自然と涙がこぼれる「泣ける感動小説」。主人公に感情移入して涙することで、人生を豊かにしてくれるのが魅力です。人気作や名作も多く、さまざまな物語の小説を楽しめるため、選書に悩む方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、おすすめの泣ける感動小説をご紹介します。名作・恋愛・青春・ノンフィクションのジャンルに分けてピックアップしました。ぜひ参考にしてみてください。

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泣ける感動小説のおすすめ|名作

博士の愛した数式

新潮社 著者:小川洋子

博士の愛した数式

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記憶障害を持つ「博士」と、絆を描いたあたたかな感動小説です。第1回本屋大賞・第55回読売文学賞小説賞に輝き、大ベストセラーになりました。2006年に実写映画化されたほか、2023年には舞台化もされています。

主人公の私が家政婦になったのは、80分間しか記憶が持たない元数学教授。背広や家には多くのメモを残し、何度も初対面の私に靴のサイズや誕生日を尋ねます。数字を愛する博士とぎこちない日常を過ごしていくなか、やがて私の10歳の息子も加わるようになり……。

物事を数字で語る一風変わった博士と母子家庭の親子の、不思議な交流をテーマにした泣ける小説。博士が提示する数式に隠された、美しい意味や奥深さがあたたかな感動を誘います。ハッピーエンドの泣ける小説を読みたい方におすすめの名作です。

アルジャーノンに花束を 新版

早川書房 著者:ダニエル・キイス

アルジャーノンに花束を 新版

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知能障がいを持つ主人公が、人の心を知っていく様を描いた泣ける小説。1959年に発表されて以降、世界中で読み継がれているロングセラーの名作です。世界各国で映画化され、日本でもドラマ化・ミュージカル化されました。

32歳のチャーリイ・ゴードンは、幼児並みの知能しか持たないパン屋の店員。ある日、大学の教授からチャーリイに、頭をよくする手術の話が持ちかけられます。白ネズミ・アルジャーノンとともに手術を受けた彼は、少しずつ天才へと変貌していきますが……。

本作品は、チャーリイが経過報告を綴るという形で執筆されているのが特徴。文体や思考の変化を通して、天才になったチャーリイが世界をどのように認知し、何を感じたのかがわかりやすく表現されています。泣ける海外小説を読みたい方に、まずおすすめの1作です。

永遠の0

講談社 著者:百田尚樹

永遠の0

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太平洋戦争時に零戦パイロットだった男の生涯を描いた、戦争小説の感動作です。2013年に公開の実写映画は大ヒットを記録し、累計500万部以上にのぼるベストセラーに。2015年にテレビドラマ化もされました。

人生に迷える青年・佐伯健太郎は、ひょんなことから姉とともに太平洋戦争で死亡した祖父について調べることになります。特攻隊員として天才と称されながらも、臆病で生きて帰ることにこだわっていたという祖父。彼について調べていくうちに、1つの謎が浮かび上がってくるのです。

死ぬことを恐れていた特攻パイロットの生き様と、隠された真の思いを少しずつ明らかにしていくのが見どころ。零戦にまつわる過酷で尊い人間ドラマが、多くの読者の心をゆさぶりました。戦争とは、人を思いやるとは何なのかを考えさせられる、おすすめの感動小説です。

八日目の蝉

中央公論新社 著者:角田光代

八日目の蝉

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究極の母性をテーマにした、心ゆさぶるヒューマンサスペンス小説。第2回中央公論文芸賞に輝き、2011年公開の実写映画も高い評価を集めた切ない感動作です。

物語は、希和子が不倫相手の家に侵入するところから始まります。家に置き去りにされていた不倫相手の赤ん坊を一目見るだけのはずが、衝動的な母性に突き動かされてしまう希和子。彼女は赤ん坊を誘拐し、逃亡生活へと身を投じてしまうのです。

