小説を原作とした有名な映画やドラマは数多くあります。『半沢直樹シリーズ』や『世界の中心で、愛をさけぶ』など、映画化・ドラマ化で社会現象になった作品も。映像化された際には描かれなかった場面や心情描写を楽しめるのが原作小説の魅力です。
今回は、映画化・ドラマ化された小説からおすすめの作品をご紹介。近年、映像化された注目作を含め、高い人気を有する名作をジャンル別にお届けします。
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- 目次
- 映画化・ドラマ化された小説のおすすめ|人気
- 映画化・ドラマ化された小説のおすすめ|感動
- 映画化・ドラマ化された小説のおすすめ|恋愛
- 映画化・ドラマ化された小説のおすすめ|ミステリー
- 映画化・ドラマ化された小説のおすすめ|海外
映画化・ドラマ化された小説のおすすめ|人気
国宝 上 青春篇
朝日新聞出版 著者:吉田修一
歌舞伎界を舞台に、血縁と才能に翻弄される男たちの激動の人生を描いた芸道小説の傑作。芸術選奨文部科学大臣賞と中央公論文芸賞をダブル受賞し、ミリオンセラーを突破した吉田修一の代表作です。2025年には吉沢亮と横浜流星主演で映画化され、興行収入が国内邦画で歴代1位になるなど大きな話題を呼んでいます。
1964年元旦、長崎の任侠の家に生まれた立花喜久雄は、父を抗争で失い、上方歌舞伎の名門・花井家に引き取られます。そこで血縁の御曹司・大垣俊介と出会い、兄弟のように育ちました。
この世ならざる美貌と才能を持つ喜久雄と、俊介は切磋琢磨しながら歌舞伎の道を歩みますが、血縁と実力の違いに葛藤していきます。1960年代から現代まで、芸の世界での孤独と情熱、愛と裏切りが交錯する壮大な人間ドラマが展開されるのです。
歌舞伎という伝統芸能を題材にしながらも、決して敷居の高い作品ではありません。芸術と人間の本質を深く掘り下げた、重厚な文学作品を読みたい方におすすめです。
君の膵臓をたべたい
双葉社 著者:住野よる
2017年に実写映画化、2018年にアニメ映画化された青春小説の大ヒット作。秘密を共有する高校生の男女の切なく美しい日々を描いた、著者のデビュー作です。2016年の国内年間ベストセラーで第1位を記録し、累計部数は300万部を突破しています。
高校生の「僕」が、病院で1冊の文庫本を拾うところから物語はスタート。「共病文庫」と名付けられたその本は、クラスの人気者・山内桜良が、膵臓の病気を抱えた自分の気持ちを綴るための秘密の日記帳だったのです。
桜良が余命わずかであることを偶然にも知った僕。接点もなかった桜良の「秘密を知るクラスメイト」として、彼女のしたいことに付き合うようになり……。
印象的なタイトルと予想を裏切るストーリー展開が話題を集めた映画化作品。当たり前に生きている日常の尊さについて考えさせられます。感動できるボーイミーツガールストーリーが読みたい方におすすめの人気作です。
容疑者Xの献身
文藝春秋 著者:東野圭吾
ドラマ化で人気を集めた「ガリレオシリーズ」の1作。著者自身が最高傑作と語る、正統派な長編ミステリー小説です。第134回直木三十五賞を受賞し、映画化の際にも注目を集めました。シリーズ第3作目にあたりますが、本作品単独でも楽しめます。
高校教師を務める天才数学者・石神は、アパートの隣に住む花岡靖子たち母娘を精神的な支えとしていました。そんなある日、靖子と娘はアパートにやってきた元夫を殺害してしまうのです。その事実を知った石神は、2人のために警察の目を欺く完全犯罪を企てます。
天才物理学者・湯川学による鮮やかな推理が見どころの本シリーズ。本作品では、湯川の大学の同窓生である石神との激しい頭脳対決が繰り広げられます。論理的な謎解きと、事件に隠された切ない真実が多くの読者を魅了した、おすすめの映画化作品です。
