いを描いた警察小説で、シリーズ三部作の最初の物語。日本推理作家協会賞の長編および連作短編集部門を受賞したほか、このミステリーがすごい! 2016年版で3位にランクイン。2度映画化もされています。

物語の舞台は、昭和63年の広島です。所轄署の捜査二課に配属された新人の日岡。彼はヤクザとの癒着を噂される先輩刑事・大上のもとで、暴力団系列の金融会社社員の失踪事件を担当することになります。

飢えた狼のように、違法行為を繰り返す大上に戸惑いながらも、極道の男たちに挑んでいく日岡。やがて、失踪事件をきっかけに、暴力団同士で抗争が勃発します。大上は衝突を食い止めるため、大胆な秘策を打ち出しますが……。

迫力があり、先の読めない展開や予想もつかないようなラストが見どころ。登場人物一人ひとりのキャラクターがしっかり立っており、魅力的に描かれています。”日本ミステリー史に残る、今世紀最高の悪徳警官小説”とも評され、ハードボイルドが好きな方におすすめの小説です。

第16位 ハヤブサ消防団

集英社 著者:池井戸潤

ハヤブサ消防団

のどかな田園地帯の集落を舞台に、ミステリー作家が連続放火事件に挑むミステリー小説。経済小説で有名な池井戸潤初の「田園」小説で、「小説すばる」連載中から注目を浴びている作品で、出版から間もない2023年には早くもドラマ化されています。

ミステリー作家の三馬太郎は東京での暮らしに見切りをつけ、亡き父の故郷・八百万町のハヤブサ地区に移住。太郎は地元の人の誘いで居酒屋を訪れた際に、消防団に勧誘されます。迷った末に入団を決意しますが、やがて集落で進行していた事件のことを知るのです……。

状況が二転三転し、怪しい人物が次々と現れる先の読めない展開が魅力。のどかな田舎暮らしと不穏な事件がバランスよく描かれています。一風変わった趣の池井戸潤ミステリーを読みたい方におすすめです。

第17位 准教授・高槻彰良の推察 民俗学かく語りき

KADOKAWA 著者:澤村御影


准教授・高槻彰良の推察 民俗学かく語りき

民俗学の准教授と孤独な大学生のコンビが、怪奇事件や都市伝説の謎を解釈していく、民俗学ミステリー小説です。「準教授・高槻彰良の推察シリーズ」の第1作品目。マンガ化やドラマ化もされている人気作品で、シリーズ累計90万部を突破しています。

深町尚哉は幼いころに青い提灯の祭に行くという奇怪な体験をして以来、人の嘘が分かる耳を持っています。それが原因で、大学1年生になった今も孤独に過ごしていました。そんなある日、何となく受講した「民俗学II」のイケメン准教授・高槻に気に入られ、助手をすることになります。

彼と親しくなるにつれて、高槻の瞳が時折青く変わることや、超記憶能力を持っていることなどを知っていく尚哉。実は、高槻も幼いころに奇怪な体験をしていたのです……。

変わった能力を持つ2人が、能力を活かしながら登場人物たちの悩みを救っていくのがポイント。また、民俗学の豆知識も高槻のセリフのなかで披露され、面白く読み進められます。ヒューマンミステリーが好きな方におすすめの小説です。

第18位 変な家

飛鳥新社 著者:雨穴

変な家

オカルト専門のフリーライター・雨穴による不動産ミステリー小説。Webサイトでは166万PVを超え、YouTubeでは1500万回以上再生され、2024年に映画化も決定している話題作です。

謎の空間や二重扉、窓のない子供部屋など、さまざまな物件にある不可解な間取りの謎をたどった先に見た、衝撃の事実がつづられています。

物語の最初の物件は、雨穴の知人が購入を検討しているという、都内の中古一軒家。一見ごくありふれた物件に思えましたが、間取り図には謎の空間がありました。知り合いの設計士に間取り図を見せると、「奇妙な違和感」がそこかしこにあると言います……。

