実話がもとになっている「ノンフィクション小説」。丁寧な取材や直感によって書かれることで、臨場感にあふれているのが魅力です。実在の事件や戦争をテーマにしたモノから、恋愛や旅行を取り上げたモノなど、さまざまなジャンルの作品が存在します。

そこで、今回はノンフィクション小説のおすすめ作品をご紹介。ノンフィクション系の賞を受賞した作品を中心にピックアップしました。ぜひ参考にしてみてください。

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ノンフィクション小説の魅力

事実を題材に、著者の綿密な取材と「伝えたい」という確固たる意志によって紡がれるノンフィクション小説。著者の使命感や熱量を感じさせる作品は、読者の心に響きやすいのが特徴です。作品によっては、読者の価値観を揺さぶるほどの衝撃を与えることも。また、広義ではエッセイもノンフィクションに分類されます。

「事実は小説よりも奇なり」という言葉通り、ノンフィクション小説は時として、フィクション作品では得られない面白さを体験できることも。事実の持つ力を感じてみたい方は、ぜひノンフィクション小説を読んでみてください。

ノンフィクション小説のおすすめ|事件

殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件

新潮社 著者:清水潔

殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件

「調査報道のバイブル」とまで謳われたノンフィクション小説です。新潮ドキュメント賞と日本推理作家協会賞を受賞しています。

群馬と栃木の県境、半径わずか10km圏内で5人の少女が失踪しました。同一犯による連続事件とも考えられるなか、「足利事件」だけが解決した事件として扱われます。 

著者の執念の取材により、冤罪と真犯人、さらには司法の暗部をつまびらかにしていく作品。調査報道に興味のある方におすすめの1冊です。

父と母 悔恨の手記 「少年A」 この子を生んで……

文藝春秋 著者:「少年A」の父母

父と母 悔恨の手記 「少年A」 この子を生んで......

日本中を震撼させた「神戸連続児童殺傷事件」にまつわるノンフィクション小説。事件の犯人「酒鬼薔薇聖斗」を、両親の目線から綴った手記です。

当時14歳の息子「少年A」。その正体は、神戸連続児童殺傷事件の犯人「酒鬼薔薇聖斗」でした。逮捕に至るまで生活を共にしていた両親が、息子や自分たちの教育がどこで間違ってしまったのかを涙と共に綴ります。

事件前後の家族の姿や心情、14年間の息子との生活が記されているのがポイント。息子が殺人犯だったという想像もできないような体験をした両親が、何を語ったのかが気になる方はぜひ読んでみてください。

桶川ストーカー殺人事件 遺言

新潮社 著者:清水潔

桶川ストーカー殺人事件 遺言

「記者の教科書」と呼ばれる、事件ノンフィクション小説の代表作。著者の清水潔は、すぐれた取材力と直感を駆使した作品を多数生み出しているノンフィクション作家です。

埼玉県の桶川駅前で、女子大生が殺害された事件。遺された悲痛な「遺言」は、事件の捜査が難航するなかで警察とマスコミによって歪曲されていくかと思われました。

しかし、「遺言」をもとに取材を続けた著者は、警察の闇と驚くべき事件の本質を暴き出します。一介の週刊誌記者が、迷宮入り寸前とまでされた事件の殺人犯を探し当て、警察組織の腐敗を世に知らしめた点に注目。ジャーナリズムの力を知りたい方におすすめです。

つけびの村 噂が5人を殺したのか?

晶文社 著者:高橋ユキ

つけびの村 噂が5人を殺したのか?

わずか12人の村人のうち5人が一夜にして殺害された「山口連続殺人放火事件」の真実を暴く、ノンフィクション小説です。ノンフィクションライター・高橋ユキが、当時、世間で拡散されていた噂話の真相を少しずつ明かしていきます。

事件の犯人と考えられていた人物の家には、犯行を予告するかのような川柳が貼り付けられていました。しかし、それらはすべて噂話の域を出ることがなく……。

ほかのジャーナリストなら諦めるであろう複雑な事件に対し、果敢に挑んだ著者の執念を感じる1冊です。気鋭のノンフィクションライターが書き上げた作品をぜひ手にとってみてください。

毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記

講談社 著者:北原みのり

毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記

3人の男を手にかけた魔性の女・木嶋佳苗死刑囚を女性目線で描き出したノンフィクション小説。裁判の傍聴に加え、故郷や事件関係者への取材を通して、彼女の内面に迫っていく作品です。

男たちを性と欺瞞で手なずけ、3人を練炭で殺害したとして2012年に死刑判決を受けた平成の毒婦・木嶋佳苗死刑囚。長期にわたる裁判では、彼女自身のセックス観についてまで詳細に語ったことで話題となりました。

男性はなぜ彼女に惹かれてしまうのでしょうか。事件の裏側を改めて知りたい方におすすめです。

消された一家 ー北九州・連続殺人監禁事件ー

新潮社 著者:豊田正義


消された一家 ー北九州・連続殺人監禁事件ー

犯罪史上に残る残忍な事件「北九州・連続監禁殺人事件」を題材にした、衝撃の犯罪ノンフィクション小説です。天才殺人鬼の半生と恐ろしい事件の全貌が、徹底した取材をもとに詳細に描かれています。

福岡県北九州市で、7人もの人々の監禁・殺害事件が発生します。犯人である松永太は、明るい人柄と言葉巧みな洗脳によって他人の家庭に入り込み、一家全員を監禁虐待。奴隷同然の関係に陥れ、さらには家族同士で殺し合わせたのです。

17歳の少女が保護されるまで、世間の明るみに出なかった事件の一連の経緯が綴られていく本作品。鬼畜の所業をなした松永は、一体どのような思想の持ち主だったのでしょうか。マインドコントロールの恐ろしさを追体験したい方におすすめのノンフィクション小説です。

累犯障害者

新潮社 著者:山本譲司


累犯障害者

障がい者の犯罪をめぐる、社会が抱える問題点と闇を追求したノンフィクション小説です。実際に刑務所での服役を経験した著者が、そこでの体験や取材をもとに、客観的な視点から障がい者犯罪の実像を綴りました。

出所しては放火を繰り返し、何度も服役する老年の放火犯。売春を行う知的障がい女性たち。浅草通り魔殺人事件の犯人は、家族のほとんどが障がい者という状況にありました。彼らはなぜ、罪を重ねてしまうのでしょうか。

何度も罪を犯す障がい者たちの裏に隠された、差別や貧困などを克明に描いているのがポイント。刑務所や裁判所、福祉が直面している問題点にも触れられています。福祉と繋がらない人々と現代社会のあり方について考えさせられる、おすすめのノンフィクション小説です。

「鬼畜」の家ーわが子を殺す親たちー

新潮社 著者:石井光太

「鬼畜」の家ーわが子を殺す親たちー

児童虐待事件の真相を克明に描いたノンフィクション小説です。『こどもホスピスの奇跡』『絶対貧困』『近親殺人ー家族が家族を殺すとき』などの著者として知られる石井光太の作品。本作では、世間を震撼させた3件の虐待事件を取り上げています。

2014年5月にアパートの一室で白骨化した男児の遺体が発見された「厚木市幼児餓死事件」。ゴミだらけの暗く寒い部屋で亡くなった男児は、7年以上遺棄されていました。

ほかにも、嬰児2人を殺したあと屋根裏と押し入れに遺棄した女性、3歳の次男をウサギ用のケージで監禁し殺害した夫婦。彼らはなぜ我が子に手をかけてしまったのでしょうか。

加害者である親の生育歴も丹念に調査し、背景にある問題を明らかにしているのがポイント。虐待の元凶について深く切り込んだおすすめのノンフィクション小説です。

彼は早稲田で死んだ 大学構内リンチ殺人事件の永遠

文藝春秋 著者:樋田毅

彼は早稲田で死んだ 大学構内リンチ殺人事件の永遠

1972年11月に早稲田大学文学部構内で発生した「川口大三郎君事件」について綴られたノンフィクション小説です。第53回大宅壮一ノンフィクション賞を獲得した作品。2024年には本作を原案とする映画『ゲバルトの杜 彼は早稲田で死んだ』で映像化されています。