永遠の0
講談社 著者:百田尚樹
第二次世界大戦時に生き抜こうと奮闘した、零戦の天才パイロットの生涯を追った戦争小説の傑作。2013年に映画化され、累計546万部を超える大ベストセラー作品になりました。2015年にはドラマ化もされています。
人生の目標を見失いかけていた佐伯健太郎は、フリーライターの姉とともに特攻隊員として戦死したという祖父の足跡を調べはじめます。天才ながら臆病者で、生に執着していたという祖父。そんな彼はなぜ、自ら零戦に乗る決断をしたのでしょうか。
1人の特攻隊員にまつわる謎を明らかにしながら、第二次世界大戦の全体像をわかりやすく描いているのがポイント。特攻隊員を中心とした人間ドラマからは、生きるとは、人を愛するとは何かを考えさせられます。映画化も大ヒットを記録したおすすめの戦争小説です。
オレたちバブル入行組
文藝春秋 著者:池井戸潤
責任を押し付けられる不遇な中間管理職が奮闘する、痛快さが魅力のエンターテインメント作品。その後も続編が発表されている人気シリーズの第1作で、2013年に『半沢直樹』としてドラマ化された小説です。最終回の視聴率で42.2%を記録したドラマは、平成に名を残すヒット作になりました。
バブル期に大手銀行に入行した半沢は、今や支店の融資課長を任される中間管理職です。しかし、無理やり支店長が融資の話を通した会社の倒産によって、責任を押しつけられた半沢は一気にピンチに陥り……。
理不尽に立ち向かう半沢を応援したくなるという声も多い人気作品。スカッとできる小説が好きな方におすすめです。
1リットルの涙 難病と闘い続ける少女亜也の日記
幻冬舎 著者:木藤亜也
病と闘う少女が自身の言葉で綴る、実話をもとにしたベストセラー作品です。2005年に映画化・ドラマ化もされています。
まだ15歳の少女から青春を奪ったのは、避けようのない恐ろしい病魔。苦しみだらけの闘病生活で彼女の支えになったのは、日記を書き続けることでした。
徐々に体の自由が効かなくなるなかで、意識だけは最期まではっきりと保たれる病に侵される少女の想いを描く日記です。生きることの難しさや、当たり前の大切さが身に染みるという声が多い作品。泣ける名作を探している方におすすめです。
世界の中心で、愛をさけぶ
小学館 著者:片山恭一
2004年に映画化・ドラマ化され、社会現象を巻き起こした恋愛小説の大ベストセラー作品。亡くなった恋人との日々を通して、愛とは何かを綴った切ないラブストーリーです。「セカチュー」の通称で親しまれ、累計部数は350万部を突破しています。
物語の中心は、高校2年生だった朔太郎と、病で亡くなってしまった同級生の恋人・アキ。2人の出会いから無人島への旅、そして発病・入院へと至るまでのかけがえのない日々が語られていきます。
最愛の人を亡くした主人公の喪失と再生を、哀愁ただよう筆致で表現しました。高校生の正統派な純愛ストーリーとしてだけでなく、人との別れについて深く考えさせられるのも魅力。映画化・ドラマ化作品とは異なる展開を楽しめる点でもおすすめの1作です。
白い巨塔 一
新潮社 著者:山崎豊子
医学界の腐敗と権力争いを描写する、スリリングな社会派作品。映画化など複数回実写化された小説で、続編も発表されている人気シリーズの第1作です。1963年から1965年まで、『サンデー毎日』にて連載されていました。
大病の手術や陰謀渦巻く教授選、誤診裁判など、医学界の水面下では熾烈な権力争いが起こっていました。人を助けるために運営されるべき病院の裏側を、人間の欲望が支配するさまを描きます。
どの時代でも変わらず繰り広げられる権力闘争を、病院を舞台に表現した作品です。出世欲が強い財前五郎のキャラクターが面白いと、高評価を得ています。ドロドロの人間ドラマを生々しく描写した小説を探している方におすすめです
