数々のヒット作を生み出す、大人気ミステリー小説家「東野圭吾」。江戸川乱歩賞・直木賞・本格ミステリ大賞などを受賞し、映像化された作品も多いため、知名度の高い小説家の1人です。しかし、東野圭吾による数々の名作のなかから、どの作品を選んだらよいか悩む方が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、東野圭吾のおすすめ小説をランキング形式でご紹介。珠玉の名作をSAKIDORI独自に厳選したので、ぜひ参考にしてみてください。
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大人気ミステリー作家 東野圭吾とは?
東野圭吾は、1958年に大阪府で生まれたミステリー作家。大阪府立大学工学部を卒業後、1985年に『放課後』がデビュー作にして江戸川乱歩賞を受賞しました。
1999年に『秘密』で日本推理作家協会賞、2006年に『容疑者Xの献身』で直木賞を受賞。ほかにも、本格ミステリ大賞や新風賞、吉川英治文学賞など数々の賞を受賞しています。ドラマや映画などメディアミックス作品も多く、日本でも指折りのベストセラー作家です。
ほかにも、書店を守りたいという思いから、東野圭吾作品の電子書籍化はされていませんでした。しかし、新型コロナウイルスによる外出自粛中の若者に”最高のエンタメ小説を楽しんでほしい”と、『容疑者Xの献身』や『白夜行』など、人気7作品が2020年4月に初めて電子書籍化。大きな話題を呼びました。
2023年には東野圭吾の著作が100冊を突破し、国内累計発行部数は紙の書籍のみで1億部を突破。さらに、同年11月には紫綬褒章を受章、2024年には第28回日本ミステリー文学大賞を受賞するなど、勢いを増し続けています。
東野圭吾作品の魅力
東野圭吾は、大阪府立大学工学部電気工学科を卒業し、日本電装の元エンジニアという経歴もあるため、理系の知識を活かした理系ミステリーを数多く発表。そのほか、社会派ミステリー・青春ミステリー・ヒューマンストーリーなど、さまざまなジャンルの小説を手掛けています。
東野圭吾作品は、オリジナル性あふれる斬新なストーリーや先の見えない展開、どんでん返しの結末など、エンターテインメント性の高さが魅力。さらに、魅力的な登場人物、共感を得やすいテーマなどにより、人の心を惹きつけるのがポイントです。
また、東野圭吾は次々と映像化作品を生み出す、ヒットメーカーとしても有名。映像化を担当したプロデューサーらも、情景描写・心情描写などがリアルで繊細で、イメージがしやすいと賞賛しています。
東野圭吾のおすすめ小説ランキング
第1位 容疑者Xの献身
文藝春秋 著者:東野圭吾
第134回直木賞受賞作品で、累計発行部数が295万部を突破した大ベストセラー小説。東野圭吾の代表作のひとつであり、最高傑作ともいわれる名作です。
福山雅治主演でドラマ化もされた人気ミステリー「ガリレオシリーズ」の第3作品目。2024年には同シリーズの1作品目『探偵ガリレオ』が朗読劇化されています。
本作品は、シリーズ初の長編。不遇な日々を送る天才数学者かつ高校教師・石神は、1人娘と暮らす隣人・靖子に想いを寄せていました。しかし、彼女が前夫を殺害したことを知った石神。彼は2人を救うための完全犯罪を企てるのです……。
皮肉にも石神のかつての親友で、帝都大学理工学部物理学科の准教授・湯川学が、事件の謎に挑むことになります。切なく、予想外の結末に涙する方も多い1冊。東野圭吾作品の初心者や、悲しい恋愛ミステリーを求める方にもおすすめです。
第2位 白夜行
集英社 著者:東野圭吾
累計発行部数は210万部を超え、平成を代表するミステリー大作といわれる東野圭吾作品。舞台化・ドラマ化・映画化された名作です。集英社文庫では歴代売上No.1を記録しました。