偽りの母子が、さまざまな女性たちの手を借りながら極限状態の逃亡生活を繰り広げます。罪を犯しながらも母親として純粋な愛を注ぎ続けた女性との、歪んだ絆をていねいに描いているのが見どころ。血のつながりを超えた愛に多くの読者が感動した、おすすめの小説です。

旅猫リポート

講談社 著者:有川浩

旅猫リポート

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猫と飼い主の尊い絆が多くの読者の涙を誘った、泣ける小説の人気作。16の国で翻訳出版されており、2018年に実写映画も公開されています。

生粋の野良猫・ナナはある日、瀕死の重傷を負ったところを心やさしい青年・サトルに救われます。そのまま、サトルの飼い猫になったナナ。5年の月日をともに過ごしていた彼らでしたが、とある事情からサトルはナナを手放すことになります。

ナナの新たな飼い主を探すべく、1人と1匹は銀色のワゴンに乗って最後の旅へと出るのです。

交流のあった人々や美しい風景をともに巡りながら、行く先々で1人と1匹が思い出を語るハートフルな物語。ツンデレな猫・ナナの視点も交えながら描かれており、クスッと笑える場面も楽しめます。動物と人との愛おしい絆が深い余韻をもたらす、おすすめの感動小説です。

手紙

文藝春秋 著者:東野圭吾

手紙

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犯罪加害者の家族に焦点を当て、大きな感動を呼んだ東野圭吾の泣ける小説です。2006年に実写映画化されたほかドラマ化もされ、累計部数は250万部を突破しています。

主人公の青年・武島直貴には、強盗殺人の罪で服役している兄・剛志がいました。月に一度、剛志から直貴のもとには手紙が届きます。しかし、進学・恋愛・就職など、直貴の人生の節目には常に「強盗殺人犯の弟」という残酷な現実が立ち塞がり……。

犯罪者の家族が直面するリアルな現実を描いているのがポイント。2人きりの兄弟の姿を通して、人の絆とは何か、罪を償うとは何かを考えさせられます。胸を締めつけられるような読書体験を味わえる、重厚なテーマのおすすめ作品です。

壬生義士伝 上

文藝春秋 著者:浅田次郎

壬生義士伝 上

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最期まで庶民の心を持ち続けた新撰組隊士・吉村貫一郎の生涯を、ドラマチックに描いた感涙の時代小説。第13回柴田錬三郎賞に輝いた不朽の名作です。漫画化・実写映画化のほか、宝塚歌劇で舞台化もされました。

雪が舞う1月の頃。吉村貫一郎は貧しさを理由に南部藩を脱藩し、大坂・南部藩蔵屋敷へとやってきます。新撰組へと入隊し、「人斬り貫一」と恐れられるようになる吉村。しかし、その素顔には妻と子へ仕送りをし、飢えた人々に握り飯を与える人情深い一面があったのです。

吉村貫一郎の独白と、周囲の関係者が彼にまつわるエピソードを語るパートが織り交ぜられた、独特の構成が特徴。語り手の移り変わりとともに、吉村の奥深い人間性が明らかになっていきます。日本人の「義」を貫いた新撰組隊士の生き様に泣ける、おすすめの時代小説です。

とんび

KADOKAWA 著者:重松清

とんび

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不器用な父と息子の、かけがえのない親子の絆を描いた泣ける小説の傑作。累計60万部を記録し、実写映画化やテレビドラマ化もされています。

物語の舞台は高度経済成長に活気づく時代。瀬戸内海の小さな街にある運送会社勤務の男・ヤスに、待望の息子・アキラが誕生します。憧れだった自分の家族に恵まれ、幸せの絶頂に浸るヤス。しかし、その幸せも長くは続かなかったのです。

不器用な父親が周囲の人々に助けられながら1人の息子を愛し、立派に育てていく普遍的なドラマが本作品の魅力。親子の関係性に悩む等身大の父親像が、世代を超えて多くの読者の心を掴んでいます。人情味あふれる感動小説を読みたい方におすすめの1作です。

