コンサートや野外フェス、そしてスポーツ観戦など、お目当てのアーティストや選手の表情を臨場感豊かに見たいなら双眼鏡がおすすめ。会場の熱気を感じながら、しっかり観察できる便利なアイテムです。

さらに、風景や動植物、そして星空などアウトドアで自然の美しさを堪能するときにも欠かせません。今回は双眼鏡の選び方とおすすめの製品をご紹介します。目的にピッタリの1台を探してください。

双眼鏡の種類は主に2種類

ポロプリズムタイプ

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ポロプリズムタイプは、対物レンズが接眼レンズより外側に広がった双眼鏡。接眼レンズの間隔より対物レンズの間隔が広く、倍率が高いほど双眼鏡の立体感が高くなります。そのため、ポロプリズムタイプは立体感ある像を見られるのがメリット。

また、古くから採用されてきた構造なので、リーズナブルなモデルが多いのも特徴です。さらに、大口径対物レンズを搭載しやすく、60mm以上の大口径双眼鏡はほぼポロプリズムタイプ。ただし、ダハプリズムタイプよりサイズが大きくなりがちです。

ポロプリズムタイプの双眼鏡はリーズナブルなので入門用としておすすめ。サイズの大きさが気になる方は、小口径モデルを選べばコンサートやスポーツ観戦でも邪魔になりません。また、大口径モデルが充実しているので、像が明るい双眼鏡が必要とされる天体観測などを行うときにもおすすめです。

ダハプリズムタイプ

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対物レンズと接眼レンズが一直線上に並んでいる双眼鏡がダハプリズムタイプ。対物レンズが外側に広がっているポロプリズムタイプに比べて、スリムでコンパクトです。また、気密性が高いので防水仕様にしやすいというのもメリット。ただし、生産にあたって高い技術が必要になるので高価なのがデメリットです。

携行性に優れるので、コンサートによく出かける女性や子供におすすめ。防水性能が高いモデルも多いので、アウトドアや野外フェスのときにも便利です。ただしダハプリズムタイプは構造上、人間の両目の間の距離より大きな対物レンズを搭載できません。大口径の双眼鏡がないのもデメリットといえます。

双眼鏡の選び方

双眼鏡の倍率をチェック

双眼鏡の倍率は肉眼で見たときの何倍に見えるのかを表した指標です。例えば、倍率8倍の双眼鏡ならば肉眼で見たときと比べて、見ている対象物のタテヨコの長さが8倍になります。これは80m先のモノが、10mの位置で見ているのと同じになるということです。

双眼鏡の倍率で人気なのは8〜10倍。これより倍率が高くなると、像が暗くなる・視野が狭くなる・手ブレが発生しやすくなるなどのデメリットも顕著になります。ビギナーの方は6〜8倍を基準として目的に合わせて選ぶとよいでしょう。

コンサートなどで連続的に双眼鏡を使って見る場合は、6倍程度のコンパクトなモデルの方が使い勝手も良好で女性にもおすすめ。バードウォッチングや天体観測で10倍以上の高倍率モデルを使用する場合は三脚を使用することをおすすめします。

双眼鏡の口径をチェック

双眼鏡カタログの「8×50」といった表記は、前の「8」が倍率、「50」が対物レンズの口径を表しています。口径が大きくなるほど像が明るくなるのがメリットですが、レンズ自体が大きくなるので大型化して重くなるのがデメリットです。

一般に、本格的な双眼鏡は30〜50mm口径のモノが多く、手持ちが基本の双眼鏡ではこのサイズが使い勝手も良好です。なお、携行性を特に重視する方は、軽量コンパクトな口径20mm台の双眼鏡という選択肢もあります。

旅行やコンサート、あるいはスポーツ観戦で使用するなら30mm台の双眼鏡がおすすめです。バードウォッチングでも30~40mmが主流。天体観測では50mmが見やすいですが、重くて手ブレしやすくなるので三脚の使用をおすすめします。

双眼鏡の明るさをチェック

双眼鏡の明るさは「ひとみ径の2乗」で表されます。ひとみ径は「対物レンズ口径÷倍率」です。たとえば、「10×50」のひとみ径は、50÷10=5。したがって明るさは5×5=25です。同様に「10×30」のひとみ径は3、明るさは9。「10×30」双眼鏡の明るさ9に対して、「10×50」は25と、3倍近く明るくなります。

双眼鏡を選ぶ際は、「口径が大きくなるほど明るくなる」一方で、「倍率が大きくなるほど暗くなる」と憶えておくとよいでしょう。利用シーンに応じて口径・倍率・明るさをバランスよく選ぶことが大切です。

双眼鏡の利用シーンをチェック

コンサート

コンサートなどが開催される一般的ドームは直径が100〜150mほどです。そのため、あまり高倍率である必要はなく、6〜8倍前後を基準として選ぶとよいでしょう。視界が広いのでアーティストの動きをとらえやすいというのもメリットです。

演劇などでは舞台が薄暗い場合もあるので明るいレンズを選ぶと安心です。またアイドルやロックのコンサートでは、強い照明が使われる機会も多く、その照明が「逆光」となり、レンズで反射して像がぼやけてしまう「フレア」という現象が発生します。

