科学的な空想に基づいたものを題材にした「SF小説」。宇宙・タイムトラベル・ロボット・超能力など、SFのなかでもさまざまな題材の作品があります。

そこで今回は、SF小説のおすすめを日本と海外の作品に分け、ランキング形式でご紹介。映画化されている人気作や、SFの古典といわれる名作などを厳選しました。小説を選ぶ際の参考にしてみてください。

SF小説とはどんなジャンル?

SF小説とは、「サイエンスフィクション」の略で、科学的な空想に基づいたことやものを題材にした小説のこと。ほかにも、テーマによってハードSF・スペースオペラ・サイバーパンクなど細かいジャンルに分類されます。日本では科学小説・空想科学小説などと呼ばれてきました。

SF小説はタイムトラベルものや、ロボットを題材にしたもの、超能力を持った人を題材にしたものなど、さまざまな種類があります。

また、科学的な専門用語などが出てくる場合もあるため、初心者は短編や映画化されている作品から読むのがおすすめ。また、アメリカの2大SF賞といわれる、ネビュラ賞やヒューゴー賞の受賞作もおすすめです。SF小説の醍醐味を味わいたい方は、古典といわれる海外のSF小説を読んでみてください。

現代でも人気の高い名作SF小説

第1位 アルジャーノンに花束を

早川書房 著者:ダニエル・キイス

世代を超えて愛される感動作。過去には何度も映画化され、日本でも2度にわたってドラマ化されているSF小説です。

主人公は、32歳になっても幼児並みの知能しかないチャーリイ・ゴードン。ある日、彼の元に“大学の先生がチャーリイの頭をよくしてくれる”という話が舞い込みます。チャーリイは話に飛びつき、白ネズミの「アルジャーノン」を競争相手として検査を受けました。

やがて手術を受け、天才に変わったチャーリイが愛・憎しみ・喜び・孤独を通して人の心の真実を知っていく話です。全世界が涙したともいわれる、不朽の名作。名作のSF小説や、感動する小説を読みたい方におすすめです。

第2位 夏への扉 新版

早川書房 著者:ロバート・A・ハインライン

1956年にアメリカで発表され、世界中で愛されてきたタイムトラベルSF小説の名作。日本でも『夏への扉-キミのいる未来へ-』として映画化されました。

主人公は天才発明家・ダニエルと愛猫・ピート。冬になると、ピートは家にあるドアの1つが夏に通じていると信じて「夏の扉」を探し始めます。親友と恋人に裏切られ、自分の発明までだまし取られたダニエルも同じく、「夏の扉」を探していました。

さらに、ダニエルは冷凍睡眠で1970年から2000年に送り込まれてしまいます。彼は失ったものを取り戻せるのでしょうか。ピートの愛らしさや、ダニエルを救うのに重要な役割を果たすところも見どころ。本作品は猫SF小説としても知られており、猫が好きな方にもおすすめの1冊です。

第3位 幼年期の終り

早川書房 著者:アーサー・C・クラーク

SFの代表的作家の1人で、科学者でもあるアーサー・C・クラークの代表作。人類進化をテーマに描いた長編SF小説です。SF史に残る不朽の名作であり、映像化もされました。

話は異星人「オーバーロード」の宇宙船が、突然地球の上空に出現するところから始まります。オーバーロードは姿を見せることなく人類を統治し、戦争や紛争のない平和な社会を実現。異星人の真の目的は何なのか、人類の未来はどうなるのかがポイントです。

異星人とのファーストコンタクトにより、新たな道を歩む人類の姿を描いた傑作。SF小説の名作に触れたい方や、異星人ものが好きな方におすすめです。

第4位 星を継ぐもの

東京創元社 著者:ジェイムズ・P・ホーガン

ハードSFの巨星ともいわれる、ジェイムズ・P・ホーガンのデビュー作です。「巨人たちの星シリーズ」の第1作目で、ミステリー小説の要素もある長編SF小説。日本では優秀なSF作品に贈られる星雲賞も受賞した作品です。

月面調査員が深紅の宇宙服をまとった死体を発見するところから物語が始まります。綿密に調査をすると、死体は死後5万年が経過していることが判明。一方で、木星の衛星「ガニメデ」では地球のものではない、宇宙船の残骸が発見されます。さまざまな謎が少しずつ解明されていく、読み応えのあるストーリーです。

