自然と涙がこぼれる、泣ける感動小説。主人公に感情移入して涙することで、人生を豊かにしてくれるのが魅力です。人気作や名作も多く、さまざまな物語の小説を楽しめるため、選書に悩む方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、おすすめの泣ける感動小説をご紹介します。名作・恋愛・青春・ヒューマンドラマ・ノンフィクションのジャンルに分けてピックアップしました。ぜひ参考にしてみてください。

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泣ける感動小説のおすすめ|名作

博士の愛した数式

新潮社 著者:小川洋子

博士の愛した数式

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記憶障害を持つ「博士」と、絆を描いたあたたかな感動小説です。第1回本屋大賞・第55回読売文学賞小説賞に輝き、大ベストセラーになりました。2006年に実写映画化されたほか、2023年には舞台化もされています。

主人公の私が家政婦になったのは、80分間しか記憶が持たない元数学教授。背広や家には多くのメモを残し、何度も初対面の私に靴のサイズや誕生日を尋ねます。数字を愛する博士とぎこちない日常を過ごしていくなか、やがて私の10歳の息子も加わるようになり……。

物事を数字で語る一風変わった博士と母子家庭の親子の、不思議な交流をテーマにした泣ける小説。博士が提示する数式に隠された、美しい意味や奥深さがあたたかな感動を誘います。ハッピーエンドの泣ける小説を読みたい方におすすめの名作です。

アルジャーノンに花束を 新版

早川書房 著者:ダニエル・キイス

アルジャーノンに花束を 新版

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知能障がいを持つ主人公が、人の心を知っていく様を描いた泣ける小説。1959年に発表されて以降、世界中で読み継がれているロングセラーの名作です。世界各国で映画化され、日本でもドラマ化・ミュージカル化されました。

32歳のチャーリイ・ゴードンは、幼児並みの知能しか持たないパン屋の店員。ある日、大学の教授からチャーリイに、頭をよくする手術の話が持ちかけられます。白ネズミ・アルジャーノンとともに手術を受けた彼は、少しずつ天才へと変貌していきますが……。

本作品は、チャーリイが経過報告を綴るという形で執筆されているのが特徴。文体や思考の変化を通して、天才になったチャーリイが世界をどのように認知し、何を感じたのかがわかりやすく表現されています。泣ける海外小説を読みたい方に、まずおすすめの1作です。

永遠の0

講談社 著者:百田尚樹

永遠の0

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太平洋戦争時に零戦パイロットだった男の生涯を描いた、戦争小説の感動作です。2013年に公開の実写映画は大ヒットを記録し、累計500万部以上にのぼるベストセラーに。2015年にテレビドラマ化もされました。

人生に迷える青年・佐伯健太郎は、ひょんなことから姉とともに太平洋戦争で死亡した祖父について調べることになります。特攻隊員として天才と称されながらも、臆病で生きて帰ることにこだわっていたという祖父。彼について調べていくうちに、1つの謎が浮かび上がってくるのです。

死ぬことを恐れていた特攻パイロットの生き様と、隠された真の思いを少しずつ明らかにしていくのが見どころ。零戦にまつわる過酷で尊い人間ドラマが、多くの読者の心をゆさぶりました。戦争とは、人を思いやるとは何なのかを考えさせられる、おすすめの感動小説です。

旅猫リポート

講談社 著者:有川浩

旅猫リポート

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猫と飼い主の尊い絆が多くの読者の涙を誘った、泣ける小説の人気作。16の国で翻訳出版されており、2018年に実写映画も公開されています。

生粋の野良猫・ナナはある日、瀕死の重傷を負ったところを心優しい青年・サトルに救われます。そのまま、サトルの飼い猫になったナナ。5年の月日をともに過ごしていた彼らでしたが、とある事情からサトルはナナを手放すことになります。

ナナの新たな飼い主を探すべく、1人と1匹は銀色のワゴンに乗って最後の旅へと出るのです。

交流のあった人々や美しい風景をともに巡りながら、行く先々で1人と1匹が思い出を語るハートフルな物語。ツンデレな猫・ナナの視点も交えながら描かれており、クスッと笑える場面も楽しめます。動物と人との愛おしい絆が深い余韻をもたらす、おすすめの感動小説です。

手紙

文藝春秋 著者:東野圭吾

手紙

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犯罪加害者の家族に焦点を当て、大きな感動を呼んだ東野圭吾の泣ける小説です。2006年に実写映画化されたほかドラマ化もされ、累計部数は250万部を突破しています。

主人公の青年・武島直貴には、強盗殺人の罪で服役している兄・剛志がいました。月に一度、剛志から直貴のもとには手紙が届きます。しかし、進学・恋愛・就職など、直貴の人生の節目には常に「強盗殺人犯の弟」という残酷な現実が立ち塞がり……。

犯罪者の家族が直面するリアルな現実を描いているのがポイント。2人きりの兄弟の姿を通して、人の絆とは何か、罪を償うとは何かを考えさせられます。胸を締めつけられるような読書体験を味わえる、重厚なテーマのおすすめ作品です。

壬生義士伝 上

文藝春秋 著者:浅田次郎

壬生義士伝 上

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最期まで庶民の心を持ち続けた新撰組隊士・吉村貫一郎の生涯を、ドラマチックに描いた感涙の時代小説。第13回柴田錬三郎賞に輝いた不朽の名作です。漫画化・実写映画化のほか、宝塚歌劇で舞台化もされました。

雪が舞う1月の頃。吉村貫一郎は貧しさを理由に南部藩を脱藩し、大坂・南部藩蔵屋敷へとやってきます。新撰組へと入隊し、「人斬り貫一」と恐れられるようになる吉村。しかし、その素顔には妻と子へ仕送りをし、飢えた人々に握り飯を与える人情深い一面があったのです。

