実話がもとになっているノンフィクション小説。丁寧な取材や直感によって書かれることで、臨場感にあふれているのが魅力です。実在の事件や戦争をテーマにしたモノから、恋愛や旅行を取り上げたモノなど、さまざまなジャンルの作品が存在します。

そこで、今回はノンフィクション小説のおすすめ作品をご紹介。ノンフィクション系の賞を受賞した作品を中心にピックアップしました。ぜひ参考にしてみてください。

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ノンフィクション小説の魅力

事実を題材に、著者の綿密な取材と「伝えたい」という確固たる意志によって紡がれるノンフィクション小説。著者の使命感や熱量を感じさせる作品は、読者の心に響きやすいのが特徴です。作品によっては、読者の価値観を揺さぶるほどの衝撃を与えることも。また、広義ではエッセイもノンフィクションに分類されます。

「事実は小説よりも奇なり」という言葉通り、ノンフィクション小説は時として、フィクション作品では得られない面白さを体験できることも。事実の持つ力を感じてみたい方は、ぜひノンフィクション小説を読んでみてください。

ノンフィクション小説のおすすめ|事件

父と母 悔恨の手記 「少年A」 この子を生んで……

文藝春秋 著者:「少年A」の父母

父と母 悔恨の手記 「少年A」 この子を生んで......

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日本中を震撼させた「神戸連続児童殺傷事件」にまつわるノンフィクション小説。事件の犯人「酒鬼薔薇聖斗」を、両親の目線から綴った手記です。

当時14歳の息子「少年A」。その正体は、神戸連続児童殺傷事件の犯人「酒鬼薔薇聖斗」でした。逮捕に至るまで生活を共にしていた両親が、息子や自分たちの教育がどこで間違ってしまったのかを涙と共に綴ります。

事件前後の家族の姿や心情、14年間の息子との生活が記されているのがポイント。息子が殺人犯だったという想像もできないような体験をした両親が、何を語ったのかが気になる方はぜひ読んでみてください。

桶川ストーカー殺人事件 遺言

新潮社 著者:清水潔

桶川ストーカー殺人事件 遺言

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「記者の教科書」と呼ばれる、事件ノンフィクション小説の代表作。著者の清水潔氏は、すぐれた取材力と直感を駆使した作品を多数生み出しているノンフィクション作家です。

埼玉県の桶川駅前で、女子大生が殺害された事件。遺された悲痛な「遺言」は、事件の捜査が難航するなかで警察とマスコミによって歪曲されていくかと思われました。

しかし、「遺言」をもとに取材を続けた著者は、警察の闇と驚くべき事件の本質を暴き出します。一介の週刊誌記者が、迷宮入り寸前とまでされた事件の殺人犯を探し当て、警察組織の腐敗を世に知らしめた点に注目。ジャーナリズムの力を知りたい方におすすめです。

彼は早稲田で死んだ 大学構内リンチ殺人事件の永遠

文藝春秋 著者:樋田毅

彼は早稲田で死んだ 大学構内リンチ殺人事件の永遠

1972年11月に早稲田大学文学部構内で発生した「川口大三郎君事件」について綴られたノンフィクション小説です。第53回大宅壮一ノンフィクション賞を獲得した作品。2024年には本作を原案とする映画『ゲバルトの杜 彼は早稲田で死んだ』で映像化されています。

当時、早稲田大学第一文学部の自治会は「革マル派」の学生たちによって支配されていました。対立する「中核派」のスパイと疑われた同学部学生・川口大三郎氏は、激しいリンチの末に殺害され……。この事件に怒った一般学生が蜂起し、各党派の内ゲバがエスカレートしていきます。

当事者として暴力に直面した著者の真摯で切実な筆致が魅力。学生運動世代にはもちろん、若い世代にもおすすめのノンフィクション小説です。

でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相

新潮社 著者:福田ますみ

でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相

“殺人教師”の濡れ衣事件を描写する話題のノンフィクション小説です。第6回新潮ドキュメント賞受賞作であり、2025年には綾野剛氏主演で映画化。2009年に新潮社から文庫が発売されました。

2003年に、全国で初めて教師によるいじめが認められる体罰事件が発生します。地元の報道をきっかけに教師は激しく糾弾され、停職処分に。やがて争いの舞台は法廷に移り、教師には正義の鉄槌が下るはずでしたが……。

