科学的な空想に基づいたものを題材にした「SF小説」。宇宙・タイムトラベル・ロボット・超能力など、SFのなかでもさまざまな題材の作品があります。
そこで今回は、SF小説のおすすめを日本と海外の作品に分け、ランキング形式でご紹介。映画化されている人気作や、SFの古典といわれる名作などを厳選しました。小説を選ぶ際の参考にしてみてください。
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SF小説とはどんなジャンル?
SF小説とは、「サイエンスフィクション」の略で、科学的な空想に基づいたことやものを題材にした小説のこと。ほかにも、テーマによってハードSF・スペースオペラ・サイバーパンクなど細かいジャンルに分類されます。日本では科学小説・空想科学小説などと呼ばれてきました。
SF小説はタイムトラベルものや、ロボットを題材にしたもの、超能力を持った人を題材にしたものなど、さまざまな種類があります。
科学的な専門用語などが出てくる場合もあるため、初心者は短編や映画化されている作品から読むのがおすすめ。また、アメリカの2大SF賞といわれる、ネビュラ賞やヒューゴー賞の受賞作もおすすめです。SF小説の醍醐味を味わいたい方は、古典といわれる海外のSF小説を読んでみてください。
現代でも人気の高い名作SF小説
第1位 夏への扉 新訳版
早川書房 著者:ロバート・A・ハインライン
1956年にアメリカで発表され、世界中で愛されてきたタイムトラベルSF小説の名作。日本でも『夏への扉-キミのいる未来へ-』として映画化されました。
主人公は天才発明家・ダニエルと愛猫・ピート。冬になると、ピートは家にあるドアの1つが夏に通じていると信じて「夏の扉」を探し始めます。親友と恋人に裏切られ、自分の発明までだまし取られたダニエルも同じく、「夏の扉」を探していました。
さらに、ダニエルは冷凍睡眠で1970年から2000年に送り込まれてしまいます。彼は失ったものを取り戻せるのでしょうか。
ピートの愛らしさや、ダニエルを救うのに重要な役割を果たすところも見どころ。本作品は猫SF小説としても知られており、猫が好きな方にもおすすめの1冊です。
第2位 一九八四年 新訳版
早川書房 著者:ジョージ・オーウェル
近未来を描き、今もなお愛されるSF小説。1940年代にイギリスの作家であるジョージ・オーウェルが刊行した作品です。
1つの党が支配する、超全体主義的近未来が舞台。歴史の改竄を仕事とするウィンストン・スミスは、党員でありながら政治体制に疑問を持っていました。そして、彼は1人の女性との出会いをきっかけに、反政府地下活動に惹かれるようになります。
ディストピア小説の傑作として知られる本作品。世界観がしっかりと作り込まれており、独裁的な世界での陰鬱さが感じられます。考えさせられるSF小説を読みたい方におすすめの1作です。
第3位 星を継ぐもの 新版
東京創元社 著者:ジェイムズ・P・ホーガン
月で発見された新事実を軸に、人類の神秘を描くSF小説です。日本では1980年に英語からの訳版が刊行され、翌年の1981年に第12回星雲賞海外長編賞を受賞しています。また、星野之宣によって、漫画化もされました。
月面で発見された遺体。5万年前に亡くなったとされるその遺体は、果たして何者なのか。一方、木星の衛星「ガニメデ」にて、地球が作ったモノではない宇宙船の残骸が発見され……。
最初に提示された謎を、日記を解読しながら過去を紐解いていく描写がポイント。ミステリー色が強いので、ミステリーとSFが融合した作品を探している方にもおすすめです。
第4位 アルジャーノンに花束を 新版
早川書房 著者:ダニエル・キイス
1959年にダニエル・キイスが発表した、科学技術による知能の発達を描くSF小説です。元々中編小説だった作品でヒューゴー賞を受賞した後、長編小説化してネビュラ賞を受賞しました。2015年には山下智久が主演で、テレビドラマ化もされています。
32歳になっても幼児並みの知能しかないチャーリイ・ゴードンに、大学の先生が頭をよくしてくれるという夢のような話が舞い込みます。比較動物として同じ手術で受けた白ネズミのアルジャーノンと共に、賢くなったチャーリイ。しかし、賢くなった彼の世界は、悪い方に変わっていってしまい……。
世界観ではなく、技術で近未来感が得られる本作品。経過報告の文章で知能の変化がわかる進み方が特徴です。とにかく泣けるSF小説を探している方に、おすすめの1作です。
第5位 トータル・リコール
早川書房 著者:フィリップ・K・ディック
記憶の売買が可能になった世界を舞台に、男の戦いを描くSF小説です。スピルバーグ監督の映画原作としても知られています。
主人公のクウェールは、火星の夢を見ていました。そこで実際に念願の火星旅行をしようと、リコール社を訪れるのですが……。
現実と非現実の、堺が垣間見えるような作品。表題作である「トータル・リコール」には、古典SFの魅力がギュッと詰まっています。フィリップ・K・ディック特有の薄暗い雰囲気が漂うディストピア作品が好きな方に、おすすめのSF小説です。
第6位 地底旅行
岩波書店 著者:ジュール・ヴェルヌ
