仕事終わりの一杯や、休日のバーベキューで家族や仲間たちと飲むビールは格別です。とはいえ、日本では淡色で爽やかな喉越しが特徴のピルスナータイプのビールがほとんど。たまには変わったビールを飲みたいという方におすすめなのが「ドイツビール」です。

ドイツビールは、土地や製法の違いによって5000以上の銘柄があるので、さまざまなタイプのビールを味わえるのが魅力。そこで今回は、ドイツビールの選び方を踏まえた上で、おすすめの銘柄をご紹介します。

ドイツビールとは?

ドイツビールの特徴は、製法に対する「徹底したこだわり」があるところです。ドイツには現存する世界最古の食品に関する法律・ビール純粋令があることで有名。「ビールは、麦芽・ホップ・水・酵母のみを原料とする」という規則で、現在もなおビールの製法に関してこの法律が厳格に守られています。

法規制が厳しいと聞くとビールの種類も限られるのではと思うかもしれませんが、ドイツには1300を超える醸造所と5000を超える銘柄が存在します。同じドイツ国内でも土地によって原料となる麦芽や水の品質は異なるのはもちろん、醸造方法の違いもあるので、味は千差万別です。

ドイツビールの選び方

ドイツビールは、発酵方法によって「上面発酵(エール)」と「下面発酵(ラガー)」の2種類に大きく分けられます。さらに原料や製法によって、さまざまな種類のビールに分けることが可能です。発酵方法による特徴を踏まえた上で、代表的なドイツビールの種類を順番に紹介していきます。

フルーティーな「上面発酵ビール」

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ビールは麦芽や水やホップを混ぜて煮沸した後に酵母を加えて発酵させることで製造します。この際、上面発酵酵母を使って、常温(20~25℃程度)で発酵させる製法が「上面発酵」。古くから伝わる伝統的な製法で、上面発酵で醸造されるビールのことは「エール」と呼びます。

上面発酵ビールは、芳醇でフルーティーな香りと旨味の強い濃厚な味わいが特徴です。のど越しの爽快感では後述する下面発酵ビールに一歩譲りますが、ビールの持つ本来の香りと旨味が強く発揮されるのが魅力。穏やかな時間でビールそのものの味わいをじっくりと堪能したい方におすすめです。

また、苦味のタイプがラガービールとは異なるのも特徴。エールタイプのドイツビールは苦みが抑えられる傾向があるので、ビールが苦手だという方にもおすすめです。ドイツで生産されている上面発酵ビールの代表的な種類としては、ヴァイツェンやケルシュなどが挙げられます。

ヴァイツェン(ヴァイセ)

ヴァイツェンは、ドイツ南部で製造されているビールです。名称の由来となっているWeizen(小麦)からわかるように、小麦麦芽を原料に50%以上使用しています。ちなみに、地方によって名称が異なるのが特徴。バイエルン地方ではヴァイセ、それ以外の地方ではヴァイツェンと呼ばれています。

日本では白ビールと呼ばれていますが、実際は色の濃いものもあり、白から黒、濃茶までさまざま。アルコール度数も3.9〜5.7%まで、銘柄によってばらつきがあります。バナナを感じさせるフルーティーな香りと酵母由来の濃厚な旨味が特徴のドイツビールです。

ケルシュ

ケルシュは、ドイツ西部の文化都市ケルン近辺で製造されているビールです。素材に、大麦と小麦の麦芽を使用しているのが特徴。上面発酵に使われる酵母を使用しながら、下面発酵並みの低温で熟成するという変わった製法を採用しています。

色は黄金色で、アルコール濃度は4.8%です。芳醇な香りと爽やかさなのど越しが魅力。日本で主流のピルスナーのようにさっぱりとして飲みやすいので、エールビールを初めて飲むという方におすすめです。

のど越しスッキリ「下面発酵ビール」

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「下面発酵」とは、下面発酵酵母を使って10度前後の低温で発酵させる製法です。発酵後に酵母が沈むのがその製法名の由来。19世紀に南ドイツのバイエルン地方で開発され、現在では世界的に主流となっています。

下面発酵で作られたビールは「ラガー」と呼ばれ、穏やかな香りと雑味のないすっきりとした味わいが特徴です。エールタイプのビールと違って香りの芳醇さや濃厚な味わいはあまりありませんが、泡が多く爽快なのど越しが楽しめます。

日本で主流となっているビールの大半はこのラガータイプ。ドイツのラガーも似たような味わいのため、国産ビールが大好きという方にもおすすめです。ドイツの代表的な下面発酵ビールとしては、ピルスナーやドルトムンダーなどがあります。