宇宙を舞台にした推理小説としても楽しめる1冊。SF小説はもちろん、推理小説やミステリー小説が好きな方にもおすすめです。

第5位 アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

早川書房 著者:フィリップ・K・ディック

アンドロイドと人間を題材に、「悪夢の未来世界」を描いたSF小説です。フィリップ・K・ディックの代表作。名作映画『ブレードランナー』の原作としても知られています。

舞台は第三次大戦後の世界、放射能灰で汚れた地球。生きた動物を持っているかが地位の象徴となっていました。人工の電気羊しか持っていない主人公・リックは、火星から逃亡した「奴隷」アンドロイド8人の首にかけられた賞金を目当てに狩りを始めます。

アンドロイドが持つ「人間らしさ」を見ることで、人間とアンドロイドの違いが何なのかを考えさせられる作品。SF小説初心者にもおすすめです。

第6位 時をかける少女 新装版

KADOKAWA 著者:筒井康隆

日本SF御三家の1人・筒井康隆氏による、世代を超えて愛される不朽の青春SF小説。たびたび映画化、アニメ化されているうえ、ドラマ・マンガなどさまざまなメディアミックス作品が展開されています。

放課後の誰もいない理科実験室で試験管が割れて、こぼれた液体からただよう甘い香り。主人公・芳山和子は“この匂いをわたしは知っている”と感じたとき、不意に意識を失い、床に倒れてしまいます。そして、目を覚ました和子の周囲で、時間と記憶をめぐるさまざまな事件が起こるのです…。

思春期の少女の甘く切ない想いが、多くの読者をときめかせています。小中学生から大人まで、さまざまな世代におすすめのSF小説です。

第7位 新世界より 上

講談社 著者:貴志祐介

「21世紀SF最高傑作」ともいわれるSF長編小説。第29回日本SF大賞で第1位を受賞し、マンガ化・アニメ化もされた人気作です。本作品は、上・中・下の3冊で構成されています。

舞台は1000年後の日本、神の力である念動力を得た人類が平和に暮らす世界。豊かな自然に囲まれた集落・神栖66町には、野心と希望に燃えている念動力の技を磨く子供たちがいました。

しかし、幼馴染たちと町の外に出かけた12歳の少女・早季は、隠された先史文明の一端を知ってしまいます。そこから、命を賭けた5人の冒険の物語が始まるのです。

特異な世界観と、壮大なスケールで繰り広げられるストーリーが魅力。ダークファンタジーの要素もある、おすすめのSF小説です。

第8位 火星の人 新版 上

早川書房 著者:アンディ・ウィアー

「アメリカSF界の超新星」とされる、アンディ・ウィアー氏が初めて書いたSF小説です。全世界で300万部超えのベストセラー。『オデッセイ』として映画化され、大ヒットを記録しました。

舞台はタイトル通り火星。有人火星探査がスタートして3回目のミッションが、猛烈な砂嵐で中止を余儀なくされます。しかし、火星を離脱する寸前に折れたアンテナが、クルーのマーク・ワトニーを直撃。彼は砂嵐の中へ姿を消しますが、奇跡的に生きていたのです。

不毛の惑星に1人残されたワトニーが、限られた物資と食料を頼りに、自分の技術・知識などを駆使して生き延びていく話です。

本作品は、苦境にもへこたれないワトニーの前向きな姿に、元気が出る方が多いのもポイント。宇宙ものやサバイバルもののSF小説が好きな方におすすめです。

第9位 ボッコちゃん

新潮社 著者:星新一

日本SF界のパイオニアといわれるSF作家・星新一のショートショート集。『おーい でてこーい』『殺し屋ですのよ』『月の光』など、傑作50編を自選した作品で、テレビ化や舞台化もされています。

表題の『ボッコちゃん』はバーで人気のある、美人な店員。彼女には大きな秘密があったのです…。ほかにも、ユーモアがあり、かつスリリングな物語が多数収録されています。

各話は数分で読める短さですが、ひとつひとつの作品の世界に入りこみやすいのがポイント。SF小説の初心者や、星新一作品を初めて読む方、中高生などにも読みやすいおすすめの小説です。

第10位 一九八四年 新訳版

早川書房 著者:ジョージ・オーウェル

反理想郷を指す「ディストピア小説」の傑作とされる作品。「英語で書かれた20世紀の小説ベスト100」や、「史上最高の文学100」などにも選出される名作です。1949年に発表され、監視社会や絶対的統治の恐怖を描いています。

舞台は1984年、「ビッグ・ブラザー」が率いる一党独裁制のオセアニア。党員であるウィンストン・スミスは、完璧な服従を強いる政治体制に疑念を抱いていました。ある日、美女・ジュリアと出会ったことをきっかけに、スミスは反政府活動に惹かれていくようになりますが…。

