異世界での不思議な体験ができる「ファンタジー小説」。ひとくちにファンタジーといっても、魔法を題材にしたものや不思議な生物を題材にしたものなど、さまざまなテーマの作品があります。

そこで今回は、日本・海外で人気の高いファンタジー小説のおすすめ作品をご紹介。小学生向けの易しい作品から大人向けの作品まで厳選したので、ぜひ小説選びの参考にしてみてください。

ファンタジー小説とは?

ファンタジーとは空想、または幻想という意味。そして、ファンタジー小説とは、異世界や別時代の設定、妖精など人外の生命体といった不思議な登場人物などを題材に、物語をつけた小説のことを指します。起源は神話や伝説、妖精物語などにさかのぼることも可能です。

新たな時代、誰も見たことのない異世界に登場人物とともに飛び込み、未知なる冒険ができるのが魅力。SF小説をファンタジー小説として含めることもありますが、科学・技術の側面に基づいた内容かどうかという点で異なります。

日本ファンタジー小説のおすすめ作品

新世界より 上

講談社 著者:貴志祐介

日本SF大賞で第1位を受賞した、壮大なスケールのSFファンタジー小説。マンガ化・アニメ化もされた人気作品です。

物語の舞台は、神の力「念動力」を得た人々が平和に暮らしている、病的に美しい1000年後の日本。豊かな自然に囲まれた集落「神栖66町」には、野心と希望に燃え、念動力の技を磨く12歳の少女・早季を含めた子供たちがいました。

しかし、早季と幼なじみたち5人は、人類の血塗られた歴史を知ってしまうとともに、命を賭けた冒険へと駆り立てられるのです…。独特な世界観に、惹き込まれる方も多い1冊。ダークファンタジーが好きな方におすすめです。

月の影 影の海 上 十二国記

新潮社 著者:小野不由美

小野不由美氏の代表作で、ファンタジーシリーズ「十二国記シリーズ」の第1作品目。吉川英治文学賞を受賞し、アニメ化・ゲーム化などもされました。刊行から30周年を迎えますが、今なお愛され続けているロングセラー作品です。

私たちの住む世界と、地図上にない異世界「十二国」を舞台に繰り広げられる物語。ある日、女子高生・陽子のもとに、謎の男・ケイキが現れ突然異界へと連れ去られます。

右も左も分からない世界でケイキとはぐれ、出会う者には裏切られ、異形の獣に襲われるなど、陽子に次々と押し寄せる苦難。なぜ彼女は異世界に連れてこられたのか、また、なぜ戦わなければならないのでしょうか。

自分の世界への帰還を誓った陽子のほとばしる「生」への執着を描いているのがポイント。壮大な中華ファンタジー小説に興味がある方におすすめです。

鹿の王 1

KADOKAWA 著者:上橋菜穂子

本屋大賞と本屋大賞や日本医療小説大賞を受賞した、壮大な冒険ファンタジー小説です。累計250万部を突破しているベストセラー。2022年には『鹿の王 ユナと約束の旅』として映画化されました。

厳しい北方の自然のなかで生きる人々や獣たちの、生と死を描いた作品です。強大な帝国・東乎瑠(ツオル)に飲まれていく故郷を守るために、戦う戦士団「独角」。団の頭で、妻子を病で失い絶望の底にいたヴァンは、奴隷に落とされてしまい、岩塩鉱に囚われていました。

ある夜、不気味な犬の群れが岩塩鉱を襲ったことにより、謎の病が発生します。生き延びたヴァンは幼い少女を拾い、ユナと名付けて育てますが…。2人だけ生き残った父と少女が、未曽有の危機に立ち向かう物語です。