当時、早稲田大学第一文学部の自治会は「革マル派」の学生たちによって支配されていました。対立する「中核派」のスパイと疑われた同学部学生・川口大三郎は、激しいリンチの末に殺害され……。この事件に怒った一般学生が蜂起し、各党派の内ゲバがエスカレートしていきます。

当事者として暴力に直面した著者の真摯で切実な筆致が魅力。学生運動世代にはもちろん、若い世代にもおすすめのノンフィクション小説です。

福田村事件 ー 関東大震災・知られざる悲劇

五月書房新社 著者:辻野弥生

福田村事件 ー 関東大震災・知られざる悲劇

千葉県の福田村で起きた事件をまとめたノンフィクション小説です。2013年に出版され一度は絶版になった作品を、増補改訂版として刊行。関東大震災発生から100年を迎えた2023年には『福田村事件』のタイトルで映画化され、話題になりました。

1923年9月1日に発生した関東大震災。震災直後から日本の至るところで「不逞鮮人」に対する迫害が横行するなか、香川県から福田村にやってきた行商人一行は、ひょんなことから朝鮮人と疑われ……。村の自警団の手によって子供を含む9名が惨殺されてしまいます。

長い間タブー視されていた事件を丁寧に調べ上げ、貴重な証言を集めて綴られた作品。さまざまな差別が生み出す暴力について深く考えさせられます。事件の真相としっかり向き合いたい方におすすめのノンフィクション小説です。

解毒 エホバの証人の洗脳から脱出したある女性の手記

KADOKAWA 著者:坂根真実

解毒 エホバの証人の洗脳から脱出したある女性の手記

宗教2世として生まれた著者の半生を綴ったノンフィクション小説です。元信者である著者が実名で告発した作品。NHKの番組『逆転人生』内で取り上げられたことでも話題となったおすすめの1冊です。

新興宗教に傾倒する親のもとで、さまざまな制限を受けながら育った子供時代。結婚・DV・離婚・自殺未遂・再婚を経て家族との断絶を経験した彼女は、あることをきっかけに自ら洗脳を解き、少しずつ本来の自分を取り戻していきます。

壮絶なエピソードの数々に、愕然とする読者も多い作品。宗教2世が抱える苦悩や親子の確執など、実体験を通して語られるリアルな告白に興味がある方はチェックしてみてください。

心臓を貫かれて 上

文藝春秋 著者:マイケル・ギルモア

心臓を貫かれて 上

ある殺人犯と家族の秘密を実弟であるマイケル・ギルモアが綴ったノンフィクション小説です。上・下巻の全2巻構成。人気作家として知られる村上春樹が翻訳を担当しています。

1976年、アメリカのユタ州で起きた銃殺事件。2人の男性を殺害した罪で逮捕されたゲイリー・ギルモアは、裁判で死刑判決を受けますが……。ゲイリーが自ら銃殺刑を求めた理由とは一体何だったのでしょうか。

音楽ライターとして有名な著者が苦悩しながら書き切った作品。自らの家族が持つ秘密や暴力の歴史について、生々しく描かれています。凶悪事件の真相を知りたい方におすすめのノンフィクション小説です。

冷血

新潮社 著者:トルーマン・カポーティ

>冷血

『ミリアム』や『ティファニーで朝食を』などの著者として知られる、トルーマン・カポーティが手がけたノンフィクション小説。ある殺人事件を題材にした衝撃作です。

1959年11月、アメリカ・カンザス州で一家4人が惨殺される事件が発生。被害者は全員ロープで縛られたうえに、至近距離から散弾銃で射殺されていました。

事件の過程を同時進行で体験しながら取材を重ね、犯人の処刑まで見届けているのがポイント。被害者家族の人となりや事件の舞台となった町についても細かく描かれています。小説的手法で事件を追ったおすすめのノンフィクション小説です。

ノンフィクション小説のおすすめ|戦争

アンネの日記 増補新訂版

文藝春秋 著者:アンネ・フランク

アンネの日記 増補新訂版

ナチス占領下で13歳から15歳までという多感な時期を過ごした少女・アンネが綴る日記。自分用のモノと公開用のモノで2種類の日記が存在していますが、本作品は2つの日記を編集し、後年になって発見された文章を加えた「増補新訂版」です。

