地域に密着した小規模醸造所で造られる「地ビール」は、お土産として人気があります。地ビールは地元産のホップ・麦芽・水を使用して製造され、地域ごとの個性豊かな仕上がりが特徴です。
しかし、地ビールは種類が多く、選び方が分からないという方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、地ビールの選び方やおすすめをご紹介します。ビールが好きな方は、ぜひ参考にしてみてください。
※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。
地ビールの魅力とは?
地ビールの魅力は、個性豊かな味わいと地域の特色、造り手のこだわりを楽しめることです。地ビールの造り手は、地域の特産品や風土を生かし、最高の材料と独自の製法を追求。その結果、一般的なビールとは一線を画す、深い味わいと香りのビールが造り出されます。
ピルスナー・IPA・ペールエールなどのさまざまなビアスタイルで味えるのもうれしいポイント。地ビールを通して、地域の文化や歴史も楽しめるのが魅力です。
地ビールの選び方
発酵方法をチェック
地ビールの味わいや香りは、発酵方法によって大きく変わります。ビールの発酵とは、酵母がもろみといわれる麦汁中の糖分を分解し、アルコールと二酸化炭素を生成する過程のことです。
ビールの発酵には、主に「下面発酵」「上面発酵」「自然発酵」の3つがあります。現在は下面発酵が主流ですが、冷却装置のない時代では、上面発酵が主流でした。
すっきりとした味わいの「ラガービール」
ラガービールは、苦みや爽快感のあるのど越しと、すっきりとキレのある味わいを楽しめます。「ラガー」とはドイツ語で「貯蔵」という意味があり、貯蔵庫で長期熟成したビールです。ラガービールは5〜10℃の低温の貯蔵庫で保存し、7〜10日間かけて発酵させる「下面発酵製法」で造られます。
発酵中に酵母がタンクの底に沈んでいくことから、下面発酵とも。日本で流通しているビールの約9割がラガービールであることから、日本人にもなじみの深い発酵方法です。
香り豊かな「エールビール」
エールビールは、フルーティーで華やかな香りや味わい深さ、コクを楽しめます。15〜20℃の常温で、3〜4日間と比較的短時間で発酵させる「上面発酵製法」で造られているのが特徴。発酵中に酵母が麦汁上部に浮かび上がることから、上面発酵と呼ばれています。
ラガービールは一般的に冷やして飲むことが推奨されるのに対し、エールビールは8〜13℃の常温で飲むのがおすすめ。芳醇な味と香りを楽しむことが推奨されています。
独特な風味が楽しめる「自然発酵ビール」
自然発酵ビールは一般的なビールに比べると酸味が強く、初めて飲んだ方は驚くことも。しかし、飲み進めるうちにクセになる独特な風味が楽しめることから、通好みのビールといえます。
空気中や土の中で生きている野生酵母を活用し、ゆっくりと時間をかけて発酵させるのが特徴です。具体的には、冷却などの手は加えず、酵母を空気中から取り入れて、発酵させて造られます。例えば、自然発酵ビールの代表ともいえるベルギーの「ランビック」の場合は、1〜2年かけて自然発酵・熟成させる一品です。
醸造後に風味を付けることが多い自然発酵ビール。シャンパンのような特有の香りが感じられるのも特徴です。
好みのビアスタイルで選ぶ
ピルスナー
ピルスナーは1842年チェコ・ピルゼン地方で生まれ、ラガービールに属します。飲みやすくクセのないすっきりとした味わいが特徴です。世界中で最も広く飲まれています。
アルコール度数は4.0〜5.0%。淡色麦芽・ノーブルホップ・軟水を使用した黄金色の淡色ビールです。大量生産に向いていることから世界各国で造られ、シェアは約7割といわれています。すっきりとした口当たりのピルスナーには、細長タイプのグラスがおすすめです。
IPA(インディアペールエール)
IPAはインディアンペールエールの略称で、アイピーエーと読みます。IPAの発祥は18世紀末のイギリス。当時イギリスの植民地だったインドに滞在しているイギリス人にペールエールを送る方法を考えた結果、造られたビールです。
ビールの原材料のひとつで、防腐効果のある「ホップ」を大量に入れ、さらにアルコール度数を高めたことで、海上輸送に耐えられるビールが誕生しました。IPAのアルコール度数は5.0〜7.5%と高め。大量のホップが使われていることからホップの持つ苦みや香りが強いのが特徴です。
IPAはフルーティーな香りや、みずみずしい香りなど、銘柄により香りの特徴はさまざまな点も魅力といえます。香りが集中して鼻先に集まるように作られた、上部がふっくらとしたタル型で、下部が細長くウネリ型になった「IPAグラス」がおすすめです。
ペールエール
