壮大な世界観やキャラクターの成長を楽しめるシリーズもの小説。一度読み始めると次の展開が気になり、夢中になってしまう魅力があります。しかし、さまざまな作品があり、どれを選ぶべきか悩む方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、シリーズもの小説のおすすめをご紹介。ミステリー・ファンタジー・恋愛などジャンル別に人気作品を選定したので、選書の参考にしてみてください。

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シリーズもの小説の魅力

長編やシリーズものの小説は、複数巻にわたって物語が展開されるのが特徴です。単巻の小説よりも文章量が多いため、世界観をより深く楽しめます。作中の時間が1週間程度の物語から、親子二代にわたる壮大な物語まで、さまざまなスケールの作品があるのも魅力です。

また、登場人物ひとりひとりの背景や性格、心理などを細かく描写できます。読者はキャラクターに感情移入しやすく、物語が進むにつれて愛着が湧いてきやすいのもポイント。人間関係や組織の闇といった、緻密なプロットでリアルな展開を楽しめる作品も数多くあります。

さらに、続編では登場人物や設定が確立されているので、テンポよく物語が進行する作品が多数。「もっとその世界に浸りたい」という気持ちに応えてくれるのがうれしいポイントです。好きなキャラクターや世界観に何度も触れられるので、読書体験が長く続くのも魅力といえます。

シリーズもの小説おすすめ

探偵ガリレオ – ガリレオシリーズ

文藝春秋 著者:東野圭吾

探偵ガリレオ

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人気ミステリー作家・東野圭吾作品のなかでも屈指の人気を誇るシリーズ小説で、「ガリレオ」最初の物語です。常識を超えた謎に天才科学者・湯川学が挑む連作ミステリー。2007年にはシリーズで初めてドラマ化され、シリーズは累計1600万部を突破しています。

突然燃え上がった若者の頭や、心臓だけ腐った男の死体、池に浮かんだデスマスクなど説明のつかない奇怪な事件が発生しました。

警視庁捜査一課・草薙俊平が奇怪な難事件にぶつかったとき、必ず訪ねる友人がいます。それが帝都大学理工学部物理学科の助教授・湯川学だったのです。

事件を科学で解明していく視点が新しく、読者も謎解きを楽しめる1冊。人気シリーズの原点に触れたい方や、読みやすい短編ミステリーを求める方におすすめです。

十角館の殺人 新装改訂版 – 館シリーズ

講談社 著者:綾辻行人

十角館の殺人

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伝説の建築家・中村青司が、各地で建てた館で起こる惨劇を描いた「館シリーズ」の第1作品目。新本格ミステリーの巨匠・綾辻行人のデビュー作で、「現代本格ミステリーの金字塔」とも評されています。

シリーズ累計発行部数は750万部を突破。2020年には漫画化され、2024年にはHuluで実写ドラマが独占配信され、続編も配信予定です。

本作品の舞台は孤島・角島に建つ、十角形の奇妙な館。館を建てた中村青司は、半年前に燃えた青屋敷で焼死したといいます。その館を大学ミステリ研の7人が訪問。やがて、学生たちを連続殺人犯が襲うのです……。

「ミステリー史上最大級」ともいわれる、驚愕の結末が待ち構えているのがポイント。密室ものや王道ミステリー小説に興味がある方におすすめです。

春期限定いちごタルト事件 – 〈小市民〉シリーズ

東京創元社 著者:米澤穂信

春期限定いちごタルト事件

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「小市民」を目指す高校生2人が日常の謎に巻き込まれる、静かで繊細な青春ミステリー連作短編集。米澤穂信による「小市民シリーズ」の第1作品目で、2024年7月にはアニメ化も果たしました。

船戸高校に入学した小鳩常悟朗と小佐内ゆきは、中学時代の苦い経験から「小市民」として静かに過ごすことを決意。恋愛関係でも依存関係でもない互恵関係を結び、厄介ごとからお互いを守ろうとします。