両親に対する切実な想いが綴られており、アンネ・フランクという少女の姿が鮮明に浮かび上がります。ルビを増大することで、アンネと同世代の子供たちにも親しみやすいように工夫しているのも特徴です。

ホロコーストの犠牲となり、わずか15年で生涯を閉じた少女の感性に触れたい方はチェックしてみてください。

夜と霧 新版

みすず書房 著者:ヴィクトール・E・フランクル

夜と霧 新版

人間のすごさと恐ろしさを克明に描き出した作品です。世界中で読まれるロングセラーとして知られており、「言語を絶する感動」とまで謳われています。

ナチスが台頭していた時代に、強制収容所を生き抜いた心理学者のヴィクトール・E・フランクル。本作品は、彼が収容所で体験したことや感じたことを記しています。

社会や歴史、そして人間存在そのものの本質を問いかけるノンフィクション小説。生きることの意味を再考したい方におすすめの1冊です。

ノモンハンの夏

文藝春秋 著者:半藤一利

ノモンハンの夏

戦争の真実に近づけるノンフィクション小説。満州国とモンゴル人民共和国との国境付近で起きたノモンハン事件に対する日本陸軍の対応の愚かさを、ときに怒りを込めて描き出しています。

司馬遼太郎と共に取材を行った半藤一利が、モスクワのスターリン、ベルリンのヒトラーの野望、中国の事情もふまえて執筆しました。参謀本部作戦課や関東軍作戦課といったエリートで構成される組織の決断が、満蒙国境での悲劇へと繋がったことを暴いています。

戦う理由すら見出せない戦いを強いられていた事実に、虚しさすら覚える作品。第二次世界大戦下における日本軍の実態に迫りたい方はチェックしてみてください。

木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか 上

新潮社 著者:増田俊也


木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか 上

史上最強と謳われた柔道家・木村政彦の生涯を軸に、日本格闘技の興亡の歴史を綴った1作。第11回新潮ドキュメント賞や第43回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した、ノンフィクション小説の秀作です。漫画化もされています。

“木村の前に木村なく、木村のあとに木村なし”とも謳われた、伝説の柔道王・木村政彦。15年間不敗、13年連続日本一に輝いた男の人生は、戦争をきっかけに歯車が狂いはじめます。GHQが柔道を禁止した戦後、プロレスラーへと転身しますが……。

「昭和の巌流島」とも称された、力道山との運命の一戦に至るまでの木村の歩みと、悲劇的な人生が描かれます。戦中戦後、柔道をはじめとする日本の格闘界がどのような状況にあったのかが語られるのもポイント。格闘史に残る名勝負の裏側が知りたい方におすすめです。

それでも、日本人は「戦争」を選んだ

新潮社 著者:加藤陽子

それでも、日本人は「戦争」を選んだ

日本近現代史を専攻する歴史学者・加藤陽子が手がけたノンフィクション小説です。中高生を対象とした5日間の集中講義をまとめた記録。第9回小林秀雄賞を獲得するなど、各方面から高い評価を得ている作品です。読書感想文のテーマとしても適しています。

日清戦争から太平洋戦争まで、戦争を繰り返した日本。甚大な犠牲を払いながら、国民の多くがなお”参戦やむなし”と判断した理由とは一体なんだったのでしょうか。

生徒自身に考えさせて意見を引き出し、史料や質疑応答を通じて専門家としての答えを示す手法をとっているのが特徴。歴史的視点を身につけたい方や、「戦争」について自分の頭でしっかり考えてみたい方におすすめのノンフィクション小説です。

パンと野いちご 戦火のセルビア、食物の記憶

勁草書房 著者:山崎佳代子

パンと野いちご 戦火のセルビア、食物の記憶

食べ物と戦争にまつわるエピソードを綴った記録です。セルビア在住の著者が、知人や友人たちからの証言をもとに、戦争と戦時下の食事についてまとめた作品。第29回紫式部文学賞を獲得しているおすすめのノンフィクション小説です。

第一次世界大戦・第二次世界大戦・ユーゴスラビア内戦・コソボ紛争など、争いの絶えない地域として知られるバルカン半島。戦争によって住み慣れた場所を追われた人々は、一体何を食べ、何を感じながら暮らしていたのでしょうか。