残酷な運命を背負った少年と少女を描いた、叙事詩的な物語です。1973年に大阪の廃墟ビルで、質屋経営の男が1人殺害されます。
容疑者は次々と浮かぶものの、事件は迷宮入り。被害者の息子・桐原亮司と、容疑者の娘・西本雪穂はその後、別々の道を歩むことになりますが……。
「偽りの昼」を生きた暗い過去を持つ2人と、質屋殺しの事件を追っている老刑事の執念を絡めて描いているのがポイントです。何重にも張り巡らされた伏線や、息の詰まるような展開、緻密なストーリーが魅力の1冊。壮大なスケールの東野圭吾作品を読みたい方におすすめです。
第3位 手紙
文藝春秋 著者:東野圭吾
累計発行部数は250万部を突破し、映画化・ミュージカル化・ドラマ化もされた、東野圭吾のロングセラー小説。直木賞にもノミネートされた作品です。
強盗殺人の罪で服役中の剛志と、弟・直貴が交わす手紙を中心に描かれた物語。直貴のもとには、獄中の剛志から月に1度手紙が届きます。
しかし、直貴には進学・恋愛・就職など、幸せをつかむチャンスがあるたびに、「強盗殺人犯の弟」というレッテルを張られる過酷な現実がありました。
いつか罪は償えるのでしょうか。人の絆とは何なのでしょうか。犯罪者家族がテーマで、感動の渦を巻き起こしたといわれる名作。泣ける東野圭吾作品に触れたい方におすすめです。
第4位 秘密
文藝春秋 著者:東野圭吾
1998年度のベストミステリーとして話題を呼んだ長編小説。日本推理作家協会賞を受賞した作品で、東野圭吾の代表作のひとつとしても挙げられます。志田未来主演でドラマ化されたほか、日仏でそれぞれ映画化されました。
妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美を乗せたバスが崖から転落する事故が発生。直子だけが亡くなり、葬儀の夜に藻奈美が奇跡的に意識を取り戻します。
しかし、娘の体に入っていたのは直子でした。その日から杉田家は、切なく奇妙な「秘密」の生活を送ることになるというあらすじです。
登場人物の心情に心を揺さぶれる方も多く、衝撃的なラストもポイントの1冊。ミステリータッチで描かれた、東野圭吾の切ないラブストーリーに興味がある方におすすめです。
第5位 流星の絆
講談社 著者:東野圭吾
すべての東野圭吾作品を超えたといわれる、著者会心の感動大作で、現代エンタメの最高峰とも評されるミステリー小説。第43回新風賞を受賞したほか、二宮和也主演でドラマ化もされたミリオンセラー作品です。
主な登場人物は幼いころに両親を何者かに惨殺された、洋食店「アリアケ」の3兄妹。流れ星に仇討ちを誓った彼らは14年後、結婚詐欺をして暮らしていました。
兄妹以外は信じず世間を敵視する彼らに、犯人を突き止める最初で最後のチャンスが訪れます。3人で復讐計画を完璧に仕掛けたはずでしたが、妹の恋心という最大の誤算があったのです……。
伏線が多数張り巡らされており、息もつかせぬ展開やラストのどんでん返しなどが見どころ。東野圭吾の泣けるミステリーを読みたい方におすすめです。
第6位 ナミヤ雑貨店の奇蹟
KADOKAWA 著者:東野圭吾
第7回中央公論文芸賞受賞作品で、映画化・舞台化もされた東野圭吾作品。過去から手紙が届くというファンタジー要素もありながら、しっかり伏線を回収していく、泣けるミステリー小説です。世界累計で1300万部を突破しました。
物語の舞台は、かつてあらゆる悩み相談を請け負っていた「ナミヤ雑貨店」。悪事を働いた主人公ら3人は、廃業した古い雑貨店に逃げ込みます。すると、突然シャッターの郵便口から、悩み相談の手紙が落ちてきました。
時空を超えて過去から投函されたのか、と3人は戸惑いながらも、当時の店主・浪矢雄治に代わって手紙の返事を書きますが……。過去と現在を超え、あたたかい手紙交換が始まります。