SFの父とも謳われる、ジュール・ヴェルヌの代表作です。1864年に発表され、2015年には倉薗紀彦によって、「月刊コミックビーム」で漫画化もされました。
ドイツの鉱物学者であるリーデンブロック教授は、謎の暗号が記された羊皮紙を発見します。解読すると、そこには火山の噴火口から地球の中心に行けると書いてあることがわかりました。ここから地球の中心へ向かう、大冒険が幕を開けます。
SF小説としてはもちろん、冒険小説としても長年愛されている作品です。冒険に情熱的なリーデンブロック教授と、無理矢理付き合わされるアクセルのギャップに思わず笑ってしまいます。ワクワクする展開が目白押しなので、中学生にもおすすめ。ロマンを感じられるSF小説を探している方は、ぜひ手に取ってみてください。
第7位 きまぐれロボット
KADOKAWA 著者:星新一
ロボットを題材にしており、時代を超えて読み継がれるSF小説。エフ博士の発明や発見が、さまざまな騒動を巻き起こす星新一の傑作ショートショートの1つで、36のストーリーが収録されています。2014年には、表題作が小日向文世主演で映像化されました。
物語はお金持ちのエヌ氏が博士から、ロボットを買いつけるところから始まります。料理や掃除などオールマイティにしてくれますが、時折暴れたり逃げたりするロボットです。ひどいロボットを買わされたと怒ったエヌ氏は、博士に文句を言いますが…。
小学校中・高学年の子供や、普段あまり本を読まない方でも楽しめるおすすめのSF小説。本作品以外にも星新一の名作ショートショート集は多数あるので、気になる方はぜひ手に取ってみてください。
第8位 アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
早川書房 著者:フィリップ・K・ディック
アンドロイドと人間を題材に、「悪夢の未来世界」を描いたSF小説です。フィリップ・K・ディックの代表作。名作映画『ブレードランナー』の原作としても知られています。
舞台は第三次大戦後の世界、放射能灰で汚れた地球。生きた動物を持っているかが地位の象徴となっていました。
人工の電気羊しか持っていない主人公・リックは、火星から逃亡した「奴隷」アンドロイド8人の首にかけられた賞金を目当てに狩りを始めます。
アンドロイドが持つ「人間らしさ」を見ることで、人間とアンドロイドの違いが何なのかを考えさせられる作品。深いテーマのディストピア作品が読みたい方におすすめの作品です。
第9位 ソラリス
早川書房 著者:スタニスワフ・レム
地球の外に存在する、知能を持ったモノとの接触を描くSF小説。ポーランド文学の傑作の1つにも数えられており、世界30か国以上で翻訳され、2度映画化もされています。
物語の舞台は、意思を持った海に表面を覆われた惑星「ソラリス」です。惑星の謎を解明するため、ステーションに派遣された心理学者・ケルヴィンが目にしたのは、変わり果てた研究員たちでした。
また、ケルヴィンもソラリスの海によってもたらされる現象に囚われていきます。「ソラリスの海」の目的は何なのかが見どころです。
宇宙の神秘として、人智を超えた存在を中心に描いているのがポイント。基本的にストーリーはステーションで進行し、不気味で巨大な謎に直面した登場人物の行動に好奇心がそそられます。ホラー色が強いSF小説を探している方におすすめです。
第10位 残像に口紅を
中央公論新社 著者:筒井康隆
筒井康隆が描く、実験的SF小説。出版から30年以上が経過しているにもかかわらず、2021年ごろにTikTokなどのSNS上で話題になり、8.5万部重版されました。
五十音が1文字ずつ小説から消えていく不思議な世界を描いた物語。同時に小説内の世界からも、その文字を含むモノが消滅していきます。
「あ」が消えれば、「愛」も「あなた」も消滅する世界。次々と言葉が消えていくなかで、食べ物を食べ、人と交流をします。そして、そんな世界で筆を執る、小説家の姿とは……。
章が進むにつれて使える文字が制限されていきますが、筒井康隆の手腕により、しっかり物語が成立しているのがポイント。言葉遊びが好きな方や、一風変わったSF小説を読みたい方におすすめです。
第11位 日本沈没 上
KADOKAWA 著者:小松左京
小松左京が日本の危機を描いた、ベストセラーSF小説です。1973年に刊行されて以降さまざまなメディアミックス化を果たしており、最近では2020年にNetflixにてWebアニメ化、2021年にテレビドラマ化されました。
無人島が一夜で海中に沈む、怪事件が起きた日本。深海潜水艇の操縦責任者である小野寺は、地球物理学者の田所博士と共に、調査を開始します。そして、日本の各地で地震や火山の噴火が起こるなか、小野寺も災害に巻き込まれてしまい……。
沈みゆく大地を描いた作品。設定自体はファンタジーですが、災害に向きあう人々の人間ドラマが楽しめます。日本のSF小説が読みたい方におすすめです。
第12位 銀河英雄伝説 1
東京創元社 著者:田中芳樹
2つの陣営に分かれ争いが勃発する宇宙を舞台に、2人の英雄の誕生を描いてたSF小説。1988年には第19回星雲賞を受賞しています。舞台化やアニメ化、漫画化もされています。
銀河系に王朝を築きあげた帝国と、民主主義を信条とする同盟が戦いを繰り広げる世界。帝国の天才であるラインハルト・フォン・ローエングと、同盟の天才であるヤン・ウェンリーの対峙は、宇宙の運命を揺るがせる事件に発展します。
