自転車で旅行を楽しむ目的でつくられた「ランドナー」。ロードバイクのようなスポーティーな外観ながら、頑丈で長距離ツーリングに適している自転車です。荷物を収納できるバッグを装着できるため、通勤や通学用としても注目を集めています。
そこで今回は、ランドナーの選び方やロードバイクとの違いを解説。あわせて、おすすめモデルもご紹介するので参考にしてみてください。
ランドナーとは?

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ランドナーとは、フランス発祥のツーリング用自転車です。フランス語の「ランドネ(小旅行)」が名前の由来となっています。日帰りや2~3泊程度の旅行での使用を想定して開発されており、マウンテンバイクのような頑丈さが特徴。ロードバイクのような美しいフォルムも魅力です。
最近、健康を意識する方が増えたことによってランドナーの人気が高まっています。壊れにくくパンクにも強いなど、長距離ツーリングはもちろん普段使いとしても活躍。とくに、耐久性を重視して自転車を選びたい場合の選択肢のひとつとしておすすめです。
ロードバイクとの違い

ランドナーはロードバイクと同じスポーツ自転車のひとつです。レースなどで使いたい方はロードバイク、旅行や通勤、通学で使いたい場合はランドナーがおすすめです。
ロードバイクは細いタイヤや軽いフレームを採用しており、高速で走行できるのがメリット。ただし、荷物を積むためのキャリアなどは装着できないモデルが主流です。一方、ランドナーは旅を楽しむ目的の自転車のため、荷物を積むキャリアやバッグを装着できるダボ穴が設けられています。
一方、ハンドルの形状は同じです。ロードバイクもランドナーも、グリップ部分が曲がっている「ドロップハンドル」を採用しています。上部と下部、レバーの付け根と3通りの持ち方が可能で、長距離ツーリングでも疲れにくい快適な走りを楽しむことが可能です。
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ランドナーの選び方
距離に合わせてタイヤの太さをチェック
長距離走行は太めのタイヤがおすすめ

数百kmの旅や日本一周など、長距離を走行する場合には太めのタイヤがおすすめです。長い道中はコンディションのよい道ばかりとは限りません。太めのタイヤなら、凹凸のある路面からの衝撃を吸収して快適に走行できます。
とくに、何泊分もの荷物を積んで走行する場合には、太めのタイヤがサスペンション代わりとなって安定性が向上。空気圧を下げ目に調節すれば設置面積が大きくなり、乗り心地もよくなります。太いタイヤによってパンクしにくいのもメリットです。
通勤・通学などには細めでもOK

通勤・通学など、比較的短距離を走行する場合は細めのタイヤでも十分です。細いタイヤほど路面との設置面積が少なく抵抗が減るため、スピードが出やすくなります。細めとはいえ、ランドナーのタイヤはロードバイクと比較すれば太めです。舗装されていない道路でも快適に走行できます。
ランドナーのなかには、太いタイヤを装着できるモデルがあるため要チェック。たとえば、通勤・通学時用として不要となった際に太いタイヤやマウンテンバイクタイヤと交換すれば、オフロード走行を楽しめるようになります。
フレームの素材をチェック
旅行や長距離サイクリングなら「クロモリフレーム」

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フレームの素材によって全体の重さが変わるため、走行距離や用途を考慮して適切な素材を選びましょう。ツーリングや長距離サイクリングなら、鉄にクロモリとモリブテンをくわえた合金の「クロモリフレーム」がおすすめです。やや重めなものの強度に優れており、多くの荷物を運ぶのを想定して頑丈さを求める方に適しています。
クロモリフレームは衝撃に強いほか、溶接できる点にも注目。仮に転倒してフレームが破損した場合でも溶接して修復が可能で、お気に入りの1台を長く愛用したい場合にも重宝します。ただし、アルミフレームと比べるとやや耐腐食性に劣るのがデメリット。長期間屋外において保管しないのがおすすめです。
普段使いには軽量な「アルミフレーム」