本作品に張り巡らされされた伏線は、物語が進むにつれ、奇跡のように繋がりあっていくのがポイント。東野圭吾作品史上、最も泣ける感動作と評される作品に触れたい方におすすめです。
第7位 マスカレード・ホテル
集英社 著者:東野圭吾
ホテルを舞台にしたミステリー「マスカレードシリーズ」の第1作品目。シリーズ累計495万部を突破している人気シリーズです。2019年には本作品、2021年にはシリーズ第3作品目『マスカレード・ナイト』が、木村拓哉主演で映画化され、話題を呼びました。
物語は、都内で容疑者もターゲットも不明という不可解な連続殺人事件が発生するところから始まります。残された暗号から判明した、次の犯行場所は一流ホテル「ホテル・コルテシア東京」。若いエリート刑事・新田浩介は、ホテルマンとして潜入調査を命じられます。
彼の教育係は、プロ意識の高いフロントクラーク・山岸尚美。立場や性格も正反対でプライドをぶつけ合う2人の前には、次々と怪しい客がやってきます。2人は事件の真相にたどりつけるのでしょうか。
張り巡らされた伏線が回収されていくさまや、ハラハラドキドキする展開がポイント。謎解きが好きな方におすすめの東野圭吾作品です。
第8位 新参者
講談社 著者:東野圭吾
東野圭吾の最長シリーズで、累計1400万部を突破した「加賀恭一郎シリーズ」の第8作品目。本作品は、着任したばかりの刑事・加賀恭一郎が謎を解いていく連作短編集です。
このミステリーがすごい!と、2009ミステリーベスト10で1位を獲得。阿部寛主演のドラマ化作品も人気を博し、シリーズが初めての方でも楽しめます。
日本橋・人形町を舞台に描かれた作品。日本橋の片隅で発見された、1人暮らしの40代女性の絞殺死体の謎を解き明かすため、加賀が未知の土地を歩き回ります。しかし、彼の前には「人情」という名の9つの謎が立ちはだかるのです……。
大切な人を守るために生まれた謎が、犯人へ繋がっていくのがポイント。人情味にあふれた、心あたたまるミステリー小説を読みたい方におすすめです。
第9位 時生 新装版
講談社 著者:東野圭吾
東野圭吾の集大成ともいわれ、SF・ファンタジーにも分類される小説。過去・現在・未来が交錯する、奇跡の物語を描いています。『トキオ 父への伝言』としてドラマ化もされた作品です。
宮本拓実の息子・時生は不治の病を患い、病室で最期の時と迎えようとしていました。そのとき、拓実は妻に、1978年に浅草で出会った少年との思い出を語り始めます。
20年以上前は、どうしようもない若者だった拓実。そんななか、「トキオ」と名乗り、自分の息子だという少年と出会います。拓実はトキオとともに、謎を残して消えた恋人・千鶴の行方を追うのですが……。
切ない物語に感動する方も多い名作。タイムスリップものが好きな方や、東野圭吾のSFファンタジーに触れたい方におすすめです。
第10位 悪意
講談社 著者:東野圭吾
東野文学最高峰ともいわれるミステリー小説です。「加賀恭一郎シリーズ」の第4作品目。犯行動機を解明していく「ホワイダニット」の超一級作品とも評される傑作です。
物語は、人気作家が仕事場で絞殺されたところから始まります。第1発見者は作家の妻と友人。逮捕された犯人が決して語らない「動機」にスポットを当てて描かれているのがポイントです。
果たしてその動機に、悪意は存在するのでしょうか。犯人の動機が気になる方や、ホワイダニットが気になる方におすすめの東野圭吾作品です。
第11位 幻夜
集英社 著者:東野圭吾
『白夜行』の姉妹小説ともされるミリオンセラー作品。東野ミステリーの醍醐味にあふれた大長編小説です。直木賞候補にも挙がり、ドラマ化もされました。
1995年阪神淡路大震災の混乱の最中、男が衝動的に殺人を犯してしまった男とそれを見ていた女。2人は手を組み、東京に出ます。