SF小説でありながら、緻密な戦略や智略が楽しめる作品。宇宙を舞台にしたSF小説を探している方におすすめです。
第13位 幼年期の終り
早川書房 著者:アーサー・C・クラーク
未知との初接触により、新たな道を歩み始めた人類を描く、イギリスの作家であるアーサー・C・クラークのSF小説です。1952年に刊行されてから愛され続けています。
異星人が地球にやってきてから50年。異星人は宇宙船から姿を現さず、地球を管理していました。宇宙人の真の目的もわからないなか、迎える人類の結末を描きます。
設定は壮大ですが展開が早く、どんどん読み進められます。不朽の名作に触れたい方におすすめです。
第14位 月は無慈悲な夜の女王
早川書房 著者:ロバート・A・ハインライン
世界的なSF文学賞であるヒューゴー賞を受賞した名作です。舞台は、流刑地として、また資源が豊かな植民地として、地球から一方的に搾取され続けてきた月。そして2076年7月4日、圧政に苦しむ月世界は、地球政府に対し独立を宣言します。
革命の先頭に立つのはコンピューター技術者・マニーと、自意識を持つ巨大コンピューター・マイク。宇宙船もミサイルも持たない月世界人が、強大な地球にどう立ち向かっていくのかが見どころです。宇宙を舞台にした、壮大なSF小説に興味のある方におすすめです。
第15位 時をかける少女 新装版
KADOKAWA 著者:筒井康隆
タイムリープ能力を軸に青春を描いたSF小説です。2006年には細田守監督がアニメ映画を制作されました。また、テレビドラマ化もされています。
放課後の実験室に漂う、甘い香り。その香りのもとは、壊れた試験管でした。その香りを嗅いでしまった真琴は、不思議な世界に足を踏み入れます。
時代も今とあまり変わらない、日本で巻き起こる不思議な出来事を描いた作品。恋愛描写に胸がキュンとし、切ない情景がダイレクトに伝わってきます。映像作品を観たことがある方にもおすすめです。
第16位 タイタンの妖女
早川書房 著者:カート・ヴォネガット・ジュニア
アメリカ現代作家の巨匠、カート・ヴォネガット・ジュニアの奇想あふれるSF小説です。日本では1973年に星雲賞に輝きました。
波動現象としてさまざまな時や場所に存在する「ウィンストン・ナイルズ・ラムファード」は、神のような力を使って計画を実行し、人類を導いていました。
ラムファードの計画で操られる最大の受難者が、主人公のマラカイ・コンスタント。全米一の大富豪だった彼は富も記憶も奪われ、地球から火星や水星へと流浪させられます。
コンスタントの行く末や、人類の運命がどうなるのかがポイントです。話をシニカルかつユーモラスに描いた1冊。感動する方も多い、おすすめの作品です。
第17位 復活の日
KADOKAWA 著者:小松左京
星新一や筒井康隆と並んで「SF御三家」といわれる、小松左京によるSF長編小説。過去には映画化もされている名作です。
話は吹雪のアルプス山中で、遭難機が発見されたところから始まります。引き裂かれたトランクの中には、感染すると急性心筋梗塞を引き起こしたり、全身まひが起こったりして死に至る「MM菌」がありました。
春になって雪が解けると、ヨーロッパを車で走行していた俳優が心臓まひで突然死するなど、各地で死亡事故が相次いで報告され始めます。
人類滅亡を目前に、残された人々がどう行動するのかが見どころ。二転三転と繰り広げられるスリリングな展開が読みたい方におすすめのSF小説です。
第18位 華氏451度 新訳版
早川書房 著者:レイ・ブラッドベリ
「SF界の抒情詩人」といわれる、レイ・ブラッドベリによるSF小説。世代を超えて読み継がれる不朽の名作です。
本作品には、本が禁制品となった世界という、ディストピア要素があります。主人公は隠匿された書物を焼き尽くす仕事をする「ファイアマン」のモンターグ。彼は自分の仕事に誇りを持っていました。
しかし、ある晩に風変りな少女と出会ってから、モンターグの人生は劇的に変わっていくというあらすじです。
思考する力や記録することの大切さなどを考えさせられる作品。現代文明を鋭く風刺しており、現代人にこそおすすめの1冊です。
第19位 旅のラゴス
新潮社 著者:筒井康隆
筒井康隆の傑作長編SFファンタジー小説。異世界と異時間がクロスする不思議な物語の世界に、ラゴスの一生と文明の消長が構築された、爽快感のある作品です。
物語の舞台は、突然高度な文明を失った代償として、人々が超能力を獲得しだした「この世界」。男・ラゴスは北から南へ、南から北へとひたすら旅を続けていました。
集団転移や壁抜け、2度奴隷の身に落とされるなどさまざまな経験をしながらも、生涯をかけて旅をするラゴス。彼の目的は一体何なのでしょうか。
静かな語り口ながら、不思議で美しい世界観に引き込まれやすいのが魅力。人生という旅について考えさせられ、小中学生にもおすすめの1冊です。
第20位 エンダーのゲーム 新訳版 上
早川書房 著者:オースン・スコット・カード
1980年代の傑作SFアクション小説。ネビュラ賞やヒューゴー賞をW受賞しており、2013年には映画化もされています。