本作品は思想や芸術などの分野に、大きな影響を与えた作品。人の自由や権利について考えさせられる、おすすめのSF小説です。

第11位 三体

早川書房 著者:劉慈欣

宇宙をテーマに、壮大なスケールで描かれているSF小説。3部作あるうちの第1作目です。シリーズ合計で2100万部を突破しており、現代中国最大のヒット作ともいわれています。SF界で名誉あるヒューゴー賞の長編小説部門を、アジア人で初めて受賞した作品です。

主人公は、尊敬していた物理化学者の父・哲泰を「文化大革命」で惨殺され、人類に絶望したエリート科学者・葉文潔。ある日、彼女はパラボラアンテナを備えた、謎の軍事組織にスカウトされます。軍事組織内では人類の左右を運命するかもしれないプロジェクトが、秘密裏に進行していたのです…。

本作品は、アメリカのバラク・オバマ元大統領や、ジェームズ・キャメロン監督などをはじめ、多くの著名人が絶賛しています。宇宙がテーマのSF小説や、中国のSF小説に興味のある方におすすめです。

第12位 復活の日

KADOKAWA 著者:小松左京

星新一や筒井康隆氏と並んで「SF御三家」といわれる、小松左京によるSF長編小説。過去には映画化もされている名作です。

話は吹雪のアルプス山中で、遭難機が発見されたところから始まります。引き裂かれたトランクの中には、感染すると急性心筋梗塞を引き起こしたり、全身まひが起こったりして死に至る「MM菌」がありました。

春になって雪が解けると、ヨーロッパを車で走行していた俳優が心臓まひで突然死するなど、各地で死亡事故が相次いで報告され始めます。人類滅亡を目前に、残された人々がどう行動するのかが見どころ。二転三転と繰り広げられるスリリングな展開が読みたい方におすすめのSF小説です。

第13位 華氏451度 新訳版

早川書房 著者:レイ・ブラッドベリ

「SF界の抒情詩人」といわれる、レイ・ブラッドベリによるSF小説。世代を超えて読み継がれる不朽の名作です。

本作品には、本が禁制品となった世界という、ディストピア要素があります。主人公は隠匿された書物を焼き尽くす仕事をする「ファイアマン」のモンターグ。彼は自分の仕事に誇りを持っていました。しかしある晩、風変りな少女と出会ってから、モンターグの人生は劇的に変わっていくというあらすじです。

思考する力や記録することの大切さなどを考えさせられる作品。現代文明を鋭く風刺しており、現代人にこそおすすめの1冊です。

第14位 タイタンの妖女

早川書房 著者:カート・ヴォネガット・ジュニア

アメリカ現代作家の巨匠、カート・ヴォネガット・ジュニアの奇想あふれるSF小説です。日本では1973年に星雲賞に輝きました。

波動現象としてさまざまな時や場所に存在する「ウィンストン・ナイルズ・ラムファード」は、神のような力を使って計画を実行し、人類を導いていました。ラムファードの計画で操られる最大の受難者が、主人公のマラカイ・コンスタント。全米一の大富豪だった彼は富も記憶も奪われ、地球から火星や水星へと流浪させられます。

コンスタントの行く末や、人類の運命がどうなるのかがポイントです。話をシニカルかつユーモラスに描いた1冊。感動する方も多い、おすすめの作品です。

第15位 旅のラゴス

新潮社 著者:筒井康隆

筒井康隆氏の傑作長編SFファンタジー小説。異世界と異時間がクロスする不思議な物語の世界に、ラゴスの一生と文明の消長が構築された、爽快感のある作品です。

物語の舞台は、突然高度な文明を失った代償として、人々が超能力を獲得しだした「この世界」。男・ラゴスは北から南へ、南から北へとひたすら旅を続けていました。

集団転移や壁抜け、2度奴隷の身に落とされるなどさまざまな経験をしながらも、生涯をかけて旅をするラゴス。彼の目的は一体何なのでしょうか。

静かな語り口ながら、不思議で美しい世界観に引き込まれやすいのが魅力。人生という旅について考えさせられ、小中学生にもおすすめの1冊です。

日本のSF小説おすすめ作品

第1位 きまぐれロボット

KADOKAWA 著者:星新一

ロボットを題材にしており、時代を超えて読み継がれるSF小説。エフ博士の発明や発見が、さまざまな騒動を巻き起こす星新一の傑作ショートショートの1つです。

物語はお金持ちのエヌ氏が博士から、ロボットを買いつけるところから始まります。料理や掃除などオールマイティにしてくれますが、時折暴れたり逃げたりするロボットです。ひどいロボットを買わされたと怒ったエヌ氏は、博士に文句を言いますが…。

