“新本格推理の担い手”と謳われる小説家「我孫子武丸」。代表作『殺戮にいたる病』の巧みな構成力が、ミステリー界に衝撃を与えました。大ヒットを記録した推理ゲームシリーズ『かまいたちの夜』の原作を手掛けた作家でもあります。

今回は、我孫子武丸が発表した小説からおすすめ作品を、独自のランキングにしてご紹介。多彩な作風で知られる我孫子武丸作品の魅力もあわせて解説したので、ぜひ参考にしてみてください。

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幅広い作風をもつ「我孫子武丸」とは?

我孫子武丸は、1962年兵庫県生まれの小説家です。京都大学文学部哲学科に入学。綾辻行人など著名な作家を輩出した、同大学の推理小説研究会に所属していました。大学を中退後、1989年に『8の殺人』で小説家デビューします。

“本格ミステリの金字塔”とも評された『殺戮にいたる病』や、「人形探偵シリーズ」など数々の人気作を発表。一方で、シナリオライターとしても活動しています。原作を担当した推理ゲーム『かまいたちの夜』は125万本を売り上げる大ヒット作になりました。

小説だけでなく、脚本や漫画原作など多彩な舞台で活躍する作家の1人です。

我孫子武丸作品の魅力

“新本格推理の担い手”と謳われる我孫子武丸。探偵役が登場する本格推理小説から、どんでん返しのある叙述トリックを用いた作品まで、我孫子武丸作品では、さまざまな仕掛けがちりばめられた本格ミステリーを堪能できます。

そして、我孫子武丸作品は作風が多彩なのもポイント。『殺戮にいたる病』や『修羅の家』のような重厚感のある作品だけでなく、「速水三兄妹シリーズ」のようにコミカルで軽妙なタッチの作品もあるなど、幅広いテイストの物語を楽しめるのが魅力です。

本格推理を楽しみたい方はもちろん、濃厚なサスペンス小説が好きな方、ユーモアあふれるライトなミステリー小説が好きな方は、我孫子武丸のおすすめ小説を手に取ってみてください。

我孫子武丸のおすすめ小説ランキング

第1位 新装版 殺戮にいたる病

講談社 著者:我孫子武丸

新装版 殺戮にいたる病

猟奇的殺人犯が起こすグロテスクな連続殺人事件の実像を描いた、我孫子武丸の代表作であり傑作。“叙述ミステリの極致”と銘打たれる、衝撃の問題作です。

東京の繁華街で、次々と猟奇殺人が発生。凌辱の末に惨殺を繰り返すサイコキラー・蒲生稔は、なぜそのような行動に至ったのでしょうか。恐るべき殺人者の行動と思考を描き、平凡な家庭に潜む病理を鮮やかに抉り出します。

エピローグから始まる本作品は、犯人の正体や結末があらかじめ明らかになっているのが特徴。犯人の行動を追いながら辿り着く衝撃的なラストシーンは、多くの読者を呆然とさせました。我孫子武丸が仕掛ける叙述ミステリーの傑作を、ぜひ堪能してみてください。

第2位 新装版 8の殺人

講談社 著者:我孫子武丸

新装版 8の殺人

我孫子武丸のデビュー作にして、傑作と謳われる本格推理小説。速水警部補が推理マニアの弟・妹とともに事件の謎に迫る「速水三兄妹シリーズ」の第1作目です。

建物内部の中庭が渡り廊下で結ばれた構造が特徴的な、通称「8の字屋敷」。この屋敷で、ボウガンによる連続殺人事件が発生します。建物の構造とあわせて不可解な状況が重なる事件の謎を、速水三兄妹は解き明かせるのでしょうか。

大胆なトリックを用いた本格的なミステリーを、ユーモアあふれる筆致とともに楽しめるシリーズ。登場人物の軽妙な掛け合いも見どころになっています。海外ミステリーが好きな方にもおすすめの我孫子武丸作品です。

第3位 弥勒の掌

文藝春秋 著者:我孫子武丸

弥勒の掌

“驚天動地の結末があなたを待ち受けます”と謳われる、我孫子武丸の長編小説。我孫子武丸が緻密な警察取材を踏まえて、13年ぶりの書き下ろし長編作として挑んだ本格捜査小説です。

物語の中心は、妻を殺されたうえに汚職の疑いをかけられた刑事・蛯原と、妻が失踪した高校教師・辻。事件が錯綜するなか出会った2人は、ある宗教団体の関与を疑い、ともに捜査を開始するのですが…。

違う立場の2人の視点が交互に語られながら、事件の真相と謎の新興宗教の実態に迫っていきます。我孫子武丸らしい、巧みな構成と結末に驚かされる読者も。後味が悪いイヤミスが好きな方にもおすすめの1作です。

第4位 探偵映画

講談社 著者:我孫子武丸

探偵映画

By: kodansha.co.jp

『探偵映画』という未完成のミステリー映画をめぐる、我孫子武丸の一風変わった本格推理長編作。映画内の犯人を予想する、人が死なないミステリー小説です。

新作映画の撮影中に、鬼才の監督・大柳登志蔵が失踪。すでに予告編も流れている状況ですが、未撮影の作品の結末は監督自身しか知りません。残されたスタッフは、撮影済みのシーンからスクリーン上の犯人を推理することになり…。

