2010年前後に一般ユーザー向けの製品が普及した「3Dプリンター」。造形物を手軽に作れるのが特徴で、オリジナルのフィギュアやスマートフォンカバーなど、小物を製作したい方にとっては便利なアイテムです。
登場した当初は高価なモノでしたが、最近は材料を含めて低価格化が進んでいます。そこで今回は、家庭用3Dプリンターのおすすめモデルをピックアップ。選び方のポイントや一緒に購入しておきたいアイテムもご紹介するので、興味がある方はチェックしてみてください。
3Dプリンターとは?
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3Dプリンターとは、立体物を表す「3DCAD」「3DCG」などの設計データをもとに、立体造形物を作る機械です。従来のプリンターのように、紙などの平面にインクで文字や図を印刷するモノではなく、樹脂や粉末状の材料を積み重ねて縦・横・高さ3つのデータを出力します。
もともとは業務用の機材として導入されましたが、最近ではモノ作りにかかわるさまざまな現場で活躍。プレゼンや説明に用いる模型や試作品作り、展示会に飾る展示物の造形など、幅広い分野で利用されています。家庭においても、フィギュアなどの玩具やスマホケース、オリジナルの日用雑貨などを作りたい方々の間で徐々に広まり始めている製品です。
家庭用3Dプリンターができること
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3Dプリンターは、写真や絵を3Dでスキャンしたり、自身で一から3Dデータを作ったり、アイデア次第で幅広いモノづくりに活用できます。
例えば、好きなキャラクターや動物、自身や知人などのフィギュアやオブジェを製作することも可能。また、ちょっとしたインテリア雑貨や、家具の一部が壊れた際の補修パーツを製作したい場合にも役立ちます。
オリジナルのスマホケースやアクセサリー、お菓子の型作りなどにも活用できるので、ハンドメイド作品を製作して販売する方も増えています。ほかにも、子供と一緒におもちゃを作ることで、知育教材として親子で楽しむのもおすすめです。模型製作も人気の用途であり、建築模型・鉄道模型・航空模型などを作成できます。
3Dプリンターの選び方
造形方式で選ぶ
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3Dプリンターには、「熱溶解積層方式」「光造形方式」「粉末焼結方式」「インクジェット方式」「粉末固着方式」の5つの造形方式があります。なかでも、家庭用の3Dプリンターによく用いられているのが、「熱溶解積層方式」と「光造形方式」の2種類です。
「熱溶解積層方式」とは、熱で溶ける熱可塑性樹脂を用いて成形していく方式のこと。溶けた樹脂はすぐに冷えて固まるため、やけどや怪我などをする危険性が少なく、扱いやすいのが特徴です。樹脂素材は比較的安価で、入手しやすいのも魅力。初めて3Dプリンターを使う方におすすめの方式です。
「光造形方式」とは、光を当てることで硬化する液状の樹脂を、紫外線レーザーで一層ずつ硬化させて積層・造形させる方式のこと。精度が高く、表面が滑らかな造形物を作るのに適しています。複雑な形のモノやきれいな立体物を作りたい方におすすめです。
造形可能なサイズで選ぶ
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造形可能サイズを確認しておくことも、3Dプリンターを選ぶ際には重要です。大は小を兼ねるからと最大造形サイズが大きい製品を選ぶのではなく、自分が作りたいモノのサイズに合わせて選びましょう。
3Dプリンターは、一度に出力する造形物のサイズが大きくなればなるほど、それぞれの材料・方式の特性による歪みや反りが出やすいのが特徴。また、完成までに時間もかかりやすく、不具合や動作停止、材料切れなどのトラブルが起こることも考えられます。
大きなモノを作りたいときには、小さなパーツに分けて出力してから組み立てを行った方が、クオリティの高いモノになりやすいといえます。一気に出力することを考えるのではなく、自分の作りたいモノのサイズと求めているクオリティを考えつつ、適切なサイズの製品を選ぶことをおすすめします。
オペレーションマニュアルの有無で選ぶ
家庭用の安価な3Dプリンターには海外製品が多く、使い方を説明した「オペレーションマニュアル」が外国語で書かれていることも少なくありません。満足のいくモノを正しく安全に作るためには、使い方の確認が必須です。外国語が苦手な方は、日本語のマニュアルが付属している製品を選びましょう。