地球は、恐るべき昆虫型異星人・バガーの2度にわたる侵攻を、辛うじて撃退しました。バガーは地球人からの呼びかけにまったく答えず、容赦なく人々を殺戮します。その第三次攻撃に備えて、優秀な戦隊指揮官を育成するため、バトル・スクールが設立されました。
そこで、コンピューター・ゲームから無重力エリアでの模擬戦闘まで、さまざまな訓練で最高成績をおさめたのが天才少年・エンダー。彼の成長や活躍を描いた物語です。
エンダーがさまざまな困難を乗り越えていく様子に、ワクワクしながら読める作品。幼い少年の成長を見たい方におすすめのSF小説です。
日本のSF小説おすすめ作品
第1位 新世界より 上
講談社 著者:貴志祐介
人間が念動力を身につけた1000年後の未来を描いているSF小説。第29回日本SF大賞で、大賞を受賞しました。また、2012年にはアニメ化もされています。
1000年後の日本に存在するある町は、周囲をしめ縄で囲み外界からの侵入を防いでいました。「念動力」を持つ子供たちは、その町で平和な日々を過ごしています。しかし、世界の真実を知ってしまったとき、彼らの日常は崩壊するのです。
未来の日本を舞台に、ファンタジー要素たっぷりの世界観が魅力。徐々に謎が明かされる展開はワクワクし、同時にハラハラ感も与えます。伏線回収も楽しめる小説を探している方に、おすすめの1作です。
第2位 ペンギン・ハイウェイ
KADOKAWA 著者:森見登美彦
町で巻き起こる怪事件を中心に進む、森見登美彦のSF小説です。2010年には第31回日本SF大賞を受賞しています。また、2018年に公開されたアニメ映画は、ファンタジア国際映画祭で今敏賞長編部門を受賞しました。
小学4年生の主人公が住む町で、ペンギンが出現する怪事件が発生します。事件に歯科医院で勤務するお姉さんが関係していると知った彼は、研究を始めるのですが……。
小学4年生の大人びた少年の、楽しく切ない思い出を楽しめる作品。子供の頃の、日常にワクワクした気持ちを思いだしてみたい方にもおすすめです。
第3位 ボトルネック
新潮社 著者:米澤穂信
ミステリー要素のある青春SF小説で、”青春ミステリーの金字塔”ともいわれる作品。世界と折り合えず、臆病な主人公の「若さ」の影を描いた1冊です。
主人公は高校1年生の少年・嵯峨野リョウ。亡くなった恋人を追悼するために福井県の東尋坊に訪れたリョウは、強いめまいを起こし、崖下に落ちてしまいます。
しかし、気づくとリョウは見慣れた金沢の街にいました。自宅に戻ると見知らぬ姉に出迎えられ、彼は「僕の生まれなかった世界」に来たことに気づきます。
リョウがもうひとつの世界で、自分の身に起きたことの手掛かりを探す物語。パラレルワールドを題材にした作品が好きな方におすすめです。
第4位 横浜駅SF
KADOKAWA 著者:柞刈湯葉
「横浜駅」をテーマに、独創的な世界を描ききったSF小説。Web発の小説で、第38回日本SF大賞では最終候補作にノミネートされました。また、「このライトノベルがすごい!2018」では、新作ランキングで1位に輝いています。ほかにも、「カクヨムWeb小説コンテスト」では、SF部門で大正を受賞しました。
自己増殖をする「横浜駅」に支配された日本。脳に埋め込まれたSuikaで管理されるエキナカ社会の外で、ヒロトは廃棄物を頼りに暮らしていました。そんな彼はエキナカにいた男から、ある使命を課され……。
コメントを寄せた書評家も、その発想力に驚いたと語られるSF小説。大胆な設定と緻密なストーリーに興味がある方は、ぜひ手に取ってみてください。
第5位 四畳半タイムマシンブルース
KADOKAWA 著者:森見登美彦 原案:上田誠
森見登美彦のベストセラー小説『四畳半神話大系』と、ヨーロッパ企画の舞台『サマータイムマシン・ブルース』を合体させたSF小説です。2022年には、アニメ映画化もされました。
ある夏の日、クーラーのリモコンが壊れ絶望していた主人公の前に、突如タイムマシーンが現れます。涼しさを取り戻す計画を立て、友達を過去に送りだした後、「私」はあることに気がつきました。
本作品は『四畳半神話大系』の続編で、登場人物もリンクしているのが魅力。一風変わったSF小説を探している場合は、ぜひチェックしてみてください。
第6位 虐殺器官 新版
早川書房 著者:伊藤計劃
勃発するテロの裏で暗躍する男の謎を描いた、SF小説作家・伊藤計劃のデビュー作であるミリタリーSF小説です。第7回小松左京賞では、最終候補にノミネートしています。2017年には映画化され、”ゼロ年代最高のフィクション”といわれています。
舞台は9・11以降、テロの脅威と各地の紛争が激化していく世界。米軍大尉であるクラヴィス・シェパードは、世の混乱の影にいる「虐殺の王」ジョン・ポールを追い、チェコへ向かいます。追跡のなかで、クラヴィスが真実を目の当たりにして……。
ジョンの目的とは何か、「虐殺を引き起こす器官」とは何なのかがポイントです。作り込まれた設定から、”実際にこんな世界だったら”と思わずにはいられない作品。ミステリー要素もあるSF小説を探している方におすすめです。
第7位 ハーモニー 新版
早川書房 著者:伊藤計劃
伊藤計劃の遺作で、ユートピアの臨界点を描いたSF小説。作品内の時系列は『虐殺器官』の後にあたります。第30回日本SF大賞や、第40回星雲賞の日本長編部門などを受賞しました。コミカライズされたほか、アニメ映画も公開されています。