ドキュメンタリー形式で描かれており、ホラー要素もある1冊。不動産が好きな方や、怖いミステリー小説に興味がある方におすすめです。

どんでん返し系ミステリー小説のおすすめランキング

第1位 十角館の殺人 新装改訂版

講談社 著者:綾辻行人

十角館の殺人

伝説の建築家・中村青司が、各地で建てた館で起こる惨劇を描いた「館シリーズ」の第1作品目。綾辻行人のデビュー作で、”現代本格ミステリーの金字塔”とも評されています。

発行部数は累計100万部を突破しているミリオンセラー小説。2020年には漫画化され、2024年にはHuluでの実写映画化が予定されています。

本作品の舞台は孤島・角島に建つ、十角形の奇妙な館。館を建てた中村青司は、半年前に燃えた青屋敷で焼死したといいます。その館を大学ミステリ研の7人が訪問。やがて、学生たちを連続殺人犯が襲うのです……。

“ミステリー史上最大級”ともいわれる、驚愕の結末が待ち構えているのがポイント。密室ものや王道ミステリー小説に興味がある方におすすめです。

第2位 葉桜の季節に君を想うということ

文藝春秋 著者:歌野晶午

葉桜の季節に君を想うということ

叙述トリックが特徴的で、騙される読者も多いミステリー小説。このミステリーがすごい!や本格ミステリ大賞、日本推理作家協会賞など各賞を受賞した、現代ミステリーの名作です。

物語の主人公は、自称「何でもやってやろう屋」の元私立探偵・成瀬将虎。ある日、同じフィットネスクラブに通う愛子から、霊感商法事件の調査を依頼されます。そして同時期に、自殺を図ろうとしていた女性・麻宮さくらを救い、運命的な出会いを果たすというあらすじです。

霊感商法の事件の真相や、将虎の恋の行方も見どころ。”必ず2度、3度と読みたくなる究極の徹夜本”とされています。恋愛小説の要素もある、おすすめのミステリー小説です。

第3位 新装版 殺戮にいたる病

講談社 著者:我孫子武丸


新装版 殺戮にいたる病

叙述ミステリーの極致ともいわれる、衝撃的なホラーミステリー小説。殺人者の行動や魂の軌跡をたどった物語が描かれています。

東京の繁華街で猟奇的殺人を重ねたサイコキラー・蒲生稔が、逮捕されるところから始まる物語です。凌辱の果てに惨殺が繰り返され、最初から最後まで、身も凍るような蒲生の行動を見られます。

サイコパスを題材にした作品に興味がある方や、ゾッとするミステリー小説を読みたい方におすすめです。

第4位 イニシエーション・ラブ

文藝春秋 著者:乾くるみ

イニシエーション・ラブ

“必ず2回読みたくなる”といわれる、驚愕のミステリー小説。甘くほろ苦い、青春恋愛小説の要素もあります。累計発行部数は150万部を超え、2015年には映画化もされた作品です。

就職活動中の大学4年生・鈴木は代打で出た合コンでマユと出会い、2人は恋に落ちていきます。鈴木は就職活動で内定が出た東京の大企業を蹴り、地元静岡の会社に就職しました。

しかし、彼はいきなり東京勤務を命じられてしまいます。遠距離恋愛になってしまった2人の間には、いつしか隙間が生じていくのです……。

最後から2行目でどんでん返しが起き、まったく違ったストーリーに変貌するのが見どころ。恋愛小説が好きな方や叙述トリックが好きな方、ミステリー小説の初心者にもおすすめです。

第5位 medium 霊媒探偵 城塚翡翠

講談社 著者:相沢沙呼

medium 霊媒探偵 城塚翡翠

霊媒師の探偵が主人公で、”すべてが、伏線。”と謳われているミステリー小説です。このミステリーがすごい!や、本格ミステリ・ベスト10などのミステリーランキングで5冠を達成。漫画化やドラマ化もされている人気作品です。

