数々のヒット作を生み出し、イヤミスの女王といわれる「湊かなえ」。同氏の作品は、ハッピーエンドかと思いきや突き落とされるようなラスト、ゾクゾクする展開など、恐ろしい物語ながらもページをめくる手が止まらない魅力があります。
そこで今回は、湊かなえのおすすめ小説をランキング形式でご紹介。名作のなかから特に人気のタイトルを厳選したので、ぜひ参考にしてみてください。
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イヤミスの女王といわれる湊かなえとは?
湊かなえは1973年広島県生まれのミステリー・推理小説家です。同氏による20作品以上の作品が映画・ドラマなどでメディア化されており、知名度の高い作家の1人。読後嫌な気持ちになるミステリー「イヤミス」の女王や、ミステリー界屈指のヒットメーカーともいわれています。
湊かなえの小説は2005年にBS-i新人脚本賞で佳作入選。2007年に創作ラジオドラマ大賞と、『聖職者』で小説推理新人賞を受賞しました。
そして、2008年に第1章に『聖職者』を収録した『告白』でデビューし、週刊文春ミステリーベスト10の1位と、本屋大賞を受賞。同作品は、全米図書館協会アレックス賞にも選ばれるなど国内外で高い評価を受け、大ヒット作品となりました。
ほかにも、2012年『望郷』の収録作品『海の星』で日本推理作家協会短編部門、2016年『ユートピア』で山本周五郎賞を受賞するなど、数々の名作を生み出し続けています。
湊かなえ作品の魅力や特徴
湊かなえは主にミステリージャンルを数多く手がけており、なかでもイヤミス作品が多く刊行されています。読後は裏切られた気持ちになり後味の悪さが残りますが、惹きこまれる方も多いのが特徴です。
また、湊かなえ作品は登場人物の巧みな心理描写やさまざまな伏線のほか、緻密かつ大胆な展開があるのもポイント。ホッとしたかと思いきや最後に恐ろしい結末を迎えるなど、読み手の感情を揺さぶり、小説を読む手が止まらなくなる魅力があります。
湊かなえのおすすめ小説ランキング
第1位 告白
双葉社 著者:湊かなえ
第6回本屋大賞を受賞し、海外でも高い評価を得た湊かなえのデビュー作です。第29回小説推理新人賞に輝いた『聖職者』の顛末を、全6章からなる連作長編ミステリーとして描いた1作。映画化もされ、文庫単体で累計300万部を突破した大ベストセラー作品です。
中学校の校内で愛娘を亡くした女性教師は、終業式の日を迎えた1年生の教室で退職の挨拶を語り始めます。しかし、その内容は娘の死が事故ではなく、このクラスの生徒によって殺されたという衝撃的な告白でした。
女性教師から、級友・犯人の家族・犯人へと語り手が章ごとに移り変わりながら、それぞれの人物の内面と事件の全容を明らかにしていく構成が特徴。湊かなえならではの読み味を存分に味わいたい方に、まずおすすめの代表作です。
第2位 Nのために
双葉社 著者:湊かなえ
切なさに満ちた、湊かなえの純愛ミステリー小説。テレビドラマや朗読劇など、さまざまなメディアミックス作品も展開された名作です。累計発行部数は100万部以上を突破しています。
超高層マンションの一室で、住人の夫妻の変死体が発見される事件が発生。現場に居合わせた20代の男女4人は、それぞれに事件の真相を語り始めます。その裏には、屈折する想いとトラウマから生まれた切ない愛のドラマが隠されていたのです。
イニシャルNを共通点とする登場人物たちが織りなす、究極の愛を描いた本作品。殺人事件の真実が、関係者それぞれのモノローグ形式で情感豊かに語られていきます。人間ドラマに重点を置いたミステリー小説が好きな方におすすめの湊かなえ作品です。
第3位 夜行観覧車
