文化や歴史的背景が異なる世界の物語に触れられる海外文学。壮大な歴史ロマンや難解なミステリーなど、そのジャンルは多様です。しかし、作品によって国や時代などが異なるので、どれを選ぶか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、海外文学のおすすめ作品をご紹介します。選び方のポイントもあわせて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

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海外文学のおすすめ作品

そして誰もいなくなった

早川書房 著者:アガサ クリスティー

そして誰もいなくなった

クローズド・サークルミステリーの金字塔とされる海外文学。世界で約1億部以上の売上を記録した、人気ミステリー小説です。

孤島の邸宅に招かれた職業も年齢もさまざまな10人の男女。招待主の姿は見えず、晩餐で突如として過去の罪を告発される彼ら。島の部屋に飾られたマザーグースの童謡「十人の小さな兵隊さん」の歌詞通りに、ひとりまたひとりと命を落としていきます。

絶海の孤島という密室空間で、最後まで犯人がわからない巧妙なトリックが仕掛けられた傑作。読者も登場人物と一緒に推理を楽しめる構成で、二転三転する展開にページをめくる手が止まらないという声もあります。本格ミステリーを読み始めたい方におすすめです。

プロジェクト・ヘイル・メアリー 上

早川書房 著者:アンディ ウィアー

プロジェクト・ヘイル・メアリー 上

記憶を失った科学者が宇宙船で目覚め、人類存亡をかけたミッションに挑むSF小説。第53回星雲賞海外長編部門を受賞しています。人類滅亡の危機に立ち向かう男を描いたエンターテインメント作品です。

ライランド・グレースは記憶を失ったまま宇宙船〈ヘイル・メアリー〉号で目を覚まします。断片的に蘇る記憶から、太陽エネルギー減少による地球滅亡の危機「ペトロヴァ問題」の真実を導き出していく科学者。科学知識を駆使して人類の希望となる謎の解明に立ち向かいます。

科学的リアリティと人間ドラマが融合した作品。宇宙を舞台にした孤独な冒険を描いており、科学的考証に基づいたストーリー展開とユーモアが見どころです。

アルジャーノンに花束を

早川書房 著者:ダニエル キイス

アルジャーノンに花束を

知的障害者の青年が知能向上手術により天才となる、科学と人間の尊厳を描いたSF小説。1960年にヒューゴー賞短編小説部門、1967年にネビュラ賞を受賞した名作です。

知能が6歳児程度の32歳の男性チャーリー・ゴードンは、パン屋で働きながら「かしこくなりたい」という強い願いを抱いています。彼は同じ手術を受けたネズミのアルジャーノンと同様の脳手術を受けることになります。やがて手術により天才に変貌したチャーリーが、愛や憎しみ、喜びや孤独を通して知る人間の心の真実とは……。

知能の変化を日記形式で描いた独特の文体が特徴的で、科学の進歩と人体実験の代償というテーマを深く掘り下げた傑作。SFや心理小説に興味のある方におすすめです。

ドン・キホーテ 前篇1

岩波書店 著者:セルバンテス

ドン・キホーテ 前篇1

騎士道物語に心を奪われた初老の紳士が、現実と妄想の境界を越えて旅に出る古典文学の傑作。17世紀スペイン黄金時代の作家セルバンテスが描いた世界的名作です。

読み過ぎた騎士道本に影響され、妄想にとらわれた初老の紳士アロンソ・キハーノ。古ぼけた甲冑に身を固め、やせ馬ロシナンテに跨って遍歴の騎士となります。時代錯誤の行動と肉体的脆弱さで、行く先々で嘲笑の的となりながらも冒険を続ける姿を描いています。

現実と理想の狭間で揺れ動く人間の姿を、ユーモアとペーソスで表現した不朽の名作。セルバンテスが創り出した独特の語り口と、複層的な物語構造もおすすめポイントです。

罪と罰 上

新潮社 著者:ドストエフスキー

罪と罰 上

貧困にあえぐ学生の心理を鋭く描いた長編小説。1866年に発表され、世界中で愛読され続ける名作です。

学費未納で大学を除籍された青年ラスコーリニコフは、ぎりぎりの貧乏暮らしに苦しんでいました。強欲非道な高利貸しの老婆に借金を重ね、絶望的な状況に追い込まれた彼は、ある思想にとりつかれます。「選ばれた人間は社会のために道徳を超えた行動ができる」という信念のもと、老婆の殺害を計画するのです。

鋭敏な頭脳と深い思索力を持つ主人公の心の動きが、圧倒的な筆力で描かれた傑作。人間の罪と罰、そして贖罪をテーマにした深遠な物語は、現代でも色褪せることがありません。ロシア文学や心理小説に興味のある方におすすめです。