推理作家・香月史郎は、死者が視える霊媒・城塚翡翠と出会います。彼女は死者の言葉を伝えられますが、証拠能力がないため、香月の論理と組み合わせながら事件を解決しなければなりません。

そして、2人は世間を騒がす連続死体遺棄事件に立ち向かうことになります。証拠を残さない殺人鬼にたどり着けるのは、翡翠が持つ超常の力のみ。しかし、魔の手は彼女に迫っており……。

テンポがよく読みやすい繊細なストーリーのなかで展開される、端正なロジックや驚愕のトリックなどが魅力。ミステリーを堪能できる、おすすめのどんでん返し系作品です。

第6位 リバース

講談社 著者:湊かなえ

リバース

主人公が10年前に起きた事件の真相に向き合う、ヒューマンミステリー小説。湊かなえ作品では初めて男性を主人公としているのが特徴です。2017年にはドラマ化もされています。

主人公は、おいしいコーヒーを淹れるのが趣味の平凡なサラリーマン・深瀬和久。そんな彼は、行きつけのコーヒー豆専門店で出会った越智美穂子と、ひょんなことから付き合うことになりました。

ようやく華やぎのある人生になると思っていた矢先、”深瀬和久は人殺しだ”と書かれた告発文が美穂子のもとに送りつけられます。そして、深瀬は自分の心に閉じ込めていた、ある出来事を美穂子に話し始めますが……。

深瀬が過去の出来事に立ち向かっていく姿に心が震えます。多くの読者に衝撃を与えたラストも見どころ。どんでん返しやイヤミスが好きな方へおすすめの1冊です。

第7位 ハサミ男

講談社 著者:殊能将之


ハサミ男

精緻にして大胆で、長編ミステリーの傑作とされる小説。メフィスト賞を受賞した殊能将之のデビュー作で、2005年には映画化もされた作品です。

連続美少女殺人事件が起き、被害者の喉には研ぎあげられたハサミが突き立てられていました。その残虐性から「ハサミ男」と名付けられた犯人。彼は3番目の犠牲者を決めて調べ上げますが、自分の殺人手口をまねて殺された女性の死体を発見します。

“自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。”という謎を解くため、ハサミ男は第3の殺人の真犯人を探す羽目になるのです……。

サイコキラーが真犯人を調査するという、一風変わった物語がポイント。スリルのあるミステリー小説に興味がある方におすすめです。

第8位 アヒルと鴨のコインロッカー

東京創元社 著者:伊坂幸太郎

アヒルと鴨のコインロッカー

吉川英治文学新人賞の受賞作品で、伊坂幸太郎の名作青春ミステリー小説。大学生特有の青春が描かれているのが特徴です。映画化もされています。

主人公・椎名が大学入学のために引っ越してきたアパートで出会ったのは、最初に黒猫、次に悪魔めいた長身の美少年・河崎。彼はいきなり僕に”一緒に本屋を襲わないか”という話を持ちかけます。

河崎の目的は広辞苑1冊。おかしな話に乗る気はなかった椎名ですが、彼は決行日の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまっていたのです……。

物語のなかに複数散りばめられている伏線が、きれいに回収されていくのが魅力。ミステリー小説の初心者にも読みやすいおすすめの名作です。

第9位 方舟

講談社 著者:夕木春央


 方舟

地震によって水没が迫っている地下建築を舞台にした、クローズドサークルもののミステリー小説です。週刊文春ミステリーベスト10やMRC大賞2022で1位を獲得したほか、各ミステリー賞にランクイン。2023年本屋大賞にもノミネートされ、話題を呼んでいます。

