多彩なジャンルの作品を執筆した「山田風太郎」。独創的な作品群は、世代を超えて多くの方に愛されています。作家性に敬意を示した「山田風太郎賞」も創設されているのもポイントです。

そこで今回は、山田風太郎のおすすめ小説をご紹介します。大ヒットとなった「忍法帖シリーズ」をはじめ、おさえておきたい作品をピックアップ。ぜひ参考にしてみてください。

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「八犬伝」や「忍法帖」シリーズで有名な「山田風太郎」とは?

山田風太郎は1922年生まれ。兵庫県養父市関宮、当時の養父郡関宮村に生まれました。1939年、雑誌『映画朝日』に初めて山田風太郎の筆名で投稿。戦時下の1942年当時からつけ始めた詳細な日記は、のちの作品の礎にもなっています。

1946年に、雑誌『宝石』の懸賞小説に作品が入選したことを機に本格的な作家活動を開始。1958年には『甲賀忍法帖』の連載をはじめ、空前の大ヒットとなる「忍法帖シリーズ」が始まります。

その後も、『八犬伝』『警視庁草紙』『戦中派不戦日記』などを発表。菊池寛賞や日本ミステリー文学大賞などを受賞しました。

山田風太郎作品の魅力

多彩なジャンルの作品を執筆した山田風太郎。伝奇的な時代小説や人間心理に迫るミステリー小説、自伝的要素を含む戦時下の日記など、作品によって雰囲気が大きく異なる作風が魅力です。

独特のセンスに加え、人間心理を深く洞察して作品に生かしているのもポイント。生誕100年を超えた現代においても通用するエンターテインメントとして、復刊や漫画化も積極的にされています。

2010年には、山田風太郎の独創的な作品とその作家性に敬意を示した「山田風太郎賞」が創設されました。山田風太郎作品は、読者のみならず多くの作家や作品にも影響を与えています。

山田風太郎のおすすめ小説

甲賀忍法帖 山田風太郎ベストコレクション

KADOKAWA 著者:山田風太郎

甲賀忍法帖 山田風太郎ベストコレクション

歴史の裏で多彩な特殊能力を持った忍者たちが戦いを繰り広げていく「忍法帖シリーズ」の第1作。本シリーズは1960年代にブームを引き起こし、少年漫画にも影響を与えたといわれています。

400年もの間、宿敵として対立してきた甲賀と伊賀の忍法二族。服部半蔵の約定によってなんとか均衡を保っていました。しかし、徳川家康が跡目争いを甲賀と伊賀の精鋭10人同士で行わせようとしたことで、再び争い合う関係になってしまいます。

各流派の忍者たちは熾烈な争いを繰り広げました。しかし、闘いに選抜された忍者のなかには流派を超えて愛し合う者もいて…。

山田風太郎の記念碑的傑作。山田風太郎作品を初めて手に取る方にもおすすめの作品です。

柳生忍法帖 上 山田風太郎ベストコレクション

KADOKAWA 著者:山田風太郎

柳生忍法帖 上 山田風太郎ベストコレクション

忍法対幻法の闘いを描いた山田風太郎が描いた作品です。「十兵衛三部作」の記念すべき第1作にあたります。宝塚の演目にもなった作品です。

会津大名・加藤明成は残虐で肉欲にまみれた恐ろしい君主。堀主水は主君を見限りますが、妖異凄絶の武術を会得する会津七本槍を差し向けられ、一族郎党を惨殺されてしまいます。生き残った7人の女性たちは、一族の敵を討つために立ち上がりました。

剣豪・柳生十兵衛の力を借りて強敵に立ち向かうべく成長していく登場人物たちに注目。想像を超えるストーリー展開やバトルシーンを楽しみたい方におすすめです。

魔界転生 上 山田風太郎ベストコレクション

KADOKAWA 著者:山田風太郎

魔界転生 上 山田風太郎ベストコレクション

手に汗握る死闘の連続が描かれた作品です。シリーズのなかでも最大傑作と謳われています。

島原の乱に敗れ、幕府への報復を誓った森宗意軒。この世に未練を持つ者の魂を魔物として現世に再誕させる忍法「魔界転生」を編み出し、名のある武芸者を魔人として現世によみがえらせていきます。最強の魔人軍団を前に、柳生十兵衛が死闘を繰り広げ…。

予想だにしない着想と圧倒的なスケールで描かれる忍法帖。ページをめくる手が止まらなくなるような山田風太郎作品を楽しみたい方におすすめです。

警視庁草紙 上 山田風太郎ベストコレクション

KADOKAWA 著者:山田風太郎

警視庁草紙 上 山田風太郎ベストコレクション

文明開化まっただなかの明治時代を舞台に、俊傑たちが東京を走り回る時代活劇物語。山田風太郎が描く、明治小説の代表作です。

1873年、征韓論に敗れた西郷隆盛は薩摩へ。大久保利通を中心に明治政府は動き出し、警察組織は大警視・川路利良によって新しい時代に適応しようとしていました。その動きを面白く思わない元同心・千羽兵四郎と元岡っ引・冷酒かん八は、元江戸南町奉行・駒井相模守の力を借りて、警視庁に対決を挑みます。