ライオンのおやつ

ポプラ社 著者:小川糸

ライオンのおやつ

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“涙なしには読めない感動作”と謳われる、小川糸の傑作です。余命を告げられた人々が静かに最後の日々を過ごす、ホスピスを舞台にした1作。2020年の本屋大賞で第2位に輝き、NHKにてドラマ放送もされています。

若くして病気で余命を告げられた主人公・雫は、穏やかな瀬戸内にある島のホスピスへと入所することに。そのホスピスでは、入居者が食べたい思い出のおやつをリクエストできる「おやつの時間」がありました。しかし、雫はなかなか自分が食べたいモノを選べず……。

人生の最後に食べたいおやつを考えることで、人々が自分の人生に向き合う様を描いた1作。ホスピスで死へと向かっていく雫の体や内面の変化も、ていねいに表現されています。日々を大切に生きるための前向きなメッセージ性に満ちた、おすすめの泣ける小説です。

52ヘルツのクジラたち

中央公論新社 著者:町田そのこ

52ヘルツのクジラたち

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それぞれに深い傷を抱えた孤独な人々の、声なき声をていねいに表現した感動小説。2021年の本屋大賞を受賞し、2024年春に実写映画の公開が予定されている注目作です。

長年、親から虐待を受け、自分の人生を搾取され続けてきた主人公・貴瑚。家族との関係を断ち切って離れられたものの、行く先々で困難が彼女を襲います。そんなある日、貴瑚は母親から虐待を受け、「ムシ」と呼ばれていた1人の少年と出会うのです。

孤独でありながら愛情を求める人々の、心の痛みと苦しみ、希望が描かれます。重いテーマ性でありながら、前を向いて生きていこうとする登場人物たちの姿に涙する読者も。現代社会のさまざまな問題に切り込んだ、話題の感動作を読みたい方におすすめです。

コーヒーが冷めないうちに

サンマーク出版 著者:川口俊和

コーヒーが冷めないうちに

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“4回泣ける”と話題を集めた、連続短編小説です。時間を移動できる不思議な喫茶店を舞台に、心あたたまる4つの物語が描かれます。同名の元戯曲を著者本人が小説として執筆し直し、2017年の本屋大賞にもノミネート。シリーズ100万部を超えるヒット作になりました。

喫茶店「フニクリフニクラ」のとある座席には、座ると望んだ時間に行けるという不思議な都市伝説がありました。しかし、過去に戻れるのはコーヒーを注いでから冷めてしまう間だけといった、非常に面倒なルールがいくつも存在しています。

それにもかかわらず、もう一度会いたい大切な人への思いを抱え、喫茶店を訪れる人々。時を超える裏に隠されたそれぞれの感動的な人間ドラマが、あたたかみのある筆致で表現されています。オムニバス形式で隙間時間にも読みやすい、おすすめの感動小説です。

泣ける感動小説のおすすめ|恋愛・青春

君の膵臓をたべたい

双葉社 著者:住野よる

君の膵臓をたべたい

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秘密を共有する高校生の男女の、かけがえのない交流を描いた青春小説の感動作。小説投稿サイト「小説家になろう」への掲載から書籍化され、累計300万部を超える大ヒット作品になりました。実写映画・劇場アニメなど、さまざまなメディアミックス作品が展開されています。

病院で、クラスの人気者・山内桜良の秘密の日記帳を見てしまった主人公の僕。「共病文庫」と名づけられた本には、彼女が膵臓の病気を患い、余命わずかであることが綴られていました。以降、僕は桜良の秘密を知る者として、彼女のやりたかったことにつき合うようになります。

インパクトのあるタイトルと涙を誘う衝撃的な展開のギャップが、話題を呼んだ名作。性格も立場も正反対の2人が、ともに日常を楽しむなかで少しずつ成長し、仲を深めていく様が魅力的に描かれます。爽やかな読後感で泣ける小説を探している方におすすめです。

かがみの孤城 上

ポプラ社 著者:辻村深月

かがみの孤城 上

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2018年の本屋大賞1位など、数々の文学賞で9冠を果たしたファンタジーミステリーの傑作。生きづらさを抱えた子供たちの、等身大の姿を描いたおすすめの感動小説です。2022年にアニメ映画化もされ、累計部数は200万部を突破しました。

