実話がもとになっている「ノンフィクション小説」。ていねいな取材や直感によって描かれることで、臨場感溢れているのが魅力です。実在の事件や戦争をテーマにしたモノから、恋愛や旅行を取り上げたモノなど、さまざまなジャンルの作品が存在します。
そこで、今回はノンフィクション小説のおすすめ作品をご紹介。ノンフィクション系の賞を受賞した作品を中心にピックアップしました。ぜひ参考にしてみてください。
※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。
ノンフィクション小説の魅力

事実を題材に、著者の綿密な取材と「伝えたい」という確固たる意志によって紡がれるノンフィクション小説。著者の使命感や熱量を感じさせる作品は、読者の心に響きやすいのが特徴です。作品によっては、読者の価値観を揺さぶるほどの衝撃を与えます。
「事実は小説よりも奇なり」という言葉通り、ノンフィクション小説は時として、フィクション作品では得られない面白さを体験できることも。事実の持つ力を感じてみたい方は、ぜひノンフィクション小説を読んでみてください。
ノンフィクション小説のおすすめ|事件
殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件
新潮社 著者:清水潔
「調査報道のバイブル」とまで謳われたノンフィクション小説です。新潮ドキュメント賞と日本推理作家協会賞を受賞しています。
群馬と栃木の県境、半径わずか10km圏内で5人の少女が失踪しました。同一犯による連続事件とも考えられるなか、「足利事件」だけが解決した事件として扱われます。
著者の執念の取材により、冤罪と真犯人、さらには司法の暗部をつまびらかにしていく作品。調査報道に興味のある方におすすめの1冊です。
父と母 悔恨の手記 「少年A」 この子を生んで……
文藝春秋 著者:「少年A」の父母
日本中を震かんさせた「神戸連続児童殺傷事件」にまつわるノンフィクション小説。事件の犯人「酒鬼薔薇聖斗」を、両親の目線からつづった手記です。
当時14歳の息子「少年A」。その正体は、神戸連続児童殺傷事件の犯人「酒鬼薔薇聖斗」でした。逮捕に至るまで生活を共にしていた両親が、息子や自分たちの教育がどこで間違ってしまったのかを涙と共につづります。
事件前後の家族の姿や心情、14年間の息子との生活が記されているのがポイント。息子が殺人犯だったという想像もできないような体験をした両親が、何を語ったのかが気になる方はぜひ読んでみてください。
桶川ストーカー殺人事件 遺言
新潮社 著者:清水潔
「記者の教科書」と呼ばれる、事件ノンフィクション小説の代表作。著者の清水潔は、すぐれた取材力と直感を駆使した作品を多数生み出しているノンフィクション作家です。
埼玉県の桶川駅前で、女子大生が殺害された事件。遺された悲痛な「遺言」は、事件の捜査が難航するなかで警察とマスコミによって歪曲されていくかと思われました。
しかし、「遺言」をもとに取材を続けた著者は、警察の闇と驚くべき事件の本質を暴き出します。一介の週刊誌記者が、迷宮入り寸前とまでされた事件の殺人犯を探し当て、警察組織の腐敗を世に知らしめた点に注目。ジャーナリズムの力を知りたい方におすすめです。
つけびの村 噂が5人を殺したのか?