映画化・ドラマ化された小説のおすすめ|感動
八日目の蟬
中央公論新社 著者:角田光代
母性の真髄に迫る、ノンストップ・サスペンス作品です。第2回中央公論文芸賞を受賞した本作品。2011年に映画化されており、第35回日本アカデミー賞で10冠を達成し話題になりました。
不倫相手の赤ん坊を誘拐した希和子は、東京から小豆島に渡り逃亡生活を続けます。偽りの母子として、さまざまな葛藤を感じる希和子。そして、娘・薫の胸にも抱えているモノがあり……。
ひどい仕打ちを受け、衝動的に犯罪を犯し逃亡する主人公。運命に争うように愛を育み、前に進むために過去と向き合うおすすめの作品です。
博士の愛した数式
新潮社 著者:小川洋子
記憶を積み重ねることが叶わない数学者との関わりを、心あたたまる文体で表現したヒューマンドラマ作品です。2006年に映画化されました。第1回本屋大賞を受賞しています。
博士の背広に留められたメモには、”ぼくの記憶は80分しかもたない”の文字が書かれていました。記憶力を失った博士は、家政婦にいつも誕生日を尋ねます。家政婦の息子であり小学生のルートを加え、3人はあたたかな日々を過ごしていくのでした。
記憶を保てない博士のあたたかい人柄が感じられる1作。数学が苦手でも、数字が持つ面白さを感じられたという声もあります。ほんわかしていながらも切ない、映画化された小説を探している方におすすめです。
ツナグ
新潮社 著者:辻村深月
死者と生者をつなぐ、感動の連作長編作品。第32回吉川英治文学新人賞を受賞し、2012年に映画化された小説です。2019年に待望の続編が出版され、大きな話題になりました。
突然死したアイドルに人生を救われたOLや、いなくなった婚約者を待ち続ける会社員。人生で1度だけ死者と生者を再会させる”ツナグ”は、依頼を受け一夜の邂逅を実現させます。
それぞれが想いを抱えながら、死者との対峙を実現しようする人々の物語を描いた本作品。人と人の対峙を軸に、人間のリアルな心理を表現しています。連作で読みやすい小説を探している方におすすめです。
手紙
文藝春秋 著者:東野圭吾
犯罪加害者の家族の、偏見に塗れた生涯を描写するベストセラー作品です。2006年に文庫版が出版され、発行部数は250万部を超えています。2006年に映画化、2018年にテレビドラマ化された小説です。
直貴のもとには、強盗殺人の罪で服役中の兄から月に1度手紙が届きます。そんな兄の存在が、進学・恋愛・就職と幸せを掴もうとする直貴にとって、避けては通れない障害になるのです……。
人との繋がりについて考えさせられる作品。人間の感情の奥深くに迫る、切なさもある感動作です。
とんび
KADOKAWA 著者:重松清
父子の絆を描写した、小さな街を舞台に人情を感じられる感動小説です。2008年に単行本、2011年に文庫版が発売されました。2022年に、阿部寛と北村匠海出演で映画化されています。
昭和37年の瀬戸内海に位置するある街に、運送会社に勤めるヤスが住んでいました。そんなヤスに、息子・アキラが生まれます。家族に囲まれ幸せの絶頂にいた彼ですが、その幸福は長くは続かず……。
不器用な父が息子と向き合う姿に心を打たれると、高い評価を得ている作品です。昭和の地方ならではの、街全体の人情にも心があたたまると話題。親子の絆を感じたい方におすすめの映画化された小説です。
東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~
新潮社 著者:リリー・フランキー
自分のために半生を生きた母との人生を描く、リリー・フランキーの自伝作品。第3回本屋大賞を受賞し、2007年にオダギリジョーと樹木希林主演で映画化された小説です。
