読者の予想を裏切る衝撃的な展開を味わえる、どんでん返し・伏線回収がすごい小説。ミステリーを筆頭に、さまざまな趣向を凝らした仕掛けや伏線が物語内にちりばめられているのが特徴です。1つの物語を何度も読み返したくなる魅力があります。
今回は、そんなどんでん返し・伏線回収がすごい小説のおすすめをご紹介。多くの読者に驚きをもたらした名作をジャンル別にピックアップしました。ぜひ選書の参考にしてみてください。
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- 目次
- どんでん返し・伏線回収がすごい作品の魅力とは?
- どんでん返し・伏線回収がすごい小説|ミステリー・サスペンス
- どんでん返し・伏線回収がすごい小説|ホラー
- どんでん返し・伏線回収がすごい小説|ヒューマンドラマ・恋愛
どんでん返し・伏線回収がすごい作品の魅力とは?

どんでん返し・伏線回収がすごい小説は、それまで読んできた物語の印象を一変させるような大きな驚きを味わえるのが魅力です。そうした小説では、読者に伏せた形で物語の真実をほのめかす伏線が物語中に緻密に張られています。
何気ない描写として理解していた行動や会話が、大きなどんでん返しにつながる伏線として後から意味を持つことも多数。読み返すことで物語や登場人物に対する理解をさらに深められるのがポイントです。
また、どんでん返しが秀逸な小説では、たった1行で物語の前提がひっくり返ってしまうことも。人物の印象を誤認させたり、小説そのものを仕掛けとして用いたりと、読者の予想を裏切るさまざまな手法が編み出されています。
謎を明らかにするミステリー小説を読み慣れている方でも、二転三転する展開に新鮮な驚きを味わえるのがメリット。活字の小説を読む醍醐味を感じたい方にもおすすめです。
どんでん返し・伏線回収がすごい小説|ミステリー・サスペンス
容疑者Xの献身
文藝春秋 著者:東野圭吾
ドラマ化・映画化でも人気を集めた「ガリレオシリーズ」の小説。「ガリレオ」と呼ばれる天才物理学者が、知識を武器に数々の難事件を紐解いていくミステリー小説です。第134回直木三十五賞を受賞し、シリーズの金字塔とも評されています。
天才数学者にして不遇な日々を過ごしていた高校教師・石神の心の支えは、一人娘とともに暮らすアパートの隣人・靖子。ある日、アパートを訪ねてきた前夫を彼女たちが殺害してしまったと知り、石神は2人を守るために完全犯罪を企てます。
警察の目を欺く完全犯罪に天才物理学者・湯川学が挑む、天才同士の頭脳対決が繰り広げられます。ちりばめられた謎を紐解きながら、どんでん返しの結末へと至る緻密なストーリー展開も魅力。人間ドラマとしても読み応えがある、おすすめのミステリー小説です。
そして誰もいなくなった
早川書房 著者:アガサ・クリスティー
世界累計部数は1億部以上を誇るとされる、本格推理小説の世界的ベストセラー作品。外の世界との往来が絶たれた状況を舞台にした「クローズド・サークル」や、物語や詩などに見立てて犯罪を犯す「見立て殺人」の代表的作品として知られています。
互いに面識も共通点もない10人の男女が、ある絶海の孤島に招かれるところから物語はスタート。招待主の姿が見えない奇妙な状況下で、彼らの過去の犯罪を暴いていく謎の声が聞こえてきます。やがて、不気味な童謡の歌詞に沿って1人ずつ殺害されていき……。
逃げ場のない状況で起こる連続殺人と、その真相に迫るサスペンスミステリー小説。巧みな仕掛けが導く意外な真犯人は、多くの読者に衝撃を与えました。どんでん返しがすごい小説の名作として、国や時代を超えて読み継がれるおすすめの1作です。
火車
新潮社 著者:宮部みゆき
ある失踪事件と、その真相に絡むカード破産者の悲惨な現実を描いたミステリー小説です。第6回山本周五郎賞を受賞し、”ミステリー史に残る傑作”とも評されています。
