バンドのリズムを担うドラム。なかでも重要なパーツが「スネアドラム」です。曲全体のグルーヴ感を作り出し、スネアを変えるだけで曲の印象や雰囲気を一変させるほどの影響力を持ちます。モデルによって音の響きが大きく変わるので、初心者の方はどれを買えばいいか悩んでしまうことも。
そこで今回は、おすすめのスネアドラムをピックアップ。はじめてマイスネアを持つ方向けから、ジャズバンドでスネアドラムをじっくり聴かせたい玄人の方向けまで、さまざまなモデルをご紹介します。
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スネアドラムの選び方
好きなドラマーのモデルを選ぶ
好きなドラマーがいる方は、同じモデルのスネアドラムを選ぶのがおすすめです。MVやライブステージで実際に演奏されているのと同じモデルを持つことで、練習へのモチベーションもアップ。CD音源との違いがはっきりとわかるので、音の探究にも便利です。
また、ドラマーが監修したシグネイチャーモデルのスネアドラムもあります。シグネイチャーモデルなら、憧れのドラマーとほとんど同じスペックのスネアドラムが演奏可能。好きなドラマーがいる方は、まずシグネイチャーモデルがあるか確認してみましょう。
シェルの素材で選ぶ
メタルシェル
シェルはスネアドラムの胴部分を指し、音色の傾向を大きく分ける部分です。なかでもメタルシェルは、パワフルで硬めの音を出したい方におすすめ。ロックやメタルなどほかの楽器の音が大きいバンドでも、しっかりとスネアドラムの音を届けられるのが特徴です。
また、メンテナンスしやすいので初心者の方にもおすすめ。毎日の手入れは基本的にクロスで拭くだけです。汗などによる腐食や凹みに気を付ければ長期間使用可能。さらに、湿度や温度変化の影響を受けにくいため、屋外ライブなどにもおすすめです。
より音にこだわりたい方は、メタルシェルに使われている素材にも注目しましょう。代表的なのはスチール・ブラス・アルミの3種類です。もっともスタンダードなのは、明るくキレのあるスチール素材。ブラス素材は邦楽アーティストのシグネイチャーモデルが多数出ています。アルミ素材は軽く持ち運びに向いており、より軽快な音色を奏でられるのが魅力です。
ウッドシェル
ウッドシェルのスネアドラムは、柔らかくあたたかみのある音を出せるのが特徴です。サスティンと呼ばれる音の伸びが短いため、バラード調の静かな曲やしっとりとしたジャズなど、ほかの楽器との調和を大切にした曲に向いています。
また、ひと口にウッドシェルといっても、使われている素材はさまざま。なかでも主流なのは、メイプル・バーチ・マホガニー素材のウッドシェルです。特にスタンダードなのはメイプル素材。あたたかみと乾いた響きのバランスがとれており、ウッドシェルをはじめて試す方にもおすすめです。
また、ウッド素材ならではの木目を活かした上品なデザインのモデルも多数あります。木材を使用しているため湿度や温度の影響を受けやすく、適した保管と定期的なメンテナンスが必要ですが、木材ならではの音やデザインを楽しみたい方におすすめです。
特殊素材や混合シェル
複数の金属や木材を組み合わせた、特殊素材を使ったスネアドラムもあります。アルミベースのモノを中心にさまざまなモデルがラインナップされており、ステージ映えや音抜けのよさなどを追求したい方におすすめです。
例えばアクリル素材を使ったシェルは、スネアドラムの中が見える独特の外観から観客の目を惹きやすいのが特徴。派手なデザインとは裏腹に、あたたかみのあるまとまった音が出せます。
また、カーボン素材も人気です。パワフルで抜けのよいサウンドは、パンクロックなどヘビーな曲が好みの方におすすめ。気候の影響を受けにくいので管理しやすく、ストリートライブなどでも手軽に使えます。
そのほか、複数の金属を組み合わせたモデルも多数。スネアドラムの音はシェルの素材によって大きく変わるので、好みやバンドサウンドに合わせて選びましょう。
フープの素材で選ぶ
スネアドラムのヘッドを嵌め込んでいる縁の部分をフープと呼び、使われている素材には大きく3種類あります。もっとも歯切れがよく抜けも爽快なのが「ダイカストフープ」。鋳型に金属を流し入れて作るため高密度で硬く、高音を強調しやすいのが特徴です。