本作は児童文庫化もされています。小学校中・高学年の子供や、普段あまり本を読まない方でも楽しめるおすすめのSF小説です。

第2位 日本沈没 上

KADOKAWA 著者:小松左京

日本のSF史に輝くベストセラーSF小説。たびたび映画やドラマで映像化されており、2021年にもドラマ化されている名作です。

伊豆諸島・鳥島の南東にある無人島が、一夜にして海中に沈むところから事態はスタート。深海潜水艇の操艇責任者・小野寺は、地球物理学博士・田所とともに、近辺の海溝調査にあたり、海底での異変に気付きます。

以降、日本各地でも地震や、火山の噴火が頻発。日本列島に驚くべき事態が起こりつつあるという田所博士の警告を受け、政府も極秘プロジェクトをスタートさせます。そして、小野寺も姿を隠して計画に参加しますが…。

切迫したリアルな描写力や人間ドラマも見どころ。壮大で衝撃的なテーマのSF名作に触れたい方におすすめです。

第3位 残像に口紅を

中央公論新社 著者:筒井康隆

実験的要素の強い長編SF小説。出版から30年以上が経過しているにもかかわらず、最近SNS上で話題になり、8.5万部重版された話題作です。

舞台は、ひらがながひとつひとつ失われていく世界。言葉が失われていくなかで、小説家・佐治勝夫が執筆・飲食・交情する話です。また、消えてしまった文字が含まれている、主人公の身の回りのものも消えていくという切なさもあります。

章が進むにつれて使える文字が制限されていきますが、筒井康隆氏の手腕により、しっかり物語が成立しているのがポイント。言葉遊びが好きな方や、一風変わったSF小説を読みたい方におすすめです。

第4位 第四間氷期

新潮社 著者:安部公房

芥川賞受賞作家である、安部公房によるSF巨編。著者は東京大学医学部出身で、本作品でも医学の知識が活かされています。

コンピューター研究者が、万能の電子頭脳に平凡な男の未来を予言させようとしたことをきっかけに、事態が思わぬ方向に発展。やがて、機械は人類の過酷な未来を語りだすという話です。

半世紀以上も前の作品ですが、現代社会のあり方にも警告を鳴らす衝撃的な内容。自分の未来を見つめなおしたい方や、衝撃的な話を読みたい方におすすめのSF小説です。

第5位 虐殺器官 新版

早川書房 著者:伊藤計劃

SF小説作家・伊藤計劃のデビュー作であるミリタリーSF小説です。2017年には映画化され、「ゼロ年代最高のフィクション」といわれています。

舞台は9・11以降、テロの脅威と各地の紛争が激化していく世界。米軍大尉であるクラヴィス・シェパードは、世の混乱の影にいる「虐殺の王」ジョン・ポールを追い、チェコへ向かいます。追跡のなかで、クラヴィスが真実を目の当たりにするという話です。

ジョンの目的とは何か、「虐殺を引き起こす器官」とは何なのかがポイント。近未来を描いた作品や、ミリタリーSFが好きな方におすすめです。

第6位 ハーモニー

早川書房 著者:伊藤計劃

伊藤計劃の遺作で、ユートピアの臨界点を描いた作品。第30回日本SF大賞や、第40回星雲賞の日本長編部門などを受賞しました。作品内の時系列は『虐殺器官』の後にあたります。

舞台は21世紀、「大災禍」と呼ばれる世界規模の混乱を経た世界。世の中は見せかけの優しさや倫理であふれていました。「ユートピア」と化した世界にうんざりした少女3人は、餓死することを選択。それから13年経ち、世界を再び大混乱が襲います。

そして混乱のなか、死ねなかった少女・霧慧トァンが、死んだはずの少女・御冷ミァハの影を見るというあらすじ。近未来もののSF小説に興味がある方におすすめです。

第7位 All You Need Is Kill

集英社 著者:桜坂洋

ロボットSFのテイストがある、タイムループ・バトル・アクション小説。2014年にトム・クルーズ氏主演でハリウッド実写化され、“日本のラノベがハリウッド映画に!”と話題になりました。

物語の舞台は、トーキョーの遥か南方の島「コトイウシ」という激戦区。宇宙からの侵略者「ギタイ」の手により、滅亡の危機に瀕している近未来です。主人公のキリヤ・ケイジは、訓練校を出たばかりの初年兵。ギタイとの戦闘中に敵弾が体を貫いた瞬間、ケイジは出撃前日に戻っていました。