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通勤・通学やお買い物など、普段使いで短距離を走行する場合にはアルミフレームのランドナーがおすすめです。軽量な素材で扱いやすいほか、スピードを出して軽快な走りを楽しめます。
また、サビに強いのもアルミフレームのメリット。長時間雨で濡れたり、屋外で保管したりする際も安心です。ただし、クロモリフレームが主流なので、製品数が少ない点は留意しましょう。
ギアは「フロントトリプルギア」がおすすめ

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長距離サイクリングやツーリングで使用するなら、フロント部分にギアを3枚搭載した「フロントトリプルギア」採用のランドナーがおすすめです。スポーツタイプの自転車に多く採用されており、パワーがあって登り坂に強いのが特徴です。
ギアが2枚のタイプより、重い荷物を積んだ状態でも比較的楽に登れます。坂道や山道で、少しでも快適に走行したい場合は要チェックです。変速数が増えるため、平地でもギア数が多いほうが快適に走行できます。スピードも出しやすく高性能なものの、価格が高くなる場合がある点に留意しておきましょう。
ランドナーのおすすめメーカー
アラヤ(ARAYA)

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1903年に日本ではじめて自転車のリムを生産したことで知られている自転車ブランドです。1946年からは高品質な「ツバメ自転車」を生産・販売。現在まで多くのラインナップを発表しており、第1回東京オリンピックでは競技機材としてロードバイクを販売しました。
ランドナーにおいては、リヤ10段シフトのシマノのTIAGRA4600を搭載した高スペックモデルを展開。NITTOのキャンピーキャリアセットや前後フェンダー用ステーダルマネジセットなど、高品質なオプションパーツを用意している点にも注目です。
ルイガノ(LOUIS GARNEAU)

カナダに拠点をかまえているスポーツ用品メーカーです。とくに自転車に力を入れており、自社ブランドのスポーツ自転車を展開。子供用や女性向けモデルなど、豊富なラインナップが魅力です。
ランドナーにおいてはリヤキャリアが標準で付属した、長距離ツーリングに理想的な自転車「BEACON9.0」を販売。特殊な形状のバタフライハンドル搭載でさまざまポジションを取りやすく、快適な長距離サイクリングをサポートします。
マリン(MARIN)

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1986年にサンフランシスコの郊外に位置するマリン群にて設立されたアメリカの自転車メーカー。デザイン性や耐久性の高さはもちろん、軽量なうえ快適な乗り心地を追求した自転車を生産しているメーカーです。
「マリン」からは、クロモリフレームの採用により走行時の衝撃吸収性に優れる「FOUR CORNERS」や「NICASIO Claris」などの人気モデルを展開。負担を軽減しやすく、長距離ライドにおける乗り心地と快適性の向上に貢献します。
ランドナーのおすすめモデル
アラヤ(ARAYA) TOURISTE TUR