主人公の終一は、大学時代の友達と従兄とともに、山奥にある地下建築を訪れます。そこで、偶然出会った3人家族とともに、地下建築のなかで夜を過ごすことになりました。

しかし、翌日の明け方に地震が発生し、地下建築の扉が岩でふさがれてしまいます。さらに、地盤に異変が起き、室内に水が流入し始めました。誰か1人を犠牲にすれば残りが脱出できる方法が見つかったものの、その矢先に殺人が起こります。タイムリミットまでの約1週間で、柊一たちは犯人を見つけなければなりません。

タイムリミットがあり、全員死ぬか犯人だけ死ぬかの緊張感が高まってくる展開や、予想を超える驚愕のラストなどがポイント。衝撃的でスリリングなミステリー小説を求める方におすすめです。

第10位 カラスの親指 by rule of CROW’s thumb

講談社 著者:道尾秀介

カラスの親指 by rule of CROW’s thumb

人情派のクライムミステリー小説です。日本推理作家協会賞の長編および連作短編集部門受賞作品で、直木賞にもノミネート。映画化もされた人気作品です。

主人公は人生に敗れた詐欺師の中年2人組、武沢と入川。ある日、彼らの生活に1人の少女が舞い込みます。やがて、少女の姉とその彼氏も同居することになり、「他人同士」の奇妙な生活がスタート。しかし、残酷な過去は彼らを離さなかったのです……。

それぞれの人生をかけ、彼らは大計画を企てます。息もつかせぬ逆転劇や驚愕のどんでん返し、感動のラストがポイント。道尾秀介の真骨頂ともされる、おすすめの1冊です。

第11位 向日葵の咲かない夏

新潮社 著者:道尾秀介

向日葵の咲かない夏

小学生の僕と妹のひと夏の冒険を描いたミステリー小説。2009年のベストセラーランキング文庫部門で1位に輝きました。発売から2年で100万部を突破したミリオンセラー作品です。

夏休みを迎える直前、終業式の日に僕は先生に頼まれて、欠席したクラスメイトの家を訪れます。すると、きい、きいと妙な音が聞こえており、僕はS君が首を吊って死んでいるのを発見。さらに衝撃もつかの間、彼の死体が忽然と消えてしまいます。

そして、1週間後あるものに姿を変えて僕の前に現れ、”僕は殺されたんだ”と訴えるS君。僕は半信半疑の思いで、妹・ミカと事件の謎を追い始めるのです……。

本作品にはミステリーにホラーやファンタジーの要素があるのがポイント。推理やどんでん返しも楽しめるおすすめの1冊です。

第12位 仮面山荘殺人事件

講談社 著者:東野圭吾

仮面山荘殺人事件

製薬会社社長が所有する山荘に集まった8人が繰り広げるミステリー小説。1990年に発表された東野圭吾初期の代表作のひとつで、2019年には舞台化されました。

物語の舞台は、製薬会社の社長・森崎伸彦の所有する山荘。交通事故で亡くなった彼の娘をしのぶため、彼女の婚約者・樫間高之や従妹・篠雪絵を含む8人の男女が集まります。

そこに、逃亡中の銀行強盗が侵入し、8人は外部との接触を絶たれてしまいました。脱出を試みるものの、ことごとく失敗。そして、恐怖や緊張が高まるなかで、ついに1人が殺害されてしまいます。状況から考えて犯人は強盗たちではありえません。7人は互いに疑心暗鬼にかられ、パニックに陥るのです……。

ラストで怒涛のどんでん返しがあり、一気読みできる魅力があります。クローズドサークルものが気になる方におすすめの傑作です。

第13位 満願

新潮社 著者:米澤穂信

満願

全6編を収録したミステリー短編集。山本周五郎賞を受賞し、ほかにも「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「ミステリーが読みたい」で3冠を達成したベストセラー小説です。2018年にはドラマ化もされました。