吉村貫一郎の独白と、周囲の関係者が彼にまつわるエピソードを語るパートが織り交ぜられた、独特の構成が特徴。語り手の移り変わりとともに、吉村の奥深い人間性が明らかになっていきます。日本人の「義」を貫いた新撰組隊士の生き様に泣ける、おすすめの時代小説です。

西の魔女が死んだ

新潮社 著者:梨木香歩

西の魔女が死んだ

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中学生の少女と祖母の交流の日々を描いた、心あたたまる感動小説。第28回児童文学者協会新人賞・第44回小学館文学賞など、数々の文学賞に輝いた名作です。2008年には実写映画化もされています。

中学校に入学するも、どうしても足が向かず不登校になってしまった主人公・まい。ひと月ほど、まいは「西の魔女」こと魔女のような不思議な雰囲気を持つ祖母のもとで暮らすことになります。祖母は「魔女修行」として、まいにさまざまな心得を授けるのです。

喜び・希望・幸せは自分で決めるといった、あたたかなメッセージ性にあふれた1作。まいが自然豊かな祖母のもとで過ごす日常と内面の移ろいが、ていねいな情景描写とともに表現されています。胸に沁み入るような感動小説を読みたい方におすすめです。

とんび

KADOKAWA 著者:重松清

とんび

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不器用な父と息子の、かけがえのない親子の絆を描いた泣ける小説の傑作。累計60万部を記録し、実写映画化やテレビドラマ化もされています。

物語の舞台は高度経済成長に活気づく時代。瀬戸内海の小さな街にある運送会社勤務の男・ヤスに、待望の息子・アキラが誕生します。憧れだった自分の家族に恵まれ、幸せの絶頂に浸るヤス。しかし、その幸せも長くは続かなかったのです。

不器用な父親が周囲の人々に助けられながら1人の息子を愛し、立派に育てていく普遍的なドラマが本作品の魅力。親子の関係性に悩む等身大の父親像が、世代を超えて多くの読者の心を掴んでいます。人情味あふれる感動小説を読みたい方におすすめの1作です。

ライオンのおやつ

ポプラ社 著者:小川糸

ライオンのおやつ

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“涙なしには読めない感動作”と謳われる、小川糸の傑作です。余命を告げられた人々が静かに最後の日々を過ごす、ホスピスを舞台にした1作。2020年の本屋大賞で第2位に輝き、NHKにてドラマ放送もされています。

若くして病気で余命を告げられた主人公・雫は、穏やかな瀬戸内にある島のホスピスへと入所することに。そのホスピスでは、入居者が食べたい思い出のおやつをリクエストできる「おやつの時間」がありました。しかし、雫はなかなか自分が食べたいモノを選べず……。

人生の最後に食べたいおやつを考えることで、人々が自分の人生に向き合う様を描いた1作。ホスピスで死へと向かっていく雫の体や内面の変化も、ていねいに表現されています。日々を大切に生きるための前向きなメッセージ性に満ちた、おすすめの泣ける小説です。

52ヘルツのクジラたち

中央公論新社 著者:町田そのこ

52ヘルツのクジラたち

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それぞれに深い傷を抱えた孤独な人々の、声なき声をていねいに表現した感動小説。2021年の本屋大賞を受賞し、2024年春に実写映画の公開が予定されている注目作です。

長年、親から虐待を受け、自分の人生を搾取され続けてきた主人公・貴瑚。家族との関係を断ち切って離れられたものの、行く先々で困難が彼女を襲います。そんなある日、貴瑚は母親から虐待を受け、「ムシ」と呼ばれていた1人の少年と出会うのです。

孤独でありながら愛情を求める人々の、心の痛みと苦しみ、希望が描かれます。重いテーマ性でありながら、前を向いて生きていこうとする登場人物たちの姿に涙する読者も。現代社会のさまざまな問題に切り込んだ、話題の感動作を読みたい方におすすめです。

コーヒーが冷めないうちに

サンマーク出版 著者:川口俊和

コーヒーが冷めないうちに

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“4回泣ける”と話題を集めた、連続短編小説です。時間を移動できる不思議な喫茶店を舞台に、心あたたまる4つの物語が描かれます。同名の元戯曲を著者本人が小説として執筆し直し、2017年の本屋大賞にもノミネート。シリーズ100万部を超えるヒット作になりました。

喫茶店「フニクリフニクラ」のとある座席には、座ると望んだ時間に行けるという不思議な都市伝説がありました。しかし、過去に戻れるのはコーヒーを注いでから冷めてしまう間だけといった、非常に面倒なルールがいくつも存在しています。

それにもかかわらず、もう一度会いたい大切な人への思いを抱え、喫茶店を訪れる人々。時を超える裏に隠されたそれぞれの感動的な人間ドラマが、あたたかみのある筆致で表現されています。オムニバス形式で隙間時間にも読みやすい、おすすめの感動小説です。

かがみの孤城 上

ポプラ社 著者:辻村深月

かがみの孤城 上

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2018年の本屋大賞1位など、数々の文学賞で9冠を果たしたファンタジーミステリーの傑作。生きづらさを抱えた子供たちの、等身大の姿を描いたおすすめの感動小説です。2022年にアニメ映画化もされ、累計部数は200万部を突破しました。

学校に行きづらくなり、不登校になっていた中学生の少女・こころ。ある日、こころは部屋の鏡から鏡の中の世界へと入り込んでしまいます。鏡の中には城のような建物と、こころを含む7人の子供たちの姿が。似た境遇の彼らは、なぜ鏡の中に集められたのでしょうか。

“一気読み&二度読み&感涙必至”と謳われる本作品。驚くような伏線回収劇とともに、生きづらさを抱える思春期の切実な心情が、巧みに表現されています。世の中が窮屈に感じられる子供たちの背中を押すような読み味が魅力の、感動青春小説です。