しかし、2人の前にはポシェット盗難事件や謎めいた美術部の絵など、不思議な出来事が次々と舞い込んできます。推理心を抑えきれない小鳩は、小佐内の制止を振り切って事件の真相に迫ることになり……。

気軽に読める連作短編でありながら、巧妙な伏線で各話がつながっていく構成が見事です。また、思春期の微妙な心理や人間関係を丁寧に描いた、米澤穂信らしい繊細な筆致が魅力。日常に潜む小さな謎を通して青春の一瞬を切り取っており、ミステリーファンや青春小説好きにおすすめです。

文庫版 姑獲鳥の夏 – 百鬼夜行シリーズ

講談社 著者:京極夏彦

文庫版 姑獲鳥の夏

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妖怪伝承と現代ミステリーが融合した、伝説的な推理小説シリーズの記念すべき第1作品目です。1994年に刊行された京極夏彦によるデビュー作。2005年には映画化もされ、シリーズ第2作で日本推理作家協会賞を受賞するなど高い評価を獲得しました。

昭和27年の夏、作家の関口巽は雑司ヶ谷の久遠寺医院にまつわる奇怪な噂を耳にします。医院の娘・梗子が20ヵ月もの長期間妊娠し続けており、夫の藤野牧朗は密室から煙のように失踪したというのです。困惑した関口は、古書店主で陰陽師でもある友人の中禅寺秋彦に相談を持ちかけます。

中禅寺は事件を中国の妖怪〈姑獲鳥〉と関連付けて調査を開始。特殊能力を持つ探偵・榎木津礼二郎と共に謎の解明に挑みます。やがて、医院で生まれた赤ん坊が次々と姿を消す連続嬰児失踪事件も発覚。物語は複雑で奥深い展開を見せていき……。

妖怪は比喩として用いられ、実際の犯人は人間という独特のスタンス。幻想と現実の境界を曖昧にした知的で重厚な世界観が魅力です。ミステリー愛好家や日本の妖怪文化に興味がある方におすすめです。

掟上今日子の備忘録 – 忘却探偵シリーズ

講談社 著者:西尾維新

掟上今日子の備忘録

眠ると記憶がリセットされる美女探偵が事件をほぼ1日で解決する、西尾維新による人気の推理小説シリーズ。2015年には新垣結衣主演でドラマ化され、注目を集めました。

主人公の掟上今日子は、眠ると記憶が完全にリセットされる「忘却探偵」。ある日、冤罪体質で事件に巻き込まれやすい隠館厄介が勤める研究所で、機密データ入りのSDカードが紛失します。

厄介は犯人扱いされ、今日子に無実の証明を依頼することになりました。今日子は推理内容を体に書き込んで記憶消失に対抗し、スピード感ある調査を展開しますが……。

「忘却」という制約が生む緊張感と、西尾維新らしい巧妙なトリックが読者を引き込みます。記憶が消える切なさと推理の鮮やかさのコントラストが印象的。独創的な設定の探偵ものを求める方におすすめのシリーズ小説です。

天久鷹央の推理カルテ – 天久鷹央シリーズ

新潮社 著者:知念実希人

天久鷹央の推理カルテ

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総合病院を舞台に、天才女医・天久鷹央が活躍する、新感覚のメディカルミステリー。知念実希人のシリーズ小説のなかでも人気の高い「天久鷹央シリーズ」第1作品目です。シリーズは吉川英治文庫賞にノミネートされ、累計発行部数は360万部を突破。2016年にはマンガ化、2025年にはアニメ化やドラマ化もされました。

物語の舞台は、東京都東久留米市にある天医会総合病院。そこに設立された特別部門・統括診断部の部長が天久です。河童に会ったと語る少年や、人魂を見たと怯える看護師など、各科で「診断困難」と診断された患者が集められます。