ペールエールは18世紀イギリスのバートン・アポン・トレント発祥で、モルトのコクを感じられるビールです。その後アメリカで、かんきつ系のホップの香りが華やかに感じられるアメリカ生まれの「アメリカン・ペールエール」が考案されました。
現在は「イングリッシュ・ペールエール」と「アメリカン・ペールエール」の2種類が主に流通。当時流通していた濃い色のビールに比べると、オレンジイエローの淡い色であったことから「ペール(=色が淡い)エール」と呼ばれるようになったといわれています。
アルコール度数は4.5〜5.5%。フルーティーな香りときりっとした苦みのあるホップがマッチして、香り高いビールに仕上がっているのが特徴です。
キンキンに冷やしてのど越しを楽しむよりは、華やかな香りを楽しむために、飲み口の大きなパイントグラスがおすすめ。チビチビと味わいながら香りを楽しめるのがペールエールの魅力です。
ヴァイツェン
ヴァイツェンは14世紀から続く、南ドイツ発祥の伝統的なエールビールです。ヴァイツェンはドイツ語で小麦を意味し、小麦麦芽を50%以上使って造られています。
バナナやクローブのようなフルーティーな香りで、ホップが少ないことから苦みが少ないのが特徴です。濃厚な舌触りのヴァイツェンは「まるで飲むパンのよう」といわれることも少なくありません。
ヴァイスビアと呼ばれることも。ヴァイスには「白」という意味があり、名前の通り白ビールを意味しています。アルコール度数は4.5〜5.5%。豊かな泡立ちがいつまでも持続するのも、小麦麦芽を使用したヴァイツェンの特徴です。
細長く、中央部分にくびれがあり、飲み口が底の部分より広がっているヴァイツェングラスがおすすめ。飲むたびに細やかな泡を楽しめます。
ベルジャンホワイト(ホワイトエール)
ベルジャンホワイトは、ベルギーで生まれた白ビール。エールビールに属します。ベルギー・ヒューガルデン村で醸造されていましたが、一度は消滅。1965年に復活した歴史があります。
ヒューガルデン村は小麦の栽培が盛んです。大麦に麦芽化していない小麦を加えて配合した麦芽が使われています。副原料として、オレンジピールとコリアンダーシードを加えることで、かんきつ系のフルーティーな香りとピリッとした風味がプラスされるのが特徴です。
アルコール度数は4.8〜5.2%。チューリップのつぼみのような形の「チューリップグラス」で飲むのがおすすめです。飲み口の部分がくびれていることで、炭酸や香りがキープされ、香りを最後まで楽しめます。
スタウト
スタウトは、18世紀後半にアイルランドで誕生したエールビール。黒ビールの一種です。ロンドンのパブで考案された芳醇なコクが特徴のポーターというビールの改良版として作られました。
スタウトは英語で「頑強な、どっしりとした」という意味があり、強く濃厚で、コクがあるのが特徴です。黒ビールとして広く知られているギネスビールの創業者であるアーサー・ギネス氏が「スタウトビール」というジャンル・言葉を生み出しました。
スタウトは、高温で焙煎したロースト麦芽やロースト大麦が使用されます。香ばしいナッツやコーヒー、チョコレートのような深い香りと苦みが魅力です。
アルコール度数は3.8〜5.0%。飲み口が少しすぼまっていて、トランプのスペードマークのようなくびれがある「スタウトグラス」がおすすめです。スタウトビール特有の強い濃厚さや香りが口の中に広がり、飲むたびに泡立つのを抑えます。
フルーツビール
フルーツビールは醸造の途中で、フルーツやフルーツシロップを入れて造られるビールです。フルーツビールの発祥地はベルギー。木樽で長期熟成する伝統的な製法のフルーツビール造りが盛んに行われてきました。副原料にはレモン・チェリー・フランボワーズなどが使用されます。
ベルギーでは、自然発酵ビールであるランビックにフルーツを加えるフルーツランビックなども有名です。日本の地ビールでは、地元産の新鮮なフルーツを使ったフルーツビールが主流。ゆず・みかん・桃・マンゴーなど、使用されるフルーツはさまざまです。
甘口で見た目はフルーツジュースのようですが、麦芽やホップの風味に負けないくらいフルーツの香りがしっかりしているのも特徴。アルコール度数は2.5〜12.0%と幅広く、「チューリップグラス」で飲むのがおすすめです。
産地で選ぶ
地ビールは、地域の特産品や風土を生かして造られた点が特徴。最高の材料と独自の製法を追求して造られているため、一つひとつに個性があります。
旅行先のお土産感覚で現地購入するのも楽しみのひとつ。お取り寄せで気になる産地の地ビールを試してみるのもおすすめです。出身地や思い入れのある土地、旅行で以前訪れたことのある場所のモノを購入してみてください。
気に入ったデザインで選ぶのもアリ
地ビールは、ラベルのデザインや瓶の形状にこだわったものが多く、地域性や醸造所のコンセプト、世界観を表現しています。ラベルのデザインや色から、地ビールの味わいを予想するヒントになる傾向もあり、味を想像しながら選ぶのもひとつの楽しみ方です。