世界から猫が消えたなら

小学館 著者:川村元気

世界から猫が消えたなら

自分の寿命を伸ばすために世界のさまざまなモノを消していく男の、不思議な日々を描いた泣ける小説。『モテキ』『バケモノの子』などの製作に携わった映画プロデューサー・川村元気の作家デビュー作です。2013年の本屋大賞にノミネートされ、実写映画化も果たしました。

30歳の主人公はある日、脳腫瘍で余命わずかであることを知らされます。そんな彼の前に現れたのは、自分と全く同じ姿をした悪魔。悪魔は”この世界からひとつ何かを消す。その代わりにあなたは一日だけ命を得ることができる”と告げるのです。

生きるために悪魔と取引した結果、世界から次々とモノの概念が失われていくことに。彼の選択とともに変わっていく世の中の様子を描きながら、人生において本当に大切なモノとは何かを問いかけます。読みやすい小説を探している方にもおすすめの感動作です。

夏の庭 ーThe Friendsー

新潮社 著者:湯本香樹実

夏の庭 ーThe Friendsー

世界各国で翻訳出版された児童文学の感動作。3人の小学生と一人暮らしの老人のあたたかな交流を描いた泣ける小説です。1993年には日本児童文学者協会新人賞・児童文芸新人賞に輝き、海外でも多数の文学賞を受賞しています。

夏休みを前に、小学6年生の仲良し3人組は”人が死んだらどうなるか”という好奇心を抱きます。生ける屍のように町はずれに暮らす1人の老人を「観察」することにした3人。しかし、老人は彼らの「観察」を通して不思議と元気を取り戻していくのです。

人との絆を放棄していた老人が、少年たちと新たな友人関係を結んでいくひと夏の様子が爽やかに語られます。死にまつわる好奇心が、次第に少年たちの心を成長させていく様も見どころ。じんわりと切なくもあたたかな余韻に浸れる、おすすめの名作です。

ノルウェイの森 上

講談社 著者:村上春樹

村上春樹の”新境地を拓いた”と評される恋愛小説の傑作。泣ける小説としても人気が高く、国内単独で累計1300万部を突破しています。37歳の主人公が過去を回想する形で、ままならなかった愛と喪失を描いていく物語です。

飛行機がドイツのハンブルク空港に着陸すると、機内のスピーカーから流れ出したビートルズの楽曲「ノルウェイの森」。それを耳にした主人公の脳内には、まもなく彼が20歳を迎えようとしていた1969年の出来事が思い出されるのでした。

1960年代を背景に、未熟な青春期の切ない人間模様を繊細に描いた名作。死や性愛に揺れ動く若者の心情が、淡々とした筆致で綴られていきます。読後にも深く物語について思いを巡らせられるような小説を読みたい方におすすめです。

失はれる物語

KADOKAWA 著者:乙一

失はれる物語

『ZOO』『GOTH リストカット事件』などで有名な乙一の泣ける短編集です。不条理に直面したり大切なモノを失ったりした人々の姿を描いた珠玉の短編が、全8編収録されています。

不慮の事故によって全身不随になった「私」は、右腕の感覚以外の五感を全て失ってしまいます。ピアニストの妻は私の右腕を鍵盤に見立て、「演奏」することで日々の思いを語るように。彼女の行動は、私の唯一の救いになりますが……。

表題作『失はれる物語』のほかにも、非現実的な設定を織り交ぜたさまざまなテイストの物語が楽しめます。切なく、胸が締めつけられるような喪失感が各小説で美しく表現されているおすすめの短編集です。

泣ける感動小説のおすすめ|恋愛

君の膵臓をたべたい

双葉社 著者:住野よる

君の膵臓をたべたい

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秘密を共有する高校生の男女の、かけがえのない交流を描いた青春小説の感動作。小説投稿サイト「小説家になろう」への掲載から書籍化され、累計300万部を超える大ヒット作品になりました。実写映画・劇場アニメなど、さまざまなメディアミックス作品が展開されています。

病院で、クラスの人気者・山内桜良の秘密の日記帳を見てしまった主人公の僕。「共病文庫」と名づけられた本には、彼女が膵臓の病気を患い、余命わずかであることが綴られていました。以降、僕は桜良の秘密を知る者として、彼女のやりたかったことに付き合うようになります。

インパクトのあるタイトルと涙を誘う衝撃的な展開のギャップが、話題を呼んだ名作。性格も立場も正反対の2人が、ともに日常を楽しむなかで少しずつ成長し、仲を深めていく様が魅力的に描かれます。爽やかな読後感で泣ける小説を探している方におすすめです。

ぼくは明日、昨日のきみとデートする

宝島社 著者:七月隆文

ぼくは明日、昨日のきみとデートする

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奇跡のような運命のもとで巡りあった男女の、切なく感動的なラブストーリーです。2016年の実写映画のほか、朗読劇や漫画などさまざまなメディアミックス作品が展開されました。国内外で高い評価を集め、累計部数は160万部を記録しています。

主人公の南山高寿は、京都の美大に通う平凡な大学生。通学電車で一目惚れした福寿愛美に声をかけ、2人はやがて最高のカップルになっていきます。少し泣き虫な愛美との日々は順風満帆。しかし、彼女は高寿が想像もできないような秘密を抱えていたのです。

“読み終わった瞬間、必ず読み返したくなるラブストーリー”として人気が高い1作。切ない運命に翻弄される2人の純愛模様に、多くの読者が涙しました。前情報を入れずに2人の恋模様に浸りたい、おすすめの恋愛小説です。

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。

スターツ出版 著者:汐見夏衛

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。

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2023年12月に実写映画化され、注目を集めた泣ける恋愛小説です。太平洋戦争末期の日本にタイムスリップした少女と、特攻隊員が織りなす切ない非恋の物語。累計117万部を記録するヒット作になりました。