ピルスナー

19世紀中頃にチェコのピルゼン地方で生まれた淡色ビール。製造方法は下面発酵が採用されており、硬水が一般的なヨーロッパでは希少な軟水によって醸造されています。色は淡い黄金色で、アルコール濃度は4〜5%。全体的にはホップが効いており、キリッとした苦味とすっきりとしたのど越しが特徴です。

日本で流通されているビールの大半はこのピルスナータイプ。日本人にも馴染み深いビール種です。日本ではキンキンに冷やして飲むが一般的ですが、ピルスナーは3〜7度の温度で飲むのが最も美味しいとされています。

ドルトムンダー

ドルトムンダーは、北西部に位置するドイツ最大のビール生産都市ドルトムントで生まれたビール。19世紀中頃に下面発酵のピルスナーを参考に製造されました。麦芽を低温で2日漬けたり、ホップの効果を控えめにするなどのアレンジを加えたため、ピルスナーとは別物である独自のビール種として扱われています。

透き通った淡い黄金色が特徴。その見た目の美しさから「ブロンド・ビール」とも称されています。また、麦芽とホップがバランスよく調和した味わいも魅力。ホップの苦味や麦芽の甘みが双方に目立ちすぎないように作られているので、口当たりの軽いさっぱりとした味わいが楽しめます。

ドイツビールのおすすめ銘柄

パウラーナー(Paulaner) ヘフェヴァイスビア

ドイツビールのなかで5本の指に入る人気があるへーフェヴァイツェン。オクトーバーフェストにもビールを提供するミュンヘン6大醸造所の一つ「パウラーナー醸造所」が製造しているビールです。ドイツの名門サッカーチーム「バイエルンミュンヘン」のオフィシャルビールでもあり、ドイツ国内だけではなく世界70カ国以上で愛飲されています。

ヘフェヴァイスビアは、瓶詰めの際に酵母が濾過されていないのが特徴。生きたままの酵母が入っており、バナナのようなフルーティーな香りとアロマのような爽やかな香り、そして優しい酵母の甘みが楽しめます。

また、小麦を原料に50%以上も使用していることも特徴。ドイツビールらしい小麦の風味が効いています。炭酸は強めで、泡立ちはとてもクリーミー。ドイツを代表する最高峰のビールなので、ドイツビールを試したい方やビールの味にこだわる方におすすめです。

ラーデベルガー(Radeberger) ピルスナー

ドイツ帝国初代首相のビスマルクも愛飲していたプレミアムピルスナー。ラーデベルガーはドイツ東部のザクセン州ドレスデンで製造されており、かつては「王の飲み物」としてザクセン王室の御用達だった銘柄です。ボトルネックには王家の紋章がその証として飾られています。

原材料にはフランス産の上質な大麦と、ピルスナーとの相性が抜群のホップを使用。また、水にもこだわっており、醸造所の地下から汲み上げられる軟水のみを使用しています。醸造所の開設以来から一貫して低温でじっくり発酵させる製法を採っており、その品質の高さは折り紙付きです。

円熟した独特の苦味が味の特徴。日本で流通されているビールの1.5〜2倍高い苦味があり、「王の飲み物」にふさわしい貫禄たっぷりのどっしりしたコクと、キレのよい苦味を堪能できます。また、大麦麦芽の持つ爽やかなのど越しも魅力。上質なピルスナーを楽しみたい方におすすめです。

ガッフェル(Gaffel) ケルシュ

日本で入手できる数少ない正統派ケルシュの銘柄。1302年までさかのぼれる歴史のあるガッフェル醸造所で製造されています。ケルシュのなかでも最もドライで引き締まった味わいが特徴。麦芽の芳醇な香りと酵母由来の甘みがバランスよく整えられており、爽やかな切れ味と後味の心地よいほのかな苦味が楽しめます。

炭酸は控えめで、泡も少なめ。飲み干しやすく、日本で主流のラガービールのような爽快なのど越しも味わえます。普段エールビールに慣れていない方にもおすすめ。ピルスナーと似た感覚で気軽に楽しめる上面発酵のビールです。

ケストリッツァー(Köstritzer) シュヴァルツビア

ドイツを代表する伝統のシュヴァルツビア(黒ビール)です。ドイツ東部・ライプチヒの南東にあるバート・ケストリッツ村で、1543年に創業された黒ビール醸造所で製造。「黒ビールの王道」とも言える銘柄で、ドイツが誇る偉大な文豪にして詩人でもあった”ゲーテ”がこよなく愛していたことでも知られています。

