旅先で体験したことや心境を書き記した「紀行文・旅行記」。世界一周の旅や密林の奥地への冒険など、著者が実際に経験したさまざまな旅路の様子が綴られています。臨場感のある筆致で、読者もともに旅情を感じられるのが魅力です。
今回は、そんな紀行文・旅行記からおすすめをご紹介。人気の名作から海外・国内それぞれをテーマにしたモノまで、多彩な作品をピックアップしました。ぜひ旅気分を味わってみてください。
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紀行文・旅行記のおすすめ|人気・名作
深夜特急1 香港・マカオ
新潮社 著者:沢木耕太郎
シリーズ累計600万部を突破する、紀行文・旅行記の不朽の名作です。日本冒険小説協会大賞ノンフィクション・評論部門大賞やJTB紀行文学大賞など、数々の賞を受賞。70年代にユーラシア大陸を放浪した著者の経験が、全6巻で綴られています。
地球の大きさを己の足で確かめるため、26歳にして軌道に乗っていた仕事を投げ出して旅に出た著者。ロンドンまでの陸路2万kmを乗合バスで目指すため、まずは香港へと降り立ちます。しかし、香港の街の熱気に惹かれ、思わぬ長居をしてしまい……。
“バックパッカーのバイブル”として読み継がれてきた本作品。ロンドンまでのさまざまな国々を訪れる身軽な一人旅の様子が、現地の熱量を感じられるような筆致で表現されています。初めて紀行文・旅行記を読むという方にもおすすめの人気作です。
0メートルの旅 日常を引き剥がす16の物語
ダイヤモンド社 著者:岡田悠
有給休暇を駆使しながら70ヵ国以上を訪れ、国内は全都道府県を踏破した岡田悠が手掛けた紀行文・旅行記です。遠くに行くことだけではない「旅」のあり方が、全16話を通して提案されています。
全4章立てで構成されている本作品。「海外編」「国内編」に加えて、「近所編」「家編」といったユニークな章も設けられているのが見どころです。これまでに著者が経験した旅の記憶を振り返りながら、”旅とはなにか”について考えを巡らせていきます。
南極から自宅の部屋までさまざまな場所を旅と捉え、非日常として向き合う著者ならではの柔軟な考え方が綴られている1作。自分にとっての旅を見つめ直すきっかけを与えてくれる、おすすめの紀行文・旅行記です。
ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集
文藝春秋 著者:村上春樹
人気作家・村上春樹がこれまでに訪れたさまざまな土地と旅の魅力について語った紀行文・旅行記です。海外を中心に全11編に分けて、それぞれの旅の記憶と異国での暮らしぶりが回想されていきます。
大ベストセラー作品『ノルウェイの森』を執筆していたギリシャの島を再訪したり、ラオスで出会った僧侶たちや民族音楽に耳を傾けたりと、さまざまな国々を巡っていく著者。日本編として、熊本を再訪した際の思い出も新たに収録されました。
世界を広く旅し、異文化を作品へと巧みに落とし込んできた著者ならではの視点に触れられるのが魅力。異国での不自由な出来事を面白さに変えていく様子が、生き生きと綴られています。物語に登場するような異国の空気感を味わえる、おすすめの1作です。
表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬
文藝春秋 著者:若林正恭
第3回斎藤茂太賞を受賞した、お笑い芸人・若林正恭の紀行文・旅行記です。選考委員に”新しい旅文学の誕生”とも評された秀作。3泊5日にわたってキューバを旅した際の出来事が綴られています。
多忙な日々のなかで5日間の夏休みを得た著者は、1人でキューバへの弾丸旅行を決行します。日本とは正反対の社会主義国というシステムのなかで、出会う人々との交流に心をほぐされていく著者。この旅の裏には、もうひとつの真の目的がありました。
異なる価値観にある国での旅を通して、生きづらさを抱えた自分を見つめ直していく過程がみずみずしく表現されています。読み進めるにつれて印象が変わっていく多層的な構成も読者を驚かせた、おすすめの紀行文・旅行記です。
オーパ!