また、本作品には医療サスペンス要素もあるのが特徴。綿密な設定でリアルな体験ができます。冒険小説が好きな方におすすめの小説です。

光の帝国 常野物語

集英社 著者:恩田陸

直木賞作家・恩田陸氏による、不思議な力を持つ一族を描いた壮大なファンタジー小説。「常野物語シリーズ」3作品のうちの第1作品目で、ドラマ化もされた連作短編集です。

「常野」から来た人々は、膨大な書物を暗記したり、近い将来を見通せたりと、みんなが不思議な能力を持っていました。穏やかで知的、権力への志向なども持たずにひっそりと暮らす「常野一族」。彼らの能力は何のために存在し、彼らはどこへ帰っていくのでしょうか。

本作品は、哀しみと優しさに満ちているのがポイント。ホラーテイストの物語から、あたたかみのある物語まで、さまざまな短編を楽しめます。短編ファンタジー小説の名作を読みたい方におすすめです。

旅のラゴス

新潮社 著者:筒井康隆

主人公・ラゴスが生涯をかけた旅を描く、SFファンタジーの傑作長編。刊行から35年以上経ちますが、今なお口コミで読者が増え続けているロングセラー作品です。

舞台は、突然高度な文明を失った代償として、人間が超能力を得た「この世界」。ひたすら旅を続けるラゴスですが、集団転移、壁抜け、2度奴隷の身に落とされるなど、さまざまな体験を繰り返します。それでもなお、旅を続けるラゴスの目的とは何なのでしょうか。

異世界と異時間が交錯する、不思議な物語が魅力。人生という旅についても考えさせられる、おすすめのファンタジー小説です。

RDG レッドデータガール はじめてのお使い

KADOKAWA 著者:荻原規子

現代ファンタジーの最高傑作ともいわれ、アニメ化もされた荻原規子氏の人気作品です。全6巻で構成される「RDGシリーズ」の第1作品目。シリーズの累計発行部数は128万部を突破しています。

世界遺産の熊野古道、玉倉山の玉倉神社に住む少女・泉水子が主人公。彼女は中学3年まで、山のふもとの中学と家の往復のみの生活を送ってきました。しかし、高校は幼なじみの深行とともに、東京にある鳳城学園への入学を決められてしまいます。

その後、修学旅行で行った東京で、「姫神」と呼ばれる謎の存在が出現。さらに、恐ろしい事件が襲いかかります。泉水子の一族には、どんな秘密があるのでしょうか。

本作品は、独特の世界観や美しい描写がポイントです。また、泉水子が成長していくさまも見どころ。和風ファンタジー小説に興味がある方におすすめです。

王都炎上 アルスラーン戦記 1

光文社 著者:田中芳樹

壮大な歴史ヒロイック・ファンタジーの名作。『鋼の錬金術師』で知られる荒川弘氏によってマンガ化され、人気を博しました。ほかにも、アニメやミュージカルなど、さまざまなメディアミックス作品が展開されています。

物語の舞台は、勇猛な騎士軍団を破り、不敗の国王が君臨する「パルス王国」。蛮族・ルシタニアとの戦いでも、その勝利を疑う者はいませんでした。しかし、味方の裏切りによって軍団は1日で崩壊し、王国は滅亡してしまいます。

辛くも生き残った王太子・アルスラーンは、勇者・ダリューンや軍師・ナルサスたちと、故国奪還を目指しますが…。

戦死や魔導士、謎の銀仮面や妖艶な美女など、際立つ登場人物たちが魅力的で、アルスラーンの成長も見どころ。戦記ものや冒険ものが好きな方におすすめのファンタジー小説です。

孤笛のかなた

新潮社 著者:上橋菜穂子

上橋菜穂子氏の代表作のひとつで、野間児童文芸賞を受賞したファンタジー小説。2度舞台化もされています。

主人公は、人の心が聞こえる「聞き耳」の能力を生まれながらにして持っている、12歳の少女・小夜。ある日、彼女は犬に追われていた子供の霊狐で、呪者の使い魔・野火を助けます。出会った2つの魂は、隣り合う2つの国の争いに巻き込まれながら、希望の道を探していくというあらすじです。