学校に行きづらくなり、不登校になっていた中学生の少女・こころ。ある日、こころは部屋の鏡から鏡の中の世界へと入り込んでしまいます。鏡の中には城のような建物と、こころを含む7人の子供たちの姿が。似た境遇の彼らは、なぜ鏡の中に集められたのでしょうか。

“一気読み&二度読み&感涙必至”と謳われる本作品。驚くような伏線回収劇とともに、生きづらさを抱える思春期の切実な心情が、巧みに表現されています。世の中が窮屈に感じられる子供たちの背中を押すような読み味が魅力の、感動青春小説です。

西の魔女が死んだ

新潮社 著者:梨木香歩

西の魔女が死んだ

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中学生の少女と祖母の交流の日々を描いた、心あたたまる感動小説。第28回児童文学者協会新人賞・第44回小学館文学賞など、数々の文学賞に輝いた名作です。2008年には実写映画化もされています。

中学校に入学するも、どうしても足が向かず不登校になってしまった主人公・まい。ひと月ほど、まいは「西の魔女」こと魔女のような不思議な雰囲気を持つ祖母のもとで暮らすことになります。祖母は「魔女修行」として、まいにさまざまな心得を授けるのです。

喜び・希望・幸せは自分で決めるといった、あたたかなメッセージ性にあふれた1作。まいが自然豊かな祖母のもとで過ごす日常と内面の移ろいが、ていねいな情景描写とともに表現されています。胸に沁み入るような感動小説を読みたい方におすすめです。

ぼくは明日、昨日のきみとデートする

宝島社 著者:七月隆文

ぼくは明日、昨日のきみとデートする

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奇跡のような運命のもとで巡りあった男女の、切なく感動的なラブストーリーです。2016年の実写映画のほか、朗読劇や漫画などさまざまなメディアミックス作品が展開されました。国内外で高い評価を集め、累計部数は160万部を記録しています。

主人公の南山高寿は、京都の美大に通う平凡な大学生。通学電車で一目惚れした福寿愛美に声をかけ、2人はやがて最高のカップルになっていきます。少し泣き虫な愛美との日々は順風満帆。しかし、彼女は高寿が想像もできないような秘密を抱えていたのです。

“読み終わった瞬間、必ず読み返したくなるラブストーリー”として人気が高い1作。切ない運命に翻弄される2人の純愛模様に、多くの読者が涙しました。前情報を入れずに2人の恋模様に浸りたい、おすすめの恋愛小説です。

風が強く吹いている

新潮社 著者:三浦しをん

風が強く吹いている

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箱根駅伝を題材にした、青春スポーツ小説の傑作。実写映画・アニメ・舞台など、さまざまなメディア作品の原作に起用されました。第1回ブクログ大賞文庫本部門大賞を受賞しています。

箱根駅伝出場を夢見る清瀬灰二は、陸上の天才ランナー・蔵原走と出会い、彼を寛政大学陸上部にスカウト。集まった10人の個性あふれるメンバーたちは、練習を重ねて少しずつ成長していきます。果たして、10人は大舞台で襷をつなぐことができるのでしょうか。

“純度100パーセントの疾走青春小説”と謳われる本作品。箱根駅伝という大舞台出場を夢見て、寄せ集めの大学生たちの熱い思いがぶつかりあいます。笑いあり涙ありの爽やかな人間ドラマを楽しめる、おすすめの感動小説です。

本日は、お日柄もよく

徳間書店 著者:原田マハ

本日は、お日柄もよく

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スピーチライターの仕事に焦点を当て、言葉の持つ可能性をていねいに描いた大人向けの爽やかな青春小説です。”目頭が熱くなるお仕事小説”として、ロングセラーで愛されている人気作。ドラマ化や舞台化もされています。