モンスターペアレントや教師を守らない学校、一方的に教師を非難するメディアなど、誰も守ってくれないなかでの冤罪事件の恐ろしさを綴っています。情報を疑う大切さを再確認できる、おすすめのノンフィクション小説です。

殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件

新潮社 著者:清水潔

殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件

「調査報道のバイブル」と絶賛された事件ノンフィクション小説です。2014年に新潮ドキュメント賞・日本推理作家協会賞を受賞した作品で、2016年に文庫化されました。連続幼女殺人事件の真相と闇を追う1作です。

群馬と栃木の半径10kmという狭いエリアで、5人の少女が姿を消しました。同一犯ではないのか、なぜ「足利事件」だけが解決済みなのか。執念の取材は衝撃の冤罪事件、野放しの真犯人、そして司法の闇を暴きます。

残虐な事件と冤罪に焦点を当てたノンフィクション小説で、徹底した取材で司法の杜撰さに迫った衝撃作として話題。ジャーナリズムによって、とにかく真実を追求するノンフィクション小説に、興味がある方におすすめです。

消された一家 北九州・連続監禁殺人事件

新潮社 著者:豊田正義

消された一家 北九州・連続監禁殺人事件

家族同士に殺し合いをさせた鬼畜な殺人鬼について綴る、衝撃のノンフィクション小説です。2009年に新潮社から文庫が発売されました。著者は、ノンフィクションライターとして知られる豊田正義氏です。

明るい人柄と巧みな話術で他人の家庭に入り込み、拉致監禁し壮絶な虐待を加えた男。男は7人の家族を奴隷のように扱い、恐怖心から家族間で殺し合いをさせました。最悪の天才殺人鬼・松永太の半生と凶行を描写します。

読み進めるのが辛くなるほど、残虐非道な殺人事件を扱った1作です。想像を絶する状況が鮮明に頭に浮かぶと話題に。フィクションであってほしいと願うほど、残虐な事件について描かれたノンフィクション小説を、探している方におすすめです。

心にナイフをしのばせて

文藝春秋 著者:奥野修司

心にナイフをしのばせて

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殺人事件の被害者遺族に焦点を当てたノンフィクション小説です。公式が”世間の常識を問う問題作”と謳う本作品。2009年に文藝春秋から文庫が発売されました。

凶悪な事件として知られる「酒鬼薔薇事件」の28年前に、似た事件が発生していました。高校1年生の息子を無惨に殺された母親の傷は癒えることなく、今も地獄を生きています。一方、被害者の同級生であった犯人は弁護士になり、社会復帰を果たしていました。

高校生同士で発生した殺人事件について、被害者遺族に話を聞きながら進む作品。事件後の被害者遺族の辛さが鮮明に描写されています。事件だけでなく事件のその後も深く掘り下げた、ノンフィクション小説に興味がある方におすすめの1作です。

冷酷 座間9人殺害事件

幻冬舎 著者:小野一光

冷酷 座間9人殺害事件

大量バラバラ殺人犯の人物像に迫る戦慄のノンフィクション小説です。2022年に幻冬舎から発売された文庫版で、犯人へのインタビュー経験がある高橋ユキ氏との対談も収録。330分に及ぶ獄中対話と裁判の様子も綴られています。

2017年10月、神奈川県座間市のアパートから、大量の切断遺体が発見され世間が震撼しました。女性8人、男性1人を殺害し解体した白石隆浩氏とは一体何者なのか、その異様さを1冊にまとめています。

明かされる犯人の人物像に、背筋が凍る感覚を覚えたという声も。一見普通にみえる犯人の様子が、反対に恐怖心を煽ると評されています。殺人犯の人柄に迫った作品を探している方におすすめです。

「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち

新潮社 著者:石井光太

「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち

家庭という密室で殺される子どもたちの実情を描く、虐待の深部に迫ったノンフィクション小説です。オムニバス形式の1冊。3つの虐待死事件を扱っています。2019年に新潮社から文庫が発売されました。

暗く寒い部屋に監禁されて食事が与えらないなかでも親の愛を信じ、1人で息絶えた5歳の少年。身勝手な理由で自分の子どもを手にかける親たちの生育歴を知り、みえる真実を描写します。

子どもを産んではいけない人間が存在すると、認識させられると話題になった1作です。加害者の生育環境も知ることで、子どもへの影響も理解できる本作品。虐待事件について深く言及したノンフィクション小説に、興味がある方におすすめです。