表題作は”もういいんです”と人を殺めた妻が控訴を取り下げ、静かに刑期を終えた彼女の本当の動機を描いた物語です。

ほかにも、美しい中学生の姉妹による官能と戦慄を描いた『柘榴』、ビジネスマンが最悪の状況に直面する『万灯』などを収録。さまざまな職業の人物を主人公にした物語で、息が詰まるような驚愕の結末が待ち構えています。

いずれの作品も、入念で精緻なトリックが魅力。”ミステリー短編集の金字塔”ともいわれるおすすめの小説です。

第14位 爆弾

講談社 著者:呉勝浩


爆弾

無差別爆弾テロを予言する男と警察の攻防戦を描いたミステリー小説。このミステリーがすごい! やミステリが読みたい!の2023年版で1位を獲得したほか、直木賞や本屋大賞2023にノミネートされるなど注目を浴びています。

ささいな傷害事件で、とぼけた見た目の中年男が野方署に連行されました。”スズキタゴサク”を名乗る、酔っ払いの男。警察も彼を見くびっていましたが、取り調べの最中に男は”十時に秋葉原で爆発がある”と予言します。

その直後、実際に秋葉原の廃ビルが爆発。そして、男はあっけらかんと”ここから三度、次は一時間後に爆発します”と告げます。警察は爆発を止められるのでしょうか。

男と警察の論戦は、ハラハラドキドキで緊迫感を味わえます。警察を翻弄する、狂気じみた男のキャラクターもポイント。直木賞の選考委員から”一級のエンタメ小説”とも評された、おすすめの傑作ミステリー小説です。

第15位 連続殺人鬼カエル男

宝島社 著者:中山七里

連続殺人鬼カエル男

無差別殺人を描いた、戦慄の社会派ミステリー小説。このミステリーがすごい!大賞の最終候補として、『さよならドビュッシー』とともにダブルエントリーされ、”こっちを読みたい”という声が続出した話題作です。2020年にはドラマ化もされました。

物語はマンションの13階で、フックで吊り下げられた女性の全裸死体が見つかるところから始まります。死体のそばには、子供が書いたような拙い犯行声明文がありました。本事件が、「カエル男」の最初の犯行だったのです。

警察の捜査が進まないまま、第2第3と無秩序に猟奇的な殺人が起こり、街はパニックに陥ります。カエル男の正体が何なのかが見どころです。

また、本作品では、法律の問題点についてつづられているのもポイント。どんでん返しが繰り返される、おすすめのサイコ・サスペンスものです。

海外ミステリー小説のおすすめランキング

第1位 そして誰もいなくなった

早川書房 著者:アガサ・クリスティー

そして誰もいなくなった

1939年初版で今なお世界各国で愛され続けている、海外ミステリーの古典的名作です。著者は海外ミステリーの女王として知られるアガサ・クリスティー。戯曲・ドラマ・映画・ゲームなどさまざまなリメイク作品があります。

物語は職業や年齢もバラバラな10人の男女が、孤島「兵隊島」集められるところからスタート。マザーグースの童謡の歌詞通りに、1人1人殺されていくという内容が緻密な構成で描かれています。

本作品では見立て殺人や、外部との接触ができない状態で起こる「クローズドサークル」など、さまざまなミステリー要素が含まれているのが特徴です。

登場人物たちの間で緊張感が高まると同時に、自分も登場人物の1人になったかのように、ドキドキハラハラの体験ができるのもポイント。小学生ごろからでも読めるため、初めて海外ミステリー小説に触れる方にもおすすめです。

第2位 緋色の研究

新潮社 著者:コナン・ドイル


緋色の研究

1887年に発表され、世代を超えて愛されるミステリー小説の名作シリーズ「シャーロック・ホームズシリーズ」の第1作品目。名探偵・ホームズと助手・ワトスンの出会いを描いた1冊です。近代の探偵小説を確立した作品ともいわれ、シリーズは映画や舞台、アニメなどメディアミックス作品が多数展開されています。

