学校などで小説を読む機会も増える中学生。しかし、活字に苦手意識があったり、どんな小説なら楽しめるのかわからなかったりする中学生も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、中学生におすすめの小説を、選び方とともにジャンル別でご紹介。映画化された人気作から、面白いと評判の話題作までピックアップしました。ぜひ選書の参考にしてみてください。

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中学生におすすめの小説の選び方

メディア化されている作品をチェック

By: amazon.co.jp

どの小説を読むか迷った方は、まずは人気作や名作を手に取るのがおすすめ。人気作や名作を探すときは、メディアミックスをしているかを基準に探してみてください。

小説が映画化や漫画化されているのは、話題性や人気の高い作品が多いのがポイント。小説を気に入った際に、映画や漫画などの別のメディアでも楽しめるのも魅力です。

ジャンルで選ぶ

中学生におすすめの小説といっても、ジャンルはさまざまです。青春を感じられる作品や、歴史を題材にした作品、恋愛や友情やミステリーなど、種類は多岐にわたります。

どれを読もうか迷っている方は、自分が読みたいジャンルから選んでみてください。ジャンルで選ぶのが難しい場合は、泣きたかったり、笑いたかったりなどから選んでみるのもおすすめです。

短編や長編など本の長さも重要

読みやすさを考えると、小説の長さも重要です。長編小説は、1つの物語が1冊かけて展開されるため、重厚なストーリーが楽しめます。短編集の場合は短くても満足感のあるストーリーが特徴で、1冊で複数の物語が楽しめるのが魅力です。

長さで迷ったら、読むシーンで選ぶのもよい選び方。通学中や休み時間など、空き時間でサクッと読みたい場合は短編集を、時間をかけながら1作に没頭したい場合は長編小説を選ぶのがおすすめです。

中学生におすすめの小説|泣ける・感動

君の膵臓をたべたい

双葉社 著者:住野よる

君の膵臓をたべたい

デビュー作にして、2016年の本屋大賞にノミネートされた住野よるの代表作。累計部数300万部を突破した大ベストセラー小説です。実写映画化や劇場アニメ化など、多数のメディアミックスもされました。

ある日、高校生の「僕」は病院で「共病文庫」という1冊の本を拾います。それはクラスメイトの山内桜良が、膵臓の病気を抱えた自分の気持ちを密かに綴った日記帳でした。

接点もなかった人気者の桜良が、余命わずかであることを知った僕。「秘密を知るクラスメイト」になった僕は、やがて自分と正反対の彼女に惹かれていき……。

重い病気を抱えながらも青春の日々を過ごす2人の姿に、今を懸命に生きる大切さを考えさせられる1作。読後には爽やかな感動に包まれます。感動できる小説を読みたい中学生におすすめの名作です。

カラフル

文藝春秋 著者:森絵都

カラフル

第46回産経児童出版文化賞を受賞した、森絵都の感動青春小説。アニメ映画化のほか、タイで実写映画化されるなど、海外でも愛される不朽の名作です。

主人公は生前の罪により、輪廻転生のサイクルから外された「ぼく」。しかし、天使業界の抽選に当たり、生まれ変わる再挑戦の機会を得ます。その挑戦とは、自殺を図った中学生の少年・小林真の体に入り込み、自分の罪を思い出すことでした。

天使・プラプラの案内のもと、ぼくは「小林真」としてホームステイをはじめます。そんな修行の日々のなか、次第に友人や家族の欠点が見えてきて……。

死んだぼくが自殺を図った少年の体で新生活を送るという、ファンタジーテイストな設定が魅力的な本作品。中学生の閉塞感を、ユーモアを交えた爽やかな筆致で描いています。じんわりとあたたかな読後感に包まれる、おすすめの感動小説です。

アルジャーノンに花束を 新版

早川書房 著者:ダニエル・キイス

アルジャーノンに花束を 新版

知能の急激な成長による変化が、悲しくリアルに描写された名作小説です。1959年に発表された作品で、1966年にはネビュラ賞を受賞しています。世界各国で映像化されており、日本でもテレビドラマ化、ミュージカル化されました。

チャーリイ・ゴードンは、32歳でありながら幼児並みの知能しかありません。そんな彼に、大学の先生が頭をよくしてくれるという夢のような話が舞い込みます。

同じく手術を受けたネズミのアルジャーノンと共に検査を重ねながら、知能が向上していく彼。しかし、知能が向上したために、これまでは理解できていなかった色々なことが理解できるようになってしまい……。