刑事・本間俊介は休職中に遠縁の男性からの依頼で、失踪した彼の婚約者・関根彰子の行方を探すことになります。明確に自分の意思で失踪したことが分かる状況に加え、足取りすら消してしまった彰子。果たして彼女の身に一体何が起こったのでしょうか。
失踪の真相と彰子の実像を、さまざまな人々の証言から浮き彫りにしていくのが特徴。伏線回収を重ねながら、カード社会の裏に隠された悲劇的な人生が明らかにされていきます。二転三転する展開から目が離せないという読者も多い名作小説です。
六人の嘘つきな大学生
KADOKAWA 著者:浅倉秋成
「伏線の狙撃手」と評される作家・浅倉秋成の代表作。就職活動を題材に、6人の大学生が緊迫した心理戦を繰り広げる青春ミステリー小説です。2022年の本屋大賞を筆頭に数々のミステリーランキングにノミネートやランキング入りしているほか、2024年には映画化もされました。
急成長を遂げているIT企業が初めて行う新卒採用で、6人の就活生が最終選考まで残ります。彼らに与えられた課題は、1ヵ月後までにチームを作り上げてディスカッションするというモノでした。
しかし、本番直前に課題が変更。”6人の中から1人の内定者を決める”という驚愕の内容に加え、発見された6通の封筒には6人それぞれの嘘と罪が書かれていたのです。
密室で行われる6人の内定を賭けた心理戦と、さまざまな謎が入り乱れる展開が見どころ。仕掛けられた伏線が鮮やかに回収されながら、怒涛のどんでん返しが繰り広げられるおすすめの話題作です。
medium 霊媒探偵城塚翡翠
講談社 著者:相沢沙呼
犯人が視える能力を持つ霊媒師と推理作家がタッグを組み、事件の真相を証明していく長編ミステリー小説です。国内の主要なミステリーランキングで5冠に輝き、2020年の本屋大賞にもノミネートされた1作。2022年にはドラマ化もされています。
物語の中心は、難事件を解決に導いてきた推理作家・香月史郎と、霊媒師・城塚翡翠。翡翠の言葉に証拠能力はなく、香月は彼女の言葉をもとに論理で事件を明らかにしなければなりません。
そんな2人は、世間を騒がす連続死体遺棄事件に挑むことに。証拠を残さない連続殺人鬼にどのようにして立ち向かうのでしょうか。
一風変わった設定やユニークなキャラクター性に、本格ミステリーの要素を巧妙に絡めた世界観が魅力。あまり小説を読み慣れない方もどんでん返しの爽快感を味わいやすい、おすすめの人気作です。
マリオネットの罠 新装版
文藝春秋 著者:赤川次郎
幽閉された美少女と連続殺人事件の意外な関係性を追いかけていく、スリリングなミステリー小説。「三毛猫ホームズシリーズ」など、著名な作品を世に送り出してきた赤川次郎の処女長編小説です。
父に「ガラスの人形」と呼ばれ、森にある館に幽閉されていた少女。大都会で次々と人を手にかけていく連続殺人犯は、果たして彼女なのでしょうか。歪な殺人事件と、その裏に隠された重なり合う人間の欲望を鮮やかに描き出します。
息もつかせないスピード感あふれる展開に驚くようなどんでん返しが待ち受けているのが見どころ。本格ミステリーに馴染みがない読者も物語に入り込みやすい、おすすめの小説です。
ハサミ男
講談社 著者:殊能将之
自分の犯行を真似た殺人犯を捜すシリアルキラーの姿を描いた長編ミステリー小説です。第13回メフィスト賞を受賞し、どんでん返しが秀逸な小説としてロングセラーで根強い人気を有します。
美少女を殺害し、死体の喉にハサミを突き立てる残虐性から「ハサミ男」と称されたシリアルキラー。3番目の犠牲者を決め、彼女の周囲を調べていたある日、自分の手口を模倣した真犯人に狙った少女を殺されてしまいます。
なぜハサミ男以外がその少女を狙ったのか、同様の手口を用いたのはなぜなのかといった謎を明らかにしていくのがポイント。衝撃のどんでん返しはもちろん、緻密に伏線が配置された技巧的な構成も読者から高い評価を集めているミステリー小説の名作です。