食べ物の話を通して、戦争体験や当時の思いをすくい上げているのがポイント。本作品には卵と生クリームを使わない「マーブル戦争ケーキ」や「豆スープ」などのレシピも掲載されているので、興味がある方はチェックしてみてください。

ノンフィクション小説のおすすめ|歴史・伝記

銃・病原菌・鉄 上

草思社 著者:ジャレド・ダイアモンド

銃・病原菌・鉄 上

進化生物学者であり生理学者・生物地理学者でもある著者が、幅広い知見をもとに人類史の謎に迫ったノンフィクション小説です。ピュリッツァー賞やコスモス国際賞など数々の賞を獲得した名作。有名なノンフィクション小説を読んでみたい方におすすめの1冊です。

ニューギニア人・ヤリの”なぜヨーロッパ人がニューギニア人を征服し、ニューギニア人がヨーロッパ人を征服することにならなかったのか?”という問いに答えるために執筆された作品。1万3000年の歴史を持つ人類史には一体どのような謎が隠されていたのでしょうか。

5つの大陸で文明の発展に違いがある理由や、現代世界のパワーバランスが生まれた原因などを解き明かしているのがポイント。新型コロナウイルスの蔓延にともない、再び注目を集めた世界的ベストセラーです。

統合失調症の一族 遺伝か、環境か

早川書房 著者:ロバート・コルカー

統合失調症の一族 遺伝か、環境か

精神医療の歴史に名を刻んだある一家と、研究者たちの軌跡をまとめた記録。ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーで第1位を獲得し、バラク・オバマ元大統領の年間ベストブックにも選ばれたおすすめのノンフィクション小説です。

第二次大戦後、コロラド州に移り住んだギャルヴィン一家。12人の子宝に恵まれたギャルヴィン家でしたが、そのうち6人の子供が次々に統合失調症を発症し……。彼らに一体何が起きたのでしょうか。

ギャルヴィン一家の歩みとともに、さまざまな検査や研究を通して病気の原因・治療法・予防法を解明していく様子が描かれた作品。人間や病気の本質と真摯に向き合った、力強いノンフィクション小説です。

フェルマーの最終定理

新潮社 著者:サイモン・シン


フェルマーの最終定理

数学界に遺された最大の超難問「フェルマーの最終定理」に挑む数学者たちに焦点を当てた、感動のノンフィクション小説。1問の証明に約350年以上もの月日を費やした数学者たちの歴史と、証明をたくしていく人々のドラマが克明に描かれます。

17世紀の数学者・フェルマーがメモとして書き残した、ひとつの謎。この数学上の予想は、やがて数学の歴史に刻まれる超難問「フェルマーの最終定理」と呼ばれることになります。3世紀にわたり、名だたる数学者たちが証明に挑戦しますが……。

1995年に完全証明を成し遂げた天才数学者・ワイルズへの取材をもとに、数学者たちの苦闘が再現されています。数式を取り巻く人間ドラマが中心になっており、数学に詳しくない方も楽しみやすいのが魅力。数学に壮大なロマンを感じられる、おすすめのノンフィクション小説です。

赤と青のガウン オックスフォード留学記

PHP研究所 著者:彬子女王

赤と青のガウン オックスフォード留学記

彬子女王殿下が自らの留学生活について綴ったノンフィクション小説です。2001年9月から1年間、2004年9月から5年間にわたって英国に留学していた彬子女王。英国オックスフォード大学マートン・コレッジでの日々を垣間見られるおすすめのノンフィクション小説です。

学友たちとの交流やはじめて1人で街を歩いたときの思い出、英語が聞き取れず部屋へ逃げ帰った話など、数々の留学生活エピソードを収録。父である寬仁親王への奉悼文も掲載されています。

海外での博士号取得を実現した彬子女王の魅力を存分に感じられる作品。累計発行部数25万部を超える人気作品を読んでみたい方は、チェックしてみてください。

三淵嘉子と家庭裁判所

日本評論社 著者:清水聡

三淵嘉子と家庭裁判所

日本初の女性弁護士、女性裁判所長として知られる三淵嘉子の人となりや足跡を描いたノンフィクション小説。NHK解説委員の清水聡が、長年にわたる取材の末にまとめ上げたおすすめの1冊です。