そのほか、日本語でのサポートに対応している企業の製品を選ぶのもおすすめ。オペレーションマニュアルを読んでも使い方がわからないときや、3Dプリンターが故障したときでも、しっかり対応してもらえるので安心です。
3Dプリンターを初めて使う方や、何度か使ったことはあるけれど不慣れだという方は、マニュアルやサポートが日本語に対応しているか確認してみてください。
家庭用3Dプリンターのおすすめモデル|完成品
フラッシュフォージ(FLASHFORGE) Finder FFF-101R
プリントに必要なモノが全て同梱された人気の3Dプリンターです。組み立て不要の完成品タイプなので、届いてすぐに使えます。造形方式には熱溶解積層方式を採用しており、造形可能な最大サイズは幅140×奥行140×高さ140mmです。
また、本体上部に搭載されたカラータッチパネルは日本語対応のため、迷わず操作できます。日本語のオペレーションマニュアルをメーカーのホームページからダウンロードできる点も魅力です。
さらに、3Dデータを出力可能なデータへと変換する専用のスライスソフトも付属しているので、別途ソフトを探す必要がなく3Dプリンターを初めて使う方にもおすすめ。3Dプリントの際に便利な、水平レベルを容易に調整できるオートキャリブレーション機能も搭載しています。
作動音が50dBに抑えられた静音設計であり、家庭で使いやすいのもメリット。初めて3Dプリンターを購入する方は、ぜひチェックしてみてください。
M3D The Micro Plus
家庭用に使いやすく設計された3Dプリンターです。幅185×奥行185×高さ185mmのコンパクトなサイズと、1.07kgの軽量設計が特徴で、家庭用として気軽に設置できるのが魅力。ポップなカラーリングで威圧感がなく、インテリアに溶け込みやすいデザインです。
また、専用ソフトウェアが用意されているのもポイント。完成済みのモデルデータをプリンターにドラッグするだけで、簡単に出力できます。
造形方式は熱溶解積層方式を採用しており、材料として使う専用フィラメントは強度や弾力性の異なるPLA・Tough・Carbonの3種類。製作したいモノに合わせて選択でき、直径が1.75mmであれば市販のフィラメントも使用可能です。
また、便利なオートキャリブレーション機能や、作動音40〜50dBの静音設計もメリット。小型かつ高性能なおすすめの家庭用3Dプリンターです。
QIDIテクノロジー(QIDI TECH) X-ONE 2
お手頃価格の人気3Dプリンターです。組み立て済みの完成品タイプで、ドライバー・スクレイバー・スティック糊などの工具一式と1kgのPLAフィラメントを同梱しており、届いてすぐに使用できます。
造形方式は熱溶解積層方式で、フィラメントはABS・PLA・TPUなどに対応。正面右下のカラータッチスクリーンで簡単に操作でき、独自のスライスソフトも用意されているため、3Dプリンターに不慣れな方でも安心です。
造形可能なサイズは幅145×奥行145×高さ145mmで、無料修理やパーツ交換を行える6ヶ月保証が付いています。高性能でコストパフォーマンスに優れたおすすめの製品なので、コストを抑えて3Dプリンターを導入したいと考えている方はぜひ検討してみてください。
XYZプリンティング ダヴィンチ mini w+
エントリーモデルとしておすすめの3Dプリンターです。USBケーブルによる接続のほか、Wi-Fi接続にも対応しているのが特徴で、部屋のどこでもパソコンから3Dデータを送信できます。
重さは7.7kgと気軽に設置や移動が行えるのもポイント。造形可能な最大サイズは幅150×奥行150×高さ150mmで、造形方式は熱溶解積層方式です。フィラメントはPLA・PETG・Tough PLAを使用できます。
また、独自のソフトウェア「XYZmaker」が用意されているため、自分でスライスソフトを探す必要がないのもメリット。高さや台座を自動的に調節してくれる、便利な自動キャリブレーション機能も搭載しています。
操作手順はチュートリアルビデオで確認できるので、初めて3Dプリンターを使う方にもおすすめ。また、日本国内にもメーカー拠点があり、サポートを受けたい場合にも安心です。リーズナブルな3Dプリンターを探している方は、ぜひチェックしてみてください。
XYZプリンティング ダヴィンチ 1.0 Pro
3Dプリンターを使い慣れている方におすすめの人気モデルです。造形可能な最大サイズは幅200×奥行200×高さ200mmと大きめで、エントリークラスの製品と比較して幅広い3D作品が製作できます。
熱溶解樹脂積層方式を採用しており、PLA・抗菌性PLA・ABS・タフPLA・PETGなどの多様なフィラメントに対応。直径が1.75mmであればサードパーティー製のフィラメントも使用できます。USBケーブルだけでなく、Wi-Fi接続に対応しているのも特徴です。