晶文社 著者:高橋ユキ
わずか12人の村人のうち5人が一夜にして殺害された「山口連続殺人放火事件」の真実を暴く、ノンフィクション小説です。ノンフィクションライター・高橋ユキが、当時、世間で拡散されていた噂話の真相を少しずつ明かしていきます。
事件の犯人と考えられていた人物の家には、犯行を予告するかのような川柳が貼り付けられていました。しかし、それらはすべて噂話の域を出ることがなく…。
ほかのジャーナリストなら諦めるであろう複雑な事件に対し、果敢に挑んだ著者の執念を感じる1冊です。気鋭のノンフィクションライターが書き上げた作品をぜひ手にとってみてください。
毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記
講談社 著者:北原みのり

3人の男を手にかけた魔性の女・木嶋佳苗死刑囚を女性目線で描き出したノンフィクション小説。裁判の傍聴に加え、故郷や事件関係者への取材を通して、彼女の内面に迫っていく作品です。
男達を性と欺瞞で手なづけ、3人を練炭で殺害したとして2012年に死刑判決を受けた平成の毒婦・木嶋佳苗死刑囚。長期にわたる裁判では、彼女自身のセックス観についてまで詳細に語ったことで話題となりました。
男性はなぜ彼女に惹かれてしまうのでしょうか。事件の裏側を改めて知りたい方におすすめです。
ノンフィクション小説のおすすめ|戦争・歴史
アンネの日記 増補新訂版
文藝春秋 著者:アンネ・フランク
ナチス占領下で13歳から15歳という多感な時期を過ごした少女・アンネがつづる日記。自分用のモノと公開用のモノで2種類の日記が存在していますが、本作品は2つの日記を編集し、後年になって発見された文章を加えた「増補新訂版」です。
両親に対する切実な想いがつづられており、アンネ・フランクという少女の姿が鮮明に浮かび上がります。ルビを増大することで、アンネと同世代の子供たちにも親しみやすいように工夫しているのも特徴です。
ホロコーストの犠牲となり、わずか15年で生涯を閉じた少女の感性に触れたい方はチェックしてみてください。
夜と霧 新版
みすず書房 著者:ヴィクトール・E・フランクル
人間のすごさと恐ろしさを克明に描き出した作品です。世界中で読まれるロングセラーとして知られており、「言語を絶する感動」とまで謳われています。
ナチスが台頭していた時代に、強制収容所を生き抜いた心理学者・ヴィクトール・E・フランクル。本作品は、彼が収容所で体験したことや感じたことを記しています。
社会や歴史、そして人間存在そのものの本質を問いかけるノンフィクション小説。生きることの意味を再考したい方におすすめの1冊です。
ノモンハンの夏
文藝春秋 著者:半藤一利
戦争の真実に近づけるノンフィクション小説。満州国とモンゴル人民共和国との国境付近で起きたノモンハン事件に対する日本陸軍の対応の愚かさを、ときに怒りを込めて描き出しています。
司馬遼太郎と共に取材を行った半藤一利が、モスクワのスターリン、ベルリンのヒトラーの野望、中国の事情もふまえて執筆しました。参謀本部作戦課や関東軍作戦課といったエリートで構成される組織の決断が、満蒙国境での悲劇へと繋がったことを暴いています。
戦う理由すら見出せない戦いを強いられていた事実に、虚しさすら覚える作品。第二次世界大戦下における日本軍の実態に迫りたい方はチェックしてみてください。
人間の土地へ
集英社インターナショナル 著者:小松由佳
シリア内戦を内部から見つめた著者のノンフィクション小説。第8回山本美香記念国際ジャーナリスト賞を受賞した作品です。
日本人女性として初めてK2に登頂した著者は、砂漠でラクダと共に生きるシリアの青年と出会います。やがてシリア内戦が勃発すると、青年は徴兵されることに。同胞を殺したくない彼は脱走を試みますが…。
極限状態で生きる人間の姿が描き出されています。脱走した青年のその後が気になる方におすすめの作品です。
あの戦争から遠く離れて 私につながる歴史をたどる旅
新潮社 著者:城戸久枝