4歳のときに父と別居をした主人公は、小さな炭鉱町で母と一緒に暮らしていました。やがて東京に出た彼は、母が闘病していることを知ります。再び共に住もうかと提案する主人公ですが、その瞬間は少しずつ近づいていて……。
人は誰しもが母から生まれ、その存在は特別なモノ。愛に溢れたその独特な関係性を、感動の筆致で描写している名作と名高い1作です。家族愛をテーマにした小説を探している方におすすめです。
西の魔女が死んだ
新潮社 著者:梨木香歩
西の魔女を名乗る祖母から人生を教わる、死と向き合った人気作です。2008年に映画化された小説。2024年にはリーディングドラマも上演されました。
学校に行けなくなってしまった中学生のまいは、少しの期間を西の魔女と共に過ごすことになります。西の魔女とは、母の母であるイギリス人の祖母のこと。そこで始まった魔女修行の要は、なんでも自分で決めることでした。
祖母の優しさと自然豊かな場所での生活に心があたたかくなる本作品。死を悲しいだけの事象ではなく、前向きに解釈した小説に興味がある方におすすめです。
映画化・ドラマ化された小説のおすすめ|恋愛
マチネの終わりに
文藝春秋 著者:平野啓一郎
第2回渡辺淳一文学賞を受賞した恋愛小説です。2019年に福山雅治と石田ゆり子の主演で映画化され話題となりました。芥川賞作家・平野啓一郎が毎日新聞で連載し、単行本化された代表作のひとつです。
世界的なクラシックギタリスト蒔野聡史は、パリでのコンサート後にジャーナリストの小峰洋子と出会います。2人は瞬く間に惹かれ合いますが、洋子には婚約者がいるという複雑な状況。それでも抑えられない想いを抱きながら、運命的な恋が始まります。
物語は東京、パリ、ニューヨークを舞台に展開し、40代の男女が現実と向き合いながら愛を育む姿を繊細に描写。大人の恋愛の美しさと切なさを味わいたい方におすすめです。
ぼくは明日、昨日のきみとデートする
宝島社 著者:七月隆文
切ない運命に導かれた男女の美しい純愛を描いた、感動のラブストーリー。2016年に映画化され、累計部数は160万部を突破しています。漫画や朗読劇にも起用された、恋愛小説の名作です。
京都の美術大学に通う大学2年生・南山高寿は、通学電車で福寿愛美に一目惚れ。高嶺の花に見えた愛美に何とか声をかけ、2人は交際に至ります。気配り上手で少し泣き虫な愛美との交際は順風満帆でしたが、彼女にはある大きな秘密があったのです。
奇跡的な運命で結ばれた2人のロマンチックで切ない恋模様が、映画化とともに国内外で大きな反響を集めました。巧みな構成も相まって、思わず2度読みしたくなる魅力があります。泣ける純愛ストーリーを読みたい方におすすめの1作です。
ノルウェイの森 上
講談社 著者:村上春樹
死から始まる、切なく重い恋愛作品です。2010年に映画化されており、松山ケンイチが主役を演じています。
暗い雨雲を抜け、ハンブルク空港に着陸した飛行機。その機内では、天井のスピーカーからビートルズの「ノルウェイの森」が流れていました。その曲を聞いた瞬間、登場していた1人の男は過去の出来事を思いだし、激しく混乱します。
セリフの1つ1つが胸に残ると、高い評価を得ている作品です。死という概念を軸に、それに縛りつけられる人々を等身大で描いています。物語の全体から漂う独特な雰囲気もおすすめポイントです。
いま、会いにゆきます
小学館 著者:市川拓司
亡き妻が雨の季節に戻ってくる、ほっこりできて泣けるラブストーリーです。2007年に発売されたベストセラー小説で、2004年に映画化。2005年には、テレビドラマ化もされました。
大好きだった妻の澪を亡くした巧は、息子の佑司と静かに暮らしていました。雨の季節の週末に歩いていた2人は、思いがけない人物と遭遇します。それは、1年前に亡くなったはずの妻でした。