硝子の塔の殺人
実業之日本社 著者:知念実希人
雪深い山奥に立つ円錐状のガラスの塔を舞台に巻き起こる、連続密室殺人事件を描いた本格ミステリー小説。2022年の本屋大賞にもノミネートされた人気作です。
ミステリーを愛する大富豪・神津島太郎の呼びかけで、美しく巨大なガラスの館に集められたゲストたち。本格ミステリ作品の未発表原稿に関する催しを行おうとしていた矢先、神津島が毒殺される事件が発生します。
続くかのように次々と殺されていく人々。血文字のダイイングメッセージには13年前の事件について記されており……。
伏線が美しくつながり、予想を裏切るどんでん返しの展開が楽しめる作品。ミステリー小説ファンにもおすすめの1作です。
十角館の殺人 新装改訂版
講談社 著者:綾辻行人
全世界シリーズ累計750万部を突破する「館シリーズ」の第1作目。1987年に刊行されて以来、ロングセラーで支持を集めるどんでん返しがすごい小説の傑作です。小説界に新本格ミステリーの流れを切り拓いた作品としても知られています。
孤島・角島に建てられている十角形の奇妙な館を訪れた、大学のミステリ研究会に所属する7人の男女。館の建築家は炎上した青屋敷で半年前に謎の死を遂げ、無人島と化していました。そんな孤島で、学生たちに連続殺人の魔の手が襲いかかります。
孤島を舞台にした連続殺人事件を、緻密かつ巧妙なトリックで描き出したミステリー小説の不朽の名作。大胆な手法で表現される衝撃のどんでん返しは多くの読者を魅了しました。”ミステリ史上最大級の、驚愕の結末”と謳われるラストをぜひ見届けてみてください。
体育館の殺人
東京創元社 著者:青崎有吾
第22回鮎川哲也賞を受賞した「平成のエラリー・クイーン」こと青崎有吾のデビュー作。アニメオタクの破天荒な名探偵・裏染天馬が真相解明に挑む青春ミステリー小説です。「裏染天馬シリーズ」としてシリーズ化され、漫画化もされています。
ある日の放課後、高校の旧体育館で放送部の学生が刺殺される事件が発生。警察は、密室状態だった体育館に唯一残っていた女子卓球部部長の犯行であると断定します。卓球部員の柚乃は「学内一の天才」と評される裏染天馬に事件の解明を頼みますが……。
伏線回収を進めながら論理的に事件の真相を紐解いていく、本格推理を楽しめる本作品。個性あふれる登場人物やアニメネタが数多くちりばめられた現代的な世界観も独自の魅力を放ちます。本格推理小説が好きな中高生におすすめのシリーズ作品です。
死刑にいたる病
早川書房 著者:櫛木理宇
連続殺人鬼が主張する1件の冤罪事件について真実を再調査していく、戦慄のサイコ・サスペンス小説です。2022年に実写映画化もされています。
鬱屈した日々を送っていた大学生・筧井雅也の元に、稀代の連続殺人鬼・榛村大和から手紙が届きます。ある1件の事件について冤罪だと主張する大和は、それを雅也に証明してほしいというのです。
地域で人気のパン屋の元店主かつ、よき理解者だった大和の頼みを引き受けることにする雅也。調査を進めるにつれて、想像を超える残酷な事件の真相が明らかになっていきます。
シリアルキラー・大和の人物像が魅力的に描かれており、次第に雅也の思考が彼に感化されていく様子が巧みに表現されているのが見どころ。サイコパスの恐ろしさと驚愕のどんでん返しの結末が多くの読者を惹きつけた、おすすめの1作です。
方舟
講談社 著者:夕木春央
極限状態で犯人探しに挑むスリリングな長編ミステリー小説です。数々のミステリーランキングで上位に入賞。2023年の本屋大賞にもノミネートされました。
友人・従兄とともに山奥にある地下建築を訪れた柊一は、偶然一緒になった家族とそこで夜を過ごすことになります。しかし、翌日の明け方に地震が発生。扉は岩で塞がれ、水が入り込む事態に陥るのです。