戦争と人間について深く追求した作品。第7回黒田清JCJ新人賞、第30回講談社ノンフィクション賞、第39回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した、評価の高い小説です。
戦争孤児だった父親は満州から中国へ、中国から祖国日本へと渡っていきます。家族や養母との別れを経た父の半生を知りたいと願う著者は、21歳の秋に中国へ旅立つのでした。
過酷な状況を生き抜いた父親の人生を追うことで、家族の歴史と運命を明らかにしています。戦争によって引き裂かれた家族の物語が気になる方は読んでみてください。
ノンフィクション小説のおすすめ|恋愛
選ばれる女におなりなさい デヴィ夫人の婚活論
講談社 著者:ラトナ・サリ・デヴィ・スカルノ
タレントとしてテレビでも活躍する、インドネシアのスカルノ元大統領第3夫人・デヴィ夫人の恋愛作品です。恋愛はいつも自分がリードするというデヴィ夫人独自の恋愛・結婚観を知ることができます。
せっかく恋愛のために努力するなら、報われるための行動をして欲しいと語る夫人。綺麗ごとを抜きにして、どのようにしたら幸せになれるかを語っています。華やかでありながらも壮絶な人生を送ったデヴィ夫人だからこそ語れる深い言葉が記されているのが魅力です。
たった2週間で大統領との結婚を決めた彼女が、世のなかの女性へ向けた提言に注目。デヴィ夫人の力強い言葉で、悩みを解決に導きたい方におすすめです。
嫌いになれるまで好きでいたいし、自分のことも好きになりたい
KADOKAWA 著者:ニャン
Twitterで支持される著者が贈る恋愛エッセイ。生きる意味や自分自身に価値を見出せないという不安定なユーザーから共感の声が続出している作品です。
嫉妬・束縛・独占欲など、恋愛におけるネガティブなワードをただ否定するだけではなく、うまく向き合っていくための考え方が詰まっています。生き辛い世のなかで、少しでも自信をつけるための心強いバイブルです。
後ろ向きな気持ちに寄り添いながら、それでも前を向くためのきっかけをくれる1冊。誰にも相談できない鬱屈した気持ちを持て余している方はぜひ読んでみてください。
恋愛がらみ。 不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ
小学館 著者:高山真

フリーランス編集者でエッセイストの高山真が、恋愛の悩みに徹底的なダメ出しを行うエッセイ。人気タレントのマツコ・デラックスやミッツ・マングローブとも仲のよい著者が紡ぐ言葉に注目してみてください。
ファッション誌『Oggi』で、女性の持つ悩みに答え続けてきた高山真。友達同士でも言わないであろう、歯に衣着せぬ言い回しに笑いと涙が溢れます。それでも最後は、もっと幸せになれるはずと不器用な女子の背中を後押ししてくれる作品です。
著者自身も不器用なことを自覚しているからこそ、本作品に記されている言葉は読者の胸に強く刺さります。愛のあるダメ出しを受けたい方におすすめの1冊です。
20代で得た知見
KADOKAWA 著者:F
ヒット作を重ねる作家・Fが贈る、著者自身の知見を書き記したエッセイです。若いときに感じる漠然とした不安や虚無感をすくいあげ、励ます言葉がつづられています。
本作品は全4章構成で、普遍的で実践的なことから心をえぐるようなことまで、20代を生き抜くための言葉が収められているのが特徴。特に、最終章では「愛に関する幾つかの殴り書き」と称し、恋愛や結婚に悩む方に刺さる考えを読めるのがポイントです。
抽象的な言い回しも多い作品ですが、著者の人生を通して紡がれた言葉には説得力があります。詩的な文章で恋愛をはじめ、人生について考えたい方におすすめです。
オクテ女子のための恋愛基礎講座
幻冬舎 著者:アルテイシア
自らフェミニストを称する作家・アルテイシアの恋愛エッセイです。モテなかった経験がありながら、結婚に漕ぎつけた著者の経験を踏まえた恋愛指南が展開されています。
草食系の男性が増えている現代で、恋愛をたくしてもなかなか機会に恵まれない女性たち。小手先のテクニックに頼らず、ちょっとした意識で本命とうまくいくためのアイディアが詰まっています。