その後も、出撃・戦死・出撃・戦死と、死が日常になる毎日。そして、ループが158回を数えたとき、ケイジは1人の女性と再会するのです…。

ライトノベルなので読みやすく、中高生にも向いています。ボーイミーツガールの恋愛要素があるのもポイント。タイムトラブルのミリタリーものが好きな方におすすめのSF小説です。

第8位 ペンギン・ハイウェイ

KADOKAWA 著者:森見登美彦

第31回日本SF大賞に輝き、アニメ映画化もされた人気の長編SF小説。小学4年生の少年・アオヤマのひと夏の大冒険を描いた物語です。

アオヤマが住む郊外の町に、突然ペンギンが現れるところから話は始まります。事件に関わっているのが、歯科医院のお姉さんであることを知ったアオヤマ。彼はお姉さんの謎を研究し始めますが…。

コメディタッチで描かれており、中高生にも読みやすい作品。ロマンチックで甘酸っぱい要素もある、おすすめのSF小説です。

第9位 ボトルネック

新潮社 著者:米澤穂信

ミステリー要素のある青春SF小説で、“青春ミステリーの金字塔”ともいわれる作品。世界と折り合えず、臆病な主人公の「若さ」の影を描いた1冊です。

主人公は高校1年生の少年・嵯峨野リョウ。亡くなった恋人を追悼するために福井県の東尋坊に訪れたリョウは、強いめまいを起こし、崖下に落ちてしまいます。しかし、気づくとリョウは見慣れた金沢の街にいました。自宅に戻ると見知らぬ姉に出迎えられ、彼は「僕の生まれなかった世界」に来たことに気づきます。

リョウがもう1つの世界で、自分の身に起きたことの手掛かりを探す話。パラレルワールドを題材にした作品が好きな方におすすめです。

第10位 横浜駅SF

KADOKAWA 著者:柞刈湯葉

横浜駅が自己増殖して、日本列島を覆いつくすという未来を描いたSF小説です。柞刈湯葉氏がTwitterで何気なく投稿したネタツイートが話題になり、カクヨムで小説化。その後、カクヨムWeb小説コンテストのSF部門大賞を受賞し、書籍化されました。マンガ化もされた注目作です。

改装工事を繰り返す「横浜駅」が自己増殖を開始して数百年の世界。JR北日本とJR福岡の2社が独自技術で防衛戦を続けていますが、日本は本州の99%が横浜駅化してしまいます。

そして、脳に埋め込まれた「Suica」で人間が管理されているエキナカ社会の外側で暮らす、非Suica民のヒロト。彼は、エキナカから追放された男から、「18きっぷ」とある使命を託されるのです…。

人類の未来を賭けた、「横浜駅構内」5日間400kmの旅の物語。設定のおもしろさに笑いながら読み進められます。スピード感があり読みやすいため、SF小説の初心者にもおすすめです。

第11位 know

早川書房 著者:野崎まど

衝撃的な作風から“読む劇薬”と称される、異才の小説家・野崎まど氏による初の本格SF小説。『本の雑誌』のオリジナル文庫大賞BEST1に選ばれました。

物語の舞台は2081年の日本・京都。超情報化対策で、人造の脳葉「電子葉」の移植が義務化されていました。情報庁で働く官僚の御野・連レルは、情報素子のコードのなかに、恩師で現在行方不明の研究者である道終・常イチが残した暗号を発見。その「啓示」に誘われた先で待っていたのは…。

「知ること」といったテーマを考えさせられる内容で、誰も予想のつかないラストが見どころ。ファンタジックで爽やかなSFを読みたい方におすすめです。

第12位 さよならの儀式

河出書房新社 著者:宮部みゆき

宮部みゆき氏の新境地といわれ、真正面からSFに挑んだ8編の短編小説。あわく美しい希望が灯るとされる、心ふるえる作品集です。

虐待を受ける親子を救済する奇跡の法律「マザー法」の話や、孤独な老人の覚醒、長年一緒に暮らしてきた仲良しロボットとの別れなど、さまざまな物語が収録されています。

一見現実社会が舞台とも思わせられますが、徐々に独自の世界観が浮かび上がってくるのが魅力。名作家による、読み応えのあるSF短編に触れたい方におすすめです。

第13位 彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone?