しかし、そんな摩訶不思議な「事件」には、思いもよらぬ「病」が隠されていたのです……。頭脳明晰な天久が、事件を解き明かしていきます。

登場人物も魅力的で文体が軽やかなため、読み進めやすい作品。張り巡らされた伏線やどんでん返しなど、しっかりとミステリーも堪能できます。「天久シリーズ」を読む順番は、本作品から順番に読むほかに、『スフィアの死天使』から時系列順に読んでいくのもおすすめです。

図書館戦争 – 図書館戦争シリーズ

KADOKAWA 著者:有川浩

図書館戦争 図書館戦争シリーズ 1

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本と恋をテーマに描かれた、ミリタリーもののシリーズ小説です。有川浩大ブレイクのきっかけとなった全6巻の「図書館戦争シリーズ」第1作品目で、シリーズは累計640万部を突破。映画・マンガ・アニメなどさまざまなメディアミックス作品が展開されています。

物語の舞台は正化31年、表現における公序良俗を取り締まる〈メディア良化法〉が施行されて30年が経つ現代日本。本を狩る組織〈メディア良化委員会〉による不当な検閲から本を守る、図書隊に所属する隊員たちの戦いや日常が描かれています。

主人公は、高校時代に出会った図書隊員を名乗る「王子様」の姿を追い求めて、図書隊に入隊した笠原郁。彼女は不器用ながらも愚直に頑張る情熱が評価され、新設された図書特殊部隊に配属されることとなりますが……。

ミリタリー色を持ちながらも読みやすい文体と、魅力的なキャラクターの掛け合いが特徴。本を愛する方なら誰もが共感できる「本を守る戦い」という独創的テーマを、恋愛要素も交えて描いています。表現の自由について考えたい方、恋愛×ミリタリーものが好きな方におすすめの傑作です。

成瀬は天下を取りにいく – 成瀬あかりシリーズ

新潮社 著者:宮島未奈

成瀬は天下を取りにいく

2024年本屋大賞を受賞した、「最強の主人公」成瀬あかりが周囲を巻き込む痛快青春シリーズ小説。宮島未奈のデビュー作で、新潮社新人賞史上初の3冠を達成しました。2025年12月発売の3巻で完結です。

2020年、コロナ禍の中学2年の夏休み。幼なじみの成瀬あかりが「この夏を西武に捧げる」と宣言します。閉店を控えた西武大津店に毎日通い、テレビ中継に映ろうとする成瀬の行動に、語り手の島崎みゆきは呆れながらも付き合うことになりました。

坊主頭で入学式に現れたり、M-1挑戦を宣言したりと、成瀬の奇行は止まりません。しかし、彼女の自由で一貫した姿勢が、クラスメイトたちの心を動かし始めます。やがて島崎を含む周囲の人々も、自分らしさに向き合うようになり……。

成瀬の魅力は悩まず同調圧力に屈しない強さと、どこかにいそうな親しみやすさを両立している点。青春時代を懐かしむ心あたたまるストーリーで、自分らしく生きたい方におすすめの傑作です。

月の影 影の海 上 – 十二国記シリーズ

新潮社 著者:小野不由美

月の影 影の海 上 十二国記

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異世界〈十二国〉で繰り広げられる、壮大なファンタジーシリーズ小説です。小野不由美の代表作であり、シリーズ累計1300万部を突破している「十二国記シリーズ」の第1作品目。吉川英治文庫賞を受賞し、過去にはアニメ化やゲーム化などもされている人気作です。

平凡な毎日を過ごしていた女子高生・陽子はある日突然、金髪の髪の男・ケイキに異界へ連れ去られます。ケイキとはぐれ、異界で裏切りや飢餓、帰れない恐怖など試練の数々が陽子に待ち受けていますが、過酷な世界のなかでも気高く生きていく物語です。