ただし、強度が高いので近くのボルトの締め具合が影響しやすく、シビアなチューニングが求められます。硬い音を出したい方や、スネアドラムの扱いに慣れている方へおすすめです。
一方、金属に圧力をかけて作られているモノを「プレスフープ」と呼びます。中音域の伸びに優れており、ダイナミックで柔らかい音が出せるのが特徴。隣接したボルトのテンションが影響しにくいため、初心者の方にもおすすめです。
また、個性的な見た目の「ウッドフープ」もあります。木材を切り出したフープで、中音域から高音域が強調されやすく、ウッド素材らしいあたたかみのある音が特徴。特にクローズドリムショットをよく使うアコースティックやジャズなどにおすすめです。
ラグの数や形状で選ぶ
スネアドラムのラグとは、スネアのテンションボルトを締めている部分のことを指します。取り付けられている数や形状によって、サウンドが変化するので、チェックしておきましょう。
主流なのは、8〜10カ所のラグを搭載したモデルです。数が少ないほどオープンなサウンド、多いほどタイトなサウンドが奏でられます。形状は大きく分けて2種類。1つのラグで上下のヘッドを支えるブリッジタイプと、上下のヘッドを別々に支えるセパレートタイプです。
基本的には、ブリッジタイプの方がオープンなサウンド、セパレートタイプはタイトなサウンドを奏でられます。ただ、ブリッジタイプのモノでも、シェルとの設置面積が広いモノの場合は音がタイトになる点に留意しましょう。
スナッピーの本数や取り付け方法で選ぶ
スナッピーはスネアらしいジャッという音を作り出すパーツです。簡単に着脱でき、演奏する曲のジャンルやバンドカラーに合わせて交換可能。スネアドラム本体の裏側に取り付け、本数や取り付け方法の違いによってスネアドラムの音を変えます。
スナッピーは本数が多いほどザラッとした音。反対に本数が少ないほど、タイトで粒立ちのはっきりとした音が奏でられます。スナッピーの主な取り付け方法は、紐で取り付けるタイプとフィルムで貼り付けるタイプの2種類。紐で取り付けるタイプはブレが少なく、安定したサウンドが得られます。
一方、フィルムで取り付けるタイプはスナッピー自体が揺れるので、よりザラッとしたサウンドを楽しみたい方におすすめ。フィルムタイプは切れにくく耐久性にも優れているため、音の方向性が決まっている方や、交換の手間を省きたい方にも向いています。
サイズで選ぶ
口径をチェック
タムの大きさによって音の高さが変わるのと同様に、スネアドラムも大きさによって音が変わります。スネアドラムの口径は、インチで表記されることがほとんど。「”」の記号で表されることもあります。
スタンダードなのは口径14インチのスネアドラムです。幅広いジャンルの曲に対応できるので、これからドラムを始める方や、さまざまな曲を楽しみたい方に向いています。
また、4インチ以下のモデルはピッコロスネアと呼ばれ、サスティンが短くレスポンスに優れているのが特徴です。小さいモデルほど音が高くなり、アタック音も強くなります。
胴の深さをチェック
スネアドラムの胴の深さは、5〜6.5インチのモノがほとんどです。5インチ台のモデルを「浅胴」、6インチ台のモデルを「深胴」と呼びます。浅いモノほど音の立ち上がりがスピーディでサスティンも短く、タイトな響き。深いモノほどサスティンが伸びやすく、ボリューミーな響きが楽しめます。
スタンダードなのは5.5インチと6.5インチのスネアドラム。特に決まっていない場合は、汎用性が高い5.5インチのモデルを選ぶと、さまざまな曲に応用がききます。
スネアドラムのおすすめ
タマ(TAMA) スネアドラム NSS1455
日本人ドラマーとして有名な、そうる透氏のシグネイチャーモデルです。定番のスネアドラムとしても広く人気があります。音のまとまりがよく、幅広いジャンルに対応できるのが特徴。吹奏楽をはじめロックやポップスなど幅広く対応可能です。
14×5.5インチのスタンダードなサイズで、はじめてのマイスネアとしてもおすすめ。チューニングしやすいのも魅力です。
タマ(TAMA)シグネチャー・スネアドラム LU1465N
個性的なシェルデザインが目を惹くスネアドラムです。厚さ3mmのスティールシェルに、「Diamond Plate」と呼ばれる模様をあしらっており、ステージで映えるデザインを求めている方におすすめです。