当たり前の挨拶をする人がいることの幸せを、再確認できる1作です。ファンタジーな世界観で、愛情に溢れたほっこりするストーリーを描いています。
阪急電車
幻冬舎 著者:有川浩
1つの電車に乗る乗客たちの、それぞれの物語を描く傑作長編作品。2010年に文庫版が発売され、中谷美紀や戸田恵梨香出演で映画化もされた小説です。
電車に乗っている1人の男。隣に座った女性は、図書館で見かける少し気になるあの人でした。電車に乗った人々の運命が交差する、胸キュンラブストーリーです。
短い路線を舞台に、折り返し終着するまでの物語を描写しています。オムニバス形式なので、1冊でさまざまなストーリーを楽しみたい方におすすめ。清々しく前向きな小説を探している方は、チェックしてみてください。
あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。
スターツ出版 著者:汐見夏衛
現代の女子中学生が戦時中にタイムスリップし、特攻隊員の青年と切ない恋を育む感動の恋愛小説。TikTokで「泣ける」と話題になり、シリーズ累計発行部数150万部を突破したベストセラーです。2023年12月に福原遥主演で映画化されて大ヒットし、続編『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』の映画制作も決定しています。
母親と喧嘩して家出した現代の女子中学生・加納百合は、目を覚ますと1945年の戦時中の日本にいました。そこで特攻隊員の青年・佐久間彰と運命的な出会いを果たします。彰の誠実さと優しさに惹かれていく百合でしたが、戦争の厳しい現実が2人を取り巻いていました。
特攻隊員として戦地へ向かう宿命を背負う彰と、現代に帰らなければならない百合。限られた時間の中で育まれる、純粋で切ない恋が描かれます。
「初めて本を読んで泣いた」「現代の幸せに気づかされた」といった口コミの多い感動作。戦争を背景にした切ないラブストーリーを読みたい方におすすめです。
わたしの幸せな結婚
KADOKAWA 著者:顎木あくみ
虐げられてきた少女が愛され、幸せを知る恋愛小説です。累計700万部を突破した人気シリーズの第1巻。2023年に映画化された小説で、2025年にはアニメの2期も放送予定です。
実母を早くに亡くした美世は、義母と義妹に虐げられながら生きてきました。そんな彼女は、冷酷と噂の軍人・清霞のもとへ嫁入りすることに。しかし、対面した清霞は見目麗しい美男子でした。最初はすれ違っていた2人ですが、共に暮らすうちに少しずつお互いを大切に想うようになり……。
不幸な生い立ちだった美世が幸せを掴む姿を、応援しながら見守りたくなると評判。王道のシンデレラストーリーが好きな方におすすめです。
桜のような僕の恋人
集英社 著者:宇山佳佑
愛する人との時間の大切さ、人生の儚さを考えさせられる物語です。2017年に集英社文庫から発売された本作品。2022年に中島健人主演で映画化された小説で、漫画化もされました。
美容師の美咲に恋をした晴人は、諦めていたカメラマンの夢をもう1度追い始めます。そんな彼の姿に美咲も惹かれ、2人は恋人同士に。しかし、美咲が人よりも早く老いてしまう難病を患ってしまい……。
実在する病気をテーマに、短く儚い悲劇的な恋を描写しています。人を愛する尊さも、失う悲しさも凝縮されていると評判。泣ける恋愛小説を探している方におすすめです。
映画化・ドラマ化された小説のおすすめ|ミステリー
告白
双葉社 著者:湊かなえ
著者のデビュー作で、2010年に映画化されたミステリー小説の傑作です。第6回の本屋大賞を受賞。2015年には英語版が全米図書館協会アレックス賞に選ばれるなど、海外でも高い評価を受けています。