主人公・百合は、親にも学校にもイライラした毎日を送る中学生。そんなある日、彼女が目を覚ますと、なんとそこは戦時中の日本でした。助けてくれた誠実な青年・彰に惹かれていく百合。しかし、彼は特攻隊員として戦地に行かなければならない運命にあったのです。

“読めば必ず涙腺崩壊する”と、SNSで話題になった本作品。時空を超えた切ない恋模様とともに、戦争の不条理さ・平和の大切さを読者も感じられるようになっています。小説をあまり読んだことがない小学生・中学生にもおすすめの人気作です。

いま、会いにゆきます

小学館 著者:市川拓司

いま、会いにゆきます

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“感涙度100%”と評された、恋愛小説の感動作です。2年前に亡くしたはずの妻との奇跡的な日々を描いた物語。2004年に実写映画化され、2019年には韓国でもリメイクされました。

病を患っていた妻の澪に先立たれ、一人息子とともに懸命に日常を過ごしていた秋穂巧。しかし、慣れない父子生活に苦境に立たされます。そんな日々のある雨の日、澪が2人のもとに記憶を無くした状態で戻ってくるのです。

別れが来るとわかっていながら再び互いを想い合う、夫婦と親子の深い愛情が胸に迫る珠玉の名作。ささやかな日常に存在する幸せや家族の絆を思い出させてくれる、おすすめの恋愛ファンタジー小説です。

桜のような僕の恋人

集英社 著者:宇山圭佑

何十倍もの早さで老化が進む難病を患った女性と、その恋人との刹那的で愛おしい日々を描いた1作。”泣ける恋愛小説”としてSNSを中心に大きな話題を集めたヒット作です。配信形式で実写映画化もされました。

美容師の美咲に恋に落ちた晴人は、彼女に認めてもらうために一度諦めたカメラマンの夢を再び追いかけ始めます。そんな晴人に美咲も惹かれ、やがて2人は恋人同士に。しかし、美咲が急速に老いてしまう難病を発症し、幸せだった日々は一変してしまうのです。

2人の儚くも美しい日々が、四季の移ろいとともに展開されていきます。残酷な現実のなかで、老婆になっていく姿を見られたくない美咲の葛藤が痛切に描かれるのが見どころ。胸が苦しくなるような切なさに泣ける小説を読みたい方におすすめです。

余命10年

文芸社 著者:小坂流加

余命10年

SNSで大きな反響を呼び、2022年に実写映画化もされた泣ける恋愛小説。余命10年と宣告された女性の限られた日々と、切ない恋模様を描いた感動作です。

20歳にして数万人に1人という不治の病にかかった茉莉は、自分の余命があと10年であると告げられます。残された日々を前にさまざまな葛藤や諦めを抱き、淡々と日々を過ごす茉莉。生に執着しないよう、恋だけはしないと心に決めていましたが……。

著者・小坂流加自身が茉莉と同様の病を抱えているなかで執筆された本作品。限られた余命を懸命に生きる茉莉のさまざまな心情が、リアリティあふれる筆致で語られています。”涙より切ないラブストーリー”と謳われる、おすすめの感動小説です。

今夜、世界からこの恋が消えても

KADOKAWA 著者:一条岬

今夜、世界からこの恋が消えても

一日ごとに記憶を失っていく前向性健忘を患う女子高生との、かけがえのない日々を追いかける恋愛小説。第26回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞し、2022年には実写映画化もされました。海外にて翻訳出版もされた話題の感動作です。

あるきっかけからクラスメイト・日野真織に嘘の告白をした男子高校生・神谷透。しかし、真織は”お互い、本気で好きにならないこと”といった条件を出し、透と付き合うことにするのです。偽の恋人関係が本物に変わり始めた頃、透は真織の病について知り……。

記憶を蓄積できない真織と、彼女を献身的に支えるようになる透。2人がていねいに日々を積み重ねていく様子が綴られていきます。衝撃的な展開も読者を魅了した、おすすめの泣ける小説です。

一瞬を生きる君を、僕は永遠に忘れない

スターツ出版 著者:冬野夜空

一瞬を生きる君を、僕は永遠に忘れない

日々を全力で生きる女子高生と、そんな彼女の写真を撮り続ける男子高校生が織りなす濃密な2ヵ月を描いた恋愛小説。泣ける純愛ストーリーとして話題を集め、読者投票形式の企画「映像化してほしいスタ文作品」にて第1位に選出されました。

カメラが趣味の男子高校生・天野輝彦は、雨が降る花火大会の日に物憂げに空を見上げる浴衣姿の少女を見かけます。思わずカメラを構えたその相手は、クラスの人気者・綾部香織でした。この出来事をきっかけに輝彦は香織の専属カメラマンに任命され……。

自由奔放な香織に振り回される日々のなかで育まれていく2人の純愛と、切なくもみずみずしい青春模様が描かれます。感情をゆさぶる繊細な心情描写や情景描写に注目しながら読みたい、おすすめの泣ける恋愛小説です。

汝、星のごとく

講談社 著者:凪良ゆう

汝、星のごとく

孤独と心の欠落を抱えた高校生の男女の、すれ違う恋と人生を描いた恋愛小説の感動作です。第168回直木賞・第44回吉川英治文学新人賞など数々の文学賞の候補作に選出。2023年の本屋大賞にも輝きました。

瀬戸内の島で育った女子高生・暁海は、島へとやって来た転校生・櫂と運命的な出会いを果たします。夫の不倫をきっかけに心を病んだ母を持つ暁海と、恋愛に自由奔放な母に振り回されてきた櫂。2人は惹かれ合い、いつか一緒に島を出ることを約束します。