フレアを防ぐには、レンズに光の反射を防ぐコーティング加工するのが効果的。「多層膜コート」あるいは「マルチコート」と呼ばれるコーティングの方が「単層コート」より効果が高いのでおすすめです。さらに、長い時間使用するので軽量コンパクトな双眼鏡の方が使いやすいでしょう。あまり大型の双眼鏡は他の観客の邪魔になる可能性もあります。

コンサート向きの双眼鏡をもっと知りたい方は、以下を参考にしてみてください。

天体観測

暗い天体を観測するので、集光力が高い大口径双眼鏡がおすすめ。一般的に倍率7倍、口径50mmが天体観測用双眼鏡のスタンダードなスペックです。ただし、口径50mmでは双眼鏡が重く、上を向いての手持ち観測がしにくい場合があります。その際は倍率を6倍ほどに抑えて、口径30~40mmの軽量モデルを選ぶとよいでしょう。

倍率10倍、口径50mmの双眼鏡を利用する場合は三脚を使用するのが基本です。なお、10倍を超える倍率で月面や星団などを観測したいという方は、天体望遠鏡を使用した方が観測しやすく、価格もリーズナブルでおすすめ。天体観測では視界が広く星を探しやすい双眼鏡、倍率および解像力が高い天体望遠鏡、それぞれのメリットを活かして併用することが重要です。

天体観測向きの双眼鏡をもっと知りたい方は、以下を参考にしてみてください。

スポーツ観戦

野外スポーツの場合、スタジアムや競技場はコンサート会場に比べて広いことが多いので、8〜10倍の双眼鏡を選ぶとよいでしょう。さらに、注意したいポイントは防水性能です。サッカーのように雨や雪が降ってもゲームが行われる競技を観戦する際は防水性が高い双眼鏡がおすすめです。

屋内競技の場合は、像が明るい6〜8倍程度の双眼鏡がおすすめ。視野も広いのでバスケットボールのような動きの速いスポーツでも選手やボールを捉えやすくて便利です。

バードウォッチング・アウトドア

バードウォッチングは観察対象が小さいので倍率は8〜10倍がおすすめです。対物レンズの口径は軽くて扱いやすい20〜40mm。「日本野鳥の会」も、倍率と口径についてはこのスペックを推奨しています。

その他のアウトドアシーンでは携行性を重視して、口径20〜40mm、倍率は6〜10倍程度でよいでしょう。朝夕など薄暗いときに利用する場合は、倍率を抑えめにすると双眼鏡の像が明るくおすすめです。いずれにしても、アウトドアユースの際は、防水性と携行性の高さがポイント。ダハプリズムタイプの防水双眼鏡から選ぶとよいでしょう。

美術館・博物館

双眼鏡とは無関係に思われる美術館や博物館でも、双眼鏡はとても便利。絵画や絵巻物、工芸品などを細部までしっかり鑑賞できます。肉眼では気づかないような点まではっきり見えるのがポイントです。

さらに、説明書きが小さな文字で記載されている場合もあるので、しっかり読もうとすると目が疲れてしまうことも。そんなときに双眼鏡が役立ちます。特に年配の方や視力の弱い方におすすめです。屋内なので高い倍率である必要はなく、倍率を抑えた6倍程度の明るい双眼鏡を選ぶとよいでしょう。

その他、双眼鏡のチェック項目

アイレリーフ

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接眼部から目を離して双眼鏡を見た際に、像の視野すべてが見える目の位置が「アイレリーフ」です。接眼部から目までの距離で表します。アイレリーフが長いことを「ハイアイポイント」と言い、ハイアイポイント仕様の双眼鏡ならメガネやアイメイクをしている方も目が疲れにくく快適です。アイレリーフ15mm以上を目安とするとよいでしょう。

マルチコート

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双眼鏡は、レンズやプリズムを通過するたびに、光の損失が起こり反射してしまいます。光の損失と反射を防ぐために有効な手段がコーティング。「モノコート」は1種類の膜でコーティングして特定の色の反射を防ぐコーティング方法です。「単層コート」あるいは「シングルコート」と呼ばれます。

対して、複数の膜でコーティングして複数の色の反射を防ぐのが「マルチコート」です。3層の膜によるコーティングが一般的ですが、ハイエンドモデルでは5〜7層のマルチコートもあります。コーティングされた双眼鏡で見る像は明るくシャープなのが特徴。天体観測などの際には「マルチコート」モデルを選ぶと安心です。

実視界と見掛視界

実視界とは、双眼鏡で見える視野の範囲を角度で表した指標。実視界が広い双眼鏡は、目的の対象物を捉えやすいのがメリットです。対して、見掛視界は実視界に倍率を勘案した数値です。たとえば、倍率8倍の双眼鏡で80m先のモノを見ることは、10m離れた場所から肉眼で見るのと同じこと。対象物の10m離れた場所からの視野を角度で表しています。