万博と殺人鬼

早川書房 著者:エリック・ラーソン

万博と殺人鬼

19世紀末のシカゴを舞台に巻き起こる、連続猟奇殺人事件を追うノンフィクション小説。アメリカの光と闇を描く犯罪実録作品で、エドガー賞を受賞した傑作です。

1893年の万博開催を間近に控えるシカゴ、難航する資金集めや襲いかかる天災。問題に直面するなか、人知れず”殺人ホテル”を作りあげ、恐ろしい猟奇犯罪を繰り返す連続殺人犯が暗躍していて……。

大きなプロジェクトの建築を無茶な依頼で遂行しなければならない建築家と、アメリカ最初の連続殺人鬼と呼ばれる人物を描く本作品。当時の光と影である2人を、交互に描写しています。海外の犯罪をテーマにしたノンフィクション小説に、興味がある方におすすめです。

新版 家族喰い 尼崎連続変死事件の真相

文藝春秋 著者:小野一光

新版 家族喰い 尼崎連続変死事件の真相

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“二十一世紀最大の謎”を追うノンフィクション作品です。洗脳と暴力によって、一般的な家族を崩壊させた人物の犯行を描いています。2017年に、新版として文藝春秋から刊行されました。

20年以上にわたり、8人の死者がでたある事件。その中心にいたのは1人の女性でした。非道で複雑な事件の真相を白日のもとに晒す1作です。

創作物よりも残虐な事件の詳細を、丁寧な取材をもとに作品としてまとめています。複雑な内容と登場人物の多さから、相関図を何度も見返したという声も。凄惨な事件の全貌をみてみたい方におすすめのノンフィクション小説です。

ノンフィクション小説のおすすめ|戦争

アンネの日記 増補新訂版

文藝春秋 著者:アンネ・フランク

アンネの日記 増補新訂版

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ナチス占領下で13歳から15歳までという多感な時期を過ごした少女・アンネが綴る日記。自分用のモノと公開用のモノで2種類の日記が存在していますが、本作品は2つの日記を編集し、後年になって発見された文章を加えた「増補新訂版」です。

両親に対する切実な想いが綴られており、アンネ・フランクという少女の姿が鮮明に浮かび上がります。ルビを増大することで、アンネと同世代の子どもたちにも親しみやすいように工夫しているのも特徴です。

ホロコーストの犠牲となり、わずか15年で生涯を閉じた少女の感性に触れたい方はチェックしてみてください。

それでも、日本人は「戦争」を選んだ

新潮社 著者:加藤陽子

それでも、日本人は「戦争」を選んだ

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日本近現代史を専攻する歴史学者・加藤陽子氏が手がけたノンフィクション小説です。中高生を対象とした5日間の集中講義をまとめた記録。第9回小林秀雄賞を獲得するなど、各方面から高い評価を得ている作品です。読書感想文のテーマとしても適しています。

日清戦争から太平洋戦争まで、戦争を繰り返した日本。甚大な犠牲を払いながら、国民の多くがなお”参戦やむなし”と判断した理由とは一体なんだったのでしょうか。

生徒自身に考えさせて意見を引き出し、史料や質疑応答を通じて専門家としての答えを示す手法をとっているのが特徴。歴史的視点を身につけたい方や、「戦争」について自分の頭でしっかり考えてみたい方におすすめのノンフィクション小説です。

日本のいちばん長い日 決定版

文藝春秋 著者:半藤一利

日本のいちばん長い日 決定版

運命を決めた24時間を資料をもとに再現したノンフィクション小説です。昭和20年8月14日正午からの1日を描いており、2006年に決定版を文庫化した1冊。戦後70年となる2015年に映画化もされました。

昭和20年8月6日に巻き起こった広島への原爆投下、ソ連軍の満州侵略。命運尽きた日本ですが、政府は徹底抗戦を叫ぶ陸軍によって提示されたポツダム宣言に対し判断を決められずにいました。終戦までの1日を描写します。

終戦を前に、あくまで抗戦を望む若手将校たち。ポツダム宣言を受諾する終戦が、一筋縄ではなかったと理解できると評判。終戦までをテーマにしたノンフィクション小説に、興味がある方におすすめです。