集英社 著者:開高健
1978年に刊行され、”紀行ノンフィクションの金字塔”と評された紀行文・旅行記の名作です。ブラジル・アマゾン川の流域1万6000kmを、65日間かけて釣り歩いた日々が記録されています。続編も複数刊行されました。
ジャングルを蛇行するアマゾン川は、日本では見られない魚たちの楽園のような場所。ピラーニヤ・トクナレ・ドラド・ピラルクなど、驚くような巨魚・怪魚を求めてこの大河に挑んでいく様子が、美しい写真とともに綴られています。
臨場感あふれる釣りの描写をはじめ、壮大な冒険へと繰り出しているような読み味が本作品の魅力。ブラジルの文化・風俗・文明論などについても語られており、紀行文・旅行記として読み応えがあります。釣りに詳しくない方にもおすすめの1作です。
ももこの世界あっちこっちめぐり
集英社 著者:さくらももこ
『ちびまる子ちゃん』を手掛けたことで有名な人気漫画家・さくらももこの紀行文・旅行記。1996年に約半年間をかけて世界中を巡った際の出来事と風景を、コミカルな語り口で綴った人気作です。
当時31歳だった著者は、スペイン・バリ島・アメリカ・フランスといった6ヵ国17ヵ所を訪れます。スペインではガウディに心ときめき、父・ヒロシとは長年の憧れだったグランドキャニオンへ。行く先々で数々のハプニングに遭遇する様子を描いた1作です。
旅先での思いもよらないトラブルや出会いが、著者独自の視点でチャーミングに表現されているのが見どころ。海外の風景や食事の様子も、生き生きと描かれています。クスッと笑えて日常から解き放たれるような紀行文・旅行記を探している方におすすめです。
紀行文・旅行記のおすすめ|海外
行かずに死ねるか! 世界9万5000km自転車ひとり旅
幻冬舎 著者:石田ゆうすけ
7年半をかけて、無帰国で87ヵ国を自転車で走り抜けた日々を綴った紀行文・旅行記です。9万5000kmの一人旅の奮闘ぶりが高い評価を集め、累計12万部を突破するベストセラー作品になりました。
“平穏な人生?それが運命なら自分で変えてやる!”と意気込み、26歳で自転車世界一周の旅へと繰り出した著者。しかし、砂漠地帯では拳銃を持った強盗に襲われ、身ぐるみを剥がれるピンチに陥るのです。
世界各国でさまざまな出会いと別れを繰り返した豪快な旅路が、地域別に全5章で語られていきます。感動がストレートに伝わるような文体で、著者とともに笑えて泣けるような読み味が魅力。自転車旅や世界一周に興味がある方におすすめの紀行文・旅行記です。
そして、ぼくは旅に出た。 はじまりの森 ノースウッズ
文藝春秋 著者:大竹英洋
北米の湖水地方・ノースウッズを撮り続ける写真家・大竹英洋の紀行文・旅行記。第7回梅棹忠夫・山と探検文学賞を受賞した秀作です。夢の実現のために一歩を踏み出した初めての旅路が、臨場感あふれる筆致で語られています。
自然写真家を目指し、著者は世界的な写真家ジム・ブランデンバーグに弟子入りするべく単身でアメリカに渡ります。ノースウッズに辿り着き、ジムの家を目指してカヤックで水上の旅へと繰り出すのです。
北国の深い森・湖・多様な野生動物など、自然を肌身で感じられるような豊かな情景描写が魅力的な本作品。8日間にわたる旅のなかで、不安に揺れ動く心情もみずみずしく表現されています。未知の世界へ一歩踏みだす勇気をもらえるおすすめの1作です。
ガンジス河でバタフライ
幻冬舎 著者:たかのてるこ
“日本で一番おもしろいインド旅物語”と謳われ、2007年にドラマ化もされた紀行文・旅行記です。インドを中心とした一人旅へと繰り出した著者の爆笑の道中がユーモラスに語られます。
長年夢見ていた一人旅に出た20歳の著者。極端な小心者の特性を活かし、五感をフルに働かせながら現地の人々と交流を深めていきます。インドではガンジス河を夢中で泳いでいると、なんと流れゆく死体にぶつかり……。
アジア編・インド編の大きく2章に分けて、女性バックパッカーの旅路を綴っていく1作。数々の衝撃的な出来事に見舞われながらも、ポジティブに受け止めていく著者の明るい視点が読者の笑いを誘う、おすすめの紀行文・旅行記です。
河童が覗いたヨーロッパ
新潮社 著者:妹尾河童
舞台美術家・妹尾河童がヨーロッパに滞在した際に見た情景と抱いた感情を、手描きのイラストとともにまとめた紀行文・旅行記です。「覗いたシリーズ」として人気を集め、舞台を変えて複数作品展開されています。
著者は1年間を通して22ヵ国を歩き、115室の部屋に滞在。国際列車の車掌たちの国による違いや、泊まり歩いたホテルの部屋の様子などが綴られています。些細なことにも目を凝らして見えてきた、異国の文化と人となりが表現されているのがポイントです。