多くのしがらみに囚われた高校生2人の成長とほろ苦い関係性を、長い歳月で追いかけます。自分の人生をどう生きるかを問いかける深いテーマ性も魅力。世間の普通や正しさに縛られた心を解きほぐしてくれるような読み味に泣ける、おすすめの小説です。

世界の中心で、愛をさけぶ

小学館 著者:片山恭一

世界の中心で、愛をさけぶ

「セカチュー」の愛称で社会現象を巻き起こした、泣ける小説の大ヒット作品。最愛の人を亡くした青年の絶望と再生を、美しい思い出の日々の回想とともに描いたおすすめの1作です。実写映画やドラマも大きな話題を集め、累計350万部を記録しています。

中学2年生で出会った主人公・朔太郎と同級生・アキ。放課後のデート、無人島への旅といった思い出を積み重ねていた頃、アキに病が発覚します。日に日に弱っていくアキを前に、朔太郎は一緒に行けなかった修学旅行先へ彼女と行くことを決意しますが……。

若くして亡くなった恋人との淡い記憶を通して、人を愛するとは、人との別れとは何かを見つめ直していく正統派なラブストーリー。好きな人を失う喪失感とその辛さの意味を、哀愁漂う筆致で描き出しています。ぜひメディア化作品と見比べながら楽しんでみてください。

泣ける感動小説のおすすめ|青春・スポーツ

風が強く吹いている

新潮社 著者:三浦しをん

風が強く吹いている

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箱根駅伝を題材にした、青春スポーツ小説の傑作。実写映画・アニメ・舞台など、さまざまなメディア作品の原作に起用されました。第1回ブクログ大賞文庫本部門大賞を受賞しています。

箱根駅伝出場を夢見る清瀬灰二は、陸上の天才ランナー・蔵原走と出会い、彼を寛政大学陸上部にスカウト。集まった10人の個性あふれるメンバーたちは、練習を重ねて少しずつ成長していきます。果たして、10人は大舞台で襷を繋ぐことができるのでしょうか。

“純度100パーセントの疾走青春小説”と謳われる本作品。箱根駅伝という大舞台出場を夢見て、寄せ集めの大学生たちの熱い思いがぶつかり合います。笑いあり涙ありの爽やかな人間ドラマを楽しめる、おすすめの感動小説です。

アルプス席の母

小学館 著者:早見和馬

アルプス席の母

高校野球を題材に、甲子園出場を目指す球児の青春を母親の目線で描いた泣けるスポーツ家族小説。2025年の本屋大賞にて第2位に輝いた最近の注目作です。

主人公は、野球に励む息子・航太郎を1人で育ててきた看護師・秋山菜々子。神奈川県で活躍していた航太郎は、スカウトの声がかからなかった甲子園常連校を倒すため、大阪の新興校へ進学することを決意します。菜々子自身も大阪へと拠点を移すことになり……。

不慣れな土地で甲子園出場の夢を目指して奮闘する親子の姿とともに、高校野球を取り巻く生々しい裏舞台が垣間見られます。スポーツを通して描かれる深い家族愛のドラマが多くの読者の共感を呼んだ、おすすめの小説です。

あと少し、もう少し

新潮社 著者:瀬尾まいこ

あと少し、もう少し

中学最後の駅伝大会に寄せ集めのメンバーで挑む熱い青春模様を、連作長編形式で描いた爽やかな1作。”感涙必至の青春小説”と謳われる、泣ける小説の人気作です。

陸上部の部長・桝井は中学最後の駅伝大会に賭けていましたが、名物顧問が異動になり、頼りない美術教師が顧問に任命されます。メンバーも足りない状況で、ともに走ってくれる仲間を探し始める桝井。寄せ集めの6人は県大会出場を果たせるのでしょうか。

メンバー集めから大会当日の様子までを、6人全員を語り手にして襷のように繋いでいく構成が特徴。視点が章ごとに切り替えられることで、それぞれの抱えている思いやドラマが多面的に描かれます。心が洗われるような泣ける青春小説を探している方におすすめです。

カラフル

文藝春秋 著者:森絵都

カラフル

実写映画化やアニメ化もされた、青春ファンタジー小説の不朽の名作。”YA小説の金字塔”とも謳われ、子供から大人まで幅広い世代に読み継がれる感動作です。物語は生前に罪を犯した主人公の魂が、天使業界の抽選に当たるところからスタートします。

罪によって輪廻のサイクルから外された主人公は、生まれ変わるための再挑戦の機会を得ます。それは、自殺を図った中学3年生・小林真の体に乗り移り、犯した罪を思い出すことでした。天使のガイドのもと、主人公は真として新生活を始めますが……。

家庭問題やいじめといった思春期の生々しい悩みが、ファンタジーな設定に巧みに絡めて描かれます。クスッと笑えるユーモアを交えた語り口も魅力のひとつ。人生にささやかな希望を持てるような感動小説としておすすめの1作です。

俺たちの箱根駅伝 上

文藝春秋 著者:池井戸潤

箱根駅伝出場を目指す大学生たちと中継を担うテレビ局の人間模様を、濃密な群像劇として描いたスポーツ小説です。著者は「半沢直樹シリーズ」など、数々のヒット作を手掛けたことで有名な池井戸潤。選手と企業人の2つの視点からチームのあり方が描かれます。

かつて箱根駅伝を連覇した古豪・明誠学院大学の陸上競技部は、本選出場を2年連続で逃していました。そんなチームの主将・青葉隼斗は故障を克服し、ラストチャンスである10月の予選会へ挑むことに。しかし、「箱根の魔物」が彼に襲いかかるのです。

箱根駅伝の競技としての裏側だけでなく、テレビ局の一大プロジェクトとしての面も生き生きと描き出しているのが魅力。それぞれに降りかかる難題を登場人物たちが乗り越えていく青春模様が読者の胸を熱くさせる、おすすめの感動小説です。