まだ好みのビアスタイルなどが分からない方は、まずは気に入ったデザインの地ビールから試してみるのもよい手。気に入ったデザインの瓶を飾って、旅の思い出に浸る楽しみ方もおすすめです。
地ビールのおすすめ
箕面ビール ピルスナー
大阪北部の箕面市で誕生した箕面ビール。季節に合わせ、野生酵母や酒米こうじを使ったビール、地元産のゆずや近隣の果物を使用したビールを醸造しています。
箕面ビールのピルスナーは低温で長期熟成を行い、深みのある味わいと爽快感のある淡黄色が特徴です。2024年にWorld Beer Cup 2024で世界銅賞を受賞しました。
エチゴビール フライング アイピーエー
フライングアイピーエーはIBU55と苦みが突出し、さわやかなシトラスの香りが特徴です。IBUとはビールの苦み指数を表したもの。数値が大きいほど苦みが強いとされていて、一般的な日本のビールは20前後、アイピーエーの場合は40ほどです。
新潟に拠点を持つエチゴビールは、全国第一号地ビールとして誕生しました。エチゴビールの創業者は欧州で演劇家をしているときにドイツ人女性と出会い、ドイツのビール文化に触発。故郷の新潟から日本に広めたいと考えて創業しました。
本商品にある「龍が天に昇っていくようなイメージ」のパッケージは、インパクトがあります。ギフトに活用するのもおすすめです。
伊勢角屋麦酒 ペールエール
伊勢角屋麦酒のペールエールは、3種類のホップを使用。豊かな香りとモルトのコクにうまみが絶妙にマッチした、飲みやすさと飲み応えのバランスが取れた地ビールです。
グレープフルーツを思わせるかんきつ系の香りが華やかに広がります。程よいコクと甘みに加え、クリーンな口当たりが特徴です。
伊勢角屋麦酒を手掛けるISEKADOは、1997年に「伊勢のビール」造りを開始。2003年に世界4大大会のひとつであるオーストラリアのインターナショナル・ビア・アワードで、日本企業初となる金賞を受賞しています。
・1本
・12本
八海醸造 ライディーンビール ヴァイツェン
清らかな極軟水の「雷電様の清水」で仕込んだライディーンビールのヴァイツェンは、すっきりとした味わいです。加えて、小麦麦芽特有のやわらかな酸味とフルーティーな香りを感じられます。苦みの少ない味わいが特徴です。
日本酒の「八海山」を手掛ける八海醸造は、1998年から地ビールを醸造。2018年にリブランディングとして作られたのが、「ライディーンビール」です。ブランド名のライディーンは、新潟県南魚沼の名水「雷電様の清水(らいでんさまのしみず)」から命名されています。
ラベルには、醸造所周辺に出没する「猿」をイメージしたイラストが施されました。まさに地域性を感じられる地ビールです。
・1本
・12本
ヤッホーブルーイング 水曜日のネコ
ベルギー発祥の「ベルジャンホワイトエール」というビールです。グラスに注ぐと、オレンジピールのさわやかな香りと、青りんごを思わせる香りが立ちのぼります。苦みがなく、すっきりとした飲み口が特徴の地ビール。スパイスにオレンジピールとコリアンダーシードを使うことで、甘酸っぱい味わいを楽しめます。
ヤッホーブルーイングは、創業者が海外のパブで出会ったビールが始まり。1994年に酒税法が改正され小規模醸造が可能になったのを機に、1997年にヤッホーブルーイングが創業しました。
・1本
・6本セット
島根ビール 松江ビアへるん 縁結麦酒スタウト
島根県松江の地ビール「ビアへるん」は世界のビール製法をもとに、日本人の繊細な味覚に合わせた一品。北山山系の湧き水を使用して造られています。
縁結麦酒スタウトは、アイルランドの伝統製法であるミルクスタウト製法で造られているため、苦みがなくマイルドな口当たりの黒ビールです。ミルクスタウト製法は、酵母により消費されない乳糖を使用するもの。ビールの中に糖分が残り、滑らかな甘みを感じやすくなる製法です。
・6本セット
・24本セット
山口地ビール 萩ゆずエール
ゆずの自生地である、山口県萩市のゆずで香り付けをしたフルーツビールです。ゆずのさわやかな香りのみを生かすため、専用タンクで大量の皮を短時間漬け込んでいるのが特徴。渋みやえぐみを極端に抑えています。
ゆずは、ビールの麦の味と特に相性が良好。若干残るホップの苦みがビールの芯となり、フルーツエールのなかでも飲みやすさが魅力です。
ビールの原料の90%を水が占めており、古くから水によってビールのおいしさが決まるといわれています。山口地ビールはおいしいビール造りに欠かせない水を、地元の鳴滝の天然水100%仕込みにこだわったおすすめの一品です。
地ビールと一口にいっても、使われる材料や醸造方法はさまざまです。醸造元が原料や水、醸造法などにこだわりを持って造る地ビールは、その土地の特産品や地域性を理解できます。旅先でその土地ならではの食材やグルメを楽しむように、その土地ならではの地ビールを試してみるのもおすすめです。