1938年、日本ではじめて3人の女性法曹が誕生。そのうちの1人が、三淵嘉子でした。女性初の判事となった三淵は、”家庭裁判所の父”として親しまれている宇田川潤四郎らとともに、家庭裁判所創設に向けて奔走します。

三淵嘉子にまつわる評伝のほか、ゆかりのある人々や後輩の証言もまとめられているのがポイント。NHK連続テレビ小説『虎に翼』の主人公・猪爪寅子のモデルでもある三淵嘉子を、より深く知られるノンフィクション作品です。

まるごとバナナが、食べきれない

集英社 著者:大久保佳代子

まるごとバナナが、食べきれない

バラエティを中心に活躍する大久保佳代子のエッセイです。女性向けファッション誌『Marisol』で連載されていたエッセイを加筆・改稿した作品。同世代の女性たちから多くの共感を集めているおすすめの1冊です。

若い頃の恋愛や、オアシズの相方・光浦靖子との関係。OLと兼業しながら出演していたバラエティ番組の思い出などを、飾らない文章でユーモアたっぷりに描いています。

食の思い出を通して語られる数々のエピソードに、思わずクスッと笑ったり、ホッとしたりする読者が多数。気軽に読めるノンフィクション作品を求める方はチェックしてみてください。

オフ・ブロードウェイ奮闘記

幻冬舎 著者:中谷美紀

オフ・ブロードウェイ奮闘記

俳優として活躍する傍ら、執筆活動にも精力的に取り組んでいる中谷美紀のエッセイです。「インド旅行記シリーズ」『オーストリア滞在記』『文はやりたし』など多数の著書があります。

2023年3月にニューヨークで上演された舞台『猟銃 THE HUNTING GUN』。一人三役を演じるために1人でニューヨークを訪れた中谷でしたが……。

予期せぬトラブルに振り回されながらも奮闘した日々を綴った59日間の記録。伝説のダンサーとして知られるバリシニコフとのエピソードも楽しめます。俳優の苦悩や作品の舞台裏について垣間見られる、おすすめのノンフィクション小説です。

ノンフィクション小説のおすすめ|恋愛

選ばれる女におなりなさい デヴィ夫人の婚活論

講談社 著者:ラトナ・サリ・デヴィ・スカルノ

選ばれる女におなりなさい デヴィ夫人の婚活論

タレントとしてテレビでも活躍する、インドネシアのスカルノ元大統領第3夫人・デヴィ夫人の恋愛作品です。恋愛はいつも自分がリードするというデヴィ夫人独自の恋愛・結婚観を知られます。

せっかく恋愛のために努力するなら、報われるための行動をして欲しいと語る夫人。綺麗ごとを抜きにして、どのようにしたら幸せになれるかを語っています。華やかでありながらも壮絶な人生を送ったデヴィ夫人だからこそ語れる深い言葉が記されているのが魅力です。

たった2週間で大統領との結婚を決めた彼女が、世の中の女性へ向けた提言に注目。デヴィ夫人の力強い言葉で、悩みを解決に導きたい方におすすめです。

恋愛がらみ。 不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ

小学館 著者:高山真

恋愛がらみ。 不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ

フリーランス編集者でエッセイストの高山真が、恋愛の悩みに徹底的なダメ出しを行うエッセイ。人気タレントのマツコ・デラックスやミッツ・マングローブとも仲のよい著者が紡ぐ言葉に注目してみてください。

ファッション誌『Oggi』で、女性の持つ悩みに答え続けてきた高山真。友達同士でも言わないであろう、歯に衣着せぬ言い回しに笑いと涙があふれます。それでも最後は、今よりも幸せになれるはずと不器用な女子の背中を後押ししてくれる作品です。