終業式のホームルームで衝撃的な告白をはじめた女性教師。彼女の子供が学校内で死亡した事件について、クラスの生徒のなかに犯人がいるというのです。彼女の告白のその後と事件の真相を、級友・犯人の家族・犯人それぞれの視点から描き出します。
事件の全体像を、章ごとに関係者のモノローグ形式で浮き彫りにしていく本作品。語り手の移り変わりとともに見えてくる新事実や、中学生の不安定な内面の動きに、読者も感情を揺さぶられます。読後も深く考えさせられるイヤミスが好きな方におすすめです。
謎解きはディナーのあとで
小学館 著者:東川篤哉
お嬢様刑事と毒舌な執事が、さまざまな謎を華麗に解き明かしていく人気ミステリーシリーズの第1弾です。2011年の本屋大賞を受賞し、同年櫻井翔主演でドラマ化。ヒットを受けて劇場版として映画化もされたほか、2025年にアニメ化もされました。累計部数は500万部を突破しています。
国立署の新米刑事として奮闘する宝生麗子は、世界的な大企業・宝生グループの令嬢。仕事には一生懸命向き合うものの、推理はいまひとつです。難解な事件を前にした麗子は、いつも執事兼運転手・影山に事件の一部始終を相談しています。
麗子に暴言を吐きがちな執事・影山が、安楽椅子探偵役として陰から事件を鮮やかに推理していく様が見どころ。6つの事件が収録された連作短編形式になっており、読者も一緒に推理を楽しめます。これから本格ミステリー小説に挑戦してみたい初心者にもおすすめの1作です。
十角館の殺人 新装改訂版
講談社 著者:綾辻行人
綾辻行人のデビュー作で、人気シリーズの第1作です。2024年にHuluにてドラマ化された小説。本作品を含む「館」シリーズは、累計670万部を突破しています。
ある屋敷で焼死した建築家・中村青司が建てた、奇妙な十角形の館が存在する角島。そこに、大学ミステリ研に所属する7人がやってきます。そして、館に入った7人を、謎の連続殺人事件が襲い……。
“すべてがわかる衝撃の1行”による、ラストのどんでん返しが秀逸と話題。名作と名高いミステリー小説を読みたい方におすすめです。
新装版 チーム・バチスタの栄光
宝島社 著者:海堂尊
第4回このミステリーがすごい!大賞を受賞した、医療ミスの謎を追う人気ミステリーシリーズの第1作です。複数の続編が出版されている作品で、2008年に映画化・ドラマ化されています。
心臓移植の代替手術”バチスタ”専門の天才外科チームで、術中死が連続発生します。外来の田口医師が、院長に命じられ内部調査をすることに。そこにやってきたのは、厚生労働省の変人役人・白鳥圭輔で……。
実際に医師免許を持つ著者ならではのミステリーを、緊迫感を持ちながら楽しめると話題。謎の真相を追う物語はもちろん、個性的な登場人物も面白いと評価されています。キャラクターが秀逸な、映画化された小説を探している方におすすめです。
傲慢と善良
朝日新聞出版 著者:辻村深月
失踪した婚約者の真実と対峙する、緊迫の恋愛ミステリー作品です。2022年に文庫版が出版され、2024年に映画化された小説。累計100万部も突破しており、漫画化もされています。
結婚を間近に控えていた西澤架の婚約者・坂庭真実が、突然姿を消します。彼女が姿を消した理由もわからないまま、架は真実を探すことに。そのなかで、彼は婚約者の過去と向き合うことになるのです。
人間に潜む”傲慢と善良”を、リアリティのある作風で描写しています。”結婚”を大きな軸に進むストーリーで、登場人物の境遇や考え方に共感したという声も。圧倒的な筆力で描かれたおすすめの話題作です。
死刑にいたる病
早川書房 著者:櫛木理宇
連続殺人事件のたった1件の冤罪を調査する、人間の闇を覗く傑作ミステリー小説です。2017年に文庫版が発売され、2022年に映画化されました。物語は、1人の大学生が受け取った、1通の手紙から動きだします。