6.5インチの深胴タイプで、パワフルで迫力がある音を奏でられます。メタリカのドラマー、ラーズ・ウルリッヒのシグネイチャーモデルでもあり、楽器同士が激しく音をぶつけ合うヘヴィメタルなどにもおすすめです。
タマ(TAMA) S.L.Pシリーズ スタジオ・メイプル・スネア LMP1465F-SEN
シェルとウッドフープをメイプル素材でまとめたスネアドラムです。14×6.5インチの深胴タイプで、ファットな音が好みの方におすすめ。特に中低音域が豊かに響きます。
ウッドフープならではのクローズドリムショットが魅力。ジャズなどの曲にもおすすめです。また、オープンリムショットも力強くパワフル。表現の幅を広げたいドラム上級者の方にもおすすめです。
パール(PEARL) スネアドラム CL1455SN
ウッドシェルタイプのなかで定番のスネアドラムです。7.5mmの薄型胴を採用。メイプルの単板を使うことにより、より真円に近い形で仕上げています。
デザインもウッド素材らしく、落ち着いたデザインが好みの方におすすめ。明るく繊細なサウンドで、クラシックやポップスなど幅広いジャンルが楽しめます。
パール(PEARL) センシトーン STH1465BR
プロ向けのハイエンドモデルで培った技術をもとに作られたスネアドラムです。ブラックニッケルメッキ仕上げの1mm厚ブラス・シェルがパワフルなサウンドを生み出します。ラウドロックなどにフィットしやすく、バンド「KORN」のレイ・ルジアー氏なども著名なユーザーのひとりです。
ブラスの中央にはビード加工が施されていることも特徴。引き締まったサウンドを生み出します。ラグはパールの定番的なクラシックスタイルのモノを搭載。操作性の高さも魅力です。フープは2.3mmのブラス製が用いられており、シェルの鳴りをバランスよく伝えます。
口径は14インチで胴の深さは6.5インチ。同素材で5インチのモデルもラインナップされています。
パール(PEARL) US1450
初心者でも扱いやすいスネアドラムです。2.3mm厚のスーパーフープやクラシックなラグなどパールの定番的なパーツを組み合わせて作られており、チューニングしやすく安定したサウンドを生み出します。
スナッピーはフィルムで固定されており、調節しやすいことも魅力。テンションの調節に挑戦してみたい方にもおすすめです。また、ハイカーボンスチール・スナッピーはサビに強く、愛用のスネアを長く使いたい方にもおすすめです。
シェルは1mm厚のスチールで、厚みのある胴鳴りや音抜けのよさが特徴。プロの現場で使われることもあるほどしっかりとした作りのスネアドラムながら、比較的リーズナブルな価格帯もポイントです。セカンドスネアを探している方にもおすすめです。
パール(PEARL) イフェクトスネア Multi-way Piccolo MS1235
自宅での練習からライブまで幅広い用途で使えるスネアドラムです。シェルの内部にはラバーパッド・フェルトパッド・ウッドボードを内蔵。スナッピーをオフにすれば、音を抑えつつ本物のスネアドラムに近い感覚で練習できます。スナッピーをオンにすれば、小音量ながらスネアドラムらしいサウンドを再現。アコースティック編成のバンドなどにもおすすめです。
ウレタンパッド・フェルトパッド・ウッドボードを全て取り出せば、直径12×胴深3.5インチのミニスネアドラムとして使用可能。独特のサウンドが演奏の幅を広げます。パッドを利用してのサウンドイフェクトもでき、宅録用途などにもおすすめです。
レッドとシルバーの2色展開で、好みに合わせて選びやすいことも魅力。バンドの雰囲気や服装の好みにあわせてコーディネートするのもおすすめです。持ち運びや保管に便利なソフトケースが付属しています。
パール(PEARL) 13″x3″ Brass Effect Piccolo Snare B1330
直径13インチ、深さ3インチのピッコロスネアドラムです。小型でキレのよいサウンドが特徴。現状のスネアドラムに物足りなさを感じている方にもおすすめです。本格的ながらコンパクトなサイズもポイント。サブ用のスネアドラムとしても便利です。
シェルの素材にはトランペットなどの材料としても用いられるブラスが使われています。振動特性に優れており、明るく華やかなサウンドが特徴。同シリーズではメイプルやステンレスのタイプもラインナップされており、好みに応じて選びやすいことも魅力です。ラグは8本で、ブリッジタイプが搭載されています。