著者自身も不器用なことを自覚しているからこそ、本作品に記されている言葉は読者の胸に強く刺さります。愛のあるダメ出しを受けたい方におすすめの1冊です。

35年目のラブレター

講談社 著者:小倉孝保

35年目のラブレター

2024年5月に毎日新聞1面のコラムで取り上げられた感動の実話を、1冊にまとめたノンフィクション小説です。毎日新聞論説委員を務める著者が1人の男性に寄り添い、書籍化にこぎつけた作品。2025年3月には同タイトルの実写映画が公開される予定です。

2024年に米寿を迎えた奈良県在住の男性・西畑保さん。小学2年生の途中から学校に通うのをやめた西畑さんは、読み書きができないことに引け目を感じて暮らしていましたが……。64歳になった西畑さんはある目的のために一念発起し、夜間中学へ通うことを決意します。

その目的とは、長年連れ添ってくれた妻に感謝のラブレターを書くこと。心あたたまるノンフィクション小説を読みたい方はチェックしてみてください。

ノンフィクション小説のおすすめ|旅・旅行記

新潮社 著者:沢木耕太郎

凍

クライマー・山野井泰史の登山を追うノンフィクション小説です。第28回講談社ノンフィクション賞を受賞しました。

登山家としての地位を確立してもなお、ストイックに登山と向き合う山野井は、ヒマラヤの難峰・ギャチュンカン制覇を目指します。しかし、彼とその妻が山の氷壁に手をかけたとき、その後に絶望的な状況に陥ることを知る由もなかったのでした。

圧倒的な自然の存在と夫婦の絆に感銘を覚える作品。フィクションと見紛う迫力のあるノンフィクション小説を読みたい方におすすめです。

ヤノマミ

新潮社 著者:国分拓

ヤノマミ

アマゾンの先住民「ヤノマミ」と150日間共に生活した著者が綴るノンフィクション小説です。第42回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した作品。著者はNHKのディレクターとして、多数の番組も手がけている人物です。

森の奥深くで耳を澄ませた150日間。おびただしい数の蝶が飛び、毒蛇が這い、夜は真っ暗な環境で、著者はヤノマミ族と生活を共にし、彼らの生き方に触れるのでした。

生まれたばかりの赤子の生死は母親一人に委ねられ、死後は虫になるという死生観を持つヤノマミ族。原初の暮らしを営む民族について知りたい方におすすめの1冊です。

荒野へ

集英社 著者:ジョン・クラカワー


集英社 著者:ジョン・クラカワー

裕福な家庭で生まれ育った青年が、アラスカの荒野で餓死した事件を題材にしたノンフィクション小説の名作です。全米でベストセラーになり、『イントゥ・ザ・ワイルド』として映画化もされました。

首都・ワシントンの郊外で生まれた1人の青年は、荒野にうち捨てられたバスの中で死体となって発見されます。やがて、その死はアメリカ中に波紋を呼ぶことに。恵まれた境遇だったはずの彼は、なぜ豊かな生活を捨て、孤独に極寒のアラスカへと向かったのでしょうか。

青年の日記や人々への丁寧な取材をもとに、アラスカへ向かった彼の壮大な旅路を追うノンフィクション小説。荒野を追い求めた若者の心のあり様が、登山家でもある著者の体験などからも考察されています。自然への憧れや現代の生き方について考えさせられる、おすすめの一作です。

憧れのまほうつかい

新潮社 著者:さくらももこ


憧れのまほうつかい

国民的人気漫画『ちびまる子ちゃん』の著者・さくらももこがおくる、旅をテーマにしたノンフィクション小説。憧れの絵本作家の故郷・イギリスへと旅立った著者の爆笑珍道中が、キュートなイラストとともに綴られています。

17歳の頃、1冊の絵本に一目惚れしたさくらももこ。絵本の作者であるエロール・ル・カインに弟子入りしたいとまで思い詰めた少女は、彼の故郷・イギリスを訪ねることを決意します。しかし、思いもよらぬ事件ばかり発生し……。

著者ならではの視点で表現される、笑いと涙に満ちたエピソードが満載。巻末のインタビューには、著者のイラストに対する興味深い逸話なども収録されています。アートと旅行記の両方を楽しめる、おすすめのノンフィクションエッセイです。