双葉社 著者:湊かなえ
2013年にテレビドラマ化された長編ミステリー小説の人気作。湊かなえの5作目にして、初めて家族をテーマに据えた作品としても知られています。
高級住宅地「ひばりヶ丘」に住むエリート一家で発生した、センセーショナルな殺人事件。両親を失った子供たちは果たしてどのように生きていくのでしょうか。事件の動機と真相を、一家の家族と向かいに暮らす家族の視点から明らかにしていく物語です。
事件の真相を追うとともに、高級住宅地での生々しい人間模様とリアルな人間心理が浮き彫りになっていきます。家族の崩壊と再生のドラマに読む手が止まらなかったという読者も多い、おすすめのイヤミス作品です。
第4位 贖罪
双葉社 著者:湊かなえ
娘を殺された母親と犯人を目撃した少女たちの、罪と贖罪をテーマにした湊かなえ作品です。2018年にアメリカのミステリー界で権威のあるエドガー賞の候補作にも選出。ドラマ化もされました。
始まりは15年前、静かな田舎町で1人の少女が殺害される事件が起こります。事件の直前まで被害者と遊んでいた4人の少女たちは、容疑者と思われる男と言葉を交わしていたにもかかわらず、なぜか顔を思い出せません。結果、事件は迷宮入りしてしまい……。
十字架を背負わされ、悲劇の連鎖に取り込まれた4人それぞれを語り手としながら、人間が持つ闇の部分を鋭くえぐり出していくのが見どころ。湊かなえ作品のなかでもイヤミス度の高さに定評がある、おすすめの長編小説です。
第5位 リバース
講談社 著者:湊かなえ
2017年にドラマ化もされた、湊かなえのヒューマンミステリー小説。湊かなえが長編作品として初めて男性を主人公に選んだ1作として知られており、累計部数は63万部以上を記録しています。
しがない会社員・深瀬和久は行きつけのコーヒー豆専門店で美穂子と知り合い、交際を始めることになります。平凡だった日々が華やぎはじめたと思っていた矢先、美穂子のもとに”深瀬和久は人殺しだ”という衝撃的な告発文が届くのです。
忘れられない、過去のある闇について触れられた告発文を送ったのは誰なのか、深瀬はその真相を探りはじめます。秘密を抱えた人間の心の闇が的確に表現されているのが見どころ。衝撃的なラストまで一気読みしたい、おすすめのミステリー小説です。
第6位 少女
双葉社 著者:湊かなえ
2人の女子高生を主人公に、少女たちの心の闇と光を描いた湊かなえの初期の名作。ミリオンセラーを突破し、実写映画化のほかコミカライズもされています。
高校2年生で親友同士の桜井由紀と草野敦子はある日、かつて親友の自殺を目撃したという転校生の告白に衝撃を受けます。その告白に魅せられた2人は”人が死ぬ瞬間を見たい”と、それぞれ夏休みを利用して老人ホームと小児科病棟でボランティアをしますが……。
互いの視点が交互に入れ替わりながら、由紀と敦子の人の死に対する好奇心はやがて思いがけない結末へと向かっていきます。女子高生の無邪気な残酷さを湊かなえならではの筆致で巧みに表現した、おすすめの青春ミステリー小説です。
第7位 白ゆき姫殺人事件
集英社 著者:湊かなえ
ある殺人事件を軸としたミステリーに、信ぴょう性の薄い噂話や憶測報道などの恐ろしさを掛け合わせた湊かなえの長編小説です。2014年に実写映画化もされました。
化粧品会社に勤務する美人社員が、黒こげの遺体の姿で発見されます。犯人として疑惑が集まったのは、事件後に行方不明になった被害者の同僚・城野美姫。関係者はそれぞれに城野に関する証言をしていきますが、次第に彼女の真の人物像は見えなくなっていき……。