野心を実現するためには手段を選ばない女と、彼女を愛するあまり彼女の指示を受け、悪事に手を染める男。女は一体、何者なのでしょうか。
謎が謎を呼び伏線が絡み合っていく、読みごたえのある東野圭吾作品。登場人物の恐ろしさや、衝撃的なラストも見どころのおすすめ小説です。
第12位 さまよう刃
KADOKAWA 著者:東野圭吾
犯罪小説史に残るといわれる、衝撃的なミステリー小説。少年犯罪と遺族の復讐をテーマにした作品です。累計発行部数は170万部を超え、映画化・ドラマ化もされました。
主人公で、会社員である長峰重樹の娘・絵摩が、荒川の下流で死体として発見されるところから物語が始まります。
すると、長峰のもとに、犯人の名前を告げる1本の密告電話が入りました。彼は半信半疑でしたが、娘の復讐に動き出し、犯人の1人を殺害し逃亡します。
遺族に犯人を裁く権利はあるのでしょうか。そして、長峰の復讐劇の行方はどうなるのでしょうか。少年犯罪について考えさせられる、おすすめの東野圭吾作品です。
第13位 人魚の眠る家
幻冬舎 著者:東野圭吾
東野圭吾のデビュー30周年記念で執筆されたミステリー小説です。衝撃的な物語が話題を呼び、累計発行部数は110万部を突破。2018年には篠原涼子主演で映画化されました。
主な登場人物は、娘の小学校受験が終わったら離婚すると約束した、仮面夫婦の播磨和昌と薫子。しかし、彼らに娘がプールで溺れたという悲報が届きます。
病院に駆け付けた2人に待っていたのは、”おそらく脳死”という現実でした。そして、医師から思いもよらない選択を迫られるのです……。
残酷な運命に苦悩し、娘を狂気ともいえるほど愛する薫。その狂気ともいえる愛は成就するのでしょうか。著者自身が、こんな物語を書いていいのか、今も悩み続けているという作品。愛する人がいる方や、東野圭吾の感動作に触れたい方におすすめです。
第14位 どちらかが彼女を殺した
講談社 著者:東野圭吾
「加賀恭一郎シリーズ」の第3作品目で、”純粋推理の頂点を究めた”と謳われるミステリー小説。東野圭吾がミステリー界にケンカを売りたかったと発言し執筆した、シリーズのなかでも人気の高い1作です。
ある日、愛知県交通課に勤める和泉康正に、東京に住む妹・園子から電話があります。明日帰れたら帰るという内容でしたが、”お兄ちゃん以外、信じられなくなっちゃった”という言葉を残して電話を切り、翌日彼女は帰ってきませんでした。
そして、心配した和泉が園子のマンションを訪れると、変わり果てた姿で彼女が発見されます。和泉は犯人への復讐を決意し、現場の証拠を隠蔽しました。容疑者は元恋人の男性か親友の女性。決め手が見つからないなか、練馬署の加賀刑事は和泉の工作をかぎ取っており……。
最後まで犯人が明かされないという、前代未聞の異色作です。文庫版はあえて文章の一部が抜けているなど、トリックが難解になっているのが魅力。自分で推理を楽しみたい方におすすめの、ミステリー上級者向け小説です。
第15位 放課後
講談社 著者:東野圭吾
東野圭吾のデビュー作にして、1985年に第31回江戸川乱歩賞を受賞した青春推理小説です。ドラマ化・マンガ化もされています。2024年11月には演劇化も決定しました。
主人公は私立女子高の数学教師で、アーチェリー部顧問・前島。最近何者かに命を狙われていると思っていた折に、密室の更衣室で同僚・村橋教諭が、青酸中毒で毒殺されます。
容疑者として、先生を2人きりの旅行に誘う生徒、頭脳明晰で剣道部主将の美少女などが次々と登場。そして、運動会の仮装行列で再び殺人が起こるのです……。
張り巡らされた伏線や、さまざまなトリックなど読みごたえがあります。学園ミステリーなので、中学生ごろから大人までおすすめ。東野圭吾作品の初心者にも読みやすい作品です。
第16位 卒業
