「スプリングバンク」は、スコットランドの南西に位置するキャンベルタウンの蒸溜所で造られているシングルモルトウイスキー。「モルトの香水」と称されるほど、エレガントで芳醇な香りが素晴らしいと評判です。

今回はスプリングバンクの歴史、熟年数による種類、長い歴史のなかで培われてきた製法などをご紹介します。まだスプリングバンクのウイスキーを味わったことがない方は、ぜひこの機会にお気に入りの1本を見つけてみてください。

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スプリングバンクとは?

スプリングバンクはウイスキー初心者にあまり知られていない銘柄です。アルコール感が強くスパイシーでクセのある味が特徴。初心者よりもウイスキーをよく飲む方におすすめの、まさに通好みの味わいです。レモンやオレンジ、ピーチなど果物の酸味や爽やかさを感じ、複雑な味が重なりあいながらもしっかりとした味を確立しています。

香り高いアロマを楽しみながら、ピリッとした潮気と苦みが後に残り長い余韻に浸れるのが魅力。1度飲んだらまた飲みたくなる独特の味わいは、ウイスキー好きな人々を虜にしています。豊かな香りをしっかりと感じるためにも、まずはストレートでじっくりと味わってみましょう。加水やオンザロックで味の変化を楽しむのもおすすめです。

スプリングバンクの製造場所

スコットランドの南に位置する、キンタイア半島のキャンベルタウンに蒸溜所があります。漁業や造船業で栄えた街で、ウイスキー製造も主要な事業のひとつでした。キャンベルタウンには約400年以上も前から蒸溜文化があり、かつては数多くの蒸溜所が存在していたことで知られています。

そのなかのひとつ「ヘーゼルバーン蒸溜所」は、ニッカウヰスキーの創立者として知られる竹鶴 政孝氏がウイスキー造りの修行をした蒸溜所です。

スプリングバンクの蒸溜所は大西洋側に位置し、海岸線が入り組んでいるため霧が多いのが特徴。スプリングバンク特有の潮辛さは霧が影響しており、霧に含まれる潮気がウイスキーの味に大きな影響を与えています。

スプリングバンクの歴史

キャンベルタウンはかつては30を超えるウイスキーの蒸溜所が存在したといわれ、ウイスキーの一大生産地でした。1828年にレイド家によって蒸溜所が建てられますが、その後ミッチェル家に買収されます。世界大戦や世界恐慌の激動の時代のなかで蒸溜所が次々と閉鎖し、スプリングバンクの経営状態も思わしくなく幾度か閉鎖を余儀なくされました。

1969年にレイドウィリアム・ケイデンヘッド社を買収した後、1979〜1987年まで一時閉鎖し1989年に再び再開。長い歴史のなかで閉鎖と再開を繰り返しますが、ミッチェル家の独立資本で今も経営が続けられています。

スプリングバンクの製法

スプリングバンク蒸溜所では、製麦からボトリングまでの工程を蒸溜所内で全て管理している貴重な蒸溜所です。ほかの蒸溜所では一部の工程を他社で行うことが多いため、全て自社で行うことがスプリングバンク独特の味わいを生み出す所以といえます。麦を発芽させる際に麦芽同士の絡みつきを防ぐために、シャベルでかくはんして酸素を送り込む作業を手で行う「フロアモルティング」を導入している数少ない蒸溜所です。

仕込み水は町の近くにあるクロスヒル湖の水と、敷地内の井戸水を使用。蒸溜回数を2.5回にすることで、スプリングバンク特有の香りを生み出しています。機械化が進むなか手作業で行うフロアモルティングにこだわることで、他社にはない独特の味わいを生み出しているのがおいしさの秘訣です。

スプリングバンクの種類

スプリングバンク 10年

スプリングバンクのスタンダードボトルで、初めて飲む方におすすめの銘柄。洋梨やバニラのようなやさしい甘さが香り、かすかなピート香を感じます。ひと口飲むとほどよい潮気と香ばしさがあり、スプリングバンク特有の味を楽しめる1本です。

フルーティーな味わいと潮気のバランスがよく、シナモンやナツメグといったスパイス感がアクセントに。麦芽とオーク材のような風味が奥行きのある味わいに仕上げて、上品な香ばしさが余韻として残ります。

スプリングバンク 12年 カスクストレングス

スプリングバンク 12年 カスクストレングス

加水無しでボトリングすることで、シェリー樽からくる香りと味わいを存分に楽しめるボトル。レーズン、バニラ、トフィー、焼きマシュマロといった強さのある甘い香りが特徴で、シェリー樽特有のフルーティーなアロマを楽しめます。ドライマンゴーやはちみつのようなコクのある甘みが心地よく、塩キャラメルのような風味を最後に感じるのが魅力です。

スプリングバンクらしい潮気と甘さのバランスが絶妙で、焚火を思わせるウッディな余韻が続きます。スプリングバンクの魅力を凝縮した味を楽しめるボトルです。

スプリングバンク 15年

スプリングバンク 15年

シェリー樽で最低15年以上熟成させた原酒のみを使っています。シェリー樽特有のフルーティーな甘さと、ダークチョコレートを思わせる味わいのハーモニーが絶妙です。香りをかぐとラムレーズンアイスクリーム、レーズンなど濃いめのベリー系の香りが上がり、イチジク、クリーム、カカオ、チョコビスケットなどの味わいが口の中に広がります。

スプリングバンクらしい潮気も健在で、甘さと塩っぽさの見事なバランスを味わえる1本です。おすすめの飲み方はストレートで、芳醇な香りと深い味わいを楽しんでみてください。

スプリングバンク 18年

スプリングバンク 18年

最低18年以上熟成させたシェリー樽熟成の原酒を80%、バーボン樽熟成の原酒を20%を使用している長期熟成のボトル。レーズン、バニラ、煮りんご、メレンゲパイのような強い甘さが香り、夏の海を思わせる爽やかなアロマが新鮮です。

口に含むと煮リンゴやレーズンのコクのある甘さを最初に感じ、チョコレートのビターな味わいやオレンジピールの苦みが味に深みを与えます。うま味のある潮気がフィニッシュにきて、味のバランスがよく長期熟成ならではの深みのある甘さとコクを堪能できる1本です。

スプリングバンク 21年

スプリングバンク 21年

バーボン、シェリー、ポート、ラムなどさまざまな樽を組み合わせて造られる限定品。年によって樽が異なるため、毎年違った味わいを楽しめるのが魅力です。2017年に発売されたボトルは4種類の樽を使用し、2018年ボトルはラムカスクとバーボン樽を使用しています。

限定商品のため日本に輸入される数が少なく、ウイスキー愛好家にはたまらない貴重なボトルです。手に入ったらぜひそのリッチな味わいを、まずはストレートで味わってみてください。

スプリングバンク 25年

スプリングバンク 25年

2018年のスプリングバンク25年は、世界で1200本のみの限定販売。100%シェリー樽で最低25年以上熟成させた貴重なボトルで、日本に入荷されているのは120本のみです。長期熟成特有のたっぷりとした熟成感を楽しめ、デリケートでなめらかな味わいが魅力。

トフィーキャンディやベリージャムのような甘いアロマと、淡いピート香が特徴です。口に含むとフルーティーな甘さと酸味、オレンジピールの苦みが複雑に重なり合います。タバコ葉の芳醇な香りがフィニッシュにきて、アーシーなスモーク感の余韻に浸れる1本です。