映画の結末はどうなるのか、監督はなぜ失踪してしまったのかなど、さまざまな謎が絡み合う本作品。コミカルで爽やかな人間模様もあわせて楽しめます。映画が好きな方にもおすすめのミステリー小説です。

第5位 メビウスの殺人

講談社 著者:我孫子武丸

メビウスの殺人

猟奇的殺人犯が登場するシリアスな事件を扱った「速水三兄妹シリーズ」の第3作目であり完結編。読者からの評価も高い人気作です。

金槌による撲殺と絞殺が交互する、恐怖の連続殺人事件が東京で発生。現場には常に、謎の数字を記したメモが残されていました。果たして犯人は1人なのでしょうか、別人なのでしょうか。速水三兄妹が、被害者たちを結ぶ共通点から驚愕の真相を推理します。

冒頭から連続殺人犯が明かされている本作品。警察と犯人の知恵比べや、被害者たちの見えない共通点など、さまざまな推理要素がちりばめられています。ユーモアあふれる速水三兄妹とともに本格推理を楽しめる、おすすめのミステリー小説です。

第6位 修羅の家

講談社 著者:我孫子武丸

修羅の家

尼崎などで実際に起きた事件をモチーフにした、衝撃のホラー・ミステリー小説。ある中流家庭を洗脳で乗っ取った女性の驚愕の手口を、ミステリーを交えて鮮烈に描き出しました。

自身の犯罪現場を中年女性・優子に目撃された晴男。連れていかれた優子の家には、同じ格好をした10名ほどが「家族」として暮らしていました。その一員になった晴男は、彼らが優子に虐待されていることを知ります。

一方、初恋相手・愛香がその「家族」に苦しめられていると知った北島は、彼女を救い出す可能性を探りますが…。

“『殺戮にいたる病』を凌ぐ驚愕作!”と謳われる本作品。異常な「家族」の姿に、全編を通して絶望感が漂います。人間の恐ろしさを存分に味わえる、おすすめの我孫子武丸作品です。

第7位 凛の弦音

光文社 著者:我孫子武丸

凛の弦音

弓道に真摯に向き合う女子高生を主人公にした、我孫子武丸の青春小説。友人との関係や、弓道、そして自分自身に葛藤する高校生の青春を、ちょっとしたミステリー要素とともに活き活きと描きました。

高校1年生の篠崎凜は中学時代から弓道に打ち込み、段位を保持する実力者です。そんな彼女はある事件に巻き込まれるも、見事に解決。すると「弓道名人は名探偵」と校内新聞で取り上げられ、ネットでも動画が「天才弓道美少女」と評判になっていきます。

弓道を通して成長していく主人公の、等身大な姿が魅力的な1作。日常系ミステリーとして、爽やかな雰囲気を味わえます。スポーツ小説が好きな方や、グロテスクなミステリーが苦手な方にもおすすめの我孫子武丸作品です。

第8位 狼と兎のゲーム

講談社 著者:我孫子武丸

狼と兎のゲーム

小学生の少年たちを主人公に、暴力を振るう父親から命がけで逃げる、衝撃の逃走サスペンス小説です。

2年前に母が失踪し、心澄望と甲斐亜は警察官の父・茂雄から暴行を受けていました。そんな夏休みのある日、クラスメイトの智樹と心澄望の2人は、茂雄が甲斐亜の死体を処理している現場を目撃してしまいます。

死に物狂いで逃げる2人を追いかける茂雄。警察にも頼れない彼らは、茂雄から逃げ切れるのでしょうか。

逃げる子供たちのハラハラとした緊迫感が伝わる筆致で、一気読みした読者も多い我孫子武丸作品。子供心を思い出しながら、息の詰まるような恐怖体験を味わえるおすすめの1作です。

第9位 さよならのためだけに 新装版

徳間書店 著者:我孫子武丸

さよならのためだけに 新装版

少子高齢化に悩む近未来の結婚をテーマにした、我孫子武丸のSF長編作。離婚を禁じられた社会で奮闘する夫婦を描く、恋愛エンターテインメント小説です。

深刻な少子晩婚・高齢化社会に世界が悩むなか、国策である結婚仲介会社「PM社」は、画期的な相性判定方法を推進。判定によって結ばれた男女は、生涯結婚を維持しなければなりません。

「相性最高」の判定で結婚したPM社員・水元憲明と妻・月は、結婚直後からまったくそりが合わず離婚を決意します。しかし、世界的な巨大婚活企業が離婚を妨害。2人は別れるために共闘を始めるのでした。

社会的なテーマを、登場人物たちの軽妙なドタバタ劇とともに楽しめるのが魅力。近未来SF小説が好きな方におすすめの、我孫子武丸作品です。

第10位 監禁探偵

実業之日本社 著者:我孫子武丸

監禁探偵

我孫子武丸が原作シナリオを手掛けた漫画『監禁探偵』を、同氏が自ら小説化した1作。人間心理の歪みに迫る、3編の中編が収録された連作小説です。2013年に実写映画化もされました。

憧れの女性の部屋へ忍び込んだ山根亮太は、その部屋で女性の死体を発見します。しかし、亮太は自室に少女・アカネを監禁しており、警察に通報できません。死体を発見した警察は、殺人事件の容疑者として亮太を追いつめていき…。

監禁している正体不明の少女・アカネが、安楽椅子探偵役として事件を推理するという、斬新な設定で始まるのがポイント。シナリオライター・我孫子武丸の筆致を味わえる、おすすめの1作です

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