流れる星は生きている

中央公論新社 著者:藤原てい

流れる星は生きている

満州からの引き揚げを経験した著者が紡ぐノンフィクション小説です。敗戦後の日本へ帰国する厳しい道のりが綴られています。2002年に中央公論新社から出版されました。

昭和20年8月のソ連参戦の夜に、夫と引き裂かれた妻は3人の子どもと壮絶な脱出劇を開始します。敗戦下の苦難に耐え強く生き抜いた、1人の女性の戦いの記録です。

敗戦した日本人が満州から帰国する過酷さが、鮮明に綴られています。子どもを守る著者の、母としての強さと愛が感じられる1作。兵士や戦時中の物語ではなく戦争の影響を受ける女性に焦点を当てた物語に、興味がある方におすすめです。

収容所から来た遺書

文藝春秋 著者:辺見じゅん

収容所から来た遺書

過酷な環境でも希望を抱き続けた男の、遺書をテーマに当時の状況を紐解くノンフィクション小説です。第21回大宅壮一ノンフィクション賞と講談社ノンフィクション賞を、ダブル受賞し話題になった1作。二宮和也氏主演で2022年に映画化、そして漫画化もされています。

極寒の地獄でも笑顔を浮かべ、詩と友を愛し続けた1人の男。やがて、戦後12年目にシベリア帰還者から遺族に6通の遺書が届きます。その背後には、驚くべき事実が隠されていて……。

人間の尊厳と命の重さが詰まった1冊として高く評価されており、戦後も続いた収容所での生活が描写されています。遺書を日本まで届けた仲間たちの姿に心を打たれたという声も。シベリア抑留の物語を探している方に、おすすめのノンフィクション小説です。

雲の涯 中学生の太平洋戦争

KADOKAWA 著者:宗田理

雲の涯 中学生の太平洋戦争

戦時中に青春を過ごした中学生たちに迫る、記録をもとにしたノンフィクション小説。『ぼくらの七日間戦争』を筆頭とする「ぼくら」シリーズで知られる小説家・宗田理氏が、証言や資料を集めながら執筆した作品です。

昭和20年8月7日、わずか26分間の爆撃で豊川海軍工廠は壊滅しました。2500名の爆死者のなかには、450名以上もの若い学生たちが。彼らはどう生きどう死んだのか、人生を描きます。

日記や手記が挿入されており、時代の混乱のなかで懸命に生きながら壮絶な最期を迎えた若者の姿に、考えさせられる1作。当時の若者の気持ちに想いを馳せたい方におすすめの、戦争をテーマにしたノンフィクション小説です。

戦争は女の顔をしていない

岩波書店 著者:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ

戦争は女の顔をしていない

500人を超える従軍女性にインタビューし、第二次世界大戦の状況を浮き彫りにしたノンフィクション小説です。2015年にノーベル文学賞を受賞した著者が、1978年に取材を開始し1984年に発表しました。KADOKAWAで漫画化もされています。

第二次世界大戦の最中であるソ連では、100万人を超える女性が従軍しました。軍医や看護婦としてだけでなく、なかには兵士として戦地に立った女性も。しかし、戦後は戦地に赴いたことをひた隠しにしなければならず……。

ソ連の兵士として戦地で戦った女性の生の声を集めた1冊。女性が従軍していた事実による差別について、考えさせられるという声も。女性の視点から戦争の過酷さを知りたい方におすすめです。

妻と飛んだ特攻兵 8・19満州、最後の特攻

KADOKAWA 著者:豊田正義

妻と飛んだ特攻兵 8・19満州、最後の特攻

妻と飛んだ特攻兵を描く、衝撃の事実を追ったノンフィクション小説です。2013年に単行本が発売され2015年に文庫化されました。堀北真希氏と成宮寛貴氏が主要キャストで、2015年にはドラマ化もされています。

上空を旋回する11の特攻機。ある特攻機には、白いワンピースの女性が乗っていました。機体を操縦しているのは谷藤徹夫少尉で、乗っている女性は妻の朝子。徹夫は妻を乗せ特攻へと進みます。

なぜ終戦を迎えたあとに妻を乗せ特攻をしなければならなかったのか、その理由と絶望に胸を締めつけられると話題。関東軍や満州を含む、当時の状況がしっかり記載されていて興味深いという声も。戦争の悲惨さを小説で知りたい方におすすめの1作です。

禎子の千羽鶴

学研プラス 著者:佐々木雅弘

禎子の千羽鶴

原爆の影響で若くして亡くなった少女と家族の絆を描く、ノンフィクション小説です。広島に実在する「原爆の子の像」のモデルとなった、佐々木禎子氏の人生を追う物語。著者は、佐々木禎子氏の実兄である佐々木雅弘です。