アフガニスタンの従軍から病み衰えて帰国した元軍医・ワトスン博士。彼がロンドンで下宿先を探していたところ、偶然同居人を探しているというホームズを紹介され、2人はベイカー街221番地Bで共同生活を送ることになります。

2人が初めて手がけたのは、空き家で起こるアメリカ人旅行者の奇妙な殺人事件。ホームズの推理によって浮かび上がってきた真相の背景には、長く哀しい物語があったのです……。

2部構成で、前半は殺人事件の解決までを描き、後半は犯人が犯罪を犯してしまった背景が詳細に描かれています。ホームズの超人的で精緻な推理、驚愕の真相、魅力的な登場人物など名作の理由にうなずける傑作。探偵小説に興味を持ったら触れておきたい、おすすめの傑作です。

第3位 オリエント急行の殺人

早川書房 著者:アガサ・クリスティー


オリエント急行の殺人

アガサ・クリスティーの有名なシリーズ「エルキュール・ポアロシリーズ」のなかでも有名なミステリー小説。ドラマ化・舞台化・ゲーム化などのほか、過去に2度にわたり映画化された名作です。

舞台は、真冬のヨーロッパを走る豪華列車「オリエント急行」。国籍・身分ともにさまざまな乗客が乗っていました。しかし、深夜にオリエント急行は積雪で立ち往生。そして翌朝、アメリカの老人・ラチェットが無惨な刺殺体として発見されます。

偶然急行に乗り合わせた名探偵・ポワロが捜査を始めますが、乗客全員に完璧なアリバイがあったのです…。外の世界と断絶され、緊迫した状況でストーリーは進みます。ミステリーの魅力が詰まった、おすすめの1冊です。

第4位 ザリガニの鳴くところ

早川書房 著者:ディーリア・オーエンズ

ザリガニの鳴くところ

2019年と2020年にアメリカで1番売れたとされているミステリー小説。日本では本屋大賞の翻訳小説部門1位を受賞し、全世界で1500万部を突破した大ベストセラーです。2022年には映画化もされました。

主人公は、ノースカロライナ州の湿地で1人生きてきた孤独な少女・カイア。1950年代、彼女は幼いころに家族に見捨てられ、人々に迫害されながら生きてきました。カイアは兄の友人だった少年・テイトから文字を教わって言葉を知り、本を読んで世界を知っていきます。

彼に惹かれたり、別離を経験したりしながらも強く生き抜いてきたカイア。しかし、ある日青年の遺体が見つかり、村の人々は彼女を容疑者にします。カイアは果たして事件の犯人なのでしょうか……。

カイアが孤独のなかでも、強く成長していくさまに胸を打たれる方も多い1冊。ミステリーのドキドキ感はもちろん、美しい描写も魅力的なおすすめの作品です。

第5位 ABC殺人事件

早川書房 著者:アガサ・クリスティー

ABC殺人事件

アガサ・クリスティー全盛期の代表作ともされる海外ミステリー小説。「エルキュール・ポアロシリーズ」のうちの1冊です。

物語は名探偵・ポワロのもとに、「ABC」と名乗る奇妙な犯人から、殺害予告の挑戦状が届くところからスタート。すると、予告通りAで始まる名前の地で、頭文字がAの老婆が殺害されます。現場には、「ABC鉄道案内」が残されていました。

間もなくして第2・第3の挑戦状が届くと、Bの地で頭文字Bの娘、Cの地で頭文字Cの紳士といった具合に次々と人が殺害されていくのです……。

犯人の目的や正体をポアロと、相棒・ヘイスティングズが解き明かしていきます。ポアロが真相に迫っていくドキドキ感を味わいたい方におすすめです。

第6位 ダ・ヴィンチ・コード 上

KADOKAWA 著者:ダン・ブラウン

ダ・ヴィンチ・コード 上

世界中で社会現象といえるほどの大ヒットを記録し、映画化もされた歴史ミステリー小説。「ロバート・ラングドンシリーズ」の第1作品目です。本作品を含め、ダン・ブラウンの著書は世界で総累計部数2億部を突破しました。