幸せの意味を考えさせられる、深い読み味が特徴の本作品。人生の価値を問うような内容が評判で、思春期真っ只中の中学生におすすめ。思いやりややさしさの大切さを再確認したい方は、ぜひ手に取ってみてください。

博士の愛した数式

新潮社 著者:小川洋子

博士の愛した数式

数学を通して人の温かさを感じる、第1回本屋大賞受賞作品です。2003年に発表された作品で、第1回本屋大賞のほか第55回読売文学賞の小説賞も受賞。過去には映画化がされており、2023年には舞台も上演されました。

家政婦の私が新たに向かった仕事先にいたのは、「記憶が80分しか保たない」博士。私に靴のサイズや誕生日を聞く博士にとって、数字は大切な言葉でした。2人きりのぎこちない生活は、私の子供との3人生活への変貌によって、色鮮やかに変わっていきます。

悲しい雰囲気が漂う設定ですが、じんわりと心にくるあたたかい読後感なのがポイント。数学の専門用語が多く登場しますが、数学知識がなくても楽しめると高い評価を得ています。ほっこりしながらも感動する小説を探している中学生におすすめです。

西の魔女が死んだ

新潮社 著者:梨木香歩

西の魔女が死んだ

大好きな魔女と過ごした日々から大切なことを知る作品です。1994年に発表された小説で、累計発行部数が260万部を超える人気作。第44回小学館児童出版文化賞を受賞しており、映画化、舞台化もされました。

不登校になった中学生のまいは、約1ヶ月を”西の魔女”ことおばあちゃんの家で過ごします。魔女修行をするまいに、おばあちゃんが教えていたのは「何でも自分で決めること」でした。

死への恐怖や友達との関係など、思春期ならではの問題を、瑞々しい情景描写と共に優しく描いているのがポイント。答えがない問いを通して、家族の絆を感じたい方におすすめの1作です。

三日間の幸福

KADOKAWA 著者:三秋縋

三日間の幸福

わずかな寿命のなかで本当の幸せを知る、人気Web小説の文庫版です。集英社の「少年ジャンプ+」にて、漫画化もされました。物語の主人公は、人生を悲観する青年です。

無気力に生きる青年は、寿命を買い取ってくれる店の存在を知ります。彼の寿命に付けられた値段は、1年につきたったの1万円。大半を売り、残り少ない寿命で幸せになろうとする青年は、監視員・ミヤギと出会いました。2人の関係が変化する頃には、すでに青年の寿命はほんのわずかになっていて……。

タイトルを回収する後半が秀逸と、高い評価を得ている作品です。不幸な人生か、幸せな少しの時間か。これからを生きる中学生に、おすすめの1作です。

中学生におすすめの小説|恋愛・青春

バッテリー

KADOKAWA 著者:あさのあつこ

バッテリー

野球の才能がある中学生が、家族や友人との関係のなかで成長する姿を描いた、あさのあつこの大ベストセラー小説。シリーズ累計1000万部を突破しています。メディアミックスも多数されてきた青春小説の傑作です。

主人公の原田巧は、自分の能力に強い自負を持つ12歳の天才ピッチャー。岡山県境の地方都市・新田に引っ越してきた巧の前に、同級生のキャッチャー・永倉豪が現れます。豪は孤高を貫く巧に、バッテリーを組むことを熱望するのでした。

野球を主軸に、多感な時期の少年たちの心情を巧みに表現しているのがポイント。同年代の中学生はもちろん、大人からも支持を集めています。全6巻と、ボリュームのある青春小説を読みたい中学生にもおすすめのシリーズです。

君は月夜に光り輝く

KADOKAWA 著者:佐野徹夜

君は月夜に光り輝く

病に悩む少女と過去に悩む少年が出会い、愛を育む恋愛小説です。第23回電撃小説大賞では、大賞を受賞しました。2019年には、北村匠海と永野芽郁が主演で映画化もされています。

大切な人の死を経験してからなげやりに生きている高校生の僕のクラスには、「発光病」で入院している少女がいました。月の光を浴びると体が光り、余命が短くなればなるほど強い光を発する発光病。