講談社 著者:森博嗣

ベストセラー作家で、工学博士でもある森博嗣氏によるSF小説。本作品は「ウォーカロン」と呼ばれる人工細胞で作られた生命体と人間の違いを問う、「Wシリーズ」の第1作目です。

主人公で研究者のハギリが、何者かに命を狙われるところから話は始まります。ハギリを保護しにきた局員・ウグイによると、“ウォーカロンと人間を識別するためのハギリの研究成果が襲撃理由ではないか”とのことですが…。人間性とは何か、命とは何かを考えさせられるおすすめのシリーズです。

第14位 My Humanity

早川書房 著者:長谷敏司

現代日本SF最注目ともいわれる作家・長谷敏司氏初の作品集で、日本SF大賞受賞作。擬似神経制御言語「ITP」をテーマにした2編の長編や、長編小説『BEATLESS』のスピンオフ、書き下ろし作品も収録されています。

長谷敏司氏がはっきりSFを意識して29歳時に執筆した第1作品目の『地には豊穣』から、39歳に執筆した作品までが収録されており、10年の経過がある作品。SF色が強い作品からライトなSFまで楽しめます。近未来がテーマのSFが好きな方におすすめです。

第15位 アメリカン・ブッダ

早川書房 著者:柴田勝家

民俗学とSFを織り交ぜた物語を6編収録した、柴田勝家氏初の短編集。優秀なSF作品に贈られる星雲賞を受賞しています。

舞台は流行病と大災害よって、多くの国民が仮想の現実世界に移り住んだ、近未来のアメリカ大陸。仏教徒のインディアンの青年が現実にとどまります。そして彼は救済を語り、国民に帰還を呼びかけるという壮大な物語です。

短編でありながら、どの作品も読みごたえがあります。一風変わったSF小説を読みたい方や、民俗学に興味がある方におすすめです。

海外のSF小説おすすめ作品

第1位 宇宙の戦士 新訳版

早川書房 著者:ロバート・A・ハインライン

ミリタリーSFの原点ともいわれる小説。ヒューゴー賞受賞作で、実写映画化やアニメ化などもされた人気のSF小説です。本作品は映画界やアニメ界にも多大な影響をもたらしました。

主人公は軍隊に入った少年ジョニー。地球連邦軍に志願したジョニーが配属されたのは、宇宙最強の部隊「機動歩兵」でした。恐るべき破壊力のあるパワードスーツを着用して、目的の惑星へ宇宙空間から降下し、奇襲攻撃をかける部隊です。

ジョニーが肉体的・精神的に過酷な訓練や、異星人との戦いを通して、第1級の兵士へと成長していく話。宇宙での戦いを描いた作品が好きな方におすすめのSF小説です。

第2位 われはロボット 決定版

早川書房 著者:アイザック・アシモフ

アイザック・アシモフが創案した「ロボット工学の三原則」に基づいたSF小説。ロボットSFの古典として、時代を超えて親しまれている短編連作です。映画『アイ,ロボット』の原典でもあります。

「ロボット工学の三原則」の第1条、“ロボットは人間に危害を加えてはならない”という原則を改変されたロボットの事件が発生。事件の謎をロボット心理学者・キャルヴィンが解いていく物語です。『迷子のロボット』をはじめ、さまざまなロボット開発史が描かれています。

本作品は、推理ミステリー小説の要素もあるのがポイント。ロボット工学が好きな方はもちろん、ミステリー小説が好きな方にもおすすめです。

第3位 決定版 2001年宇宙の旅

早川書房 著者:アーサー・C・クラーク

スタンリー・キューブリック監督の映画史を代表する、不朽のSF映画の原作小説。決定版にはアーサー・C・クラークの新版序文が付属しているのが特徴です。

300万年前の地球に出現した謎の石板が、原始的な道具すら知らない「ヒトザル」たちに何をしたのか、月面で発見された人種の石板は人類に何を意味しているのか、宇宙船のコンピューター「HAL9000」は、なぜ人類に反乱を起こしたのかなどさまざまな謎が描かれています。

先見性のある作品で、哲学的側面もあるのがポイント。映画を観た方はもちろん、本格SF小説の金字塔に触れたい方におすすめです。

第4位 渚にて 人類最後の日

東京創元社 著者:ネヴィル・シュート

“英国冒険小説界の雄”といわれる、ネヴィル・シュートの代表作です。映画化やテレビドラマ化もされたSFの名作。人類滅亡をテーマに描いています。

舞台は第三次世界大戦が勃発する世界です。世界各地で4700個以上の核爆弾がさく裂。戦争は終結したものの、北半球は放射能に覆われ、汚染された諸国は次々と死滅していきます。

かろうじて生き残った合衆国の原子力潜水艦「スコーピオン」は、オーストラリアに退避。放射能が南下している最中、合衆国からモールス信号が届きます。そして、わずかな望みを胸にスコーピオンは出航するというあらすじです。