泣ける感動小説のおすすめ|ヒューマンドラマ

八日目の蝉

中央公論新社 著者:角田光代

八日目の蝉

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究極の母性をテーマにした、心ゆさぶるヒューマンサスペンス小説。第2回中央公論文芸賞に輝き、2011年公開の実写映画も高い評価を集めた切ない感動作です。

物語は、希和子が不倫相手の家に侵入するところから始まります。家に置き去りにされていた不倫相手の赤ん坊を一目見るだけのはずが、衝動的な母性に突き動かされてしまう希和子。彼女は赤ん坊を誘拐し、逃亡生活へと身を投じてしまうのです。

偽りの母子が、さまざまな女性たちの手を借りながら極限状態の逃亡生活を繰り広げます。罪を犯しながらも母親として純粋な愛を注ぎ続けた女性との、歪んだ絆をていねいに描いているのが見どころ。血のつながりを超えた愛に多くの読者が感動した、おすすめの小説です。

本日は、お日柄もよく

徳間書店 著者:原田マハ

本日は、お日柄もよく

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スピーチライターの仕事に焦点を当て、言葉の持つ可能性をていねいに描いた大人向けの爽やかな青春小説です。”目頭が熱くなるお仕事小説”として、ロングセラーで愛されている人気作。ドラマ化や舞台化もされています。

会社員の二ノ宮こと葉は、想いを寄せていた幼なじみの結婚式で、伝説のスピーチライター・久遠久美の祝辞に心をゆさぶられます。あまりに衝撃的なスピーチに感動し、こと葉は即座に久美に弟子入り。奥深い「言葉」の世界に身を投じることになるのです。

スピーチライターの仕事ぶりが描かれる本作品からは、人の心を動かす言葉の力を感じられます。相手の心に響くスピーチの極意を物語を通して学べるのも魅力。胸に沁みて前向きになれる名言の数々にも注目しながら読みたい、おすすめの感動小説です。

明日の記憶

光文社 著者:荻原浩

明日の記憶

若年性アルツハイマーを患った男性と妻のかけがえのない日々を追いかけた感動小説。第18回山本周五郎賞を受賞したほか、2005年の本屋大賞にて第2位にも輝いた秀作です。

広告代理店で営業部長として働いている佐伯は、50歳で若年性アルツハイマーと診断されます。仕事では重要な案件を抱えており、一人娘は結婚間近という重要な時期に、病は佐伯を蝕んでいくことに。やがて、妻との思い出も残酷に奪われていき……。

少しずつ記憶が失われていく病のリアルな様子が、佐伯の一人称視点で綴られていくのがポイント。病に直面した人間の切実な心情が巧みな文章表現で描かれます。苦しくも、深い愛を感じられるあたたかな読み味が多くの読者の涙を誘った、おすすめ小説です。

そして、バトンは渡された

文藝春秋 著者:瀬尾まいこ

そして、バトンは渡された

2019年に第16回本屋大賞を受賞した、中高生にもおすすめの泣ける小説。バトンのようにさまざまな継父・継母へと渡り歩く高校生の姿を通して、家族や愛情とは何かを描いた心あたたまる物語です。

幼い頃に母親を亡くした優子は父とも海外赴任を機に離別。継母と暮らすようになります。その後も大人の都合によって次々と苗字が変わりながら、高校2年生になった優子。たくさんの愛を注がれてきた彼女の、一風変わった家族の形と人生を追いかけます。

血の繋がらない親の間を転々とし、家庭環境が次々と変わってきた優子が巣立っていくまでを描いた1作。個性あふれる5人の親たちが彼女に与えた、さまざまな形の無償の愛に泣けるという読者も多い、おすすめの名作です。

優しい死神の飼い方

光文社 著者:知念実希人

優しい死神の飼い方

犬の姿で地上に派遣された死神が、死に直面する人々の心を救い出していくハートフルなミステリー小説。「死神シリーズ」として複数作品展開され、コミカライズもされている人気の小説です。

余命が限られた末期患者が入院するホスピスに、犬の姿で派遣された死神・レオ。彼は患者たちの心に未練や執着として残るさまざまな過去の謎を解き明かしていきます。しかし、レオの行動はホスピスに思わぬ危機をもたらすことになるのです。

過去に囚われた人々の心を解放するために、天然キャラの死神・レオが奮闘する優しい感動作。死を前にした人々の多様な心の揺れ動きが繊細に描かれるだけでなく、ミステリーらしい物語構成にも注目したいおすすめ小説です。

ツナグ

新潮社 著者:辻村深月

ツナグ

一生に一度だけ会いたい死者との再会を叶える使者「ツナグ」を軸に、さまざまな人々の人間ドラマを描いた感動小説です。第32回吉川英治文学新人賞を受賞。2012年には実写映画化も果たしました。

突然死してしまったアイドルを心の支えにしていた会社員、年老いた母にガンを告知できなかった息子、親友に対して抱えていた嫉妬心に悩む女子高生など、多様な境遇に置かれた人物が登場。ツナグの仲介で再会した生者と死者は、それぞれの心に何をもたらすのでしょうか。

亡くなった人とのたった一晩の再会とその顛末を、連作長編形式で描いた本作品。大切な人の喪失に感じる普遍的な苦悩に真正面から向き合い、生きるとは何かを静かに問いかけます。自分自身と照らし合わせながら読む読者も多い、おすすめの泣ける小説です。

少年と犬

文藝春秋 著者:馳星周

少年と犬

第163回直木賞を受賞し、2025年に実写映画化された泣ける小説の注目作。東日本大震災を背景に、さまざまな人々と出会っていく1匹の犬の旅路を連作短編の構成で描いたヒューマンストーリーです。