見せかけの幸福に侵された世界を舞台に、過酷な運命を辿る少女の物語。舞台は21世紀、「大災禍」と呼ばれる世界規模の混乱を経た世界です。
世の中は見せかけの優しさや倫理であふれていました。「ユートピア」と化した世界にうんざりした少女3人は、餓死することを選択。それから13年経ち、世界を再び大混乱が襲います。
そして混乱のなか、死ねなかった少女・霧慧トァンが、死んだはずの少女・御冷ミァハの影を見るというあらすじです。健康状態を完全に管理されている世界の恐ろしさを描いた作品。近未来もののSF小説に興味がある方におすすめです。
第8位 All You Need Is Kill
集英社 著者:桜坂洋
ロボットSFのテイストがある、タイムループ・バトル・アクション小説。2014年にトム・クルーズ主演でハリウッド実写化され、”日本のラノベがハリウッド映画に!”と話題になりました。
物語の舞台は、トーキョーの遥か南方の島「コトイウシ」という激戦区。宇宙からの侵略者「ギタイ」の手により、滅亡の危機に瀕している近未来です。主人公のキリヤ・ケイジは、訓練校を出たばかりの初年兵。ギタイとの戦闘中に敵弾が体を貫いた瞬間、ケイジは出撃前日に戻っていました。
その後も、出撃・戦死・出撃・戦死と、死が日常になる毎日。そして、ループが158回を数えたとき、ケイジは1人の女性と再会するのです……。
ライトノベルなので読みやすく、中高生にも向いています。ボーイミーツガールの恋愛要素があるのもポイント。タイムトラブルのミリタリーものが好きな方におすすめのSF小説です。
第9位 know
早川書房 著者:野崎まど
衝撃的な作風から”読む劇薬”と称される、異才の小説家・野崎まどによる初の本格SF小説。『本の雑誌』のオリジナル文庫大賞BEST1に選ばれました。
物語の舞台は2081年の日本・京都。超情報化対策で、人造の脳葉「電子葉」の移植が義務化されていました。
情報庁で働く官僚の御野・連レルは、情報素子のコードのなかに、恩師で現在行方不明の研究者である道終・常イチが残した暗号を発見。その「啓示」に誘われた先で待っていたのは……。
「知ること」といったテーマを考えさせられる内容で、誰も予想のつかないラストが見どころ。ファンタジックで爽やかなSFを読みたい方におすすめです。
第10位 オービタル・クラウド 上
早川書房 著者:藤井太洋
近未来テクノロジーと共に、前代未聞のスペース・テロとの戦いを描ききったSF小説です。第35回日本SF大賞の大賞に輝き、星雲賞日本長編部門も受賞しました。
流れ星に関するWebサービスを運営する木村和海は、デブリの不審な動きを発見しました。世界各地でデブリの調査が始まるなか、和海のもとにある情報が舞い込みます。これがスペース・テロの幕開けとなるのでした。
宇宙を巻き込む一大事を描いているのがポイント。JAXAやCIAを巻き込みながらリアルに描いているSF小説です。
第11位 時砂の王
早川書房 著者:小川一水
「時間」をテーマに扱った、小川一水初のロマンSF小説です。2018年には、オーディオドラマ化もされています。
2300年後の未来、謎の戦闘機械群により地球は壊滅状態に陥っていました。人類の殲滅を目論む機械群に対抗するため、人工知性体は時間遡行戦を開始。そんななか、3世紀の邪馬台国こそが全人類の最終防衛線であるということがわかり……。
壮大なテーマながら、読みやすいのが特徴です。初心者にもおすすめのSF小説なので、気になった方はぜひ手に取ってみてください。
第12位 飛ぶ孔雀
文藝春秋 著者:山尾悠子
“ジャンルの概念を超えた”と謳われているSF小説。第69回芸術選奨文部科学大臣賞や第46回泉鏡花文学賞、第39回日本SF大賞と数々の賞を受賞しました。
シブレ山の石切り場で事故があって以来、火が燃えづらくなった世界。真夏であるにもかかわらず回遊式庭園で大茶会が開催され、「火を運ぶ女」に選ばれた女性たちに孔雀が襲いかかります。
難解な箇所が多いものの、不思議な世界観にどっぷり浸れるのが魅力。一風変わったSF小説を探している方におすすめです。
第13位 蒲生邸事件 上
文藝春秋 著者:宮部みゆき
歴史の改変に挑むSF小説です。1997年には第18回日本SF大賞を受賞しました。また、メディアミックスもしており、オーディオドラマ化やテレビドラマ化を果たしています。
2月26日、浪人生の尾崎孝史は宿泊中のホテルで火事に遭遇します。同じホテルに泊まっていた平田と間一髪で逃げましたが、なぜか逃げた先は雪が降る昭和初期の東京でした。そして、有名な二・二六事件を目撃することになるのです。
タイムリープを扱った作品ですが、ミステリー好きな方にもおすすめの小説。伏線回収も鮮やかなので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
第14位 リピート
文藝春秋 著者:乾くるみ
未来を明るくするため計画に乗った人々の謎の死を追うSF小説。2018年には、『リピート〜運命を変える10か月〜』のタイトルでテレビドラマ化されました。