その少女・渡良瀬まみずにやり残したことがあると聞いた僕は、実現を手伝わせてくれないかと打診するのです。

交流をするうちに、少しずつ変化していく2人の関係。主人公が学生なので、共感しながら読めるラブストーリーを探している中学生におすすめです。

夜は短し歩けよ乙女

KADOKAWA 著者:森見登美彦

夜は短し歩けよ乙女

京都の古風な雰囲気にファンタジーな世界観を織り交ぜた、ポップなラブストーリーです。第20回山本周五郎賞を受賞し、第4回本屋大賞の2位にも輝いた話題作。アニメ映画化や舞台化もされており、アニメ映画は第41回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞しています。

女子大学生である「黒髪の乙女」に恋をする先輩は、「夜の先斗町」「神社の古本市」とさまざまな場所で彼女を追います。そんな2人は、いつも珍事件に巻き込まれ……。

京都を舞台にファンタジー要素満載なドタバタラブコメが繰り広げられる、摩訶不思議な小説です。キュートな世界観の小説を探している中学生におすすめ。本作品を通して独特な雰囲気を味わいたい方は、ぜひ手に取ってみてください。

夜のピクニック

新潮社 著者:恩田陸

夜のピクニック

一夜を通しておこなわれる学校行事を舞台に、少年少女の気持ちを追った青春小説です。第2回本屋大賞受賞作で、第26回吉川英治文学新人賞も受賞しました。2006年には、多部未華子主演で映画化もされています。

全校生徒が夜を通して80kmを歩く、高校生活最後のイベントであり高校の伝統行事である「歩行祭」。参加者である甲田貴子は、この行事のなかである賭けをしていました。卒業を間近にした若者が夜を歩く、歩行祭がスタートします。

10代の葛藤をギュッと詰め込んだ作品。これからの高校生活に想いを馳せたい中学生は、ぜひ手に取ってみてください。

2.43 清陰高校男子バレー部

集英社 著者:壁井ユカコ

2.43 清陰高校男子バレー部

バレーボールを題材にした、熱い青春を感じられる小説です。2018年より漫画化作品が「Cocohana」にて連載されており、2021年にはアニメも放送されました。

東京の強豪チームでバレーをしていた中学生の灰島公誓は、大きな問題を起こしてしまい母の地元である福井に引っ越してきます。そこで彼は、かつての幼馴染み・黒羽祐仁と再会。エースコンビとして成長していく2人ですが、中学最後の大会で衝突したまま同じ高校に進学してしまい……。

バレーはもちろん人間模様も大きなテーマに据えている作品。高校卒業後を描いた大学バレー編もあるので、登場人物たちの成長を追いたい方におすすめの1作です。

サッカーボーイズ 再会のグラウンド

KADOKAWA 著者:はらだみずき

サッカーボーイズ 再会のグラウンド

少年の成長を追う、人気サッカー小説シリーズの1作目です。2006年に発売された著者のデビュー作で、その後も中学生編・高校生編を多数発表しています。

小学6年生として、小学校生活最後の1年に臨む遼介たち桜ヶ丘FCのメンバー。サッカーを通しての彼らの成長や、彼らを支えるコーチや家族の想いをリアルに描写します。

小学6年生になり、キャプテンの座もレギュラーポジションもすべてを失った遼介。彼が新しいコーチとの出会いで前を向き始める物語は胸が熱くなると、高い評価を得た作品です。

中学生におすすめの小説|ミステリー

かがみの孤城 上

ポプラ社 著者:辻村深月

かがみの孤城 上

ファンタジーミステリーの最高傑作とされ、“一気読み&二度読み&感涙必至”と謳われる、辻村深月のベストセラー小説です。2018年の本屋大賞を史上最多得票数で受賞し、累計発行部数は170万部を突破。2022年に劇場アニメ化されたほか、漫画化もされています。

学校での居場所をなくし、不登校になっていた少女・こころの目の前で、突然部屋の鏡が光り始めました。輝く鏡の中に入ると、そこには城のような不思議な建物があり、こころと似た境遇の少年少女が集められていたのです。

こころを含む7人がなぜ選ばれたのかなど、謎とともに先が気になる展開で、中学生でも読みやすいのがポイント。生きづらさを抱えた人の背中を、やさしく押してくれるような読後感が魅力です。驚きに満ちたラストまで、ぜひ一気読みしてみてください。

氷菓

KADOKAWA 著者:米澤穂信

氷菓

学園に潜む33年前の謎に挑む、人気「古典部」シリーズの1作目です。2001年に発売された著者のデビュー作で、2012年にアニメ化されました。また、2017年には、山﨑賢人・広瀬アリス主演で実写映画化もされています。