大学生の筧井雅也は、稀代の殺人鬼・榛村大和から1通の手紙を受け取りました。手紙の内容は、多くの罪を認めながらも、最後の1件の冤罪だけを証明してほしいというモノ。かつてよき理解者であった榛村を慕っていた雅也は、事件の調査を開始し……。
榛村と会話しその素性を知っていくなかで、少しずつ変わっていく雅也。洗脳の怖さがよくわかると、サスペンスやホラーとしても高く評価されている1作です。ゾクっとする小説に興味がある方におすすめです。
氷菓
KADOKAWA 著者:米澤穂信
青春を感じられる、日常に潜む謎に挑んだミステリー作品です。山﨑賢人主演で映画化された小説で、米澤穂信のデビュー作。2012年にアニメ化、漫画化もされています。
何事も積極的には深入りしない奉太郎は、高校生になった直後に姉からの指令で古典部に入部することに。そこで出会った好奇心の塊である少女・えるから、彼はある依頼をされます。その依頼とは、33年前のある事件の真相を推理することで……。
人気シリーズの第1作で、青春のほろ苦さを謎と共に楽しめる本作品。タイトルの意味も作品の大きなポイントになっています。青春ミステリーが楽しめるおすすめの1作です。
白夜行
集英社 著者:東野圭吾
1つの事件をきっかけに、複雑に人間模様が絡み合うミステリー長編です。2006年にドラマ化された小説。2011年には、堀北真希と高良健吾主演で映画化もされました。
1973年に、大阪のビルで1人の男が殺される事件が発生します。複数人の容疑者が浮かぶも、事件は結局未解決に。しかし、被害者の息子・桐原亮司と容疑者の娘・西本雪穂の周りで、犯罪の跡がチラつき始め……。
切なく悲しいミステリーで、交錯する人間関係に没頭できると評判の作品です。先が気になるストーリーで、スラスラ読めると高い評価を得ています。1作の重厚な世界観を、しっかりと楽しみたい方におすすめです。
映画化・ドラマ化された小説のおすすめ|海外
アルジャーノンに花束を 新版
早川書房 著者:ダニエル・キイス
知能の向上をテーマに青年の成長と葛藤に塗れた内面を描くSF作品です。2015年に山下智久主演でドラマ化された小説。映像化だけでなく、舞台化もされている人気作です。
32歳で幼児の知能レベルであるチャーリイは、ネズミのアルジャーノンと共に頭がよくなる手術を受けます。天才的な知能を手に入れた彼ですが、その影響でそれまでは気づかなかった感情を覚え始め……。
知能レベルが変化していくチャーリイが、経過観察を記す形式が面白いと話題になった本作品。文章のクオリティが変わっていく経過観察が、興味を引くと評判です。喜怒哀楽を繊細に描いたおすすめの1作です。
ハリー・ポッターと賢者の石 新装版
静山社 著者:J.K.ローリング
1人の少年が魔法世界の陰謀と対峙する、世界的なファンタジー作品です。2001年にダニエル・ラドクリフ主演の映画は大ヒットし、全8作が制作された人気シリーズになりました。
額に稲妻型の傷を持つ少年、ハリー・ポッターは、両親を亡くし親戚にいじめられながら生きてきました。11歳の誕生日を迎えた彼に、手紙が届きます。それは、ホグワーツ魔法魔術学校への入学許可証でした。
魔法の世界にワクワクできる1作で、虐げられていた主人公が才能を活かして活躍していく姿が魅力。世界観もしっかりと作り込まれており、子どもも大人も楽しめる海外のファンタジーの名作に、興味がある方におすすめです。
指輪物語1 旅の仲間 上
評論社 著者:J.R.R.トールキン
ファンタジー文学の金字塔と称される、J.R.R.トールキンの世界的名作小説です。ピーター・ジャクソン監督により三部作で映画化され、完結編はアカデミー賞11部門を受賞しています。
魔王サウロンが作り出した強大な力を持つ指輪を、養父のビルボから相続したホビットのフロド。村に災いが及ばぬよう理由を明かさず、3人の友人とともに故郷を離れることになります。