始まりは2011年秋の宮城県仙台市。和正は震災で職を失い、家族の生活を支えるために犯罪まがいの仕事に手を染めていました。そんなある日、和正が拾った痩せ細った野良犬・多聞。多聞を同行させると仕事はうまくいき始めますが……。

何かを求めて南へと日本を縦断していく多聞が、行く先々で多様な境遇に置かれた人々の苦しみや悲しみに寄り添っていく姿が描かれます。言葉はなくとも心を通わせる犬と人間の、深い絆を感じられるような物語を読みたい方におすすめの感動小説です。

また、同じ夢を見ていた

双葉社 著者:住野よる

また、同じ夢を見ていた

小学生の少女を軸に「幸せとは何か」というテーマを真正面から描き出した、住野よるのデビュー第2作目。コミカライズもされ、累計100万部を突破するヒット作になりました。

“人生とは〜”が口癖で小生意気な性格の小学生・小柳奈ノ花は、学校に友達が1人もいません。そんな彼女が出会ったのは、それぞれに複雑な過去を抱えた3人の女性たち。優しくも不思議な体験を通して、奈ノ花は真の幸せについて考えるようになります。

多様な事情を持つ女性たちとの交流を、ファンタジーな設定を絡めながら描いた1作。人生の幸せを自問自答する奈ノ花の成長と、優しい名言の数々にも注目してみてください。小学生から楽しめる感動小説としてもおすすめの作品です。

その日のまえに

文藝春秋 著者:重松清

その日のまえに

“涙なしには読めない感動作”と話題を呼んだ、重松清の連作短編小説。人の生と死、家族にとっての幸福の意味を問いかける7編の物語が収録されています。

妻の死が迫るなか、静かに見守ることしかできない夫と2人の息子。愛する人を亡くした後も、彼らの日常は続いていきます。ある家族が生と死に向き合う様を描いた『その日のまえに』をはじめ、どの短編も身近な人との別れに焦点を当てているのが特徴です。

誰にも平等に訪れる死という「その日」を前に、人々が抱くさまざまな感情をていねいに掬い上げているのが魅力。大切な人の死をどのように受け止め、それまでの日々をどのように生きるべきかを考えさせられる、おすすめの泣ける短編集です。

容疑者Xの献身

文藝春秋 著者:東野圭吾

容疑者Xの献身

“東野圭吾の最高傑作”と名高い、泣けるミステリー小説のおすすめ作品。「ガリレオ」と称される天才物理学者が数々の謎に挑んでいく「ガリレオシリーズ」初の長編小説として知られています。2005年に第134回直木賞を受賞しました。

不遇な日々を送っていた高校教師・石神哲哉の心の癒しは、娘とともに暮らすアパートの隣人・靖子。ある日、靖子たちはアパートにやって来た前夫を衝動的に殺害してしまいます。そのことを知った石神は天才数学者としての知識を活用し、完全犯罪を企てるのです。

シリーズの主人公で天才物理学者の湯川学が、親友である石神による完全犯罪の真相を暴いていく様が見どころ。二転三転する壮絶な頭脳戦の先に明らかになる切ない真相が、多くの読者に衝撃と感動を与えました。ぜひ結末まで一気読みしてみてください。

泣ける感動小説のおすすめ|ノンフィクション

東京タワー オカンとボクと、時々、オトン

新潮社 著者:リリー・フランキー

東京タワー オカンとボクと、時々、オトン

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第3回本屋大賞を受賞した、俳優リリー・フランキーの自伝小説です。母親と子の絆を、少年時代から母を看取るまでの日々のなかに描いた1作。テレビドラマのほか、実写映画でも話題を集め、社会現象になりました。

4歳のときに父と別居し、九州・筑豊の小さな町で2人で暮らしてきたボクと母。やがて上京したボクは、東京で自堕落な日々を過ごしていました。そんななか、還暦を過ぎた母が1人でガンと闘っていたことを知り、ボクは東京で再び一緒に暮らすことを母に提案します。

著者のリアルな青春時代とともに、母親との愉快で愛情に満ちた関係性を描いているのが魅力。女手ひとつで息子を育てた母と母を想う息子の双方の愛情が、ていねいに綴られています。親の死に対して思いを巡らせる読者も多い、おすすめの泣けるノンフィクション小説です。

聖の青春

KADOKAWA 著者:大崎善生

聖の青春

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29歳の若さで亡くなった天才棋士・村山聖の生涯を描いた、ノンフィクション小説の傑作。第13回新潮学芸賞を受賞し、実写映画化もされています。

幼少期から重い腎臓病を抱えながらも、将棋界の最高峰「A級」まで上り詰めた天才棋士・村山聖。名人への道をひたすら目指し、将棋に命を燃やした「怪童」の生涯が描かれます。村山を支える師匠や家族たちの愛、ライバルとの熱い絆のドラマが魅力的な1作です。

同世代の名人・羽生善治とも肩を並べたと評される村山。難病とともに、29年という生涯を将棋に捧げた男の情熱がドラマチックに表現されています。棋士として一途に、今を全力で生きた姿に感動をもらえる、おすすめのノンフィクション小説です。

1リットルの涙 難病と闘い続ける少女亜也の日記

幻冬舎 著者:木藤亜也

1リットルの涙 難病と闘い続ける少女亜也の日記

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約10年もの間、原因不明の難病と闘った著者が、自分の思いや周囲への感謝などを日記として記したノンフィクション作品です。2005年に『1リットルの涙』としてテレビドラマ化され、大きな反響を呼びました。

ごく普通の明るい家庭に育った少女は、15歳のときに難病を発症。身体が徐々に動かなくなっていく原因不明の病・脊髄小脳変性症によって、彼女の日常は少しずつ変化していきます。数々の苦難を前にして、やがて日記を書き続けることが少女の支えになっていました。