重いテーマながら物語が淡々と描かれており、読者に感動をもって迫る作品。有名なSF作家・小松左京も“21世紀を生きる若者たちに、ぜひ読んでほしい作品だ”と推薦している、おすすめのSF小説です。

第5位 ソラリス

早川書房 著者:スタニスワフ・レム

世界30か国以上で翻訳されているSF小説。2度映画化され、ポーランド文学の傑作の1つにも数えられています。

物語の舞台は、意思を持った海に表面を覆われた惑星「ソラリス」です。惑星の謎を解明するため、ステーションに派遣された心理学者・ケルヴィンが目にしたのは、変わり果てた研究員たち。また、ケルヴィンもソラリスの海によってもたらされる現象に囚われていきます。「ソラリスの海」の目的は何なのかが見どころです。

人間存在の意味を問うているという、メッセージ性の深い作品。考えさせられる内容のSF小説を読みたい方におすすめです。

第6位 月は無慈悲な夜の女王

早川書房 著者:ロバート・A・ハインライン

世界的なSF文学賞であるヒューゴー賞を受賞した名作です。舞台は、流刑地として、また資源が豊かな植民地として、地球から一方的に搾取され続けてきた月。そして2076年7月4日、圧政に苦しむ月世界は、地球政府に対し独立を宣言します。

革命の先頭に立つのはコンピューター技術者・マニーと、自意識を持つ巨大コンピューター・マイク。宇宙船もミサイルも持たない月世界人が、強大な地球にどう立ち向かっていくのかが見どころです。宇宙を舞台にした、壮大なSF小説に興味のある方におすすめです。

第7位 ニューロマンサー

早川書房 著者:ウィリアム・ギブスン

SF界の権威といわれる、ウィリアム・ギブスン氏によるサイバーパンクSF小説。サイバーパンクの起源ともいわれています。また、SF・ファンタジーの名誉ある賞、ヒューゴー賞やネビュラ賞を受賞している作品です。

舞台はハイテクと汚濁の都「千葉シティ」。コンピューター・カウボーイ能力を奪われたケイスは、空虚な日々を送っていました。ある日ケイスの元に、能力を再生する代償として「ヤバい仕事の話」が舞い込んできます。依頼を受けたケイスは、電脳未来の暗黒面へ引き込まれていきますが…。

独特な文体を駆使し、人類のデジタルの未来を華麗に描いた1冊。電脳空間に関する話が好きな方や、サイバーパンクに興味がある方におすすめです。

第8位 デューン 砂の惑星 新訳版 上

早川書房 著者:フランク・ハーバート

壮大な未来叙事詩的SF小説です。ヒューゴー賞とネビュラ賞を受賞。また、SF情報誌『ローカス』が12年ごとに行ったオールタイム・ベストSFにも輝いた名作です。2度にわたり映画化もされています。

アトレイデス公爵は皇帝の名を受け、抗酸化作用を持つ香料「メランジ」の唯一の産地で、過酷な砂漠の惑星「アラキス」に移封。宿敵のハネルコン家に代わって、そこを支配することは、表面的にはアトレイデス公爵家に大きな名誉と富を約束することを意味していました。

皇帝やハネルコン男爵の罠だと知りつつも、公爵は息子・ポールの未来のためにアラキスに乗り込みますが….。

自然などの詩的な描き方や丁寧な描写により、物語の世界に引き込まれやすいのが魅力。SF小説の初心者にもおすすめの作品です。

第9位 プロジェクト・ヘイル・メアリー 上

早川書房 著者:アンディ・ウィアー

人類滅亡の危機に立ち向かう男を描き、笑いあり、涙や感動ありのエンターテインメントSF小説。『火星の人』で有名なアンディ・ウィアー氏の最新作です。各国で人気を博し、映画化の話も進行しています。

病室めいた部屋で、たった1人で目覚めた主人公・グレース。ロボットアームに看護されながら長い間眠っていたようで、自分の名前も思い出せません。推測するに、どうやらここは地球ではないようです。断片的によみがえる記憶や、科学知識からグレースは少しずつ真実を導き出していきます。

大胆なSF設定やアイデア、壮大な物語スケール、読者を飽きさせない展開などが魅力。SF初心者からSFマニアまでおすすめの小説です。

第10位 あなたの人生の物語

早川書房 著者:テッド・チャン

世界的なSF作家、テッド・チャン氏による8編の傑作を収録したSF短編小説。表題作と『バビロンの塔』はネビュラ賞、『地獄とは神の不在なり』はヒューゴー賞を受賞。また、表題作は『メッセージ』として映画化されています。