OL・二ノ宮こと葉は、想いを寄せていた幼なじみの結婚式で、伝説のスピーチライター・久遠久美の祝辞に心をゆさぶられます。あまりに衝撃的なスピーチに感動し、こと葉は即座に久美に弟子入り。奥深い「言葉」の世界に身を投じることになるのです。

スピーチライターの仕事ぶりが描かれる本作品からは、人の心を動かす言葉の力を感じられます。相手の心に響くスピーチの極意を物語を通して学べるのも魅力。胸に沁みて前向きになれる名言の数々にも注目しながら読みたい、おすすめの感動小説です。

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。

スターツ出版 著者:汐見夏衛

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。

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2023年12月に実写映画化され、注目を集めた泣ける恋愛小説です。太平洋戦争末期の日本にタイムスリップした少女と、特攻隊員が織りなす切ない非恋の物語。累計117万部を記録するヒット作になりました。

主人公・百合は、親にも学校にもイライラした毎日を送る中学生。そんなある日、彼女が目を覚ますと、なんとそこは戦時中の日本でした。助けてくれた誠実な青年・彰に惹かれていく百合。しかし、彼は特攻隊員として戦地に行かなければならない運命にあったのです。

“読めば必ず涙腺崩壊する”と、SNSで話題になった本作品。時空を超えた切ない恋模様とともに、戦争の不条理さ・平和の大切さを読者も感じられるようになっています。小説をあまり読んだことがない小学生・中学生にもおすすめの人気作です。

いま、会いにゆきます

小学館 著者:市川拓司

いま、会いにゆきます

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“感涙度100%”と評された、恋愛小説の感動作です。2年前に亡くしたはずの妻との奇跡的な日々を描いた物語。2004年に実写映画化され、2019年には韓国でもリメイクされました。

病を患っていた妻の澪に先立たれ、一人息子とともに懸命に日常を過ごしていた秋穂巧。しかし、慣れない父子生活に苦境に立たされます。そんな日々のある雨の日、澪が2人の元に記憶を無くした状態で戻ってくるのです。

別れが来るとわかっていながら再び互いを想い合う、夫婦と親子の深い愛情が胸に迫る珠玉の名作。ささやかな日常に存在する幸せや家族の絆を思い出させてくれる、おすすめの恋愛ファンタジー小説です。

泣ける感動小説のおすすめ|ノンフィクション

東京タワー オカンとボクと、時々、オトン

新潮社 著者:リリー・フランキー

東京タワー オカンとボクと、時々、オトン

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第3回本屋大賞を受賞した、俳優リリー・フランキーの自伝小説です。母親と子の絆を、少年時代から母を看取るまでの日々のなかに描いた1作。テレビドラマのほか、実写映画でも話題を集め、社会現象になりました。

4歳のときに父と別居し、九州・筑豊の小さな町で2人で暮らしてきたボクと母。やがて上京したボクは、東京で自堕落な日々を過ごしていました。そんななか、還暦を過ぎた母が1人でガンと闘っていたことを知り、ボクは東京で再び一緒に暮らすことを母に提案します。

著者のリアルな青春時代とともに、母親との愉快で愛情に満ちた関係性を描いているのが魅力。女手一つで息子を育てた母と母を想う息子の双方の愛情が、ていねいに綴られています。親の死に対して思いを巡らせる読者も多い、おすすめの泣けるノンフィクション小説です。

聖の青春

KADOKAWA 著者:大崎善生

聖の青春

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29歳の若さで亡くなった天才棋士・村山聖の生涯を描いた、ノンフィクション小説の傑作。第13回新潮学芸賞を受賞し、実写映画化もされています。

幼少期から重い腎臓病を抱えながらも、将棋界の最高峰「A級」まで上り詰めた天才棋士・村山聖。名人への道をひたすら目指し、将棋に命を燃やした「怪童」の生涯が描かれます。村山を支える師匠や家族たちの愛、ライバルとの熱い絆のドラマが魅力的な1作です。