夏目漱石や樋口一葉といった明治を代表する人物が随所に登場するのも見どころ。文明開化期、激動の明治時代の混沌とした空気感がある作品を読みたい方におすすめです。

戦中派不戦日記 山田風太郎ベストコレクション

KADOKAWA 著者:山田風太郎

戦中派不戦日記 山田風太郎ベストコレクション

著者の人間観がいかにして形成されたかがうかがえる日記文学。戦争時代を生き抜いた山田風太郎とその作品の原点も感じられる作品です。

激動の1945年。当時満23歳だった医学生・山田誠也、のちの山田風太郎をありのままに記録した日記です。

歴史や死を冷静に見つめる著者が、物事をどのように捉えているのか垣間見られる作品。1年間に経験したことと心情の変化を克明に描き出しています。山田風太郎作品をより深く楽しみたい方におすすめです。

妖異金瓶梅 山田風太郎ベストコレクション

KADOKAWA 著者:山田風太郎

妖異金瓶梅 山田風太郎ベストコレクション

山田風太郎の超絶技巧による伝奇ミステリー。中国・明代の長編小説である『金瓶梅』の世界を舞台に、美女たちが織り成す怪事件を描いた作品です。

性欲絶倫の豪商・西門慶は、8人の美女と2人の美童を侍らせて酒池肉林の日々を送っていました。彼の寵愛をめぐって妻と妾が激しく争っていると、両足を切断された第7夫人の死体が見つかります。

中国四大奇書のひとつを山田風太郎流に解釈した作品。著者の魅力が発揮されたミステリーを読みたい方におすすめです。

妖説太閤記 上 山田風太郎ベストコレクション

KADOKAWA 著者:山田風太郎

妖説太閤記 上 山田風太郎ベストコレクション

時代小説を得意とする山田風太郎が提唱する『太閤記』です。

人生に絶望していた23歳の秀吉は信長の妹・市姫に出会いました。市姫を我がものにしたい一心で策略を立てる秀吉。巧みな話術と憎めない人相で本心を隠しながら、浅井長政の破滅、本能寺の変、山崎合戦、柴田勝家の滅亡までを計画通りに進めていきました。

英雄とうたわれる秀吉の奇怪な本性に迫ろうとした異色の山田風太郎流太閤記。豊臣秀吉好きの方はもちろん、山田風太郎の時代考察を味わいたい方にもおすすめの作品です。

太陽黒点 山田風太郎ベストコレクション

KADOKAWA 著者:山田風太郎

太陽黒点 山田風太郎ベストコレクション

戦中や戦後を知る山田風太郎だからこそ描けた作品。静かに育まれた狂気が未曽有の結末へと導くミステリー小説です。

昭和30年代後半の東京。才気に満ちた苦学生・鏑木明は、アルバイト先で社長令嬢・多賀恵美子と出会います。特権階級への足掛かりを手にした明は、恋人を捨てて金持ちたちへの報復を企て始めました。明のとった行動は、悲劇への始まりとなります。

殺人の動機に衝撃を受ける作品。時代背景なども想像しながら読んでみるのもおすすめです。

八犬伝 上

河出書房新社 著者:山田風太郎

八犬伝 上

山田風太郎が描く驚嘆の伝奇ロマン。2つの世界を交錯させながら物語が進行する、ユニークな形式を持つ作品です。

運命に導かれた8人の犬士が悪や妖異と戦いを繰り広げる『南総里見八犬伝』の「虚の世界」。そして、作者・滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』の着想について語る「実の世界」が交互に展開されていきます。

山田風太郎らしい奇想天外で自由な発想のもとに描かれているのがポイント。著者のセンスをぞんぶんに味わいたい方におすすめの作品です。

同日同刻 太平洋戦争開戦の一日と終戦の十五日

筑摩書房 著者:山田風太郎

同日同刻 太平洋戦争開戦の一日と終戦の十五日

戦中派・山田風太郎だからこそ執筆できた作品。敵味方の指導者・将軍・兵・民衆の姿を、著者自らが集めた資料をもとに描き出した作品です。

開戦の日である1941年12月8日。そして、終戦に至る1945年8月1日から15日までの記録によって、戦争に翻弄された人間の狂気や悲劇が浮かび上がります。

太平洋戦争中、国のトップから庶民までが何を考えどう行動していたのかを知れるドキュメンタリー。戦争中のリアルな人々の声を知りたい方におすすめの山田風太郎作品です。

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