事件に関するさまざまな人物の証言やSNSの投稿文を通して、人間の表と裏の顔や底意地の悪さ、虚栄心などが巧みに表現されているのがポイント。情報の見せ方次第で、人物像や事件の真相まで曖昧になってしまう怖さについて考えさせられるおすすめの1作です。
第8位 高校入試
KADOKAWA 著者:湊かなえ
湊かなえが初めて手掛けたテレビドラマの脚本を、本人が小説として書き下ろした1作。デビュー作『告白』以来の学校ミステリー小説として、高校入試を題材にさまざまな人間の心理を浮き彫りにしたスリリングな物語です。
舞台は県下有数の公立進学校。入試前日を迎えた教室の黒板に、”入試をぶっつぶす!”と書かれた謎の貼り紙が貼られていました。入試当日、次々と試験内容がインターネットに実況中継される異常事態が発生し、関係者はさまざまな問題に翻弄されることになります。
受験生・教師・受験生の父兄など、さまざまな人物の思惑が絡み合う群像劇になっているのが見どころ。分刻みで物語が進んでいくスピーディーな展開のなかで、受験を前にした人間の本性がえぐり出されていきます。湊かなえの意欲作として読みたい、おすすめの1作です。
第9位 母性
新潮社 著者:湊かなえ
湊かなえが母性について正面から向き合った傑作ミステリー小説。娘を愛せない母親とそんな母親からの愛情を求める娘の、それぞれの視点から母娘の関係性を描き出した1作です。2022年に実写映画化され、累計120万部を突破するヒット作になりました。
ある日、自宅の中庭で倒れているところを発見された女子高生。彼女の母親は、愛情深く大切に育ててきたという娘の変わり果てた姿に言葉を詰まらせます。果たして事件なのでしょうか、自殺なのでしょうか。しかし、母娘の関係性は11年前に狂いはじめていたのです。
子育てと両立しながら作家業を続けてきた湊かなえならではの、世間の母親像に対する違和感や疑問が物語として巧みに盛り込まれているのがポイント。母性という言葉のあり方に一石を投じ、子育てについて考えさせられるおすすめの長編小説です。
第10位 花の鎖
文藝春秋 著者:湊かなえ
湊かなえの感動のミステリー小説。3人の女性の生き様を描きながら、彼女たちの人生に影を落とす謎の男「K」の正体を明らかにしていく一風変わった物語です。2013年にドラマ化もされています。
物語の軸は、元英語講師で金銭的に困窮している梨花、憧れの人と結婚したものの子供に恵まれない美雪、水彩画講師と和菓子屋でのアルバイトを掛け持ちしている紗月という3人の女性たち。彼女たちのもとには、毎年「K」という差出人から謎の花束が届いており……。
Kをめぐる謎を追うだけでなく、三者三様の視点を描く物語構成を通して人と人とのつながりを緻密に表現しているのが魅力。切なくも美しい展開と、衝撃のラストに驚かされる読者も多い、おすすめのミステリー小説です。
第11位 未来
双葉社 著者:湊かなえ
作家デビュー10周年を記念して書き下ろされた、おすすめの湊かなえ作品です。未来の自分から届いた手紙をきっかけに物語が動き出すダークなミステリー小説。2018年には直木賞の候補作にも選出されました。
父親を亡くし、精神的に脆い母親とともに暮らす10歳の小学生・章子。そんな彼女のもとに、20年後の自分が送り主だという一風変わった手紙が届きます。手紙に半信半疑の思いを抱えながらも、章子は手紙の返事を書き始めるのでした。
物語は章子の視点で綴られる手紙の返信の内容からスタート。章子を取り巻く周囲の人々の視点に移り変わり、未来から届いた手紙の真相を開示していきます。子供の社会問題について扱った、湊かなえの集大成ともいえる1作です。
第12位 山女日記
幻冬舎 著者:湊かなえ
山を舞台に、誰にも言えない思いを抱えた女性たちの小さな希望を描いた連作短編小説。「山女日記シリーズ」として、続編も刊行されている湊かなえの人気作です。NHKにてドラマ化もされています。