講談社 著者:東野圭吾
「加賀恭一郎シリーズ」の第1作品目で、長編の本格青春推理小説。初版時のタイトルは『卆業 雪月花殺人ゲーム』でした。大学生時代の加賀恭一郎の活躍を描いたミリオンセラー作品です。
大学卒業まであと5ヶ月、就職や恋愛に楽しく忙しく過ごしていた、仲良し7人組の大学4年生がいました。
ある日、仲良しグループの1人・祥子が密室で死亡。そこで、心優しい大学生の名探偵・加賀恭一郎が、祥子が残した日記を手掛かりに、彼女の死の謎を追求していきます。
本作品は、手の込んだトリックがポイントです。また、友達とは何かについても考えさせられられる1冊。「加賀恭一郎シリーズ」を1から読み進めたい方や、東野圭吾作品が初めての方にもおすすめです。
第17位 変身
講談社 著者:東野圭吾
累計発行部数は125万部を突破した、ベストセラーの医療サスペンス小説。著者が新たな地平を開いたともいわれる、衝撃的な感動作です。
主人公は、画家を夢見て優しい恋人を愛する平凡な青年・成瀬純一。ある日、彼は幼女をかばい頭を撃たれ、大ケガを負います。そして、世界初の脳移植手術が行われました。手術は成功しましたが、徐々に純一の性格は変わっていき、恋人や友人になど対して奇妙な反応を示すようになります。
自分ではどうしようもなく、自己崩壊していく恐怖にかられた純一は、自分に移植された脳のドナーの正体を突き止めますが……。
平凡な純一に待ち受ける過酷な運命が恐ろしく、悲しい物語。東野圭吾初期の秀作に触れたい方におすすめです。
第18位 パラレルワールド・ラブストーリー
講談社 著者:東野圭吾
累計発行部数は150万部を超える、東野圭吾の傑作ミステリー小説。2019年には映画化もされました。タイトル通り、パラレルワールドを題材にした作品です。
主人公は、かつて自分が一目ぼれした女性と付き合う親友への嫉妬に苦しむ敦賀崇史。ところが、ある朝目を覚ますと、彼女は崇史の恋人として隣にいたのです。
存在する2つの「世界」、消えない2つの「記憶」。崇史は本当の過去を取り戻すために、「記憶」と「真実」のはざまをたどり、恋と友情に翻弄されていきます。
徐々に謎が明らかになっていき、読みやすいのがポイント。SF要素や恋愛要素などさまざまな要素が楽しめる、おすすめの東野圭吾作品です。
第19位 仮面山荘殺人事件
講談社 著者:東野圭吾
1990年に出版された作品ですが、2019年に舞台化されるなど、今なお愛されているミステリー小説。”スカッとだまされてみませんか”というキャッチコピーが付いているのがポイントです。
製薬会社の社長・森崎伸彦が所有する山荘に、交通事故で亡くなった森崎の娘・朋美をしのぶため、8人の男女が集まります。しかし、そこへ逃亡中の銀行強盗が侵入。外部との連絡を絶たれた8人は脱出を試みますが、ことごとく失敗に終わりました。
そして、恐怖と緊張のなか、ついに1人が殺害されてしまいます。しかし、銀行強盗たちは犯人ではありえない状況。残された7人は疑心暗鬼にかられ、パニックに陥っていくというあらすじです。
本作品は、ミステリー小説であると同時に、痛切な人間ドラマでもあります。どんでん返しの衝撃的なラストもポイント。クローズドサークルのミステリー小説が好きな方におすすめです。
第20位 白鳥とコウモリ
幻冬舎 著者:東野圭吾
東野圭吾の新たなる最高傑作とされており、自身も”今後の目標はこの作品を超えることです”と発言している作品。東野圭吾版『罪と罰』といわれる、壮大なミステリー小説です。累計123万部を突破しており、2024年4月には文庫版が上下巻ともに3週連続重版され、話題を呼びました。
物語は2017年11月1日に、港区海岸で腹を刺された弁護士・白石健介の遺体が発見されるところから始まります。