星の王子さま

新潮社 著者:サン テグジュペリ

星の王子さま

砂漠で不時着したパイロットが小さな星から来た王子さまと出会う、愛と友情の世界的名作。1943年にアメリカで出版されたフランス文学の傑作です。

自分の星の薔薇との些細な喧嘩から旅に出た王子さまは、さまざまな星で多くの大人たちと出会います。7番目の星・地球で「僕」と友情を育みながら、目に見えない大切なものの価値を教えてくれる物語です。

内面的な価値を大切にするような名言も散りばめられているのがポイント。愛や友情、人生の本質について考えさせられる内容で、子供から大人まで読み継がれるおすすめの作品です。

ボヴァリー夫人

新潮社 著者:ギュスターヴ フローベール

ボヴァリー夫人

退屈な田舎生活に倦み、情熱と虚栄心に溺れる美しい妻の破滅を描いたフランス文学の金字塔。リアリズム文学の代表作として世界中で読み継がれています。

娘時代に恋愛小説を読み耽った美しいエンマは、田舎医者シャルルとの退屈な新婚生活に満たされずにいました。夫への愛情を失った彼女は、夫の目を盗んで色男ロドルフや青年書記レオンと不倫を重ねるのでした。空想癖と虚栄心が招いた莫大な借金に追い詰められ、ついに服毒自殺に至る悲劇的結末を迎えます。

フローベールの客観的で厳密な描写技法により、地方の平凡な姦通事件が文学芸術に昇華された名作。自由間接話法を駆使した緻密な心理描写が見どころです。

老人と海

新潮社 著者:ヘミングウェイ

老人と海

1人の老漁師の海での格闘を描いた不朽の名作。1953年にピューリッツァー賞を受賞、翌年にはノーベル文学賞も受賞した作品です。

84日間不漁が続くキューバの老漁師サンチャゴ。自分を慕う少年マノーリンに見送られ、85日目の朝、小舟で沖へ出ます。そして遂に巨大なカジキが釣針にかかり、3日間にわたる死闘が始まります。

老人の闘いは敗北のように見えながら、自己の尊厳と漁師としての誇りを取り戻す物語。シンプルな構成ながら深い人間ドラマを描いた、おすすめの作品はです。

ユリシーズ1

集英社 著者:ジェイムズ ジョイス

ユリシーズ1

新しい文体を創始し、表現の可能性に迫ったと謳われる作品。20世紀文学の金字塔とも称される長編小説です。

1904年6月16日のダブリンを舞台に、青年スティーヴンと広告勧誘員ブルームの1日を描いた物語。各章で文体や手法が変化するのが特徴で、意識の流れや内的独白などモダニズム文学の革新的技法が盛り込まれています。複雑で謎めいた構造ながら、人間の内面と社会を鋭く描写しているのが特徴です。

語り手が次々と変わる複雑な文体構造が魅力。現代文学への影響は計り知れず、世界文学屈指の名作として評価されている作品です。

ハリー・ポッターと賢者の石1-1 新装版

静山社 著者:J.K.ローリング

ハリー・ポッターと賢者の石1-1 新装版

孤児の少年が魔法使いだったと知り、魔法学校で冒険を始める世界的ベストセラー小説。1997年にイギリスで出版され、1999年に日本語版が発売。映画化もされ、世界中で愛され続けている魔法ファンタジーの代表作です。

ダーズリー家に引き取られたハリー・ポッターは、11歳の誕生日に自分が魔法使いであることを知ります。両親は暗黒の魔法使いヴォルデモートに殺され、自身は生き延びたことで魔法界の有名人でした。ホグワーツ魔法魔術学校で、親友ロンとハーマイオニーに出会い、魔法の授業やクィディッチを学びます。

学校に隠された〈賢者の石〉を巡る謎に巻き込まれ、ハリーたちは危険な試練に立ち向かうことに。友情と勇気をテーマに、魔法界の秘密や闇の力との戦いが描かれています。魔法世界に憧れがある方や、冒険ファンタジーが好きな方におすすめです。

百年の孤独

新潮社 著者:ガブリエル ガルシア マルケス

百年の孤独

1967年に発表された、ラテンアメリカ文学の代表作。1982年のノーベル文学賞を受賞した世界的名作です。世界46言語に翻訳され、5000万部以上売り上げています。

蜃気楼の村マコンドを舞台に、開拓者一族ブエンディア家の100年にわたる興亡を壮大に描きます。族長ホセ・アルカディオ・ブエンディアとウルスラから始まる一族は、歴史の繰り返しと宿命に翻弄されながら、愛と孤独のなかを生き抜いていきます。

現実と幻想が融合した独特の世界観で、登場人物たちの複雑な人間関係と運命の糸を巧みに織り上げた傑作。壮大な叙事詩に興味のある方におすすめです。