思わず涙するような読み味が魅力の「感動小説」。多感な時期の中学生向けの感動小説には、思春期ならではの悩みを的確に言語化し、心を軽くしてくれるようなモノが多くあります。小説を読み慣れていない中学生にもおすすめです。

今回は、中学生におすすめの感動小説を厳選してピックアップ。メディア化された話題作や、ロングセラーで読み継がれる名作をご紹介します。ぜひ読書への関心を深めるきっかけにしてみてください。

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中学生におすすめの感動小説

君の膵臓をたべたい

双葉社 著者:住野よる

君の膵臓をたべたい

膵臓の病気を患う女子高生と、秘密を知った男子高校生のかけがえのない日々を描いた青春小説の傑作。住野よるのデビュー作にして、累計300万部を記録する大ヒット作品です。2016年に本屋大賞の第2位に輝いています。

高校生の「僕」が病院で拾ったのは、「共病文庫」と記された1冊の日記帳でした。持ち主は、クラスの人気者・山内桜良。桜良が膵臓の病気によって余命わずかであるという事実を知ってしまった僕は、「秘密を知るクラスメイト」として彼女の要望に付き合うことになります。

“読後、きっとこのタイトルに涙する”と謳われる、おすすめの感動小説。正反対な2人が限られた時間をともに過ごすなかで、互いに成長していく姿が魅力的に表現されています。多くの読者に感動を与えた名作です。

博士の愛した数式

新潮社 著者:小川洋子

博士の愛した数式

80分間しか記憶を維持できない元数学教授と、親子のあたたかな交流を綴った感動小説。2006年に映画化され、2023年には舞台化もされました。本屋大賞第1位や読売文学賞小説賞にも輝いた、小川洋子の大ベストセラー作品です。

物語は主人公の「私」が、記憶障害を持つ「博士」の家政婦として雇われるところからスタート。博士は着ている背広や家のあちこちにメモを残すものの、80分経つと私との関係性はリセットされてしまいます。そんな一風変わった日々に、やがて私の10歳の息子も加わるようになり……。

数字や数式で物事を語る一風変わった博士と、親子の愛情に満ちた日々が多くの読者の胸を打った名作。数学に興味がないという中学生も、数学の奥深さや美しさを感じられます。切なくも心があたたまるような感動小説を読みたい方におすすめです。

アルジャーノンに花束を 新版

早川書房 著者:ダニエル・キイス

アルジャーノンに花束を 新版

幼児並みの知能しかなかった主人公が、人の心に触れる喜びと悲しみを描いた感動小説。ヒューゴー賞やネビュラ賞など著名な文学賞に輝き、世界各国でメディアミックス作品が展開されました。”全世界が涙した不朽の名作”と謳われる、SF小説の世界的ベストセラー作品です。

32歳のチャーリイ・ゴードンに、知能を向上させる実験的手術の話が持ちかけられます。この申し出を受けた彼は、同じ手術を受けた白ネズミ・アルジャーノンとともに連日の検査を受けることに。やがて、彼らの知能は向上し、天才的な域へと到達しますが……。

チャーリイ視点の経過報告という形式で物語が進むのが見どころ。天才に変貌したことで見えてきた世界の姿や人間の心のあり様が、語り口の変化を通して巧みに表現されています。人の幸せとは、知性とは何かを考えさせられる、中学生にもおすすめの海外小説です。

カラフル

文藝春秋 著者:森絵都

カラフル

生前に罪を犯した主人公が、中学生の少年の身体で新生活に挑む青春ファンタジー小説。第46回産経児童出版文化賞を受賞したロングセラーの感動小説です。劇場アニメ化のほか、海外で実写映画化もされています。

生前の罪によって輪廻転生のサイクルから外され、二度と生まれ変われなくなった主人公。しかし、天使業界の抽選に当たり、サイクルに戻る再挑戦の機会を得ます。その挑戦とは、自殺を図った中学生・小林真の身体に入り込み、生前の罪を思い出すことでした。

“ヤングアダルト小説の金字塔”とも評される不朽の名作。家族や友人にまつわる苦悩や、多感な時期ならではの自己に関する不安が、ユーモアを交えながら巧みに描かれています。爽やかで前向きな読後感にほろりと涙する読者も多い、おすすめの感動小説です。

夏の庭 ーThe Friendsー

新潮社 著者:湯本香樹実

夏の庭 ーThe Friendsー

小学生の少年たちと1人で暮らす老人の、あたたかな交流を描いた感動小説。日本児童文学者協会新人賞や児童文芸新人賞に輝いた、児童文学の傑作です。海外でも翻訳出版されており、高い評価を受けています。

好奇心旺盛な3人の少年たちは人が死ぬ様を見るため、町外れに暮らす生ける屍のような老人の「観察」を始めることに。夏休みを迎えても老人の元へ通っていると、次第に老人は元気を取り戻していきます。やがて、彼らの観察は老人との深い交流へと発展していくのです。