「ストレスを減らして、出会いを増やすコツ」や「アラフォー女子よ 加齢を武器にせよ!」など、目をひく見出しが並んでいる本作品。自分を無理に変えてまで恋愛をしたくない方はぜひ読んでみてください。
ノンフィクション小説のおすすめ|旅・旅行記
凍
新潮社 著者:沢木耕太郎
クライマー・山野井泰史氏の登山を追うノンフィクション小説です。第28回講談社ノンフィクション賞を受賞しました。
登山家としての地位を確立してもなお、ストイックに登山と向き合う山野井氏は、ヒマラヤの難峰・ギャチュンカン制覇を目指します。しかし、彼とその妻が山の氷壁に手をかけたとき、その後に絶望的な状況に陥ることを知る由もなかったのでした。
圧倒的な自然の存在と夫婦の絆に感銘を覚える作品。フィクションと見紛う迫力のあるノンフィクション小説を読みたい方におすすめです。
謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア
集英社 著者:高野秀行
謎多き独立国家に潜入し、ルポルタージュする衝撃のノンフィクション小説。第35回講談社ノンフィクション賞、梅棹忠夫・山と探検文学賞を受賞した作品です。
崩壊国家とされるソマリアのなかに存在しているという独立国ソマリランド。楽園か地獄かもわからないソマリランドの真実をその目で見るために、著者は世界で最も危険とされるエリアに身を投じるのでした。
覚醒植物・海賊・イスラム過激派などと出会いながら、謎の国の実態に迫っていきます。まるでフィクションに登場するような刺激的な世界の話を読みたい方におすすめです。
転がる香港に苔は生えない
文藝春秋 著者:星野博美
中国返還前の香港で生きる人々の素顔を追ったノンフィクション小説です。第32回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞しています。著者の星野博美は、自然体の文章でありながら濃密な作品を生み出すことで知られているノンフィクション作家です。
1997年7月1日、イギリスから中国へ香港が返還。歴史的瞬間を体感すべく、著者は香港の地を踏むのでした。
故郷に妻子を残した密航者や夢破れてカナダから戻ってきたエリートなど、香港にいる人々の姿を著者の目線を通して鮮やかに映し出しています。当時の香港の空気を感じてみたい方はぜひ読んでみてください。
極夜行
文藝春秋 著者:角幡唯介
極夜という空間を求めて、北極へ赴いた体験を記したノンフィクション小説。ヤフーニュース本屋大賞ノンフィクション本大賞と大佛次郎賞を受賞した作品です。
誰にも知られていない未知の世界はもうほとんど存在しないとされる現代。角幡唯介はまだ知らない世界を求め、この数年は冬になると北極に旅立っていました。目的は太陽が地平線の下に沈み現れないことで生まれる漆黒の空間「極夜」。日が昇らない時間は、時として半年も続くといわれています。
はたして、太陽を見ずに長い時間を過ごした著者は何を考え何を思うのでしょうか。誰も到達したことのない冒険の全貌を知りたい方におすすめです。
ヤノマミ
新潮社 著者:国分拓
アマゾンの先住民「ヤノマミ」と150日間共に生活した著者がつづるノンフィクション小説です。第42回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した作品。著者はNHKのディレクターとして、多数の番組も手がけている人物です。
森の奥深くで耳を澄ませた150日間。おびただしい数の蝶が飛び、毒蛇が這い、夜は真っ暗な環境で、著者はヤノマミ族と生活を共にし、彼らの生き方に触れるのでした。
生まれたばかりの赤子の生死は母親ひとりに委ねられ、死後は虫になるという死生観を持つヤノマミ族。原初の暮らしを営む民族について知りたい方におすすめの1冊です。
読者の知らない世界を、リアリティのある筆致で描き出すノンフィクション小説。作品を読むことで、実在した事件や戦争などに対する理解を深められるのも魅力です。著者が恋愛や旅行を通して得た知見を学べる作品もあります。賞を受賞した作品もぜひチェックしてみてください。