同世代の名人・羽生善治とも肩を並べたと評される村山。難病とともに、29年という生涯を将棋に捧げた男の情熱がドラマチックに表現されています。棋士として一途に、今を全力で生きた姿に感動をもらえる、おすすめのノンフィクション小説です。

1リットルの涙 難病と闘い続ける少女亜也の日記

幻冬舎 著者:木藤亜也

1リットルの涙 難病と闘い続ける少女亜也の日記

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約10年もの間、原因不明の難病と闘った著者が、自分の思いや周囲への感謝などを日記として記したノンフィクション作品です。2005年に『1リットルの涙』としてテレビドラマ化され、大きな反響を呼びました。

ごく普通の明るい家庭に育った少女は、15歳のときに難病を発症。身体が徐々に動かなくなっていく原因不明の病・脊髄小脳変性症によって、彼女の日常は少しずつ変化していきます。数々の苦難を前にして、やがて日記を書き続けることが少女の支えになっていました。

青春時代の瑞々しい感性で、自身の内面を書き綴っている闘病日記です。病気の進行とともに降りかかる苦悩と葛藤をリアルに感じられる筆致が見どころ。精一杯、病と人生に向き合った少女の心に胸を締めつけられる、おすすめの1作です。

収容所から来た遺書

文藝春秋 著者:辺見じゅん

収容所から来た遺書

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第二次世界大戦終結後に起こった、シベリア抑留について綴る感動のノンフィクション小説。2022年公開の実写映画『ラーゲリより愛を込めて』の原作小説です。講談社ノンフィクション賞・大宅壮一ノンフィクション賞をダブル受賞しました。

本作品の中心は、シベリア強制収容所に捕虜として抑留された一等兵・山本幡男。零下40℃を下回る劣悪な環境で、栄養失調や過酷な労働作業で人々は次々に命を落としていきます。そんなシベリアの帰還者から届けられた6通の遺書にまつわる、驚くべき事実を明らかにしていく1作です。

シベリア抑留の壮絶な実態を垣間見られる本作品。絶望的な状況でも生きる希望を見失わなかった山本と、仲間たちの功績を群像劇として追いかけます。日本人としての誇りを持ち続けた人々の姿に、多くの読者が感銘を受けたおすすめの名作です。

将棋の子

講談社 著者:大崎善生

将棋の子

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プロ棋士を目指す少年たちが青春を賭ける、奨励会を題材にした感動作。第23回講談社ノンフィクション賞にも輝いた、ノンフィクション小説の秀作です。

日本将棋連盟が運営するプロ棋士養成機関・奨励会。将棋の天才少年たちが全国から集まり、プロ棋士を目指して、日々しのぎを削っています。将棋にすべてを捧げた天才少年たちの挫折と栄光を綴った1作です。

わずか一手の差で夢破れて退会していく過酷な将棋の世界を、リアルに描いているのが魅力。才能にもがき苦しみ、挫折した者たちのその後の非情な生活にも触れられています。将棋の世界の厳しさと夢破れた少年たちの生々しい葛藤を、ぜひ感じてみてください。

アンネの日記 増補新訂版

文藝春秋 著者:アンネ・フランク

アンネの日記 増補新訂版

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ユダヤ人の少女、アンネ・フランクが手掛けた歴史的名著。ナチス・ドイツ占領下に迫害されていた過酷な隠れ家暮らしのなかで、懸命に日々の出来事を綴った日記です。13歳から15歳という思春期ならではの、夢と悩みが記されています。

日々の記録として残した自分用と、公表を前提に清書された公表用の、2種類の日記が存在する「アンネの日記」。本書はその2つを編集し、新たに発見されたページを加えた増補新訂版として刊行されました。漢字にふりがなが振られているのも特徴です。

2年にわたる潜伏生活時に感じた、等身大の少女の赤裸々な感情が綴られる本書。親への反抗心や異性への憧れなど、アンネにとってのかけがえのない瞬間が、言葉として残されています。絶望のなかにも希望を抱き続けた少女の内面に直に触れられる、おすすめの作品です。