2歳で原爆にあい、10年後に原爆症となった少女・佐々木禎子。少女は闘病生活を送るなかでも家族を思いやり、明るく振る舞っていました。そんな彼女は、常に病床で千羽鶴を折っていて……。

原爆から時が経ってから原爆症に悩まされる姿に、胸が苦しくなると話題の作品です。闘病を実際に見守っていた兄の視点から描かれているので、リアルな物語を追える1作。感動できるノンフィクション小説を探している方におすすめです。

殉国 陸軍二等兵比嘉真一

文藝春秋 著者:吉村昭

殉国 陸軍二等兵比嘉真一

少年兵を描く戦争をテーマにしたノンフィクション小説です。著者である吉村昭が実在の人物の体験を細かく聞き取り、特異な事実をそのまま写しとりました。2020年に文藝春秋から文庫が発売されたい作品です。

太平洋戦争末期の沖縄戦直前、中学生に招集令状が発布。小柄な14歳の比嘉真一氏はサイズが大きい軍服の袖を折り、陸軍二等兵として祖国の防衛線に立ちます。

戦争の過酷さと悲惨さを、戦地に立つ少年目線で表現している1作。地獄のように感じる戦争の恐ろしさを知りたい方におすすめです。

十七歳の硫黄島

文藝春秋 著者:秋草鶴次

十七歳の硫黄島

少年兵として玉砕の地に立った著者が、自身で過酷な体験を描いたノンフィクション作品です。NHKスペシャル「硫黄島玉砕戦—生還者61年目の証言」に出演し話題となった戦争経験者が綴る1作で、2006年に文藝春秋から刊行されました。

17歳の志願兵として硫黄島に立ち、傷つき飲まず食わずで生き延びた3か月。”島で死んだ仲間たちの思いが誰にも知られることなく消えてしまう”という思いで記された、17歳の目から誠実に描写される戦争作品です。

海軍通信兵の視点から、絶望的状況に陥っていく日本軍の様子が描かれています。戦争を経験した当人が描いているため、リアルな空気を感じられると話題。戦争の過酷さを再認識したい方におすすめです。

ノンフィクション小説のおすすめ|歴史・伝記

銃・病原菌・鉄 上

草思社 著者:ジャレド・ダイアモンド

銃・病原菌・鉄 上

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進化生物学者であり生理学者・生物地理学者でもある著者が、幅広い知見をもとに人類史の謎に迫ったノンフィクション小説です。ピュリッツァー賞やコスモス国際賞など数々の賞を獲得した名作。有名なノンフィクション小説を読んでみたい方におすすめの1冊です。

ニューギニア人・ヤリの”なぜヨーロッパ人がニューギニア人を征服し、ニューギニア人がヨーロッパ人を征服することにならなかったのか?”という問いに答えるために執筆された作品。1万3000年の歴史を持つ人類史には一体どのような謎が隠されていたのでしょうか。

5つの大陸で文明の発展に違いがある理由や、現代世界のパワーバランスが生まれた原因などを解き明かしているのがポイント。新型コロナウイルスの蔓延にともない、再び注目を集めた世界的ベストセラーです。

統合失調症の一族 遺伝か、環境か

早川書房 著者:ロバート・コルカー

統合失調症の一族 遺伝か、環境か

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精神医療の歴史に名を刻んだある一家と、研究者たちの軌跡をまとめた記録。ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーで第1位を獲得し、バラク・オバマ元大統領の年間ベストブックにも選ばれたおすすめのノンフィクション小説です。

第二次大戦後、コロラド州に移り住んだギャルヴィン一家。12人の子宝に恵まれたギャルヴィン家でしたが、そのうち6人の子供が次々に統合失調症を発症し……。彼らに一体何が起きたのでしょうか。

ギャルヴィン一家の歩みとともに、さまざまな検査や研究を通して病気の原因・治療法・予防法を解明していく様子が描かれた作品。人間や病気の本質と真摯に向き合った、力強いノンフィクション小説です。