今の記憶を保持したまま、10か月前の自分に戻れる「リピート」。人生のやり直しに臨むのは、年齢も性別もバラバラの10人でした。リピートに成功した彼らですが、なぜか1人ずつ謎の死を遂げていき……。
アガサ・クリスティの名作ミステリー小説『そして誰もいなくなった』に挑んだとされる作品。衝撃のラストが待ち構えるどんでん返しが好きな方にもおすすめのSF小説です。
第15位 裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル
早川書房 著者:宮澤伊織
都市伝説と異世界探検を融合させた、宮澤伊織のSF小説です。「月刊少年ガンガン」にて漫画化もされています。また、2021年にはアニメも放映されました。
実話怪談として語られる怪異が実在する、現実と隣りあわせの裏世界。女子大生・紙越空魚が仁科鳥子と出会ったのは、裏世界で怪異を目撃し死にかけているときでした。2人はそれぞれの目的を抱え、裏世界に足を踏み入れます。
聞き覚えがある怪談をモチーフにしているので、都市伝説が好きな方も楽しめるのがポイント。SFと共にホラーも楽しみたい方におすすめです。
海外のSF小説おすすめ作品
第1位 三体
早川書房 著者:劉慈欣
中国を代表する作家の1人・劉慈欣が描く、SF新時代を切り拓いたとされる小説です。3部作の1作目で、シリーズ累計発行部数は2900万部を突破しています。また、アジア人で初めてヒューゴー賞を受賞し、話題となりました。
中国人のエリート科学者・葉文潔は、尊敬する物理学者の父を文化大革命で亡くし、人類に絶望します。そんな彼女が秘密裏に発信した電波は惑星「三体」に到達し、驚愕の結果をもたらすのでした。
SFではあるものの、歴史や政治、物理に関する記述が多いのがポイント。難解な部分もあるといわれていますが、壮大なスケールのSFが好きな方におすすめです。細部までこだわったSF小説が読みたい方は、手に取ってみてください。
第2位 火星の人 新版 上
早川書房 著者:アンディ・ウィアー
「アメリカSF界の超新星」とされる、アンディ・ウィアーが初めて執筆したSF小説です。全世界で300万部超えのベストセラー。『オデッセイ』として映画化され、大ヒットを記録しました。
舞台はタイトル通り火星。有人火星探査がスタートして3回目のミッションが、猛烈な砂嵐で中止を余儀なくされます。しかし、火星を離脱する寸前に折れたアンテナが、クルーのマーク・ワトニーを直撃。彼は砂嵐の中へ姿を消しますが、奇跡的に生きていたのです。
不毛の惑星に1人残されたワトニーが、限られた物資と食料を頼りに、自分の技術・知識などを駆使して生き延びていく物語です。
本作品は、苦境にもへこたれないワトニーの前向きな姿に、元気が出る読者が多いのもポイント。宇宙ものやサバイバルもののSF小説が好きな方におすすめです。
第3位 鋼鉄都市
早川書房 著者:アイザック・アシモフ
「ロボット工学三原則」の盲点をついた”SFミステリーの金字塔”といわれる小説。1953年にアメリカのSF雑誌「ギャラクシー」に掲載されました。アメリカで生化学者でSF作家アイザック・アシモフの代表作のひとつです。
警視総監に呼び出された刑事・ベイリ。彼が知らされたのは宇宙人惨殺という、前代未聞の事件でした。ベイリが乗り出したのは、地球人の子孫でありながらも今や支配者となった宇宙人への反感や、人間から職を奪ったロボットへの憎悪が渦巻く鋼鉄都市だったのです……。
アシモフ独特の作風で描かれた、ロボットと推理ミステリーが掛け合わされた物語で読みごたえがあります。本作品の続編2作に続く『ロボットと帝国』では、著者のもうひとつの代表作「ファウンデーションシリーズ」との融合が図られており、あわせて読むのもおすすめです。
第4位 第五の季節
東京創元社 著者:N・K・ジェミシン
大陸の変化と不思議な能力を持つ人々の運命を描くSF小説です。3部作が3年連続でヒューゴー賞を受賞する快挙を成し遂げました。また、3部作の3作目『輝石の空』はヒューゴー賞の他に、ネビュラ賞やローカス賞も受賞しています。
数百年ごとに、「第五の季節」と呼ばれる破壊的な天変地異が起こる世界。そこには地球と通じる能力を持つ「ロガ」と、人間に似た謎の存在「石喰い」がいました。そんななか、世界に再び第五の季節が訪れます。
ファンタジー色が強い作品ながら、独自の用語や概念も多く、SFとしてもしっかりと楽しめます。さまざまな視点で語られる世界観が新鮮なので、気になる方は手に取ってみてください。
第5位 プロジェクト・ヘイル・メアリー 上
早川書房 著者:アンディ・ウィアー
大ヒット映画『オデッセイ』の原作小説の作者であるアンディ・ウィアーが、地球滅亡の危機に立ち向かう男の戦いを描いたSF小説です。第53回星雲賞海外長編部門も受賞しており、映画化も決定しています。
未知の物質によって太陽に異常が発生し、氷河期に突入する直前の世界。異常が発生した謎を発見し、解決するため宇宙へと旅立った男は、1人で人類を救うミッションに挑みます。
過酷な状況におかれた主人公の行く末に、ハラハラドキドキさせられるのがポイント。驚きのラストが待ち構えており、前情報を得ずに楽しむのがおすすめです。内容はわかりやすく熱いバディモノなので、SF小説への入門にも適しています。
第6位 虎よ、虎よ!
