2009年に創刊され、幅広い年齢層を楽しませ続ける小説レーベル「メディアワークス文庫」。数多くの有名ライトノベルを生みだした「電撃文庫」の姉妹レーベルであり、大人になった電撃文庫世代が楽しめるラノベではないライト文芸として人気を博しています。

そこで今回は、メディアワークス文庫のおすすめ小説をご紹介。賞を受賞した作品や、メディアミックスを果たした作品もあるので、ぜひチェックしてみてください。

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メディアワークス文庫のおすすめ小説

三日間の幸福

KADOKAWA 著者:三秋縋


三日間の幸福

寿命を軸に変わっていく2人の関係性を描いた、切ないファンタジー小説です。2013年に、メディアワークス文庫から出版されました。

未来に希望を見出せず、寿命の大半を売った主人公。しかし、彼の寿命は1年につき1万円にしかならず、僅かな余生をよいモノにしようとしても、空回りしてばかりです。そんな主人公と共に行動する、冷めた目の監視員・ミヤギ。彼女のために残りの人生を使おうと思えた頃、主人公の寿命はすでに残り2ヶ月もありませんでした。

日々を無気力に生きる主人公が余生のために奮闘する前半は、悲惨で鬱々とした場面が続きます。しかし、少しずつ変わっていく彼を、いつの間にか応援したくなる作品。タイトルの回収が秀逸で、ラストで感動できる1作です。

拝啓見知らぬ旦那様、離婚していただきます 上

KADOKAWA 著者:久川航璃


拝啓見知らぬ旦那様、離婚していただきます 上

顔をあわせたことがなかった夫婦のすれ違いロマンスを描く、ファンタジー世界が舞台の甘い恋愛小説です。第6回カクヨムWeb小説コンテストの恋愛部門で大賞を受賞した作品で、2022年にメディアワークス文庫から出版されました。

武の才や商いの才に恵まれた、ガイハンダー帝国の子爵家令嬢・バイレッタ。彼女は冷酷無比と謳われる、伯爵家嫡男であり陸軍騎兵連隊長でもあるアナルドの妻です。しかし、バイレッタは結婚して8年、夫と一度も対面していませんでした。終戦を機に離婚を願いでた彼女は、アナルドからある賭けを持ちかけられ……。

冷酷で自分勝手なイメージのアナルドと、嫉妬から「悪女」と噂されているバイレッタ。最初の印象が悪かっただけに、言葉足らずですれ違う関係が続きます。しかし、徐々に変わっていく気持ちと、その溺愛ぶりは必見。現在でも続いているシリーズものなので、1作を長く楽しみたい方におすすめです。

今夜、世界からこの恋が消えても

KADOKAWA 著者:一条岬


今夜、世界からこの恋が消えても

記憶がリセットされる少女との恋を描いた、恋愛小説です。第26回電撃小説大賞のメディアワークス文庫賞を受賞し、2020年に出版されました。また、2022年には映画化もされています。

高校生・神谷透は、クラスメイトをいじめから守るため自分が標的となり、面識のない少女・日野真織に嘘の告白をします。

当然断られると思っていた彼ですが、返答は「条件付きでなら付き合う」というものでした。”お互い、本気で好きにならないこと”を条件に、日々を重ねていく2人。恋が嘘ではなくなってきた頃、透は真織の秘密を知ります。

1日経つと、記憶が消えてしまう真織。待ち受ける衝撃の展開に目が離せなくなる小説です。

ワケあり男装令嬢、ライバルから求婚される 上

KADOKAWA 著者:江本マシメサ


ワケあり男装令嬢、ライバルから求婚される 上

ライバルからの求婚でスタートする、溺愛ラブロマンス小説です。2023年に、メディアワークス文庫から出版されました。物語は、主人公がある悩みを抱えている場面から始まります。

選ばれし者しか入れず、貴顕紳士の育成を目的とするアダマント魔法学校。魔法を愛す伯爵家の令嬢・リオニーは、男性しか入れない学校への入学を強く希望していました。

入学を嫌がる弟と利害が一致し、入れ替わることで念願の入学を果たした彼女。主席合格のリオニーは、公爵家の嫡男・アドルフからライバル視されます。そんななか、父から結婚相手が決まったと紹介されたのがアドルフで……。

読みやすいラブコメ小説として評価の高い作品です。恋愛シーンではしっかりとキュンキュンでき、ハラハラするシーンも満載。上下巻で完結する、楽しく読める小説を探している方におすすめです。