結婚を前にして不安を抱き、答えを求めて「妙高山」での初登山に挑む律子。仕事がうまくいっていない希美は、医者の妻である姉に誘われて「利尻山」を登ります。それぞれに拭いきれない葛藤や鬱屈した思いに苦しむ女性たちは、登山を通して少しずつ自分なりの光を見出すのでした。
ありふれた人生を生きる等身大の女性たちの複雑で繊細な心理が、山々のリアルな情景とともにていねいに表現されているのが魅力。爽やかな読み味で多くの読者の共感と感動を呼んだ、おすすめの湊かなえ作品です。
第13位 人間標本
KADOKAWA 著者:湊かなえ
湊かなえの”最高到達点”と謳われる本格ミステリー小説。作家デビュー15周年を記念し、2023年に書き下ろされたおすすめの新刊です。親の子殺しをテーマに、人間のおぞましさが正面から描かれています。
大学教授・榊史朗は、死体を加工して蝶に見立てた「人間標本」を作製したという衝撃的な告白を手記に残していました。”美しい姿を永遠のものにしたい”という欲求のもと、5人の美少年を殺害したという榊。さらに、その矛先は自身の息子にも向けられたというのです。
美少年を次々と標本にするという猟奇的で耽美な世界観と、事件の真相を追うミステリー性を両立させた湊かなえの傑作。最後まで読み手を翻弄する巧みな展開の数々を、ぜひ堪能してみてください。
第14位 豆の上で眠る
新潮社 著者:湊かなえ
姉妹を軸に、子供の視点からある失踪事件の実像を追いかけていく衝撃のミステリー小説です。湊かなえにとって初めての週刊誌連載作品として、「週刊新潮」にて掲載されていました。
13年前、結衣子が小学1年生のときに2歳年上の姉・万佑子が失踪。不審者の目撃情報もあるなか、結衣子たちは必死の捜索を続けていました。その2年後、姉を名乗る見知らぬ少女が家族の元に帰ってきますが、結衣子だけは姉の正体に違和感が拭えません。
“お姉ちゃん、あなたは本物なの?”というキャッチコピーが印象的な本作品。失踪事件当時と事件後の描写が交互に切り替わりながら、別人の疑惑がある姉をめぐる謎に迫っていきます。湊かなえの巧みな手腕で読者の価値観を揺さぶる、おすすめのミステリー小説です。
第15位 ブロードキャスト
KADOKAWA 著者:湊かなえ
湊かなえが初めて挑んだ高校部活小説です。高校の放送部を舞台に「伝える」とは何かを真摯に問いかける青春ストーリー。2024年に舞台化され、公立高校の入試問題としても採用されています。
中学時代、陸上部の駅伝選手として全国大会を目指していた主人公・圭祐。高校に入学し、ある理由から競技人生を断念した圭祐は、同級生の正也に誘われて放送部に入部します。新たな舞台で再び全国大会出場を目指す圭祐の青春を追いかける物語です。
放送部員たちが切磋琢磨しながら作品を作り上げていく過程が、思春期ならではの切実な感情とともに熱く描かれています。中高生から大人まで、幅広い年代の読者に何かに夢中になる素晴らしさを思い出させてくれる、おすすめの青春小説です。
第16位 新装版 サファイア
角川春樹事務所 著者:湊かなえ
湊かなえが手掛けるおすすめの短編集です。恩返しがそれぞれの物語の隠しテーマとして据えられているのがポイント。『真珠』『ルビー』など、宝石の名前をタイトルに冠した7編の短編が収録されています。
表題作『サファイア』の主人公は、人生で初めて恋人に20歳の誕生日プレゼントとして指輪をねだります。彼も彼女の初めての要望に喜んでくれたはずでしたが、誕生日の前日、彼は待ち合わせ場所に現れなかったのです。