早川書房 著者:アルフレッド・ベスター
1950年代に、アメリカの作家であるアルフレッド・ベスターが発表したSF小説。ある男の復讐をテーマにしています。
テレポーテイションによって、一変した世界。世の中では犯罪が横行し、惑星間戦争が巻き起こってしまいます。そんな時代を舞台に、顔に虎の刺青をされた男、ガリヴァー・フォイルの復讐の物語が幕を開けました。
見捨てられた主人公の復讐譚がポイント。世界観が構築してあるのでSF要素もしっかりと楽しめます。鬼才といわれるアルフレッド・ベスターの作品が読みたい方におすすめです。
第7位 老人と宇宙
早川書房 著者:ジョン・スコルジー
ロバート・A・ハインライン『宇宙の戦士』の21世紀版といわれるミリタリーSF小説。ジョン・W・キャンベル賞を受賞した、全6巻のベストセラー「老人と宇宙シリーズ」の第1作品目です。Netflixでは映画化企画が進行しています。
主人公は75歳の誕生日に、亡き妻の墓参りをしてから軍隊に入ったジョン・ペリー。それは、地球には二度と戻れない条件で、75歳以上の男女の入隊しか認めない「コロニー防衛軍」でした。
銀河の各惑星に植民を始めた人類を守るため、コロニー防衛軍はエイリアンたちと熾烈な戦争を続けているのです……。宇宙軍でのジョンの波乱万丈な冒険を描いています。
初心者でも読みやすく、ユーモアが効いており楽しく読めるのが魅力。一風変わった、宇宙もののエンターテインメントSFに触れたい方におすすめです。
第8位 マーダーボット・ダイアリー 上
東京創元社 著者:マーサ・ウェルズ
アメリカの作家であるマーサ・ウェルズが描く、人気シリーズの第1作。ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞を受賞しているほか、邦訳版でも第7回日本翻訳大賞を受賞しました。
かつて巻き起こした重大事件の記憶を消されている人型警備ユニット「弊機」は、自由になったにもかかわらず任務を続行していました。そんななか、弊機は警備任務に就き、要望通り依頼主を守ろうとしますが……。
抜群の強さを誇りながら、徐々に人間らしくなっていく弊機の変化が魅力。続編もあるので、作品を長く楽しみたい方にもおすすめです。
第9位 あなたの人生の物語
早川書房 著者:テッド・チャン
世界的なSF作家、テッド・チャンによる8編の傑作を収録したSF短編小説。表題作と『バビロンの塔』はネビュラ賞、『地獄とは神の不在なり』はヒューゴー賞を受賞。また、表題作は『メッセージ』として映画化されています。
表題作は、地球を訪れたエイリアンとのコンタクトを担当したルイーズの物語。まったく異なる彼らの言語を理解するにつれて、驚くべき運命に巻き込まれていきます。
ほかにも、天使の降臨とともにもたらされる災厄や奇跡を描いた『地獄とは神の不在なり』など、さまざまな物語を収録しています。
SF的な想像力にあふれており、SFの醍醐味を味わえるのが魅力。短編で読みやすい小説を求める方や、純文学が好きな方にもおすすめです。
第10位 渚にて 人類最後の日
東京創元社 著者:ネヴィル・シュート
“英国冒険小説界の雄”といわれる、ネヴィル・シュートの代表作であり、映画化やテレビドラマ化もされたSF小説の名作。人類滅亡をテーマに描いています。
舞台は第三次世界大戦が勃発する世界です。世界各地で4700個以上の核爆弾がさく裂。戦争は終結したものの、北半球は放射能に覆われ、汚染された諸国は次々と死滅していきます。
かろうじて生き残った合衆国の原子力潜水艦「スコーピオン」は、オーストラリアに退避。放射能が南下している最中、合衆国からモールス信号が届きます。そして、わずかな望みを胸にスコーピオンは出航するというあらすじです。
重いテーマながら物語が淡々と描かれており、読者に感動をもって迫る作品。有名なSF作家・小松左京も“21世紀を生きる若者たちに、ぜひ読んでほしい作品だ”と推薦している、おすすめのSF小説です。
第11位 デューン 砂の惑星 新訳版 上
早川書房 著者:フランク・ハーバート
ヒューゴー賞とネビュラ賞を受賞した、壮大な未来叙事詩的SF小説です。また、SF情報誌『ローカス』が12年ごとに行ったオールタイム・ベストSFにも輝いた名作。2度にわたり映画化もされています。
アトレイデス公爵は皇帝の名を受け、抗酸化作用を持つ香料「メランジ」の唯一の産地で、過酷な砂漠の惑星「アラキス」に移封。宿敵のハネルコン家に代わって、そこを支配することは、表面的にはアトレイデス公爵家に大きな名誉と富を約束することを意味していました。