表題作は、地球を訪れたエイリアンとのコンタクトを担当したルイーズの物語。まったく異なる彼らの言語を理解するにつれて、驚くべき運命に巻き込まれていきます。

ほかにも、天使の降臨とともにもたらされる災厄や奇跡を描いた『地獄とは神の不在なり』など、さまざまな物語を収録しています。

SF的な想像力にあふれており、SFの醍醐味を味わえるのが魅力。短編で読みやすい小説を求める方や、純文学が好きな方にもおすすめです。

第11位 銀河ヒッチハイク・ガイド

河出書房新社 著者:ダグラス・アダムス

抱腹絶倒といわれる、SFコメディー小説です。ダグラス・アダムス自身が脚本を執筆した、BBCのラジオドラマを小説化しました。「銀河ヒッチハイク・ガイドシリーズ」の第1作で、映画化もされている作品です。

物語は、銀河バイパス建設のために、ある日突然地球が消滅するところから始まります。地球最後の生き残り・アーサーは、宇宙人・フォードと銀河でヒッチハイクをするはめになるのです…。

ドタバタ劇で、皮肉なブラックジョークなどのユーモアにあふれています。普段本を読まない方や、中高生にもおすすめのSF小説です。

第12位 エンダーのゲーム 新訳版 上

早川書房 著者:オースン・スコット・カード

1980年代の傑作SFアクション小説。ネビュラ賞やヒューゴー賞をW受賞しており、2013年には映画化もされています。

地球は、恐るべき昆虫型異星人・バガーの2度にわたる侵攻を、辛うじて撃退しました。バガーは地球人からの呼びかけにまったく答えず、容赦なく人々を殺戮します。その第三次攻撃に備えて、優秀な戦隊指揮官を育成するため、バトル・スクールが設立されました。

そこで、コンピューター・ゲームから無重力エリアでの模擬戦闘まで、さまざまな訓練で最高成績をおさめたのが天才少年・エンダー。彼の成長や活躍を描いた物語です。

エンダーがさまざまな困難を乗り越えていく様子に、ワクワクしながら読める作品。幼い少年の成長を見たい方におすすめのSF小説です。

第13位 老人と宇宙

早川書房 著者:ジョン・スコルジー

ロバート・A・ハインライン『宇宙の戦士』の21世紀版といわれる、ミリタリーSF小説。全6巻のベストセラー「老人と宇宙シリーズ」の第1作品目です。ジョン・W・キャンベル賞を受賞。Netflixでは映画化企画が進行しています。

主人公は75歳の誕生日に、亡き妻の墓参りをしてから軍隊に入ったジョン・ペリー。それは、地球には二度と戻れない条件で、75歳以上の男女の入隊しか認めない「コロニー防衛軍」でした。

銀河の各惑星に植民を始めた人類を守るため、コロニー防衛軍はエイリアンたちと熾烈な戦争を続けているのです…。宇宙軍でのジョンの波乱万丈な冒険を描いています。

初心者でも読みやすく、ユーモアが効いており楽しく読めるのが魅力。一風変わった、宇宙もののエンターテインメントSFに触れたい方におすすめです。

第14位 ユービック

早川書房 著者:フィリップ・K・ディック

SF界の巨匠、フィリップ・K・ディックによる超能力・異能力を描いた長編のSF小説です。物語の時代は1992年、反予知能力者であるジョー・チップらが、予知能力者狩りを行うために集まります。

そこで、予知能力者側からのテロに遭ってしまい、時間退行が始まりました。あらゆるものが1940年代へ逆戻りします。しかし、その奇妙な現象を矯正するスプレー「ユービック」があったのです。白昼夢の世界を描いた本作品。超能力ものが好きな方におすすめです。

第15位 荒潮

早川書房 著者:陳楸帆

「中国SFの超新星」と称される、陳楸帆氏のデビュー作。『三体』の著者・劉慈欣も“近未来SF小説の頂点”と激賞したSF小説です。

舞台は電子ゴミにまみれた中国南東部の「シリコン島」。主人公はゴミから資源を探し出して暮らし、ゴミ人と呼ばれる最下層市民・米米。ところが、テラグリーン・リサイクリング社の経営コンサルタントであるブランドルと陳開宗が、環境調査で島に上陸。米米の運命が大きく変わり始める話です。

本作品には、グローバル主義やゴミ問題などが描かれています。SFを通じて現実の問題を見つめられるおすすめの小説です。