懐かしさがある美しい情景描写に加え、小夜と野火の切なく心あたたまる純愛が魅力。“本書の魔法は超一級品です。”と宮部みゆき氏も絶賛しているおすすめの1冊です。

ほたるの群れ 1 第一話 集

幻冬舎 著者:向山貴彦

バトルもののファンタジー小説。「ほたるの群れシリーズ」の第1作品目で、10代の殺し屋たちによる壮絶な死闘を描いています。

歴史の狭間で暗殺を請け負っている組織「会」に命を狙われた少女・小松喜多見。彼女は会の殺人現場を目撃してしまったのです。拉致され殺されそうになっている喜多見。唯一の希望は、繋がったままの携帯電話でした。電話の相手は、ごく普通の同級生・高塚永児。彼らの運命は果たしてどうなるのでしょうか。

容赦のない凄絶なバトル展開で、ドキドキ感を味わえるのがポイント。バトル要素のある、スリリングなファンタジーが好きな方におすすめです。

海外ファンタジー小説のおすすめ作品

ハリー・ポッターと賢者の石

静山社 著者:J.K.ローリング

魔法使いであるハリー・ポッターの、学園生活や冒険を描いたファンタジー小説の名作です。「ハリー・ポッターシリーズ」の第1作品目。全世界で売れた本は5億部以上といわれ、映画化もされた世界的大ベストセラー作品です。

ハリー・ポッターは、暗黒の魔法使い・ヴォルデモートから生まれたばかりのころに両親を奪われ、稲妻の形の傷をつけられた少年。何も知らず、平凡な俗物のおじ・おばに育てられました。

11歳の誕生日を迎えたある日、突然ハリー宛に手紙が届きます。それは「ホグワーツ魔法魔術学校」への入学許可証でした。キングズ・クロス駅にある、魔法使いしか入れない「9と4分の3番線」から、ハリーは汽車に乗って未知の世界へ旅立ちます。

本作品では、ハリーが未知の世界へ飛び込んでいくドキドキやワクワクが味わえるのがポイント。小学生ごろからでも読みやすく、魔法使いもののファンタジー小説が好きな方にもおすすめです。

モモ

岩波書店 著者:ミヒャエル・エンデ

1973年に刊行されてから長く読み継がれてきた、世界的ベストセラーのファンタジー小説。ドイツ児童文学賞を受賞しており、映像化や舞台化もされています。

女の子・モモが「時間どろぼう」に盗まれた時間を、人々のために取り返してくれる冒険の物語。本作品にはメッセージ性があり、人間本来の生き方を忘れてしまっている現代の人々に、時間の真の意味を問う作品です。

文明への批判を織り込みつつ、空想の世界を巧みに描いているのがポイント。児童書ながら、大人にもおすすめのファンタジー小説です。

指輪物語1 旅の仲間 上1

評論社 著者:J.R.R.トールキン

1954年に刊行された、歴史的大ベストセラーの冒険ファンタジー小説。「指輪物語シリーズ」3部作のうち、最初の物語です。今でも世界中に1億人以上のファンがいるという、不朽の名作。本作品が原作の映画『ロード・オブ・ザ・リング』も世界的大ヒットを記録しました。

遠い昔に、冥王・サウロンが作った恐ろしい闇の力を秘める指輪。人間の遠縁にあたるホビット族の若者・フロドは、ひょんなことからその指輪を受け継ぎます。そして、魔法使い・ガンダルフから恐ろしい指輪の正体を知らされたフロド。彼は指輪を棄てるため、仲間とともに旅に出ます。

しかし、その後を追う不気味な謎の黒の乗り手たち。一体フロドたちには、どんな危機が待ち受けているのでしょうか。ハイファンタジーの名作に興味がある方や、壮大な冒険ストーリーを読みたい方におすすめです。

ホビットの冒険 上

岩波書店 著者:J.R.R.トールキン

『指輪物語』の前日譚で、『ホビット』として三部作で映画化もされた人気ファンタジー小説。『指輪物語』が大人向けとして書かれ、本作品は同じ世界が舞台ながら、児童書なのがポイントです。