フェルマーの最終定理

新潮社 著者:サイモン・シン

フェルマーの最終定理

数学界最大の超難問に挑む数学者たちを追うノンフィクション小説です。新潮社から刊行された作品で、証明に多大な時間を費やされた命題について記されています。

17世紀に1人の数学者が残した、証明が記されていないある命題。3世紀に及ぶ数学者の苦闘とともに、「フェルマーの最終定理」を天才数学者・ワイルズ氏が完全証明するまでを描きます。

1つの数学的命題を軸に、ロマンに突き動かされた数学者たちの人生を覗ける作品です。難しい数学の知識には深く触れておらず、簡略化し必要最低限のみ解説しているのが特徴で、数学者たちの人生や物語に焦点を当てています。数学知識がなくても楽しめる、おすすめのノンフィクション小説です。

木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか 上

新潮社 著者:増田俊也

木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか 上

最強の柔道家の哀しき人生に迫るノンフィクション小説です。第11回新潮ドキュメント賞や第43回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞し話題に。百田尚樹氏も”十年に一度の大傑作”と称賛している名作です。

15年不敗で13年連続日本一に輝いた、伝説の柔道王・木村政彦氏。戦前のスーパースター・牛島辰熊氏に見出された彼は、壮絶な修行の末天覧試合を制します。しかし、戦争を境に木村政彦氏の運命の歯車が狂い始め……。

木村政彦氏の人生を軸に、柔道史を紐解く作品。誇り高い牛島辰熊にも深く触れており、2人の人生の交わりで柔道界が変わる様子を描写しています。娯楽性が高いノンフィクション小説を、探している方におすすめです。

無菌病棟より愛をこめて

文藝春秋 著者:加納朋子

無菌病棟より愛をこめて

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人気ミステリー作家の闘病生活を記したノンフィクション小説です。2010年6月に急性骨髄性白血病と診断された加納朋子の日々を、加納朋子自身が描いています。2012年に文藝春秋から刊行されました。

5年生存率が3割の急性白血病を患った加納朋子は、急遽入院し抗癌剤治療を開始します。仕事の予定はもちろん、母としての役割も妻としての役割もすべてを放り出すことに。闘病生活のなかで彼女を支えたのは、家族・友人との絆でした。

闘病した本人が書いているからこそのリアリティが特徴の1冊です。ユーモアを交え、重くなりすぎないように進むのも魅力。病と向き合う壮絶な日々と周囲の人との絆を記す、おすすめのノンフィクション小説です。

昭和45年11月25日 三島由紀夫自決、日本が受けた衝撃

幻冬舎 著者:中川右介

昭和45年11月25日 三島由紀夫自決、日本が受けた衝撃

1人の作家が自決したそのとき、人々は何を思ったのかを鮮明に記すノンフィクション小説です。2010年に幻冬舎から刊行されました。三島由紀夫氏が自決した、昭和45年11月25日について描いています。

三島由紀夫氏の行動をみた、文壇・演劇・映画・政治・マスコミの世界で生きる人間たちの気持ち。当日の記録を丹念に洗いだし、時系列順に再構築した新しいノンフィクションです。

日本を代表する著名人が、三島事件を受けて何を感じたかを綴っています。当時の衝撃を追体験できる作品として有名。日本全体が動揺した三島事件に興味がある方におすすめの1作です。

ヨーコ・オノ・レノン全史

河出書房新社 著者:和久井光司

ヨーコ・オノ・レノン全史

アーティストとしても世界的ミュージシャンの妻としても知られる、1人の女性の人生を描いたノンフィクション作品です。ジョン・レノンの元妻であるヨーコ・オノの人生を、評伝として記しています。著者は、総合音楽家である和久井光司です。

前衛アーティスト・ジョン・レノン氏の妻、偉大なミュージシャン。さまざまな顔を持ち、現在は世界に平和を発信し続けるオノ・ヨーコ氏の激動の生涯を追います。

オノ・ヨーコ氏をとにかく深掘りした唯一無二の作品として、高く評価されている1冊です。オノ・ヨーコ氏の姿を通して、ジョン・レノン氏の新しい一面をみられたという声も。感動できる、著名人の人生を紡いだノンフィクション小説を探している方におすすめです。

ノンフィクション小説のおすすめ|恋愛

35年目のラブレター

講談社 著者:小倉孝保

35年目のラブレター

2024年5月に毎日新聞1面のコラムで取り上げられた感動の実話を、1冊にまとめたノンフィクション小説です。毎日新聞論説委員を務める著者が1人の男性に寄り添い、書籍化にこぎつけた作品。2025年3月には同タイトルの実写映画が公開される予定です。