年齢の壁を超えたかけがえのない友情と少年たちの成長が、みずみずしい筆致で綴られているのが魅力。人の死について見つめ直せる1作として、読書感想文の題材としても支持されています。ハートフルな世界観の感動小説を読みたい中学生におすすめです。

かがみの孤城 上

ポプラ社 著者:辻村深月

かがみの孤城 上

学校や家庭に居場所がない中学生たちのリアルなドラマと心情描写が、多くの読者の共感を集めた感動小説の人気作です。2018年の本屋大賞で第1位に輝き、2022年に劇場アニメ化。累計200万部を記録する大ヒット作品になりました。

人間関係の問題から不登校になっていた中学生・こころ。ある日、突然光りはじめた部屋の鏡をくぐったところ、城のような建物がある不思議な世界へと迷い込んでしまいます。そこにいたのは見ず知らずの6人の子供たち。全員が、こころと似た境遇を抱えており……。

孤独な中学生たちの心の交流を、ミステリーテイストな世界観のなかに描いた本作品。登場人物それぞれに隠された境遇に、思春期の切実な苦悩や不安が巧みに盛り込まれています。衝撃の結末まで一気読みしたい、中学生におすすめの感動小説です。

今夜、世界からこの恋が消えても

KADOKAWA 著者:一条岬

今夜、世界からこの恋が消えても

第26回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞した、話題の感動小説。毎日記憶を失ってしまう前向性健忘を患う女子高生との、恋人ごっこから始まる切ない恋の物語です。韓国や中国でも人気を集め、2022年に実写映画化もされました。

神谷透は、クラスメイトに流されるままに日野真織に嘘の告白を仕掛けます。しかし、真織が提示した”お互い、本気で好きにならないこと”などの条件のもと、透は彼女と思いがけず偽りの交際をスタートさせることになるのです。

やがて、偽物だった恋心が本物に変わりはじめた頃。透は、真織が眠ると1日の記憶を失ってしまうという事実を知らされます。

1日限りの恋を積み重ねていく2人の献身的な純愛と、予想を裏切る巧みな展開が高い評価を集めている感動小説。泣ける恋愛小説を読みたい中学生におすすめの1作です。

あと少し、もう少し

新潮社 著者:瀬尾まいこ

あと少し、もう少し

駅伝を題材に、寄せ集めのメンバーで中学最後の大会に挑む男子中学生たちの奮闘を描いた感動小説。”感涙必至の青春小説”と謳われる、中学生におすすめの名作です。

中学3年生として、駅伝の最後の大会で上位入賞を目指している陸上部部長・桝井。しかし、陸上部の名物顧問は異動になり、陸上素人の頼りない美術教師が後任になります。なんとか集まったメンバー6人は、果たして県大会出場を叶えられるのでしょうか。

学校での立場も性格も異なる個性豊かな6人が、1本の襷を繋いでいく夏の熱い青春模様が見どころ。走る区間別に登場人物の視点を入れ替えながら、それぞれの意外な一面を描く群像劇になっています。スポーツの醍醐味と青春の爽快感が詰まった、おすすめの感動小説です。

西の魔女が死んだ

新潮社 著者:梨木香歩

西の魔女が死んだ

2008年に実写映画化もされた感動小説の傑作。中学生の少女が、祖母とともに「魔女修行」に励む穏やかな日々を描いた物語です。児童文学者協会新人賞・新美南吉児童文学賞・小学館文学賞など、数多くの文学賞を受賞しました。

中学校へ入学してまもなく、主人公・まいは学校が苦痛になってしまいます。そこで、まいは田舎に暮らす「西の魔女」こと祖母のもとで、しばらく過ごすことに。祖母はまいに、「魔女」になるためのさまざまな心得を授けるのです。

感受性が強い中学生のまいが、自分の意思で選択して生きる力を養っていく姿を追いかける本作品。胸に沁み入るような名言が、自然豊かな情景描写とともに多く盛り込まれています。疲れた心がほっと休まるような感動小説を読みたい方におすすめの名作です。

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。

スターツ出版 著者:汐見夏衛

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。

太平洋戦争末期の日本を舞台に、タイムスリップしてきた女子中学生と特攻隊員の悲しい恋模様を描いたSFテイストな感動小説です。SNSで注目を集め、2023年には実写映画化。累計部数は125万部を突破しています。

取り巻く周囲のすべてに苛立ちを募らせていた中学2年生の百合。ある日、母親と喧嘩して家を飛び出した彼女が目を覚ますと、なんと70年前・戦時中の日本にタイムスリップしていました。そんな百合を助けてくれた青年・彰に惹かれていくものの、彼は特攻隊員の1人だったのです。

まもなく戦地に飛び立つ特攻隊員と時を超えて出会った女子中学生の、切ない恋模様が胸に迫ります。戦争の悲惨さや不条理について、改めて考えさせられるのも魅力。戦争小説を読んだことがない中学生にもおすすめの1作です。