引っ込み思案で、気のよいホビット小人のビルボ・バギンズが、思いがけない旅に出る壮大な冒険物語。ビルボは魔法使い・ガンダルフの巧みな誘いに乗せられて、13人のドワーフ小人とともに、竜に奪われた宝を取り返しに旅立ちます。

古代北ヨーロッパの伝承の影響が色濃いファンタジー。小学生ごろからでも読みやすく、『指輪物語』を知らない方でも楽しめるおすすめの小説です。

影との戦い ゲド戦記1

岩波書店 著者:アーシュラ・K.ル=グウィン

魔法使い・ゲドの一生を描いたファンタジーシリーズ「ゲド戦記シリーズ」の第1作品目。本シリーズの第3作品目は、ジブリ映画『ゲド戦記』の原作小説としても知られています。

本作品は、大賢人・ゲドが若い日の物語です。少年のゲドは、大魔法使い・オジオンに並外れた才能を見出されました。彼は自分の能力を知ると魔法の力に磨きをかけるため、魔法の学院に入学します。

得意になったゲドは、禁じられた呪文を唱えて自らの「影」を呼び出してしまい、「影」との果てしない戦いに引き込まれていくのです…。

ゲドに襲いかかる過酷な試練など、山場が多く一気に読み進めやすい作品。子供から大人まで楽しめる、おすすめのファンタジー小説です。

ダーク・マテリアルズⅠ 黄金の羅針盤 上

新潮社 著者:フィリップ・プルマン

冒険ファンタジーの超傑作とされる小説。「ライラの冒険シリーズ」3部作のうちの第1作品目です。イギリスの優れた児童書に贈られる、カーネギー賞とガーディアン賞を受賞しました。映画化やドラマ化もされている名作です。

本作品は、11歳の少女・ライラの壮大な冒険の物語。彼女の世界では、みんなが自分の魂の片割れで、動物の形をした守護精霊「ダイモン」とともに生活しています。

ある日、ライラの周りで子供が連れ去られる事件が発生。連れ去られた子供は、北極で危険な人体実験に使われていると噂されていました。運命に導かれ「真理計」を手にした彼女は、ダイモンとともに北極へ向かいますが…。

ライラと一緒に冒険しているかのような体験も楽しめる1冊。イギリス児童文学の名作ファンタジーに触れたい方におすすめです。

九年目の魔法

東京創元社 著者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ

イギリスのファンタジーの女王とも評される、ダイアナ・ウィン・ジョーンズによる作品。魔法をテーマにしたファンタジー小説です。

本作品は、少女・ポーリィの「愛・成長・戦い」を描いた現代魔法譚。大学生のポーリィは、愛読していたはずの本の題名が違うことや、壁にかかった写真が覚えているものとは違うことなどの違和感に気付きます。10歳からの9年間で本当にあったことと、覚えていることが食い違っていました。

彼女は10歳のころの思い出をたぐり寄せます。当時、近くにある大きな屋敷に紛れ込んだことを思い出したポーリィ。葬式の真っ最中だったその場所で、リンという男性に出会い仲良くなってから、とても恐ろしい何かが起こり始めたのです…。不思議な世界に惹き込まれる1冊。表現豊かな世界観が魅力のおすすめ作品です。

エラゴン 遺志を継ぐ者 ドラゴンライダーBOOK1

静山社 著者:クリストファー・パオリーニ

シリーズ累計3500万部を突破している世界的ベストセラー「ドラゴンライダーシリーズ」の第1作品目。ドラゴンを題材としたファンタジーで、少年・エラゴンと誇り高い雌竜・サフィラの物語です。2006年には映画化もされました。

