華やかなホップの香りと、特有の苦みが特徴の「IPAビール」。個性が強いため、人によって好みが分かれるものの、クセになる味わいはビール愛好家をとりこにしています。クラフトビール人気の高まりとともに、国産のIPAビールも目にするようになりました。
そこで今回は、おすすめのIPAビールの銘柄をご紹介。IPAビールの選び方についても解説するので、興味がある方はぜひチェックしてみてください。
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IPAビールとは?
IPAとは「インディア・ペールエール」の略称で、上面発酵で造られるエールビールの一種に該当します。IPAの発祥は、18世紀後半のイギリス。植民地であるインドへの輸送に耐えられるようアルコール度数を高め、防腐剤の代わりにホップを大量投入したのが始まりだといわれています。
ホップの量が多いのでパンチのある苦みが感じられるのが特徴です。同時に、華やかで濃厚なホップの香りも楽しめます。普通のビールに比べるとアルコール度数が高めで、ガツンとした重めの味わいも魅力のひとつです。
香りを存分に堪能するためには、ワイン同様に香りを引き立てるようなグラスで飲むのがおすすめ。ユニークな形をした専用のグラスもあるので、興味がある方は探してみてください。冷やし過ぎに注意して、10~12℃くらいの温度でじっくり味わいましょう。
IPAビールの種類
ひとくちにIPAビールといっても、いつくかの種類があります。味わいや製法によって細分化されていますが、「スタンダードIPA」や「インペリアルIPA」「セッションIPA」などがポピュラーです。
定番スタイルのスタンダードIPAは、アルコール度数が5~7.5%。普通のビールよりややオレンジがかった色をしています。ホップの香り、苦みともに馴染みやすいモノです。
インペリアルIPAは「ダブルIPA」と呼ばれることもあり、スタンダードIPAをすべてにおいてレベルアップさせたモノ。アルコール度数は7.5~10%と高く、芳醇で豊かな味わいと強烈な苦みが特徴です。濃いオレンジや琥珀の色合いが楽しめます。
セッションIPAは、アルコール度数が3.5~5%と低めなのが特徴。IPAビール特有の苦みがしっかり感じられるものの、低めのアルコール度数によりすっきりとしたライトな味わいです。
IPAビールの選び方
香りで選ぶ
IPAビールの香りは、使用するホップの種類で違いが出ます。ビールに香りを付けるホップは「アロマホップ」と呼ばれ、ドイツやアメリカがおもな産地です。代表的なアロマホップとして「カスケード」や「シトラ」などが挙げられます。
カスケードはフローラル系の華やかな香り、シトラは強い柑橘系の香りが特徴。ドイツではフローラル系、アメリカでは柑橘系のホップが多く栽培されています。複数のホップをブレンドして、個性的な香りを生み出している醸造所もあるので、香りにも注目して選んでみてください。
苦みで選ぶ
IPAビールを苦みの強さで選ぶときに便利な基準として、「IBU」という単位があります。「International Bitterness Units」の略で、苦みの度合いを表した数値です。ビールの苦みは、ホップに含まれる苦み成分(アルファ酸)の量、ホップの使用量、ホップの煮込み時間などに左右されます。
ちなみに、国産メーカーの代表的な銘柄はIBU20前後。ただし、IPAビールはエールビールに属し、日本の一般的なラガービールで感じる苦みとは異なります。
また、IBUの数値が高いほど計算上の苦みが強いことになりますが、ベースとなるビールの糖度や麦芽の量によって苦みの感じ方が変わるのが実情です。IBUはあくまでも参考値として、購入する際の目安にしてください。
IPAビールのおすすめ
ヤッホーブルーイング インドの青鬼
日本のクラフトビールの先駆けともいえる、長野県のヤッホーブルーイングが造るIPAビールです。通常量の2倍のホップを使用することで強い苦みを実現。7%のアルコール度数で、ほどよいボディ感が楽しめます。
口いっぱいに広がる柑橘系の芳醇なアロマが魅力です。カレーや餃子など個性の強い料理とよく合います。缶入りでリーズナブルなので、普段使いにおすすめです。
サッポロ(SAPPORO) HOPPIN’ GARAGE ホッピンIPA
米国産ホップと日本産ホップを掛け合わせた、フルーティな柑橘系の香りが楽しめるIPAビールです。強いシトラスの香りがある「シトラクライオホップ」と、フルーティな「カシミアホップ」のほかに、日本生まれのホップ「フラノクイーン」を加えています。
爽やかな柑橘系の香りのなかに甘さもある、豊かなアロマホップを楽しみたい方におすすめ。同メーカーが展開する「HOPPIN’ GARAGE」のなかでも、最大量のホップを使っており、しっかりとした苦味が感じられます。
モンテ物産 モレッティ・ビール IPA
イタリア全土で広く親しまれる、モレッティのIPAビールです。イタリア産の大麦を使用した、アルコール度数5%のスタンダードIPA。無ろ過で仕上げているため少し濁りのある琥珀色で、素材本来の複雑な味わいが特徴です。
また、本IPAビールは、温度を下げてからフレッシュなホップを投入する「ドライホッピング」製法を採用。ホップ本来の爽やかな香りと苦味が楽しめます。
美食の国としても知られるイタリアのIPAビールらしい仕上がりで、食事と一緒に飲むのがおすすめ。ハードタイプのチーズやパスタ・魚介類とマッチします。
三菱食品 J-CRAFT HOPPING ジューシーIPA