世界の児童文学をめぐる旅

エクスナレッジ 著者:池田正孝

世界の児童文学をめぐる旅

海外児童文学の名作が生まれた場所をめぐって旅する、ノンフィクション小説です。実際に現地を訪れ、物語が生まれた風景を写真に収めてきた著者の記録をまとめた作品。名作児童文学の舞台を身近に感じられるおすすめの1冊です。

『ピーターラビットのおはなし』の著者であるビアトリクス・ポターの自宅や、『クマのプーさん』の著者・ミルン一家が暮らしていたコッチフォード・ファーム。そのほか、『秘密の花園』『不思議の国のアリス』『トムは真夜中の庭で』など、数々の名作と関わりの深い風景を紹介しています。

美しい写真とともに綴られた文章から、児童文学に対する思いが伝わってくる作品。物語が生まれた背景を知ることで、作品への理解がより一層深まります。児童文学が好きな方へのプレゼントとしても喜ばれるノンフィクション小説です。

ソウル おとなの社会見学

亜紀書房 著者:大瀬留美子

ソウル おとなの社会見学

ソウルを知り尽くした著者による、「まち歩き」をテーマにしたノンフィクション小説です。教科書やガイドブックでは分からない、ディープな魅力を感じられる1冊。韓国のカルチャーが好きな方や、ソウル旅行の予定がある方におすすめの作品です。

K-POP・美容・コスメ・グルメなど、さまざまなエンターテインメントがあふれるソウル。さらに足を踏み入れると、観光地では見逃しがちな人々の暮らしや歴史が見えてきます。

レトロな喫茶店や朝鮮戦争の傷跡、あちこちにある銅像や磨崖仏、高低差のある独特の街並み。ソウルの隠れた魅力や新たな一面を知るきっかけにもなるノンフィクション作品です。

タイランドクエスト てくてくローカル一人旅

大和書房 著者:小林眞理子

タイランドクエスト てくてくローカル一人旅

マンガ家・小林眞理子が50ページを超えるマンガとともに綴ったエッセイです。タイと日本を行き来しながら暮らす著者が、ローカルな1人旅の様子をユーモアたっぷりに描いた作品。笑いと驚きに満ちた楽しい作品を読みたい方はチェックしてみてください。

謎の生肉料理「ラープヌアディップ」や街にあふれる野生動物たち。タイの人々とのコミュニケーションやスマートな注文方法など、思わず笑ってしまうようなエピソードが多数紹介されています。

“ほほえみの国・タイ”の知られざる魅力を感じられる1冊。タイに行ったことがある方はもちろん、これから行ってみたいと考えている方にもおすすめの作品です。

イラク水滸伝

文藝春秋 著者:高野秀行

イラク水滸伝

“誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、誰も書かない本を書く”をモットーに執筆活動を続ける作家・高野秀行が手がけたノンフィクション小説です。イラクでの探検の日々を、同行者である探検家・山田高司のイラストとともに綴っています。

三日月形の伝統的な舟「タラーデ」でめぐる、巨大湿地帯「アフワール」。そこには、”絶対平和主義”をかかげる古代宗教「マンダ教」の教徒や、フセイン政権に抗ったコミュニストなど、さまざまな人々が生活していて……。

足かけ6年にわたる取材と調査をまとめたノンフィクション大作。第28回植村直己冒険賞を高野と山田のコンビで受賞したことでも話題になりました。歴史・宗教・グルメ・アートなど多方面からイラクを知られる、おすすめのノンフィクション小説です。

トレイルズ 「道」と歩くことの哲学

エイアンドエフ 著者:ロバート・ムーア

トレイルズ 「道」と歩くことの哲学

歩くことを通して、”自分の足元に伸びる道は、どこへ続くのか”という問いに迫ったノンフィクション小説です。『ワシントン・ポスト』や『エコノミスト』などで話題になり、2017年には全米アウトドアブック賞を獲得しました。

アメリカ東部のアパラチアン・トレイルで全行程踏破を達成した著者は、ある疑問を抱きます。世界各地を旅するなかで、答えを見つけることはできたのでしょうか。

道のない原野を歩いたり、遊牧民やハンターと行動したりしながら、”道とは何か”について深く考察した作品。山歩きが好きなハイカーにはもちろん、人生とは何かについて考えたい方にもおすすめのノンフィクション小説です。