1人の男が殺害を自供し、事件は解決するはずでした。しかし、ある男の告白が、2017年の東京と1984年の愛知をつなぎ、人々を新たな迷宮へと誘うのです……。
人間の優しさや強さを描いており、罪や償いをめぐる重い問いが待ち受けているのがポイント。伏線回収もきれいで、東野ワールドを堪能できます。東野圭吾らしさが詰まっており、新たな代表作ともいわれる大作に触れたい方におすすめです。
第21位 分身
集英社 著者:東野圭吾
現代医学の危険領域に、東野圭吾が切り込んだサスペンス長編小説。2012年にはドラマ化もされ、ミリオンセラーを突破しています。
函館市生まれで、札幌の大学に通う18歳の氏家鞠子は、最近自分にそっくりな女性がテレビに出ていたと聞きました。
一方で、東京の女子大生で20歳の小林双葉は、アマチュアバンドの歌手ですが、母親からテレビ出演を禁止されます。2人を結ぶものとは何なのでしょうか。
2人の視点で、物語が交互に進んでいくのがポイントです。徐々に真実が明らかになっていく、先が気になる展開で一気読みしやすい作品。東野圭吾迫真の、異色ミステリー小説に触れたい方におすすめです。
第22位 探偵ガリレオ
文藝春秋 著者:東野圭吾
東野圭吾作品のなかでも人気の「ガリレオシリーズ」最初の物語です。常識を超えた謎に天才科学者・湯川学が挑む連作ミステリー小説。2007年にはシリーズで初めてドラマ化され、シリーズは累計1400万部を突破しました。
突然燃え上がった若者の頭や、心臓だけ腐った男の死体、池に浮かんだデスマスクなど説明のつかない奇怪な事件が発生します。
警視庁捜査一課・草薙俊平が奇怪な難事件にぶつかったとき、必ず訪ねる友人がいました。それが帝都大学理工学部物理学科の助教授・湯川学だったのです。
事件を科学で解明していく視点が新しく、読者も謎解きを楽しめる1冊。人気シリーズの原点に触れたい方や、読みやすい短編ミステリーを求める方におすすめの東野圭吾作品です。
第23位 片想い
文藝春秋 著者:東野圭吾
「ジェンダー」をテーマにしており、東野圭吾作品のなかでも”最大の問題作”といわれる、傑作のヒューマンミステリー小説。ドラマ化され、ミリオンセラーを突破しています。
2017年の夏、大学時代ともに汗を流したアメリカンフットボールの仲間たちとの同窓会。エースでクォーターバックだった西脇哲朗は、同窓会の帰り道、マネージャーだった日浦美月と10年ぶりに再会します。
性同一性障害で苦しんできたという彼女は、今は男として生きていることや、殺人したことを哲朗に告白。そして、美月の親友である妻と、彼女をかくまいますが……。
過ぎ去った青春の日々を裏切るまいと、奮闘する仲間たちの姿を描いています。男女の境界線やさまざまな形の「片想い」、事件の真相など、考えさせられる1冊。人間関係を色濃く描いた、大反響のおすすめ東野圭吾作品です。
第24位 ある閉ざされた雪の山荘で
講談社 著者:東野圭吾
密室が舞台の多層トリックを描き、東野圭吾が1992年に発表したサスペンスミステリー。映画化は困難といわれていましたが、2024年1月に重岡大毅主演で映画化され、話題を呼んでいる作品です。
有名な演出家・東郷陣平のオーディションに合格した劇団員の男女7名が、早春の乗鞍高原のペンションに集まります。しかし、彼らはペンションのオーナーから”東郷先生はここには来ない”と告げられ、戸惑っていました。
そこに1通の速達が届きます。そこには、ここが吹雪の山荘と仮定した7名の舞台稽古場であること、1人1人が脚本家・演出家・役者になり、今後起こる出来事に対処することなどが書かれていました。そして、2日目にメンバーの笠原温子が、遊戯室で殺されたことが発覚して……。
1人また1人と仲間が消えていき、殺人劇が芝居なのか現実なのか分からず、劇団員が精神的に追い込まれていきます。”驚愕の終幕”が待ち構えているのがポイント。多くのミステリーファンをうならせてきた、おすすめの1冊です。