そんな矢先に何者かによって1人が殺されてしまいます。誰か1人を犠牲にすれば脱出できる状況で、事件の犯人を犠牲者にすべきという結論に至り……。
1週間のタイムリミットのなかで、生き残りをかけた犯人探しに挑む緊迫感あふれる設定が魅力の本作品。人間の本性が持つ怖さが巧みに描かれています。背筋がゾクゾクとするようなどんでん返しを味わいたい方におすすめのミステリー小説です。
連続殺人鬼カエル男
宝島社 著者:中山七里
「どんでん返しの帝王」と称される作家・中山七里が手掛けたサイコ・サスペンス小説の人気作です。本作品で、このミステリーがすごい!の最終候補に同作者の作品がダブルエントリーされました。
マンションの13階で発見されたのは、フックで吊り下げられている女性の全裸死体。側には子供のような犯行声明文が残されていたこの事件が、殺人鬼「カエル男」による最初の凶行でした。警察の捜査が進まないなか、次々と殺人事件が発生し……。
秩序なく猟奇殺人を続けるカエル男の正体に迫っていく緊迫した様子が描かれます。鮮やかに読者の予想を裏切る怒涛のどんでん返しも魅力のひとつ。社会派ミステリー小説が好きな方におすすめの作品です。
儚い羊たちの祝宴
新潮社 著者:米澤穂信
お嬢様たちが集う読書サークルをめぐる5つの事件を連作形式で綴った短編集。”米澤流暗黒ミステリの真骨頂”と評される、ダークで耽美的な世界観が魅力のイヤミス小説です。
夢想家のお嬢様たちが集まった「バベルの会」は、夏合宿を2日前に控えていました。しかし、会員・丹山吹子の屋敷で惨劇が発生。その翌年・翌々年にも同じ日に吹子の近親者が殺害されていきます。4年目には、さらに凄惨な事件へと発展し……。
優雅な「バベルの会」に関連する邪悪な事件が、品のある語り口で綴られていきます。各短編に細かく伏線回収やどんでん返しの展開が盛り込まれ、読み応えがあるのもポイント。長編小説を読み慣れない方にもおすすめです。
カササギ殺人事件 上
東京創元社 著者:アンソニー・ホロヴィッツ
第16回本屋大賞翻訳小説部門・第10回翻訳ミステリ大賞など、驚異の7冠に輝いた海外ミステリー小説の話題作です。著者が敬愛するアガサ・クリスティーへ真っ向から挑んだという1作。海外でドラマ化もされました。
ある屋敷の家政婦が、鍵がかかっていたはずの屋敷の階段下で死亡しているのが発見されます。彼女の死は小さな村の人間関係に少しずつ亀裂を生んでいくことに。余命わずかな名探偵アティカス・ピュントは、事件をどのように推理するのでしょうか。
2つの事件が展開される本作品は、小説ならではのユニークな仕掛けが大きな驚きを読者にもたらします。名作のオマージュが数多く盛り込まれているのも見どころ。上下巻あわせて一気読みしたい、おすすめのミステリー小説です。
どんでん返し・伏線回収がすごい小説|ホラー
新装版 殺戮にいたる病
講談社 著者:我孫子武丸
グロテスクな猟奇殺人を繰り返す男の行動と心情を追いかけていく戦慄のサイコホラー小説。”二度読みミステリの最高峰”と謳われる、どんでん返しが秀逸な小説の名作です。
永遠の愛を掴みたいと願う男・蒲生稔。彼は東京の繁華街で凌辱と惨殺を重ねながら、次々と真実の愛を探し求めています。そんなサイコ・キラーの心の軌跡を辿りながら、平凡な家庭が抱える闇を抉り出した衝撃作です。
エピローグから始まる構成で、犯人・蒲生稔の行末が明らかにされているところから物語はスタート。凄惨で生々しい猟奇殺人の描写が読者の恐怖を煽りながら、物語は思いもよらないどんでん返しを迎えます。一気読みして堪能したいおすすめの傑作です。
屍人荘の殺人
東京創元社 著者:今村昌弘
第27回鮎川哲也賞・第18回本格ミステリ大賞小説部門に輝いた、今村昌弘のデビュー作。大学のミステリ愛好会のメンバーが巻き込まれる、想像を超えた連続殺人事件を描いたホラーミステリー小説です。2019年には実写映画化もされています。