何事にも積極的には関わらず、省エネ主義を掲げる高校生・奉太郎は、姉の命令により古典部に入部します。そこで出会った好奇心の塊である少女・えるの願いで、彼は33年前の謎を推理することになり……。

読みながら、奉太郎たちと共に謎解きを楽しめるのがポイント。ミステリーが好きな中学生におすすめの1作です。

三毛猫ホームズの推理

KADOKAWA 著者:赤川次郎

三毛猫ホームズの推理

不思議な猫に導かれ事件を解決する、一風変わった推理小説です。1978年に発表された作品で、現在でも発表され続けている「三毛猫ホームズシリーズ」の1作目。2012年には、相葉雅紀主演でテレビドラマ化されました。

血・アルコール・女性と苦手なものばかりの独身刑事・片山。彼は不思議な雰囲気を醸す三毛猫・ホームズに導かれながら、今日も難事件に挑みます。

トリックに思わず唸ったと、ミステリーとして高評価を得ている作品です。また、利口でかわいいホームズが魅力的で読みやすいという声も。個性的なキャラクターから物語に入り込みやすい小説を探している中学生におすすめです。

そして誰もいなくなった

早川書房 著者:アガサ・クリスティー

そして誰もいなくなった

“ミステリーの女王”が描く、不朽のクローズド・サークル作品です。日本では1955年に初めて刊行された小説で、アガサ・クリスティーの最高傑作の1つとしても知られています。2017年に、日本でも映像化されました。

孤島に招かれた、年齢も職業もさまざまな10人の男女。招待者が姿を現さない島で互いに面識もない彼らは、突如聞こえる謎の声に戦慄します。そして童謡の歌詞の通りに、1人また1人と殺されていき……。

人が少しずつ減っていくなかで、犯人を予想するのが楽しいミステリーの王道として知られる本作品。歴史的な名作を読みたい中学生に、おすすめの1作です。

私たちが星座を盗んだ理由

講談社 著者:北山猛邦

私たちが星座を盗んだ理由

甘く美しく、そして残酷なミステリーを詰め込んだ短編集です。2011年に発売され、2014年に文庫化されました。著者は、メフィスト賞作家である北山猛邦です。

計5作の短編を収録した1冊で、ラストを飾るのは表題作「私たちが星座を盗んだ理由」。主人公・姫子とその姉は、幼馴染みの夕兄ちゃんに恋をしていました。入院している姫子の姉のために、夕兄ちゃんが星座である”首飾り座”を消すと言い出して……。

メルヘンチックな表紙のイメージとは違い、イヤミスのオンパレードです。全作に衝撃の展開が待ち受けているのが魅力。どんでん返しが好きな中学生に、おすすめの1冊です。

教室が、ひとりになるまで

KADOKAWA 著者:浅倉秋成

教室が、ひとりになるまで

証明不可能な罪に挑む、異質な能力系謎解きミステリーです。2019年に発売され、2021年に文庫化された本作品。第20回本格ミステリ大賞と第73回日本推理作家協会賞にダブルノミネートされ、大きな話題になりました。

全員が仲良しな「最高のクラス」で起きた、謎の連続自殺事件。1人が首を吊り2人が飛び降りたその事件は、誰がどうみても自殺でした。しかし、幼馴染みの同級生から衝撃の事実を聞かされた垣内友弘は、その謎に挑むことになるのです。

学園と特殊能力とミステリーをうまく掛け合わせた小説で、中学生が没入しやすいのが魅力。特殊設定のミステリーに興味がある方に、おすすめの作品です。

中学生におすすめの小説|ホラー

Another 上

KADOKAWA 著者:綾辻行人

Another 上

地方の中学校を舞台に本格ミステリーとホラーを融合させた、綾辻行人の新感覚ホラー小説です。国内の主要なミステリーランキングでも上位に輝きました。2012年に実写映画化されたほか、アニメ化などのメディアミックスもされています。

夜見山北中学3年3組に転校してきた榊原恒一は転校早々、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚えます。さらに、同級生の気になる美少女、ミサキ・メイについても謎は深まるばかり。そんななか、クラス委員長・桜木が凄惨な死を遂げるのです。

不可解な出来事に満ちた怪奇ホラーとしてだけではなく、伏線が緻密に張り巡らされたミステリー小説としても楽しめるのがポイント。学園ホラー小説の傑作として、中学生にもおすすめです。