細かく作りこまれた世界観や、陽子が成長していく様子を見られるのがポイント。中学生ごろから大人までおすすめのシリーズ小説です。

スタイルズ荘の怪事件 – ポアロシリーズ

早川書房 著者:アガサ・クリスティー

スタイルズ荘の怪事件

ミステリーの女王といわれるアガサ・クリスティーのデビュー作で、名探偵エルキュール・ポアロが初登場する記念すべき第1作品目。1920年発表の古典的ミステリーシリーズの原点として、100年以上経った現在でも愛され続けています。

第一次世界大戦中、療養休暇中のヘイスティングズが旧友ジョン・カヴェンディッシュに招かれスタイルズ荘を訪問。到着早々、屋敷の女主人エミリー・イングルソープが毒殺される事件に遭遇します。被害者は、20歳年下の夫アルフレッドと結婚したばかりでした。

ヘイスティングズはベルギー人の元警察官エルキュール・ポアロと偶然再会し、事件の謎解きを依頼。そして、ポアロは複雑な家族関係と遺産相続の動機が絡み合う事件の真相に迫っていき……。

デビュー作とは思えない完成度の高さで、読者を最後まで翻弄する巧妙な構成が魅力。古典ミステリーの醍醐味を味わえる名作として、推理小説ファンはもちろん、初心者にもおすすめのミステリーシリーズです。

Xの悲劇 – ドルリー・レーン・シリーズ(悲劇シリーズ)

東京創元社 著者:エラリー・クイーン

Xの悲劇 新訳版

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満員の路面電車内で起きる密室殺人に挑む、聴覚を失った元名優探偵の活躍を描いた傑作推理小説シリーズ。エラリー・クイーンによる「ドルリー・レーンシリーズ」第1作品目で、悲劇四部作の記念すべき開幕作です。

ニューヨークの満員の路面電車内で、株式仲買人ハーリー・ロングストリートが毒入りの針で殺害される事件が発生。多くの敵を持つ男だったため、容疑者は多数いるうえ、満員の車内という状況で、犯人の特定は困難を極めます。

そこで、聴覚を失った元名優ドルリー・レーンが、ブルーノ地方検事とサム警視から捜査協力を依頼されました。被害者が死の間際に描いた「X」のダイイングメッセージを手がかりに、レーンは鋭敏な頭脳と論理的推理力で、群衆の中の密室という困難な状況から真相を導き出していきます。

群衆の中での密室殺人という独創的な設定と、レーンの魅力が光る名作。フェアプレイの本格ミステリーとして完成度が高く、読者も一緒に推理を楽しめます。古典推理小説や本格ミステリーが好きな方におすすめです。

ナルニア国物語1 魔術師のおい

光文社 著者:C・S・ルイス

ナルニア国物語1 魔術師のおい

全世界1億2千万部を突破した「ナルニア国物語シリーズ」の時系列第1作品目で、ナルニア創世の瞬間を描く壮大なファンタジー小説。カーネギー賞受賞の児童文学の金字塔で、実写映画化や漫画化もされた名作です。

20世紀初頭のロンドンで、少年・ディゴリーと隣家の少女・ポリーが、ディゴリーの叔父・アンドリューの部屋に忍び込みます。そこで魔法の指輪を発見し、触れたポリーが異世界に消えてしまいました。ディゴリーは友達を救うため、同じ指輪で異世界への冒険に向かいます。

2人は廃都で悪の女王・ジェイディスを誤って復活させ、ロンドンに連れ帰ってしまいました。女王を元の世界に戻そうとするなかで、別の新しい世界に迷い込みます。すると、ライオンのアスランが歌声でナルニア国を創造する神秘的な瞬間に立ち会うことになり……。

映画化もされたシリーズの他作品『ライオンと魔女』などのエピソードとつながる構成が巧妙です。ナルニアの起源を知ることで、物語全体がより楽しめる仕組み。児童文学やファンタジー好きにおすすめの傑作です。