ミステリ愛好会に所属する葉村譲と明智恭介は、ある映画研究会の夏合宿に参加するため、山奥のペンションを訪れます。合宿1日目の夜、メンバーたちは肝試しに出かけますが、予想もつかない事態にペンションでの立てこもりを余儀なくされてしまうのです。
緊張の一夜が明けると、密室だったはずの部屋で部員の1人が惨殺死体となって発見され……。
いわくつきのペンションで巻き起こる連続殺人事件を、多彩なトリックを盛り込んで緻密に描き出した本作品。本格ミステリー小説に意外な設定を掛け合わせた独特の世界観が異彩を放つ、おすすめの人気作です。
ナキメサマ
KADOKAWA 著者:阿泉来堂
第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞の読者賞を受賞した、阿泉来堂のデビュー作。現代の日本を舞台に、ある村で行われている恐怖の出来事を描いた民俗学系ホラー小説です。「那々木悠志郎シリーズ」としてシリーズ化もされています。
倉坂尚人の自宅に、高校時代の初恋相手・小夜子のルームメイトが訪ねてきます。音信不通になったという小夜子を捜すため、彼女の故郷である北海道・稲守村に向かった尚人。しかし、彼女はある儀式の巫女に選ばれたと告げられ……。
恐ろしい風習が残る村で直面する恐怖を描いた1作。二転三転するどんでん返しの展開が、正統派なホラー小説に独自の魅力を添えています。ダークな因習村を題材にしたホラー小説が好きな方におすすめです。
噂
新潮社 著者:荻原浩
都市伝説を発端とする、恐ろしい事件を描いたサスペンス小説です。全く無名の香水の新ブランド「ミリエル」を売り出すため、渋谷の女子高生をモニターとしてスカウトするところから物語は始まります。
女子高生はミリエルの広告戦略として、”レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって”という噂を流すことに。しかし、噂通りに足首のない少女の遺体が発見される事態へと発展するのです。
噂が現実になった奇妙な猟奇殺人事件を2人の刑事が捜査していく様を追いかけます。衝撃的などんでん返しと背筋がゾッとするような読後感に定評がある、おすすめのサイコ・サスペンス小説です。
向日葵の咲かない夏
新潮社 著者:道尾秀介
小学生の少年が同級生の死にまつわる不可解な点を追いかけていく、ダークなサイコ・ミステリー。累計部数は100万部を記録する道尾秀介のベストセラー小説です。
夏休みを前にした終業式の日。ミチオは先生に頼まれて、欠席した級友・Sくんの家を訪れます。そこでミチオは首を吊って死んでいるSくんの姿を目にしますが、彼の死体は忽然と消えてしまうのです。
1週間後、あるモノに姿を変えて現れ”僕は殺されたんだ”とミチオに訴えるSくん。ミチオは妹とともにSくんの無念を晴らすために動き始めます。
秀逸などんでん返しで高い人気を有する本作品。物語全体を覆う陰鬱な雰囲気と、事件に隠されたおぞましい裏側が読者の恐怖を駆り立てます。賛否両論を呼んだ名作としてチェックしておきたい長編小説です。
出版禁止
新潮社 著者:長江俊和
あるいわくつきの原稿に隠された真実を暴いていく、モキュメンタリー形式のホラーミステリー小説です。「出版禁止シリーズ」として複数作品が刊行されています。
「カミュの刺客」という題名の原稿を手にした著者・長江俊和。原稿には、有名なドキュメンタリー作家と心中を図った末、生き残った新藤七緒への独占インタビューが記されていました。心中の裏に隠されていたのは不倫の果ての悲劇だったのでしょうか。
出版禁止とされた原稿に書かれている心中事件の裏側を明らかにするため、関係者へ取材をしていくという形式で物語は進みます。どんでん返しの展開に加えて、謎解き要素もちりばめられているのがポイント。考察しながら楽しめる小説が好きな方におすすめです。