2024年に米寿を迎えた奈良県在住の男性・西畑保氏。小学2年生の途中から学校に通うのをやめた西畑氏は、読み書きができないことに引け目を感じて暮らしていましたが……。64歳になった西畑氏はある目的のために一念発起し、夜間中学へ通うことを決意します。

その目的とは、長年連れ添ってくれた妻に感謝のラブレターを書くこと。心あたたまるノンフィクション小説を読みたい方はチェックしてみてください。

選ばれる女におなりなさい デヴィ夫人の婚活論

講談社 著者:ラトナ・サリ・デヴィ・スカルノ

選ばれる女におなりなさい デヴィ夫人の婚活論

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現在もバラエティー番組などで活躍する、デヴィ・スカルノ氏の恋愛術に迫るノンフィクション作品です。2019年に単行本が刊行され、2022年に文庫版が出版。漫画化もされています。

貧しくも逞しい少女時代を過ごしたデヴィ・スカルノ氏は、運命の恋をします。そして、日本人で唯一海外の国家元首の妻となった彼女。恋に憧れる、全女性のための恋愛新バイブルです。

デヴィ・スカルノ氏の逞しい結婚観がわかると高く評価されている1作。彼女の生い立ちを、恋愛アドバイスとともに楽しめます。恋愛について、勇気をもらいたい方におすすめです。

ノンフィクション小説のおすすめ|旅・旅行記

新潮社 著者:沢木耕太郎

凍

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クライマー・山野井泰史氏の登山を追うノンフィクション小説です。第28回講談社ノンフィクション賞を受賞しました。

登山家としての地位を確立してもなお、ストイックに登山と向き合う山野井氏は、ヒマラヤの難峰・ギャチュンカン制覇を目指します。しかし、彼とその妻が山の氷壁に手をかけたとき、その後に絶望的な状況に陥ることを知る由もなかったのでした。

圧倒的な自然の存在と夫婦の絆に感銘を覚える作品。フィクションと見紛う迫力のあるノンフィクション小説を読みたい方におすすめです。

世界の児童文学をめぐる旅

エクスナレッジ 著者:池田正孝

世界の児童文学をめぐる旅

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海外児童文学の名作が生まれた場所をめぐって旅する、ノンフィクション小説です。実際に現地を訪れ、物語が生まれた風景を写真に収めてきた著者の記録をまとめた作品。名作児童文学の舞台を身近に感じられるおすすめの1冊です。

『ピーターラビットのおはなし』の著者であるビアトリクス・ポター氏の自宅や、『クマのプーさん』の著者・ミルン一家が暮らしていたコッチフォード・ファーム。そのほか、『秘密の花園』『不思議の国のアリス』『トムは真夜中の庭で』など、数々の名作と関わりの深い風景を紹介しています。

美しい写真とともに綴られた文章から、児童文学に対する思いが伝わってくる作品。物語が生まれた背景を知ることで、作品への理解がより一層深まります。児童文学が好きな方へのプレゼントとしても喜ばれるノンフィクション小説です。

深夜特急1―香港・マカオ―

新潮社 著者:沢木耕太郎

深夜特急1―香港・マカオ―

仕事をすべて投げ出しユーラシアを旅するノンフィクション作品です。不朽の名作として知られる人気シリーズの第1作で、著者はノンフィクション作家の沢木耕太郎。日本冒険小説協会大賞ノンフィクション・評論部門大賞やJTB紀行文学大賞を受賞しています。

インドのデリーからイギリスのロンドンまで行ってみたいと突然思い立った著者は、香港へと立ち寄り……。1年以上にわたるユーラシア放浪の旅が、幕を開けたのでした。

インドからロンドンまでバスで行く、長い旅の様子を綴っています。先が気になる文章で、飽きずに最後まで読めたという声も。シリーズで長く楽しめる、旅系ノンフィクション小説に興味がある方におすすめです。

インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日

集英社 著者:中村安希

インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日

世界各地に根付く小さな声を聞く旅をテーマにしたノンフィクション小説です。2013年に集英社から出版されました。第7回開高健ノンフィクション賞を受賞しています。

まことしやかに語られる世界の実情は、一体どのようなモノなのか。26歳の著者は、2年間で47か国をわたる旅に出ました。貧困・紛争・汚染・疫病など、暗い部分もその目でみる1作です。