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26インチタイヤを装着しているおすすめのランドナーです。オールラウンドな走行性能により、長距離サイクリングはもちろん通勤・通学など普段使い用としてもおすすめ。本格的なツーリングに適した650×38Bのホイールを装着できるなど、カスタマイズ性にも優れています。
フレーム素材にはイタリアンカットラグで構成されるオールクロモリを採用。「トップチューブ水平ホリゾンタルフレーム」採用による、優れた振動吸収性も魅力です。コンポーネントにはシマノのCLARISを搭載しています。
ハンドルの低ポジションを防ぐため、ヘッドラグと同外径の15mmリングにロウ付け・面一加工を施している点にも注目。理想的なハンドルポジションが可能で、長距離サイクリングを快適にします。輪行仕様の「リテーナ脱落防止機能付きマイクロアジャストヘッドセット」を採用しているのもポイントです。
アラヤ(ARAYA) FEDERAL FED
シンプルなデザインとベーシックな性能を凝縮しているランドナーです。ホイールサイズには日本の標準サイズとされている26×1-3/8を採用し、オールラウンドな走行性能を発揮。買い求めやすい手頃な価格設定のため、はじめてランドナーを購入する方におすすめのモデルです。
クロモリフレームを採用した耐久性の高さも魅力。万が一破損しても補修しやすく、長期間愛用できます。メンテナンス性に優れたシマノのコンポーネントを搭載している点にも注目。また、安定した制動操作が可能なカンティブレーキを採用しています。
ギアクランクには、4アームデザインの「SR-SUNTOUR XCTチェーンホイール」を採用してグレード感をアップ。輪行時に役立つチェーンフックを備えているのも便利です。
アラヤ(ARAYA) DIA ARAYA Diagonale
スポーティーなサイクリングに適した700Cホイールを採用したランドナーです。ツーリングに必要な装備を見直して、快適な走行性を追求したおすすめの1台。一般的なロードバイクより太めのタイヤで安定感に優れており、本格的な長距離ツーリングで快適な走りをサポートします。
変速・駆動・制動系部品は、シマノのコンポーネントで統一。デュアルコントロールレバーの採用により、快適な高速巡航を実現しています。また、前後にフェンダーを備え、濡れた路面での泥はねを予防。毎日の通勤・通学用としても適しています。
チェーンフックをシートステーとチェーンステーの2カ所に搭載しているなど、輪行しやすい工夫をこらしているのも魅力です。
アラヤ(ARAYA) RAN SWALLOW Randonneur

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伝統あるスワロー・キャンピングの魅力を継承したランドナー。スワロー・キャンピングの特徴を備えつつ、フレームは新設計され、ブレーキケーブルも内蔵されているなど全体的なグレードアップを実現したモデルです。日本ブランドのパーツも積極採用されています。
リムはダブルウォール断面の設計で強度向上と軽量化の実現に貢献するツーリング用650Bリムを採用。タイヤサイズは650×38Bで、42Bタイヤも搭載可能です。太いタイヤの装備により乗り心地がよく、長距離やコンディションの悪い路面での快適な走行をサポートします。
ツバメ自転車の伝統と進化を感じつつ、快適な小旅行を楽しみたい方におすすめのランドナーです。
ルイガノ(LOUIS GARNEAU) BEACON9.0

リヤキャリアを標準搭載しているランドナーです。多くの荷物を載せてのツーリングや、長距離サイクリングにおすすめの1台。センタースタンドを搭載しており、荷物を載せたまま安心して駐輪できるのも便利です。
ハンドルに特殊な形状のバタフライハンドルを採用している点にも注目。握る場所が多いため、適切なポジショニングが可能です。メインコンポーネントにはシマノ「DEORE LX30スピード」を搭載。的確なシフトチェンジを可能にし、さまざまな路面状況に対応します。
チューブバルブに仏式ではなく、米式バルブを採用しているのもポイント。一般的な空気入れで充填できるため、旅先の自転車屋で空気入れを借りたい場面で重宝します。
ミヤタ(MIYATA) Freedom Plus
乗り心地と強度を両立したランドナーです。クロモリフレームを採用しているのが特徴。振動を抑えて快適に走行できるだけでなく、多くの荷物を積載できるので、長距離サイクリングに適しています。
安定感のある太めのタイヤを備えているのもポイント。舗装路はもちろん、砂や枯れ葉が溜まった道や路面が崩れた道にも対応できます。また、さまざまな姿勢を取れるドロップハンドルなのもメリット。長距離走行中の体の負担を軽減でき、快適に自転車旅ができます。
外装9段のため、上り坂でも楽に走行できるのがメリット。山道などのオフロードを走るトレイルバイクとしても楽しめます。活躍のシーンが多いおすすめの1台です。
マリン(MARIN) FOUR CORNERS

オンロード30%、オフロード70%の走りを想定した開発されたランドナー。マウンテンバイク要素を多く盛り込んだ仕様は、悪路を走行する機会が多い方におすすめです。
ダブルバテッドクロモリフレームと短めのクロモリフォークの組み合わせにより、長距離サイクリングで安定した走りを実現。ジェル入りグリップテープを採用した、快適な握り心地も魅力です。パイクパッキング対応フレームとフォークダボ穴を備え、多くの荷物を持ち運びたい場合に役立ちます。
マリン(MARIN) NICASIO Claris