ハーヴァード大学教授で宗教象徴学専門のロバード・ラングドンが、芸術作品に隠されている暗号を解いていく物語です。

本作品では、ルーヴル美館長であるジャック・ソニエールが、館内で異様な死体として発見。そして、ラングドンは警察から捜査協力を求められます。ソニエールの死体は、ダ・ヴィンチの有名なデッサンを模した格好で横たわっていたのです……。

スリリングな内容で、読みやすいのが魅力。海外ミステリーの大ヒット作に触れたい方はもちろん、宗教学・歴史・芸術に興味がある方にもおすすめです。

第7位 オペラ座の怪人

KADOKAWA 著者:ガストン・ルルー

オペラ座の怪人

1910年に刊行され、20世紀のフランス大衆小説の傑作ともいわれる古典ミステリー小説。過去には何度も映像化されています。ミュージカルなども作られており、世代を超えて愛される不朽の名作です。

物語の舞台は19世紀末のパリ。華やかなオペラ座の舞台裏では、首吊り死体が発見されたり、シャンデリアが落下したりと奇怪な事件が続発します。

事件の陰には「オペラ座の怪人」と呼ばれる妖しい男がいました。そして、オペラ座の歌姫・クリスティーヌと、彼女に恋をしたラウルは、恐ろしい事件に飲み込まれていくのです……。

オペラ座の怪人と対峙したラウルが目にした光景や、怪人と歌姫の真実が解き明かされるのが見どころ。ミュージカルが好きな方や、歴史的名作に触れたい方におすすめの1冊です。

第8位 カササギ殺人事件 上

東京創元社 著者:アンソニー・ホロヴィッツ

カササギ殺人事件 上

著者が敬愛する、アガサ・クリスティーへのオマージュ・ミステリー小説。日本では本屋大賞翻訳部門で1位を獲得したほか、ミステリーランキングで7冠を達成しました。著者自ら脚本を務め、アメリカでドラマ化もされています。

物語の舞台は1955年7月サマセット州のパイ屋敷。鍵のかかった屋敷の階段の下で家政婦が倒れており、彼女の葬儀はしめやかに執り行われました。

彼女の死は、小さな村の人間関係にひびを入れていきます。余命わずかな名探偵、アティカス・ピュントはどのような推理をするのでしょうか。

古典のよさを感じられるだけでなく、現代ミステリーにもしっかり切り込んでいる秀作。伏線も多く散りばめられており、さまざまな驚きに満ちあふれています。海外ミステリー愛好家たちからも大絶賛を受けたおすすめの傑作です。

第9位 その女アレックス

文藝春秋 著者:ピエール・ルメートル

その女アレックス

“新感覚”といわれる誘拐ミステリー小説。本屋大賞や、このミステリーがすごい!大賞など、さまざまな賞で史上初の7冠を達成した作品です。

物語は、”おまえが死ぬのを見たい”と、アレックスが男に監禁されるところからスタート。衰弱して死を目前にした彼女は脱出を図ります。孤独な女・アレックスの壮絶な秘密が明かされるとき、物語は大逆転を繰り返すのが見どころです。

最後に待ち受ける驚愕の事実が、英米のミステリー界を戦慄させた1冊。衝撃的なミステリー小説を読みたい方におすすめの小説です。

第10位 Xの悲劇

東京創元社 著者:エラリー・クイーン

Xの悲劇 新訳版

“アメリカの推理小説そのもの”と評され、数多くの傑作を著した巨匠、エラリー・クイーンの代表作ともいわれる推理小説。鋭敏な頭脳を持つ元俳優の探偵、ドルリー・レーンが謎に挑む「レーン4部作」の第1作品目です。