シリーズ名の「ドラゴンライダー」とは、超人的な身体に魔力をまとい、竜と心を通わせ乗りこなす種族のこと。伝説によると、彼らは「13人の裏切り者」により、竜とともに滅ぼされたと伝えられていました。しかし、エラゴンが森で青く輝く不思議な石を手にした瞬間、彼の運命は大きく動きだしたのです…。

エラゴンが成長していくさまや、個性豊かなキャラクターも魅力の作品。ドラゴンを扱ったファンタジー小説が好きな方におすすめです。

クロニクル 千古の闇1 オオカミ族の少年

評論社 著者:ミシェル・ペイヴァー

「クロニクル千古の闇シリーズ」の最初の物語です。世界35か国で翻訳され、シリーズ累計300万部を突破した作品。太古の闇の時代の、オオカミと少年による壮大な冒険ファンタジーです。

舞台は紀元前4000年前の森。少年・トラクは、巨大なクマの姿の悪霊に殺されてしまった父との誓いを果たすため、「精霊の山」を探す旅に出ます。道連れは、子オオカミ・ウルフのみ。彼らは旅で深い森を抜け、巨大な氷河を超え、想像もつかない危険にさらされるのです…。

トラクたちに次々と襲いかかる試練に、ドキドキハラハラする展開が見どころ。厚生労働省の社会保障審議会による推薦作品で、小学校高学年ごろから読めるおすすめのファンタジー小説です。

大人向けファンタジー小説のおすすめ作品

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 上

新潮社 著者:村上春樹

谷崎潤一郎賞を受賞したファンタジーの名作です。人気作家・村上春樹氏が描く、不思議な国の物語。静寂な幻想世界と、波瀾万丈な冒険劇、2つの物語が同時進行で織りなすパラレルワールド・ストーリーです。

高い壁に囲まれ下界との接触がない町で、そこに生息する一角獣の頭蓋骨から、夢を読んで暮らす僕の物語が「世界の終り」。一方で、老科学者に意識の核に、ある思考回路を組み込まれた私が、思考回路の秘密をめぐって活躍する物語が「ハードボイルド・ワンダーランド」です。

現実離れした物語ながら、話や設定の巧みな作り込みによって没入感を得やすいのがポイント。「ムラカミワールドの出発点」ともされる、おすすめのファンタジー小説です。

グイン・サーガ1 豹頭の仮面

早川書房 著者:栗本薫

1人の作家が手がけた小説として、世界最長のシリーズといわれる「グイン・サーガシリーズ」の第1作品目。シリーズは栗本薫が執筆した分だけで、外伝を除き130巻あります。1979年に刊行されてから長きにわたり愛されて続けており、シリーズ累計3300万部を突破。2009年にはアニメ化もされました。

本作品は、豹頭の戦士・グインが活躍するヒロイック・ファンタジー小説。中原にあった由緒正しき王国・パロは、隣国・モンゴールの侵略で滅び去ります。パロの遺児である双子のリンダとレムスは、ある力によって辺境の地に逃れました。

しかし、追っ手の追及に、2人は絶体絶命の危機に立たされます。そこに、名前のほかには記憶を持たないグインが現れ、2人を救ったのです。壮大な構想による、グインをはじめとする登場人物たちの群像劇を楽しめる作品。ファンタジーシリーズものを読み進めたい方におすすめです。

空色勾玉

徳間書店 著者:荻原規子

1988年に刊行され、日本児童文学者協会新人賞を受賞した荻原規子氏のデビュー作。「勾玉3部作」の1作品目です。著者は本シリーズにより、日本ファンタジーの第1人者ともいわれました。

本作品は、日本神話をもとにした和風ファンタジー小説。神々が地上を歩いていた古代日本「豊葦原」を舞台に描いています。

闇の巫女姫として生まれながら光を愛し、「空色勾玉」を持つ少女・狭也と、輝の宮の神殿に縛められ、闇を夢見ている「大蛇の剣」の主・稚羽矢の2人が主な登場人物。2人が出会い、豊芦原を変えていく物語です。