皇帝やハネルコン男爵の罠だと知りつつも、公爵は息子・ポールの未来のためにアラキスに乗り込みますが….。
自然などの詩的な描き方や丁寧な描写により、物語の世界に引き込まれやすいのが魅力。SF小説の初心者にもおすすめの作品です。
第12位 こうしてあなたたちは時間戦争に負ける
早川書房 著者:アマル・エル=モフタール/マックス・グラッドストーン
対立する組織に所属する2人の関係が、文通によって徐々に変化していく物語を描く中編SF小説です。ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞・英国SF協会賞を受賞し、話題となりました。
争いを続ける「エージェンシー」と「ガーデン」には、それぞれレッドとブルーという工作員がいました。何度も対峙するなかでお互いを認識する2人は、秘密で手紙を交換する関係になりますが……。
最初は敵として言葉を交わしていたにもかかわらず、2人の女性の手紙から伝わる感情は敵同士とは思えない方向に変わっていきます。一風変わったSF小説を読みたい方におすすめです。
第13位 叛逆航路
東京創元社 著者:アン・レッキー
過去と現在が交錯する形で進む、ハードSF小説です。人気シリーズの第1作でもあります。ヒューゴー賞やネビュラ賞をはじめ、数々の賞を受賞し、全世界で9冠に輝きました。
宇宙戦艦のAIだったブレクは、生体兵器を操りながら多くの惑星の侵略に貢献してきました。しかし、最後の任務で裏切られたブレクは復讐を決意。そんなブレクが着陸したのは、極寒の惑星でした。
性別の区別がなく三人称がすべて「彼女」と、独自の世界観を作り込んでいるのがポイント。SF色が強い小説を探している方におすすめです。
第14位 不思議の国の少女たち
東京創元社 著者:ショーニン・マグワイア
奇妙な学園を舞台に、世界で多く創作されているファンタジーの裏側を描くSF小説です。ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞を受賞しています。
異世界に行き、そして戻ってきた少年少女たち。世界にはそんな彼女たちを集めた、寄宿学校がありました。『不思議の国のアリス』を筆頭に、ファンタジー作品ではよく描かれる、異世界に行った主人公のその後を描写します。
ハッピーエンドだと思っていた作品の、違う側面がみえる物語。ファンタジー色の強い小説が好きな方にもおすすめです。
第15位 紙の動物園
早川書房 著者:ケン・リュウ
アメリカの作家であるケン・リュウのSF小説を収録した、短編集です。表題作『紙の動物園』は、ヒューゴー賞・ネビュラ賞・世界幻想文学大賞の3冠を獲得しました。
表題作では、香港で出会った母を、父がアメリカに連れ帰ったところから物語が始まります。そんな母が作ってくれた折り紙の動物たちは、命があるように動き出し、折り紙だけが主人公の友達でした。
神秘的な雰囲気のなかに切なさを感じられるのがポイント。考えさせられるSF小説が好きな方におすすめです。
第16位 宇宙飛行士 オモン・ラー
群像社 著者:ヴィクトル・ペレーヴィン
「ロシアの村上春樹」ともいわれるヴィクトル・ペレーヴィンが描くSF小説です。子供の頃から憧れていた宇宙飛行士になったオモンに告げられたのは、月への特攻飛行でした。月の表面に着陸したアメリカのアポロとは逆に、オモンは月の裏側を目指します。
物語を通して強いメッセージが込められていると感じられる作品。読後に考えさせられる小説が読みたい方に、おすすめのSF小説です。
第17位 広瀬正・小説全集・1 マイナス・ゼロ
集英社 著者:広瀬正
広瀬正が描く、日本のタイムトラベル小説の最高峰と謳われるSF小説。2008年に本屋大賞第5回記念として開催された、特別企画「この文庫を復刊せよ!」で多くの票を集めたSF小説でもあります。同年に集英社から、文庫版が発売されました。
戦時中に、隣人とある約束を交わした主人公。18年後にその約束を果たそうとした主人公は、驚くべきモノを目にします。
時代小説としても評価が高い小説です。昭和初期の日本の情景が細かく描写されており、まさに”日本のタイムトラベル”を感じられます。また、終盤には伏線が回収されるので、最後まで楽しみながら読み進められるおすすめのSF小説です。
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