本作品でレーンは、ブルーノ地方検事とサム警視から、ニューヨークの路面電車で起きた殺人事件についての調査を依頼されます。

事件の凶器は前代未聞の凶器である、毒針を植え付けたコルク球。大胆な犯行でしたが、容疑者は複数人いました。レーンは「犯人X」を特定できるのでしょうか。

綿密に練られたトリックや物語で、歴史的名作といわれる理由が分かるとうなずく方も多い1冊。王道の古典ミステリー小説を読みたい方におすすめです。

第11位 われら闇より天を見る

早川書房 著者:クリス・ウィタカー


 われら闇より天を見る

ミステリー小説と教養小説とロードノベルが一体となった犯罪小説です。英国推理作家協会賞で最優秀長篇賞などを受賞。日本でもこのミステリーがすごい! 2023年版海外編で1位など、年末発表のミステリーランキングで三冠を達成しています。

物語の舞台はカリフォルニア州にある海沿いの町、ケープ・ヘイヴン。30年前に子供が子供を誤って殺してしまった事件は、今も町に暗い影を落としていました。そんななかで、自称無法者の少女・ダッチェスは、30年前の事件から立ち直れない母親と、まだ幼い弟と懸命に生きています。

一方で、町の警察署長・ウォークはその事件で、親友・ヴィンセントが逮捕されるに至った証言を未だ悔いていました。そして、ヴィンセントが刑期を終えて町に帰ってきたことを引き金に、さまざまな惨事が連鎖的に起きるのです……。

過酷な運命と戦うダッチェスの姿を描き、人生の闇に差すひと筋の光を感じられるのがポイント。家族小説としても、謎解きのミステリーとしても楽しめるおすすめの作品です。

第12位 自由研究には向かない殺人

東京創元社 著者:ホリー・ジャクソン

自由研究には向かない殺人

自由研究で失踪事件を調べる女子高生の姿を描いたミステリー小説。著者のデビュー作にして英米のベストセラーとなり、日本ではハヤカワ・ミステリマガジンのミステリが読みたい! 海外篇で1位を獲得しました。ほかにも、このミステリーがすごい!海外編など数々のミステリーランキングの上位を獲得した話題作です。

高校生のピップは、自由研究で自分の住む町で起きた、17歳の少女の失踪事件について調べています。その事件は、少女の交際相手の少年が彼女を殺害した後、自殺したというものでした。

しかし、その少年と親しかったピップは彼が犯人だと信じられず、無実を証明するために自由研究を口実に関係者にインタビューしていきます。すると、意外な人物が容疑者に浮上し……。

ピップが真相を見出すべく、あきらめず突き進む姿は多くの読者の心を打ちました。情報収集にSNSを使う手法で、新しい捜査小説としても評判を呼んでいます。爽やかな青春ミステリーを読みたい方におすすめです。

第13位 毒入りチョコレート事件 新版

東京創元社 著者:アントニイ・バークリー

毒入りチョコレート事件 新版

“謎解き小説の離れわざ”ともいわれる、毒殺事件を扱った古典ミステリー小説。イギリスのミステリー黄金時代を代表する巨匠、アントニイ・バークリーの代表作です。ミステリーのさまざまなオールタイムベストにもランクインしています。

小説家のロジャー・シェリンガムが創設した「犯罪研究会」会員たちは、迷宮入り寸前の難事件に挑むことになりました。被害者は、新製品という触れ込みの、毒が仕込まれたチョコレートを試食した夫妻。夫は一命をとりとめたものの、夫人は死亡してしまいます。

しかし、そのチョコレートは夫妻宛ではなく、別の人に送られたモノでした。会員たちは独自に調査し、各自の推理を披露していくのです……。

会員たちのさまざまな推理を楽しめますが、最後にどんでん返しの推理が見られます。多重解決ものの名作に触れたい方へおすすめです。

ミステリー小説の売れ筋ランキングをチェック

ミステリー小説のランキングをチェックしたい方はこちら。