不気味な黒ずくめの騎士たちに追われながらも、エルフの一族やさまざまな人物と出会いました。そして、エルフの王・エルロンドのもとにたどり着き、指輪を〈滅びの山〉に投げ入れて消滅させることが決定し……。
仲間たちと友情を深めながら、壮大な冒険の旅が始まります。美しい風景や食事シーンなど細やかな描写も魅力。壮大なファンタジー世界を体験したい方におすすめです。
シャイニング 上
文藝春秋 著者:スティーヴン・キング
1980年にスタンリー・キューブリック監督により映画化され、映画史に残る傑作の原作小説です。雪に閉ざされたホテルを舞台に、悪霊に取り憑かれた主人公の恐怖を描くサイコホラーの名作。20世紀ホラー小説の金字塔と評されるスティーヴン・キングの代表作でもあります。
元教師で小説家志望のジャック・トランスは、冬季閉鎖されるオーバールック・ホテルの管理人として赴任。妻・ウェンディと5歳の息子・ダニーとともに、山奥にあるそのホテルに滞在します。
しかし、そのホテルでは、かつて管理人だった男が精神異常をきたし、家族惨殺後に自殺するという事件が起きていたのです。ダニーは〈シャイニング〉と呼ばれる超能力を持っており、過去の惨劇の亡霊や超常現象を目撃。一方のジャックは次第にホテルの怪異に取り憑かれて、狂気に陥っていき……。
心理描写と超常現象が絡み合うサイコホラーとして高く評価されており、映画版とは異なる原作独自の恐怖と哀しみが味わえる作品。心理的な恐怖とホラー小説の傑作を読みたい方におすすめです。
オリエント急行の殺人
早川書房 著者:アガサ・クリスティー
何度も映画化・ドラマ化され、世界中で愛され続けているアガサ・クリスティーの名作小説です。真冬の豪華列車内で起きた密室殺人事件を、名探偵ポアロが解決する群像ミステリの傑作。ポアロシリーズ長編8作目にあたり、「フーダニットの極北」と称される代表作です。
雪で立ち往生したオリエント急行内で、乗客の1人で老富豪のラチェットが寝台で刺殺されます。偶然乗り合わせた名探偵ポアロが捜査に乗り出しますが、すべての乗客に完璧なアリバイがあり困惑。しかし、被害者の過去を調べていくうち、各乗客の正体と事件の真相が明らかになっていきます。
巧妙なトリックと意外な結末で読者を最後まで引き込む、群像ミステリの最高峰として高く評価されているのがポイント。本格推理小説の醍醐味を存分に味わいたい方におすすめです。
きみに読む物語
アーティストハウスパブリッシャーズ 著者:ニコラス・スパークス

2004年にライアン・ゴズリング主演で映画化され、世界中で大ヒットした純愛小説。著者の妻の祖父母の実話をもとに、60年以上にわたり1人の女性を愛し続けた男性の物語を描いた感動作です。
記憶を失っている老婦人を訪ねて療養施設に通い、彼女に物語を読み聞かせる老人男性がいました。その物語の舞台は1940年代のアメリカ南部シーブルック。地元で下層階級の青年・ノアは、別荘に来ていた令嬢・アリーに一目惚れします。身分の違いや親の反対により引き裂かれながらも、2人は深い愛を育んでいき……。
物語は認知症で記憶を失った老女アリーに、夫ノアが2人の愛の軌跡を毎日読み聞かせる、現在と過去を織り交ぜて進行。涙なしでは見られないと多くの人に感動を与え、映画は公開から20年以上が経った今でも愛され続けています。時を超えた純愛を味わいたい方におすすめです。
映画化・ドラマ化された小説は、どれも多くの読者の心を動かした名作ばかり。すでに映像化作品を観ていれば情景も想像しやすいので、小説を読み慣れないという方にもおすすめです。原作小説を通して、さらに名シーンや登場人物への理解を深められることもあります。ぜひお気に入りの作品の原作小説に触れてみてください。