博多豚骨ラーメンズ

KADOKAWA 著者:木崎ちあき


博多豚骨ラーメンズ

殺し屋がうごめく街「博多」を舞台にした、サスペンス小説です。2014年にメディアワークス文庫から1巻が出版され、その後も続刊が発表され続けています。2018年には、アニメ化もされました。

市長お抱えの殺し屋や博多を愛する私立探偵、そして天才ハッカーや復讐屋。市長選挙を中心に、彼らの人生を描いています。

本作品の魅力は、個性豊かなキャラクターです。作中には多くの殺し屋が登場し、それぞれに特徴があります。次々と人が死ぬブラックな内容ですが、笑えるシーンがあるのもポイント。群像劇が好きな方におすすめです。

星降るシネマの恋人

KADOKAWA 著者:梅谷百


星降るシネマの恋人

時を経て大スターと恋をする、タイムトラベル恋愛小説。2023年9月にメディアワークス文庫から出版された新刊です。

ミニシアター「六等星シネマ」で働くことが唯一の生き甲斐である雪は、シアターの閉館を知り絶望します。

そんななか、倉庫にあった懐中時計を触れ、気を失ってしまう彼女。気がつくとそこは1945年の世界で、前には推しているスター・三峰恭介の姿がありました。彼に本気で惹かれていく雪ですが、実は恭介には過酷な運命が待ち受けており……。

「六等星シネマ」は、雪が大好きな三峰恭介の実家。タイムスリップで実際の彼を知った雪は、イメージとの違いに戸惑いながらも、誠実さを感じます。切ないタイムトラベルロマンスが気になる方におすすめです。

僕がきみと出会って恋をする確率

KADOKAWA 著者:吉月生


僕がきみと出会って恋をする確率

殺人者となった運命の人との恋を追う、感動の恋愛小説です。著者は、『過去で君が待っている。』を執筆した吉月生。2021年に、メディアワークス文庫から出版されました。

両親を早くに亡くし、孤独のなかで生きてきた高校生・久遠。彼はある日、強引な女子・いのりから運命の人だと告白されます。共に過ごすうち彼女に惹かれていると自覚した頃、いのりは殺人事件を起こし、彼の前からいなくなってしまうのです。

天真爛漫ないのりに、久遠が心を開く過程を丁寧に描いています。青春小説としても楽しめ、後半の展開の急さがより際立ちます。結末が衝撃的なので、考えさせられるラストがある小説を探している方におすすめの1作です。

神様の御用人

KADOKAWA 著者:浅葉なつ


神様の御用人

神様たちの”御用”を解決する人間を描いた、ハートウォーミング小説です。2013年にメディアワークス文庫から1巻が出版された人気シリーズで、現在でも続刊が発表されています。また、「B’s-LOG COMIC」にて、漫画化もされました。

野球を諦めて、就職先も失った青年・萩原良彦。フリーターとなった彼は、ある日突然役目を命じられます。その役目とは、神様の願いを聞く「御用人」。こうして良彦の、神様に振り回される日々が幕を開けたのでした。

良彦のあたたかい性格が、心地よい作品です。現実世界とリンクした、興味深い小説を探している方におすすめです。

スターティング・オーヴァー

KADOKAWA 著者:三秋縋


スターティング・オーヴァー

望まないやり直しをさせられる主人公の変化とその後を描く小説です。2013年に、メディアワークス文庫から出版された本作品。『三日間の幸福』や『恋する寄生虫』など、数々のヒット作を生みだした三秋縋のデビュー作です。

10歳のクリスマスから始まった、2周目の人生。幸せな人生を歩んでいた彼は、1周目の人生を再現しようと頑張ります。しかし、少しの違いで運命は変わってしまい、人生は思わぬ方向へ。そこで彼は、1周目の自分と同じ人生を歩む「代役」と出会うのです。

満足できない人生をやり直すため2周目を歩むのではなく、最高だった1周目を再現しようと2周目の人生を歩む作品。陰鬱な雰囲気が流れながらも、どこか光を感じる作風の1作です。

15歳のテロリスト

KADOKAWA 著者:松村涼哉


15歳のテロリスト

被害者が起こした、1つのテロリスト事件を追う切ないミステリー小説です。2019年にメディアワークス文庫から出版されました。重要人物は、家族を失った孤独な少年です。

犯行予告の直後、突如爆破した新宿駅。容疑者とされる人物は、15歳の少年・渡辺篤人でした。かつて少年犯罪で家族を失った彼は、なぜ事件を起こしたのか。少年犯罪を追う記者・安藤は、少年の行方を探します。

本作品のテーマは、少年犯罪です。法律に守られる加害者と守られない被害者、そして塀の中の加害者とは違い、晒され続ける加害者の家族。罪について考えさせられる小説です。