青春時代のみずみずしい感性で、自身の内面を書き綴っている闘病日記です。病気の進行とともに降りかかる苦悩と葛藤をリアルに感じられる筆致が見どころ。精一杯、病と人生に向き合った少女の心に胸を締めつけられる、おすすめの1作です。

収容所から来た遺書

文藝春秋 著者:辺見じゅん

収容所から来た遺書

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第二次世界大戦終結後に起こった、シベリア抑留について綴る感動のノンフィクション小説。2022年公開の実写映画『ラーゲリより愛を込めて』の原作小説です。講談社ノンフィクション賞・大宅壮一ノンフィクション賞をダブル受賞しました。

本作品の中心は、シベリア強制収容所に捕虜として抑留された一等兵・山本幡男。零下40℃を下回る劣悪な環境で、栄養失調や過酷な労働作業で人々は次々に命を落としていきます。そんなシベリアの帰還者から届けられた6通の遺書にまつわる、驚くべき事実を明らかにしていく1作です。

シベリア抑留の壮絶な実態を垣間見られる本作品。絶望的な状況でも生きる希望を見失わなかった山本と、仲間たちの功績を群像劇として追いかけます。日本人としての誇りを持ち続けた人々の姿に、多くの読者が感銘を受けたおすすめの名作です。

将棋の子

講談社 著者:大崎善生

将棋の子

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プロ棋士を目指す少年たちが青春を賭ける、奨励会を題材にした感動作。第23回講談社ノンフィクション賞にも輝いた、ノンフィクション小説の秀作です。

日本将棋連盟が運営するプロ棋士養成機関・奨励会。将棋の天才少年たちが全国から集まり、プロ棋士を目指して、日々しのぎを削っています。将棋に全てを捧げた天才少年たちの挫折と栄光を綴った1作です。

わずか一手の差で夢破れて退会していく過酷な将棋の世界を、リアルに描いているのが魅力。才能にもがき苦しみ、挫折した者たちのその後の非情な生活にも触れられています。将棋の世界の厳しさと夢破れた少年たちの生々しい葛藤を、ぜひ感じてみてください。

アンネの日記 増補新訂版

文藝春秋 著者:アンネ・フランク

アンネの日記 増補新訂版

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ユダヤ人の少女、アンネ・フランクが手掛けた歴史的名著。ナチス・ドイツ占領下に迫害されていた過酷な隠れ家暮らしのなかで、懸命に日々の出来事を綴った日記です。13歳から15歳という思春期ならではの、夢と悩みが記されています。

日々の記録として残した自分用と、公表を前提に清書された公表用の、2種類の日記が存在する「アンネの日記」。本書はその2つを編集し、新たに発見されたページを加えた増補新訂版として刊行されました。漢字にふりがなが振られているのも特徴です。

2年にわたる潜伏生活時に感じた、等身大の少女の赤裸々な感情が綴られる本書。親への反抗心や異性への憧れなど、アンネにとってのかけがえのない瞬間が、言葉として残されています。絶望のなかにも希望を抱き続けた少女の内面に直に触れられる、おすすめの作品です。

フェルマーの最終定理

新潮社 著者:サイモン・シン

フェルマーの最終定理

3世紀にわたって多くの数学者の前に立ち塞がってきた数学の超難問「フェルマーの最終定理」。その証明に挑む天才数学者たちの壮大な道のりを描いた、ノンフィクション小説のおすすめ作品です。

フランスの数学者ピエール・ド・フェルマーが残した、たった1行の数学上の予想。17世紀に書き残されたその謎は、”数学史上最大のミステリー”として数学界で大きく名を轟かせることになります。数々の天才を悩ませた難問に、少年・ワイルズが出会い……。

1995年に完全証明を成し遂げたワイルズの波乱のドラマを中心に、数学者たちの苦闘の歴史に迫った1作。歴代の数学者たちの挫折と挑戦、完全証明に至るまでの美しい軌跡が垣間見られます。胸が熱くなるようなドラマチックな数学の歴史に触れられる感動作です。

アトムの心臓 「ディア・ファミリー」23年間の記録

文藝春秋 著者:清武英利

アトムの心臓 「ディア・ファミリー」23年間の記録

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2024年に実写映画化されたノンフィクション小説。娘の命を救うために、人工心臓の開発に挑戦する家族の感動の実話をもとに描かれた1作です。

町工場を営む筒井宣政の娘は生まれながらに心臓に疾患を持ち、余命10年と宣告されます。運命に抗うため、筒井は娘のために人工心臓を作ることを決意。日本のトップクラスの研究者たちから知見を集めながら、東海メディカルプロダクツを設立するのです。

日本初の医療機器「IABPカテーテル」の誕生に隠されたドラマを、さまざまな関係者への取材から追った本作品。命の期限が迫るなかで、途方もない道のりに挑む家族の姿が熱く描かれます。多くの人々の命を繋いだ家族愛の物語に泣ける、おすすめの1作です。

20歳のソウル

幻冬舎 著者:中井由梨子

20歳のソウル

千葉県船橋市立船橋高校に受け継がれている応援曲「市船soul」にまつわる実話を描いた、泣けるノンフィクション小説です。2016年に高校野球の千葉県大会で演奏され話題を呼び、2022年には実写映画化もされました。

肺がんを患い、20歳という若さでこの世を去った青年・浅野大義。作曲家になることや恋人との結婚を夢見ていた彼の告別式当日、164名もの高校の吹奏楽部OBが集まりました。彼の生き様と1日限りのブラスバンドの様子を、関係者の証言から描き出した1作です。

市立船橋高校在学中に作曲した「市船soul」は、試合で演奏するたびに流れを引き寄せる”神応援曲”と呼ばれています。そんな名曲誕生までの裏側と、多くの人々の愛に満ちた鮮やかな青春の日々が語られる、おすすめのノンフィクション作品です。