好奇心旺盛な著者の感性が、手書きのあたたかみのある筆致で細かく記されています。1970年代のヨーロッパの様子と各国の違いがわかりやすく描かれており、目で見て楽しめるのも魅力。ヨーロッパをともに巡っている気分を味わえるおすすめの紀行文・旅行記です。
女二人のニューギニア
河出書房新社 著者:有吉佐和子
作家・有吉佐和子が、文化人類学者・畑中幸子が滞在するニューギニアを訪れた際の様子を綴った紀行文・旅行記です。独立前の1968年、文明に侵されていない密林の奥地で体験した抱腹絶倒の日々が語られています。
多忙を極めるなか、友人の畑中幸子の軽い誘いに乗ってニューギニアを訪ねることになった著者。航空機を降り立ち、山を3日間歩いて奥地・ヨリアピを目指します。シシミン族が暮らす地ではさまざまな驚きが著者を待ち受けていました。
軽い気持ちで訪れた未開の地で直面した想像を絶する出来事の数々を、おかしみのある語り口で綴っていくのが魅力。パワフルな女性2人の珍道中に、思わず爆笑してしまったという読者も多いおすすめの紀行文・旅行記です。
イスラム飲酒紀行
講談社 著者:高野秀行
『謎の独立国家ソマリランド』などのノンフィクション作品を手掛けている高野秀行の紀行文・旅行記です。イスラム圏の飲酒事情を軸に、各国を旅した様子が全8章に分けて語られていきます。
著者は”私は酒飲みである。休肝日はまだない”と語り、酒をこよなく愛する酒豪。酒を禁じるイスラム圏の旅をコンセプトにした本作品では、各地で必死に異教徒の酒・密輸酒・密造酒・幻の地酒を追い求める旅路が描かれます。
現地の人々とともに現地の酒を飲む様子にハラハラとさせられながらも、イスラム圏の愉快な雰囲気を感じられるのが魅力。飲酒禁止の国々で、人々はどのように酒に親しんでいるのでしょうか。イスラム圏のリアルな空気感に触れたい方におすすめの紀行文・旅行記です。
紀行文・旅行記のおすすめ|国内
旅のつばくろ
新潮社 著者:沢木耕太郎
『深夜特急』を世に送り出した沢木耕太郎が、初めて国内旅を題材にした紀行文・旅行記です。JR東日本の新幹線車内誌「トランヴェール」に掲載されていた連載を中心に、全41編が収録されています。
16歳のときに経験した初めての一人旅の行き先・秋田県男鹿半島。あの頃のように気ままに日本を歩いてみたいと感じた著者は、再び国内のさまざまな土地へと足を向けます。青年時代の思い出や過去の旅路を懐かしむ様子を、旅先の風景とともに綴っていく1作です。
その土地の定番の旅程を辿るのではなく、気の赴くままに各地を歩いていく様が穏やかに語られていきます。各編がコンパクトに収まっているため、隙間時間に読みやすいのも魅力。電車で巡る国内旅に興味がある方におすすめの紀行文・旅行記です。
新版 貧困旅行記
新潮社 著者:つげ義春
漫画家・つげ義春が、1960〜70年代に日本各地を巡りながら感じたことを綴った哀愁漂う紀行文・旅行記です。当時の各地の様子が伝わる貴重な写真も数多く収録されています。
息苦しい日常から人知れず離れたいという思いから、著者は人里離れた各地の温泉や鉱泉を訪れるようになります。人影のない街道で静かな風の音を聞いたり、場末の劇場に郷愁を感じたりと、わびしくも味わい深い旅情が語られていくのが見どころです。
放浪するように人気のない土地を旅する様子からは、昭和の独特の風情を感じられます。自虐的な心情も交えたユーモラスな語り口も多くの読者を惹きつけた、おすすめの紀行文・旅行記です。
我的日本
白水社 著者:呉佩珍/白水紀子/山口守
現在活躍する台湾作家18人による、日本をテーマにした紀行文・旅行記のアンソロジーです。1952~88年生まれの作家たちの目線から見た、知られざる日本の姿が語られています。
参加したのは、小説家・ノンフィクション作家・劇作家など多彩な分野で活躍する台湾出身の作家たち。京都に通い詰めて日本文化に迫ったり、日台の歴史的な関わりを考察したり、東京の花見や大阪弁について綴ったりと、独自の目線で日本を取り上げています。
日本とも交流が深い台湾の人々が、日本の文化や習慣をどのように捉えたのかが垣間見られる本作品。日本でのさまざまな体験が詩的かつ穏やかな筆致で綴られています。海外から見た日本の姿に興味がある方におすすめの紀行文・旅行記です。
著者ならではの視点で各地の魅力が巧みに綴られている紀行文・旅行記は、読むことで読者もその旅路を追体験できるのが魅力。すでに知っている土地や国々に新たな発見を見出せることも数多くあります。自分では経験ですることが難しい未知の旅へと誘ってくれるのもおすすめポイント。ぜひ、素敵な旅を覗いてみてください。