オンロードから山道などのオフロードまで対応できるように開発されたランドナー。クロモリ製のフレームとフォークを採用しており、しなりによって衝撃の吸収性を高め走行時の負担を軽減します。疲労を抑えやすく、長距離ライドでも快適な乗り心地を保ちやすいのが魅力です。
また、650Bタイヤにも対応するホイールを搭載。さらに、最大で47Cサイズの太さにも対応可能で、街乗りからハードな環境の走行まで楽しめるランドナーを求める方におすすめのモデルです。
ラレー(RALEIGH) Radford Traditional

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クラシックなデザインながら、性能の高さが魅力のランドナーです。頑丈なクロモリフレームを採用し、安定感のある走りを実現しています。
高い制動力を発揮するシマノのハイドロリックディスクブレーキを搭載しており、濡れた路面でも安心。クラシックカラーサイドタイヤは耐パンク性に優れているため、長距離ツーリングでも快適に走行できます。クラブグリーン・アガトブルー・キャニオンレッドとカラーバリエーションが豊富なのもメリットです。
トレック(TREK) 520 Disc

路面状況をスムーズに把握しやすい、クロモリスチールフレーム採用のランドナーです。ワイドなギア比の27速ドライブトレインを搭載し、重たい荷物を載せて走行したいシーンにおすすめ。フロントとリヤにラックを標準で搭載しており、多くの荷物を載せられます。
シマノのSoraブレーキレバーやシフターなど、信頼性の高いパーツを数多く採用しているのも魅力。悪天候時により安全な走行をサポートする機械式ディスクブレーキを搭載しています。耐パンク性タイヤを装着し、長距離ツーリングでも安心です。
ジャイアント(GIANT) GREAT JOURNEY

軽量でサビに強いアルミフレームを採用しているランドナーです。独自のアルミ工学に基づいた「ALUXXアルミニウム」を採用。上体の起きたアップライトな姿勢をとりやすく、快適に効率よく1日中ぺダリングし続けられます。
26インチタイヤ採用で、日本一周など長距離ツーリングに適した仕様。ギアクランクにはフロントトリプルのシマノ「M361」を搭載しており、荷物が多いときや登り坂を走行する際の走行をサポートします。
ジェイミス(JAMIS) RENEGADE S1

ジオメトリーの設計で、長距離ライドの走行に適したランドナー。太く乗り心地がよい40Cサイズのタイヤにも対応するため、オフロードや悪路など幅広いシチュエーションでも快適な走行をサポートします。
さらに、ディスクブレーキを搭載しており、悪天候時にも優れた制動力を安定して発揮できるのも魅力です。また、しなやかで軽い乗り心地を実現するチューブレスシステムに対応するリムを採用。そのうえ、泥除けにキャリア取り付けといったカスタムも好みに合わせて行えます。
長距離走行をはじめ、さまざまな状況での快適性を高める、おすすめのランドナーです。
ブリーザー(BREEZER) DOPPLER CAFE

クロモリ製のフレームとフォークにより、耐衝撃性に優れるランドナー。手軽な街乗りはもちろん、長距離ツーリングやグラベルの走行までマルチな用途に対応できるモデルです。
また、幅広な「WTB HORIZON」タイヤが装備されているため、安定感に優れ乗り心地がよく軽快な走行をサポート。さまざまな環境下でもスムーズかつ安定した制動性を発揮する「SHIMANO油圧ディスクブレーキ」が搭載されているのもポイントです。
さらに、前後にはキャリアダボも設けられており、キャリアの取り付けも可能。多くの荷物を運ぶ旅行にもおすすめのランドナーです。
多くの荷物を載せてロングツーリングを楽しみたいシーンで活躍するランドナー。ロードバイクのスタイリッシュさとマウンテンバイクの頑丈さを兼ね備えた仕様により、通勤・通学など普段使いでも活躍します。おすすめしたモデルを参考に、用途や好みに合った1台を見つけてみてください。