出会いと別れ、罪悪・愛・希望など、各短編でさまざまなテーマが盛り込まれているのが特徴。ほとんどの物語は関連せずに独立しているため、隙間時間でも楽しめます。ミステリー以外にも、多彩なテイストの湊かなえ作品を読んでみたい方におすすめの短編集です。
第17位 望郷
文藝春秋 著者:湊かなえ
小さな島で生まれ育った人々の、愛憎渦巻く複雑な心模様を描いた湊かなえ作品。全6編からなる連作短編形式が特徴です。収録されている『海の星』は、第65回日本推理作家協会賞短編部門を受賞しました。
舞台は、瀬戸内海に浮かぶ白綱島。さまざまな立場に置かれた6人の男女を主人公に、島という狭い世界で経験する葛藤や生きづらさ、すれ違いが描かれます。故郷に対する屈折した心は、果たしてどのような事件を引き起こすのでしょうか。
島で生まれ育ち、淡路島で暮らしてきた湊かなえならではの、島という環境に対するあたたかくも冷静な視線が垣間見られます。人にとっての故郷とは何かを考えさせられるおすすめの連作短編集です。
第18位 ユートピア
集英社 著者:湊かなえ
第29回山本周五郎賞を受賞した、湊かなえの心理サスペンス小説です。”善意は悪意より恐ろしい”というキャッチコピーのもと、立場の異なる人々のさまざまな思惑が絡み合うことで、理想的な日常が狂っていく様が描かれます。
太平洋に面した美しい港町・鼻崎町では、先祖代々からの住人と外から移住してきた芸術家たちが、それぞれに異なるコミュニティを築いていました。そんな町で生まれ育った久美香は、幼稚園の頃の事故がきっかけで小学生になった今でも車椅子生活を送っています。
鼻崎町に引っ越してきた陶芸家のすみれは久美香を広告塔として、車椅子利用者を支援するブランドを立ち上げますが……。
住民の間に秘められていた価値観の差や各々のプライドが徐々にあらわになり、大きく歯車が狂いはじめる様が見どころ。人の善意が行き着く先の歪みにゾッとさせられる、おすすめの湊かなえ作品です。
第19位 往復書簡
幻冬舎 著者:湊かなえ
手紙の文面のやり取りによって描かれる3つの短編を収録した、湊かなえの連作ミステリー小説。収録作『二十年後の宿題』は映画『北のカナリアたち』の原案に採用され、『十五年後の補習』はテレビドラマ化と、さまざまなメディアミックス作品として起用されました。
小学校を定年退職した教師・竹沢が、元教え子・大場に出した手紙の内容を描く『二十年後の宿題』。かつて教え子だった6人の現在が気になるという竹沢の依頼を受けて、大場は彼らに1人ずつ会いに向かいます。6人は皆、6年前に起こったある事故について気にかけており……。
手紙だからこそつける嘘や許せる罪、告白など、どれも手紙という舞台装置を巧みに活かした物語が魅力。過去に起こった事件の真相が、往復書簡の形式で明かされていきます。衝撃的な結末とともにあたたかな余韻に包まれる、おすすめの湊かなえ作品です。
第20位 落日
角川春樹事務所 著者:湊かなえ
裁判と映画をモチーフに、15年前に起こった一家殺人事件にまつわる真実に迫っていく長編ミステリー小説です。第162回直木賞の候補作に選出され、2023年にはドラマ化もされています。
新進気鋭の映画監督・長谷部香に脚本の相談を持ちかけられた新人脚本家・甲斐千尋。香には、15年前に千尋の生まれ故郷で起こった「笹塚町一家殺害事件」を次の映画の題材にしたいという目論見がありました。しかし、この事件の裏には驚愕の真実が隠されていたのです。
千尋と香が映画制作のために過去の事件を調べ直すことをきっかけとして、当時は見えてこなかった被害者と加害者の新たな一面が浮き上がってくるのがポイント。切なくも希望を感じられるような読み味の湊かなえ作品を読みたい方におすすめです。
第21位 ポイズンドーター・ホーリーマザー
光文社 著者:湊かなえ