どんでん返し・伏線回収がすごい小説|ヒューマンドラマ・恋愛
かがみの孤城 上
ポプラ社 著者:辻村深月
2018年に本屋大賞を受賞し、累計部数は200万部を記録した辻村深月のベストセラー小説。鏡の中の孤城に迷い込んだ中学生たちの不思議な冒険を描いた青春ミステリー小説です。舞台化のほか、2022年に公開されたアニメ映画も話題になりました。
ある出来事から学校での居場所をなくし、部屋に閉じこもるようになった中学生のこころ。ある日、突然光り出した部屋の鏡の中に入ると、そこには大きな城と見ず知らずの中学生6人の姿がありました。
こころたち7人は約1年の期限付きで、城の中に隠されているという鍵探しに挑むことになります。
思春期らしい生きづらさを抱えた中学生の心情を巧みに描いた傑作として知られる本作品。ラストに向けてどんでん返しが連続するミステリー的な仕掛けも高い評価を集めました。驚きと感動に包まれる読後感が魅力的な、おすすめの人気作です。
逆ソクラテス
集英社 著者:伊坂幸太郎
世間で当たり前とされる慣習や先入観に小学生が立ち向かう様を痛快に描いた連作短編集です。2020年に第33回柴田錬三郎賞を受賞し、2021年の本屋大賞にもノミネートされました。
表題作『逆ソクラテス』では、子供たちに先入観を持って接する教師・久留米が登場。草壁は勉強も運動もできず、久留米から期待を持たれない地味な存在でした。しかし、その状況を逆手にとって、生徒たちは久留米に逆転劇を仕掛けることにするのです。
不公正・偏見・いじめなどのリアルな問題をひっくり返していく、小学生たちの生き生きとした活躍ぶりが見どころ。意表をつくようなどんでん返しの仕掛けが盛り込まれている、おすすめの短編集です。
ナミヤ雑貨店の奇蹟
KADOKAWA 著者:東野圭吾
廃屋になった雑貨店で起こる、時空を超えた奇跡を描くタイムトラベル・ファンタジー。”東野作品史上、もっとも泣ける感動作”と評される長編小説です。第7回中央公論文芸賞を受賞しました。
悪事を働いた3人の若者が、逃亡中に忍び込んだ空き店舗。そこは、かつて店主がさまざまな悩み事の相談に答えていたという「ナミヤ雑貨店」だったのです。誰もいないはずの店舗で過ごしていた3人の前に、なぜか32年前から悩み相談の手紙が届き……。
人生の岐路に立たされた人々が、過去と現在を超えて手紙のやり取りをする様を描いた1作。5つの物語が意外な形で繋がっていく伏線回収劇も高い評価を集めています。ハートウォーミングなヒューマンドラマが好きな方におすすめの小説です。
イニシエーション・ラブ
文藝春秋 著者:乾くるみ
すれ違う男女のほろ苦い恋愛模様を描いた、どんでん返しが秀逸な恋愛ミステリー小説です。”映像化不可能”と評されながらも実写映画化を果たし、180万部を突破するヒット作になりました。
大学生・鈴木が、代打で呼ばれた合コンの席で出会った女性・マユ。やがて2人は恋に落ち、甘酸っぱい青春の日々を過ごすようになります。しかし、鈴木が東京へと転勤になったことをきっかけに、2人は遠距離になってしまい……。
“必ず2回読みたくなる”と話題を呼んだ本作品。一見、ピュアで正統派な恋愛小説でありながら、ラストのどんでん返しによって物語は全く異なる様相を見せます。映画とは異なる展開になっているため、ぜひエンディングを比べながら楽しんでみてください。
アヒルと鴨のコインロッカー
東京創元社 著者:伊坂幸太郎
書店強盗から始まる切ない人間ドラマを描いた伊坂幸太郎の青春ミステリー小説。第25回吉川英治文学新人賞を受賞した人気作です。
大学に入学するためにアパートへ引っ越してきた椎名が出会った、悪魔のような印象を持つ長身の青年。彼は初対面にもかかわらず、”一緒に本屋を襲わないか”と椎名に驚くような提案を持ちかけます。青年の標的は、なんとたった1冊の広辞苑でした。