リアル鬼ごっこ

幻冬舎 著者:山田悠介

リアル鬼ごっこ

理不尽を突きつける、スリルが満載のホラー小説です。2001年に初出の作品で、映画化やテレビドラマ化など、さまざまなメディアミックスがされています。また、2015年には、園子温オリジナル脚本で設定を一新した映画も公開されました。

西暦3000年の日本にて、国王はある特定の条件を満たした人物の大量虐殺を決行します。その対象者は、名字が”佐藤”の人間。対象者である佐藤翼は、妹を守るために死の道を駆けます。

特殊な設定にグイグイと引き込まれる作品で、怖さのなかに切なさがあるとの声も。スピード感があるのが魅力なので、スラスラと読める小説を探している中学生におすすめです。

六番目の小夜子

新潮社 著者:恩田陸

六番目の小夜子

数々の名作を世に送り出している恩田陸の、デビュー作であるホラー小説です。1992年に発表された作品で、2000年にドラマ化されました。また、2022年には、舞台化もされています。

とある地方の高校で語り継がれる、あるゲーム。それは、3年に1度、密かに生徒から「サヨコ」と呼ばれる生徒が選ばれるというものでした。6番目のサヨコが登場する年、偶然か必然か津村沙世子と名乗る少女が転校してきて……。

不気味な雰囲気が漂うホラーではあるものの、謎が謎を呼ぶミステリーであり、学園を舞台にした青春小説でもある本作品。中学生であれば共感できる青春の煌めきと儚さを味わいながら、ゾッとしたい方におすすめの1作です。

営繕かるかや怪異譚

KADOKAWA 著者:小野不由美

営繕かるかや怪異譚

恐ろしくも愛おしい、そして美しいホラー短編集です。小野不由美の人気シリーズの1作目で、2018年に文庫化。コミカライズ作品にて、『青の祓魔師』で知られる加藤和恵が作画を務めたことでも話題になりました。

建物に関係する怪異を解決する営繕屋・尾端が、死者の気持ちに向き合う短編を収録。たとえば、収録されている短編のうちのひとつである『奥庭より』では、叔母から受け継いだ町屋で暮らす、1人の女性。彼女は、何度閉めてもなぜか開いている襖に悩んでいて……。

霊がテーマのホラー小説ですが、その裏にあるドラマが本作品のポイント。怪異にも人間にも寄り添ったストーリーで、ゾッとするなかにも心にくる切なさがあると評判です。じんわりとあたたかいホラー小説を探している中学生に、おすすめです。

八月の暑さのなかで

岩波書店 編訳:金原瑞人

八月の暑さのなかで

イギリス、アメリカの有名作家の物語を収録した、名作短編集です。発売は2010年で、訳者である金原瑞人自らがピックアップした名作ホラー短編が楽しめます。

エドガー・アラン・ポー原作「こまっちゃった」やW.F.ハーヴィー「八月の暑さのなかで」、ロアルド・ダール「お願い」など、珠玉の13作が掲載されています。

1冊に13の物語が収録されているため、テンポよく楽しめるのが特徴です。驚きや衝撃があるホラーというよりは、じめっとした不気味な空気感が流れるホラーとして人気。独立したストーリーに、次々と触れたい中学生におすすめです。

事故物件7日間監視リポート

KADOKAWA 著者:岩城裕明

事故物件7日間監視リポート

リアルな恐怖が蝕む、心霊調査型ホラー小説です。発売は2020年で、著者はホラー小説を数多く発表している岩城裕明。物語の舞台は、あるマンションの一室です。

リサーチ会社を運営する穂柄は、ある部屋の住み込み調査を依頼されます。その部屋では過去に妊婦が凄惨な方法で自殺しており、それ以降退去者が相次いでいました。バイトの優馬に1週間のあいだ部屋に住まわせ、その様子を定点カメラで観察する穂柄。しかし、常識では考えられない現象が起き始めて……。

心霊現象と対峙するシンプルなホラーで、リアルな現象が恐怖心を煽ると評判。また、スラスラと読めて長さも短めなので、読みやすいホラー小説を探している中学生におすすめです。

中学生におすすめの小説|歴史

燃えよ剣 上

新潮社 著者:司馬遼太郎

燃えよ剣 上

歴史小説界の代表的作家・司馬遼太郎の国民的ベストセラー小説。幕末の激動期に新撰組副長として名を轟かせた土方歳三の生涯を、物語として描き出した歴史小説の傑作です。たびたび舞台や漫画などの原作にもなり、2021年にも実写映画化されています。