不死の神や輪廻転生など日本の昔ながらの考えに触れられたり、恋愛要素が楽しめたりするのもポイント。和風のハイファンタジーや、日本の神話に興味がある方におすすめです。

カラフル

文藝春秋 著者:森絵都

児童文学作家・森絵都氏によるファンタジー小説。産経児童出版文化賞を受賞し、実写とアニメで映画化もされた不朽の名作です。中高生を対象としたヤングアダルト小説や、家族小説の代表格ともされています。

主人公は生前にある罪を背負い、転生できなくなったぼく。しかし、天使業界の抽選に当たったことで、再挑戦のチャンスを与えられます。それは、自殺を図った少年・小林真の体にホームステイしながら、自分の罪を思い出さなければならないという修行だったのです…。

深刻なテーマながら、森絵都氏の手腕によりユーモアにあふれ、あたたかみも感じられるのがポイント。不朽の名作ファンタジーに触れたい方におすすめの小説です。

夜市

KADOKAWA 著者:恒川光太郎

直木賞候補にも挙がり、日本ホラー小説大賞を受賞したファンタジーホラーの名作。表題作と『風の古道』の2編を収録した短編集です。

大学生のいずみが、高校時代の同級生・裕司から“夜市にいかないか”と誘われるところから物語が始まります。裕司に連れられて来た夜市は、妖怪たちがさまざまなものを売る、この世ならぬ不思議な市場でした。

夜市は望むものが何でも手に入る場所。幼いころ夜市に弟と迷い込んだ裕司は、弟と引き換えに「野球の才能」を手に入れたといいます。野球部のヒーローになり、甲子園にまで出場した裕司。しかし、弟を売ったことに罪悪感を抱いていた裕司は、今夜弟を買い戻しにきたというのですが…。

怖さがありながらも、哀しみをたたえた切ない物語がポイント。ホラーが好きな方や、日本のダークファンタジー小説に触れたい方におすすめの作品です。

毒見師イレーナ

ハーパーコリンズ・ジャパン 著者:マリア.V.スナイダー

生きたいと願った死刑囚の少女による命がけの壮絶ファンタジー小説。三部作のうちの第1作品目です。日本ではラジオドラマ化もされ、シリーズ累計82万部を突破しました。

主人公は、ある殺人を犯した罪で死刑囚となったイレーナ。ついに絞首台へ送られる日を迎えましたが、そこで今すぐ絞首刑か、国の最高司令官の毒見役になるかという選択肢を与えられます。

しかし、毒見役を選んだイレーナを待ち受けていたのは、逃走防止の猛毒でした。そして、毎日与えられる解毒剤なしでは生きられない身体になった彼女。わずかな生きる希望にかけて、壮絶な日々に立ち向かいますが…。

過酷な状況にあるイレーナの、どんなことがあっても諦めない姿に感銘を受ける方も多い作品。アクションも豊富で読み進めやすい、おすすめの大人向け作品です。

童話物語 上

幻冬舎 著者:向山貴彦

1999年に刊行され、多くのファンタジーファンの心を揺さぶったとされるロングセラー小説。向山貴彦のデビュー作です。

世界は滅びるべきなのか、という恐ろしい問いの答えを得るため、妖精・フィツが永遠の世界から地上へ来る物語。最初に出会った1人の人間のみを観察し、フィツが地上にいられる9日間で答えを出さなければなりません。しかし、フィツが最初に出会ったのは、極めて性格が悪い少女・ペチカだったのです…。

残酷ながら、作り込まれた世界観に惹き込まれる方も多い作品。大人が楽しめる、少しダークなファンタジーの名作を読みたい方におすすめです。

時給三〇〇円の死神

双葉社 著者:藤まる

ライトノベル作家・藤まる氏によるファンタジー小説。心あたたまるヒューマンストーリーを描いています。マンガ化もされ、度々重版されている人気作品です。

ある日、高校生・佐倉真司が、同級生の花森雪希から「死神」のアルバイトに誘われます。死神の仕事とは、死者の未練を晴らし、あの世へ見送ること。現実離れした話を不審に思う佐倉でしたが、“最後まで勤め上げれば、どんな願いも叶えてもらえる”と聞き、アルバイトを始めるというあらすじです。