どれもストーリーに毒気を含む6つの短編が収録されたイヤミス短編集。第155回直木賞の候補作にも選出された湊かなえの秀作です。2019年に配信ドラマ化されました。
女優・藤吉弓香のもとに、故郷で開催される同窓会の知らせが届きます。しかし、自分をコントロールしようする抑圧的な母親に会いたくないという思いから、誘いを断ることに。そんな折に「毒親」をテーマにしたトーク番組への出演依頼が弓香に舞い込むのです。
毒親問題をテーマにした『ポイズンドーター』をはじめ、母娘・姉妹・友人同士など、さまざまな関係性における善意と正しさのすれ違いを描いている本作品。視点が変わることで物事の見え方も一変する、湊かなえ作品ならではの技巧が光るおすすめの短編集です。
第22位 絶唱
新潮社 著者:湊かなえ
湊かなえ自身がかつて青年海外協力隊として赴任した南洋の島・トンガを舞台に、さまざまな後悔や喪失を抱えた4人の再生を描いた1作。表題作『絶唱』をはじめとする、4つの短編からなる連作短編集になっています。
登場人物の4人は、かつて大切な人の死に打ちのめされ、大きな絶望を経験した女性たち。それぞれに秘密を抱え続けてきた彼女たちは、心を取り戻すためや約束を果たすため、逃げ出すためなど、さまざまな目的を胸に秘めて南洋の島・トンガを訪れるのでした。
震災経験から心に大きな苦しみを抱え続けている人々が、トンガでの日々を経て人生を再出発していく様が繊細な心情描写とともに表現されています。ミステリーの手法を巧みに取り入れつつ、読後には静かな余韻に浸れるおすすめの感動作です。
第23位 カケラ
集英社 著者:湊かなえ
湊かなえが美容整形を題材に、周囲から向けられる視線と自意識から生み出される評価の恐ろしさを描いた1作。ドーナツに囲まれて自殺したという少女の死をめぐって、美容外科医がその真相を追いかける物語です。
美容外科医・橘久乃は、痩身のカウンセリングにやってきた幼なじみの志保とクリニックで再会します。相談中に話題に上がったのは、小学校時代の太っていた同級生・横網八重子の思い出と、彼女の娘が自殺したという噂でした。果たして何が少女を追い詰めたのでしょうか。
久乃を聞き手として、明るい性格の人気者だったという少女の実像について関係者が語っていくモノローグ形式の構成が特徴。容姿をめぐる、現代社会のさまざまな固定観念を浮き彫りにしていきます。ダークな心理ミステリーが好きな方におすすめの湊かなえ作品です。
第24位 境遇
双葉社 著者:湊かなえ
境遇をテーマに2人の女性に焦点を当て、人と人とのつながりについて問いかけるヒューマンミステリー小説。湊かなえ作品として、初めてテレビドラマ化された1作です。
デビュー作の絵本がヒットしてベストセラー作家になった陽子と新聞記者の晴美は、かつて児童養護施設で育ったという共通点を持つ親友同士。ある日、そんな陽子の息子が誘拐される事件が発生します。
脅迫文には”真実を公表しなければ、息子の命はない”という文言が。果たして脅迫文にある「真実」とは一体何なのでしょうか。
真実に迫るにつれて、陽子と晴美が歩んできた境遇と人生の意味が明らかになっていくのが見どころ。血縁の枠を超えた人の絆のあり方について考えさせられる、おすすめの長編小説です。
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湊かなえの小説の売れ筋ランキングをチェックしたい方はこちら。
湊かなえ作品は、人々の心情を深くまでリアルに描写したり、きれいに伏線回収したりと読みごたえのあるモノが多数。今回ご紹介した作品は人気なだけではなく、完成度の高い名作ばかりです。気になった小説があれば、ぜひ手に取ってみてください。