伏線をちりばめたミステリー小説が話題の小説家「浅倉秋成」。技巧が光る物語構成が特徴で、“伏線の狙撃手”とも評される人気作家です。2022年の本屋大賞にノミネートされた『六人の嘘つきな大学生』で注目を集めました。

今回は、そんな浅倉秋成の小説をおすすめのポイントとともにご紹介。話題作から過去の人気作まで、魅力とともに解説します。浅倉秋成作品をより深く知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。

話題のミステリー小説を描く「浅倉秋成」とは?

1989年、千葉県出身の小説家・浅倉秋成。大学卒業後は会社員を経て、2012年『ノワール・レヴナント』で第13回講談社BOX新人賞Powersを受賞し、作家デビューを果たしました。

『六人の嘘つきな大学生』が2022年の本屋大賞にノミネート。一躍、話題のミステリー小説家として注目を集めます。同作品は国内の著名なミステリーランキングに名を連ね、山田風太郎賞や吉川英治文学新人賞の候補にも選出されました。

小説家として活躍する一方で、漫画原作者としても活動中。「ジャンプSQ.」の人気漫画『ショーハショーテン!』を月刊連載しています。多彩な物語でヒット作を連発する、見逃せない注目作家の1人です。

浅倉秋成作品の魅力

浅倉秋成はミステリー要素を取り入れた作風に定評があります。物語にちりばめられた伏線によって、二転三転する先の読めない展開を楽しめるのが浅倉秋成作品の魅力です。

どの物語も、緻密に練り上げられたプロットから繰り出される痛快な伏線回収劇が見どころ。その技巧に、文学界では“伏線の狙撃手”とも称されており、思わず一気読みしたくなるような作品を数多く手掛けています。

青春にちょっとしたファンタジーを交えた特殊設定ミステリーから、社会の歪みを的確に捉えた社会派ミステリーへと、物語の幅を広げつつあるのもポイント。学生を主人公にした作品も多いので、中高生にも浅倉秋成作品はおすすめです。

浅倉秋成のおすすめ小説

六人の嘘つきな大学生

KADOKAWA 著者:浅倉秋成

六人の嘘つきな大学生

2022年の本屋大賞のほか、複数の著名な文学賞にノミネートされて話題を集めた、浅倉秋成の代表作。就職活動に翻弄される6人の大学生の心理戦を描いた青春ミステリー小説です。映画化も予定されています。

話題のIT企業「スピラリンクス」の初めての新卒採用で、最終選考に残った6人の就活生。“グループディスカッションを行い、最高のチームを作り上げる”という最終課題に対し、6人は全員で内定を得るために結束を深めていきます。

ところが、本番直前に課題内容が“6人の中から1人の内定者を決める”ことに変更に。さらに、発見された差出人不明の6通の告発文には、それぞれの人に言えない罪と嘘が暴かれていたのです。

就活を舞台にした心理サスペンスに加えて、告発文を置いた目的は何なのか、内定者は誰なのかなど、さまざまな謎と伏線が入り乱れるのが見どころ。浅倉秋成作品の魅力を最大限に味わえる、おすすめの1作です。

教室が、ひとりになるまで

KADOKAWA 著者:浅倉秋成

教室が、ひとりになるまで

浅倉秋成の出世作にあたる、傑作青春ミステリー。高校で起きた連続自殺事件にまつわる謎を、異能力とともに解き明かしていく特殊設定ミステリーです。日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門と本格ミステリ大賞にダブルノミネートされました。

北楓高校で、1ヶ月に3人の生徒が自殺するという異様な事態が発生。幼馴染みの同級生・白瀬美月に、この一連の自殺が特殊能力によるものだと告げられた垣内友弘は、思いがけず自分も能力を得ます。この不可解な事件の謎を、彼は明らかにできるのでしょうか。

能力を駆使しながら頭脳戦を繰り広げる、ロジカルな構成が魅力の本作品。ミステリー要素に加えて、学校生活に感じる少年少女の苦悩を克明に描いており、読者の共感も集めています。学校を舞台にしたミステリー小説が好きな方におすすめの浅倉秋成作品です。