初恋相手や、出産直後の母親、虐待を受ける子供などさまざまな死者が抱える未練や願いを見られます。人生や幸せについて考えさせられ、感動する方も多い作品。普段小説をあまり読まない方にもおすすめの1冊です。

小学生からでも読めるファンタジー小説のおすすめ作品

星の王子さま

新潮社 著者:サン=テグジュペリ

詩情にあふれた、名作ファンタジー小説。世界総販売部数は2億部を超えています。“一度読んだら必ず宝物にしたくなる、この宝石のような物語”といわれており、世代を超えて愛され続けている作品です。

砂漠に飛行機で不時着した僕が出会った男の子。彼は小さな小さな自分の星を後にして、いくつもの星をめぐってから7番目の星・地球にたどり着いた王子さまでした。

王子さまが、行く先々で出会った人々との会話のなかから「本当に大切なこと」を見つけていく物語。人生の教訓ともなり得る、子供から大人までおすすめのファンタジー小説です。

ナルニア国ものがたり ライオンと魔女

岩波書店 著者:C.S.ルイス

世界で1億2000万部を突破した大ベストセラー、「ナルニア国ものがたりシリーズ」の第1作品目。ファンタジーの金字塔ともいわれる小説です。2005年には映画化もされており、大ヒットを記録しました。

本作品では、戦争を避けて田舎の古い屋敷にやってきた、4兄妹の異世界での冒険を描いています。ある日、4兄妹が大きな衣装だんすに入ると、そこは雪が降り積もる別世界へ続いていました。本作品は、別世界・ナルニア国で、子供たちが偉大なライオン・アスランと出会い、悪い白い魔女と戦う物語です。

C.S.ルイスの優れた描写により、物語へのリアルな没入体験ができる点が魅力の1冊。冒険ものが好きな方や、不朽の名作ファンタジーに触れたい方におすすめです。

不思議の国のアリス

KADOKAWA 著者:ルイス・キャロル

イギリスの世界的に有名な児童文学ファンタジー。ディズニーの映画化作品をはじめとして、舞台化・マンガ化・絵本化などがされているほか、さまざまな作品のモチーフとなっています。

ある昼下がり、アリスが土手で遊んでいると、チョッキを着た白ウサギが時計を取り出しながら、急ぎ足で通り過ぎ、生け垣の下の穴に飛び込みました。アリスがそこへ続いて飛び込むと…。

空想やユーモア、言葉遊び、ナンセンスなジョークにあふれているのが特徴。明るくシニカルで、子供から普段本を読まない大人まで楽しめるおすすめ作品です。

精霊の守り人

新潮社 著者:上橋菜穂子

作家で文化人類学者でもある、上橋菜穂子氏による冒険ファンタジー小説。異界と人の世界が交錯する世界を描いた「守り人シリーズ」の第1作目です。野間児童文芸新人賞・アメリカ図書館協会バチェルダー賞などを受賞しました。ドラマ化・マンガ化もされた人気作品です。

30歳で腕利きの女用心棒・バルサは、川に落ちた新ヨゴ皇国の幼い第2皇子・チャグムを助けます。彼は、精霊の卵を身に宿したことで、父である王から命を狙われているのです。そして、チャグムの母・二ノ妃よりチャグムを守るように言われたバルサ。王の放つ追っ手や、さまざまな危険からチャグムを守り抜けるのでしょうか。

本作品は緻密に世界が構築されており、壮大なストーリーが楽しめるのがポイントです。また、2人の心が成長していく様子も見どころ。小中学生から大人までおすすめの1冊です。