第25位 プラチナデータ
幻冬舎 著者:東野圭吾
東野圭吾のエンターテインメント長編小説。革命的な「DNA捜査システム」の裏に隠された陰謀を描いた、サスペンスミステリーです。2013年に二宮和也主演で映画化され、累計発行部数は160万部を突破しました。
国民の遺伝子情報から犯人を特定できる「DNA捜査システム」の開発者が殺されるところから物語は始まります。天才科学者・神楽龍平は、システムを使って犯人を検索しますが、そこに示されたのは彼自身の名前だったのです……。
殺人を犯した覚えのない神楽が、警察の包囲網をかわしながら真相を追う、逃亡劇が繰り広げられます。個性的な登場人物たち、それぞれの思いがはっきりしているのがポイント。ハラハラドキドキから一気読みしやすい、おすすめの東野圭吾作品です。
第26位 ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人
光文社 著者:東野圭吾
元マジシャンであるバーのマスターが、マジックで謎を解き明かしていく東野圭吾作品です。「ガリレオシリーズ」でも湯川学を演じた福山雅治から、”ダークヒーローを演じてみたい”ことを聞いた東野圭吾が、同氏の悪党ならぜひ見てみたいと思ったのが執筆のきっかけ。2025年には、実際に福山雅治主演で映画化が決定しています。
物語の舞台はコロナ禍に苦しむ町。ある日、元中学校教師の神尾英一が何者かに殺害されます。訃報を受けた娘の真世が、仕事や結婚準備を抱えたまま生家に戻ると、何年も音信不通だった叔父の武史と再会しました。
元マジシャンの彼は警察を頼らず、自分の手で犯人を見つけると言います。英一を殺した犯人は、教え子である真世の同級生のなかにいるのでしょうか……。
人を騙すことが快感という、クセが強く面白い神尾武史のキャラクターや、驚きのトリックが魅力です。ライトで明るく、ミステリー初心者が読みやすいのもポイント。エンターテインメント性の高い東野圭吾作品を読みたい方におすすめです。
第27位 夜明けの街で
KADOKAWA 著者:東野圭吾
禁断の恋に墜ちていく、愚かな男の物語を描いた東野圭吾作品。映画化もされ、発行部数は200万部を突破したベストセラー小説です。
主人公で建設会社勤務の渡部は、”不倫する奴なんてバカだ”と思っていました。しかし、彼は派遣社員・仲西秋葉と不倫の恋に墜ちます。
そして、彼女との仲を深めるにつれ、彼女が抱えている複雑な事情を知ることになりました。彼女は15年前に父親の愛人が殺害された事件の容疑者とされていたのです。果たして、彼女は真犯人なのでしょうか。
単なる不倫小説というだけでなく、1つの謎と1つのスリルをめぐるサスペンス要素もあり、ラストまで油断禁物の衝撃作。大人の恋愛ミステリー小説を読みたい方におすすめの東野圭吾作品です。
第28位 ラプラスの魔女
KADOKAWA 著者:東野圭吾
東野圭吾が小説の常識を覆して挑んだとされる、空想科学ミステリー小説。2018年には櫻井翔主演で映画化され、発行部数が200万部を突破したベストセラー作品です。
物語は、ある地方の温泉地で、硫化水素中毒による死亡事故が発生するところから始まります。地球化学研究者・青江は検証のため現場に赴きますが、双方の現場で謎の娘・円華を目撃します。彼女は青江の前で次々と不思議な力を発揮し始めますが、その力とは一体何なのでしょうか。
本作品は東野圭吾が手掛けてきた、科学・犯罪・親子などさまざまなジャンルの要素が含まれているのがポイント。複雑に絡み合う事件や人間模様、中盤からの急展開や予測不能なラストなど、読む手が止まらない魅力があります。東野圭吾ミステリー史上最も異色といわれるおすすめの小説です。