ノワール・レヴナント

KADOKAWA 著者:浅倉秋成

ノワール・レヴナント

第13回講談社BOX新人賞Powersを受賞した、浅倉秋成のデビュー作です。他人の背中にその人の今日の幸運度が数字として見える少年と、同じく不思議な能力を持つ高校生たちの群像劇を、巧みに張り巡らされた伏線とともに描き出しました。

偶然に思えるような出来事が、必然に変わっていく驚きを楽しめる1作。個性豊かな登場人物と先の読めない展開で、ハラハラドキドキとした読書体験を味わえます。浅倉秋成の原点を感じられるおすすめの長編大作です。

俺ではない炎上

双葉社 著者:浅倉秋成

俺ではない炎上

SNSのなりすましアカウントによって、殺人犯に仕立て上げられた男の逃亡劇を描いた話題のミステリー小説。現代社会に生きる人々の承認欲求や正義感を克明に抉り出す、浅倉秋成の意欲作です。

物語の中心は、大手ハウスメーカーの営業部長・山縣泰介。50代半ばでSNSにも疎い彼が、ある日突然「女子大生殺害犯」としてネットで炎上してしまいます。身に覚えのない事実にもかかわらず、実名と写真が晒され、誰一人として信じてもらえません。

ほんの数時間で日本中の人間が敵になってしまった泰介は、必死の逃亡を続けながら事件の真相を探り始めます。

SNSの炎上という身近な出来事を、緊迫感のある筆致で描いたスリリングな展開が見どころ。人間の生々しい本質が浮かび上がる社会派小説としても読み応えがあります。幅広い世代におすすめの浅倉秋成作品です。

フラッガーの方程式

KADOKAWA 著者:浅倉秋成

フラッガーの方程式

浅倉秋成の第2作目にあたる長編作。不思議なシステムの実験に巻き込まれた高校生の笑いと涙の青春小説です。漫画化もされています。

平凡な高校生・東條涼一は、“深夜アニメの主人公のようなドラマティックな人生にしてみませんか?”と持ちかけられます。何気ない行動を「フラグ」として認識し、平凡な日常をドラマに変える「フラッガーシステム」のテストモニターに選ばれたのです。

システムによって、意中の同級生・佐藤佳子と距離を縮めたいだけだった涼一の人生は一変。ツンデレなお嬢様とのラブコメ展開から悪の組織との対決まで巻き起こり、システムは思いもよらぬ方向へ暴走を始め…。

愉快なドタバタ劇をメインに描きつつも、浅倉秋成の巧みな構成力が光ります。笑いあり爽快感ありのエンターテインメント小説が好きな方におすすめの1作です。

九度目の十八歳を迎えた君と

東京創元社 著者:浅倉秋成

九度目の十八歳を迎えた君と

摩訶不思議な状況の真相を記憶とともにめぐる、浅倉秋成の謎解き青春小説。印刷会社に勤める中堅サラリーマンの男性・間瀬が本作品の主人公です。

通勤途中で、偶然にも高校時代の同級生・二和美咲の姿を見かけた間瀬は、違和感を覚えます。卒業から何年も経ったにもかかわらず、美咲は18歳の姿のままだったのです。かつて美咲に恋していた間瀬は、この謎を解くために友人や恩師を訪ね歩くことにします。

高校生活の回想と現在が交互に綴られながら、美咲にまつわる謎とほろ苦い青春模様を追いかける特殊設定ミステリーです。SF小説が好きな方にもおすすめ。読みながら、ぜひ自身の青春時代を振り返ってみてください。

失恋の準備をお願いします

講談社 著者:浅倉秋成

失恋の準備をお願いします

浅倉秋成ならではの技巧で綴られる、恋をテーマにした連作短編集です。さまざまな人々の恋と嘘が絡み合う、6編の物語が収録されています。

モテすぎて困る男子高校生や、“魔法少女になる”と宣言した女子高生、ブラック企業のサラリーマンなど、多彩な登場人物たちがひとつの街を舞台に恋愛模様を繰り広げます。それぞれの物語はやがて、大きな渦となっていき…。

どの物語も軽妙なテンポの恋愛小説でありながら、ミステリーテイストな雰囲気も感じられるのが特徴。クスッと笑えるポイントも多く、明るい気持ちで読める小説を探している方にもおすすめの浅倉秋成作品です。