小型で持ち運びしやすく、サイドスネアとしてもおすすめ。演奏や表現の幅が広がります。
パール(PEARL) UltraCast Snare Drum UCA1465/B
シェルの素材に削り出しキャストアルミを使用したスネアドラムです。クリアでウォームなウッドシェルの演奏感と、パワフルでセンシティブなメタルシェルの音を両立したハイブリッドなサウンドが特徴。プレイヤー次第でさまざまなジャンルに対応できます。
マットなブラックのシェルもポイント。ラグ・ストレイナー・フープなどのパーツもブラックで統一されており、シャープな印象を生み出しています。
ラディック(LUDWIG) スープラフォニック LM402
明るくキレのある、スネアドラムらしい音が楽しめるモデルです。 王道とも言えるクセのないサウンドが特徴。レッドツェッペリンのジョンボーナムが愛用していたことでも知られています。
胴には混合シェルを採用。チューニングしやすく、低音から高音まで幅広いジャンルの曲に対応できるので、はじめてのマイスネアとしてもおすすめです。
カノウプス(CANOPUS) Snare Drum NV60M1S-1455
60年代のジャズサウンドが好きな方におすすめのスネアドラムです。メイプルとポプラ素材のウッドシェルを採用。ほどよく枯れたヴィンテージサウンドが奏でられます。
8テンションのダイカストフープを使っているためチューニングが難しく、スネアドラムの上級者向け。細かなフレーズも丁寧に表現でき、ゴーストノートやドラムロールを使う曲にもおすすめです。
ヤマハ(YAMAHA) SSS1465
ステンレススチールシェルのスネアドラムです。シェルの厚みが1mmと薄く、ブライトでパワフルなサウンドを響かせます。音のクセが少なくさまざまなジャンルに使いやすいこともポイントです。
操作しやすいストレイナーを搭載しており、ライブでも安心して切り替え可能。また、耐久性が高く長く愛用できます。本体サイズは口径14インチ×深さ6.5インチ。同シリーズでは深さ5.5インチのモデルもラインナップしています。ラグは10本でチューニングが安定しやすいことも魅力です。
本格的なスネアドラムながら、比較的安い価格帯も特徴。入門機として購入したい方やサブ用のアイテムを持っておきたい方におすすめです。
ディードラム(ddrum) DIOS 6.5X14 BAMBOO SNARE
シェルの素材に竹が使われているスネアドラムです。竹ならではの独特のニュアンスが特徴で、弱くたたいても明るくはっきりとしたサウンドを得られます。力強くたたくと金属シェルのような力強い音で、幅広いジャンルにおすすめです。竹の厚さは8mmで、柔軟さと頑丈さを両立しています。
フープはダイカスト製。ヘッドをしっかりと支えます。ラグはクラシックなスタイルのモノ10本を搭載。直径はスタンダードな14インチで深さは6.5インチです。
サテンナチュラルフィニッシュで、竹の素材感を活かした自然な見た目もポイント。人とは違うスネアドラムを探している方にもおすすめです。
タマ(TAMA) 50TH LIMITED Starclassic Mirage スネアドラム MBAS65BN-CI
ステージ上で目立ちたいドラマーにおすすめ。アクリルシェルのスネアドラムです。アクリルの透明度が高く、ステージの照明でまばゆく輝きます。アクリルは湿度や温度の変化に強くチューニングが狂いにくいため、季節を問わずに安定した演奏が可能です。
アタックが強調されたファットなサウンドが特徴。フープはダイカストで、音抜けのよさもポイントです。ラグはセパレートタイプで10本搭載されています。スナッピーは繊細さと表現力の高さが魅力。プレイヤーの細かなニュアンスをしっかりととらえサウンドに変換します。
50周年記念のドラムチューニングキーとポストカードが付いているのもポイントです。
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スネアドラムは着脱可能な部品も多く、チューニングや部品を変えることで、音のイメージを一変させることも可能です。何を選べばよいか迷う場合、まずは毎日触れたくなるようなモデルを選びましょう。マイスネアの部品を交換したりチューニングや叩き方を変えてみたりすることで、自分好みの音が見つけやすくなります。