第29位 むかし僕が死んだ家
講談社 著者:東野圭吾
東野圭吾自身が”これは隠れた自信作です”と発言したミステリー小説。登場人物は主人公・私と、7年前に別れた恋人・沙也加の2人のみで、舞台の大半は「灰色の家」で完結する一幕劇です。
“あたしは幼い頃の思い出が全然ないの”と言う沙也加の記憶を取り戻すため、私は彼女と「幻の家」を訪れます。それは、めったに人が来ない、山中にひっそりと立つ異国調の白い小さな家。そこで2人を待ち受ける、恐ろしい真実とは何なのでしょうか。
ラストに向かうにつれて分かってくる物語の全貌や、散りばめられた巧みな伏線回収の仕方など、秀逸なミステリー小説。心理ホラー要素があり、読む手が止まらない魅力があるおすすめの東野圭吾作品です。
第30位 クスノキの番人
実業之日本社 著者:東野圭吾
東野圭吾の新たな代表作といわれる、エンターテインメント小説。”その木に祈れば、願いが叶う”といわれているクスノキを中心に繰り広げられる奇跡の物語です。多言語翻訳版も日本での新刊発売と同時期に刊行され、話題になりました。オリコン年間文庫ランキング2023年では第1位を獲得しています。
主人公は、不当な理由で職場を解雇され、腹いせに罪を犯して逮捕された玲斗。起訴を待つ身となった彼のもとに突然弁護士が現れ、依頼人の命令を聞くなら釈放してくれるといいます。
依頼人に心当たりはなかった玲斗ですが、依頼を引き受けました。依頼人は千舟と名乗る年配女性で、彼の伯母でもあるといいます。彼女は玲斗に”あなたにしてもらいたいこと、それはクスノキの番人です”と命令するのです……。
玲斗が成長していく様子や、家族愛を感じられ感動する方も多い作品。ファンタジー要素もあり、心あたたまる東野圭吾作品に触れたい方におすすめです。
第31位 ダイイング・アイ
光文社 著者:東野圭吾
東野圭吾異色のハードサスペンス小説です。交通事故が生む「無責任の拡大」がテーマ。三浦春馬主演でドラマ化もされ、ミリオンセラーを突破しました。
雨村慎介は何者かに襲われて、頭に重傷を負います。犯人の人形職人は、慎介が交通事故で死なせた女性の夫でした。そして、ケガで記憶を失った彼が事件について調査を始めると、周囲の人間たちが不穏な動きを見せ始めました。
やがて、彼の前に妖しい魅力に満ちた謎の女が現れます。彼女は人形職人がよみがえらせた妻なのでしょうか。
保身や贖罪に揺れる、人の心の弱さやもろさを鋭く投げかけています。ゾッとするような怖さがあり、読めない結末にハラハラしながら読み進められる、おすすめの東野圭吾作品です。
第32位 架空犯
幻冬舎 著者:東野圭吾
『白鳥とコウモリ』の続編で、2024年11月に発売された東野圭吾の新刊小説。”誰にでも青春があった。被害者にも犯人にも、そして刑事にもーー”というキャッチコピーが打たれている、超ド級のミステリーです。
都内の高級住宅地で火災が発生。焼け跡からは都議会議員と元女優夫婦の遺体が発見されます。当初は無理心中だと思われていましたが、一転し、殺人事件へと様変わりしました。警視庁捜査一課の五代は、所轄の刑事・山尾と捜査を始めることになりますが……。
臨場感のある構成や多く張り巡らされた伏線回収が見事で、”最高傑作更新”など、さまざまな感想が集まっている作品。青春も感じられる、少しほろ苦いミステリーを堪能したい方におすすめです。
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本格的な謎解きミステリーから、感涙必須の心あたたまる作品まで、さまざまな東野圭吾作品をご紹介しました。映像化されている作品も多く、普段読書をしない方にも読みやすい作品が数多くラインナップしています。東野圭吾作品はいずれも名作ばかりなので、興味のある1冊を手に取ってみてください。