さらに、独自のスライスソフト「XYZmaker」を利用できるのもポイント。本体のメニュー画面はカタカナの日本語表示が可能で、チュートリアルビデオで操作方法を確認できるため、容易に操作できます。
オプションパーツのレーザーモジュールを利用すると、レーザー刻印機能を使えるのもメリット。さまざまな素材を使い分けたい中級者以上におすすめの3Dプリンターです。
家庭用3Dプリンターのおすすめモデル|組み立てタイプ
ALUNAR DIY 3D Printer M508
リーズナブルかつ高性能な3Dプリンターです。造形可能な最大サイズが幅200×奥行き200×高さ180mmと大きめで、直径1.75mmのPLAやABSなどが使用できます。組み立てタイプのため、低コストでありながら高精度な出力性能を備えているのが魅力です。
造形方式は熱溶解積層方式で、多色印刷に対応しているのもポイント。プリントの途中で色の異なるフィラメントに交換すると、複数のカラーを使用した3D作品が製作できます。
そのほか、0.25kgのPLAフィラメントや、オフラインでのプリントをサポートするSDカードも付属。同梱のSDカードに組み立て手順のビデオが入っており、参考にしながら組み立てられるのもメリットです。
コストパフォーマンスに優れていますが、組み立てが必要かつ言語が英語なので注意しておきましょう。電子工作が好きな方におすすめの3Dプリンターです。
Anycubic I3 Mega
高性能でリーズナブルな3Dプリンターです。最初に簡単な組み立てが必要ですが、価格以上のスペックを備えていることから人気を博しています。造形可能な最大サイズが幅210×奥行210×高さ205mmと大きく、金属フレームの採用により高精度な造形を行えるのが魅力です。
造形方式は熱溶解積層方式で、直径1.75mmのPLA・ABS・HIPS・Woodといった多様なフィラメントに対応しています。1kgのPLAフィラメントが同梱されているのもポイント。操作は正面下部のタッチパネルで容易に行えます。
また、停電印刷継続機能を搭載しており、停電時でプリントが停止しても影響なく作業を再開できるため安心です。多色印刷も可能で、プリントの途中で色の異なるフィラメントへ取り替えると、複数の色を使用した作品が製作できます。
3Dデータの入力はパソコンからUSBケーブルで送信するほかに、SDカードも使用可能。幅広いユーザーにおすすめの3Dプリンターです。
Anycubic LCD Photon
光造形方式の人気3Dプリンターです。光硬化レジンを素材に使用し、熱溶解積層方式よりも精密かつ滑らかな仕上がりの3D作品が製作できます。造形可能なサイズは幅115×奥行き65×高さ155mmほどで、高さのあるフィギュアなどの製作におすすめです。
3Dデータの入力はUSBメモリによるオフライン方式で、正面下部のカラータッチパネルで操作します。パネルは画素数2560×1440の高解像設計で、USBメモリ内の3Dデータを高画質で確認・選択できるのもポイントです。
スライスソフトには独自の「ANYCUBIC Photon スライサー」が用意されています。また、日本語のマニュアルもダウンロードできるため操作も安心です。お手頃価格で高精度な光造形方式の3Dプリンターを探している方は、ぜひ検討してみてください。
Comgrow Ender-3X
コストパフォーマンスの高い3Dプリンターです。熱溶解積層方式を採用しており、直径1.75mmのPLAフィラメントが使用できます。造形可能な最大サイズは220×220×250mmと大きく、幅広い3D作品を製作可能です。
3Dデータの入力はUSBケーブルとSDカードに対応しています。さらに、突然の停電でも最後の層からプリントを再開できる、停電復帰機能を搭載しているのもメリット。重さが8.6kgと比較的軽めであり、家庭用として設置しやすく移動も手軽に行えます。
自身の手でパーツの組み立てを行う必要がありますが、付属のmicroSDカードに日本語の組み立て取扱説明書が入っているのもポイント。しかし、設定に知識や経験が求められる場面もあるため注意が必要です。カスタマイズを楽しめる方や3Dプリンターの扱いに慣れた上級者の方は、ぜひチェックしておきましょう。
アイデア次第でさまざまなものが作れる3Dプリンター。アイデアを形にするためには、3Dモデリングのソフトが必要です。ほとんどのメーカーにはソフトが付属していますが、3Dモデリングの勉強をしておくことでより幅広い3D作品が制作できます。ぜひ想像を形にしてみましょう。