ローストした大麦麦芽を用いた下面発酵を採用。見た目から重厚なイメージがありますが、ピルスナーと同じラガータイプのビールに分類されるので、イメージに反してクリアで清涼感のあるのど越しが楽しめます。

また、原料へのこだわりも特徴。黒ビールの要となるローストモルトに使用される麦芽には特別栽培の春播大麦が使用されており、繊細で芳醇なアロマの香りを堪能できます。上品な苦味のなかにほのかな甘みを感じられるのも魅力。あまり黒ビールに馴染みのない方でも上質で豊かな味わいを楽しめるので、黒ビール初心者にも入門としておすすめです。

ヴァイエンシュテファン(Weihenstephan) へーフェヴァイスビア

1000年以上の伝統を持つへーフェヴァイツェンの元祖。原料となる麦芽には大麦と小麦を使用しています。水にも強くこだわっており、その品質の高さはヴァイツェンの見本として世界から高く評価されているほどです。

最大の特徴は上質なフレーバー。瓶には濾過されていない生きたままの酵母が含まれており、酵母と小麦の風味がバランスよく調和しているので、バナナのような豊潤な味わいが楽しめます。また、苦さが抑えられているので、飲みやすいのも特徴。ドイツビールが持つ歴史の奥深さに触れたい方にもおすすめです。

ヴァイエンシュテファン(Weihenstephan) ヴィタス

現存する世界最古のビール醸造所であるフライジングのヴァイエンシュテファン醸造所が製造するヴァイツェンボック。ヴァイツェンながら濃厚なボックの性質もあわせ持ち、アルコール濃度が約7.7%と通常のヴァイツェンよりも高いのが特徴です。

飲みごたえのある濃厚なヴァイツェンで、現地ではボック・ウィートビールと呼ばれています。また、一般的なビールよりも栄養価が高いのもポイント。修道院時代は「液体のパン」とも呼ばれ、修道士から断食中の栄養源として重宝されていました。

製法には上面発酵が採用されているものの、通常のヴァイツェンと違って長期間の熟成がされているのが特徴。干したアプリコットを思わせる凝縮した麦芽の濃厚な香りが楽しめます。口当たりも優しいので飲みやすいのですが、アルコール濃度が高いので飲み過ぎには注意が必要。フルボディの重厚なドイツビールをお探しの方におすすめです。

ビットブルガー(Bitburger) プレミアムピルス

ドイツ国内でNo.1のシェアを誇る大人気のピルスナーです。製法は一貫して創業以来から続く伝統の下面発酵を採用。原料である水・麦芽・ホップも特選したものを使用しており、ビール作りに対するドイツ人の頑ななまでのこだわりと情熱が感じられます。最高品質の名に恥ないプレミアムなドイツビールです。

華やかなホップの香りと爽やかな苦味が特徴。ほのかな甘みによって苦味がやや抑えられているので飲みやすく、爽快なのど越しが楽しめます。また、下面発酵のビールならではのクリアで輝くような黄金色もプレミアムピルスの特徴。香りや味だけではなく目でも楽しめます。ピルスナー好きな方におすすめです。

フレンスブルガー(Flensburger) ピルスナー

ドイツでも1、2を争う辛口のピルスナーです。フレンスブルガー氷河の雪解け水を採用しており、透明で不純物や汚染物質がほとんどないクリアな水を醸造に使うことで、特徴的なスパイシーさをより際立たせています。

また、ボトルトップには今となっては珍しいスイングトップを採用しているのも特徴。現在ほとんどの醸造所で主流となっているクラウントップよりも高い密閉度で瓶詰めできるため、作りたての新鮮さを長く味わえます。

鋭い苦味と喉を焼くような刺激が味わえますが、雑味はなく、あっさりしていて飲みやすいのもポイント。爽快感と清涼感を楽しめるピルスナーなので、夏のレジャーなどにもおすすめです。

ダブ(Dab) オリジナル

ピルスナーを元に開発されたドルトムンダーの代表的な銘柄です。ピルスナーと同じ下面発酵で製造されており、きめ細かな泡と芳醇なホップの香りが特徴。特にホップの香りは強めで、口に含んだ瞬間に爽やかなホップの香りが広がります。後味もしっかりしており、麦の甘さとホップの苦みを長く堪能できるのも魅力です。

下面発酵のビールならではのあっさりとした爽快な口当たりとのど越しで、普段からピルスナーに慣れ親しんでいる方にピッタリ。飲みやすいビールなので、ピルスナーとは一味違ったラガービールをお探しの方におすすめのドイツビールです。