防水機能

アウトドアやバードウォッチング、天体観測で使用する場合は防水仕様の双眼鏡がおすすめ。窒素ガスを充填して防水性能を高めたモデルが一般的です。ダハプリズムタイプの方が構造上気密性も高いので、ダハプリズムの防水モデルがよいでしょう。

なお防水性がない双眼鏡の場合、雨や雪が直接かからなくとも、気温差によってレンズが曇ってしまう場合があります。アウトドアでは防水仕様の双眼鏡が基本です。

イチオシの双眼鏡

コーワ(Kowa) 双眼鏡 ポロプリズム式 6倍30口径 YF6x30 YF30-6

口径30mmの対物レンズを採用した軽量コンパクトでリーズナブルなポロプリズム双眼鏡。重量は約470gで、30mmと小さめの対物レンズですが、倍率を6倍に抑えてあるので明るいのもメリットです。

アイレリーフが20mmと長いので、メガネをかけた方や化粧をした女性でも快適に使えるのが特徴。防水性を備えており、レンズのコーティングは光の損失が少ないマルチコートを採用しています。リーズナブルでも、基本の機能が充実した双眼鏡で、ビギナーの入門用としておすすめです。

ビクセン(Vixen) 双眼鏡 アトレックライトBR 6×30WP ポロプリズム式 ハイアイポイント 防水 広角

コンサートやアウトドアなど、さまざまなシーンで使いやすいビクセンの双眼鏡。ポロプリズムタイプで重厚感のあるデザインですが、重量499gの軽量モデル。レンズやプリズムの全面にマルチコートを施しているので、明るくシャープな像が魅力。また、撥油コートでレンズ表面に汚れが付着しにくいこともメリットです。

18mmのロングアイレリーフ採用により、メガネの方も目が疲れにくい仕様で、窒素を充填した防水性の高さも特徴。倍率6倍、口径30mmの人気定番モデルです。

ケンコー(Kenko) ultraVIEW EX OP 10×32 DH ⅱ

10倍と高倍率ながら、ダハプリズム構造を採用したコンパクトな双眼鏡です。ボディは強化プラスチック製で重量約470gの軽量モデル。アイレリーフ14.8mmのハイアイポイント設計で、メガネをかけても使いやすいのが魅力です。

窒素ガスを充填した完全防水仕様で、ボディはラバーで覆われています。グリップしやすく衝撃に強いのもメリット。軽量コンパクトで耐久性が高く、アウトドアのフィールドで使っても安心な双眼鏡です。

スワロフスキー(SWALOVSKI) SLC 10×42

欧米のハンターに人気があるスワロフスキーのSLCシリーズ。本モデルは倍率10倍、口径42mmのモデルで、適応温度が-25〜55℃と幅広く、アウトドアユースに適しています。

ピント調節機構に特殊合金を採用。微妙で精度の高いピント調節ができるのが魅力です。対物レンズにはフローライト系低分散光学ガラスを採用し、色の滲みの原因である色収差を最小レベルにまで軽減しています。20万円以上と高額ですが、ハイクオリティなアウトドア用双眼鏡を探している方におすすめです。

ツァイス(ZEISS) Victory SF 8×42

125年にわたって双眼鏡を製作してきたドイツの名門レンズメーカー「ツァイス」がリリースする、ダハプリズム双眼鏡のハイエンドモデル。光透過率が約92%と高く、明るい像が魅力です。

さらに、実視界8°と視界が広く、朝夕の時間帯や森の中など薄暗いシチュエーションでのバードウォッチング・自然観察に最適です。倍率8倍で口径42mmと使いやすいスペックで利用シーンも広がります。

ニコン(Nikon) WX 7×50 IF

ダハプリズムタイプのハイエンドモデル。倍率7倍で大口径50mm対物レンズを搭載しています。最大のポイントは実視界10.7°という視野の広さ。しかも、周辺部の像が点像にならないよう像面湾曲現象を補正する「フィールドフラットナーレンズシステム」を採用しているので、周辺まで像が鮮明です。

さらに、左右それぞれに特殊低分散レンズを3枚採用して、色滲みの原因である色収差を強力に補正しています。すべてのレンズとプリズムにマルチコートを施しているので、明るく解像力の高いハイクオリティな光学性能が魅力です。

水深5mの水に10分間浸かっても支障がない高い防水性能を備え、気密性も高いのでレンズが曇る心配もありません。双眼鏡を使った本格的な天体観測におすすめのハイクオリティモデルです。ただし、重さ約2.4kgと高重量なので注意してください。

キヤノン(CANON) 10×32 IS

倍率10倍を誇るキヤノンの双眼鏡です。最大の魅力は光学式手ブレ補正機能「イメ-ジ・スタビライザー」を搭載している点。マイクロコンピュ-タがプリズムを制御して、像のブレを素早く補正します。手ブレが発生しやすい10倍双眼鏡にはうれしい機能です。アルカリ単3電池で約9時間の連続作動ができます。

さらに、像の周辺部がボケる像面湾曲を補正する「フィールドフラットナーレンズ」を2枚採用。中心から周辺までクリアに観測できるのがメリットです。三脚を持ち込みにくいコンサート会場をはじめ、アウトドアでも手持ちで利用できます。