時代は佐幕派と倒幕派が対立する動乱期の幕末。武州多摩の「バラガキ」だった土方歳三は、生来の喧嘩好きと組織作りの才能を活かし、やがて京の治安維持を担う「新撰組」を結成します。

近藤勇や沖田総司らとともに、類を見ない当時最強の軍事集団を作り上げた土方歳三。しかし、倒幕に傾く時代の波は、彼と新撰組を飲み込んでいくのでした。

“幕末ものの頂点をなす長編”と謳われる本作品。臨場感あふれる描写の数々に、幕末へタイムスリップするような読書体験を味わえます。中学生も新撰組の活躍の虜になる、おすすめの歴史小説です

宮本武蔵

新潮社 著者:吉川英治

宮本武蔵

誰もが知る剣豪の生涯を追った歴史小説です。シリーズは全8巻。「モーニング」にて連載中の漫画『バガボンド』の原作で、漫画もさまざまな賞を受賞している名作です。

戦乱の関ヶ原から、ギリギリ生き延びた武蔵。1年を経て故郷に帰った彼は、追われる身となってしまいます。感情のままに、武蔵は敵を殺していきました。そんな彼が、二天一流の開祖・宮本武蔵になるまでを描きます。

強さは一級品でも、心が未熟でまだまだである武蔵。彼が周りの人物との交流を経て、成長していく姿を楽しめる1作です。

のぼうの城 上

小学館 著者:和田竜

のぼうの城 上

新たな英傑の生きざまを描く、戦国エンタメ小説です。上下巻編成で、和田竜の小説家デビュー作。2012年に野村萬斎主演で映画化され、大きな話題になりました。また、「ビッグコミックスピリッツ」にて漫画化もされています。

戦国末期の日本では、豊臣秀吉が天下統一を間近にしていました。そんななか、秀吉が従える石田三成は、小田原の「忍城」を包囲していました。三成軍2万に対して、忍城の兵はたったの5百。ここで立ち上がるのが、領民に木偶の坊が由来の「のぼう様」と呼ばれても平然としている、城代・成田長親です。

領民からは慕われてはいながらも、頼りにはされていないのぼう様。そんな彼が、どのように三成軍と戦っていくのかがポイントです。逆境を描いた作品が好きな中学生に、おすすめの作品です。

清須会議

幻冬舎 著者:三谷幸喜

清須会議

信長死後の頭脳戦を描いた、戦国時代の戦わない時代エンタメ小説です。2012年に発売された作品で、著者は三谷幸喜。2013年には、役所広司や大泉洋をメインキャストに映画化もされました。

信長の後継者の座を狙う、真っ直ぐな柴田勝家と用意周到な羽柴秀吉。さまざまな思惑が入り乱れるなか、歴史が動く会議が幕を開けます。

斬った斬られたではなく、知略と謀略が飛び交う会議で戦国時代を表現しているのが秀逸。シリアスな戦が苦手な中学生に、おすすめの1作です。心理戦が魅力のコメディに興味がある方は、ぜひ手に取ってみてください。

信長死すべし

KADOKAWA 著者:山本兼一

信長死すべし

本能寺の変に至るまでに何があったのか、朝廷暗躍説をもとに炙り出す歴史小説です。2012年に発表された作品で、2014年に文庫版が発売されました。

甲斐の武田氏に勝利し、天下統一に王手をかけた織田信長。彼は、正親町帝に大坂遷都を迫ります。帝の我慢は限界に達し、ついに下る勅命。日本史上最大級の謎を、明智光秀たちの動きから克明に描きます。

史実をもとに日本史の謎に挑んだ、リアリティのあるストーリーが魅力。さまざまな人物の視点が交錯することで、臨場感が演出されていると高い評価を得ています。歴史的な事件を深掘りした小説に興味がある中学生におすすめの1作です。

三国志 上

岩波書店 著者:羅貫中

三国志 上

戦乱の中華で天下統一を目指し立ち上がる、ロマンあふれる歴史小説。上中下巻の3巻編成で、大長編になりやすい三国志をわかりやすくまとめているのがポイントです。

戦乱が続き、魏・蜀・呉の3国が対立する中華。苦しむ人民を目にし、関羽、張飛と兄弟の契りを交わした玄徳は、戦禍へと身を投じます。

三国志を凝縮し簡潔にまとめた1作ですが、重要な点はしっかりと描写されていると評判。最初から長編シリーズを読むのに抵抗がある中学生におすすめです。三国志に興味がありながらも手に取る本で迷っている方は、ぜひチェックしてみてください。