アメリカ東海岸ニューイングランド地方で生まれた「ニューイングランドスタイル」のIPAビールです。苦味の強さの指標となるIBUは30と高めですが、モルトとホップの甘みもしっかりと感じられます。
ホップには主にモザイクとギャラクシーを使用。トロピカルフルーツのような甘くフレッシュな香りが楽しめます。小麦とオーツ麦を使っているため飲み口もやわらかで、飲みやすいIPAビールを探している方におすすめです。
オリオンビール(ORION BREWERIES) 75BEER IPA
沖縄県名護市の醸造家が手作業で丁寧に仕上げたIPAビールです。5種類のアメリカ産のホップを使用。通常の6倍も多いホップを使用しており、爽やかなホップの香りのなかに、しっかりとした苦味が感じられます。
麦汁にホップを加えた後、発酵工程中に2度目のホップを投入する「追いホップ製法」を採用しており、複雑なホップの香りが楽しめます。名護の醸造家がシークヮーサーを適切なタイミングで投入しているため、爽やかな香りと苦味のバランスも良好です。
COEDO 毬花
ホップの花を意味する「毬花」を名前に冠したIPAビールです。名前通りホップをふんだんに使用。柑橘系やトロピカルな香りが楽しめるホップが多く、豊かな香りが楽しめます。グレープフルーツを絞ったときのような、ややビターで爽やかな香りが特徴です。
アルコール度数は4.5%と低く、口当たり軽やかで飲みやすい味わい。初めてIPAビールを飲む方にもおすすめです。鼻から抜けるホップアロマが心地よく、セッションIPAながらも飲みごたえがあります。
また、本IPAビールはアロマホップを使った豊かな香りが魅力なので、飲むときは香りを感じやすい口の窄まったグラスを使うのがおすすめです。柑橘系のフルーツを入れたサラダやドライフルーツとマッチします。
・1本
・6本セット
ベアードビール(Baird Beer) スルガベイ インペリアル IPA
カラフルな花火のラベルが目を引くIPAビールです。生ホップで2回ドライホッピングしており、複雑なホップの香りが楽しめます。ラベルにあしらった花火のように、さまざまな香りがバランスよく楽しめるIPAビールです。
アルコール度数は8.5%と高めで、IBUは90。しっかりした苦味が感じられるインペリアルIPAです。また、本IPAビールは瓶の中で2次発酵させるドイツ式のクロイゼン製法を採用。瓶の中で自然発泡した、天然の炭酸が楽しめます。
・1本
・3本セット
ブリュードッグ(BrewDog) ヘイジー・ジェーン
IPAビールの苦味を抑えたヘイジーIPAです。無ろ過で濁りを残し、モルトとホップの旨みを閉じ込めたのが特徴。ヘイジーIPAはニューイングランドIPAとも呼ばれ、ホップのフルーティな香りをしっかり感じられます。
本IPAビールは、口に入れるとパイナップル・マンゴー・タンジェリンなどの華やかな香りが鼻を抜けます。飲み口がなめらかで、アルコール度数も5%と低いため、お酒にあまり強くない方にもおすすめです。
・1本
・24本セット
オハラズ(O’hara’s) フィフティファースト ステイトIPA瓶
アイリッシュクラフトのパイオニアとしても知られる、カーロウ ブリューイングのIPAビールです。ニューイングランドIPAからインスピレーションを受けており、無ろ過で仕上げています。
やわらかい苦味と、口当たりのよさが魅力。香りも華やかで、口に含むとグレープフルーツ・パッションフルーツ・アプリコット・ピーチのフルーティなアロマが広がります。シトラス系の爽やかな香りも感じられ、苦味と香りのバランスがよい味わいです。
南都酒造所 OKINAWA SANGO BEER IPA
沖縄の気候に合うビールを目指して造ったIPAビールです。ホップの香りが豊かなアメリカンIPAスタイルをベースに、柑橘系の香りがするホップを大量に使用。爽やかな柑橘系の香りと切れ味のよい苦味が楽しめます。
また、ろ過を一切していないのもポイント。ビール酵母が生きている状態で充填されているため、ミネラル豊富なビール本来の芳醇な味わいが楽しめます。アルコール度数も5%と飲みやすく、しっかり冷やした後肉料理・油料理などと合わせて飲むのがおすすめです。
池光エンタープライズ 青島IPA
世界100ヵ国以上で愛飲される中国ビールブランド、青島ビールが展開するIPAビールです。オリジナルの青島ビールと比べて苦味が4倍も強く、麦汁濃度は2倍もあります。強い苦味と華やかなホップが楽しめる、奥行きのある味わいです。
本IPAビールは、中国ビールブランドが展開するIPAビールらしく、中国料理との組み合わせがおすすめ。特に、香辛料や調味料がしっかり効いたホイコーロー・トンポーロー・チンジャオロースなどと合います。
グースアイランド(Goose Island) グースIPA
アメリカ・シカゴを代表する醸造所が造るIPAビール。フルーティーなホップの香りとしっかりとした後味が楽しめる銘柄です。1988年に誕生したクラフトビール界のパイオニアともいえる存在で、現在まで数々の国際コンペでの受賞歴があります。
ボトルネックのあひるのデザインがかわいらしく、ビール好きな方へのプレゼントにもぴったり。アルコール度数は5.9%で、クセのあるIPAビールのなかでは比較的飲みやすいと評判なので、IPAビールを初めて飲む方にもおすすめです。
華やかな香りと、独特な苦みが特徴のIPAビール。日本で馴染みのあるラガービールの苦みとは異なる苦みが楽しめるので、ひと味違うビールを飲みたいときにもおすすめです。各銘柄で香りの傾向も違い、飲み比べも楽しめます。記事を参考にして、最適な一本を選んでみてください。