ブレイブ・ストーリー 上

KADOKAWA 著者:宮部みゆき

直木賞作家・宮部みゆき氏による名作ファンタジー小説。累計280万部を超える大ベストセラーで、映画化もされました。

主人公は、テレビゲームが大好きな普通の小学5年生・亘。友達にも恵まれ、平凡で幸せな日々を送っていました。しかしある日、突然持ち上がった両親の離婚話。平和な日常が失われたなか、亘はバラバラになってしまった家族を取り戻すために、幻界・ヴィジョンへ旅に出るというあらすじです。

亘の勇気に感動し、胸を打たれる方も多い作品。ワクワクドキドキの冒険ファンタジーを読みたい方におすすめです。

獣の奏者 1 闘蛇編

講談社 著者:上橋菜穂子

上橋菜穂子氏による、傑作ファンタジーの巨編。「獣の奏者シリーズ」の第1作品目で、アニメ化もされました。

獣ノ医術師である母と、リョザ神王国の闘蛇村で暮らす主人公の少女・エリンの成長を描いています。ある日、王国の矛盾を背負いながら兵器として育成されていた蛇・闘蛇が、1度に何匹も死亡。そして、闘蛇を死なせた責任を問われたエリンの母は処刑されます。

母の不思議な指笛により死は免れたものの、孤児となったエリン。その後、蜂飼い・ジョウンに救われた彼女は、母と同じく獣ノ医術師を目指しますが…。

彼女を取り巻く人々や世界を緻密に描いているのがポイント。小学生・中学生のほか、あまり読書をしない方でも読みやすい、おすすめのファンタジー小説です。

はてしない物語 上

岩波書店 著者:ミヒャエル・エンデ

『モモ』と並び、ミヒャエル・エンデの代表的な、児童向け長編ファンタジー小説。『ネバーエンディング・ストーリー』として映画化もされた作品です。

10歳の少年・バスチアンは本を読んでいました。物語のなかの「ファンタージエン国」は、正体不明の虚無におかされ滅亡寸前。国を救うためには、人間界から子供を連れてくるほかありません。物語に呼びかけられ、本の世界に入ったバスチアンは、ファンタージエン国の滅亡と再生を体験することになるのです…。

現実と物語の世界が交差し、引き込まれるように読めるのがポイント。長きにわたり世界中の子供から大人にまで愛されている、ファンタジーの名作に触れたい方におすすめです。

霧のむこうのふしぎな町

講談社 著者:柏葉幸子

講談社児童文学新人賞と、日本児童文学者協会新人賞受賞を受賞した、ファンタジーの名作です。世界的にも有名なジブリ映画『千と千尋の神隠し』に影響を与えたといわれる作品。また、同じくジブリ映画『耳をすませば』の作中に出てきた本としても知られています。

主人公である小学6年生のリナは、夏休みに1人で静岡から東北へ旅に出ました。父親のすすめで訪れた霧の谷の森を抜け霧が晴れると、赤色やクリーム色の洋館が立ち並ぶ、不思議な町が現れます。

リナが町の「めちゃくちゃ通り」に住む、不思議な力や魅力を秘めた人々との交流を描いた物語。小学生はもちろん、ファンタジー児童文学の名作に触れたい方にもおすすめです。

ダレン・シャン 1 奇怪なサーカス

小学館 著者:ダレン・シャン

シリーズ累計700万部の大ヒットを記録し、映画化もされた大長編ダークファンタジー小説。「ダレン・シャンシリーズ」の第1作品目で、児童文学の最高傑作ともいわれる作品です。

主人公のダレン・シャン少年は、「奇怪なサーカス」のチケットをふとしたきっかけで入手。しかし、サーカスを見に行った夜から、彼はある運命を背負ってしまいます。そして、親友の命を救うため、ダレン・シャンは正体不明のバンパイアとある取引をするのです…。

本作品は、先が読めないどんでん返しが連続します。また、ダークなストーリーや、不気味で不思議な登場人物なども魅力。児童文学であるものの、大人も楽しめるおすすめの1冊です。