ユーラシアとアフリカを旅した全記録を、1冊に凝縮した本作品。1つの場所に割かれているページは多くないものの、各地域での出来事をしっかりと描いています。貧困や戦争など、世界の陰の部分を覗くノンフィクション小説に、興味がある方におすすめです。

旅をする木

文藝春秋 著者:星野道夫

旅をする木

アラスカの風景や人々の生活を綴ったノンフィクション作品です。1999年に文庫が出版された作品で、著者はアラスカを愛した写真家・星野道夫氏。33のエピソードを収録しています。

アラスカに行くことで頭がいっぱいだった著者は、ついに26歳の頃にアラスカに降り立ちました。広大な大地と海に囲まれ、美しくも厳しい自然が存在するアラスカ。そこで著者はアラスカ先住民族や開拓時代にやってきた人々の、生活を目の当たりにします。

多くの人に”人生を変えた本”と紹介されたと謳われる、旅系ノンフィクション作品の名作。圧倒的な自然の迫力が文章から伝わってくると、高く評価されています。異国の地に没頭できる作品を探している方におすすめです。

0メートルの旅 日常を引き剥がす16の物語

ダイヤモンド社 著者:岡田悠

0メートルの旅 日常を引き剥がす16の物語

南極から自宅までを舞台に、旅は場所ではないことを教えてくれるノンフィクション作品です。記事累計数百万PVを記録している会社員ライター・岡田悠のデビュー作。2020年にダイヤモンド社から出版されました。

“遠くに行く”だけが旅ではないこと、予定不調和と非日常を愛する心ですべての行為が旅になることを教えてくれる1作。「海外編」「国内編」「近所編」「家編」の4つに分かれており、16350000メートル離れた南極から0メートルの家までの旅を記録しています。

バックパッカーのように旅をする海外編ではオーソドックスな旅を楽しめ、近所や家では一風変わった旅を楽しめる作品です。場所問わず旅を楽しむノンフィクション小説に、興味がある方におすすめです。

地上に星座をつくる

新潮社 著者:石川直樹

地上に星座をつくる

カメラを持ち世界中を旅するノンフィクション作品です。著者は、開高健ノンフィクション賞を受賞した経験もある写真家・石川直樹氏。2020年に単行本が発売され、2023年に文庫化されました。

北極海でシロクマと出会い、ユーコン川をカヌーで下ります。そして、シベリアで流氷の誕生を見て、ペルーでミイラとなった少女の足跡を辿る彼。世界はもちろん日本各地を旅した著者の、思考の軌跡を紡ぎます。

激しい感情の起伏がなく、淡々と読める面白い作品として評価されています。危険と隣り合わせの冒険に思いを馳せたい方におすすめ。旅をしている気分に浸れる作品を探している方は、ぜひチェックしてみてください。

アフリカにょろり旅

講談社 著者:青山潤

アフリカにょろり旅

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幻のうなぎ捕獲に命を懸けた、笑いながら楽しめるノンフィクション作品です。2007年に講談社から単行本が発行され2009年に文庫化された1作で、登場するのは東京大学の海洋研究者です。

世界で初めてニホンウナギの産卵場所を特定した東京大学海洋研究所のウナギグループは、全18種類のうなぎのうち、唯一採集されていないラビアータをみつけることを目標に旅に出ます。幻のうなぎを求めて、2人の研究者はアフリカ冒険を繰り広げるのでした。

東京大学の研究者が送るまさかの冒険に、驚きながら楽しめる作品です。しっかり身体を使って実施する本気の研究を、覗き見できるのが魅力。過酷な研究旅に興味がある方におすすめのノンフィクションです。

空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む

集英社 著者:角幡唯介

空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む

人跡未踏といわれる秘境に挑むノンフィクション作品です。探検家であり作家である角幡唯介氏が、自身の体験を綴った1冊。開高健ノンフィクション賞と大宅壮一ノンフィクション賞をダブル受賞しています。

チベットの奥地にあるツアンポー川流域に、”空白の五マイル”と呼ばれる秘境がありました。そこに存在するのは、数々の冒険家の挑戦を跳ね返してきた”ツアンポー峡谷”。命の危険と隣り合わせのなか、著者が目にしたのは……。

未知の場所へのワクワク感や危険を、作品から感じられる1冊です。現実の話とは思えないほど壮大なストーリーという声も。臨場感があるノンフィクション小説に、興味がある方におすすめです。