一風変わった計画とその裏に隠された切ない物語を、過去と現在が交錯する形で描き出していくのが特徴。終盤にかけて明かされる真実とどんでん返しの展開は多くの読者を驚愕させました。登場人物の個性が光る青春群像劇が好きな方にもおすすめの1作です。
カラスの親指 by rule of CROW’s thumb
講談社 著者:道尾秀介
詐欺師を生業にする中年男性が、人生を賭けた大計画に挑む長編小説です。直木賞にノミネートを果たし、第62回日本推理作家協会賞を受賞しました。2012年に実写映画化され、続編も刊行されています。
人生に敗れ、詐欺師として生きる中年2人組のもとに、ひょんなことから1人の少女がやって来ます。次第に同居人は増え、5人と1匹の奇妙な生活が始まることに。束の間の平穏を過ごすものの、それぞれの残酷な過去からは逃れられず……。
仮初めの同居生活から始まる復讐劇が、切れ味鋭いトリックや伏線を仕掛けながら描かれます。壮大などんでん返しに騙されたという読者も多数。他人同士の絆がつなぐ人情味あふれる展開も高い評価を得ているおすすめの1作です。
葉桜の季節に君を想うということ
文藝春秋 著者:歌野晶午
第57回日本推理作家協会賞・第4回本格ミステリ大賞に輝き、複数の国内ミステリーランキングでも第1位に輝いた恋愛ミステリー小説。累計100万部を突破している人気作です。
自称「何でもやってやろう屋」の元私立探偵・成瀬将虎に、社長令嬢・愛子から悪質な霊感商法事件の調査が持ちかけられます。そんな折に、自殺を図ろうとしていた麻宮さくらを救った成瀬。それをきっかけに、成瀬とさくらの仲は急接近し……。
霊感商法事件の解決とさくらとの運命の恋に成瀬が奔走する、エンターテインメント性あふれる展開が本作品の魅力。作品全体にちりばめられた伏線が、1つの大きな仕掛けとして読者に衝撃をもたらします。思わず読み返したくなる、おすすめの恋愛小説です。
リバース
講談社 著者:湊かなえ
“ヒューマンミステリー”と称される湊かなえのイヤミス小説。湊かなえが初めて男性を主人公にした小説として知られており、男同士の友情と確執がミステリーの手法で鮮やかに描かれています。2017年にテレビドラマ化もされました。
平凡なサラリーマン・深瀬和久は、自宅の近所にある喫茶店で越智美穂子と出会います。2人は恋人になり、幸せな日々を送っていたある日、美穂子の元に”深瀬和久は人殺しだ”と書かれた告発文が届くのです。それは、深瀬の過去のある闇に関連していました。
告発文を送りつけた人物と目的を明らかにするため、真相を探り始める深瀬。登場人物の心の内面がていねいに描かれており、物語へ読者を引き込みます。どんでん返しの結末に最後まで目が離せない、おすすめの長編小説です。
世界でいちばん透きとおった物語
新潮社 著者:杉井光
人気ライトノベル「神様のメモ帳シリーズ」を手掛けた杉井光による長編ミステリー小説。大御所ミステリー作家の遺稿探しと、その裏に隠された秘密を描いた物語です。口コミから大きな話題を集め、続編も刊行されました。
死去した大御所ミステリ作家・宮内彰吾は、妻帯者でありながら複数の女性と愛人関係を結んでいました。そんな愛人の子である主人公に宮内の長男は、宮内が死ぬ間際に書いていたというある小説の行方と内容について尋ねてきます。
遺稿探しを通して、父親の人となりを明らかにしていく人間ドラマが魅力。鮮やかな伏線回収劇とどんでん返しに加えて、作品に隠された仕掛けも多くの読者を驚かせました。書籍での読書ならではの醍醐味を味わえるおすすめの話題作です。
たった1行・1つの仕掛けで、物語の前提がひっくり返るような衝撃を味わえるのが、どんでん返し・伏線回収がすごい小説の魅力。物語の印象が一変することも多いため、何度も読み返すことで物語をより深く理解できます。多くの読者が騙された名作を手に取って、小説ならではの面白さを体感してみてください。